虫喰いでないフレンズ
13話>> 601
三人が巣穴から出てきたとき、木々の間から午後の日が差し込んでいた。
ハブは普段この暖かい時間に外に出ることはないが、使っていた巣穴で騒動があってはもう安心して使うことはできないため二人と一緒に出てきた。
ドブネズミ
「はぁー………外は開放感が違うな。なんかどっと疲れが出てきたような…」
アフリカゾウ
「はぁー……外が眩しいねー」
ハブ
「広い外も悪くないな。元はじゃぱりまんが来ないから出ていったんだし」
ドブネズミ
「もう敵は倒したし、寝かせてくれないか。
すげー疲れたんだ。じゃぱりまん不足な上にここんところ戦闘続きで身体がエネルギー足りなくて悲鳴をあげてる」
アフリカゾウ
「うん、目が覚めるまでここで見てるからしっかり寝てていいよ。おやすみ」
ドブネズミ
「ありがとう。おやすみ……」
ハブ
「ドブネズミ、おやすみー。じゅるり……はっ」
アフリカゾウ
「食べないで!」
ハブ
「ドドっ、ドブネズミぃ?安心して眠っていいぞ〜。ハブはドブネズミを食べようだなんて思ってないからな〜」
アフリカゾウ
「ほんとぉに〜?」
ハブ
「グゥ〜〜……でもほんとだぞ!」
アフリカゾウ
「じゃぱりまん無かったんだね……あとで探しに行こうか。
あ、さっきまでの事、話しておかなきゃいけないんだった。
ハブちゃんが離れてからね」
ハブ
「そうだな。ハブが歯磨きに行ってから何があったか憶えてないんだ…」
ののののののののののののののののののの
ドブネズミ
「………おはよう……アフリカゾウ?」
─────────────────
ドブネズミ
「何事だ?静か過ぎるな」
ドブネズミは寝覚め後すぐに敵の襲撃を感知し警戒した。
初めての敵スタンドの襲撃のときと同じく、知らないうちに近くにいた仲間が居ない。
しかし、今回はそれとは全く同じと言えない。
ドブネズミ
「コイツは厄介だな……こんどはわたしが初めに瞬時に連れ去られたのか?
あのときは勘が冴えてたからたまたまあってたようなものだ。
これでマイに連絡をとろう。
きっとボスを使ってなんとかしてくれる……
ハッ!ボスだって?
最初からボスが配りに来なくてハブが困ってると言えばよかったのか……
どっちみち連絡はとるから今はまあいいか」
ドブネズミは腕の通信端末で通話をするために起動ボタンを押した。
しかし、何も反応はない。
ドブネズミ
「なに?なんで使えない?押す力が足りないのか?ふん、ふん」
???
「あなた、機械オンチですね?そんなことでは普通解決しません。それに、ここには電波は来ていませんわ。使えないのは当然です」
ドブネズミ
「なに!?!?
何者だッ!?
いつからそこにいる!」
???
「わたくしは『夢みるプリンセス』。
プリンセスとでもお呼びください。
ついさきほどからあなたの側にいました。
ところで、あなたはなんという名なのですか?」
ドブネズミ
「……ついさっきからだと?
わたしはそこで寝てたんだぞ?
起きるのを待ってたとでもいうのか?」
夢みるプリンセス
「わたくしは質問に答えていただけないのにあなただけ一方的に質問なさるのですか……
礼を知らぬ者には罰を与えなければなりませんね…」
ドブネズミ
「おめー、怪しさ全開でのぞみ通りのことをしてもらえるとでも思ってるのか?
『ラット』ッ!!」
ののののののののののののののののののの
ハブ
「そうだったのか……。
教えてくれてありがとうだぞ、アフリカゾウ。
気にしすぎるのは良くないから、忘れていいぞ」
アフリカゾウ
「ハブちゃん……ありがとね」
ハブ
「さ、ハブはこれからボスを探しにいくが、アフリカゾウはどうする?」
アフリカゾウ
「わ、私は島をまわらなきゃいけないし、ドブネズミちゃんを放っておけないからそんなに出歩けないよ」
ハブ
「そうか。こいつはハブのことを助けようとしてくれたんだ。だからハブもドブネズミを守るもんだな。」
アフリカゾウ
「ありがとう。でも…」
ハブ
「でも?」
ののののののののののののののののののの
ドブネズミ
「『ラット』ッ!!
………………………………
『ラット』!!!
………………………………………………」
夢みるプリンセス
「無駄ですわ。何度叫んでもあなたのスタンドは来ません」
ドブネズミ
「バカなッ!?
なぜだ!?」
(バカなのはわたしの方だろ!
ちくしょう、なんてザマだ…
『ラット』が使えないのを教えられるなんてな……)
夢みるプリンセス
「いえ、あなたを罰する前に、わたくしの能力を先に説明しておきます。流石にあなたが不憫ですもの。
おほん。
あなたが今見ているのは、『精神の深層の世界』です。
生きとし生ける者の精神というものは、奥底で繋がっている。
皆さまがこの世界に来なされば、たとえ現実で意識が無くても健康そのものの状態でお話を交わすことができますし、訳あって現実では動かせない品物を動かすことも可能です。
この世界に来られるのは、眠っておられる方たち。
わたくしは眠っているあなたの精神をここにお連れしたのですわ。
眠っている方たちの精神というものは無防備・無抵抗ですから、いとも容易く引きずり出せるわけです。
今一度申し上げますが、現在いるのは『精神の深層の世界』。
ここに至るまでの間、わたくしにはある程度皆さまの精神を弄ぶことができます。
スタンドをお供させるかさせないかは操作が可能です。
つまり、あなたの精神からその『ラット』というスタンドを引き剥がさせていただきました。
スタンドが使えないのはそのため。
と、説明はこのくらいにしましょう」
ドブネズミ
「説明ご苦労さん。
空を見上げたらアフリカゾウとハブの声が響いてくるのがなんでかは言わなくていいのか?」
夢みるプリンセス
「それは質問ですか?」
ドブネズミ
「はは〜ん?ちょっとわかったようなことを言わせてもらうが、何も知らない相手と戦って負けるのが恥ずかしいから長々としゃべくってくれたんだな?全部は説明しないところを見るにそう思ったよ」
夢みるプリンセス
「何を仰ると思えば、また失礼なお方だこと。あなたには少々恥をかいていただきましょうか」
ドブネズミ
「はっ、恥なんていくらでもかいたわッ!
『ラット』は使えないが充分だ!」
夢みるプリンセス
「ふむ、スタンドはお使いにならないつもりなのですね。では、逆転の発想というものをお教えします」
ドブネズミ
「なに?」
夢みるプリンセス
「はぁっ」
ドブネズミ
「………?なぜわたしは地面に手をついている?
う!?首がっ!?」
夢みるプリンセス
「あなたはこれから『スタンドになる』」
ドブネズミ
「『ラット』に……」
ののののののののののののののののののの
アフリカゾウ
「はぁ…今日はここで寝ることになるかな。ドブネズミちゃん、寝たらずっと起きないもん」
ハブ
「そんなに長いのか?外でずっと寝るより、安全なところに運んでやった方がいいんじゃないか?」
アフリカゾウ
「なるほど、それがいいね!運んであげよう」
ののののののののののののののののののの
『精神の深層の世界』
ドブネズミの姿は完全に『ラット』と同一のものとなった。
これにより動作が大幅に制限され、自力での移動が著しく困難になる。
ドブネズミ
「……」
夢みるプリンセス
「その状態では自力では殆ど動けないことでしょう。
動けるのは、わたくしが運んで差し上げるか、若しくは誰かが外であなたを運ぶときだけですわ。
そして、後者の状況はめっ……」
ドブネズミ
「……?どうした?」
夢みるプリンセス
「っったにあるものでは無いと申し上げるところでしたのに……
ほんっと、空気を読まないのですね。
あなた、動いてますわよ」
フワァ〜〜〜
ドブネズミ(『ラット』化)
「なる程、アフリカゾウたちがわたしの体を運んでいるんだな。
地面はゴツゴツしてて普段なら使おうとも思わないくらい寝心地悪そうだったから助かった。
………あ?えっと、なんでこんなんにされてもしゃべれるんだ?」
夢みるプリンセス
「そんなの、喋れなければ百害あって一利無しだからに決まってます。意思疎通は阻害したくありませんから。さて、これからあなたが音を上げるまでわたくしがあなたを『処刑』致しますわ。お覚悟なさってくださいな」
ドブネズミ(ラット化)
「なんてこった……
穴の中でのことを報告しなきゃあならないのに何も出来ないなんて…
アフリカゾウ!ハブ!寝るんじゃあない!寝たらこの世界に閉じ込められる!」
夢みるプリンセス
「そう、現実にいる方たちはアフリカゾウ様、ハブ様の二名なのですね。申し上げておきますが、ここにいたら現実の方たちへは幾ら叫んでも声は届きませんわ。あなたは眠っておられますもの。まわりの方たちからは安眠中としか思われないのです。
それと、申し忘れていたことがありました。
あなたがこの世界から出られるのは丁度12時間後。今は午後2時20分頃ですから、お目覚めになれるのは明日の午前2時20分頃でしょう。
さあ、今度こそ説明は終わりですわ!
お覚悟をッ!」
ドブネズミ(ラット化)
「くっ……」
(12時間後?どれくらいなのか分からんが、なんか長そうではあるな。ここにきて長丁場はキツいが……)
ののののののののののののののののののの
現実では、アフリカゾウがドブネズミを背負いながら移動している。
最初は運び役をハブが志願したが、眠っている間に咬むかもしれないということでアフリカゾウが担当することになった。
ドブネズミ
「すぅ…すぅ…」
アフリカゾウ
「ドブネズミちゃん、寝息たててる」
ハブ
「フフフ、やっぱツバが出る…ごくっ、ボス探しは早めにしたいな」
アフリカゾウ
「うん、早く見つかるといいね……あれ?なにかしなくちゃいけないことを忘れてるような…」
ののののののののののののののののののの
︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽
???
「ナントイウコトダ…
残骸ガ全テ持チ去ラレテシマッタ…
最終手段ニ打ッテ出ル他ナイカ…
シカシ、タイミングハマダダ…」
︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾
←to be continued…
今回初登場のスタンドは、姫(プリンセス)がギロチンを使ったら面白いんじゃないかなって思ってたんですが、体の部位が落とされるようなのはやめたほうがよさそうだったのでやめにしました。
代わりに全く異なるスタンドに変化しました。
コイツの能力をメタ的に便利に使わせてもらって、ストーリーを進めていきたいと思っているのでそこに注目してもらいたいです。
👍
ありがとうございます!!
短めですが二話書きためてあるのでもうすぐ投稿します!