虫喰いでないフレンズ
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アフリカゾウ
「コノハガエルちゃんは何ともなさそうでよかった…イエネコちゃんのためにも、早くセルリアンを見つけて倒さないとっ」
「ほほう、セルリアンをお探しとは変わってるねェ〜〜〜!この虫喰いが用意して差し上げようかァ?ま、お前を食わせるためだがね!!」
アフリカゾウ
「むっ、虫喰いッ!?ど、どこなのっ!見えないところにいるの?」
「はん、そんなバカ正直にみせてやるほど慢心していないんでね。それに、今おれは島の反対側にいるから物理的に不可能だ。でも?スタンドを使えば遠くの物を見ることも出来なくない、か?も?おおっと、お前はスタンドを『持っていない』か『使えない』んだったなぁあ?どちらにせよスタンド使いでないお前に勝ち目はないィィ。いでよ!」
虫喰いの掛け声により地中から這い出たセルリアンは、見上げるほどの図体以外はイメージして探し求めていた特徴をしていた。
棒を刺したような四本足が楕円球形のボディに付き、前部には4つの眼が並び、イエネコの首輪にもあった模様と突起が
る。
アフリカゾウはあまりに大きいので胴体の下に入って雨宿りでもできそうだと思った。
おそらくこのセルリアンこそが今もなおイエネコを苦しめているのだろう。
立ち上がっている脚は地上に出てから展開して四足になる仕組みであったため地中にいたら見た目が異なるどころか見ることすら不可能だったわけだ。
アフリカゾウはしゃがんで頭を抱え叫んだ。
アフリカゾウ
「い、いやああああああああああ!」
(虫喰い…って、こんな話し方なんだ。なんか変だなぁ。ドブネズミちゃんとは似てないように思えるけど…)
「む?何か隠しているな?だがそれが何なのか探るのは危険な気がする。罠のニオイがするぞ?この虫喰いを罠にかけようなどというのは浅はかだったと後悔させてや………いや、あえて掛かってやろう。突進しろ!何を企んでいるのか暴いてやることにしたぞ!」
アフリカゾウ
「土の中にこもってた方が安全だったのに出てきちゃったんだ…」
「ふお?」
小さくつぶやいたアフリカゾウは、しゃがみこんで丸くなったまま前転して向かってくるセルリアンの下に潜った。
そして、握りこぶしをつくり胴体部を見上げて構えた。
ラッシュを食らわせるためにッ!
パオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオ━━━━━━━ッ!!
「な、なんだとぉ〜〜〜〜っ!?このパワーはヤバい!逃げるんだッ!はっ!逃げられない、だと?!」
真下から浴びせられたラッシュは重厚なセルリアンのボディを浮かせた。
脚を曲げて立っているセルリアンは脚を伸ばしたが勢いがついているので間に合わずひっくり返ってしまう。
不利になった虫喰いのアナウンスには焦りの色があった。
「元の体勢に戻れっ!お前が割られるわけにはいかん!割られるんじゃあねー!起き上がるんだァ───っ」
アフリカゾウ
「フレンズがなんでセルリアンを操れるのかわからないけど、このまま倒させてもらうよ!パオオッ」
「ククククククク…ウプププ」
アフリカゾウ
「な、なんで笑ってるの………?何が可笑しいっていうの………?なんだか変だけど」
「これはちっとも変じゃあねー。こうやって笑ってるってことはお前はもうおしまいだってことだぜ。わかんな〜〜い?」
アフリカゾウ
「はッ!」
「そうさ!中には大量にあのネコちゃんに着いている輪が入ってるんだぜ?それを割るってことはどうなるか、もうわかるかねぇ?」
ラッシュを浴びせたセルリアンのボディの中心からヒビが入り、そこから穴が開いて大量に輪が飛び出した。
それをもろに浴びてしまい、何個か体に乗っかっている。
アフリカゾウ
「きゃああ───────ッ!?」
「ドッキリ大成功だ!ヘヘェァーッ!
77人組手に挑む騎士みてーに全身に輪を着けられりゃあ重くて動けなくなるわ!
そして!この虫喰いがコイツをけしかけた理由はこれだけじゃあない!」
アフリカゾウ
「気持ち悪いいいィッ
何なのこれはあ───ッ?!」
輪に付いていた突起がひとりでに動き出し一つひとつがもがいていた。
それが体の上でうごめいているのが不快だったのでマフラーで振り払おうとしたが、一度触れただけでくっついて離れなくなった。
激しく振りまわしても地面に擦りつけても一向に取れず、むしろより多くの輪が付いて重くなった。
アフリカゾウ
「もうやだあ〜〜〜ッ!こいつらどうやったら取れるのォ〜〜〜ッ!?」
「そーだなァ、マフラーごと捨てればそこについてる分だけは取れると思うなァ。
何しても外せないという現実を受け入れてそれに適応しようとする姿勢がお前には必要なんじゃあないのお〜?
ブチ割ったソイツの後始末のこともどうするか考えて無かったんだろ?」
アフリカゾウ
「んっ…………くっ………」
虫喰いの煽りを聞いてある状況を思い出すと闘志に火が着くことで逆に冷静になれた。
そこで現状を考えて、のたうち回るだけでは輪が体に触れやすくなり逆効果だと理解した。
これ以上纏わりつけられないようにと丸くうずくまるが、表面に冷たいものが染み込む感覚がした。
アフリカゾウ
「頭より小さいのになんで首に着いてるんだろうって思ってたけど、わかった…一つ一つが染み込むようにして取り付こうとしてるんだ…なんとかして外さないと…」
そう言ってもさっきから外そうするのは無駄だと身をもって実感している。
外そうとしても何も効果は得られないということはわかっていた。
しかし、得体の知れないものに支配されるということが何より恐ろしくて動かずにはいられなかった。
起き上がって輪が何重にもこびりついたまま走り出す。
同時に、腕もマフラーも可動域の端から端まで振り回した。
「ああ、とうとうパニックに陥ったか………そんなことをしてなんになるというのだ?
理性を捨てれば奇跡的にでも取れると思ったのか?
『やくそくのうた』の支配からは絶対逃れられないというのにねぇ」
ドブネズミ
「なんか知ってるような声がすると思ったらよぉ〜、アフリカゾウも虫喰いもいるようだな!」
「な………なに?この声は…」
アネハヅル
「お〜〜〜い!アフリカゾウ〜〜〜!」
アフリカゾウ
「え………?アネハヅル?ドブネズミちゃんも?どこから来たの?」
インドガン
「上からさ!」
イエネコ
「そして!ふっか〜ッつっ!観念しな虫喰いッ!」
「うげ、あのやけにしぶといネコまで一緒だというのかッ!?
しかたない、おまえらは自由だ!
好きにコイツらに取り付いて自由を奪ってやれ!」
イエネコ
「他人の自由を奪おうとしといて、自分一人だけ好きにしようなんてこと許すわけないでしょっ!」
ドブネズミ
「おいっ!イエネコ!なんかうじゃうじゃいるみたいだが大丈夫なのか?あれの一つひとつがさっきまでお前についてたやつと同じみたいだが?
アフリカゾウなんか全身輪っかマミレだし。それでも動きまわってくれてなかったら上からは見つけにくかったよ」
アフリカゾウ
「みんなきた…きてくれたんだ…」
イエネコ
「もう知ってるわ!ドブネズミは上から援護してよね!」
アネハヅル
「うぇ〜っ、入れ食い状態だね。ここに飛び込んだら輪っかだらけになっちゃうみたいだよ」
インドガン
「なるほど、上からでも十分そうだ。はァっ!」
ドブネズミ
「その技はいまのアネハヅルには無理そうだな…代わりにわたしが頑張るよ。しっかり持って てくれる?」
アネハヅル
「わかったよ!頑張って!」
四人もの加勢があったことで形勢は逆転、不利を悟り捨て台詞を残した虫喰いの声はその場ではもうしなくなった。
上からのうごめく輪の群れに『ラット』を射ち込みまくるドブネズミ、手刀で衝撃波を発生させて当てるインドガンのダブルアタックによりみるみるうちに数が減る。
地上の輪の群れの端の方では、イエネコが駆け回りながら手で一つずつ潰していった。
アフリカゾウはそれを顔にも引っ付いている輪の隙間から見て何か閃き、握りこぶしをつくるとマフラーを挟むように殴りつけた。
すると一瞬にして全身の輪がサンドスターのきらめきを残して消え去った。
そして、未だ残っていた割れた本体をイエネコが叩いて完全に消滅させた。
イエネコ
「ふー、この私としたことが輪っかを倒す方法を知ってたのにすっかり油断したところに一つだけ取りつかれて自信を無くすなんてね。
首を自分で傷つけるのは少しだけ勇気が必要だったけど、やってみればなんてことはなかったわ。
『ラット』で物が溶けるところを見たら、あれよりは自分でやるほうがマシって思うわよ」
ドブネズミ
「そ、それを言ってくれたからイエネコもアフリカゾウも助かったんだ。
アネハヅルとインドガンが戻ってきてくれたからでもあるがね」
〘首輪の攻撃でイエネコが気絶してたところに静かに溶かそうとしたところですぐ目が覚めたんで急いでラットでやろうとしたら、イエネコの方からやろうと思えば素手でも倒せるから射たないでと言われるなんてな…
素手で首輪を切ろうとしたら突起がひっくり返ったてんとう虫の足みたいに暴れだして不安になりはしたが、何の躊躇いもなく豪快に引き剥がしたんだから驚かされたっての。
じゃあ何故出来ると知っててやらなかった?
敵の本質を知らなかったのか?
逆に己を知らなかったのか?
スタンドに素手で触れられた謎はわたしにはさっぱりだが、調べとく価値はあるな………
マイにもアフリカゾウにも秘密にしておこう〙
アフリカゾウ
「みんな…」
イエネコ
「アフリカゾウ、よくわかったわね。『やろうと思うこと』こそが最も大事なんだって気づけたら後は簡単だって」
アフリカゾウ
「うん?そ、そうだね(?)。それもあるけど、けものプラズムはフレンズの意思によって操れる、とかってマイが言ってたからもしかしたらってね。あってる?」
イエネコ
「ええ」
アネハヅル
「相変わらずマイってヒトの言うことはカタいからよくわかんないや。
でも、できるって思うことは大切ってことだよね!」
インドガン
「そう、だな。じゃ、そろそろあたしたちはこれで。用事があったんだ」
アネハヅル
「あ、いっけない!じゃ〜ね〜!」
アフリカゾウ
「う〜ん!ありがとね〜!」
イエネコ
「あ…お礼しそびれたわ。いつかお返ししなくっちゃあね」
ドブネズミ
「ふ〜〜〜う。面倒なやつだったが、なんとかなって良かったな。報告はやっとくから休んどけ。このスマートフォンで写真撮ったらもっと簡単かつ正確に敵の姿を撮って送れるのになぁ〜。ふあ〜〜〜わっ」
アフリカゾウ
「あ、アクビした。もう夕方だし休もうか」
ドブネズミ
「ああ、そうだな。書いたらそこらへんの痛くなさそうなところで雑魚寝だ」
イエネコ
「ふたりとも早寝ね。私は虫喰いを探しに行くわ」
ドブネズミ
「おい、そんなに無理することはないぞ?お前も疲れてるはずだ。一緒に休んでいかないか?」
アフリカゾウ
「イエネコちゃんだけが虫喰いを追ってるわけじゃないんでしょ?コノハガエルちゃんに会って聞いたよ。虫喰いのことはイエネコ一人で解決できる問題じゃあないって、思ってたから皆に言ったんだよね」
イエネコ
「うん……わかった。そう言うんなら、あんた達と一緒に虫喰いを追うから一緒に休む。いいかしら?」
ドブネズミ
「いいさ。イエネコの好きにするのを止める理由はない。三人の方が楽しいかもしれんしな」
アフリカゾウ
「お、三人になったんだね!これからはもっと楽しみだね!」
ドブネズミ
「ん?そーするってことは、セルリアン調査も手伝ってくれるんだよな?マイに言わなきゃならんかもしれんしな」
イエネコ
「え?なんかやんなきゃならないの?戦いは任せてくれていいから面倒くさいことはなんにもやらなくていいわよね?」
ドブネズミ
「んむむむ…やらせる理由はないし断られたのを押し通すのは気が引ける…」
イエネコ
「『でもなんかその理由は気に食わないんだが〜』とでも言うのかしら?」
ドブネズミ
「でもなんかその理由は気に食わないんだ………!そうだ。虫喰いのことだけは一緒でいいか」
アフリカゾウ
「一緒にやろー!」
イエネコ
「ふふふ…」
アフリカゾウ
「フフフっ」
ドブネズミ
「ははは…」
こうして二人が三人になり休もうとしていたころ、忘れられていた者は仕事のため二人の元に戻ろうとしていた。
ラッキーと呼ばれるその機械は、ドブネズミの腕の通信機に内蔵されているGPSを頼りに三人に接近していた。
ラッキー
「ジジジ……
認証完了。16時間後に到着予定……」
「ふん、こんなものもいたのか…。使えるものは何でも使ってやるぜ。この虫喰いはな…。『試練は克服する為にある』んだって教えてやるには都合がよさそうだしな…」
← To Be Continued //┃
長い休みに入ったので久しぶりにお絵かきしてアイコン変えました。
説明のため第四の壁をラットに溶かしてもらってお話をしてもらいました。
の「おれは用済みか」
ドブネズミ「そうでもないらしいが」
アフリカゾウ「『虫喰いでないフレンズ』が完結したら戻すらしいよ〜」
の「それマジ?」
ドブネズミ「ま、忘れられたくなきゃあ洋菓子を買い続けることを祈るしかないな。お前、洋菓子だろ?」
アフリカゾウ「君のかお?はおぼえやすいからきっと忘れられたりはしないよ!」
の「よしわかった待つぜ」
の菓子は待つことを始めた。
すでに画像だけの存在であるため腐ることを知らず、ひたすら待ち続けるのだ。
そして明日を楽しくむかえるための最善の待ち方にたどり着いたの菓子は、やがて考えるのをやめた。
がんばれ の!