虫喰いでないフレンズ
12話>> 596
ドブネズミ
「激しく動かれないようにするだけでいいんだ。
引き受けてくれるか?」
アフリカゾウ
「わかった……なんとかしてみる」
ドブネズミ
「よぅし!」
ハブ
「ウギギギギ…」
ドブネズミは再度高音を出して部屋全体を感じ取ろうとした。
ドブネズミ
「ハブのことを知っているというなら何か作戦があるはずだ。
アフリカゾウには…」
その一方で、アフリカゾウは…
なんと!
組み合っていた腕を突然解いた!
まるでハブの攻撃に全く対処しようとしていない!
突然の出来事にハブは
『何も対処できず』
いや、
『何もせず対処しよう』
と腕立ての姿勢でアフリカゾウを見つめている!
ドブネズミ
「アフリカゾウ……?しっかりとおさえてくれてるか?」
アフリカゾウ
「……………」
ハブ
「………」
ドブネズミ
「ハブが大人しいようだ…。
大丈夫そうだな。
大きな動きは何も感じられなかった。
念の為、探知を続けながらいくぞ」
『ラット』を発現させ攻撃の準備を整えるうちにドブネズミはハブが暴れださないか心がかりであったものの、何も気配の変化はないようで安心した。
ドブネズミ
「────そろそろいいか。
『ラット』!
いや…何かおかしい……
『動き』だけじゃない!
『何もない』!?」
アフリカゾウ
「えっと、何か問題があったの?」
ドブネズミ
「たしかに、そこにアフリカゾウとハブはいるのに!
わたしの『ソナー音』は何にも当たらず壁まで到達し、そのまま跳ね返ってきている!
これではハブの頭を捉えることができない!
まさか、何かしら対策を…」
ハブ
「ククククククク」
アフリカゾウ
「ハブちゃん!?」
ドブネズミ
「ハブ!?」
ハブ?
「このフレンズの身体はオレのモノだ!
オレの名は『ハロー!アイドル』!
今コイツの頭に取り付いている!
オレがコイツに出会えたから簡単にお前らにも出会えたぜ!
オレは両方のスピーカーから流す音で取りついたヤツのことを操れるッ!
コイツには、オレの『防音効果』で何も聴こえちゃあいねえのさっ!
お前らの声は届かねーんだぜ!
そして!さっきはそこのネズ公が作戦をベラベラしゃべくってくれたから、簡単に対策できたんだぜッ!
これでお前らには何も打つ手は無い!
もうお前らはお終いだァ━━━━━━━ッ!
ウシャシャシャシャ━━━━ッ!!」
ドブネズミ
「何ィ━━━━━ッ!?
テメー聞いてたってのかァ━━━━ッ!!」
アフリカゾウ
「そんな……なんてこと……」
笑い声を漏らしだしたハブの口からは敵の名が出てきた。
そして、明らかにハブとは異なる声で、調子に乗りながら正体と能力を喋りだした。
ドブネズミはまさか敵に作戦を聞かれていたなんて思いもしなかった。
取り付いている敵が自ら正体を明かしてくれたことなんてことさえも。
一方アフリカゾウは、友を狂わせた悪が間近にいるのを実感し、拳に力がこもる。
ドブネズミ
「お前ェェェェェェ!
ハブから離れろォ━━━━っ!!」
ハブ(ハロー!アイドル)
「もう遅いわっ!
このハブが持つ毒でお前らをジワジワと…」
アフリカゾウ
「なんてことを…するんだ……」
ハブ(ハロー!アイドル)
「だから何をしたってもう遅いんだよてめーらは!
必殺の毒をくらえッ!」
アフリカゾウ
「私がハブを……ブチのめさなきゃあいけなくなったじゃあないかッ!」
ドブネズミ
「アフリカゾウ?まさか、あのときの…」
ハブ(ハロー!アイドル)
「なんだと?
このオレをフレンズごとやるってのか?
出来るもんならやってみ
───ガブッ!?」
ドブネズミ
「あのときのようにまた、いつもとはまるで違う感じになった……。
『野生開放』して力を使っている。
ハブごと再起不能にするのか?
そんなことわたしにはとても真似出来ない……
『ラット』なしでハブに勝てるなんて……」
ハブ(ハロー!アイドル)
「バカなッ…そんなはずは……ブゲァっ!?」
アフリカゾウ
「『ハロー!アイドル』とか言ったな。
お前だけを再起不能にする。
この状態なら私にもお前の位置がわかる。
ハブはお前の自由にさせない。
覚悟しろ」
ハブ(ハロー!アイドル)
「あり得ない!
オゴォッ!
こんなことが!
ウガッ!……………」
アフリカゾウの攻撃に取り付いた敵は全くの無力だった。
激しい攻撃の衝撃により『何か』がハブの頭から外れ、軽いものが落ちる音がした。
ドブネズミ
「やった……」
アフリカゾウ
「ドブネズミ、ヤツはもう落とした。
トドメをさせ!
……ハ…ハブちゃん………」
ハブ
「……あれ?ここは…」
ドブネズミ
「わたしだ、ドブネズミだ。
おぼえてるか?
ここで三人でじゃぱりまんを食べた」
ハブ
「ドブネズミ……尻尾はなかなかハムりがいがあったぞ」
ドブネズミ
「ハハハ……覚えてるみたいだな。
よかった…」
アフリカゾウ
「ハブちゃん……ごめんね……大丈夫?」
ハブ
「アフリカゾウ?ハブは歯磨きしてたハズなんだが、何があった?」
アフリカゾウ
「その…それがね……」
ハロー!アイドル
《チクショオォォォォォッ
オレがこんな単純な攻撃でやられるなんてありえねえッ!
おいおめーら!
オレを忘れるんじゃあねーぞ!
オレはまだ諦めてねえ!
さっきはつい調子に乗ったが全部喋ったわけじゃあねーんだ!
こんな状態のオレでも出来ることはあるんだぜ!》
ハブ
「なんか変なやつの声が聞こえるんだが、ハブがおかしいのか?」
アフリカゾウ
「大丈夫だよ……。私にも聞こえるから」
ドブネズミ
「何を言ってやがる!
既におしまいなのはおめーだけだ!
くらえ!『ラット』!」
ハロー!アイドル
《ハァッ!》
敵は音波をスピーカーの外へ発し探知を妨害しようとする。
しかしドブネズミは既に対処法を見出していた。
ハロー!アイドル
《クバッ………
壁を反射して何かを飛ばしてきたか………
オレが消えていく…
オレはもう終わりかッ!
だがこれで終わりと思うなよ……
オレたちは…》
そう言いかけた『ハロー!アイドル』は言葉を二度と発さなくなった。
そして陶器の皿が割れるような音がして、洞穴の暗闇に静寂が訪れた。
ドブネズミ
「何かを言いかけたように聞こえた……
おそらく、もう敵は消滅した。
触っても問題ないだろう。
コイツは回収しなくてはならんから、下手に触れないのはじれったかったな。
なあアフリカゾウ?」
アフリカゾウ
「よかった……ごめんね………ハブちゃん…」
ハブ
「???お?おい?ハブはどうかしてたのか?なんか顔が痛いけど」
ドブネズミ
「それは全部説明するよ。ひとまずは、ここを出よう」
三人はさっさと穴から脱出して外の空気を吸いに行った。
ハブはあとから意識を回復し状況が飲み込めていなかったようなので状況を説明することにした。
ののののののののののののののののののの
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???
「信ジラレン…
コレガアノ『アフリカゾウ』ダト言ウノカ……
ソレニシテモ…アイツメ…
余計ナコトヲ言ッテクレテ…
シカモ、ワタシガ姿ヲ見セズニ回収スルノガ困難ニナッタジャアナイカ……
コンナ狭苦シイ空間ニ籠モルハメニナッタガ、下手ニ出テイクヨリハマシダ……
マダ、堪エルトシヨウ…」
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ののののののののののののののののののの
その頃研究所ではマイがコーヒーを啜って休憩しているとニュースに流れてくる。
アナウンサー
「ニュースです。
今日の午後1時頃、原因不明の昏睡状態に陥っていた人気アイドルグループの△△さんが意識を回復したとの情報が入りました!
繰り返します!
今日の午後1時頃、原因不明の昏睡状態に陥っていた人気アイドルグループの△△さんの意識が回復したとの情報が入りました!
△△さんは3ヶ月ほど前、音楽番組出演を控えていたところ突然意識を失って以来、芸能活動を休止し治療に専念していました。
しかし、精密検査を繰り返したにもかかわらず、一切原因が判明しないままでした。
△△さんが所属するグループ・○○○は活動を続けていましたが………」
研究員A
「△△が?結構長く寝たきりだったけど急に大丈夫になったのか」
研究員B
「△△…△△が…戻ってくる……」
研究員A
「おい、△△はもう忘れたんじゃあなかったのか」
研究員B
「マズいんだ…俺は浮気者だ…前は■■がちょっと気になってるだけと思ってたが、最近は■■のことばかり考えてたんだ…」
研究員A
「好きになったんなら誰だって我慢しないでいいだろう」
研究員B
「そういうわけにはいかねーんだよ!やっぱり俺は生涯△△推しだァーー」
研究員A
「懲りねえか…その方がお前らしいな」
マイ
「そうか……そういうことか」
研究員B
「な、何です?コノシマ主任?主任も気になるんです?」
マイ
「何でもないよ。気にしなくていい」
←to be continued…
スタンド名:ハロー!アイドル
破壊力:E
スピード:E
射程距離:E
持続力:A
精密動作性:E
成長性:B
ヘッドホン型のスタンド
本編に登場するのはセルリアンそのもの
(本来はスタンド像で現れ本体が着けさせるかヘッドホンに宿らせて発動する)
自分では動けないが着けさせることで発動する
動作のためのエネルギーは取り付いたフレンズからサンドスターを吸い取って補う
音楽を流し、外部からの音をシャットアウトしつつ着けた人間(フレンズ)を操る
宿主の見えないところからの攻撃などはコレ自身が感知し音楽で知らせる
👍
😊