虫喰いでないフレンズ
三話 セルリアンとラッキービースト
のののののののののののののののののののの
前回(>> 303)の虫喰いでないフレンズは
・自由を求めて外に出てきた。
・腹を空かせているところにアフリカゾウに出会い、初めてジャパリまんじゅうを貰う。
・ドブネズミは当面の食料となりそうなジャパリまんじゅうの安定確保のためアフリカゾウに探させることにしたが自分の方が振り回されているかもしれないことに若干の不安を抱くのだった…
のののののののののののののののののののの
二人は林の中を歩いていると木が開けたところに出た。
ドブネズミ「アフリカゾウ、喉が渇いた。川も探そう」
アフリカゾウ「あー、お水飲みたいの。川の近くのボスを探してみるね。お、早速はっけーん」
ドブネズミ「ん。ほんとだ、川の音がする。あとなんか聞き覚えのない音がするのは何だ?」
アフリカゾウ「このピョコピョコはー、ボスだね」
ドブネズミ「いよいよボスか。ボス達といっていたけどどんなヤツらなんだ」
ピョコピョコ
ピョコピョコ
ピョコピョコ
ドブネズミ「お、山盛りのジャパリまんだ。この下のがボスか」
アフリカゾウ「ふふん、そうだよ。ドブネズミちゃんの勘の鋭さには驚かされるばかりだよ。ボス、六つ貰うよ」
一つのボスと呼ばれる青いものはバスケットに袋入りジャパリまんじゅうを載せて歩いてきた。
下を覗き見る。
その不可思議な動物は短足で目は細く縦長で、腕らしいものが無く、ボディの上にある耳なのか角なのか判別できない部位だけでバスケットを支えている。
ドブネズミはその動物らしからぬ容姿とは裏腹に警戒心も敵対心も沸かず、それどころか親しみやすさを抱き始めた自分に困惑した。
やがて見ているうちにそんな違和感も消え去りジャパリまんを食べることを意識し始めた。
ドブネズミはバスケットのジャパリまんを取りつつその場でモリモリ食べ始める。
するとその食事の横でアフリカゾウの首から長いものが伸び、見慣れぬ動きをしているのを目の当たりにした。
ドブネズミ「アフリカゾウ?それ、なんだ?」
アフリカゾウ「うん?これはマフラー。伸ばして物を取ったり巻いてジャパリまんを仕舞っとけるんだよー。はい、ジャパリまん」
ドブネズミ「ありがとう。あぁ、そこにジャパリまんを…」
ドブネズミはあのときの謎が解決して納得した。
二つ目のジャパリまんにむしゃぶりつこうと口を開けたとき、つんざくような音が響いた。
ビーーーーーーーーーービーーーーーーーーーーービーーーーーーーーーーー
ラッキービースト
「セルリアン情報
セルリアン情報
本エリアでのセルリアンを確認
本エリアでのセルリアンを確認
場所はエリアA西部
場所はエリアA西部
観測情報では中型から小型の中規模の集団のもよう
観測情報では中型から小型の中規模の集団のもよう
対応可能なフレンズは来襲に備えてください
対応可能なフレンズは来襲に備えてください
以上」
アフリカゾウ「えー、今?なんかやだなー」
ドブネズミ「アフリカゾウ、セルリアンってどんなヤツなんだ」
アフリカゾウ「目が一つ付いてててどこを見てるかわからない変な塊。」
ドブネズミ「だいぶ雑だな…要するに敵っぽいやつなんだな?」
(今のアフリカゾウがさっきまでと違う感じだ…やっぱり何か怪しいが疑うのは良くない気がする。でも一応頭の片隅にでも置いとこう)
アフリカゾウ「そ。まだこっちには来ないと思うから水飲みたいならそこの川で飲んできな。直ぐにね。」
ドブネズミ「うん…そうしとくか」
ドブネズミは川辺に行き顔から水面に近づけた。
口から冷たい水を吸い上げる。
ドブネズミ「ふぅ、水はやっぱり最高だ」
アフリカゾウ「ドブネズミ。周りを見るんだ」
ドブネズミ「おい、急に何だって…」
アフリカゾウ「セルリアンが来たようだ」
ドブネズミ「えっ」
(アフリカゾウがさっきよりもっと変だぞ!どうなってるんだ?)
アフリカゾウ「林の中、向こうに見えるのが奴らさ。」
ドブネズミ「わたしには見えない。変わったものが来てるのなら匂いがするんじゃないか?」
アフリカゾウ「基本奴らの匂いはしない。匂いは奴らに取り込まれたフレンズだけがわかるという。」
ドブネズミ「なんだって?取り込むのか?フレンズってわたし達のこと…」
アフリカゾウ「私達を喰うのは生き物らしいといえばそうかもしれないが、此方はまっぴら御免だろ。」
ドブネズミ「まあ、喰われたくない気持ちは分かるけどなんでそこまでガラッと変わるんだ?」
アフリカゾウ「? 悪いがその話は後にした方が良さそうだ。君にもそろそろ見えるだろう。」
ドブネズミ「あれか?」
(何だアレは…アフリカゾウの言ってた通りだがそんなに速くないみたいだ。)
アフリカゾウ「ああ。セルリアン共はもっと奥にも連なって群れているみたいだ。サイズは大きくないが数いるから大変かもしれない。ドブネズミは戦えるか?」
ドブネズミ「わたしだってここで終わりたくはない。だがまず逃げることは出来ないのか?」
アフリカゾウ「そういえばまだ言ってなかったか。ここのルールはヤツらを潰し、私達フレンズの縄張りを死守すること。戦わないのは余程不利な時だけだ。」
ドブネズミ「マジか……仕方ない。わたしも戦う」
アフリカゾウ「そうだ。その答えが欲しかった。ではこちらから先制攻撃をお見舞いしてみようか」
ドブネズミ「え、ちょっと大胆にもほどが…」
アフリカゾウは手頃な大きさの石を拾い上げマフラーに持ち替え、構えの姿勢をとった。
狙いを定めマフラーを振るって石が飛ぶと木の間をすり抜け先頭のセルリアンの上部にヒットした。
コンッという音を響かせたセルリアンはその場で虹の光と化し消えた。
アフリカゾウ「今のはお手本だ。石を投げてヤツらの頭の頂点に当てると近づく前に倒せる。頭上に弱点があるからな。やってみるんだ。」
ドブネズミ「なるほど、そういうことなら石は要らない。自分だけで攻撃できるからな」
『ラット!』
ドブネズミはスタンドを発現させ、照準を合わせるため地面に伏せて照準器の部分を覗き込む。
ラットの射程距離は射撃するスタンドにしては短いのだがその範囲内に対象がいることを確認しているからスタンドが使えた。
ラットが発射した弾丸、トゲのついた毒の塊はセルリアンの頭の頂点目掛けて一直線に飛び…頭上を通過していった。
その横では目で追えないほどの速さの石が飛びセルリアンが消滅している。
ボスの警報音鳴り響くなかで集中して狙撃するのは難しいとドブネズミは思った。
ドブネズミ「この距離は無理があるか」
アフリカゾウ「ドブネズミ、早くしないと直接殴りにいくことになるぞ。囲まれると有利でなくなる。」
ドブネズミ「そうだな…じゃあこうすればいいか」
ドブネズミは作戦を変えた。といっても、弱点には当たらないのでボディを狙って当てるだけである。
大まかにボディの中心の目に照準をあわせすぐに発射する。
弾はセルリアンに命中し、全体がセルリアンの体にめり込んで止まった。
撃たれたセルリアンはお構い無しに前進するが全身がみるみる溶け、虹色の光となって爆ぜた。
アフリカゾウ「それがどうなっているか分からないがやるな。しかしあと少しですぐそこまで迫ってくる。少しでも数を減らしときたいが、いけそうか?」
ドブネズミ「ああ」
(それ?ラットが見えているというのか?アフリカゾウはスタンド使いだったのか?)
ドブネズミはアフリカゾウの反応から疑問が浮かんだがこの場で聞くのは無理そうだと判断し後回しにした。
やがて二人の正確な投石と狙撃は前線のセルリアンの数を確実に削り、後ろに控えるやや大きめな個体が見えてきた。
ドブネズミにはそのセルリアンはアフリカゾウ(フレンズ)より明らかに大きく見えた。
ドブネズミ「でかいのがいるけど、小さいのと同じような弱点は見当たらないぞ?どうする?」
アフリカゾウ「あれはまだデカい方とは言えないが脅威には違いない。弱点は背後にあるから私が注意を引く。それを君が攻撃してくれ。」
ドブネズミ「なに、ヤツに向かっていくのか!?」
アフリカゾウはセルリアンへ歩きだした。
残っていた足下のセルリアンは蹴られてはじき飛んだり、踏まれて平べったくなったり、捕まり投げられて宙を舞ったりした。
ドブネズミ「何なんだ、あの剣幕で向かっていくなんて幾らなんでもおかしい。もしかしたら、アフリカゾウがセルリアンにここまで攻撃的になるのは、ただ敵だからとかじゃないのかもしれない」
圧倒されそうな程の激しい攻撃を目にしたドブネズミはアフリカゾウの隠された何かに近づいた気がした。
そうしているうちにアフリカゾウが目標のセルリアンに到達しそうになった。
セルリアンもただやられるわけが無く、腕を生やして押さえにかかる。
しかしアフリカゾウはそれをマフラーで受け止め、右腕でアッパーをかました。
怯んでいるうちにアフリカゾウはジャンプして背後に立ち、回し蹴りで転がした。
強力なキックを打ち込まれたセルリアンは、転がされて興奮状態になり、完全にアフリカゾウにターゲットを絞っている。
ドブネズミの方に来る気配もない。
ドブネズミ「さっきジャンプしたとき、アフリカゾウの目が光っていたように見えた…あれをやると強くなるのか?わたしもフレンズだというのだからどうにかすればできるかもしれないが、これも後回しか」
ドブネズミはアフリカゾウに言われた通りにして背中を見せているセルリアンの凸になっている部分にラットの照準を合わせようとした。
しかし、激しく動いていて狙いが定まりにくい。
そこでドブネズミはラットの連射で当てることにした。
ドブネズミ「ここで万が一失敗したらアフリカゾウに当たってしまうかもしれないが、わたしはもう失敗しない」
三発連続で発射された弾は真っ直ぐな軌道を描き一発が弱点に当たって溶けた。
他の二発は表面に穴をあけて溶け、周りを崩れ落ちさせる。
弱点の石が溶かされたセルリアンは咆哮をあげながら爆散した。
その直後、最後のセルリアンが倒されたらしくラッキービーストの警報音は止まった。
アフリカゾウ「ふぅ、やっと終わったね。ありがとう。」
ドブネズミ「ああ、疲れた。ってあれ、もう戻ってる?」
アフリカゾウ「うん?そうだね。言わなくて悪かったけど、この後もセルリアンに遭ったらあんなふうになるからよろしくね」
ドブネズミ「わかった。でも、他人を詮索するのは良くないとは思うけどさ、質問いいかな?」
アフリカゾウ「いいよ。なあに?」
ドブネズミ「さっきみたいになることといい、わたしが出てきたところを知っていることといい、アフリカゾウは何か隠しているんじゃないかと思ったんだ。わたしはそれを知りたい。言える範囲で教えてくれないか?」
アフリカゾウ「そうだった。戦いも終わったし、ひとまずは落ち着けそうだから話そうと思ってたの。遅れちゃってごめんね」
ドブネズミ「いや、それならいいんだ。セルリアンとやらが急にやってきてゆっくり話す時間が無かっただけだからな」
アフリカゾウ「うん、ありがとう。今から話すから聞いててね。私はね、あそこのヒトたちからあなたが来るっていわれたの」
ドブネズミ「……」
アフリカゾウ「あなたがここに慣れるように、いずれ外に出たら友達になってあげた方がいいんじゃないかって」
ドブネズミ「そんなことが…」
アフリカゾウ「あとね、あなたのラットっていうのは、なんでかはわからないんだけど、ボスがいるところだと誰にもいるのがわかるの。
スタンドっていうのを感じられるようにすることができるんだって。だからあなたがスタンド使いだってこともわかるんだ」
ドブネズミ「そうなのか」
アフリカゾウ「そうなの」
ドブネズミ「…いきなり色々出て来て、全部受け入れるのはきついが、そんなことならわたしはいいぞ。
助けてくれるつもりがあったんだろ?それに、セルリアンが来たとき言ってくれなかったらわけも分からずアフリカゾウを撃っていたかもしれない。ジャパリまんだってくれた恩人なんだし、これからもわたしの面倒をみる覚悟があるらしいことはわかる。
スタンドがわかるのは複雑だが、ラットの攻撃が危険だということをわかってくれないとわたしも困るしな」
アフリカゾウ「そうね。ほかに何か今聞きたいことはある?」
ドブネズミ「なんでわたしはここに連れてこられたか知らないか?」
アフリカゾウ「うーん、そのスタンドさんに何かあるらしいんだよね。何かは言われてないんだけどね」
ドブネズミ「ラットが?そうか…あ」
アフリカゾウ「ドブネズミちゃん?」
ドブネズミ「腹が減った。ジャパリまん食べるか。ほかに何かあったらまた後でいいや」
アフリカゾウ「そうだね。ジャパリまんの時間にしようか」
戦闘を終え、いくらか謎が明らかになって力が抜けてきたところに空腹が襲ってきた。
残り少ないジャパリまんをラッキービーストから取ろうとするとラッキービーストは今日二度目のセルリアン情報音声を発した。
ラッキービースト
「♪~
セルリアン情報
セルリアン情報
先ほどのセルリアンはフレンズによって殲滅されたことが確認されました
先ほどのセルリアンはフレンズによって殲滅されたことが確認されました
先ほどの襲撃に対応したフレンズはエリアAの総合研究所へお越しください
先ほどの襲撃に対応したフレンズはエリアAの総合研究所へお越しください
以上
~♪」
ラッキービーストを見つめながらドブネズミは少し考え、決意を表明した。
ドブネズミ「アフリカゾウ、わたしはわたしが行きたいところに行く。まずはわたしが出てきたところに戻って、ここに連れてこられたワケをヒト達から聞き出したい。閉じこめられる気がして出てきてしまったが、今はあそこに行かなくてはならない気がするんだ。」
アフリカゾウ「そう、なんだね。ドブネズミちゃんがそう言うなら私は付いていくよ。実は、ボスがさっき言ってた総合研究所ってところがあなたが出てきたところなんだ。ボスはさっき『私達に用事があるからあそこへ行こう』っていうことを言ってたんだ」
ドブネズミ「そうなのか。じゃあこちらから出向くとしよう。どうせヒトと会うことになるみたいだし」
アフリカゾウ「そうかもね。じゃあ、行こっか」
二人は来た道を戻り、ドブネズミの求める情報を得るため研究所へと向かうことにした。
その頃研究所ではラッキービーストからの映像を解析し、フレンズの観察記録が付けられていた。
??「やはり、あのフレンズはスタンドでセルリアンに応戦し善戦した可能性が高いか…これは興味深い。是非とも会ってみたいところだな。此処へ来るか?
ドブネズミ君よ」
←to be continued…
あとがき
遅くなってしまいました…
更新し続けることの凄さが身をもってわかってきました。
話の方向性がまだよくわからない感じなのは、未熟者ゆえだと思います。
分かりやすく書くことを意識して書けたらいいな…