虫喰いでないフレンズ
二話 アフリカゾウに会う
ののののののののののののののののののの
前回(>> 291)までの虫喰いでないフレンズ
スタンド使いだったドブネズミの遺体にサンドスターを人工的に浴びせてフレンズが生まれた!
そのフレンズは生まれてすぐ施設を脱走し外の世界を見ることになるのだった…
ののののののののののののののののののの
ドブネズミは飢えていた。
ドブネズミの食料になるのは主に動物のタンパク質で、人間の生活圏内で暮らしていれば困ることはなかった。
だが、疲れるくらい走っても林が続くばかり。
ドブネズミは食料の匂いを探すが慣れない土地の匂いだらけでそれどころではなかった。
「出て来ちまったけど、ここは何処なんだ……?ったく、草や茎は気が進まんが飢えて果てるよりはマシか」
覚悟を決めて草を食べ始めようとしたそのとき、ドブネズミを制止するように横から何かが差し出された。
「ギッ!?」
驚いて後ずさり、見上げた視線の先には…
「どうしたの?草なんて私でももう食べないよ?それにジャパリまんじゅうの方がおいしいよ」
「だだだだ…誰だ!」
「私?私はアフリカゾウ。」
「あ?」
「もう、そんな怖い顔しないでよ。これを食べて元気になってほしいのに」
「くれるのか!?…なんて、そんなストレートな罠にこのわたしが掛けられるわけないだろ」
「疑ってるね…でもまあ、あそこから出てきたのなら無理もないか」
「あそこだと?お前なにか知ってるのか!?…あ」グゥー
「あーあ、お腹鳴らしちゃって。我慢しないでいいんだから。それに、毒なんか入ってないよ。いつも食べてるんだから。」
「貰おうか…」
「はい、どうぞ」
ドブネズミは飢えによって突如現れたアフリカゾウなる者を怪しむことができなかった。
だが、後にこれこそが自らの命を救うことになると思い知ることになる。
アフリカゾウから受け取ったものは最初硬い葉のような食感と無味であり中に柔らかい物があるとドブネズミは感じた。
ドブネズミの食べ物への鋭い勘はその外側が包みであることを理解し、瞬く間にそれを歯で破って『本体』を取り出した。
「袋ごといっちゃうのにそこからジャパリまん取り出すなんて、珍しいね。何故外側が食べられないとわかったの?」
「当たり前だ。何が食えるか食えないか判断するのは必須スキルの一つだからな」
ドブネズミはネズミの食べ方のように両手で持ち袋を千切りながら少しずつまんじゅうを咀嚼していった。
そんな単純な速さで言えば非効率的な食べ方をしていたかと思えば見る見るうちに完食してしまった。
「うわっ。食べるの速いね」
「おい、さっきのあそことやらをまだ聴いてないぞ」
「ああ、それは私についてくればわかるよ。だいぶかかるけどね」
「だいぶってどのくらいだ?あとそもそもついていくってなんだ!?」
「ふふん、後でわかるから。というか、お願い!あなたに着いてきてほしいの!なぜかはちょっとずつ教えるから!」
「あのな、わたしは振り回されるのは嫌いなんだよ。自由に生きられないのは御免だ!」
「ええと…言い方が悪かった。私はあなたに『ついていく』」
「なんだと?わたしについてくるってどういうこと…」
「そういうこと。まずはあなたの名前を教えてくださいな」
「だからどういうことだよ……名前はなんて言ったか、ドブネズミって呼ばれたのを憶えてるけど」
「じゃあ決定!あなたはドブネズミちゃん!宜しく!」
「はいはい、宜しく。それじゃあ早速、えぇっと」
「アフリカゾウ。」
「アフリカゾウ、わたしは全然満足してない。もっとあれをくれ」
「ジャパリまんね。さっきので最後」
「え?今ので最後?ここに入ってるんじゃあ…」
「ひゃん」
「な、何だよ。そんな声だすなってうわっっ」
「ドブネズミちゃんたら大胆だこと。
という冗談はここまでにして、あれ、ジャパリまんは『ボス』達から貰うものです。私の分も必要なのでボスを探しましょう。ということでいざしゅっぱーつ」
「さ、さっきのジャパリまんっての探すのか?おい、突き飛ばしといておいてくなよ。嫌だったんなら悪かったって。気をつけるから待ってくれよぉ。さっきはわたしの方についていくって言ったのに!」
(さっきはどこから出したんだあのジャパリまん…)
恥ずかしさから言葉がちょっと固くなったアフリカゾウはドブネズミをおいて何処かに行きそうになった。
早足なアフリカゾウについていくため駆け足気味でドブネズミは歩くのだった。
(わたしは自由になりたいと思って抜け出してきたのに振り回されているんじゃあないか?食料の為には仕方ないかもしれないがより不自由なことにならないためにはついていくのが最適か…)
←to be continued…