ここはジャパリ文庫
SSシリーズを投稿するスレです。
多分何言ってるかわからんと思うからざっくり説明すると、
出版社みたいにここでたくさんの作者さんがSSを投稿し、みんなを楽しませる感じのスレ、
個人で出すよりこういう感じで出した方が知名度も上がるかもしれないし、何より人気投票とかも取るつもりだから(取らないかもしれないけど)みんなももっともっとSSという存在に触れられると思うんだ。
だけど作者さんが傷つくようなことは言うなよ、おかしいと思ったらおかしいっていうのは悪いことじゃないがアドバイスって形で言ってよな
1・まず宣伝をする。
「漫画雑誌とかでいう読み切りみたいなの、ざっくりとしたあらすじとか書いたらいいと思う。[近々公開]とか[○月○日公開予定]とかも書いていいよ(これは好きな時に書いてね)」
2・投稿する。
「書いた自分の作品を投稿しよう。長さはどんだけでもいいしクロスオーバーでもいい、面白い作品を作ろう(読者さんは感想などを書こう。作者さん、喜ぶよ)」
3・続きを投稿する
「続きは一週間後くらいに投稿しよう。予定や気分で投稿できないなら作者かわかるようにしてから[今回は投稿できません]と書いておこう」
自分の作品を投稿して、君もスターになろう!!
・すでにSSスレで投稿している作品でも、こちらで投稿しても良いとする。(ただし、SSスレとここと両立されて投稿すること)
・すでにSSスレで投稿している作品をこちらで投稿する場合、すでに書いている話を一気に投稿しても良いとする
・一人につきSSは何作品も投稿しても良いとする
(投稿できないなどのことは自己責任でお願いします)
・クロスオーバー作品を書く場合はなんの作品とのクロスオーバーなのかを明確にする。
(タイトルの横に「けもフレ×???」という形で書いておくなど…)
・最新話を上げる時、前回のアンカー付けを忘れずに
・SSの最後に予告をつけてもいいとする。
又はつけなくてもいいとする。
・書けるSSは、けものフレンズのSSのみとする。
・ SSを投稿する場合は
ラベルをつけて投稿すること
《【現在連載中の作品】》
・【アラフェネぶらり旅〜まんまるを探して2周目〜】(完結)
・【サバずきんちゃん】
・【アナザーワールド・サンドスターストーリーズ】
・【けものフレンズ2】
・【虫喰いでないフレンズ】
1話>> 693
前回>> 694
「ふわぁ……ここがジャパリ科学館!」
館内に広がるのは何処と無く近未来を思わせるようなデザインの様々な展示物。
「よし!それじゃあヤマバクにはイチオシのオススメコースを紹──」
飼育員がジャパリ科学館のパンフレットを見ながら何やら話始めているが、好奇心を抑えられないヤマバクは飼育員を放って置いてどんどん先へ行ってしまう。
中身がビリビリしている不思議な球体に、何故か浮き続けてる不思議な磁石、サンドスターを使った不思議な装置。
見たいものが有り過ぎてヤマバクの目が回りそう。
好奇心に突き動かされるままに動いていたヤマバクだったが、自身の姿が歪んで写る鏡の前に立ったときに飼育員が居なくなっている事に気が付いた。
「あれ?しーくいんさん迷子になっちゃったんですかね?」
迷子になったのはヤマバクの方である。
飼育員を探すためにヤマバクは元来た道を戻り始めたが、興味の赴くままに行動していた為に早速元来た道を外れて進み始める。
しばらく歩いているとヤマバクは明らかに見覚えのない展示物の少ない通路に迷い込む。
「ここは何処ですかね?えーと……?」
上に吊るされている案内板には「この先博物館」と書かれている。
「この先は博物館ですよ」
「!?」
気配ゼロで後ろから急に声を掛けられて、ヤマバクは心臓が口から飛び出るくらい驚きながら後ろを振り返った。
そこに居たのは何処と無く浮世離れしたような雰囲気を醸し出している不思議な白いキツネのフレンズ。
「きゅ、急に後ろから声を掛けないでください!わたしがウマのフレンズだったら蹴り上げてましたよ!」
「フフ……驚かせてごめんなさい。ところで、先程から忙しなく見回しているようだけど、何か探しものですか?」
「しーくいんさんを探してるんです」
「ああ、迷子になってしまったのですね」
「うん、全く困ったしーくいんさんですよ」
「……ん?」
白いキツネのフレンズは首を傾げる。
ヤマバクの言い方では飼育員の方が迷子になっているように聞こえるが、ヤマバクの方が迷子なのではないのだろうか。
「ん?」
ヤマバクも白いキツネのフレンズに釣られて首を傾げる。
何やらヤマバクと白いキツネのフレンズの間で微妙な認識の齟齬があったようだが、それにツッコミを入れると不毛な事になりそうだと判断した白いキツネのフレンズはとりあえずヤマバクに提案する。
「しばらく私と一緒にそこのベンチで待ちましょう。待ち人は向こうからやって来るものです」
「……そうですね。一緒に待ちます」
宛もなく探したところで飼育員は見付からないので、ヤマバクは飼育員が自分を見付けるのを待つことにした。
「そう言えば、自己紹介がまだでしたね。私はオイナリサマ、ジャパリパークを守護する守護けものの一柱です。好きな物はいなり寿司、たくさんお供えしても良いのですよ?」
守護けものと言う意外な大物の登場に普通のフレンズなら驚く筈なのだが……
「自分を様付けしちゃうフレンズは初めて見ました。わたしはヤマバク、好きな物は満天の星空とジャパリまんです!ところで“いなりずし”って何ですか?」
「……」
守護けものを知らないヤマバクはオイナリサマに対して普通の対応を行う。
オイナリサマは自身といなり寿司の知名度の低下に若干心のダメージを負った。
オイナリサマ登場だ!稲荷ずしはなー 美味しいんだぞー!
更新頑張って下さい👍
1話>> 693
前回>> 698
飼育員が見付けに来る間、ヤマバクはベンチで待つことにしたが昨日は遅くまで起きていた為に座ると眠気がやってくる。
さすがに今寝るわけにはいかないので、眠気を紛らわす為にヤマバクはオイナリサマに話し掛けた。
「オイナリサマ、“しゅごけもの”って何なんですか?フレンズになってから結構経ちましたけど初めて聞きました」
「守護けものはこのジャパリパークを守護を担う特別なフレンズ達の総称です。みんなが笑顔でいられるようにジャパリパークの平穏を守っています」
「守護けものって大変そうですね」
「ええ、ですがとてもやりがいがあるのですよ。みんなの笑顔といなり寿司が私の元気の源です。ジャパリパークの平穏を守り続けていれば、いつの日か“あの人”も……」
オイナリサマは微笑みながら語ってはいたがあの人と口に出した時、その目には何処か寂しげな光を湛えていた。
「……わたしも守護けものって名乗ったらなれるんですかね?」
「自称したからと言ってなれるものではありませんよ。文武両道、才色兼備でなければなりません。私のように」
「なるほど!つまり、変……面白いフレンズじゃなけれなダメなんですね!」
「今、変って言いましたよね?」
「イッテナイデス」
「……ま、まぁ良いでしょう」
偉大なる守護けものは変と言われたくらいで怒るほど器は小さくはないのだ。
程無くして辺りをキョロキョロしながらヤマバクを探してる飼育員が姿を現した。
「あ、しーくいんさん!こっちですよ!」
「見付けた!」
ヤマバクの姿を見付けてほっと胸を撫で下ろして飼育員はヤマバクの方へやってくる。
「もう、勝手にいなくなって迷子になっちゃダメじゃないですか」
会って早々にヤマバクにとんでもない事を言われて、飼育員の額に僅かに青筋が浮かび上がる。
「ボク、飼育員。あなた、フレンズ。どういうことか分かるよね?」
「?」
「こっちが保護者で勝手に居なくなって迷子になったのはヤマバクの方ー!!このー!!」
飼育員は溢れる怒りをヤマバクのもちもちほっぺにぶつける。
今度はもちもちではなく限りなく横方向にのびのびされている。
「むぃぃぃぃぃ!びゃ!!」
のびのびされたヤマバクのほっぺが飼育員の手から解放されて、反動でゴムのようにぱちんと元通りになった。
「フフフ……」
「あ」
ヤマバクと飼育員のやり取りを見てオイナリサマがクスクスと笑いだす。
その時になって初めて飼育員はヤマバクの隣にオイナリサマが居たことに気が付いて、先程のヤマバクとのやり取りを思い出して耳を赤くする。
「では、待ち人も来たみたいなので私はこれで失礼しますね。あなたはこの子の飼育員なのですから、目を離してはいけませんよ」
「はい」
「あ、そうです!オイナリサマもわたし達と一緒に廻りませんか?」
「私はやることがあるのでこれで失礼します。ジャパリ科学館、楽しんでくださいね」
ヤマバクはオイナリサマも一緒に廻るように誘ってはみたが、何やらオイナリサマは用事があるのかこの場から立ち去ってしまった。
「あの人」とは・・・
1話>> 693
前回>> 700
「じゃ、改めて今からジャパリ科学館を廻ろ……と思ったけどもう時間がないか」
飼育員は腕時計を見て時間がないと呟くのに対して、ヤマバクは首を傾げた。
「まだ時間ならたくさんありますよ?お昼にもまだなってませんし」
「いや、帰る訳じゃないよ。じゃ、行こっか」
「何処へ行くんですか?」
「星を見に行くんだよ」
昼間に星が?
普通に考えればお昼に星が見えないことはヤマバクでも分かる。
この飼育員は何を言ってるのだろうか?
心の中でそんな事を思いながらも、星が大好きなヤマバクはとりあえず騙されたと思って飼育員に付いて行くことにした。
しばらく、飼育員に付いていくと座り心地の良い椅子がたくさん設置されているドーム状の部屋の中へと案内される。
「ここでお星さまが見えるんですか?天井ありますよ?」
「あ、そっか。ヤマバクはプラネタリウムは初めてだったかな?プラネタリウムは……って、説明するより見てみた方が早いか。ヤマバクはボクの説明をスルーしがちなところがあるからね」
「そんな事はないですよ。たぶん」
「本当?まぁ、いいや。そろそろ始まるみたいだよ」
始めから薄暗かった室内が暗くなり、中央にある機械が動き始めと、ドーム状の天井に満天の星空が映し出された。
「わぁ……すごーい。天井が夜空みたいです」
「これはあの中央の機械で夜空を再現してるんだよ。ほら、解説が始まるから静かにしよう」
プラネタリウムに夜空を解説する音声が流れる。
ヤマバクはプラネタリウムに映し出される星々を目を輝かせながら魅入っていた。
そして────
「あれが北極星ですから……あっちが双子座で……こっちがデネボラ、アークトゥルス、スピカ!春の大三角形ですね!」
「よ、良く覚えてるね。ボクは北極星くらいしか分かんないよ」
帰り道、ヤマバクは暗くなった空を見上げながらプラネタリウムで学んだ星や星座の名前を言い当てていた。
「これくらい簡単ですよ!」
「難しいと思うよ……」
ヤマバクは星を眺めながらふと思った事を言う。
「もっとお星さまに近付けば、もっともっと綺麗に見える筈です!しーくいんさん!山に行きましょう!」
星が大好きなヤマバクはプラネタリウムでの興奮が醒めきっていないようで、今すぐにでも駆け出していきそうないきおいだ。
「やめとこうよ」
「ジャパリパークで一番デカいあの山に!」
「いや、ダメだって」
「一緒に登りましょう!」
「だから、ダメだって言ってるんだよ!!!」
「!?」
突然の飼育員の大声にヤマバクは身体をビクりと震わせる。
「あ、ゴメン……」
「い、いえ……ちょっとわたしのテンションもおかしくなっていたので……」
飼育員は気まずそうに頬を掻いて、今は大きな黒い影となっている山の方を向いてポツリと呟いた。
「……あの山、今は立ち入り禁止になってるんだ」
「どうしてですか?」
「……さぁね?飼育員のボクには分からないよ。まぁ、その内行けるようになると思うよ」
「そうですか……わたしはしーくいんさんと一緒に本物の綺麗なお星さまを見に行きたかったんです」
「そっか。でも、今は山に行けないからさ。また、プラネタリウムを見に行こうよ」
「……でも、やっぱり本物の方が綺麗ですよ」
「良いじゃん。プラネタリウムの方がお手軽だし」
「むー」
その後、ヤマバクは自宅に帰ってベッドの上にゴロンと寝転がる。
今日は楽しかったなぁと思いつつ、寝不足のままジャパリ科学館に行ったことを若干悔やんでいた。
「?」
あれ?
どうして寝不足のまま行くことになったんでしょうか?
「ハッ!」
疑問と一緒にヤマバクは昨夜の出来事を思い出した。
「完全に忘れてました……」
ヤマバクはベッドの端でげんなりしながらも、ベッドの上から下を覗き込んだ。
「あ、あれ?」
ある筈のものがない。
ベッドの下に隠してあった木の枝が無くなっているのだ。
きっと、ヤマバク寝ている内に飼育員が片付けてしまったのだろう。
「って事はバレますよね……うぅ」
謝るなら早い方が良い。
ヤマバクは明日こそ謝ろうとベッドに潜り込んで目を瞑った。
読んでます
パークの一番高い山が立ち入り禁止に・・・何があったんだろう
ヤマバクちゃんは星空が好きなんですね😊
何もないので安心してください(ニッコリ)
ヤマバクの設定はガイドブックから
世界観に合うようにちょいアレンジを加えてます
虫喰いでないフレンズ
19話>> 646
20話>> 654
21話>> 664
22話>> 673
23話>> 689
承………………
はっ!
ウッ!!
「なんだ?あいつは…たしかさっきからしてた2つのニンゲンの声の片方…」
《これは…》
「わたしの食い物を狙ってるのか?」
《あのときの…》
「それともずっと目を合わせてくるってことは、わたし自身を狙っているというのか?」
《このときのことは………》
「そろそろあいつのところに戻ろう…なッ」
《見たくないのにッ………》
やったッ!
「ギャースッ!」
《やったッ!じゃあねーぞ!チクショー》
いや…当たったのは左肩だ…
致命傷じゃあねえ…
「敵だったのかてめーはッ!生きて帰れると思うなよおッ!」
《のんきに生きて帰れると思っていたのはわたしの方だった》
「あの玉を当ててくるのなら!それを撃ち尽くさせてから安全にてめーを仕留める!おまえをあいつのところには行かさねーッ!」
《現実はそう甘くないと言われたばかりなのにな》
させるか━━ッ
「くそッ!?なんてパワーだ!すぐにそこに隠れててめーを撃ってやるッ!攻撃の瞬間は二人とも動けんだろうが、次にここから動くのはひとり!わたしだけだ!ヒトなら脳天に食らわせれば一発で済むッ!」
《ここは今思えば何が何でも逃げてあいつ、虫喰いと合流するべきだったんだ》
やばい!
何か飛ばすスタンドだッ!
「そのスタンドも何か飛ばしてきたじゃあねーかッ!だがわたしのは防御できねえんだよッ!」
《でも後悔なんてのはいくらでも吐き出せるが腹には収められないからやめろとも言われた》
カ━z_ン
「な」
《だから忘れることで吹っ切れるとおもったんだけど…》
………
「あ………あたったか………別のものに………わたしはもう………」
《ここまで鮮明に繰り返し見せられると、忘れない方が正しいのか迷うな》
野郎ォ!!
「お前の姿を最後に見せろ………なるほど。何もわたしの攻撃はあいつのためになっていないのか………」
《そうだ。だから虫喰いもおそらくはあの黒いヒトに敗れた。そんなわたしの記憶は何を訴えている?》
やったッ!
命中してたッ!
「だがなるべくてめーが早めにこちらに来るのを願うよ………あいつの勝利をな………」
《あいつ、虫喰いの勝利は願うだけでは訪れない。生きてわたしが近くに行くことでしか叶わないこと。もしも、初めからわかっていたら、なんて考えるだけ無駄だというのに…》
《ん?そもそも、あいつが勝ったらどうなっていたんだ?》
のののののののののののののののののの
目が覚めると聞き慣れない耳障りな音が響いていた。
頭痛に堪えながらアフリカゾウとイエネコの居場所を探してみると、すぐ近くから二人のニオイがする。
ドブネズミ
「くぁぁぁぁぁ〜〜〜」
〘夢か…
『夢みるプリンセス』のようにかなりはっきりと、その場にいて見てたかのような臨場感があったが…
まさかまだあいつは生きてるのか?〙
アフリカゾウ
「あ、おはよう!」
イエネコ
「おおあくびね。声だけでウツされそうなくらい。おはよう」
ドブネズミ
「わるいな、伝染すつもりはなかった。おはよう」
アフリカゾウ
「あ…あああああああ」
イエネコ
「ふ…くっ……ぁぁ」
ドブネズミ
「二人とも伝染ったか…寝たらないなら寝たらどうだ?」
アフリカゾウ
「確かにちょっと寝不足かもしれないけど、これは寝てなんかいられないよ!ドブネズミちゃんもこっち来てみてみればわかるから!」
ドブネズミ
「ああ?そうだ。よっこいしょ。そもそもここはどこだ?スゲーうるさくて目が覚めたんだ」
イエネコ
「たんさせん?の中だって。けっこう大きな乗り物みたいね。このラッキーってのが勝手に呼んでたらしいわ。ちなみに今はこれをそーじゅーしてるから手を出すなとか言ってる」
ドブネズミ
「乗り物だって?ふふん、歩かなくてすむのは助かるな。ラッキー、気が利くな」
昨晩、ラッキーが寝ていたアフリカゾウのもとに戻ってきて起こした。
突然起こされたアフリカゾウは、眠い目をこすりながら今三人が乗っている探査船を呼んだことを告げられて、しかたなく二人を運んだ。
体力には自信があったが、それ以外の理由で起こされたとは考えていなかったので終わったらすぐ寝直す気でいたという。
だが、運び終わって休めるかと安心していると操縦マニュアルを渡され、渋々読み出すと止まらなくなりそのまま朝を迎えたというところまでがアフリカゾウからの愚痴で判明した。
アフリカゾウ
「もう、『そうじゅうまにゅある』なんて読んでたら寝てられないよ〜ああああああ。これを動かすのは楽しいけどさ」
ドブネズミ
「え?ラッキーが動かしてるのにアフリカゾウも操縦するのか?」
アフリカゾウ
「いや〜最初から別のラッキーが乗ってたのにさ、これを呼んだ方も一緒に運転してるんだよね。一人でできたんなら二人もいらないんじゃない?って聞いたんだけど何も言ってくれなかったよ…」
ドブネズミ
「もういいだろ。実際に役に立ってくれてるし、任せときゃいい。虫喰いとの戦いで役立つとは思えんし、これくらいやってくれないとな」
アフリカゾウ
「虫喰い…そうだ私……」
ドブネズミ
「なんだ?どうした?」
アフリカゾウ
「私……虫喰いが言ってきたことに対してカッとなっちゃって言いだせなかったことがあるんだ……」
ドブネズミ
「おいおい、なんでまたそんなことを…」
アフリカゾウ
「あたりまえでしょ、挨拶なんて」
ドブネズミ
「ぁ…挨拶?たしかに、あいつも言葉を喋ってるんなら、わたし達と同じフレンズになったんだろうな。いや、挨拶してないってのはァ…つまりはどういうことなんだ?」
アフリカゾウ
「あんなことする子なんて見たことも聞いたこともないんだよ……
私はこの島のフレンズみんなと会ってるはずなんだ……
一人で島中をまわっていろんなフレンズと会ったことがあるのに……
虫喰いとは初めて会ってるのに……
色々聞きたいことがあったのに…」
ドブネズミ
「???
初対面のはずだから虫喰いにも挨拶するはずだったけどできなかった、と?」
アフリカゾウ
「うん……
でも、あっちがなぜかこっちを知ってるみたいでさ。
セルリアンまで出てきちゃったから戦いのスイッチが入ったというか、落ち着いて話せるような状態にしてくれなかったというか……」
ドブネズミ
「なるほどな。そういうやつなんだ、あいつは。だから気にしなくていい」
アフリカゾウ
「え?」
ドブネズミ
「あいつは、自分のペースで事を進めるのに長けている。何らかのルートでお前の情報を仕入れてて、それを利用してお前をゆっくり話せる状況から引き離すようにしてたんだ。お前から冷静さを奪うなんて容易いって思われただろうな」
アフリカゾウ
「ドブネズミちゃんは……なんでそんなに虫喰いのことを悪く言えるの……?」
ドブネズミ
「悪く言うだって?そう聞こえた?」
アフリカゾウ
「信じてみようって感じがしないんだよ………
敵の攻撃方法を説明するみたいな、悪者から遠ざけようとしてるみたいで………
今は私も虫喰いのこと良く言ってないけどさ、最初から怖がってちゃんとお話ができないなんて面白くないじゃん!」
ドブネズミ
「なるほど、そういう考えはなかったな。たしかに虫喰いとお前とはまだまともに出会ってないんだった。セルリアンで攻撃するなんて得体の知れない能力身に着けてやがったからわたしも混乱させられてたみたいだな。次会うときはしっかり言葉を交わして、何があってそんなことしてるか聞き出そう」
アフリカゾウ
「………わかってくれてありがとう。虫喰い『ちゃん』は島の反対側にいるって言ってた。反対ってのが何の反対かわからないけど、ドブネズミちゃんはどこだと思う?」
ドブネズミ
「あぁ…その虫喰い『ちゃん』が言ってるのは、地図でこの辺りのことだろうな。円い形のこの島では、反対側といえば円を半分に折ったとき重なる場所のことと言えるだろう。ちょうど隣のエリアみたいだ。」
アフリカゾウ
「へぇぇぇ。ココが…」
ドブネズミ
「ん?なんだ?このエリアだけやたら目立つな。アフリカゾウはどんなところか知ってるか?」
アフリカゾウ
「うん………一応、ね。ほとんど入ってないけど………ちょっと通っただけ」
ドブネズミ
「なんでだ?」
アフリカゾウ
「セルリアンだらけなんだよ…そこは」
ドブネズミ
「なんだと?」
アフリカゾウ
「そこは飛んですぐ出られればなんともないの。鳥のフレンズに頼めば通れるけど、地上を通ろうとするなんてことは考えられないくらい危険なんだ」
ドブネズミ
「じゃあ、なぜ虫喰いはそんなところに居ると言ったんだ………?」
ドブネズミの問にアフリカゾウは答えなかった。
セルリアンという敵(今まではほとんど大して苦戦していないつもりだが)の巣窟にいて無事などころかそれらを差し向けてきているなどとは、想像はできても理解ができなかったためだ。
一方で純粋に疑問に思っていただけのドブネズミは、それまでずっと寝転んでいたが姿勢に耐えられなくなってきたので起き上がった。
布団もなく硬い床で雑魚寝していたので、痛みを覚える。
イエネコを見ると、ずっと遠くを見ていた。
そんなに見続けられるものなのか、と気になり同じように外の景色を観るがなにかあるようには見えなかった。
砂漠エリアに入っていたからだ。
事実、空と砂だけの景色はドブネズミにとっては目新しいものである。
巨大な岩もサボテンも初めは驚き興味を持っていた。
しかし、より派手で目を引くようなものを期待していたためなのかすぐ視線を外して、他のものを探しにいってしまった。
思ったより何もなくて損したなど落胆していると、隣でイエネコが大あくびを発して愚痴をこぼした。
イエネコ
「ファああああ〜〜〜〜ッ
初めて見るけどやることなんにもないしなんかあるけどすぐ飽きるんじゃ、ついてこないほうが良かったのかしらァァ」
ドブネズミ
「たしかにつまらん景色だ………でもなんにもないのが一番だろ?ノン気にアクビしてられるんだ。でも、例えばだ。そこに指差し込まれたらどうなる?」
イエネコ
「えぇ?どこに?うふぁぁぁぁぁぁ」
ドブネズミ
「ここだ」
イエネコ
「!?アグアグアグっ」
ドブネズミ
「ふーん。こーなるのか」
イエネコ
「なにをするのッ!?ふ、ふざけるのもたいがいにしてよねっ」
ドブネズミ
「う〜む………ここんとこ戦いと苦労の連続でとてもふざけてられなかったから、許してくれない?」
イエネコ
「なによ、そんな理由で許されると思ってるの!?」
ドブネズミ
「ご、ごめん………」
イエネコ
「冗談よ、そんなに怒ってないわ」
ドブネズミ
「なんだ、意外に冗談とかわかるのか。んじゃあ、ダジャレ言っても構ってくれる?」
イエネコ
「ダジャレ?言いたきゃ言っててもいいけど構ってあげたりはしないわよ。スベっても自己責任で始末してよね」
ドブネズミ
「では、おほん…『猫がNeck on lonely!!』」
アフリカゾウ
「???」
イエネコ
「………」
ドブネズミ
「ほ、ホントに無視すんのか…」
アフリカゾウ
「ドブネズミちゃん、今の何?誰に言ってたの?」
ドブネズミ
「あ…あああ、誰にも言ってないから気にしなくていいってやつだ」
(自分で言っといてなんだけど誰にも理解されないのは辛い…)
アフリカゾウ
「え?私は聞いてたよ?隠すことないって」
ドブネズミ
「分かってくれるのか!で、面白かったかッ!?」
アフリカゾウ
「ねこがねっころんりー?なんだか分からないのが面白いね」
ドブネズミ
「面白いか!いょッしぁ!」
イエネコ
「たしかにワケがわからないわね…」
ドブネズミ
「おう!もっといくぞ!えーっと…」
このままではスベり続けることが目に見えていたイエネコはここで別の事に注意を向ける。
イエネコ
「でもそれくらいにしときなさい。そろそろ喉が乾いてきてない?ノドを潰したくはないでしょう?」
ドブネズミ
「お…たしかにノドが乾くな。暑くはないのに」
イエネコ
「はい。水はそこで汲めるわ。カップは自分のがわかるように置いてね。何個も置いてあるわけじゃあないみたいだから」
ドブネズミ
「ああ、ありがとう」
アフリカゾウ
「こっちには私の、あれがイエネコちゃんので、ここがドブネズミちゃんのところね。イエネコはこうしないとイヤみたいだから」
ドブネズミ
「そうなのか」
イエネコ
「ええ、ドブネズミも置くところには気をつけてよね。でないとお…ぎゃあああああ!?」
ドブネズミ
「ん?なんだ、そんなに叫んで何があったんだ?」
イエネコ
「もうだめ………おしまいよ……しかも自分でやってしまうなんて………」
アフリカゾウ
「あ………水をくんだ新しいカップを持ったまま自分が飲んでたのをドブネズミちゃんに渡しちゃったんだね……」
ドブネズミ
「つまりは…どう言うこと?」
イエネコ
「私のカップをあなたが……」
ドブネズミ
「そんなことでそんなに落ち込むのか?」
イエネコ
「もういいわ……グビッ」
新しく汲んだカップの水を舐めて見せつけたイエネコは、ドブネズミににじり寄っていく。
口を三日月状に開き、犬歯を覗かせ、猫背で顔だけ上げて真っ直ぐドブネズミを見つめていた。
ドブネズミ
「おい、それを持って何をする気だ?飲みたいならそれで飲めばいいだろ」
イエネコ
「あなたがこれで飲みなさい!こうすれば『対等』よ!」
ドブネズミ
「グボッ!?」
アフリカゾウ
「あぁっ、やめてえ!」
イエネコ
「はぁ…はぁ…フフフ」
ドブネズミ
「ゲホゲホ…なんだかわからんけどこれで収まるならいいか…」
イエネコ
「これであなたと私は『対等』…うふふふ……アフリカゾウ!せっかくだからあなたもやりなさい!」
アフリカゾウ
「え?まさか…うわぁぁぁぁ!?」
ドブネズミ
「やっぱ良くなかったかな……やめてくれぇぇぇぇぇ」
その頃、探査船の通信用カメラから一方的に中の様子を見る者がひとりごちていた。
マイクで拾った声が一連のドタバタを演じている。
ここで、観察者はその中のある一人に注目していた。
マイ
「……このイエネコ……この性格…これは何を意味するというのか……まさかな………」
←To Be Continued
25話>> 709
前回>> 687
ライオン「うぉぉ!!!」
ヘラジカ「おりゃぁぁ!!!」
二人はセリルアンに突っ込む
セリルアンは大きな触手を伸ばし、二人をたたきつけようと振るう
二人はそれを掴み、がっしりと固定した。
ヘラジカ「ぐ!お前たちは先に逃げてろ!ここは私たちがぁ!!」
ライオン「ちょっとヤバい……このままじゃ……!!うぉぉぉ!!」
苦しそうに掴んでいる中、ライオンヘラジカ以外のフレンズは誰一人逃げようとしない。
ライオン「く……クソっ!!!」
二人は隣の建物に叩き飛ばされ、大きなくぼみに埋め込んでる。
シロサイ「ら!ライオンさん!ヘラジカさん!!」
オルマー「こうなったら私たちが……!」
二人が再起不能になったため、その他のフレンズたちがセルリアンに挑もうと走り出す。
ツキノワグマ「ぐっ!!なんなんだ!こいつ!」
ツキノワグマはセルリアンの触手攻撃をとっさに武器で攻撃を防ぐも、押されてしまう。
するとそのとき、セルリアンの触手が切れた。
パンサー「大丈夫でござるか!?ってうわわわ!!」
パンサーは透明化し、セルリアンの触手を切るものの、足を掴まれ、そのまま地面に叩きつけられた。
オーロックス「く……!!うぉぉ!!!」
セルリアンはまたもや触手で攻撃を仕掛ける。
オーロックスはそれを武器ではじきかえすが、次々と攻撃が繰り出される。
オリックス「危ない!!」
二人は互いに攻撃を避けあいながら、セルリアンに手も足も出せずにいた。
オーロックス「私たちが…!!ライオンさんのヘラジカさんの分まで!」
しかし、次の瞬間、攻撃を弾いていた武器が吹き飛んだ。
オリックス「くそっ…!!!」
それも二人とも、二人は手でガードしようと構えた。
そして、目をつぶった。
ジャキン!!!!
斬撃音が聞こえる。
そっと目を開けると、縦に直線。
セルリアンに刻まれた。
本当に一瞬だった。
???「なんだ?私がいないうちにおいしくなってるじゃん」
???「なんで今までいなかったんだよ!そして呼んだら来るんだよ!」
???「そうだぞ!心配してたんだぞ!」
真っ二つにセルリアンは切れ、倒れた。
その先に何者かが立っている。
コノハ「ほほぅ……やっぱりいるのではありませんか」
サーバル「え?何が?」
コノハ「そこにいるのです。えっと……名前は……」
何者かは刀をしまうような仕草をし、煙立ち込める奥で私たちを見つめている。
キングズ「私たちはキングズ。妖精とフレンズの融合体だ」
コノハ「そうそうキングズ……そんな名前だったのですか?」
ミミ「いいえ違うのです。どうやらナーチャとライオン、ヘラジカが融合した状態の名前らしいのです。博士」
コノハ「そんなことかと思ってたのです」
キングズ「あらら?天秤の方がなぜここに?」
コノハ「やはり知っていたのですか」
キングズ「当たり前だ。私は伊達に妖精やってるわけじゃないんでね」
キングズ「天秤ってなんだ?」
キングズ「黙っとけ」
キングズは一人で自問自答を繰り返す。
非常に不気味だ。
キングズ「それより、ほら、お前のいう試練をクリアしてやったぞ」
コノハは小さく笑い。
コノハ「後ろ、なのです」
キングズは後ろを振り向く、一軒家程度のセルリアンがこちらを睨んでる。
キングズ「おい!どんだけ鈍感なんだよ私たち!」
キングズ「とりあえず行くぞ」
セルリアンは大量の触手をこちらに向けた。
キングズはサムライが刀を抜くように構え、目をつぶった。
勢いよく目を開けると、刀を抜き斜め上へ振った。
一撃だ。
セルリアンは真っ二つに切れ、弾け飛ぶ。
ツキノワグマ「アレが……私を助けた姿……?」
サーバル「すっごーい!!」
アライグマ「結構やるのだ……」
コノハ「なかなかなものなのです」
キングズは振り返る
コノハ「やはり、いい戦力なりそうなのです」
キングズは不機嫌そうにしていた。
コノハ「先程の質問に答えてやるのです。この世界がピンチなのです。それを助けに来たのです」
コノハをフレンズたちは見つめる。
キングズ「そんなことはどうでもいいんだよ!」
キングズ「いや、私はどうでもよくなかったな。結構興味深い」
キングズ「どうでもいいって言ったらどうでもいいの!!」
サーバル「ちょっと……変わった子だね……」
キングズ「コノハ!さっきから聞いていれば上から目線で!」
コノハ「……だからなんなのですか?」
キングズ「お前はそれにふさわしい強さなのか?私たちはそう聞いているんだ」
コノハ「……そうそう登場して…野蛮なことばかり考えているのですね。だからどうしろと?」
キングズ「お前に、決闘を申し込む!!」
キングズ「は?」
私とアライグマは驚いた。
アライグマ「や!やめたほうがいいのだ!いくら強さに自信があっても!そういうことはよくないのだ!」
サーバル「そうだよ!喧嘩はよくないよ!」
キングズ「喧嘩を売ったのはお前だろ?」
サーバル「ほらぁ!!博士も口が悪すぎたんだよ!!」
コノハ「知ったことじゃないのです。で?決闘をがなんなのですか?」
キングズ「テメェは日本語も理解できねぇのか?」
コノハは笑う。
静まり返ったその場で
コノハ「いいのです。野蛮なフレンズらしい考えで感動したのです」
サーバル「ええ!!??」
キングズは構える。
キングズ「なら……」
コノハ「しかし!」
キングズはピクリと驚き、視線を鋭く向ける。
コノハ「そっちが融合したのなら、我々もその手を使わせてもらうのです。助手」
ミミ「ええ、わかったのです。博士」
コノハとミミは隣同士に並び、堂々と立つ。
コノハ「本来、我々の能力は一人一つじゃない……」
ミミ「二人一つの力なのです」
二人は杖を前に出し、杖を横に、二本の先をつけた。
コノハは持ち手の尖った方を上、平たい方を下に。
ミミは持ち手の尖った方を下、平たい方を上に
コノハ「神々の力を借りて、我々の想いと」
ミミ「貴様らの罪を天秤にかけよ」
二人の周りを強い風が包む
キングズ「クソ!お前らが余計なことをしたせいで……!」
風はどんどん強くなり、やがて、小石程度なら簡単に吹き飛ぶ強さになっていた。
コノハ&ミミ「我々は天使!小さき天使なり!」
晴天なのに雷が落ちる。
強い衝撃と思うに一人の人が現れた。
キングズ「あ……やっべ……」
エンジェル「我々の名は【プチ・エンジェル】。さぁ、決闘を始めるのです」
サーバル「一人になっちゃった……初めて見た……」
アライグマ「あっちの刀の人も一人になっちゃった人なのだ……サーバル……」
サーバル「え!?そうなの!?」
アライグマ「……博士!助手!やめたほうがいいのだ!話し合いでなんとかするべきなのだ!」
だが、そんな想い届くはずがない。
エンジェル「安心するのです。アライグマ。ゲンコツ一発食らわせるだけなのです」
キングズ「……そんな姿になっても無駄だぞ!」
エンジェル「まぁ、無駄になるといいですね」
二人の目線に火花が散る。
睨み合う二人、それを見ているフレンズたち。
サーバルとアライグマはなんとか状況を読み込んでいるが、それ以外のフレンズたちは何一つわかってない。
ツキノワグマ(私たちを罵倒したことに怒ってくれているのは嬉しい……)
オーロックス(けど……)
へいげん御一行(なにこの状況……)
第32話へ続く……
次回ー〈飛ぶ〉ー
1話>> 693
前回>> 701
「はぁ……」
ヤマバクの足取りは重い。
今更ながらどうして慣れない木登りなんてしたんだろうと……
後悔したところでやってしまった事実は覆らない。
「おはよ!ヤマバクが早起きなんて珍しいね。こんなところでどうしたの?」
「しーくいんさん……実は……」
バレてるのなら隠しても仕方ないとヤマバクは飼育員に一昨日の夜に木登りをして庭の枝を折ってしまったことを白状した。
「えぇ……どうして木登りなんてしたの……」
「なんだか無性に登りたくなったんですよね」
「まぁ、やっちゃったもんは仕方無いし、ちゃっちゃと謝りに行こうか。で、場所は何処なの?」
「あっちの方ですけど……もしかして、しーくいんさんも付いて来てくれるんですか?」
「頑張るフレンズの後押しをするのも飼育員の役目だからね。最後まで見届けてあげるよ」
「それはそれで恥ずかしいです……」
飼育員も合流してヤマバクは木の枝を折ってしまった件の家へと向かう。
家に到着したヤマバクは玄関の呼び鈴を鳴らす前に折ってしまった木の枝を確認しようと、小さな庭の方へと目を向ける。
「あれ?」
ヤマバクは木に違和感を感じて木の方へ近寄る。
「折れて……ない?」
ヤマバクが折った筈の木の枝はまるで何事もなかったかのようにくっついていた。
「折れてないね。ヤマバク、この家で合ってる?」
「はい。ここで間違いありません」
「じゃあ、気のせいだったんじゃない?それか夢か」
「そんな筈は……だって、しーくいんさんも見ましたよね?わたしのベッドの下にある折れた木の枝を……」
「いや、見てないけど?」
「!?」
「そんなもんあったらジャパリ科学館に行く前にこっちに行かせたよ」
飼育員は木の枝なんて無かったと言うが、ヤマバクは覚えていた。
木の枝が折れる音、傾く身体、落ちて打ち付けたお尻の痛み。
それが全て夢だった……?
確かに思い返してみれば、飼育員もヤマバクから話を聞いたときにはまるで初めて知ったかのような反応を示していた。
「とりあえず、何事もなかったんならそれで良いじゃん。帰ろ帰ろ」
飼育員はそう言って何処かへ去ってしまった。
ヤマバクも釈然としない思いを抱えたまま帰路へ着く。
本当に夢?
考え事をしながら住宅街の中を歩き、気が付くとヤマバクの足が自然と止まっていた。
「……?ここ、こんな景色でしたっけ?」
何の変哲もない住宅街の道。
普段から何度も通っている筈の道なのにヤマバクはまるで初めてここを通ったかのような錯覚を覚えた。
もしかしたら、昼と夜で景色が違って見えるだけなのかもしれない。
「あ……なるほど、そう言うことですか!」
ふと、ヤマバクの脳裏にヒラメキが駆け抜ける。
ジャパリパークで変な事や妙な事が起きる時に必ずとある存在が絡んでいる事を思い出したのだ。
「つまり、夢なんかじゃなくてセルリアンの仕業なんですね!」
フレンズの天敵、セルリアン。
ヤマバクは一連の事をセルリアンのせいだと決め付けて調査を始めた。
虫喰いでないフレンズ
20話>> 654
21話>> 664
22話>> 673
23話>> 689
24話>> 702
これまでの虫喰いでないフレンズ
あらゆるものを溶解する針を射出するスタンド・『ラット』を持つドブネズミは、アフリカゾウと共にフレンズが暮らす島の数々のエリアに渡りセルリアンの調査探検の旅をしていた
途中スタンド使いのセルリアンと出くわしつつも、戦いの末撃破してゆく
道中で出会ったイエネコが加わり三人となる
同じく途中加入したガイドロボット・ラッキーが呼んだ探査船なる乗り物で、一行は次なる砂漠エリアへと入っていった
●○●○●○●○●○●○●○●○●○
「おい!おまえ!何者だ!」
「そうじゃなくて!ねえ!君は名前はなんていうの!教えてくれると嬉しいな!」
「まずセルリアンにコミュニケーション求めるのが違うと思うわ!こいつ何言っても聞きそうにないもの!すぐ倒さないと!」
「ああ、だからそうしようとしてる!しかし全く…何なんだあいつは…」
「HUUUUUUUUUUUU…UHHHOOOOO 」
今より時を少し遡り、三人のフレンズと一体のセルリアンの出会いがあった。
三人が探査船でじゃぱりまんランチタイムをとっていたとき、それは平穏を脅かそうとするように現れた。
ドウンという音が天井に響いた時から戦いが始まっていた。
「なッ!なんだぁ!?」
「わっ!?なんなの〜〜〜ッ!?」
「ちょッ!アフリカゾウ、走り回らないで!?てゆーかよくこの狭さで走り回れるわね!?」
「ハッ!上の何かをどうにかしなきゃ!」
「落ち着いたか。ん……なんか砂が降ってきて…」
「なっなんで天井があるのに…!?て、天井を見て!」
「ハッ!この天井は寝てたときの感じと明らかに違う!なにかされてるぞ!」
「こ…怖くなってきた…やっぱり無理ィィィイ」
「落ち着いて!ここでじっとしてれば何事もなくやり過ごせるかも知れないから!」
「くそ…この状態では『ラット』を撃ち込むこともできない…
しかし外に出たら何をしてくるかわからん…
やむをえないッ」
「だから!じっとしてなきゃって言ってるよにもうっ」
「ちゃんと考えはある!わたしにまかせろ!」
「わぁぁぁぁやぁぁぁぁ」
「アフリカゾウは混乱してるし…大丈夫なんだね、ドブネズミ!?」
「ああ!まず外に出る!」
「UHNNHHHH!! 」
「ウッ!?」
「ドッ、ドブネズミ!?」
「ハッ」
ドブネズミが外に出ようとするとその真上の天井が崩れ落ち、迷惑者が姿を現した。
人型ではあるものの胴体は格闘家のイメージに合うように筋骨隆々で、手はボクシンググローブのように肥大化し、足は先に三本の鉤爪が生えている。
頭には黄色い飾り羽が、顔には赤く円い目が左右に3つずつ横に周りながら付いていて、口だけはヒトのものと同じ見た目をしている。
そんな敵が警告音が鳴り響く中、堂々とした立ち姿を見せつけているところで話は冒頭に戻る。
「HUUUUUUUUUUUU…UHHHOOOOO! 」
「こいつ喋れるのか?唸るばかりなようだが?」
「しょうがない…ここでなんとかするよ!パオパオする準備は良いかなっ!パオオオッ」
「おっとこいつと戦う前に言っとかなきゃいけないことがある。
せっかく名前を聞かれたんだから素直に答えるのが礼儀というものだろう」
「またこの声!虫喰いッ!」
「虫喰い…またおまえか?こいつもお前が操ってるのか?」
「質問を!返す前に継ぎ足さないでくれるかなァ?何もこちらに言わせないというのはどーかと思うよォ」
「それは悪かったね。じゃあ最初のだけでいいから答えて。この子はなんて言うの?虫喰い『ちゃん』…」
「ブッ!?な、なんてことを言うんだァ!?だがまあいい、コイツは『ロッキン・ホッピン・ジャンピン』と名付けた。以上だ」
「そう…いやちょっと長くない?短くしたいな〜なんて思ったんだけど」
「なるほど、一理あるな。」
「いちいちそんな長ったらしいのを呼んでられないわね。ロッキーで良い?」
「センスあるな、イエネコ!決定!」
「………」
「そーだね!ロッキー!一緒に頑張ろうね!」(あれ、私なにかすごく大事なことを忘れてるような…ロッキーになにかあるの?)
「お前らなにか忘れてるな。お前たちはそいつに始末されるのだぞ」
「いや、そんなことはわからないよ!ね、ロッキー!」
「そのロッキーは沈黙してるわ…あんたの調子に乗れず、あいつの命令も聞けずに困惑してるんじゃないかしら?」
「あぁ〜〜〜っじゃあ行くぞ!『ラット』ッ!」
「RRRWWWOOOOOO!!……OOOOOOOO!!! 」
ドブネズミ
「なにッ!?」
ドブネズミが『ラット』を出したとき、ロッキーはそれに反応して遥か高く跳び上がった。
暫く音が途切れかけるが再び大音量で咆哮が耳をつんざく。
そして同じ天井の穴から入ってくると床をも貫通し穴を開けると冷たい衝撃が三人を押し流した。
「ぎゃァァァァァッ!?」
「うひゃあぁあい!水が吹き出してくるゥゥゥゥゥ」
「飲料水は床下に貯められていたのかッ!マズいッ」
外へ押し流され砂と水でグショグショの三人はそれぞれ脅威に対処すべく体制を立て直す。
「彼奴はまだ探査船の床下に潜んでるわ!匂いならアフリカゾウの方がはっきりわかってるはずだものね!」
「うん。匂いの元はまだ探査船に残ってる………でも気をつけて。流れる水からの匂いが薄くなってるみたい。もしかしたら既に別のところにいて隠れてるかも…いや、足元?地面の下から何かが掘り進むような音が…」
(この地面を掘り進む音はどこかで聞いたような…なんだっけ?下から出てきて…)
「下か!なら動かないでいた方がいいな!」
「…静かにして」
「あ?」
「アフリカゾウが音を聞いて敵の居場所を探ってくれてるんだから静かにしたほうがいいってことよ」
「わかった………」
それからロッキーこと『ロッキン・ホッピン・ジャンピン』の襲撃に備えてひたすら待つこと30分、砂漠の真昼間の暑さに段々と参ってきた。
水分を攻撃と同時にほぼ敵に台無しにされたことの重大さをそれによりドブネズミは理解したが、頭痛がして立っているのが辛くなってくる。
続いてイエネコが静かに膝を砂に付け、立ち膝の姿勢で踏ん張りながらさらに待とうとする。
アフリカゾウは他の2人に比べて何事もなさそうだが、大粒の汗を垂らして地中の音に耳を澄まし続けることに限界を感じ始めていた。
「おい、これは虫喰いの作戦だ!襲撃がいつ来るかわからない状況で待ち続けさせるのと砂漠という過酷な環境はわたし達を衰弱させるための罠だ!わたしはもう少しで頭がどうにかなりそうだ…水をもっと飲んでいてもきっと相手のやることは何も変わらないだろうな…」
「そんな…どうすればいいのよ…」
「そうだったの…気付けなくてごめんね…」
(いけない…ロッキーのことで頭がいっぱいになってた…)
「いいんだ…わたしがあいつを誘き出す策を練ればいいだけのことが…ハァッ…ハァッ…」
しゃがんでいたドブネズミが遂に倒れ伏し、呼吸が激しくなる。
起き上がろうとするが手脚に力が入らないことから、事の重みを身をもって思い知る。
「ドブネズミちゃん!?大丈夫っ!?」
「ドブネズミ!」
「ドブネズミの体温を下げなきゃいけないね。涼しいところに移さないとまずいよ」
「ラッキー……お…おまえいつから…そこに……」
「とにかく、涼しいところが必要なんだね。じゃあここを掘るよ。ちょっと待っててね」
「掘るって…砂を掘って涼しくなるの?」
「サバクキンモグラちゃんの豆知識だから!フェネックも言ってたし、そうなんだと思うよ!パオオオオオオオ」
(今はとにかくみんなを涼しくしないとね…)
砂が巻き上がり、平坦な砂地が徐々に深く掘り下げられていく。
やがて少しだけ傾いた日からの日陰は作れないがアフリカゾウ一人が隠れるほどの小さな窪地ができた。
「よ〜し、運ぶよ!」
「すまない…一人だけ涼むのは気が進まない…」
「あんたに再起不能になられちゃ困るのよ、こっちが!」
「………」
ブオオオオオオオアアアアアアアア……
「きっ聞こえる!ロッキーの声だよ!」
(砂を吹き出す、嫌な音…あれ…この音は…)
「わ…わたしにも『ラット』を操る力は残っている…
確実に仕留めたい…やつをおびき寄せて機動力を殺いでやれば…可能性はある…」
「落ち着いて!あんたはじっとしてればいいの!」
「なんでだ…あいつを早く倒して早く体力を回復したいだけなのに…」
「あんたには私がついてるのよ!?いいからアフリカゾウに任せときなさい!大丈夫だから!」
「へっ、そうかい。ならそうするとするかァ…」
「ドブネズミちゃんのためにも頑張らないとね!来るよ!なッ…足元にィ!?イエネコちゃん!ドブネズミちゃんと一緒に逃げて!」
「りょーかい!ふんにゅぅうッ」
「うくっ!?おい、もうちょっといい持ち方はないのか!?苦しい!アフリカゾウがしてたみたいに抱えて持ってくれよぉ」
「我慢しなさい!これしかうまくできないのよ!」
「オエエエ…」
「HOOOOOOOOO!! 」
「危ない…もう少しで吹き飛ばされるところだったわ…」
「君の相手は私だよっ!こっちにおいでェッ!」
(そう。私ができなかったことの決着のために、私が相手しなきゃいけないんだ。今の私にはやるべきことがある)
イエネコの足下だったところから『ロッキン・ホッピン・ジャンピン』が飛び出したが、一瞬早く駆け抜けたので無事だった。
しかし依然標的はイエネコとドブネズミであり、走って追いかける。
アフリカゾウは2人の危機に気づくと注意を逸らすため追いかけた。
「速いねっ!ロッキー!これはどうかなっ?」
そう言うとアフリカゾウは踏み切って大きく跳んだ。
数日前ドブネズミにセルリアンの背後に回って見せたときのように軽やかに宙を舞い、『ロッキン・ホッピン・ジャンピン』の前に立ちふさがる。
さらに両手を広げて『通せんぼ』してイエネコからの距離を取ろうとした。
「こっちは来ないほうがいいよ〜!」
「GMMMMM… 」
だが突進をやめない『ロッキン・ホッピン・ジャンピン』は巨大な拳で殴りかかってきた。
「そう来るんだったら……こうだよ!」
アフリカゾウはマフラーを振りかざす。
これにより攻撃を受け止めて追跡を止められるだろうと思われた。
だがそこにドブネズミの叫び声が入り、対処の間違いを認識することになった。
「やめろ、アフリカゾウ!そいつには触られるな!そいつは触れた部分を岩に変えるぞッ!」
「えっ」
「KUUUU 」
「うおおおあああっ」
(ドブネズミちゃん、いつの間にそんなことを…ほんとにすごい観察力……そう、あの子も……)
アフリカゾウはロッキーの攻撃を仰け反って回避した。
しかし完全には避けきれておらず、マフラーの一部が岩石化し重くなって垂れ下がる。
ロッキーは攻撃を避けられたため、自分自分を守るべく地上で臨戦態勢を維持して立ち留まっている。
「そいつは天井の上に現れたとき、天井がまるで岩に変えられたみたいになっていた…
落ちてきたときは砂混じりの岩の破片が散らばってたんだ…
その破片は天井についてたものの形をしてるものがあった…
だからそいつが天井の壁を岩に変えて砕いたんだと思う………
早く言うべきだったな………」
「なるほどね!地面に潜っても素早く動けるみたいだしどうすればいいかわかんないや!」
「だからわたしの『ラット』が決めるのが手っ取り早いんだ………」
「いや、ラットの世話にはならないよ!わたしがやるんだ!」
「アフリカゾウ………おまえ、何言ってるんだ……」
「私にだってできるよ!たくさんセルリアンを倒してきたんだし、ロッキーも大丈夫だよ!」
「そう言ってもだな…攻撃を当てさえすれば『ラット』は確実に相手を溶かすんだ…それに協力してくれればいいんだ…」
「『ラット』はいいから!仕舞ってて!」
「そんな意固地になってもなにも…とにかくあいつはヤバいんだ…確実に仕留められるのはわ」
「ドブネズミちゃん、あのね。確かに私はね、いこじなのかもしれないけどね。でもね、『確実にやる』って言ってるけど、これは私がやらなきゃいけないことなんだ。今やるべきなのは、私、アフリカゾウなんだ。今ドブネズミちゃんにはやることがなにもないって言うわけじゃないんだけど、今やるべきはそれじゃないんだ。それはやらない方がいいんだ。」
「アフリカゾウ………」
「え、どうしたっていうの?アフリカゾウ、あんた何があって急にそんなことを…」
「思い出したんだ。こいつは『マルミミちゃん』の命を奪ったんだって」
「なに…?」
「!!それってつまりは、このロッキーはアフリカゾウが倒したいって言ってた敵なの!?」
「そう、だね。だから私一人でなるべく倒したい」
「アフリカゾウおまえ、そんなことを言ってたのか。命を奪った、か。」
「ドブネズミちゃんは…どうしたいと思う?私のようなことになったら何をする?」
「アフリカゾウ、いいか?奇妙なことだが、わたしは命を誰かに奪われたからこそ、ここにいる。結果論でしかないがな。だが、そのような自分が恨んでるような相手に自分が何を思うかということ一つでやることを決めるとお前は大切にしてるものを自分から失っていくぞ。確かに自分のやるべきことだと思うことを自分で成し遂げるのはすごいことだ。そこは尊敬できる。それでも、だ。一時の衝動だけで動くのが危険なのは無計画だからじゃない。おまえにはフレンズの心がある。わたしと同じように考えて動くことができている。お前だけにとっての深刻な問題なんてないのだから、今回はわたしやイエネコを巻き込んだっていいだろう。だからわたしは、ここにいる三人であいつ、ロッキーを倒す!」
「なんか聞き入っちゃったわ。勝手に巻き込んでくれてるけど、私はドブネズミに賛成よ。みんなでやった方が効率いいしぃ?でも、あんた自身は今大丈夫なの?それを聞いといたほうがいい気がするわ」
「大丈夫、大丈夫だ。あとからいくらでも休んでやる………ゥゥゥ」
「それがだめって言ってるのに……しょうがない、いくよ!」
(付いてくるっていうんだね、どうしても…ドブネズミちゃんが納得できないならしょうがないか…)
「ああ」
「ええ」
︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽
「フム?コイツハ中中面白クナッテ来たジャアナイか
一部始終ヲ見守ルニ価スルカハ既ニ決マッタな
アイツガココニ居ルトは、アフリカゾウガソレニ出会ウトハ、ソシテ、アノ時ノ真実ヲ知ラヌママコノ時ヲ迎エルトは…」
←to be continued //│┃
前回のレスにリンクを追加しました。
レス更新はこっそりできないので投稿とまとめるしかないのが辛い…
1話>> 693
前回>> 708
調査と言ったら聞き込みが基本。
何の知識だったか分からないが、ヤマバクは基本に従って調査を開始する。
と、言うわけでヤマバクはとりあえず目についたフレンズに片っ端から質問をしていく。
「ここら辺で怪しいものを見掛けませんでしたか?」
「変なもの見掛けませんでしたか?」
「怪しい影を見ませんでしたか?」
─────────────
数時間後……
「成果ゼロですか……」
何人ものフレンズに聞き込みを行ったが、ヤマバクは有力な手掛かりを手に入れることが出来なかった。
「平和過ぎですね。良いことなんでしょうけど」
ジャパリパークってもう少しバイオレンスだったような気がするなんて思いながらヤマバクは道を歩く。
辺りは既に夕焼け色に染まっている。
半分面倒臭くなってきたヤマバクは最後にもう一人だけ聞き込みを行って帰ろうと、その辺にいるフレンズに質問をした。
「この辺でセルリアンを見掛けませんでしたか」
「……」
ヤマバクに聞かれたフレンズは困ったような顔をして首を傾げる。
これはダメそうですね……
内心そう思ったときにフレンズはヤマバクに取って衝撃的な事を口にした。
「“セルリアン”……って何?」
「は?」
「何かのキャラクター?」
ヤマバクは一瞬自分の耳がおかしくなったかと思ったが、続けられた言葉を聞いて聞き間違いでないと確信した。
「な、何を……もう、冗談はよしてくださいよ。セルリアンを知らないなんて世間知らずにも程がありますよ」
「え!?そんなに有名なの!?もしかして、流行に乗り遅れた!?」
食い違ってる。
何か致命的な部分でヤマバクと大きく食い違ってる。
いや……食い違っていたのは初めからだったかもしれない。
その致命的なズレに目眩が起こるような感覚を覚えながらも、ヤマバクは目の前のフレンズに対して再度尋ねる。
「セルリアンは……フレンズを食べるんですよ?」
「フレンズを食べる?そんなのこの平和なジャパリパークにいるわけないじゃん」
「……」
言葉を失って立ち尽くすヤマバクを不審に思い、そのフレンズはヤマバクから立ち去って行った。
セルリアンがいない?
ヤマバクはそんな訳がないと首を振る。
セルリアンはフレンズになってから最初に教えられるフレンズ達の天敵だ。
ヤマバクだってフレンズになってからセルリアンに襲われた事は一度や二度ではない。
それはヤマバクだけでなく、ほぼ全てのフレンズが同じと言えるだろう。
ヤマバクが“知ってる”ジャパリパークでセルリアンを知らないフレンズはいない。
ならここは……
「ここは……この場所は……わたしの“知らない”ジャパリパーク……」
気付いた。
気付いてしまった。
気付かなかった方が良かったのに……
「帰らないと……わたしの“知ってる”ジャパリパークに!」
ヤマバクの視線の先にはジャパリパークで一番高いと言われている山がある。
探すのならば高いところから。
ヤマバクは“記憶と違う形をしている”山に向かって駆け出した。
投稿の間隔が開いてしまい申し訳ありません
必ず完結させますので、気長に待っていてください
……お仕事忙ちぃです
1話>> 693
前回>> 711
ヤマバクは夕日に染まる道をただひたすらに駆けて行く。
アスファルトで舗装された綺麗な道。
「この道はこんな綺麗じゃありません!」
本当の道は細かい亀裂が入り、その亀裂から草が生えている。
道の途中にこの先工事中と書かれたバリケードがあったが、ヤマバクはそれを無視して進んでいく。
何故なら、ヤマバクは文字を知らないからだ。
ジャパリ科学館で迷ってしまったのも案内板を読めなかったからである。
それに……
「ジャパリ科学館……そんなものはありませんでした!」
ヤマバクの知ってるジャパリパークにはジャパリ科学館等と言う施設はない。
ジャパリ科学館がある場所には瓦礫の山があるだけだ。
「バス、動いているの初めて見ました!」
ヤマバクはバスに乗ったときに初めて体験する窓の外の流れる景色に夢中になってしまった。
普段から乗っていればそこまで夢中になることはなかった筈だ。
まるで堰を切ったかのように溢れ出る記憶。
それと対照的に周りの景色は白く霞んでいく。
「霧?」
既に周りの景色が完全に分からなくなるくらい霧が濃くなっている。
だが、自分の手足は濃霧の中でもはっきりと見える。
霧特有の肌に纏わり付くひんやりとした感覚もない。
「……」
ここから先には何があるんでしょうか?
本当に“何か”あるのでしょうか?
ふと、そんな考えがヤマバクの頭に過って、思わず足を止めてしまう。
そんな筈はない。
絶対にこの先に何かある筈だと思っても一度止まってしまった足は動かない。
引き返せ
引き返せ
引き返せ
引き返せ
ヤマバクの頭の中で引き返せと言葉が木霊する。
態々危険を犯して帰る必要などないのではないか?
あのジャパリパークならばセルリアンに怯える必要もなく、毎日を楽しく過ごせる。
戻ってしまえば──
『……わ─しは──を助───に───とし──訳じゃ──よ』
「……?」
その時、ヤマバクを惑わす甘言を断ち切るかのように、何処からともなく誰かの声が聞こえ始めた。
遥か遠くから聞こえいるようにも、すぐ耳元で囁かれているようにも聞こえる。
距離感がまるで掴めない。
『“セ──”ちゃん─……!』
「誰かいるんですか?」
ヤマバクが周囲に声を掛けるも声の主の姿は発見することはできなかった。
『───の大切な──だ─らッ!!』
「大切なもの……そうですよ。それでもわたしは帰らなくちゃ行けないんです!あそこが、わたしの縄張りですから!」
誰かの力強い言葉はヤマバクにもう一度歩みを進ませる勇気を与えてくれた。
「!」
ヤマバクが瞬きをした瞬間に目の前に人が現れた。
周囲は霧で真っ白だと言うのに、ヤマバクとその人との間にはまるで霧が無いかのようにはっきりと姿が見える。
「やぁ、ヤマバク。こんな所に来ちゃダメじゃないか。ここから先はまだ“何も”ないんだから」
「……」
ヤマバクは“初めて”出会った時と同じ様にその人に向けて問い掛けた。
「……あなたは誰ですか?」
「……あなたの飼育員だよ」
ヤマバクは彼女の名を知らない。
引きがうまいなぁ、続き楽しみにしております
1話>> 693
前回>> 713
「ここは何なんですか?」
「ここは……ジャパリパークだよ」
「わたしの知っているジャパリパークじゃないです」
警戒心を露にしているヤマバクの様子に飼育員は困ったように指で頬を掻いた。
「そっか……ヤマバクは全部思い出しちゃったんだね」
「わたしはあの日の夜、地面から溢れ出る黒い何かから逃げるために木に登り、落ちて黒い何かに飲み込まれました。そして、気が付いたらこのジャパリパークに居たんです。嘘の記憶に塗り潰されて」
飼育員は観念したかのようにこのジャパリパークの真実を語り始めた。
「ここはもう一つのジャパリパーク。誰かが思い、誰かが願った“もしも”を再現した場所。この夢は現実を飲み込んでいく。そして、何時の日か夢と現実はひっくり返って、このジャパリパークが本物になる。ここは誰もが幸せになれるジャパリパークなんだよ」
「でも、ここは夢の中。夢の中には何もありません。幸せとか楽しいとか、そんなものよりも大切なものが現実にあるんです!ここは“幸せなだけの悪夢”!わたしはここから出ます!」
ヤマバクは決意を胸に歩みを進めて飼育員の脇を通る。
すんなりと通れてしまった。
「どうして……」
「止めないのかって?」
ヤマバクは飼育員に背を向けたまま疑問を口にすると飼育員はヤマバクの言葉の続きを言う。
飼育員は少しだけ顔を下に向けヤマバクに背を向けたまま言葉を紡いだ。
「フレンズのやりたいことを後押しするのが飼育員だから。だから、ボクはヤマバクを止めない」
「しーくいんさん……」
「ヤマバクはボクの言うこと全然聞かないし、勝手に行動して迷子になる問題児だった。だったけど……」
飼育員の頬を伝って、透明な雫がしたたり落ちる。
震える声を絞り出すように飼育員は思いの丈を口にする。
「本当に少しの間だったけど、ヤマバクと過ごした時間はとっても楽しかったよ……」
「……っ!」
「振り向いちゃダメだ!!」
思わず飼育員の方を振り返ろうとしたヤマバクを飼育員が止める。
「振り向いてしまったら戻れなくなるよ。振り向かないで真っ直ぐ進むんだ。真っ直ぐに」
「ぅぅ……わ、わかりました!」
ヤマバクは飼育員に言われた通りただ前を向いて走り続けた。
悲しみを断ち切るように、ただひたすら真っ直ぐに……
「もしも……もしも、もう一度ヤマバクと会えるのなら今度は飼育員じゃなくて、友達として……現実で……」
一人、白い空間に残された飼育員はヤマバクとの別れを惜しむように一人呟いた。
「ああ、そっか……思い出したよ。ボクは──本当ノボクハ──」
飼育員の役割を与えられた存在は思い出した。
かつて現実世界で何を願い、この世界で過ごしたのかを……
現実世界に戻れたのなら
喋ることは叶わなくても
ヤマバクの側に居たい
1話>> 693
前回>> 715
ヤマバクが歩みを進めるに連れて、周囲の景色が変わっていく。
純白から漆黒へ。
そして、漆黒の世界の果てで不自然に白い色がぽつんと存在していた。
「なにゆえ……」
白い存在はヤマバクに背を向けたまま虚空へと話し掛ける。
「何故、拒むのですか……」
「オイナリサマ……?」
それはジャパリ科学館で出会ったオイナリサマだった。
ヤマバクがオイナリサマに声を掛けるとオイナリサマはゆっくりとこちらを振り返りながらヤマバクに話し掛ける。
「あなたも拒むのですか?」
その時、ヤマバクは悟った。
先程、飼育員が言っていた誰かと言うのは目の前のオイナリサマの事だと……
「わたしは帰ります!ここはわたしの居場所じゃあないです!」
「……」
うつむき加減のオイナリサマから表情を伺い知る事は出来ない。
「オイナリサマもこんな場所に居ちゃダメです。こんな、偽物のジャパリパークに……っ!」
その時、オイナリサマからただならぬ雰囲気が発せられて、ヤマバクは思わず言葉を詰まらせる。
「この世界は偽り……泡沫の夢に過ぎない……それの何が悪いのですか?」
「ゆ、夢は夢ですよ?起きたら全部無くなっちゃうんですよ?」
「何も無いのは現実も同じこと……なれば、私は終らぬ夢を紡ぎ続けます。目覚めぬ夢を……永遠に……」
ヤマバクのケモノとしての本能が警鐘を鳴らす。
目の前の存在にはどうあがいても勝てない。
生物としての格が違う。
だが、だとしても!
「現実に何もないなんて事はありません!!オイナリサマの目はただの模様ですか!!これ以上変なこと言うなら噛み付きますよ!!」
「あの頃を知らないあなたが何を知ってると言うのですか!!!」
オイナリサマの手が光り、ヤマバクの喉元に向けて鋭い爪を突き付ける。
「何を……知ってると言うのですか……」
例え、ヤマバクがこの夢を壊す原因になると分かっていても、オイナリサマはヤマバクを傷付ける事は出来なかった。
守護けものとしての誇りがオイナリサマを踏み止せたのだ。
オイナリサマは涙を流しながらヤマバクの前に崩れ落ちる。
「守れなかった……あの人が……園長が愛したジャパリパークを……もう、何も……何もないのです……だから、私は……」
「例の異変のことですね」
ヤマバクは例の異変について詳しいことは知らない。
知ってることと言えば、異変前のジャパリパークは栄えていた事と恐ろしいセルリアンが暴れまわったと言う話だけ。
それでも、夢の中のジャパリパークの様子とオイナリサマの話から例の異変の事であると察する事が出来た。
ヤマバクは泣き崩れるオイナリサマの前に座り、視線の高さを合わせる。
「オイナリサマは現実を知るべきです」
1話>> 693
前回>> 716
ヤマバクはオイナリサマの両頬に手を当ててぐいっと持ち上げた。
「今、目の前に何がいますか?」
質問の意図が分からない。
「ヤマバク……?」
「そうです。わたしがいます。これがどう言うことか分かりますか?」
「?」
「守り抜いたんですよ!オイナリサマはジャパリパークを守り抜きました!じゃないと、わたしはここにいません!勝手に最悪を想像して、勝手に泣いて、勝手に変な夢に引き籠って!オイナリサマは勝手過ぎます!」
ヤマバクはオイナリサマの脇に腕を入れて、持ち上げるようにして無理矢理オイナリサマを立たせる。
「わたしと一緒にジャパリパークを廻るんです!そして、知ってください!ジャパリパークは今もたくさんのフレンズ達が暮らしているんです!何もないなんてことはないんです!」
「守り……抜いた……?」
「あ、でも、昔の方が凄かった部分はありますけど……ううん、今からでも遅くはありません。昔よりもっと凄いジャパリパークにするんですよ!みんなの協力があればきっと出来ます!だから、一緒に行きましょう!」
ヤマバクの言葉にオイナリサマは涙を流したまま微笑み、自分の頬に添えられたヤマバクの手を取った。
「ああ……私のしてきた事は無駄にはならなかったのですね。教えてくれてありがとうございます。あなたのおかげで本当にやるべき事に気が付きました。だからこそ……」
オイナリサマはヤマバクの手を放し……
「あなた共には行けません」
「!?」
オイナリサマがヤマバクの肩を押すとヤマバクの意思や行動と関係なく滑るように離れていく。
「オイナリサマ!?どうして!?」
ヤマバクは必死に駆け寄ろうとするが、その距離は縮むどころかどんどん広がっていく。
「これは罪なのです。ありもしない幻にすがってしまった罪。私は罪と向き合わねばなりません」
「なっ!?」
涙を拭ったオイナリサマは意思の籠った力強い目のままヤマバクから背を向ける。
いや、オイナリサマは背後にいた存在と向き合った。
それはきっとヤマバクがここに来たときから……
それ以前よりもずっと前からそこに存在していたのかもしれない。
「オイナリサマ!必ず迎えに行きます!どんなに大変でも!必ずです!だから……だから!!」
ヤマバクはオイナリサマに向かって叫ぶ。
「セルリアンなんかに負けないで────」
オイナリサマはヤマバクが無事この世界から旅立った事を確認し、目の前の存在に向き直る。
先程までは漆黒の空間に数多のセルリアンの目が現れる。
今まで対峙してきたどんなセルリアンよりも強大なセルリアン。
この世界そのものとも言うべき存在になりつつあるそれに向かってオイナリサマは立ち向かう。
「もう私は引き返せないところまで来てしまいました。だからこそ、守護けものとして!!この身をもって封じます!!」
──────────────────
あれから幾日経過しただろうか。
オイナリサマを助ける目処が立たないまま、何故かずっと一緒にいるラッキービーストと共にオイナリサマがいるであろう場所を見詰めていた。
だが、それも今日で終わる。
「お願いします!!私と一緒にオイナリサマを助けに行ってください!!」
フレンズの力を引き出す不思議な御守りを携えたヒトと言うケモノが幾人かのフレンズと共にこの地を訪れた。
頭を下げるヤマバクにそのヒトは力強く言う。
「……その為に来た」
─────────────────
漂流フレンズ日記外伝
Outside The Diary ~Saved Japari Park~
完結
OTD~Saved Japari Park~はこれにて完結になります。
世界観が繋がっている「漂流フレンズ日記」と言う小説をカクヨムにて掲載しておりますので、興味がありましたら覗いてみてください。
カクヨムには他にも素敵なけもフレ小説がたくさんありますよ!
興味深く読ませて頂きました、お疲れ様でした!
漂流フレンズ日記の方はかなりの大作ですね、今度ゆっくり拝見したいと思います
虫喰いでないフレンズ
お久しぶりです。
挨拶もできていないですが見かけたらこの話だけでも読んでいって頂ければ嬉しいです。
21話>> 654
22話>> 664
23話>> 673
24話>> 702
25話>> 709
前回のあらすじ
昼の砂漠の真っ只中で、敵セルリアンのロッキーこと『ロッキン・ホッピン・ジャンピン』が三人が乗る探査船を襲い破壊した。
アフリカゾウはその敵が友を手にかけた仇だと言う。
初めは、激しく消耗しているドブネズミを敵から隔離するかもしくは三人で連携をとって戦うかで意見が割れていた。
だが後者を薦めるドブネズミの説得が決まり、前者の主張をしていたアフリカゾウが折れたことで三人でまとまり反撃を開始した。
○●○●○●○●○●○●○●○●○●
ドブネズミ「さて…どうしたものか…独りで戦わせるわけにはいかないとしたはいいが、状況は何も動いていない…アフリカゾウ!とりあえず、あいつをわたしから引き離してくれ!倒さなくてもいい!」
アフリカゾウ「おーけー!」
イエネコ「えぇっ、はあッ!?アフリカゾウ独りにしないんじゃあなかったの?」
アフリカゾウ「正確には『あなたたちが私から離れる』から大丈夫!」
イエネコ「ちょッ!?待って!?まさか!」
ドブネズミ「ああ。投げ飛ばしてもらう。二人まとめてな」
イエネコ「おおおお、おかしいわっ!いつの間にそんなこと言ってたのよォ〜〜〜ッ」
ドブネズミ「すまない、イエネコ。こうしないとわたしはおろかお前もまともに戦えるアフリカゾウが万全を期すことができない」
アフリカゾウ「発射カウントかいし〜
さ〜ん、に〜、い〜ち」
イエネコ「ぎにゃあああああああああ」
ドブネズミ「本当にすまない、これが作戦なんだ…」
アフリカゾウ「ぱおおおおおおおおおおおおッ!!」
アフリカゾウはドブネズミを抱えていたイエネコを腕とマフラーで器用に掴み、まるごと遥か彼方へ投げ飛ば…さなかった。
十数メートル離れた、アフリカゾウが掘っていた穴の中央へすっぽりと収まるように着地した。
しかも、イエネコは体操選手のように美しく着地しスルリとドブネズミを下ろす。
拍子抜けしたのか緊張が一気に解けて脱力したイエネコはその場に寝転んだ。
ドブネズミ「おい、大丈夫か?すまん、ここに戻るにはこれが最短ルートだったんだ」
イエネコ「やり方ってもんがあるでしょ…第一なんのための作戦なのよ…」
アフリカゾウ「ピッタリ入ったみたいだね。イエネコちゃん、いきなり投げてごめんね」
イエネコ「ええまあ、無事だったからいいわ…」
ドブネズミ「ところでアフリカゾウ、ロッキーはどこに行った?」
アフリカゾウ「まだじっとこっちを見てる〜」
イエネコ「そーいえば話し始めてからずっと何もせず見てきてるのねロッキーは」
ドブネズミ「何を考えているのだ…ヤツの目的は何だ…急にわからなくなってきたぞ…」
イエネコ「私なら無事だから上に出て加勢するわ!ぱっかーんするなら面と向かってやるって相場が決まってるんだから!」
ドブネズミ「まっ、おい!直接アイツに触られるのがマズいというのを忘れたのか!?アフリカゾウ、イエネコがその気だからフォローしてくれ!」
ロッキー「GYYYYYY!
ギイイイイイイ!」
アフリカゾウ「ロッキーが動き出したよ!って、そっちに行ってる!?イエネコちゃん、気をつけて!」
イエネコ「ふん、私が今まで何体のセルリアンを狩ってきたか忘れたっていうの?ドブネズミは知らないわよね。そこから弾ける音だけでも聴いてなさい!」
ドブネズミ「何だって?」
イエネコ「ぱっかーんっと」
ロッキー「GYYYYYY!?
ギイイイイイイ!?」
イエネコが穴から飛び出てロッキーを迎え撃つ。
そしておもむろに爪を振り下ろすと、巨大な拳の左側に当たり弾けて虹色の輝きを散らせた。
左の拳を失ったロッキーはバランスを崩して倒れ伏す。
アフリカゾウ「さっすがぁ!」
イエネコ「ふん、セルリアンなんて大体弱点は決まってるわ。コイツの場合は両手が別々らしいと見たから片手を狙ってみたら、見事的中したわね。」
ドブネズミ「くっ…すまん。イエネコ、お前を過小評価してたみたいだ。セルリアンに詳しいんだな。どこでそんな事をおぼえたか聞いてもいいか?」
イエネコ「そりゃあ、『マイ』ってやつのところよ。『あれ』はセルリアンについて情報集めまくってるんだから、その仕事場に住み着くほど居たら覚えるわよ」
ドブネズミ「そうか…ん?マイの仕事場に居た?それはつまりどういうことなんだ?疑問ばかりですまない。」
イエネコ「しょーがないわね。特別に教えたげる。私は元々マイん家のネコなのよ」アフリカゾウ「イエネコちゃん!ロッキーがさっきのところに居ない!下からくるよ!」
ドブネズミ「ぇえ?なに、なんだって?」
イエネコは確かに質問に答えたが、敵襲を知らせるアフリカゾウの声に丁度重なり、内容がわからなくなってしまった。
聞き逃したが状況が状況であったためこれ以上は後回しにせざるを得なかった。
イエネコ「ったく、空気を読むのか読まないのかはっきりしてほしいわね!読まないのは困るけど!今はロッキーがどこから来そうか分かる?アフリカゾウ?」
アフリカゾウ「あ…ドブネズミちゃんのところに来るッ!」
ドブネズミ「なるほど、会話を聞いていたのか…『ラット』」
ドブネズミも音でなんとなくわかるようになってきたので、考えていた奇襲への対処法を実践した。
それはスタンドを出すと同時にその上へ跳び上がり、下へ砲口を向けるというものだった。
こうすることで本体をこれから飛び出てくる地中の敵に晒さず、しかも一方的に攻撃できるという算段である。
ドブネズミ「この完璧な攻撃でお前を倒してやるッ!『ラット』の一斉射撃を喰らえェェ」
ロッキー「HUSHAAAAAAA!!」
ふしゃあああああああ!!
結果として、予測していた通りロッキーは出てきた。
しかし、その後は意表を突かれることとなった。
イエネコが破壊したはずのロッキーの左の拳は、のように挟んで持つことができる形状に変化していた。
残りの右の拳で全弾を弾き、『ラット』の砲身を掴んで地面に叩きつけた。
本体であるドブネズミも一緒に地面に打ち付けられ、何が起こったか理解できないまま引きずられてゆく。
ドブネズミ「ぎゃ!?なんだとぉぉぉぉぉぉ」
イエネコ「え!?一瞬でドブネズミが負けた!?」
アフリカゾウ「そんなことが出来たの!?って、ドブネズミちゃんはどこにも連れて行かせないよっ!」
イエネコとアフリカゾウは走って逃走するロッキーを追いかける。
ドブネズミも何もしないわけはなく、離させるために攻撃を繰り出した。
ドブネズミ「つ、掴まれているということは最も接近している状態を苦労せず保てるということ…そのまま腕ごと溶けろォォォォ」
ロッキー「!!」
ドブネズミ「ぐぇ!う…嘘だろ…全力で撃ち込んだのに一発も喰らわず躱しきった…ラットを軸にして身体を捻って飛び跳ねて…」
イエネコ「アフリカゾウ!ドブネズミは足掻いているけど、きっと長くはもたない!ドブネズミは弱ってるから全力でもそんなに『ラット』の針弾は速くなかったんだわ!」
アフリカゾウ「なんてこと…ドブネズミちゃんが…」
イエネコ「それと、さっきから気になってたんだけど!アフリカゾウはなんでそんなに速いの!?砂の上って走りにくいわ!だんだんあいつから離れてくのよ!」
アフリカゾウ「え、え?そーかな?じゃあ私があなたを投げるからぶつかる直前に攻撃して!」
イエネコ「まぁ〜た、よくそんな発想が浮かぶわね!この際は、もうそれでいいわ」
すぐさま、アフリカゾウはイエネコの前に回り込み、しゃがんで腰を両手で挟んで、立ち上がりながら持ち上げた。
直立の姿勢のまま足が浮き、それをマフラーで支えるようにして…
アフリカゾウ「このマフラーで足を支えるから、投げたとき脚を伸ばしてイッキに飛んで!」
イエネコ「くっ…くすぐったいけど、これでいい?足の位置は」
アフリカゾウ「うん!いっくよ〜ッ」
イエネコ「いやまってまってまってまって」
アフリカゾウ「せぇーのぉー」
イエネコ「ニギャァァァァ」アフリカゾウ「まつ!」イエネコ「ァァァ?」
ドブネズミ「早くしろおおおおお」
アフリカゾウ「ごめえええええええん」
イエネコ「ぎにゃあああああああッ」
放り投げられた勢いそのままに、爪を立てて両手の指をロッキーへ向けながら飛ぶ。
ロッキーはそれを察知し、丁度手に持っている『武器』を背後へ振り衝突に備えた。
ドブネズミ
(わたしはお前【ロッキー】の武器じゃあなィィィィ)
ドブネズミはイエネコから攻撃されることを覚悟したが、予想を裏切る結果を目撃することになった。
イエネコがドブネズミをかわしてロッキーの首元に指を刺し込んでいる姿だった。
これまでに多様な叫び声を上げてきたロッキーから、恐怖している者が発するであろうという金切り声が上がる。
投げられた勢いはロッキーを吹っ飛ばすことに費やし尽くされたのか、イエネコは一瞬その場に置かれたかのように浮遊し軽やかな着地を披露した。
そしてドブネズミへ手を差し伸べ言葉を掛ける。
イエネコ「まだ浅いわ。トドメはアフリカゾウが刺すから離れてなさい」
ドブネズミ
「…おお…」
イエネコ
「アフリカゾウ、早く!取り逃がしたくないのは私も同じだから!」
アフリカゾウ
「わかってる…!」
ロッキー
「きぃえああああああ…」
虫喰い
「待て!」
アフリカゾウ
「ッ!」
ドブネズミ
「お前!何しやがる!アフリカゾウ、虫喰いの声は初めからしてただろ!早く仕留めろ!」
イエネコ
「できる?アフリカゾウ!!」
虫喰い
「俺の話を聴け!コイツはもう役割を終えた!好きにしていい!だが、完全に始末されたらここから俺とお前たちの会話ができない!」
ドブネズミ
「では聞く!そこまでしてわたし達に話したいことは何だ!長くなるようなら即刻切るぞ!」
虫喰い
「お前たちは知らない!俺がこうしてお前たちに関わっている理由を!それを詳しく伝えたい!俺のところに来い!」
ドブネズミ
「!?」
アフリカゾウ
「なん…だって…?」
イエネコ
「ねえ、なんのことを言ってるの?あんたは信用ないのよ?私にした仕打ちは忘れてないわよ!」
虫喰い
「ん、そこのイエネコは知らないか?だがこれ以上は俺が言う必要はない!切っていい!」
ドブネズミ
「そうか。アフリカゾウ!」
アフリカゾウ
「うん。…ふんッ」
イエネコ
「あ、ちょっ」
拳を振り下ろし、ロッキーの胴体の中心部が貫かれた。
舞い上がるサンドスターの中でアフリカゾウはなき友を思う。
しかし涙も嗚咽もなく、静かに座り込むだけであった。
ドブネズミ
「まあ、お前の仇討ちを手伝えてよかったよ。相変わらずアイツのことをあんまり詳しく記録できなかったが、目的はあったんだし、わたしは有意義だと思う…ん?」
ドブネズミが立ち上がりアフリカゾウの肩に手を置こうと近寄る。
すると周囲の地面が濃い色に変わっていた。
気づいたときには既にその領域に足を踏み入れていたのだが、足を捕られるほど埋まるとは思いもしなかった。
ドブネズミ
「なに!?敵か!?」
アフリカゾウ
「え…?」
イエネコ
「アフリカゾウ!あんたを中心にして水が出ている!」
ドブネズミ
「足が抜けないどころか、動かすほど沈む!敵はもう一体いるのか!?さっきわたしたちを呼んだ虫喰いの罠とは思えないが」
アフリカゾウ
「これ、ひょっとして…」
イエネコ
「雨が降ったっていうの?こんな晴れてるのにッ!?」
ドブネズミ
「いや…雨を振らせたのはアフリカゾウだ」
アフリカゾウ
「私…」
←to be continued…
ののののののののののののののののののののののの
ロッキン・ホッピン・ジャンピン
破壊力:Aスピード:A射程距離:E
持続力:C精密動作性:C成長性:C
拳で触れたものを岩に変える。
変えられた岩の物理的性質は自由。
前回探査船の天井を脆い岩に変えて殴り、破壊している。
拳は肥大化しており、破壊されても割れて内部の手が現れるためダメージのフィードバックはない。
セルリアン化したことで本体に縛られず自由に飛びまわることが可能になった。
元の本体は格闘を好む不良青年。---]
けものフレンズ+0公開しました、一話の長さが非常に短いため読みやすくなっております。
本作品の時代設定はアプリ版と一期の間となっており、ジャパリパークが試験的に開園されお客さんが続々と訪れその中の一家族の旅行記となっております。
第一話 ジャパリパーク開園!
第二話 到着
第三話 草木萌えるジャングル10/3更新
新連載情報
【月の瞳を持つけもの】
間もなく始動!
やったぜ
【月の瞳を持つけもの】
[アバン]
'19 10月15日 ~としょかん~
タイリク
「お邪魔するよ」
博士
「お、今月もそんな時期ですか。 我々は最新作を待っていたのです」
助手
「あとで製本しておくのです。 我々は おかわりを待っていたのです」
タイリク
「頼んだよ。 ・・・ん? あとで?」
ヒグマ「なにぃ!? 取り逃しただと?」
タイリク
「・・・と。 今日はずいぶん賑やかだな」
博士
「また出たそうなのです」
助手
「そうなのです。 『月の瞳を持つけもの』が・・・」
~1話 月の瞳を持つけもの~
博士
「今、パークの夜を賑わしている謎の生命体。
それが『月の瞳を持つけもの』なのです」
タイリク
「・・・」 (¬_¬)
助手
「・・・どうしました? あまり興味がなさそうですね。
『いいネタ頂き』とか言って飛び付きそうなものですが」
タイリク
「いや、そんなことはないよ。
続けてくれたまえ」
博士
「最初に現れたのは半年前ぐらいでしょうか?
夜道を歩いていたドールがセルリアンに襲われ、今にも食べられそうになったところ、
謎の存在に助けられたのです」
助手
「その者は名乗ることもなく、忽然と姿を消しました。
証言によると、姿をはっきり確認できなかったものの、目が月光のように輝いていたそうです」
博士
「それからというもの、イエイヌやアードウルフなどが同じようにセルリアンに襲われ、
そのたびに、月光のような目を持つ何者かに助けられる、という事件が続きました」
助手
「フレンズたちは、いつしか その者を『月の瞳を持つけもの』と呼称し、
噂するようになったのです」
タイリク
「なかなか風流な名前を付けたものだね」
博士
「長としては、そうも言ってられません。
ある者は興味本位で正体を探ろうとし、
一方でハンターたちは捕獲しようとしています」
タイリク
「何故だい? 放っておけばいいじゃないか」
助手
「正体が分からないというのは不気味です。
今はセルリアンからフレンズを守ってくれているようですが、
いつフレンズを襲い出すか分かったものではありませんからね。
こちら側も、各々が勝手に動いてもらっては混乱の元なので、長の権限で緊急招集を掛けたのです」
博士
「丁度いいのです。
タイリクも会合に参加するのです」
助手
「そうですね。 推理作家としての見解を聞かせるのです」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
リカオン
「すいません。 でもオーダーきついっすよ。
セルリアンに襲われながら正体不明のフレンズ?を捕まえろ、だなんて」
ヒグマ
「#コブシメに出来ることが、なぜお前に出来ない!?」
リカオン
「そんなムチャクチャな…」
キンシコウ
「まあまあヒグマs…」
ヒグマ
「だいたいセルリアンを倒すどころか助けられるなんて、
お前、それでもセルリアンハンターか!?」
リカオン
「ひ… ヒドいっすよ」
キンシコウ
「そうですよ、言い過ぎですよ? ヒグマさん」
#リカオン うる…
ヒグマ
「む… 悪かった。 つい興奮して心にもないことを言ってしまった」
リカオン
「いいんです。
ヒグマさんは僕をクビにして、代わりに『月の瞳を持つけもの』をハンターにスカウトするつもりなんっす。
僕なんてもう・・・」
ヒグマ
「確かにヤツは強いらしい。
ヤツが本当に私たちフレンズの味方なんだとしたら、心強いだろう。
だが、お前は大事な仲間だ。
お前がヤメたいと言わない限り、私からヤメろとは決して言わない」
リカオン
「ヒグマさん・・・」
キンシコウ
「ふふ…」
ヒグマ
「おい、キンシコウ。 ニヨニヨしてないでお前からも何とか言え!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
博士
「痴話ゲンカは終わりましたか?」
助手
「会合を始めますよ」
ヒグマ
「だ、誰が痴話ゲンカだ!」
キンシコウ
「熱くなりすぎですよ」 クスクス
タイリク
「・・・ん? どこに行ったかと思ったら、アミメくんもココにいたのか・・・」
アミメ
「ええ! パークを騒がす犯人は名探偵である私が、必ず捕まえます。
ヒゲじいの名に懸けて!」
サーバル
「真実はいつももうひとつ! だね」
かばん
「それはいろいろマズいんじゃ…」
カシミアヤギ
「ところで わたくしは何故、お呼ばれしたのです?
場違いじゃありませんこと?」
一同
「・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
博士
「では『月の瞳を持つけもの』対策会議を始めるのです」
助手
「では目撃情報をまとめるのです」
・強かった
・カッコよかった
・そこに痺れる憧れるぅ!
・逆光でよく分からなかった
・あっという間だったので、何が何だか・・・
博士
「・・・ ポンコツだらけなのです」
助手
「ただ1つ共通しているのは、『月光のように金色に光る目』ですか…」
ヒグマ
「おい、リカオン。 お前はハンターとして、何か有力情報を掴んでるよな? な!?」
キンシコウ
「そんなに威圧しなくても…」
リカオン
「うぅ…
💡 そうだ!
確かに目が金色に光っていました。 それも1つだけ!」
~to be continued~
【すぺしゃるさんくす】
@3dada64aea マフティさん
続きが気になりますね👍
片目だけが金色に光る・・・い、一体何者なんだー!?(棒)
けもがたりで得た知識が活用されてて草
だ、だれだろー? (棒)
リアルタイムなネタを取り込むのがモットーなので… ( ̄▽ ̄)>
カシミアヤギちゃんに出番が!
目撃情報がだいぶざっくりしているけど大丈夫かな
更新ガンバッテみんみ
カシミアちゃんには、これからもガンバッテもらいます。
フレンズは、けものですもの大目に見ててね。
ありがとうございます。
>> 735
ご期待に沿えるよう頑張ります!
#前の話
【月の瞳を持つけもの】
~2話 タイリク隊~
10月15日 ―としょかんー
博士
「何ですって?」
助手
「それは確かなのですか?」
リカオンは何度も頷く。 (゚д゚)(。。) (゚д゚)(。。)
キンシコウ
「月の瞳を持つけものが『1ツ目』というのは、かなり有力な新情報ですよね」
ヒグマ
「でかしたぞ、リカオン!」
リカオン ε-(´∀`*)
アミメ
「分かりました!」
一同
(あぁ、また始まったよ…)
「犯人はカシミアヤギね!」
カシミア
「えぇっ!?
違います、違いますよ!」
アミメ
「けもねおで早く顔を覚えてもらうための売名行為だったのです!」
カシミア
「言いがかりはヤメてください! けもねおに居づらくなるじゃないですか」
タイリク
「動機はさておき、カシミアくんは1ツ目ではないよ」
カシミア
「動機も否定してくださいよ!」
アミメ刳 り抜けばいいのです。
「目は
どうせ万能サンドスターですぐに修復されます」
カシミア ( ゚д)⌒ ゚
「発想が怖すぎるよ!」
アミメ
「アルパカさんみたいに髪で隠すのも可能!
いっそブラックバックみたいに眼帯でも!」
かばん
「あれ? 最後は意外とマトモな意見…」
タイリク
「・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
かばん
「では、まず現場検証に行こうと思います」
ヒグマ
「それなら我々ハンターがすでに・・・」
キンシコウ
「それに半年も前の現場に何か残っているとは思えませんが・・・」
リカオン
「・・・」
かばん
「いいですか、捜査の基本は現場百遍と言ってですね、
事件の起こった現場に何度も足を運んで手掛かりを・・・」
サーバル
「かばんちゃん、どうしたの?
ずいぶん積極的だね」
かばん
「そ、そうかな・・・?
ほらフレンズの皆さんも不安だろうし、早く解決するに越したことはないと言うか・・・」
サーバル
「それもそうだね。 じゃあ行こうか」
博士
「我々も行くのです」
かばん
「いえ、僕たちが行ってきますから、博士たちは製h…」
助手
「事件の早期解決は長の務めなのです」
かばん
「そうですか…」
アミメ
「先生も行きましょう。
どうせ締め切り終わってすぐの2週間くらいは、ダラダラしてるだけなんですから」
タイリク
「アミメくん、キミねぇ…」
かばん
「そうだったんですか?」
アミメ
「その後は、徐々にペースを上げていって・・・
いつも締め切り3日前くらいからが修羅場なんです」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヒグマ
「すまない。
私たちも協力したいが、これからパトロールが・・・」
かばん
「そちらも大事なお仕事ですもんね。
分かりました。 こちらは任せて下さい」
キンシコウ
「すいません。 お願いしますね」
リカオン
「あ、僕はちょっと用事があるんで。
必ず後で追い付くんで先に行っててください」
ヒグマ
「ん? そうか。 早くしろよ」
リカオン …走
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―ききこみー
かばん一行が としょかんを出ると・・・
サーバル
「あれ? ドール! ・・・と」
リカオン
「そういうことですから。 くれぐれも頼みましたよ」 …走
かばん
「フレンズさんが沢山いますね」
ドール
「え? サーバル?
それにかばんさんも」
アミメ
「被害者が勢揃いしてるじゃない。
怪しいわね」
かばん
「え? そうなんですか?」
サーバル
「#って、ちょっと! かぶってる、かぶってる。
私が画面に映らないじゃない」
ドール
「あ、ごめんごめん」
かばん
「ちょうどいいから先に聞き込みをしましょうか。
ちょっとお話を聞かせてもらっていいですか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
かばん
「ドールさんが『月の瞳を持つけもの』を目撃したのは・・・」
ドール
「えぇ。 確か半年くらい前のことね」
かばん
「出来れば具体的な日時を…」
ドール
「えぇ…? 日付までは覚えてないなぁ。 5月の中ごろ、だったかなぁ。
あとは満月の光を反射した目がカッコよかったことくらいしか・・・」
かばん
「目の数は?」
ドール
「目の数!? 意識してなかったけど・・・
普通は2つじゃないの?」
かばん
「ありがとうございました」
ドール
「ずいぶん本格的な捜査なんだね。
日付まで聞かれるとは思わなかったよ」
かばん
「何がヒントになるか分かりませんから。
では次の方」
#ニューギニアハイランドワイルドドッグ
「強かった…」
かばん
「あの、もう少し詳しく・・・」
ニューギニアハイランドワイルドドッグ
「6月の満月の晩だったけど、それ以外は ちゃんと覚えてない」
かばん
「そうですか・・・
いえ、ありがとうございました」
ドール
「あー! ちょっとあなたたち!」
#イタリア&ニホンオオカミ
「あ~ お姉さま~」
タイリク
「ちょっとキミたち…?」
ドール
「気安くお姉さまに触れるなんて規約違反よ!
っていうか羨ましい!」
かばん
「あ… あの
当時の状況を教えてもらってもいいですか?」
イタリア
「あれは忘れもしない、7/17のことだったわ。 (うっとり)
あの耳、あの目、あの尻尾、あの爪!
どこを取ってもパーフェクト!」
ニホン
「そこに痺れる憧れるぅ!」
かばん
「え? ーということは『月の瞳を持つけもの』ってフレンズさんなんですか?」
イタリア
「え? そ、そう・・・ね。 そういうことになるのかしら」
かばん
「情報提供、ありがとうございました」
#アードウルフ
「あっという間だったので、何が何だか・・・
日付は8/15だったと思います」
#イエイヌ
「ともえちゃんと『中秋の名月』を一緒に観た次の日、だったはずなので9/14ですね。
正体については・・・逆光でよく分からなかった…です」
かばん
「皆さん、ありがとうございました」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―タイリク隊―
ドール
「なんかガッツリ&ガチな聞き取りだったね」
アードウルフ
「このままだとリカオンさんが言ってたみたいに『あの人』に迷惑が掛かっちゃうかも…」
ニューギニアハイランドワイルドドッグ
「・・・」
イタリア
「それだけは何としても避けないといけないわ!」
イエイヌ
「どうしましょう」
ともえ
「分かった。 あたしに任せて」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「やっぱり犯人はカシミアヤギね!」
一同
(天丼様式美…)
カシミア
「えぇっ!?
違います、違いますよ!」
アミメ
「けもねおで早く顔を覚えてもらうための炎上商法だったのです!」
カシミア
「言いがかりはヤメてください! けもねおに居づらくなるじゃないですか」
タイリク
「動機はさておき、カシミアくんの目は黄色くないよ」
カシミア
「だから動機も否定してくださいよ!」
アミメ
「ヒトのことわざに『目の中に入れても痛くない』というのがあります。
満月があまりに可愛くて目に入れてしまったのです!」
カシミア ( ゚д゚)
「発想が突飛すぎるよ!」
アミメ
「サイズの差は万能サンドスターで。
原作の月の代わりも万能サンドスターがなんとかしてくれます!」
かばん
「あれ? 意外とマトモな意見・・・じゃない!」
タイリク
「・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ー叡智発動ー
博士
「アミメキリンのお約束ギャグは置いといて・・・」
助手
「あまり有益な情報は得られませんでしたね。
やはりポンコツだらけなのです」
かばん
「そうとも言えませんよ。
『月の瞳を持つけもの』に助けられた被害者は、
皆さんイヌ科のフレンズさんです」
サーバル
「・・・ホントだ。 すっごーい!」
かばん
「それと、もう1つ気になることがあって・・・
すいません、ちょっと本をお借りしますね」
博士
「好きにするといいのです」
かばん
「ありがとうございます」
助手
「そう言えば、私も1つ気付きましたが、
被害者は、ことごとくタイリク隊のメンバーでもありましたね」
サーバル
「タイリク隊?」
博士「タイリクオオカミを遠くから見守り隊」
助手「非公式のファンクラブのようなものです」
タイリク
「・・・」
博士
「月に1回ああやって集まっては、遠巻きにタイリクオオカミ見ているのです」
助手
「追っかけのようなものですね」
博士
「最初は純粋な集会のようでしたが・・・」
助手
「イヌ科は原作時代から同種族同士の結び付きが強く、
フレンズ化した後も『オオカミ連盟』というグループを形成し、
その絆は深かったと聞きます。
恐らくその名残なのでしょう」
サーバル
「そうなんだぁ」
博士
「お前たちネコ科にも『にゃん手あいさつ』の文化が残っているでしょう。
やるかどうかは仲間内でも個体差があるみたいですがね」
助手
「トキが仲間を求めるのも、原作だった頃の記憶とも考えられますが、
『まったり浮遊部』のことだったのかもしれませんね」
サーバル
「って、さっきから何を調べてるの? かばんちゃん」
かばん
「月齢、月の満ち欠けだよ、サーバルちゃん。
手掛かりが もう1つ見つかりました。
『月の瞳を持つけもの』が目撃されるのは、決まって満月の夜だったんです」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
サンドスターの力があれば月も眼球サイズにできるか
さすがのアミメ推理だなぁ(白目)
これぞガバガバ網目理論 !
このままではカシミアヤギさんが犯人に祭り上げられてしまう…!いや、そんな心配はないか?
作者
「ギクッ ははは… そんなわけ・・・」 選択肢の1つにあったなんて言えない…
カシミア
「そんな展開になったらサイフスターから一生むしり続けますからね!」
作者
「そういう子だったよね…」
けものフレンズ+0公開しました、一話の長さが非常に短いため読みやすくなっております。
本作品の時代設定はアプリ版と一期の間となっており、ジャパリパークが試験的に開園されお客さんが続々と訪れその中の一家族の旅行記となっております。
第一話 ジャパリパーク開園!
第二話 到着
第三話 草木萌えるジャングル
第四話 さあ、ホッキョクちほーへ
お久しぶりです。連載中の作品の更新です。
虫喰いでないフレンズ
27話 『アフリカ』誕生
今回は外部サイト「ハーメルン」へのリンクとなります。一部描写を直接こちらに載せられないと判断したためです。
1話>> 291
2話>> 303
3話>> 317
4話>> 327
5話>> 366
6話>> 371
7話前半>> 393
7話後半>> 394
8話>> 426
9話>> 464
10話>> 484
11話>> 562
12話>> 596
13話>> 601
14話>> 614
15話>> 619
16話>> 624
17話>> 630
18話>> 644
19話>> 646
20話>> 654
21話>> 664
22話>> 673
23話>> 689
24話>> 702
25話>> 709
26話>> 724
#1話
#2話
【月の瞳を持つけもの】
~3話 ムーンライトハウンド~
博士
「よく気が付きましたね」
助手
「かばんも なかなかやるのです」
サーバル
「え~? ホントに気付いてたのぉ?
かばんちゃんに乗っかっただけじゃなくてぇ?」
博士
「な、なにを言うのです。 我々は賢いのですよ」
助手
「そ、それくらい見抜けて当然なのです。 我々は賢いのですから」
サーバル
「そーなんだぁ」
アミメ
「ちょっと待ちなさい。
イエイヌは中秋の名月の翌日と言ってたわ。
満月ではないのでは?
イエイヌは偽証をしていたのよ! それともあなたがウソをついてる?
いえ。 それどころかグルになって口裏合わせを・・・」
かばん
「いえ、ウソではありません。
僕も気になったので、調べてみました。
#コレ を見て下さい。
矛盾はしないんです」
博士
「よく調べあげましたね」
助手
「かばんも なかなかやるのです」
サーバル
「当たり前じゃない。 かばんちゃんはすっごいんだから!」
かばん
「サーバルちゃん…」
博士
「ですが、イヌ科フレンズ、満月の夜と
『月の瞳を持つけもの』は、どう結び付くのです?」
かばん
「すみません。 さすがにそこまでは・・・」
助手
「まあ、闇雲に探しても見つからない、ということが分かっただけでもヨシとしましょう。
確か次の満月は11月12日。
それまでに何かムーンライトハウンドをおびき寄せる手段を考えましょう」
かばん
「え…」
博士
「ところで『月の瞳を持つけもの』という名前は、長ったらしくて言いにくいのです」
助手
「何かこう、しゅっとしたネーミングは無いものでしょうか?」
サーバル
「かばんちゃん、何かない?」
かばん
「う、う~ん、そうだなぁ・・・
『ムーンライトハウンド』・・・とか?」
サーバル
「お~ カッコいい名前だね」
タイリク
「・・・」
博士
「あまり短くなってないような気もしますが、まあいいでしょう。
採用するのです」
助手
「では我々は、その『ムーンライトハウンド』捕獲に向けて準備しておくのです」
かばん
「あの・・・」
博士
「なんです?」
かばん
「そこまでしなくてもいいのでは…」
助手
「何を言い出すのです!」
サーバル
「どうしたの、かばんちゃん。
なんか急に消極的になったね」
かばん
「そ、そう…?
でも満月の夜に一人で出歩かなければいいだけなんじゃないかなって」
博士
「パークを騒がすムーライトハウンドを、このまま放っておく訳にはいかないのです!」
助手
「それがパークの平穏を保つためなのです!」
かばん「・・・」
タイリク「・・・」
#1話
#2話
#3話
【月の瞳を持つけもの】
~4話 それぞれの想い~
10月28日 新月
―ろっじー
タイリク
「ちょっといいかな?」
アリツ
「あら? どうしたんですか? 深刻な顔をなさって」
タイリク
「折り入って相談があるんだが・・・」
アリツ
「お役に立てるかどうかは分かりませんが、お聞きしますよ」
タイリク
「実は・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・」
アリツ
「・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
タイリク
「・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アリツ
「私が思うに、先生は今までどおりでいいんじゃないでしょうか」
タイリク
「!?
皆に甘えて、私だけ好きなことをしていろ、と?」
アリツ
「それは少し違うと思います。
皆さんにとっては、先生の『好き』を守ることが
自分の『たーのしー』に繋がっているだけなのだと思いますよ。
でしたら、皆さんの想いに報いるために先生がすべきことは・・・」
タイリク
「!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10月31日
ーさばんなちほー サーかば邸ー
コンコン…
かばん
「はい」
ともえ
「こんにちは」
かばん
「ともえちゃんじゃない。 どうしたの?」
ともえ
「ちょっと相談したいことがあって・・・」
かばん
「・・・じゃあ、中に入ってよ」
ともえ
「お邪魔しまーす。
・・・あの、サーバルちゃんは?」
かばん
「今、お昼寝中だから心配しなくていいよ。
イエイヌちゃんは?」
ともえ
「#ゆきやまちほーに行っちゃてるみたいです。
今頃こたつでアムトラちゃんとダラダラしてるんじゃないですか?」
かばん
「そうなんだ」
ともえ
「それで、肝心の相談の件なんですけど・・・
実は、かくかくしかじかで・・・」
かばん
「うん、うん。 やっぱり。
僕もそうじゃないかと・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
11月7日
ーハンターチームー
ヒグマ
「なんだと!?」
リカオン
「すいませんでした」 orz
キンシコウ
「ヒグマさん」
ヒグマ
「・・・ いや、よく正直に話してくれた。
そうだよな。 お前もイヌ科だもんな・・・」
キンシコウ
「でも、どうします?
博士たちは大々的な捕獲作戦を計画しているそうですが…」
ヒグマ
「さっき依頼があった。 ハンターチームも参加しろ、と」
リカオン
「何ともならないんでしょうか?」
ヒグマ
「う~む。 下手に動くと博士たちの面子も潰しかねんしなぁ…」
キンシコウ
「博士たちを立てながら、ですか…
一か八かですが、コレを使ってみますか?
あとは成り行き任せになってしまいますが・・・」
ヒグマ
「それは この間のハロウィンの・・・?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
11月7日
ーカシミア邸ー
「あら?」
ポストに1通の手紙が投函されていた。
カシミアは、それをおもむろに
食べる広げ、読む。11月12日
ろっじ裏口までお越しください。
A
~to be continued~
ハロウィンの・・・?
タイリクねえさんどうするどうなる
伏線は一通りバラ撒き終わりました。
次回から順次回収して行きますのでお楽しみに。
#1話
#2話
#3話
#4話
【月の瞳を持つけもの】
~5話 ムーンライト仮面~
11月12日 17:00頃 満月
暦の上では満月だったが、月も雲の上だった。
サーバル
「う~ なんか出そうでヤダなぁ…」
博士
「何を言っているのです? 出てくれないと困るでしょう」
助手
「目的を忘れていませんか?
今夜こそムーライトハウンドを捕まえるのです。
そのための準備も万全なのです」
フェネック
「それだけどさ~」
博士
「なんです? フェネック」
フェネック
「確かに私もイヌ科フレンズの端くれだけどさ~
もしもの時はムーンライトハウンドさん、助けてくれるかな~」
アライ
「フェネックはアライさんが守るから安心するのだ」
助手
「それでは囮にならないのです」
アミメ
「囮捜査は基本よ!」
フェネック
「あめりかちほーでは そうらしいけどね~
にほんちほーでは#原則禁止だよ~」
アライ
「さすがフェネックは聡明なのだ」
プレーリー
「フェネック殿は まだいいでありますよ。
私などは名前にドッグが付くと言うだけで駆り出されてしまったのであります」
ビーバー
「心配っすねぇ」
「用心棒として私が付いてます。
・・・足止めくらいしかできませんけど」
かばん
「あの・・・ 僕が持たされている 🍸 コレは何ですか?」
博士
「ソルティードッグというカクテルなのです。
ちゃんとアクシス印の塩もグラスの縁に塗り付けてあるのですよ」
フェネック
「妙なところにこだわってるね~」
助手
「当初予定していたホットドッグは、上から圧力が掛かって止められてしまったのです」
アライ
「それはマズいし、メタいのだ」
かばん
「うぅ… どうしてこんなことに」
サーバル
「かばんちゃんは私が守ってあげるから大丈夫!」
博士
「先ほどの我々の話を聞いていましたか? サーバル」
助手
「余程のことが無い限り、手出しは無用ですよ」
アミメ
「イヌ科フレンズの総本家本元。
タイリク先生もいますしね」
タイリク
「・・・」
フェネック
「ハンターチームさんも『すたんばい』してるんなら大丈夫かな~」
アライ
「まさに無敵の布陣なのだ!」
ヒグマ
「ま、まぁな…」
キンシコウ
「は、はい・・・ お任せください…」
フェネック
「なんだか歯切れが悪いね~」
アライ
「ところでリカオンが抱えているバッグは何なのだ?」
リカオン
「え、っと 変s… 捕獲用具です。 ムーンライトハウンドの・・・」
タイリク
「・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
18:20頃 ーとある林ー
ぐおぉぉぉーーー!
ぐおぉぉぉーーー!
リカオン
「来ました! セルリアンです!」
テッポウウオ
「え? どこに!?」
セルリアンは闇に紛れて襲ってきた。
ヒグマ
「陣を崩すな」
リカオン
「数が多いです」
キンシコウ
「それに意外と素早い」
ヒグマ
「夜目の利かないヤツ・攻撃力を持たないヤツは中央に固まれ!
フェネックはセルリアンの気を引きつけて誘導しろ!
テッポウウオはそこを狙い撃つんだ!」
フェネック
「はいよ~」
テッポウウオ
「分かりました!」
キンシコウ
「サーバルさんは攻撃してきたセルリアンを迎撃してください。
決して無理をして前には出ないように」
サーバル
「任せて!」 b
博士
「少し非戦闘員が多すぎましたか」
助手
「少し囮の効果が利きすぎましたか」
タイリク
「くっ!」
キンシコウ (¬_¬)
「リカオンさん、例の準備を」
リカオン
「オーダー了解です!」
ヒグマ
「雲が多くて助かったな・・・
おい、先生!」
タイリク
「?」
ヒグマ
「こっちは任せろ」
タイリク
「!」
==走
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
サーバル
「囲まれちゃったよ」
かばん
「どうしよう」
ボス
「アワワワ…」
その時!
雲の切れ間から満月が顔を出し、辺りを煌々と照らす。
アミメ
「#あれは!」
博士
「現れたのです。
あれが『ムーンライトハウンド』なのですか?
リカオン?」
リカオン
「は、はい・・・ 間違いないと思います」
助手
「目が・・・2つあるようですが?」
ムーンライトハウンド
「おっと…」
かばん
「いえ、1ツ目です!
月の光を反射して金色に光ってます!」
どうやったのか、片方の目が隠れる。
それに呼応するように月も雲に隠れてしまう。
辺りは再び暗闇に包まれてしまった。
博士
「・・・?
何か・・・ こう、タイリクオオカミに似ていませんでしたか?」
#タイリク?
「な、何か呼んだかい?」
助手
「・・・気のせいでしたか。
?
お前はお前で、ちょっと雰囲気変わりましたか?」
タイリク?
「き、気のせいだよ」
ヒグマ
「暗くて助かったな」 くく…
キンシコウ
「笑い事じゃないですよ」 ふふ…
リカオン
「2人とも…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ザシュ ザシュッ!
ムーンライトハウンドは圧倒的な強さと速さで次々とセルリアンを倒していく。
ヒグマ
「さすがタイr…
感心してる場合じゃないな。
ムーンライトハウンドの捕獲は後回しだ。
こちらの安全とセルリアンの殲滅に集中しろ!」
リカオン?
「オーd… 君たちはコチラの安全な場所に・・・」
アミメ
「リカオン? 先生? さっきから何か…」
かばん
「はい! アミメキリンさん、今はここを離れましょう」
キンシコウ
「了解です。
サーバルさん、フェネックさん、テッポウウオさん、あと一息です」
<アライさんの活躍シーンが無いのだ・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ムーンライトハウンド
「!」
セルリアンがアミメキリンを襲おうとしたところを
ムーンライトハウンドが間に割って入る。
アミメ
「ムーンライト仮面様♡」
キンシコウ
(何か混ざってませんか…?)
ムーンライトハウンド
「ゔっ」
アミメキリンを庇ったムーンライトハウンドが、セルリアンの攻撃を食らってしまう。
アミメ
「ムーンライト仮面様!?」
キンシコウ
(セーラーなのかタキシードなのか、はっきりして欲しいんですけど…)
ぱっかーん!
セルリアンはキンシコウが倒した。
リカオン
「こっちは片付きました。 そっちは?」
ヒグマ
「これでラスト!」
ぱっかーん!
セルリアンを殲滅した。
てってれ~
♪~
一行は経験値を獲得した。
一行はジャパリコインを獲得した。
ヒグマはレベルアップした。
キンシコウはレベルアップした。
テッポウウオはレベルアップした。
アミメキリンの中でムーンライトハウンドの好感度が格段にアップした。
博士
「よくやったのです」
助手
「ところでリカオン、その恰好は?」
リカオン
「え… と、トリックオアトリート・・・?」
リカオンのSAN値は下がった…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
博士
「リカオンの寒いギャグは置いといて」
リカオン
(視線が寒い…)///
助手
「ムーンライトハウンドは手負いです。 捕獲のチャンスなのです。 」
ムーンライトハウンドは足を引き擦りながら逃げていく。
かばん
「僕が追います」 …走
サーバル
「え!? かばんちゃん?」
博士
「お前たち、何をモタモタしているのです」
ヒグマ
「あ、あぁ…」
助手
「あれは、ろっじの方角なのです。 早く追うのです」
キンシコウ
「そうしたいのは やまやまですが・・・」
リカオン orz
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―ろっじー
ムーンライトハウンドを追って、一行は ろっじに到着した。
バタン!
アリツ
「あら~ 皆さんお揃いでぇ。 お泊まりですかぁ?」
アミメ「ムーンライト仮面様はどこ!?」
キンシコウ(それ、定着させるんですか…?)
サーバル「かばんちゃんは?」
アリツ (¬_¬)
「え、え~と…」
サーバル
「こっちだね!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
一行は、とある一室の前に辿り着いた。
博士
「ここに誰か居るようなのです」
助手
「開けますよ?」
バタン!
そこにはベッドに腰掛けているタイリクオオカミと、
毛布を膝に掛けてあげようとしている かばんが居た。
サーバル
「かばんちゃん!?」
アミメ
「先生!」
博士「!? 2人だけですか?」
助手「ムーンライトハウンドは?」
アミメ
「先生! 怪我をされたんですか!?」
タイリクオオカミは左腕に包帯を巻いていた。
かばん
「僕は大丈夫だよ、サーバルちゃん」
タイリク
「面目ない。
医者には診てもらった。
大事ないとのことだ」
博士
「ここではなかったようです」
助手
「ではムーンライトハウンドはどこへ!?」
アリツ
「あのぉ・・・ 裏口に怪しい人影が…」
アリツカゲラの情報を元に、一行は裏口に向かった。
ドアの磨りガラス越しに人影が見える。
アミメ「ムーンライト仮面様!?」
キンシコウ(サブタイになりそうなほど推しますね…)
バンッ!
アミメキリンが裏口のドアを開けると・・・
<え…
そこにはカシミアヤギが佇んでいた。
<やっぱり犯人はあなた、カシミアヤギだったのね!
~to be continued~
ムーンライト仮面様だと···
ごめんね素直じゃなくて
ムーンラ···タイリク姉さんは大丈夫なのかという心配もあるが、まずはリカオンのフォローを誰かしてやってくれー!
<<リカオンのフォローを誰かしてやってくれー!
#タイリク
リカオン
「いいんです。 タイリクさんのお役に立てれば僕は・・・」
#1話
#2話
#3話
#4話
#5話
【月の瞳を持つけもの】
カシミア
「違います! 違いますって!」
アミメ「ムーライトハウンドは、あなたに決まってるわ! さあ、吐きなさい!」
キンシコウ(手の平の返し方が半端ないんですが…)
カシミア
「そこまで言うなら証拠を・・・
ほら、これを見て下さい」
11月12日
ろっじ裏口までお越しください。
A
カシミア
「私は、この手紙の指示通り ここに来て、待っていただけです」
アミメ
「そんなの! 自作自演に決まってるわ!」
アリツ
「あの… 実は私g…
アライ
「アライさんには犯人が分かったのだ!」
フェネック
「お~」 (きっと勘違いなんだろうな~)
アライさんが自信満々に進み出る。
アライ
「犯人はイニシャルAのフレンズ、アミメキリンなのだ!」
<ゔっ…
博士
「さあ、連れて行くのです」
助手
「話は裁判所で聞くのです」
サーバル
「展開早っ!」
かばん
「どうして、どうしてこんなことに…」
ボス
「アワワワ…」
アリツ
「あぁ… どうしましょう。
私が余計なことをしたばっかりに・・・」
タイリク
「まさかアリツさんが身代わりになるつもりだったなんて思いもしなかったよ。
しかし、こうなってしまったのも元はと言えば私の責任だ。
なんとか… なんとかしなければ・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
~6話 ぎゃぐてんこもり裁判~
11月13日 14:00頃
博士
「では、一連のムーンライトハウンド騒動についての裁判を始めるのです」
助手
「まず裁判長と副裁判長をお迎えするのです」
#サーバル
「え? てっきり博士たちか#かばんちゃんがすると思ってた」
博士
「我々は賢いので適任だと思いましたし、『かばんでかいけつ』も、もちろん考えました」
助手
「しかし、いつも同じでは芸がないのです」
博士
「ジャスティス=ハクトウワシも候補には上がっていましたが
『もっと斜め上』をいつも心掛けなければ、読者は離れていってしまうのです」
助手
「我々はいつも『新しい笑い』を追究する求道者でなければいけないのです」
ジャガー
「えぇ…」 (´・ω・`)>
博士
「そこで考えました。
なんでもヒトの裁判長が着る法服は どんな色にも染まらない黒、と聞きます。
そして、けもフレ界において裁定者として相応しいフレンズ・・・」
助手
「ルルルタタ様、お入りください」
コツメ
「( ゚∀゚) アハハハハノヽノヽノ \ / \ / \ おもしろ―い!」
カタカケ裁判長
「では裁判を始める」
カンザシ副裁判長
「被告人、入れ」
サーバル
「ウワァァァァァァ #ウゴイタァァァァァ!」
ボス
「アワワワ…」
かばん
「個性的すぎるフレンズさんたちですね…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アミメ
「まず確認させて下さい。
カシミアヤギ、あなたは本当にムーライトハウンドではないの?」
カシミア
「違います。 みんみに誓って!」
アミメ
「安心したわ。
私の無実を証明できればムーンライト仮面様に、再び会えるかもしれないのね」
キンシコウ
(まだ引っ張るんだ、そのネタ…)
#アミメ
「そもそも私にはアリバイがあります。
ムーンライト仮面様が目撃された どの満月の晩も、
先生の締め切り日と重なっているため、ずっと『ろっじ』に居て、アシスタントとしてお手伝いをしていました。
そうですよね? 先生」
タイリク
「うむ」
#ともえ
「被告人が自己弁護までするんだ・・・」
イエイヌ
「・・・」
傍聴席にはタイリク隊の面々もいる。
カタカケ
「何か反論のあるものは?」
#ジャガー「分からん!」
カンザシ
「分からないのなら控えていろ」
<はいはーい
カシミア
「では私が。
タイリクオオカミさんは気分転換として散歩に出ている時間があった、と聞いています。
その間はアミメキリンさんのアリバイを証明できる人物は居ません。
そうですね? タイリクオオカミさん、アリツカゲラさん」
タイリク
「あ、まあ…」
アリツ
「え、えぇ…」
カシミア
「つまり被告は、その間にムーンライトハウンドとして活動することが出来る、
ということになります」
アミメ
「異議あり!
他の日に関しては残念ながら その通りです。
しかし昨日の11月12日、私は ずっと捕獲隊の一員として参加していました。
更にムーンライト仮面様が現れた同時刻にも。
博士たち、かばんさん、ハンターチームなど多数のフレンズが証人です」
ヒグマ
「確かに」
キンシコウ
「ムーンライトハウンドが現れた瞬間にも居ましたね」
リカオン
「は、はい… 同時に存在していました… ね」
アミメ
「どやぁ」
カシミア
「ふっw
被告人に双子が居るとすればどうです? 三つ子なら可能、いっそ四つ子でも!」
<ゔ… まさか過去の自分が敵に回るなんて・・・
<2人とも熱くなりすぎだよ
アミメ
「・・・ (旗色が悪いわね…)
ムーンライト仮面様が片目で金色なのは、どう説明するのです?」
カシミア
「被告人は過去に、
『万能サンドスターがあれば目を刳り抜いて、代わりに月を入れられる』
という旨の発言をしています」
アミメ
「反論の余地が無い…」
アライ
「やっぱり手紙の主『A』はアミメキリンだったのだ」
フェネック
(アで始まるフレンズなら、アライさんも容疑者になりかねなかったんだけどね~)
カタカケ
「決まりだ」
カンザシ
「アミメキリン、有罪!」
アミメ
「がっくし…」 orz
タイリク・かばん・タイリク隊の面々・ハンターチーム・アリツ
「・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
カタカケ
「では引き続き、被告に与える罰について議論する」
カンザシ
「何か意見のある者は?」
<探偵ごっこ、ヤメちゃったら?
<ヒッ!
フェネック
「これはアイデンティティーの危機だね~」
アライ
「アミメキリンからポンコツ探偵要素を抜いたら何も残らないのだ…」 gkbr…
カシミア
「さんざん犯人扱いをされた私としては、
『慰謝料としてジャパリまん1年分』と言いたいところですが、
初犯ということで情状酌量をして『1週間おやつ抜き』ではどうでしょう?」
博士
「聞くだけでも恐ろしい罰なのです」 gkbr…
助手
「極刑に等しいのです」 gkbr…
タイリク (`-´)」
「裁判長、
ここは私に一任してくれないだろうか?」
カタカケ
「この騒動では お前の創作活動にも多大な影響が出ただろう」
カンザシ
「いいだろう。 お前に一任する」
タイリク
「ありがとう。
ではアミメキリンくん。
キミには・・・
~to be continued~
なんて迫力のある裁判長達なんだ(マッチポンプ)
一週間おやつ抜きはしんじゃうねー
アミメの疑い晴れるか!?
>> 767
・すぺしゃるさんくす!
・生き甲斐ですもんねー
・作者「・・・」
#1話
#2話
#3話
#4話
#5話
#6話
【月の瞳を持つけもの】
~7話 白日~
11月15日
タイリク
「面倒を掛けたね」
博士
「なんてことはないのです。 我々も早く読みたかったのです」
助手
「来月もおかわりを待っているのですよ。 我々は『ホラー探偵ギロギロ』のファンなので」
サーバル
「あれ?今日は3冊もある」
かばん
「ホントだ。
先月号と今月号と・・・」
タイリク
「特別読み切り『月の瞳を持つけもの』だよ。
みんなを喜ばせるために私が出来ることと言えば、これくらいだからね・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
#10月28日 新月(回想)
―ろっじー
タイリク
「ちょっといいかな?」
アリツ
「あら? どうしたんですか? 深刻な顔をなさって」
タイリク
「折り入って相談があるんだが・・・」
アリツ
「お役に立てるかどうかは分かりませんが、お聞きしますよ」
タイリク
「今、パークを騒がせている『月の瞳を持つけもの』
実は私なんだよ」
アリツ
「・・・」
タイリク
「ちょっといいかな?」
タイリクは左目を押さえながらフロントを訪れていた。
アリツ
「目をどうかされましたんですか?」
タイリク
「ヒリヒリして涙が止まらないんだよ」
アリツ
「ドライアイでしょうか? 根を詰め過ぎなんじゃないですか?」
タイリク
「私もそう思ってね。
気晴らしに散歩にでも行こうかと思うんだが、さすがにコレではね・・・」
アリツ
「危ないですもんね。 ごそごそ…
ではコレを・・・」
タイリク
「眼帯・・・?」
アリツ
「以前 私が、ものもらいを患った時にクスシヘビさんがくれたもので、
サンドスターが練り込まれてあるそうです。
まだ効果は残っていると思いますので・・・
あ、ちゃんと洗ってありますよ?」
タイリク
「ありがとう。 助かるよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その後 散歩に出掛けた私は、たまたまセルリアンに襲われていたドールくんを助けた。
気分転換をしたからなのか、戦闘による昂揚感からなのか、
抑えられないほどの創作意欲に突き動かされた私は、ドールに身分を明かす間も惜しんで
ろっじに取って返すと執筆活動に勤 いそ しんだ。
翌日としょかんに製本を頼みに行くと、彼女たちが『謎のフレンズ?』の話をしていた。
タイリク隊のことは知っていたし、私のことだと分かったが、何も言わずにおいた。
なぜならフレンズの噂も75日。
そのうち立ち消えになると思ったし、なにより照れ臭かったからだ。
しかし話は それで終わらなかった。
その次の満月の晩も私は散歩に出た。
するとニューギニアハイランドワイルドドッグくんが襲われそうになっていたので助けた。
返しそびれた眼帯で正体を隠して・・・
そして同じように、黙って立ち去った。
それは、いつの間にか すっかり創作のルーティーンになってしまっていた。
その次も、その次の満月の晩も・・・
どうやら彼らは、早々に私の正体に気付いていたらしい。
考えてみれば当然だ。
嗅覚や聴覚の鋭いイヌ科フレンズだからな。
それを公 おおやけ にしなかったのは、私と「秘密の共有」が出来るのが嬉しかったのだろう。
仲間内だけで『月の瞳を持つけもの』と呼称し、私との密 ひそ かな関わりを楽しんでいたようだ。
しかし、それも公然の秘密という訳にはいかなくなり、
ハンターチームや博士たちの知る所となってしまった。
私がリカオンを助けてしまったからだ・・・
#10月31日(回想)
―さばんなちほー サーかば邸―
ともえ
「ーで、肝心の相談の件なんですけど。
実は、タイリク隊の子たちは『月の瞳を持つけもの』の正体を知っていて・・・
かばん
「うん、うん。 やっぱり。
僕もそうじゃないかと・・・
タイリクオオカミさんだよね」
ともえ
「やっぱり分かってたんだ」
かばん
「確証は無かったけどね」
タイリク隊には、掟というか約束事が1つあって、
タイリクオオカミさんに積極的な接触は控えることになってるんです。
だけど、その遠くから見守っていただけの憧れの存在に助けてもらった、
ーていうことで、ドールちゃんが黙ってられなくて思わず話題にしたんです。
その次のニューギニアハイランドワイルドドッグちゃんの時は偶然だったんですが、
元タイリクシスターズだった名残なのか
イタリアオオカミちゃんはタイリクさんへの思い入れが強くて。
わざとセルリアンの多い晩に出歩いて、そして助けられたんです。
それをタイリク隊の集会で自慢げに報告して。
『月の瞳を持つけもの』というのは彼女が名付け親なんです。
そしたら同じようにアードウルフちゃんが・・・
その時はスゴく盛り上がったらしいんですけど、やっぱりマズいよねってことになって
自制しようってことになったんですけど。
でもイエイヌちゃんは普段あたしと旅に出てるので、その辺の事情は知らなくて。
タイリク隊で報告したら、やっぱり盛り上がっちゃって。
それが博士たちの耳に入っちゃったらしいんですよね。
ーで、とうとうハンターチームが調査に乗り出すことになったんです。
でも、リカオンさんもタイリク先生だって気付いて、捕まえなかったんですね。
その後、報告に来ました。
捕獲作戦が決行されることになったこと。
だけど捕まえたくないので証言は ぼやかして欲しいって。
かばん
「ああ、#あの時の・・・」
ともえ
「タイリク隊の皆さんは、
迷惑を掛けることになってしまって申し訳ないって反省してました。
もし『月の瞳を持つけもの』が博士たちに捕まるようなことになったら・・・」
かばん
「大丈夫。
『月の瞳を持つけもの』さんは悪いことをしたわけじゃないんだし。
タイリク隊の皆さんにも気にしないように言っておいてあげてくれる?
きっとタイリクさんも、きっとそう言うと思うから」
ともえ
「はい! ありがとうございます」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
#11月7日(回想)
―ハンターチームー
ヒグマ
「なんだ? 改まって相談したいことって」
リカオン
「今まで黙ってて すみませんでした。
『月の瞳を持つけもの』の正体はタイリクオオカミさんなんです」
ヒグマ
「なんだと!?」
リカオン
「本当に申し訳ありません。
でもこれ以上、先生を追い詰めたくないんです」
キンシコウ
「ヒグマさん」
ヒグマ
「・・・ いや、よく正直に話してくれた。
そうだよな。 お前もイヌ科だもんな、正体に気付かないわけがない」
キンシコウ
「でも、どうします?
博士たちは大々的な捕獲作戦を計画しているそうですが…」
ヒグマ
「さっき依頼があった。 ハンターチームも参加しろ、と」
リカオン
「何ともならないんでしょうか?」
ヒグマ
「う~む。 下手に動くと博士たちの面子も潰しかねんしなぁ…」
キンシコウ
「博士たちを立てながら、ですか…
一か八かですが、コレを使ってみますか?
あとは成り行き任せになりますが・・・」
ヒグマ
「?
それは この間のハロウィンの時のケルベロス?」
リカオン
「コレを着てタイリク先生のフリをしろっていうんですか?
さすがにバレるんじゃ…」
ヒグマ
「その時は自業自得だろ」 くく…
リカオン
「うぅ…」
キンシコウ
「出来るだけフォローしますから」 ふふ…
リカオン
「もしかして これって罰げぇむ…?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
再び10月28日 新月
―ろっじー
タイリク
「・・・なのに彼らは、私を庇って『月の瞳を持つけもの』の正体を隠し通そうとしている。
私は真実を白日の下に晒すべきではないだろうか?」
アリツ
「私が思うに、先生は今までどおりでいいんじゃないでしょうか」
タイリク
「!?
皆に甘えて、私『だけ』好きなことをしていろ、と?」
アリツ
「それは少し違うと思います。
皆さんにとっては、先生の『好き』を守ることが
自分の『たーのしー』に繋がっているだけなのだと思いますよ。
でしたら、皆さんの想いに報いるために先生がするべきことは・・・」
タイリク
「!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
11月12日 -ろっじー
かばん
「大丈夫ですか?」
ムーライトハウンドタイリクオオカミ「まったく… このサマだよ。
やっぱりキミも私の正体には気付いていたんだな」
かばん
「どうしてそう思うんですか?」
タイリク
「だから #あの時、キミは『月の瞳を持つけもの』をムーライトハウンドと名付けたんだろう?」
かばん
「さすがですね」
タイリク
「その言葉は そっくり返すよ。
・・・まあ、それはいい。
少し私の告白、いや懺悔に付き合ってくれるかい?」
私が『月の瞳を持つけもの』になったのは偶然だ。
最初は気分転換でしかなかった。
イヌ科フレンズを助けたのも、元オオカミ連盟のリーダーとしての名残が、そうさせたのかもしれない。
しかし、そんなことは些細なことだ。
私はいつしか満月の晩を心待ちにするようになっていた。
月に魅入られたから?
闘争本能に身を任せられるから?
変身願望を満たせるから?
ダークヒーローとして崇められるから?
タイリク
「厨二病じゃないか、と笑ってくれていい。
ーというか、どうしてキミたちは
こんな自分勝手な私のために そこまでしてくれるんだ?」
かばん
「 #月はフレンズを狂わせることもあるそうなので病気だなんて思いませんよ。
#ナミチーさんも満月の晩は、ハイになるそうですから」
???
「その通りジャよ。 そう悪いことばかりジャないのジャ」
タイリク
「!?」
かばん
「どなたですか?」
アリツ
「クスシヘビさんが来てくれましたよ」
タイリク
「どうして?」
「儂は怪我したフレンズを察知するのに長けておるのジャ。
ホレ!」
ステッキを翳 すと、みるみる傷口が塞がっていく。
かばん
「すごいですね」
クスシヘビ
「ジャが痛みは残るでな。
しばらくは安静にして、無理はせぬように」
かばん
「そうなんですね」
クスシヘビ
「サンドスターも そこまで万能ではないということジャ」
かばん
「でしたらフェイクとして腕に包帯を巻いてもらえませんか?」
クスシヘビ弄 するのが好きなフレンズなんジャのう。
「うぬらは小細工を
ホレ、これでいいかの?」
かばん
「ありがとうございます」
クスシヘビ
「あと、さっきの話ジャが、#月光浴には気持ちを穏やかにする効果もあるということジャ。
このステッキにはサンドスターが練り込まれておるのジャが、
#ムーンストーンの成分も含まれておるのかもしれんのう。
とにかく儂は、その力を治療に利用させてもらっておる、というわけジャ」
かばん
「もしかすると原作の月、ムーンストーン、サンドスターには何か関連があるのでしょうか?」
クスシヘビ
「そうかもしれんが、儂としては11/14の『いい医師の日』に間に合って良かったのジャ。
ジャあのwww」
かばん
「マイペースなフレンズさんでしたね…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
タイリク
「・・・」
アリツ
「どうしました?
まさか具合でも・・・」
タイリク
「いや、カッコ悪いな、と思ってね。
博士たちに迷惑を掛け、キミたちにも迷惑を掛け、私だけが こんなに守られて・・・」
かばん
「それを言うなら、『僕も勝手』です。
『タイリクオオカミさんの好き』を楽しみにしている1人として、
それを失いたくなくて、こうしているんですから。
博士たちは『フレンズの皆さんの好き』を守るために。
他の皆さんは『タイリクオオカミさん』を守るために動いているのに・・・」
アリツ
「実は私も・・・
アミメキリンさんもそうだと思いますよ」
タイリク
「アリツさんが言っていたのは、そういうことか・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そこへ・・・
サーバル
「かばんちゃん!?」
アミメ
「先生!」
続いて博士たちも部屋に飛び込んでくる。
博士「!? 2人だけですか?」
助手「ムーンライトハウンドは?」
アミメ
「先生! 怪我をされたんですか!?」
タイリク
(そう言えば、捕獲作戦でのアリバイが崩れた私に誰も気付かない・・・
ーなんてことが、果たしてあり得るのだろうか…?)
~to be continued~
【すぺしゃるさんくす】
マフティさま・・・クスシヘビちゃん
クスシヘビさんマジいい医師!
さて、タイリク姉さんとリカオンはどうなるか
クスシヘビちゃんは、チョイ役ながら良い仕事しましたねぇ。
リカオンは・・・前話で出番が終わってしまいました… (;^_^A
(今回は回想シーンとなっております) フォローしとこうかしら?
タイリク先生は、最後にもう少し見せ場を用意しています。
あ、回想シーンやったか
リカオンどんまい