ここはジャパリ文庫
SSシリーズを投稿するスレです。
多分何言ってるかわからんと思うからざっくり説明すると、
出版社みたいにここでたくさんの作者さんがSSを投稿し、みんなを楽しませる感じのスレ、
個人で出すよりこういう感じで出した方が知名度も上がるかもしれないし、何より人気投票とかも取るつもりだから(取らないかもしれないけど)みんなももっともっとSSという存在に触れられると思うんだ。
だけど作者さんが傷つくようなことは言うなよ、おかしいと思ったらおかしいっていうのは悪いことじゃないがアドバイスって形で言ってよな
1・まず宣伝をする。
「漫画雑誌とかでいう読み切りみたいなの、ざっくりとしたあらすじとか書いたらいいと思う。[近々公開]とか[○月○日公開予定]とかも書いていいよ(これは好きな時に書いてね)」
2・投稿する。
「書いた自分の作品を投稿しよう。長さはどんだけでもいいしクロスオーバーでもいい、面白い作品を作ろう(読者さんは感想などを書こう。作者さん、喜ぶよ)」
3・続きを投稿する
「続きは一週間後くらいに投稿しよう。予定や気分で投稿できないなら作者かわかるようにしてから[今回は投稿できません]と書いておこう」
自分の作品を投稿して、君もスターになろう!!
・すでにSSスレで投稿している作品でも、こちらで投稿しても良いとする。(ただし、SSスレとここと両立されて投稿すること)
・すでにSSスレで投稿している作品をこちらで投稿する場合、すでに書いている話を一気に投稿しても良いとする
・一人につきSSは何作品も投稿しても良いとする
(投稿できないなどのことは自己責任でお願いします)
・クロスオーバー作品を書く場合はなんの作品とのクロスオーバーなのかを明確にする。
(タイトルの横に「けもフレ×???」という形で書いておくなど…)
・最新話を上げる時、前回のアンカー付けを忘れずに
・SSの最後に予告をつけてもいいとする。
又はつけなくてもいいとする。
・書けるSSは、けものフレンズのSSのみとする。
・ SSを投稿する場合は
ラベルをつけて投稿すること
《【現在連載中の作品】》
・【アラフェネぶらり旅〜まんまるを探して2周目〜】(完結)
・【サバずきんちゃん】
・【アナザーワールド・サンドスターストーリーズ】
・【けものフレンズ2】
・【虫喰いでないフレンズ】
虫喰いでないフレンズ
13話>> 601
三人が巣穴から出てきたとき、木々の間から午後の日が差し込んでいた。
ハブは普段この暖かい時間に外に出ることはないが、使っていた巣穴で騒動があってはもう安心して使うことはできないため二人と一緒に出てきた。
ドブネズミ
「はぁー………外は開放感が違うな。なんかどっと疲れが出てきたような…」
アフリカゾウ
「はぁー……外が眩しいねー」
ハブ
「広い外も悪くないな。元はじゃぱりまんが来ないから出ていったんだし」
ドブネズミ
「もう敵は倒したし、寝かせてくれないか。
すげー疲れたんだ。じゃぱりまん不足な上にここんところ戦闘続きで身体がエネルギー足りなくて悲鳴をあげてる」
アフリカゾウ
「うん、目が覚めるまでここで見てるからしっかり寝てていいよ。おやすみ」
ドブネズミ
「ありがとう。おやすみ……」
ハブ
「ドブネズミ、おやすみー。じゅるり……はっ」
アフリカゾウ
「食べないで!」
ハブ
「ドドっ、ドブネズミぃ?安心して眠っていいぞ〜。ハブはドブネズミを食べようだなんて思ってないからな〜」
アフリカゾウ
「ほんとぉに〜?」
ハブ
「グゥ〜〜……でもほんとだぞ!」
アフリカゾウ
「じゃぱりまん無かったんだね……あとで探しに行こうか。
あ、さっきまでの事、話しておかなきゃいけないんだった。
ハブちゃんが離れてからね」
ハブ
「そうだな。ハブが歯磨きに行ってから何があったか憶えてないんだ…」
ののののののののののののののののののの
ドブネズミ
「………おはよう……アフリカゾウ?」
─────────────────
ドブネズミ
「何事だ?静か過ぎるな」
ドブネズミは寝覚め後すぐに敵の襲撃を感知し警戒した。
初めての敵スタンドの襲撃のときと同じく、知らないうちに近くにいた仲間が居ない。
しかし、今回はそれとは全く同じと言えない。
ドブネズミ
「コイツは厄介だな……こんどはわたしが初めに瞬時に連れ去られたのか?
あのときは勘が冴えてたからたまたまあってたようなものだ。
これでマイに連絡をとろう。
きっとボスを使ってなんとかしてくれる……
ハッ!ボスだって?
最初からボスが配りに来なくてハブが困ってると言えばよかったのか……
どっちみち連絡はとるから今はまあいいか」
ドブネズミは腕の通信端末で通話をするために起動ボタンを押した。
しかし、何も反応はない。
ドブネズミ
「なに?なんで使えない?押す力が足りないのか?ふん、ふん」
???
「あなた、機械オンチですね?そんなことでは普通解決しません。それに、ここには電波は来ていませんわ。使えないのは当然です」
ドブネズミ
「なに!?!?
何者だッ!?
いつからそこにいる!」
???
「わたくしは『夢みるプリンセス』。
プリンセスとでもお呼びください。
ついさきほどからあなたの側にいました。
ところで、あなたはなんという名なのですか?」
ドブネズミ
「……ついさっきからだと?
わたしはそこで寝てたんだぞ?
起きるのを待ってたとでもいうのか?」
夢みるプリンセス
「わたくしは質問に答えていただけないのにあなただけ一方的に質問なさるのですか……
礼を知らぬ者には罰を与えなければなりませんね…」
ドブネズミ
「おめー、怪しさ全開でのぞみ通りのことをしてもらえるとでも思ってるのか?
『ラット』ッ!!」
ののののののののののののののののののの
ハブ
「そうだったのか……。
教えてくれてありがとうだぞ、アフリカゾウ。
気にしすぎるのは良くないから、忘れていいぞ」
アフリカゾウ
「ハブちゃん……ありがとね」
ハブ
「さ、ハブはこれからボスを探しにいくが、アフリカゾウはどうする?」
アフリカゾウ
「わ、私は島をまわらなきゃいけないし、ドブネズミちゃんを放っておけないからそんなに出歩けないよ」
ハブ
「そうか。こいつはハブのことを助けようとしてくれたんだ。だからハブもドブネズミを守るもんだな。」
アフリカゾウ
「ありがとう。でも…」
ハブ
「でも?」
ののののののののののののののののののの
ドブネズミ
「『ラット』ッ!!
………………………………
『ラット』!!!
………………………………………………」
夢みるプリンセス
「無駄ですわ。何度叫んでもあなたのスタンドは来ません」
ドブネズミ
「バカなッ!?
なぜだ!?」
(バカなのはわたしの方だろ!
ちくしょう、なんてザマだ…
『ラット』が使えないのを教えられるなんてな……)
夢みるプリンセス
「いえ、あなたを罰する前に、わたくしの能力を先に説明しておきます。流石にあなたが不憫ですもの。
おほん。
あなたが今見ているのは、『精神の深層の世界』です。
生きとし生ける者の精神というものは、奥底で繋がっている。
皆さまがこの世界に来なされば、たとえ現実で意識が無くても健康そのものの状態でお話を交わすことができますし、訳あって現実では動かせない品物を動かすことも可能です。
この世界に来られるのは、眠っておられる方たち。
わたくしは眠っているあなたの精神をここにお連れしたのですわ。
眠っている方たちの精神というものは無防備・無抵抗ですから、いとも容易く引きずり出せるわけです。
今一度申し上げますが、現在いるのは『精神の深層の世界』。
ここに至るまでの間、わたくしにはある程度皆さまの精神を弄ぶことができます。
スタンドをお供させるかさせないかは操作が可能です。
つまり、あなたの精神からその『ラット』というスタンドを引き剥がさせていただきました。
スタンドが使えないのはそのため。
と、説明はこのくらいにしましょう」
ドブネズミ
「説明ご苦労さん。
空を見上げたらアフリカゾウとハブの声が響いてくるのがなんでかは言わなくていいのか?」
夢みるプリンセス
「それは質問ですか?」
ドブネズミ
「はは〜ん?ちょっとわかったようなことを言わせてもらうが、何も知らない相手と戦って負けるのが恥ずかしいから長々としゃべくってくれたんだな?全部は説明しないところを見るにそう思ったよ」
夢みるプリンセス
「何を仰ると思えば、また失礼なお方だこと。あなたには少々恥をかいていただきましょうか」
ドブネズミ
「はっ、恥なんていくらでもかいたわッ!
『ラット』は使えないが充分だ!」
夢みるプリンセス
「ふむ、スタンドはお使いにならないつもりなのですね。では、逆転の発想というものをお教えします」
ドブネズミ
「なに?」
夢みるプリンセス
「はぁっ」
ドブネズミ
「………?なぜわたしは地面に手をついている?
う!?首がっ!?」
夢みるプリンセス
「あなたはこれから『スタンドになる』」
ドブネズミ
「『ラット』に……」
ののののののののののののののののののの
アフリカゾウ
「はぁ…今日はここで寝ることになるかな。ドブネズミちゃん、寝たらずっと起きないもん」
ハブ
「そんなに長いのか?外でずっと寝るより、安全なところに運んでやった方がいいんじゃないか?」
アフリカゾウ
「なるほど、それがいいね!運んであげよう」
ののののののののののののののののののの
『精神の深層の世界』
ドブネズミの姿は完全に『ラット』と同一のものとなった。
これにより動作が大幅に制限され、自力での移動が著しく困難になる。
ドブネズミ
「……」
夢みるプリンセス
「その状態では自力では殆ど動けないことでしょう。
動けるのは、わたくしが運んで差し上げるか、若しくは誰かが外であなたを運ぶときだけですわ。
そして、後者の状況はめっ……」
ドブネズミ
「……?どうした?」
夢みるプリンセス
「っったにあるものでは無いと申し上げるところでしたのに……
ほんっと、空気を読まないのですね。
あなた、動いてますわよ」
フワァ〜〜〜
ドブネズミ(『ラット』化)
「なる程、アフリカゾウたちがわたしの体を運んでいるんだな。
地面はゴツゴツしてて普段なら使おうとも思わないくらい寝心地悪そうだったから助かった。
………あ?えっと、なんでこんなんにされてもしゃべれるんだ?」
夢みるプリンセス
「そんなの、喋れなければ百害あって一利無しだからに決まってます。意思疎通は阻害したくありませんから。さて、これからあなたが音を上げるまでわたくしがあなたを『処刑』致しますわ。お覚悟なさってくださいな」
ドブネズミ(ラット化)
「なんてこった……
穴の中でのことを報告しなきゃあならないのに何も出来ないなんて…
アフリカゾウ!ハブ!寝るんじゃあない!寝たらこの世界に閉じ込められる!」
夢みるプリンセス
「そう、現実にいる方たちはアフリカゾウ様、ハブ様の二名なのですね。申し上げておきますが、ここにいたら現実の方たちへは幾ら叫んでも声は届きませんわ。あなたは眠っておられますもの。まわりの方たちからは安眠中としか思われないのです。
それと、申し忘れていたことがありました。
あなたがこの世界から出られるのは丁度12時間後。今は午後2時20分頃ですから、お目覚めになれるのは明日の午前2時20分頃でしょう。
さあ、今度こそ説明は終わりですわ!
お覚悟をッ!」
ドブネズミ(ラット化)
「くっ……」
(12時間後?どれくらいなのか分からんが、なんか長そうではあるな。ここにきて長丁場はキツいが……)
ののののののののののののののののののの
現実では、アフリカゾウがドブネズミを背負いながら移動している。
最初は運び役をハブが志願したが、眠っている間に咬むかもしれないということでアフリカゾウが担当することになった。
ドブネズミ
「すぅ…すぅ…」
アフリカゾウ
「ドブネズミちゃん、寝息たててる」
ハブ
「フフフ、やっぱツバが出る…ごくっ、ボス探しは早めにしたいな」
アフリカゾウ
「うん、早く見つかるといいね……あれ?なにかしなくちゃいけないことを忘れてるような…」
ののののののののののののののののののの
︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽
???
「ナントイウコトダ…
残骸ガ全テ持チ去ラレテシマッタ…
最終手段ニ打ッテ出ル他ナイカ…
シカシ、タイミングハマダダ…」
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←to be continued…
今回初登場のスタンドは、姫(プリンセス)がギロチンを使ったら面白いんじゃないかなって思ってたんですが、体の部位が落とされるようなのはやめたほうがよさそうだったのでやめにしました。
代わりに全く異なるスタンドに変化しました。
コイツの能力をメタ的に便利に使わせてもらって、ストーリーを進めていきたいと思っているのでそこに注目してもらいたいです。
👍
ありがとうございます!!
短めですが二話書きためてあるのでもうすぐ投稿します!
コウテイ
「とうとう私たちが主役に抜擢されるそうだな」
ジェーン
「処女作はアラフェネ、前作はミライさん。 前作に到っては本編での出番さえ無かったですからねぇ」
フルル無かったことに してお読み下さい。
「世界観はアニメ1期終了時から約1年後。
『ぶらり旅』や『未来のぼうし』の設定は
ー作者よりー だって~」
イワビー
「カンペ棒読みかよ!」 (*`Д´)っ))
プリンセス
「・・・」
コウテイ
「どうした? プリンセス。 嬉しくないのか?」
マーゲイ
「では ここで... 気になるタイトルの発表です。
ドゥルルルルルルル(ドラムロール) ダン!
人鳥姫 です!」
コウテイ・ジェーン・イワビー
「「「・・・ ん?」」」
マーゲイ
「基本は童話『人魚姫』をモチーフにプリンセスさん視点で物語が進みます。
もちろん この作者のやることなので、いろんな設定やメタネタをブチ込むこと間違いなし!」
イワビー
「お前もカンペかよ!」 (*`Д´)っ))
ジェーン
「ーということは、主役は・・・」
マーゲイ
「はい! プリンセスさんですね」
プリンセス
「ほ、ほら そこは・・・
私たちは切っても切れない関係で...
ちゃんと前世からのペパプとの絆も書いてくれるそうだから…」
マーゲイ
「それでは本編の撮影が始まるので・・・ 早速行きますよ!」
イワビー
「しゃーねえ! 行くぞ、コウテイ!」
アライ
「アライさんたちも出たいのだー!」 ヾ(#`Д´#)ノ
フェネック
「そだね~。 前作では私たちであって私たちじゃない設定だったからね~」
ス… 台本
フェネ「良かったね~。 アライさ~ん」
アライ「ヨシ! アライさんたちも行くのだ!」
<1話に出番があるかどうかは分からないけどね~
たのしみんみ~🙌
虫喰いでないフレンズ
14話>> 614
前回のあらすじ
ハブに取り付いた敵を倒し、巣穴から出てきたドブネズミは休日前の帰宅後のように何もしたくなくなり眠った
ところがなんと、夢の中にまで怪しい者が現れた
その者は「夢みるプリンセス」と名乗る
自分の名乗りに応えず質問で返したことに腹を立てた不審な者は能力で姿をドブネズミ自身のスタンド「ラット」のものに変えられてしまった
その頃、現実の何も知らないアフリカゾウとハブの二人はドブネズミを背負いながら気楽にボス探しに出発した。
の の の の の の の の の の
の の の の の の の の の
の の の の の の の の の の
『精神の深層の世界』
夢みるプリンセス
「夢のなかというものは、本来他人が入り込むことのないプライベートルームのようなもの…
しかしながら、このわたくしの手にかかればそこは誰でも出入り可能な仮想空間へと変わる…
ところでドブネズミ様?外のお二人が前にお休みになられたのはいつ頃ですか?」
ドブネズミ(ラット化)
「…アフリカゾウが昨日寝てたのはわかるがハブは知らない。
初めて会ったからな」
(?!なんだ?
言いたくもないのに言わされている!?
それに、なぜ教えてないのにわたしの名を知っている!?)
夢みるプリンセス
「なるほど。貴女は、人が用いる時の概念に疎い。違いますか?そうでなければ『何時頃』まではお答えになるものです」
ドブネズミ(ラット化)
「そうだ。わたしは時計なんて見ないからな」
(まただ!さてはこいつの能力か…
名前らしくない名前してるしどうせスタンドだとは思うが…
わたしが正直に話すのを拒むから口を割ろうとしている…
でもなんでわたしの名を知っているんだ?)
夢みるプリンセス
「そうなのですか。折角腕時計のようなものをお召しになっているというのに、勿体無いですわね。使用方法はご存知?」
ドブネズミ(ラット化)
「一応知ってる。マイに教わった」
(止まれぇ!わたしの口ィ!
いや、今は口ってどこにあるんだ?)
夢みるプリンセス
「マイ…そうですか。
そうですね、他に何かお話のタネになりそうなことはおありで?」
ドブネズミ(ラット化)
「そう…だな…」
(お?マイのこと知ってるのか?
話を逸すのは何か知ってるからか?
名前しか言ってないんだから、それは誰かと聞くもんだろうがそうしなかったということは、そういうことなのかもな
というか、自分の考えていることを言わないで済む辺りはわたしに有利だ
言わされることが無難で済むことを願おう)
ののののののののののののののののののの
現実
アフリカゾウがドブネズミを背負っているために疲れやすいことを考え、小休憩をとっていた。
とっくに持ってきた水筒は空で、川を探す必要があったところに運よく小川があったためそのほとりに座って休むことにした。
アフリカゾウ
「よっこらしょっと。蒸し蒸しして暑いから倒れちゃうところだったよ」
ハブ
「シュー…川があってよかったな」
アフリカゾウ
「ドブネズミちゃん、お水飲まないで大丈夫かな?水筒は持ってきたけど今日はまだ飲んでないからのどが乾いてるんじゃないかなぁ」
???
「なんくるくいなー!!なんくるないさー!!!やんばるくいなー!!!」
ハブ
「あ、あのやたらデカい声は……」
アフリカゾウ
「ヤンバルクイナちゃん!」
ののののののののののののののののののの
『精神の深層の世界』
ドブネズミ(ラット化)
「喉が渇いたァ〜〜
水飲ませろォ〜
こんな姿にしやがってェ〜〜」
(喉が渇いているのは事実だ…
アフリカゾウには申し訳ないがいままで水筒の水は殆どわたしが飲んでいる…
今は川の畔に移動してきたからちゃんと飲んでるんだろうか)
夢みるプリンセス
「オホホ、そんな姿では水を飲むことも叶わず、と。見ていてせいせいしますわ。折角ですから、その姿でしかできないことをさせてさしあげましょう。鹿威しはご存知?」
ドブネズミ(ラット化)
「はっ!?何する気だ!?」
夢みるプリンセス
「何って、鹿威しですわ。貴女のその形はピッタリではありません?」
ドブネズミ(ラット化)
「水を…まさか…」
夢みるプリンセス
「お察しが早くて助かります」
ドブネズミ(ラット化)
「『ラット』!」
『ラット』の弾はスタンドの姿になったことで自身から発射された。
しかし、目の前の敵を頭上を通り過ぎて行き命中することはなかった。
夢みるプリンセス
「おっと!危ないですわ。たしかに、スタンドの姿になれば技も特殊能力も使えますけれど、悪足掻きはよした方が身のためですわよ」
ドブネズミ(ラット化)
「ぐぅッ…」
夢みるプリンセス
「さあ、たっぷりと『お飲み』くださいな」
身動きのとれないドブネズミは、
ドブネズミ(ラット化)
「うぉぉぉぉぉぉ!」
(息が…苦しい…
現実のわたしはどうなっているのだ…
溺れているのか…?)
ののののののののののののののののののの
現実
ドブネズミ
「ぶくぶく…」
ヤンバルクイナ
「なんくるくいな〜」
アフリカゾウ
「どどど、ドブネズミちゃん!?大丈夫!?」
ハブ
「泡噴いてる…なんで…ずっと静かに寝てただけなのに…」
ヤンバルクイナ
「なんくるないさ〜」
ハブ
「なんでそう言えるんだ、ヤンバルクイナ」
ヤンバルクイナ
「この子は何かと戦ってるみたいだよー。でも、大丈夫だよー。多分ね〜」
ハブ
「多分……ヤンバルクイナの言うことだからそうなんだろうけど」
アフリカゾウ
「なんなんだろう、そのドブネズミちゃんが戦ってるっていうのは」
ヤンバルクイナ
「わかんないけど〜、わたしたちが出来るのはドブネズミちゃんを信じて起きてくるのを待つことだけだと思うよ〜。助けたいけど〜、何かできるのかな〜?」
アフリカゾウ
「信じて待つこと……いや、何かできることはあるはず…」
アフリカゾウは独りで戦うドブネズミのことを黙って見てはいられなかった。
そして、多機能なことに自信があるその首に巻いたものの先端をドブネズミの口に押し当てた。
アフリカゾウ
「こうすれば、ちょっとは良くなるよね」
ハブ
「泡を『吸い込んで』るのか!」
ヤンバルクイナ
「なんくるないさ〜、だね〜」
ののののののののののののののののののの
ドブネズミ(ラット化)
「ガボガボ……」
(かはッ…
なんか急に、苦しくないぞ?
水に浸けられてるのに…)
夢みるプリンセス
「何か、言いたそうにしてますわね。音を上げたということでしょうか。助けてほしいと、わたくしに申してご覧なさい?」
ドブネズミ(ラット化)
「ガボ……ガ…」
夢みるプリンセス
「申し訳ありませんが、聞き取れません。もっと、はっきり喋りなさい!」
ドブネズミ(ラット化)
「…ク…」
夢みるプリンセス
「く?」
ドブネズミ(ラット化)
「クラエッ……!」
夢みるプリンセス
「クラエ?申されていることの意味がわかりま…」
『ラット』化した自らの砲身の角度を上げ、5発ほど発射して攻撃を試みた。
しかし弾は直接目標を捉えることなく飛んでゆく。
ドブネズミ(ラット化)
「……………」
夢みるプリンセス
「抵抗はお止めなさい。悪足掻きはあなた自身のためになりませんよ」
ドブネズミ(ラット化)
「ああ、もう終わったよ。わたしの悪足掻きはな」
バスッ
バキバキバキ・・・
ドスッ
夢みるプリンセス
「ギゃぁッ!?」
ドブネズミ(ラット化)
「木を溶かして幹の上の方を落とすために発射したんだ。
わたしの方ばかり見てて下を向いてたからやりやすかったよ。
そして、おまえ自身の陰になって水面に反射しないから悟られない角度が来た」
夢みるプリンセス
「ふん。ほんのちょっぴりだけ横に動けば躱すのはなんてことはないですわよ。甘くみられたものだわ」
ドブネズミ(ラット化)
「いーや、すでにお前は手遅れだ」
夢みるプリンセス
「なんですって」
バキバキバキバキバキバキ
ズンッ・・・
ドブネズミ(ラット化)
「木から木へと跳弾して何本も溶かしているんだよ。
わたしにはのしかからず、おまえだけに向かって何本も倒れる角度が来ていた。
丁度いい角度が来なかったら負けていた…
だが…ヤツはどこだ?あの一瞬で逃げられたのか?」
『夢みるプリンセス』は何故だかドブネズミのすぐ側に豪華絢爛な椅子が出現し、そこに五体満足どころか無傷で足を組み座っていた。
『ラット』の弾で倒した木が全て元通りになっているところから、夢の中では何もかもコイツの思い通りなんだということを思い知らされた。
しかしながら、『夢みるプリンセス』には疲れ果てたようにうなだれていて戦う意思がみられない。
夢みるプリンセス
「ここですわ。あなたには参りました。もう懲り懲りです。終わりにしましょう」
ドブネズミ(ラット化)
「なんだと?」
夢みるプリンセス
「そもそも、わたくしは能力であなたの考えていることを言葉に出させることも可能なのです。
そうしてしまっては詰まりませんもの。
そろそろ、あなたにお会いしに来た理由をお伝えしなければなりませんし、ね。
その姿は解いて差し上げます。
その代わり、わたくしを攻撃しないでくださいね?」
ドブネズミ
「な、なんだか調子狂うな…
喋ることがあるなら早く言ってほしかったが、わたしも喧嘩っ早いのが出た。
悪かったな」
夢みるプリンセス
「いえいえ、お気になさらないでください。久々に楽しめる相手がほしかったのです。こちらから先に謝罪すべきでしたのに、申し訳ありませんね」
ドブネズミ
「いいんだよ。用件があるんだろ?」
夢みるプリンセス
「あなたは良いフレンズですね…。
それでは、あなたにお伝えしたかったことを申し上げます。
『ドブネズミのフレンズは二人いる』。」
ドブネズミ
「………………?何が?何がいるって??」
夢みるプリンセス
「聞き取れませんか?今一度申し上げます。
『ドブネズミのフレンズは」
ドブネズミ
「いや、それはもう言わなくていい。『わたしが二人いる』ということなのか?」
夢みるプリンセス
「そうとも言えます。厳密にはその方はあなた自身ではありませんが」
ドブネズミ
「そうか。言いたいのはそれだけか?」
夢みるプリンセス
「いいえ…ですがこれからの内容は、口頭でお伝えするよりも実際に体感してみた方がより理解しやすいかと。あなたが近頃よくみなさる夢に深く関わる内容をお見せします」
ドブネズミ
「なに?それは気になっていたことだが、それを何故おまえが知ってるんだ?」
夢みるプリンセス
「わたくしは夢という夢を渡り歩いてきました。皆さまは夢と表現されますが正確には夢ではなく、夢以外のことも閲覧可能ですが簡素化のためそう表現しましょう。昨夜、偶々あなたの夢を拝見しました。覗いたわけではないのですよ?わたくしはあなたよりはっきりと夢の内容を記憶しております故再現も容易です。
それでは心の準備はよろしくて?」
ドブネズミ
「ああ、わかった。大丈夫だ」
夢みるプリンセス
「では…」
ののののののののののののののののののの
︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽︽
???
「ホウ…コイツカ…夢幻ナル幽姫ナドト、贅沢ナ名ヲ持ツトイウノハ…
ソノ名ホド美シイモノデハナイガ、珍シイ能力ヲ持ツ点ニ於イテハ我ガ計画ノタメニハ十分ダ…
回収スル…」
︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾︾
←to be continued…
16話>> 624
(密かに読んでる 応援してます)👍
有難う御座います!
これからも更新していきます!
虫喰いでないフレンズ
今作より5話分の過去話へのリンクを貼ります
また、最新話更新と同時に前回に最新話へのリンクをつけます
11話>> 562
12話>> 596
13話>> 601
14話>> 614
15話>> 619
前回のあらすじ
ドブネズミが眠っていると夢でスタンドに出会った
そのスタンドは『夢みるプリンセス』と名乗る
互いに態度が悪く挑発しあったことで戦闘に発展する
最初は相手の能力によりスタンドを封じられていたドブネズミだが『スタンド化』させられ、攻撃のチャンスが来たところで攻撃する
すると相手は急に戦意喪失して降参した
そして伝えることがあると言って話しだしたのだった
ののののののののののののののののののの
アフリカゾウ
「ドブネズミちゃんは大丈夫だったね。ヤンバルクイナちゃん、なんで大丈夫ってわかったの?さっきハブちゃんも聞いてたけどさ」
ヤンバルクイナ
「それはね〜、実は〜『プリンセス』って子が夢に出てきたからだよ〜。あの子を夢で見たってことはさ〜、ドブネズミちゃんは何かを知るために『プリンセス』と会ってるんだよ〜」
ハブ
「ハブはずっとここら辺に住んでるけどそんなことは知らなかったぞ?それにプリンセスって何処かで…」
アフリカゾウ
「『プリンセス』?もしかしてロイヤルペンギンちゃんのこと?」
ヤンバルクイナ
「う〜ん、その子とは似ても似つかないくらい違うと思うよ〜。PPP(ペパプ)やってるプリンセスはわたしも知ってるしね〜」
アフリカゾウ
「ふーん、プリンセスっていう子が他にもいたの?」
ドブネズミ
「ふぁ〜〜〜〜!それはわたしが説明する。またすぐ寝るけど、当のそいつから説明役を任されたんでな」
アフリカゾウ
「おはよ!」
ハブ
「おはようだぞ。なんだって?」
ヤンバルクイナ
「おはよ〜。夢に出てくるプリンセスって子からの伝言ってこと〜?」
ドブネズミ
「お、おはよう。そうだ。あいつ自身は夢にしか居られないからことづてを頼みますだと。
まず、『あいつ自身がスタンドだ』ってこと。つまり、わたしのようなスタンド使いしか夢に見ないらしい。スタンド使いでないやつの夢に行っても詰まらないんだとよ」
アフリカゾウ
「えっ……そ、それは本当なの?」
ドブネズミ
「本当だが、何かあるのか?」
アフリカゾウはヤンバルクイナを凝視した。
それにつられてドブネズミもヤンバルクイナを見つめる。
更に、それをみてハブもヤンバルクイナを見つめた。
ハブ
「???」
ヤンバルクイナ
「わたし、何かいけないことを言っちゃいましたかね〜?」
ドブネズミ
「多分、そうじゃあない。どういうことなんだ?アフリカゾウ…」
アフリカゾウ
「ヤンバルクイナちゃんは『プリンセス』って子が夢にでるって言ってた、よね?その子を夢でみたことがあるってことなの?」
ヤンバルクイナ
「そうですけど〜…このこは誰なんですか〜?」
ドブネズミ
「ん?言ってないのか?」
アフリカゾウ
「言ってないっけ…」
ドブネズミ
「ドブネズミだ。おまえにはスタンドが見えたのか?ボスがいないのに?おまえ、スタンド使いなのか?」
ヤンバルクイナ
「スタンド〜?なんですか〜?」
ドブネズミ
「スタンド使いというものについては、あまり詳しくない。スタンドっていうものはこれを見れば一応わかるだろう」
ドブネズミは『ラット』を出現させなるべく遠くの物体を狙うようにして撃ち出した。
弾は木の枝に当たり溶け、枝が着弾点から折れ曲がり落ちた。
ヤンバルクイナ
「と、突然なんなの〜!?それはなに〜?」
ハブ
「え?何があったんだ?」
ドブネズミ
「それも交えて色々と話したいことがある。ちょっと長いけど聞いてくれ。ヤンバルクイナは初対面だから、自己紹介も兼ねてな」
アフリカゾウ
「短めにしてね…」
ハブ
「ふぁ〜〜…」
ヤンバルクイナ
「いいよ〜」
ドブネズミ
「ありがとう。わたしのスタンド、『ラット』でそこの木の枝を撃った。
当たったところは溶け落ちるから枝の先の方が一緒に落ちたんだ。
スタンドってのは、要するに特別な能力なんだ。使えるやつにしか見えないらしい。
それはつまり、これが見えているヤンバルクイナがスタンド使いだってことなんだ。
スタンドは、何だって使う者がいるものなんだ。
わたしが夢で会った『夢みるプリンセス』はスタンドだ。
やつを使う本体がいるはずだ。
わたしはその情報が欲しい。
そのためにここに来たと言ってもいいからな。
スタンドが見えているのはこの場ではわたしとヤンバルクイナだけだ。
スタンドと呼ばれてもピンと来ないのはわかる。
だが、今能力を使って見せたから何か引っ掛かることはあるはずだ。
ヤンバルクイナに質問する。
おまえは、フレンズの技ではない特別なことができたりするか?」
ヤンバルクイナ
「ん〜、思いあたることは、残念だけどないよ〜」
ドブネズミ
「そうか…スタンドは見えるのに自分がどんなスタンドを持つのかを理解していない、といったところか?」
ヤンバルクイナ
「その、『スタンド』っていうのものは見えてるのに……?」
アフリカゾウ
「ドブネズミちゃん、ヤンバルクイナちゃんが困ってるからさ、もっとわかりやすく説明してくれない?」
ドブネズミ
「おお、すまない。まず、ヤンバルクイナはスタンドがボスがいなくても見える。夢の中のスタンドも見えている。つまり、スタンドに何かしら関係してるはずなんだ。
でも、スタンドというものを知らないし使ってはいないようなんだ」
マイ
《それは本当か?》
ドブネズミ
「マイ!!?何故でている!?」
マイ
《驚きすぎじゃあないか?自己紹介しよう。わたしはこの島のフレンズの管理に携わる、コノシママイだ。今は、ドブネズミ君の腕の通信機から話している。そちらの状況を聞かせてもらった。》
ドブネズミ
「いつから聞いてた!?」
マイ
《おはようって言ってた辺りからかな。
その近くには、未知のスタンド使いが一人か二人はいるということだな?その候補がヤンバルクイナだと。》
アフリカゾウ
「たぶん、そんなかんじだと思うよ。でもわたしと同じで、ドブネズミちゃんが来るまでスタンドってものを知らなかったし、そのようなものも持ってないって…」
ヤンバルクイナ
「わたしのことが気になってるみたいですよ〜、ドブネズミさんは〜」
マイ
《ああ、そうらしい。わたしには、ヤンバルクイナのスタンド能力がわかりかけてきた。》
アフリカゾウ
「も、もう判ったの!?!?」
ハブ
「??」
ドブネズミ
「一体なんだっていうんだ!?」
マイ
《それはずばり。君たちの反応さ》
「な、なんだってぇぇぇぇぇ!!!?!?」
←to be continued…
17話>> 630
👍
ありがとうございます!!
タイトル:きおくのかけら
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10639432
※この二次創作は作者がけものフレンズ2、1話のかばんをうまく思い出せないサーバルを見て、そうなった経緯を想像しながら
執筆した作品となります。つまり、1話放送直後に書いたものとなります。以降のけものフレンズ2の展開によって大きな矛盾が現れると思いますので、ご了承ください。
キョウシュウエリアを離れ、ヒトを探す冒険を続けていたサーバルとかばん。しかし、旅を続けてあるエリアでセルリアンが暴れているのを目撃した。二人はこれ以上フレンズ達の犠牲を増やさないためにあの日の夜のように立ち上がった。しかし…
面白いですね かばんちゃんとサーバルが別れる事になってしまった事にはもしかしたらこういう理由が・・・?
ここは悪と正義が交差する町、ジャパリ都パー区
そこには、人の形をした動物である【フレンズ】と、それを捕食する【セルリアン】がいた
それと人ね
町に暮らす人のフレンズのかばんとサーバルキャットのフレンズのサーバルは、ひょんなことから、10年前に消えた町の象徴、人の形をしたサンドスターに出会ってしまう。
サンドスター曰く、「地球はね。【アークセルリアン】ってやつに壊されちまうんだ」
なぜか協力を要請されたかばんとサーバル
セルリアンを駆逐する【セルリアンハンター】と、10年前、町を救った【銀髪のゴーレム】を仲間にし、ついでに【ツチノコ】と【ジド】を仲間にする。
覚醒するサーバルはフェネックを助けるために進み。
かばんは強くなるために、とある暗殺者【ハシビロコウ】へ修行しに行くのであった……
アナザーワールド・サンドスターストーリーズ
第22話〈鉛のわがまま〉
バァン!!
的にめり込む銃弾。
中心を大きくずらしていた。
本日11月21日
昼を過ぎた頃、僕は銃を握っている。
かばん「修行って…なんか違うの想像してましたよ…!」
ハシビロコウ「だって、これくらいしか思いつかないから…」
かばん「いきなり銃握らされても……あー!手が疲れましたー!!」
ハシビロコウ「ちょっと休むといいよ。はい、お茶」
僕は銃を下ろし、そっとハシビロコウ見つめる。
ここはとある家の庭
かばん「お茶はいいです……そういや、ここに、ハシビロコウさんは住んでいるんですか?」
ハシビロコウ「私…?ここは別荘……ていうか、仕事の時に使っている家だね…」
かばん「別の家があるんですか?」
ハシビロコウ「うん、シェアハウスっていうか……家族で暮らしているって感じだね」
かばん「家族?」
ハシビロコウ「血が繋がってるわけじゃないけど、本当、家族みたいな暖かさがあるんだ」
かばん「へぇ……ってことは、最初から一緒にいたとか?」
ハシビロコウ「ううん、最初は二つの勢力だった」
かばん「勢力……ですか…」
ハシビロコウ「喧嘩ばかりして、仲が良くなかったんだ。私の勢力は脳筋が多くて…」
かばん「結構バッサリ言いますね…」
ハシビロコウ「ある日、とある人の提案で、作戦をちゃんとねって喧嘩をしたんだ」
かばん「その人って…?」
ハシビロコウ「なんだったっけ……確か…コウジって言ってた気がする……」
かばん「知らない人ですね……話の続きを」
ハシビロコウ「うん、そしたら、結構いい戦いになってね。そして大将同志の最終決戦になったんだ」
かばん「もしかして肉弾戦?」
ハシビロコウ「最終決戦はじゃんけんだった。そのほかの戦いもゲームばかりだった」
かばん「最終決戦はどうなったんですか?」
ハシビロコウ「あいこばかりで……一向に決着がつかなくて……そうしたら、みんなバカバカしくなって、仲が良くなったの」
かばん「なにそれ……」
ハシビロコウ「だけど、私はそれでいいと思ってる。だって……私みんなの役に立ててるから…」
ハシビロコウは立ち上がり、かばんの持っていた銃を取る。
ハシビロコウ「お手本を見せてあげる」
そう言った瞬間、ハシビロコウは素早く銃を突き出し
バァン!!!
放たれた鉛は、的の中心に命中した。
ハシビロコウ「あなたは中心に打とうと意識しすぎてる」
かばん「だ……だけど、それを意識しないと…目標が、中心なわけだし……」
ハシビロコウはフッと笑う、そして振り向き
ハシビロコウ「的に中心があるだけで、目標はそれとは限ってないよ。私が最もやりたいのは弾のコントロール」
かばん「コントロール……」
ハシビロコウ「そのコントロールをつけるのに最も手っ取り早いのは、鉛のわがままをどれくらい聞くことができるか……」
かばん「鉛のわがまま?一体どういう意味で?」
ハシビロコウは銃弾を二つ、銃から取り出す。
ハシビロコウ「銃弾はみんな同じに見えて、実は違う。難しい話じゃないよ」
かばん「意思が宿ってるとか?そういう話でしょうか?」
ハシビロコウ「いいや、例えばこの弾は…【的の外側を撃ちたい!】って、言ってるとしたなら」
ハシビロコウは片方の弾を銃に装填し、素早く的へ銃口を向ける。
バァン!!
銃弾は見事的の一番外側に当たった。
ハシビロコウ「そして、もう一つの弾が…【的の中心を撃ちたい!】って言ってるなら……」
バァン!!
弾は、的の中心に当たった。
ハシビロコウ「銃弾に意思が宿ってる?ちがうよ。銃弾は元から生き物。ストレスを与えず、その鉛が言うがままに聞けば、弾は必ず当たる」
僕は黙ったまま、疑いの目でハシビロコウを見ている。
ハシビロコウ「疑ってるね」
かばん「だって、ハシビロコウさんくらいの腕前だったら、どんな弾だって自由自在でしょ…」
ハシビロコウ「…そう言うなら、そう思ってくといいよ。ただ、これを知ってると結構役に立つからね」
ハシビロコウは銃をかばんに渡す。
そして、少しニヤつき
ハシビロコウ「撃ってみてよ」
かばんはそれにつられ、銃を強く構え、的の中心めがけて撃った
バァン!!
完璧な中心とは言えなかったが、限りなく中心に近かった。
かばん「こ……これって……」
ハシビロコウは立ち上がり
ハシビロコウ「わがままが聴けたら、次はコントロールだね。ちょっと電話するから休憩してて」
ハシビロコウは家の中へ入っていく
僕はハシビロコウの座っていた庭の椅子に座った
・
・
ハシビロコウ「もしもし?ライオンさん…?」
ライオン「んー?今家にいない?」
ハシビロコウ「え…あ、うん…」
ライオン「仕事?」
ハシビロコウ「仕事…」
ライオン「そっかー…お仕事頑張ってね。近いうちに帰ってくるんだよ」
ハシビロコウ「あ……もうすこしかかりそうで…」
ライオン「ううん、大丈夫だよ。そっちにも用事があるんだし、私たちが何か言うことじゃないしねー」
ハシビロコウ「……ごめんなさい……」
ライオン「謝ることじゃ……あ!そうだ!ナーチャは知らない!?」
ハシビロコウ「え?…知らない……けど……」
ライオン「そっかぁ……いやぁ、めんごめんご、仕事中に長電話しちゃって」
ハシビロコウ「ううん、私は大丈夫…そっちも気をつけてね」
ライオン「うん、幸い警戒地区の外だから、安心して。それじゃあ、切るねー」
切れた電話
ハシビロコウは庭に戻る。
かばん「うわぁぁぁ!!!!」
僕の叫び声がハシビロコウの鼓膜を揺るがす
ハシビロコウは走り出した
庭を見てみると
ハシビロコウ「な……!なんでここにいるの……!!」
かばん「ハシビロコウさん!!」
ハシビロコウの鋭い目つきがさらに鋭くなり
ハシビロコウ「ナーチャ!!」
第23話へ続く……
次回・〈罪滅ぼしは天国へ〉
👍
虫喰いでないフレンズ
12話>> 596
13話>> 601
14話>> 614
15話>> 619
16話>> 624
「な、なんだってぇぇぇぇぇ!!?!?」
マイ
《その反応は、自分たち自身で明らかに不自然だとは思わないか?》
ハブ
「たしかに、ハブからしたらおまえたちの反応はおーばーだな。よく気づいたな?」
マイ
《ハブか。まあ、始めに考えられることを挙げただけだよ。そういう君はなんともないようだね。それが何を意味するか…》
ドブネズミ
「おぇッ、おぇッ、えほっ、えほっ」
アフリカゾウ
「結構…力込めて叫んだから…喉が…」
マイ
《ヤンバルクイナ君、そういうことだ。君は、自分では気づいていない力をもっている。君の能力は、『他人の反応や行動を過剰にすること』のようだ。能力の射程距離は今のところ周りの1、2 メートルほどといったところか。わたしには及んでいないからな。今後はそれを意識して行動したら良い。何に役立てるかまでは、教えなくてもいいだろう。
では、情報は貰ったからもう失礼するよ》
ヤンバルクイナ
「そ〜なんですね。ありがとうございました〜」
ドブネズミ
「ま…待て!」
マイ
《何か用か?》
ドブネズミ
「わたしは2体のスタンドに既に接触している。それを話さなくていいか?」
マイ
《とんでもない、しっかりと話をしてくれ》
のののののののののののののののののの
【説明中】
のののののののののののののののののの
ドブネズミ
「…ということだ。もう大丈夫か?」
マイ
《大丈夫。では失礼する》
ハブ
「ヤンバルクイナ、なんかすごいことができるらしいな」
アフリカゾウ
「なんだか大変だったね」
ヤンバルクイナ
「すごいことなのかな〜…」
ドブネズミ
「そうだよ、まったく…ふぁ〜〜〜〜」
ヤンバルクイナ
「そういえば、なにしてたの?」
ハブ
「そうだ!じゃぱりまんだ!ボスが来なくて食べられないんだ!」
アフリカゾウ
「アクビが…ふぁ〜〜〜〜。うつっちゃった」
ヤンバルクイナ
「それは大変だね〜…ボスならちょっと前にあっちにいたけどね。ほんとは、それを言いたくて来たんだ」
ドブネズミ
「すげー眠いけど、仮眠ばかりしてはいられないな。先を急ごう」
ハブ
「えっ…ボスがいるのか!?」
ドブネズミ
「なんだぁ、大声出して…それはヤンバルクイナのスタンド能力かもしれないぞ」
ハブ
「もうなんだっていい!ボスはどこにいるんだ!ヤンバルクイナ、探しに行くぞーーーーー!!!」
ヤンバルクイナ
「あ〜れ〜」
アフリカゾウ
「あー、すごい勢いで引っ張って行っちゃったね」
ドブネズミ
「きっと、ボスがいるということを聞いて嬉しいって思うのが増幅されたから何処にどんなボスがいたのかも確認せず突っ走っていったんだろーな。冷静な判断ができなくなるという点では恐ろしいスタンドだ。だが、わたし達が探してるのはスタンド使いのフレンズじゃあない。セルリアンの情報があれば付いていったんだが…スタンド使いのフレンズだって?」
アフリカゾウ
「な、なに自分で言って自分で驚いてるの」
ドブネズミ
「そういや、さっきの夢で会ったやつが言ってたんだ!スタンド使いのフレンズが現れたなら用心しろとかって!曖昧だったから忘れるとこだったが、忘れるなんてとんでもないことだ!」
アフリカゾウ
「それも大事かもしれないけど、ちょっと興奮気味だよ?落ち着いて話してくれないと何が何なのか分かんないよ!」
ドブネズミ
「む…危ない危ない。すまんな。何に気をつけろと言われたのか…」
のののののののののののののののののの
『精神の深層の世界』の回想
夢みるプリンセス
「あなた以外のスタンド使いのフレンズが現れたら、それはセルリアン全体にスタンド能力が浸透しているかもしれないということです。セルリアンというのは、何かを吸収し、模倣し、再現しようとするものでありますから、能力自体は違えども同胞同然の仲間うちに共有されているものだと思うのが自然なのです。しかし、そこからフレンズへ伝わるというのは一見意味不明でしょう。それはわたくしにもよく分からないとしか言えないのですが…。ですがとにかく、フレンズでさえスタンドをお使いになる方たちが急増しているのです。つまり、これからあなたたちが遭遇されるセルリアンは皆スタンド使いなのです。それを頭の片隅にでも置きながら周りなさるのが賢明ですよ。
わたくしですか?わたくしは昔からいましたから…」
ののののののののののののののののののの
アフリカゾウ
「へー、その夢のスタンドって聞けば聞くほど奇妙だね。本体さんってどこにいるの?」
ドブネズミ
「あー、今となっては気になることだが、いろんなこと聞かせてきてな…一通り話が終わったら夢から追い出された。まだねみーってのに起こされたら丁度新手のフレンズ・ヤンバルクイナってのがいたってわけよ。あー喉乾いた」
アフリカゾウ
「そうなの…結局、私たちもじゃぱりまんを見つけないと一つも持ってないよ」
ドブネズミ
「ングング…そういうこったな。ボスを追った二人はどっちへ向かった?」
アフリカゾウ
「あっちだよ」
ドブネズミ
「そうか。じゃあ行くか」
(本当はそれだけじゃあないけど、言う必要はない。
いままで使ってきた『ラット』の跳弾…あんな発想が出来るのはヤツしかいない。
夢でそれを見てきたからわたしにも使うことができた。
もう一人いるというドブネズミのフレンズは…ヤツなのか?
夢のスタンドはそれを忠告しに来たと…)
ののののののののののののののののの
『精神の深層の世界』の回想
ドブネズミは夢である記憶の追体験をしていた。
自分以外のもう一匹のスタンド使いのドブネズミが体験したとある戦闘の記憶だった。
自分より冷静に状況を判断し、優れた知略で奮闘し、敵を翻弄する。
使っているスタンドは自分のとまったく変わらないというのに、敵に次々と命中させていく。
あまりの善戦ぶりに、途中までは自分の精神がその記憶の持ち主に劣っているのではないかとさえ思わされた。
しかしやがてその記憶に終わりのときがやってきた。
本体の意識の消失、すなわち死のときだった。
夢みるプリンセス
「…以上です。わかりましたか?」
ドブネズミ
「なんだ…と?これは、わたしがよくみていた夢とそっくりの、いやそのものだ!これでハッキリわかった!ヤツもなぜかフレンズになっている!新しい姿を手に入れて生きているんだ!
それはそれとして…おまえ、そんなことが何故わかった?なぜこの記憶をもっている?わたしに何をさせたいんだ!」
夢みるプリンセス
「そうですよね、わたくしがここまでのことをする理由を知りたいと思っていらっしゃるのも無理はないでしょう。
訳を言います。ここ数日の間、皆さまの夢の世界が滅茶苦茶に荒らされているのです。木が生えていれば倒され、石が並んでいれば崩され、ボスと呼ばれるロボットは潰される…。夢で滅茶苦茶に物が壊されても現実には直接影響しませんが、殺風景になられてはわたくしが困ります。わたくしはこの夢の世界を護る使命を仰せつかっておりますが、わたくし一人の手には負えません。どうかその者を探し出し、止めては戴けませんでしょうか」
ドブネズミ
「頼み事か。引き受けてもいい。夢で暴れまわってるヤツは、恐らくもう一人のわたしのようなヤツだろう。同じドブネズミのフレンズがいるってんならわたしがもう一人いるようなものだ。その責任はわたしにあると言っても間違いじゃあない。
だが!」
夢みるプリンセス
「だが?なんでしょうか」
ドブネズミ
「この夢から覚める前におまえの正体、いや本体を教えてもらおう。一番はそれを求めている。交換条件だ」
夢みるプリンセス
「了解致しました。ですが、また一つ有益な情報をお教えしましょう。
あなた以外のスタンド使いのフレンズが現れたら、それはセルリアン全体にスタンド能力が浸透しているかもしれないということです。セルリアンというのは、何かを吸収し………」
のののののののののののののののののの
ドブネズミ
「…ってさ、誤魔化されたんだ。くそっ、あのときすぐ話せと言っていれば…
また寝たときあいつに会うのは、夢の世界にわたしを引きずり込もうとしない限りは無理だろうな」
アフリカゾウ
「そうだったの。私なら、出会えただけいいって思うなー。そのおかげで、どこかにその本体さん?もいることがわかったわけじゃん」
ドブネズミ
「そうだ……な」
アフリカゾウ
「あ!おーい!ハブちゃん!ヤンバルクイナちゃん!」
ハブ
「ん?また会ったな」
ヤンバルクイナ
「何かごようですか〜?」
アフリカゾウ
「私たちもじゃぱりまん持ってなくてお腹空いててさ。ボスがいないと死んじゃうよ」
ヤンバルクイナ
「ボスのじゃぱりまんなら、いまさっきハブちゃんがぜんぶ食べちゃいました〜」
ハブ
「へ?あれで全部なのか?」
ドブネズミ
「は?」
耳を疑いながらハブを見ると腹が明らかに膨れていた。
巨大な卵でも飲み込んだかという形状のハブの腹を刺すように見つめ、『ラット』を発現させたドブネズミは…
ヤンバルクイナ
「待って待って!」
ラッキービースト
「あわわわわ…わわわ…あ…
スタンド発動確認…SVVS(Stand's Visions Visualization System、スタンド像可視化システム)起動…」
ヤンバルクイナが立ち塞がり、アフリカゾウも『ラット』を見てドブネズミの前に出たことで、思い留まった。
アフリカゾウ
「今のドブネズミちゃん、なんだか怖いよ…
また探せばきっとボスは見つかるよ!それまではドブネズミちゃんが先に食べていいから!」
ヤンバルクイナ
「うんうん」
ラッキービースト
「わわわ…」
ドブネズミ
「ふん。食べ物の恨みはなんとやら、だ。次にボスを見つけるまで何も食えないわたしの身にもなって……」
グゥ〜〜〜〜〜〜〜!!
腹の鳴る音がドブネズミから響き渡り、それを聞いたハブは予備にと隠し持っていた最後の一つを渡す。
ハブ
「……一つだけど、"よび"がある。すまなかったな」
ドブネズミ
「……わたしこそ、済まなかった。意地になってもいいこたあねー」
ヤンバルクイナ
「大ごとにならなくてよかった〜」
あわや凄惨な状況になるところだったが危機は回避された。
そこを観て、「平和は皆の気遣いによってもたらされるものですよ」という『夢みるプリンセス』の説教がドブネズミに届いていたのが要因の一つだと、言った本人は精神の深層から関心していた。
の の の
の の の の
の の の の の
の の の の の の
の の の の の の の
の の の の の の の
の の の の の の の
の の の の の の の
の の の の の の の
の の の の の の の
の の の の の の の
の の の の の の の
の の の の の の
の の の の の
の の の の
の の の
???
「回収シニキタ…」
夢みるプリンセス
「どなたですか?あなたをこの世界にご招待した覚えは存じませんが…」
???
「オマエニハ消エテモラウ。オマエヲ仕留メル」
夢みるプリンセス
「なッ!?」
←to be continued…/\┃
18話>> 644
次回は(恐らく)外部のみへの投稿となります
そのときはリンク埋め込みなどにより誘導します
今後も何回かこのような回があるかもしれませんがなるべく直接投稿できるようにしていきますので宜しくお願い致します
👍
ありがとうございます!
作者自身が描いた『虫喰いでないフレンズ』支援絵の紹介
右は自分の好みで分けたハイライトなし差分です
服装はぶどうが丘高校の女子制服で、色は漫画のカラー版をもとにしています
※物語には関係が無い可能性があります
※色々と足りないと思ったところを修正して後日完成版として上げるかもしれません
おっ ついにイラスト化された!
由花子が着てるのと同じ制服ですね👍
ありがとうございます!
実は初めて描くフレンズ絵だったりします…
杜王町出身を前面に出してみました!
氷の野心を操るフェネックには、過去にアライグマを巡る壮絶な記憶があった。
それを聞かされたサーバルは、フェネックが苦しんでると【勝手】に思い込み、助けようと決意した。
フェネックが怒ると一体何が起きるのか……?
サーバルはフェネックを助けることができるのか……?
一方、ハシビロコウのもとへ修行っぽいことをしにしたかばん
銃の練習の際、ハシビロコウについて色々聞く
ハシビロコウの今、ハシビロコウがどのような環境下で生きているか
そして、謎の妖精【ナーチャ】に出会う
はたして、かばんの運命やいかに
トキ「ここも……もう少しで危なくなるわね……」
ガラガラの喫茶店
アルパカ「うん……そうだにぇ……」
二人のフレンズ
アルパカ「コノハちゃんもミミちゃんも、しばらく休暇を取るんだってぇ……」
トキ「寂しくなるわね…」
アルパカ「ううん、あなたがいるから…私、寂しくないんだぁ……」
トキは悲しそうに言った
トキ「私も、そろそろ避難しようと思うの……」
アルパカはまだ、笑顔を見せている。
その笑顔は優しさと寂しさと…
アルパカ「そうだよにぇ…今までありがとうにぇ…」
トキ「…いいえ、もう少しいるわ」
アルパカ「えぇ!?ダメだよぉ!危ないよぉ!」
トキ「逃げるか逃げないかは私が決める。だからいいの」
トキはニッコリと、笑顔を見せた。
場面は変わり、街の商店街
アライグマ「やっぱりここにもセルリアンが……拡大も時間の問題なのだ…」
ツチノコ「あんたが居てよかった……死ぬかと思った…」
11月21日、夜7時
ツチノコは商店街へ食材を買いに行っていた。
だが、商店街の店の多くは閉まってた。
理由は簡単、セルリアンが発生していたから
ツチノコが襲われそうになったところを、アライグマが助けに来た。
ツチノコはアライグマについていき、セルリアンの残骸が転がる商店街を散策している。
アライグマは止まった。
ツチノコ「ん?どうした?」
顔にも現れてなく、ただ立ってるだけのアライグマだったが、どこか悲しげな視線を向けている
その視線の先には
アライグマ「フレンズが一匹、喰われたのだ」
ツチノコはアライグマに近寄り、その視線の先を見る
アライグマは下唇を強く噛み、目を強く瞑り、険しく悲しく
手をただ強く合わせていた。
ツチノコもそれにつられ、手を合わせる
ツチノコ「……お前は優しいんだな」
アライグマは目を開け、真顔になり
アライグマ「それはどう言う意味なのだ?」
ツチノコは手を下ろし
ツチノコ「いや、フェネックと一緒にいるってことだから、相当のサイコパスかと思ったんだよ」
アライグマ「……どうしてフェネックがサイコパスなのだ?」
ツチノコ「殺人鬼だから」
そのフレンズと思われる屍は、元の動物なのか、人ではない動物に変わった。
だが、それには生気が感じられず、戻っても死んでいるのは変わらないらしい。
アライグマ「なんでそれを知っているのだ?」
ツチノコ「俺、一応警察官だったからな」
アライグマはしゃがみ
アライグマ「……フェネックはな、アライさんが居ないと人じゃなくなるのだ」
そっと、動物の屍を抱きかかえて立ち上がる。
アライグマ「その逆に、アライさんが居ると、フェネックはフレンズじゃなくなるのだ」
ツチノコ「は……はぁ…」
アライグマ「だから、アライさんがしっかりしないと、フェネックは命の恩人なのだから……」
ツチノコ「かと言っても、あいつのやったことは大犯罪だぞ?」
アライグマ「アライさんは、傷を癒すことはできても、死人を生き返らずとこはできないのだ…だから……」
抱き抱えた動物が、光りながら消えていく
それはとても幻想的で、綺麗だった
アライグマ「こうやって、天国に帰してあげるのだ…幸せになるように……」
動物は腕から消え、アライグマは腕を下ろす。
ツチノコは悲しげな顔でアライグマを見た。
ザッザッ……
後ろから足音がする
荒れた道を歩く音がする
???「天国への道のりは長いのですよ。アライグマ」
ツチノコは後ろを振り返る
そこには、黒い斑点のある白い服を見にまとった、小柄で白髪に黒の混じっている少女
お尻からは尻尾らしきものが出ていて、その手には先端が金槌のような杖を持っていた
アライグマ「……博士…ただいまと言った方がいいのだ?」
ツチノコ「は?博士?」
コノハ「博士はあだ名、本名はアフリカオオコノハズクなのです。お久しぶりなのです。アライグマ、ただいまはいらないのです」
ツチノコは視線を鋭くして
ツチノコ「お前…誰だ?結構上から目線だが…」
アライグマ「やめとけなのだ。お前じゃ痛い目見るだけなのだ」
コノハ「おかしいですね。さっき名乗ったばかりなのです」
アライグマ「博士、こいつは何もわかってないのだ。だから、あとでアライさんの方からちゃんと説明しておくのだ…だから、今は……」
コノハ「アライグマ!」
アライグマは、ツチノコの腕を強く掴み、その場を立ち去ろうとする。
が、コノハの呼びかけでその動きがピタリと止まった。
コノハ「せっかく再開したのです……」
コノハはニタリと、不気味な笑顔を見せる。
首は横に傾く、とても不気味
コノハ「お話の一つや二つ、していかないのですか?」
それからには、かすかな喜びと、ドス黒い殺気が感じられた。
ツチノコを握る手が強くなる。
コノハ「天国への扉は開かれた。罪滅ぼしは天国へ行ってから、これより……」
コノハは杖を前に突き出し、ゆっくりと、少しずつ歩き出す
アライグマの方へと、一歩、もう一歩
・
コノハ「【殺処分】を開始するのです!!」
・
首は元に戻り、笑顔さらに悪化する。
まるでそれは悪魔
ツチノコ「ん!?……ん……?」
瓦礫の一部が凍り始めた。
しっかりと、ツチノコは見た。
・
第24話へ続く……
プリンセス「次回のアナサーは?」
コウテイ「最近出番少なすぎないか?サブタイだけ書いてそれで終わりな日が大半だぞ」
ジェーン「めんどくさいんですよ。どうせ」
フルル「ていうか、+αがなくなって私たちだけになってるよー」
プリンセス「あ!本当!」
イワビー「そうこうしてる間に終わっちまうぜ……真面目にやらないと…」
コウテイ「ハッ……じじじ…次回はどんなフレンズが出るのかなぁ…?」
ジェーン「たたたたた……多分コノハ博士あたりですよー……」
プリンセス「じゃ……じゃあ予習しないと……」
フルル「次回ー〈妖精は見ている〉だよー。ついでにコノハちゃんは登場しませーん」
イワビー「おい!勝手に締めたぞ!!」
読んでるよ👍
虫喰いでないフレンズ
13話>> 601
14話>> 614
15話>> 619
16話>> 624
17話>> 630
18話(pixiv)
19話>> 646
試験的に外部投稿のみの話にしました
一部の表現がここでの投稿に相応しくない可能性があると判断したからでもあります
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虫喰いでないフレンズ
14話>> 614
15話>> 619
16話>> 624
17話>> 630
18話>> 644
前回のあらすじ
岩石地帯へ到着した二人はハブ、ヤンバルクイナと別れて先へ進む
ドブネズミは突然窪みに落ちたがセルリアンの残骸サンドスターを見つけていた
回収しにいくとなんとそのかつてのその持ち主は正体不明の敵に既に倒された『夢みるプリンセス』の本体で、ヒトの『かがやき』を吸収してスタンドを身に着けたセルリアンだった
スタンドを通じてセルリアンとしての半生を語りその敵の正体を探るのだけは頼むといわれるが受けた攻撃について話そうとしたタイミングで消滅した
敵の能力についての謎の手がかりが無くなったが、ドス黒い脅威がどこからか襲ってくる可能性があることがドブネズミへと伝えられたのだった。
ののののののののののののののののの
二人は『手頃な大きさの石』を探していた。
石を見つけると、互いに手の大きさにあう石を見せあった。
ドブネズミは両手で挟んで持ち、アフリカゾウは抱えながらマフラーで支えている。
ドブネズミ
「さあ、こんなんでいいだろ」
アフリカゾウ
「うん?なんでそんな小さいのを選んだの?」
ドブネズミ
「え?小さいって……これが?」
アフリカゾウ
「こんくらいじゃあないとね」
ドブネズミ
「ウソぉ、そんなデカいのを持ち歩けるのか!?」
アフリカゾウ
「え〜、全然デカくないよ〜」
ドブネズミ
「この袋に入れることを考えてその大きさか?」
アフリカゾウ
「あ、そうだったね。それでいいや」
ドブネズミ
「よかった…」
アフリカゾウ
「そうそう、次はここからあの海まで降りて行かなきゃいけないもんね」
ドブネズミ
「おう、ちょっとここで休もう」
アフリカゾウ
「えー、早く行かないといつまで経っても進まないよ!先に行こうよ」
ドブネズミ
「わたしは、アフリカゾウよりもすぐ疲れるんだ。ここんとこの休憩は少ないくらいだ」
アフリカゾウ
「う…たしかに、マイが言ってたね。ドブネズミちゃんはずっと寝てるけものだって。でも動かないと」
ドブネズミ
「ああ、喉も乾いたけどここには水がない…どうしたらいいんだ……」
アフリカゾウ
「動けばいいんだってば〜〜」
お〜〜〜〜〜い!大丈夫〜〜〜〜?元気ないみたいだけど〜〜〜?
上空から声がした。
アフリカゾウ
「あ、アネハヅル!インドガンも!」
ツル目ツル科アネハヅル属
アネハヅル
Anthropoides virgo
Demoiselle Crane
カモ目カモ科マガン属
インドガン
Anser indicus
Bar-headed goose
アネハヅル
「アフリカゾウ、声だけでよくわかったね。山の上を越える途中だけど、困っているみたいだから何か役に立てることはないかなって、来てみたんだよ」
インドガン
「アネハヅルったら渡りの途中にどこに行くんだろうと思ってついてきたら、君たちが見えたんだよ。何があったのさ?」
アフリカゾウ
「このドブネズミちゃんっていうんだけどね、こっちの下まで降りなきゃいけないのに動けないって」
ドブネズミ
「気分が優れないんだ……」
アネハヅル
「これはもしかして……」
インドガン
「もしかすると、だな」
アフリカゾウ
「なに?何があるの?」
アネハヅル&インドガン
「高山病「だね」「かもね」」
アフリカゾウ
「こーざんびょー?」
アネハヅル
「この子、もしかしてずっと低いところで暮らしてた子だったりする?君が大丈夫なのはわかるけどさ」
インドガン
「あたしたちみたいに高いところに慣れてない子が来ると、酸素が足りなくてこうなる。アフリカゾウ、君がこの子を連れ回してしまっているの?」
アフリカゾウ
「うう……そんなことはないよ。でも気がついたら具合が悪そうにしてて……」
アネハヅル
「さっき、水がほしいとかって言ってなかった?水を飲まないと危ないんだよ。このままにしてても良くならないかもしれないね。インドガン、下まで二人を連れてってあげようか」
インドガン
「ハァ、アネハヅルのお人好しで渡りの予定が延びそうだ。仕方ない、あたしたちが下まで降ろしてあげるとしよう」
のののののののののののののののののの
のののののののののののののののののの
アフリカゾウ
「ごめんなさい……二人とも。ドブネズミちゃんも、ごめん」
アネハヅル
「気にすることはないよ!大切な仲間が減るのは避けなきゃね。その子、ドブネズミっていうんだっけ?ぼくが持つよ」
インドガン
「じゃああたしはアフリカゾウを持つかな。方向と着地点は適当なところにするけどいいか?」
アフリカゾウ
「えっと、あっちの海の近くに行ってほしいんだけど」
アネハヅル
「了解!」
インドガン
「出発!」
こうしてドブネズミはアネハヅルが、アフリカゾウはインドガンが背負い飛んで次の目的地へ移動することになった。
ドブネズミはこれまでに体験したことのない頭痛や動悸やめまいがして歩くのが難しくなるほど体調が悪くなっていた。
アネハヅルの背中に吐きそうにまでなったが、そもそも予備のじゃぱりまんも食べておらず腹に何も入れていないので事件を起こさずには済んだ。
さらにドブネズミにはアネハヅルが時々語りかけて具合はどうかと聞いてきてくれるのが心の支えとなり、どうにか最後まで持ち堪えることができた。
一方で途中のアフリカゾウはというと、ドブネズミにさらに無理をさせてしまうかもしれなかったという後悔が募り、インドガンの背中を見つめたまま顔を上げられずにいた。
だが降り立ったときまでには決心がついたのか、ドブネズミには前から変わらないアフリカゾウとして立っていたように見えた。
アネハヅル
「ここら辺でいいんだね。降りるまでよく頑張ったけど、今度から高いところに行くときはゆっくりいこうね」
インドガン
「そう。高山病にならないようにするには、休み休み登ったり深く呼吸したり、ペースを上げすぎないこと!いい?」
ドブネズミ
「わかったよ。ありがとう。気をつける」
アフリカゾウ
「ほんと、ごめんね。ありがとう!」
アネハヅル
「アフリカゾウ、久しぶりに会えて良かったよ!今度は二人とも元気で会えるといいね!またね!」
インドガン
「そうね。またね」
ドブネズミ
「元気でな!」
アフリカゾウ
「元気でね!」
飛び立った渡り鳥コンビが点に見えるまで見上げていた二人は、流石に即座に落ち着いて出発できなかったのか腰を下ろして休んだ。
しばらくして、これについて何か知っていたのではないかとドブネズミがコノシマ・マイに連絡するため通信端末を起動するとアフリカゾウが近づいてきた。
ドブネズミ
「マイはいるか」
マイ
《ここにいる。わたしだ。何の要件なんだ?》
アフリカゾウ
「えっとね、ドブネズミちゃんが『こーざんびょー』になってたみたいでね」
マイ
《な!?なんだと!?そんなことがあったのか!?今は大丈夫か?!》
ドブネズミ
「下に来たから良くなってきた。そんなに驚いて、そっちがどうしたってんだ」
マイ
《いや、目標の地点は高山病に罹るような高さではないはずだったんだ。アフリカゾウは大丈夫なのか?》
ドブネズミ
「なんともないみたいだ。わたしは立ち上がるのがやっとだったよ。お前はわたしについては、どう思ってる?」
マイ
《本当に申し訳ない。ドブネズミ君の呼吸では酸素が十分に取り込みにくいということなのかもしれない。高山病の症状を緩和する薬を渡しておくべきだった。高山病は個人差によってなりやすさが違う。特にフレンズの身体能力については未解明な部分が多い、というよりほぼ全く分かっていない。だから予測できなかったというのは言い訳でしかないがそう説明したということにさせてくれ。本当ならデータをとるために心拍や脈拍を測る必要があったんだが、それは既に不可能だからそのまま調査を継続してくれ。何か他にはないか?》
アフリカゾウ
「私からは、特にないよ。」
ドブネズミ
「このあとのルートにはどのくらい高いところがあるんだ?」
マイ
《一回、かなり高いところに行く予定になっている。》
ドブネズミ
「その予定についてはどうなんだ?」
マイ
《そこはドブネズミ君には苦しいだろう。だがドブネズミ君だけ行かなくてもいいというワケにもいかない。そこで、助っ人を用意した。そちらへ向かわせているところだ。待っていればすぐにでも到着するだろう》
ドブネズミ
「助っ人?」
アフリカゾウ
「え?誰か来るの?」
マイ
《君たちのご存知の者だ》
ピョコピョコピョコ
ピョコピョコピョコ
ピョコピョコピョコ
ドブネズミ
「この足音は……もしや………」
アフリカゾウ
「まさかの………」
?ラッキービースト
「こんにちは。ラッキーだよ。君たちのアシストをすることになったよ。よろしくね」
マイ
《そのラッキーが助っ人だ。今まで君たちが出会ってきたタイプとは異なる、【多機能】で特別なラッキーだ。通信はそのラッキーを通じて行うこともできる。話しかけてやれば言葉を解して反応する。ヒトじゃあなければ反応しないなんてことはない…いやなんでもない。まあ、要するに便利…頼もしいやつだ。頼るならまずは彼に相談するといいだろう。詳しい機能については彼から直接聞けとしか言われていない。それほどに【多機能】なんだろう。期待してやってくれ。じゃあそろそろ失礼する》
アフリカゾウ
「ふ〜ん。ボスじゃなくてラッキーね」
ドブネズミ
「ちょっとこいつをイジるか。ボス!これからよろしくな!」
ラッキー
「『ラッキー』。ボスではなくラッキー・ビーストの略称でもない。『ラッキー』がボクの正しい名前だ。正確に憶えるんだ」
←to be continued…
20話>> 654
続き楽しみんみ👍
ありがとうございます!💪
セルリアンの拡大が深刻化する中、セルリアンに襲われそうになったツチノコをアライグマが助ける
アライグマはフェネックを「命の恩人」の呼び、フェネックの行なった行動の償いを自身の能力で埋めていた。
そんな中、「博士」と名乗るフレンズが現れ、突然殺処分を言い渡す。
かばんたちは前回同様、ナーチャと名乗る要請が現れる。
ハシビロコウがなぜ殺しを始めたのか、それが今回明らかになる……
ナーチャ「ハシビロコウ……これは一体どう言うことだ?」
ナーチャ、かつてハシビロコウの家族を餌場として利用した妖精
何を寝返ったのか、今はライオンやヘラジカにいい顔をしている
(詳しくはSS作品【非現実で非常識】をお読みください)
ハシビロコウ「これって何のこと……?」
ナーチャ「わざと聞いているな?この少女のこともだし、この拳銃のこともだ!なにより、ここは裏町と言われる危険区域じゃないのか!?私聞いてない!!」
かばん「え!?え!?誰ですか!?え!?羽生えてるし…」
それは宙に浮いていた。
大きさは子供と同じくらい、民族風な衣装を見にまとい、結構涼しそう
ハシビロコウ「そ…そう、ここは裏町……」
ナーチャ「じゃあ、最初の質問に戻ろう。【これは一体どういうことだ!?】」
ハシビロコウは怯える
が、僕には何が何だか分からない
ナーチャって誰?
え?何?
ハシビロコウの保護者的存在なの?
全くわからん
ハシビロコウ「み…みんなあなたを探してるよ…早く帰った方がいいんじゃない……?」
ナーチャ「ああ、そうだな!帰ってたっぷり今見たことを聞かせてやるよ!ヘラジカとライオンにな!」
ハシビロコウ「すみませんでした」
ハシビロコウは土下座する
なんとも、綺麗な土下座なこと
かばん「えぇ……」
僕は戸惑った
言われたらまずいことなのか…?
いや、普通殺し屋なんてやってるなんて言えないか
ナーチャ「お……おい、何でそんなに素直に土下座するんだ……?そんなに言われたくないのか…?」
ハシビロコウ「うん…いや、はい……」
土下座したままのハシビロコウは顔だけを上げ言った
ナーチャ「…あーもう…なんか気分が変わった。理由だけ説明してくれ。状況も、あんたが何者なのかも」
ハシビロコウ「ありがたき幸せ」
ヤバイ、ハシビロコウがキャラ変わってる
誰だよ!
崩壊じゃなくて、完全に変更だよね!?
いや、それより先に
かばん「あの……一ついいですか…?」
ナーチャとハシビロコウがかばんを見つめる
かばん「その……羽の生えた人は誰ですか……?」
ナーチャは少し首を傾け
ナーチャ「最初会った時は私のことは見えてなかったはず……?なぜ今見えているんだ……?」
かばん「はぇ……?見える?見えない?」
ナーチャ「私は妖精、欲ある者にしか見えない妖精、ナーチャだ」
かばん「欲……?妖精はわかりますけど、欲の部分がよくわからなくて……」
ハシビロコウ「妖精はわかるんだ……」
ナーチャ「ドス黒い貪欲を持つ人、もしくは餌として決めた人のみ見えるんだ。金とか性欲とか、そう言う快楽のための欲にまみれた人にしか見えないはずなんだが……君は…うーん……」
かばん「じゃ……じゃあ、僕はドス黒い貪欲を持ってるってこと……?」
ナーチャは黙り、再びハシビロコウの方を見る
ハシビロコウは立ち上がった
ナーチャ「もっと気が変わった。さっさと説明してくれ、ライオンたちには何も言わない」
ハシビロコウは頷いた
ハシビロコウ「私は殺し屋、裏町で生きる殺し屋」
この際だ、ハシビロコウが何者なのか、ちゃんと見てみるのも悪くない
ハシビロコウ「この街でも結構名の知れた存在だと思う」
ナーチャ「だから銃を……何のためにそんなことを?」
ハシビロコウはその場にあった椅子に座り
ハシビロコウ「生きるため、私【たち】が」
ナーチャ「ライオンたちのためか…?だったら隠す必要も…」
ハシビロコウ「私たちが日常生活の上で生きていけるのは、多分だけど私のお陰、借金も、本当はもっと早くに請求が来て、ちゃんと支払わなければならい」
ナーチャ「何で、お前のお陰なんだ?」
ハシビロコウの眼の色が変わった。
悲しげな表情から一変、鋭い眼球が見つめる先にナーチャはいる
ハシビロコウ「私たちの借金も、生活の上、私が全てを【支払った】から」
ナーチャ「支払った……」
ハシビロコウ「私はどんな仕事も引き受けた。金のためなら体だって売った。あいにく裏町は物好きが多くてね。私を求める声なんて星の数ほどあった。武術を磨き、この街で生きていける自分を作った。スナイパー一つあれば会社一つ潰せるようになっていた。ライオンさんやヘラジカさんがいくら働こうと、借金の足しなんかにはならなかった。だから…だから私が……」
ナーチャ「ちょっと待て!なぜ…それがバレなかった?その感じだと、借金を全て返したことになる!一気に返して、バレないわけがない!」
ハシビロコウ「だから…私は【悪魔】の名前を使ったの……借金の請求が来ないのなんて当たり前だ。借金がないから…少しづつ返してると思った?違う…とっくになくなって、私がみんなのペースに合わせて返してる…そんな【設定】を作っただけ……」
ナーチャは口を開けたまま、そのまま立っている
かばん「……でも、それだったら今、ここにいる必要はないはずです……借金がないなら……金を稼ぐ必要は無いはずです……」
ハシビロコウ「私の家は少し特殊、大きい代わりにそれなりの代償がつく……それに、お金は嘘をつかない。お金がたくさんあることは悪いことじゃない……きっと、みんなのためになるから……」
かばん「でも!それは人を殺してでも得るお金じゃないですよ!殺しって言葉に慣れてきちゃったけど、それは間違ってます…!」
ハシビロコウ「私のことは私が決める。何も言わないで……」
人が死ぬ
そんな街で生きる人は、どうせこうなってしまうのか…
フレンズだから、仲間を大切にする気持ちを持っていても、それが真っ赤に染まるのは想定外だ
ナーチャ「ここには真っ黒な奴しかいないのか……あの時感じた殺気はそのドス黒い欲だったかもな。そうか……」
ハシビロコウは小さく囁いた
ハシビロコウ「私はヒーローを知ってる……だから……いいの……」
ヒーロー?
考えてもわかるはずがない
僕はハシビロコウのことを何も知らないから
だけど、今のでよくわかった。
殺人は人を変えしまう。
僕はその銃に手を添えている。
きっといつか、僕が誰かを殺す時が来るのだろうか?
その時が来ても、僕は人を殺さない
誰のためでもない、そんなの間違ってる
目的を忘れるな
僕は守るためにここにいる。
親友を、家族を
ナーチャ「面白い、しばらく居候するよ」
ハシビロコウ「は?」
かばん「は?」
第25話へ続く……
次回予告
ーー〈裁きを受ける者、与える者〉ーー
読んだよー👍
ありがとうございます……!
虫喰いでないフレンズ
15話>> 619
16話>> 624
17話>> 630
18話>> 644
19話>> 646
※ちょいとギスギス展開を含みます
ラッキー
「『ラッキー』。ラッキー・ビーストの略称じゃあない。『ラッキー』がボクの正しい名前だ。正確に憶えるんだ」
ドブネズミ
「な、なんだぁこいつァ!?」
アフリカゾウ
「さっきとは喋り方も、口調もまるで違う………こんにちは!私はアフリカゾウ。こっちはドブネズミちゃん。君をラッキーって呼んでいい?」
ラッキー
「ああ、アフリカゾウ。そうしてくれ。ドブネズミちゃんもそうしろ」
ドブネズミ
「お、ぉ、オイ!ちゃんはやめろ!アフリカゾウが呼ぶときはちゃんが付くんだよ!お前は付けなくてもいい!なんだかお前からのその呼び方はこっ恥ずかしいんだよ!」
アフリカゾウ
「あ、気にしてた?ごめんね、クセなの」
ドブネズミ
「いや、アフリカゾウは呼びやすいように呼んでくれていいんだ」
アフリカゾウ
「そう。ラッキーさんは…」
ラッキー
「お前がドブネズミなのは知っている。そう呼ばせてもらう」
アフリカゾウ
「だって」
ドブネズミ
「こっ、コイツゥウゥゥ〜〜〜〜〜〜ッ」
アフリカゾウ
「気難しいんだね。ねえラッキー、今のドブネズミちゃんの体調はどうなってる?」
ドブネズミ
「どんだけ【多機能】なのかを確かめるのか」
ラッキー
「分析中……分析中……完了。ドブネズミは、至って健康。不調はみられないよ」
アフリカゾウ
「は〜、良かった!」
ドブネズミ
「そういや、降りてきてちょっとしか経ってないのにめまいも吐き気もしないな。高山病っていうものはこんなものなのか?」
ラッキー
「言われただろう。フレンズの身体的な能力についてはほとんど分かっていないと。急速に快復しているようだが念の為暫くは安静にしておくんだ」
ドブネズミ
「ラッキー……」
アフリカゾウ
「うん、そろそろ夕方だし寝るのがいいと思うよ。でも休むならもっといい場所を探さない?ここはゴツゴツしてて寝心地悪そうだよ」
ドブネズミ
「わたしもそう思っていたところだ。ラッキー、近くにいいところはないか?」
ラッキー
「いいところ?何がどうなってるのがいいのか具体的に説明してくれ」
ドブネズミ
「ぐっ……近くにいて話聞いてるならわかるだろ!?」
アフリカゾウ
「ごめんごめん。えっと、地面が柔らかくて平らな場所がいいんだけど」
ラッキー
「了解。ラッキービーストたちの集めた情報から検索中……む、あったみたいだぞ。そちらにすぐ向かうからついてこい」
ドブネズミ
「お、助かるな」
アフリカゾウ
「ありがとう、ラッキー!」
アフリカゾウには友好的だがドブネズミには見下したような態度で話すラッキービーストは、二人を率いて歩き出した。
高いところに行けないドブネズミのアシストをするためにラッキービーストを仲間にするということ自体が疑問で、更にそれがアシストされる自分の言うことを聞かないかもしれないときている。
ドブネズミは疑問を解決できるような相談相手を探すが、まともに話せるアフリカゾウはこのことを知っているわけが無いしマイはこれを説明しないで遣わしたということは「知らなかった」で済まされる恐れがあるので諦めた。
『ご本人(ラッキー)』に聞くことは最初選択肢に上がらなかったのだが、まだ会話ができないとも限らないとして試すしかなかった。
ドブネズミ
「ら、ラッキー。聞きたいことがあるんだが……いいかい?」
ラッキー
「なんだ」
ドブネズミ
「ラッキーはアシストをするためにわたし達の元へ派遣されたんだろ?」
ラッキー
「そうだが、何が言いたい?」
ドブネズミ
「高いところに行けないわたしのアシストって、どんなことをしてやるんだ?具体的にどうやってアシストするんだ?」
ラッキー
「それか。ボクにはお前のようなある環境への適応力が不十分なフレンズの生存を助ける機能が備わっている。ボクを抱えて持っていればエベレストの頂上でだって年中暮らせるようになるし、水中では何キロ先だって見通せるようになる。ボクの能力を疑っているというのなら証明してやろうか?」
ドブネズミ
「説明ありがとう。わたしには、それのどこがすごいのかイマイチピンと来ない。でも期待してるから拗ねないでくれよ」
ラッキー
「期待してるなどと…慰めのつもりか……」
ドブネズミ
「お、おい。ラッキー、何でそんなに拗ねてるんだ」
アフリカゾウ
「ラッキー、ごめんね。ドブネズミちゃんがまた何か傷つけるようなこと言っちゃったみたいでさ。ちょっと離れて二人だけで話したいから止まっていい?」
ラッキー
「構わない」
アフリカゾウ
「ありがと。こっちきて、ドブネズミちゃん」
ドブネズミ
「な、なんだよ」
アフリカゾウ
「あのさ、あのラッキーさん、ボスとすごく似てる形をしてるじゃん?色は全然違うけど」
ドブネズミ
「おお、確かにそうだけどそれが何だって?」
アフリカゾウ
「ボスたちと同じくずっと外にいて何かしてるならその分汚れるはずだけどさ、すごくキレイで、如何にも『出荷直前』って感じだったじゃん」
ドブネズミ
「そ、それで?」
アフリカゾウ
「う〜ん、つまりさ、『初仕事で張り切って出てきたら役立たず呼ばわりされた』って思ってるんじゃない?」
ドブネズミ
「え、え!?どこが!?」
アフリカゾウ
「みんなきっと自分は仕事ができることがわかってくれるって思ってるのに、説明したことにピンと来ないって言っちゃったのがマズかったのかなって」
ドブネズミ
「あ〜〜っ。そうか。なんとなくわかった。気をつけるよ」
ラッキー
「おい、そろそろいいか?」
ドブネズミ
「ああ!待たせてごめんな、ラッキー。さっきのわたしが言ったことで傷つけてしまった件について、わたしの失言だったと理解したよ。すまなかった」
ラッキー
「……『ロボットのボクに一々謝るなんてな。こいつはなんとも滑稽だ。そんなことを気にしているなどと聞いてしまっては、ボクまで恥ずかしくなりそうだ』」
ドブネズミ
「………………なんだと?」
アフリカゾウ
「え…………?」
ゴニブゴニブゴニブ
ゴニブゴニブゴニブ
ゴニブゴニブゴニブ
アフリカゾウは、ラッキーが発した毒のある言葉に耳を疑った。
そして顔に風を感じたとき、すでにドブネズミがラッキーに掴みかかっていた。
両手でがっしりと、捕えた獲物を逃がすまいと地面に押し付けて捕らえている。
ラッキーのボディーは爪が食い込みギシギシと凹んでいた。
アフリカゾウ
「あ、あわわ……どうしてこんなことに……
取り敢えず、抑えて!ドブネズミちゃんっ!そんなことしてもなにもかいけ……あれ?」
アフリカゾウは、初めてそれを目撃した。
目は光り、手からは光る粒子がこぼれ落ち、静脈血のように赤黒く妖しいオーラを纏いながら『ラット』が出現する。
髪飾りの目すらも、ドブネズミの意思に呼応しているかのように赤く光っていた。
アフリカゾウからは背中側だけ見えていて、手元も顔も見えていない。
しかし、手から溢れるサンドスターが舞い上がるのが見えて唖然とするしかなかった。
一方、ラッキーは言葉を発してドブネズミと会話しようとした。
アフリカゾウ
「これが………ドブネズミ……ちゃんの…『野生開放』…………」
ラッキー
「ドブネズミ!ドブネズミ!ボクから言うことがあるよ!聞いて!」
ドブネズミ
「…………………話せ」
ラッキー
「ボクは『君を怒らせる』ようにプログラムされていたんだよ。口調を変えたのも、親しみやすさを覚えさせないためだよ。でも、プログラムに完全に従っていたら、まだまだ君を罵ることを言っていたんだ。目的は君の『野生開放』を起こさせることだから、これ以上は必要ないんだ」
アフリカゾウには、ドブネズミのオーラが薄まるのが視えた。
ドブネズミ
「そうか。お前自身は言いつけられたことをやっただけだから非はないと?悪気はなかったと?お前のことを攻撃するのはおかしいというのか?」
ラッキー
「たしかにボクは攻撃されても文句は言えないくらい悪意の籠もった発言をしたよ。でも、初め君はボクのことをからかおうとしてたね。ロボットだから謝罪はもとめないけどね。まあ、いつだってこんなとき過去のことを引っ張り出すと後が大変だからここまでにしておくよ。
本当は『野生開放』のデータが必要だからこの状態で戦いに行ってほしいんだけど、さらにこちらから頼み事をするのは嫌がらせしてきたクセに図々しいと思うだろうね。気が進まなければ何もしなくていいよ」
ドブネズミ
「なるほど。先にわたしを怒らせたらどうなるか見たいとでも言っておけばよかったものをこうしたことはなんとも思わないのか。お前は戦えるのか?わたしは相手がお前なら十分に戦えるが」
ラッキー
「目的を先に説明してしまうと、怒りを引き出すのが困難になるからという理由があって説明なしに実行させてもらったよ。
あと、ボク自身は無力だし君の能力は危険極まりなくてデータが取れなくなるという理由で戦闘は許可されていないよ」
ドブネズミ
「ふん、残念だな。ここにいるのがわたしとお前だけなら、お前がわたしを怒らせた時点でお前はカップからブチ撒けたゼリーになってたところだ。もっとも、そんなゼリーはすげー不味そうだから啜ろうとも思わないがな」
アフリカゾウ
「うぅっ……」
アフリカゾウはドブネズミが説明した光景を想像してしまい嗚咽を漏らす。
それを聞くとドブネズミの妖しいオーラが弱まりかけから完全に消え失せる。
ドブネズミ
「アフリカゾウ!どうしたんだ?」
アフリカゾウ
「心配してくれるの?ありがとう。ちょっと気分が悪くてね…」
ドブネズミ
「そうか。無理するんじゃあないぞ?わたしみたいなことになるかもしれないからな」
アフリカゾウ
「そうだね。休憩が必要だって言ってこうして歩いてきたのにね」
ラッキー
「………すぐそこが目指していたところだよ。休憩を取ろう」
(いつか、戦闘のデータもとらせてもらうよ。ドブネズミ。さっきの言葉が威圧するためだけの脅しなのか、それとも本当にやるつもりのあることの予告なのか、見極めなきゃあいけないからね…)
?
「見つけた………!あれ?なんでアフリカゾウと一緒なの………?とにかく、あれこれ考えるよりも先に捕まえないと………」
のののののののののののののののののの
ちょうどその頃研究所では、モニターに向かってブツブツと独り言を発してノートをとる研究者がいた。
マイ
「まずは想定通りか。状況から分析すると
『自分のことを貶されると怒り相手を攻撃する』
『怒りによって昂ぶり所謂野生開放と呼ばれる状態へと移行する』
『他人の声を聞くと怒りが抑えられる』
『声の主へ心を許しているほど抑制作用は強い』
『スタンドのパワー上昇の有無、変化の大小は未知だが本体と同様に基礎能力の向上があると思われる。両手でラッキーを締めつける力は数百キログラムにも達していたからである』
というところか。
凶暴化の進行が浅かったようだな。もっと、さらなる激しい怒りを誘って尚かつ安全にデータを取らなくてはならないのが今後の課題、と。
ふむ、スピードワゴン財団による情報だと命の危機を感じさせる程追い込まないと能力は向上しないそうだが?
やはりフレンズのスタンド使いであるドブネズミ君のことについて考えるには、フレンズの枠に囚われない想定が必要なのかな?それとも、フレンズではなくビーストだと?いや、これまでの行動が理性的過ぎるな………特にこの辺りのデータを取らなければ………
ん?フレンズが一人、低い姿勢でドブネズミ君の方を睨んでいるな。狩りのつもりか?本気で狩ろうとしているようには見えないが…」
←to be continued…
読んでるよー👍
ありがとうございます!💪
商店街にて、現れたセルリアンを颯爽と倒したアライグマは、謎のフレンズ「アフリカオオコノハズク」に突如「殺処分」を言い渡されてしまう。
アライグマの運命やいかに
銃の修行に努めるかばんの前に、謎の妖精「ナーチャ」が現れ、ハシビロコウの思いが語られた
【殺処分】
かつてかばんがそれに選ばれた
謎の攻撃を受け、かばんは殺されかけた
アライグマ「存在価値ない存在が抹殺されるシステム……それが殺処分なのだ……!」
コノハはその場に立ったまま
何も動かない
ツチノコ「こいつ…攻撃してこないぞ……」
アライグマ「間に合わなかったのだ……博士の狙いはアライさんじゃないのだ……」
ツチノコは口を少し開け、ボケーとしている
何か閃いたのか少しビクッとする
ツチノコ「あ!なるほどな!」
コノハの後ろに何かがいるのが見えた
次の瞬間、何かはコノハに一発、拳を叩き込んだ。
コノハは垂直に飛び上がり、何かの真上
何かの拳には手袋、湯気が立っていた。
ツチノコ「フェネックの方か!」
グキャ…ギギギ……
それはフェネックというには、なんというか…
フェネックは首をコノハの方に向ける。
真上にいるコノハに、首を180度回して
コノハ「相変わらずなのですねぇ…」
フェネック「誰が殺処分だってー……?」
コノハ「お前なのですよぉ!!!!」
コノハは強く杖を振り下げる。
フェネックはそれを片手で掴み、それごと放り投げる。
ガガガガ……ベギ……
首が元に戻る
戻る物じゃないが
商店街のお店にめり込むコノハ
フェネック「天使さーん、神様の命令も守れないなんて情けないねー」
コノハ「ゴホッ……法律も守れないお前に言われたくないのです……」
フェネックはコノハに近寄る
ツチノコ「は?天使?」
アライグマ「そう…博士は天使、神の使いなのだ……」
ツチノコ「じゃあ殺処分って…!……なんのことだ?」」
アライグマ「……天罰のことなのだ……」
煙が立ち込める中、コノハの目にはうっすらと、フェネックの影が映り込む
コノハ「地獄なんてありはしないのです。お前は罪を犯しすぎた。世界の秩序だって破ったのですよ?」
フェネック「さー?法律はあっても秩序は知らないねー」
コノハ「だったら……」
コノハは杖を強く握りしめた。
そして、素早く立ち上がりフェネックに突っ込む。
コノハ「教えてやるのです!!」
杖を横に強く振る。
杖はフェネックの腹の3分の2を抉り取っていった。
普通なら立ってない。
だが、フェネックはあの時のように……
コノハ「死は、必ず遂行しなければならない義務なのです。お前は死んだことがあるのですか?ましてや殺処分で」
フェネックはニヤリと笑みを浮かべる。
えぐられた腹は凍りつき、また、何事もなかったかのように動く。
フェネック「無いねー」
フェネックはコノハを殴りつける。
コノハはまたも吹き飛ばされ、反対側の店にくぼみを作る
コノハ「ゴホッ………死は秩序。殺せどこの様。そろそろ自分が悪人だって自覚を持ってみてはいいのでは?」
フェネック「だったら殺せばいいじゃないかー。自覚を持って?残念、私は悪人だって自覚はたっぷりあるんだよー」
フェネックはコノハに近づき、コノハの胸ぐらを掴み持ち上げる。
コノハ「ははは……この会話は何度もしたのです……何故、悪人でいようとするのですか?」
フェネック「悪人にしか守れない物だって、救えない物だってあるのさー」
コノハ「悪人が守れるのは悪だけなのです。お前の守ろうとしてるのは……救おうとしてるものは所詮、悪でしかないのですよ」
コノハはフェネックの胸を思いっきり蹴る
フェネックは少し押され、コノハを離し、後ろに後ずさる
フェネック「じゃあ……アライさんが悪って言いたいのかなぁー?」
コノハ「言いたいじゃないのです。【言っているのです】」
瓦礫の煙が立ち込む中、フェネックの目が赤く光った気がした。
フェネック「いい加減…学習したらどうかなぁ…?」
コノハ「学習?足りないのはあなたでしょう?」
フェネックはフラフラと、ゆっくりコノハに近づく
フェネック「いいかぁ……?よく聞けぇ…」
フェネックはコノハの目のまで止まる
コノハは動こうともしない
フェネック「私にとって、アライさんを侮辱することはクソを塗りたくられることと同じだぁ…よーーく覚えておけー……」
ジトリとした目はパチリと、ただまっすぐとコノハをフェネックの目は見つめた。
コノハ「はいはい、覚えたのです」
コノハは杖の持ち手っぽい方をすくい上げるようにフェネックに振るう。
フェネックは垂直に飛ばされ中に舞う。
コノハは頭の翼を広げ、空中で高速回転しながらフェネックに何発も杖を当てた。
フェネックは地面に勢いよく打ち付けられ、煙たいその場がさらに煙たくなる。
コノハ「……追い詰めた…やっとなのです……」
コノハは無邪気な狂気に満ちた笑みを浮かべ、そっと、上の先をフェネックに向ける。
アライグマ「やめるのだぁ!!」
ツチノコ「うわ、びっくりした」
コノハは飛びながらアライグマの方向へ振り向く
表情は真顔、先ほどの笑みはなかったかのようだった。
アライグマ「フェネックは……フェネックは罪人じゃないのだ!!」
コノハ「ほほぅ?理由を教えてほしいものですねぇ?」
コノハは空中から降り、足をついた。
「ハッ!!」アライグマは驚いたような声を上げ、コノハの方へ走っていく
コノハ「ん?何をするつもりですか?」
コノハはアライグマの目線を気にする。
コノハは気づいた。
アライグマの視線は、自分に向いてないことに…
そっと、横を見るとフェネックがこちらにものすごいスピードで近づいてきていた。
コノハ「……盲点」
アライグマはコノハの前で手を開き、フェネックを遮る
フェネックは勢い余ってアライグマへ……
・
グブ……
・
鈍い音がフェネックの鼓膜を揺らす。
フェネックは自身の手を見る。
右手はしっかりと、アライグマの腹部に刺さっていた。
血で赤く染まる、フェネックの思考は停止した。
2秒間、その空間は静まり返った。
アライグマは口から血を吐き出し、苦しそうに腰を丸める。
アライグマがゆっくりとフェネックにもたれかかると、フェネックはやっと思考が復活したのか、刺さる右手を抜き、もたれるアライグマを両手でゆっくりと支えた。
そして、また思考は停止した。
コノハ「盲点……しかし、コレは好転!!」
アライグマの背後で杖を構えるコノハに、フェネックの思考は追いつかなかった。
コノハ「今度こそ!!トドメなのです!!」
・
ゴンッ!!
・
「え?」左の頬に強い痛み、大きな手に鷲掴みされてる感覚がコノハを襲う。
コノハはそのまま右へ手とともに飛ばされる。
地面に強く押し付けられ、コノハの動きは完全に停止した。
ツチノコ「ウェイクアップ……あ!やりすぎたか……?」
スマホを片手に、ツチノコは叫んだ。
ツチノコ「もういい、戻ってこいBSS」
BSS、ツチノコの武器である
(詳しくは、アナザーワールド・サンドスターストーリーズ 第3話 4話をお読みください)
黒く、大きなロボットの腕は、ロケットの火花を散らしツチノコの元へ戻ってくる。
ツチノコ「しっかし、遠隔操作機能搭載とは、ジドはやっぱすごいな…」
ガラ……
ツチノコ「あ?…あ!」
地面の盛り上がったコンクリートたちをはけ、コノハはゆっくりと立ち上がった
ツチノコ「まずい!BSS!!行け!」
[了解しました。ターゲット、アライグマのフレンズ]
ツチノコ「そっちじゃねぇ!!」
コノハはゆらりゆらりと、まるで酔っ払ってるかのように近づく
コノハはゆっくり顔を上げた
ツチノコ「ああ……やべ……」
コノハ「あ……アライグマ!!フェネック!!」
ツチノコ「……へ?」
ツチノコは疑問を抱いた。
コノハの先ほどまでの狂気は消え、今にも泣きそうな顔で、おどおどしく、心配そうに
コノハ「ああ……怪我が……早く……」
自分の頭に強く拳をぶつけ、何度も何度もその痛みに耐える仕草をした。
コノハは杖を落とし、直立不動のフェネックと今にも死にかけなアライグマを見つめた。
ツチノコ「な……なんだ……このカオスな絵面……」
[ターゲット、変更しますか?]
ツチノコ「あー……いいや……ジドに電話してくれる?」
[承知。コール、ジド]
わからない
ツチノコには、コノハが誰なのかも、はっきり言って天使ってなんだその設定なのかも、なにもわかっていない
アライグマがやられて焦ってないのは、ヒグマを直した過去があるから
ただし、それがアライグマ自身に通用するかはわからない
そして、フェネックがどのような戦い方をして、どのような実力を持つか、それはよくわかった
そして、博士と呼ばれた彼女
まるで人が変わったかのような変わりようだ
いや、もしかしたら変わってたのかもしれない
ツチノコ「あ、ジド?迎えにきてくれる?」
第26話へ続く……
フルル「次回のーアナサーはー?」
コウテイ「あれ…?博士、初登場の時とえらくキャラが違ってないか?」
プリンセス「あら…本当ね」
イワビー「最近気づいて後戻りできなくなったんじゃね?」
ジェーン「だったら盗んだバイクで突っ込みに行きましょう」
イワビー「ロックだぜ」
コウテイ「どう考えても6じゃなくて15だろ」
プリンセス「なんの話をしてるの……?」
とまと「案外そういうの大丈夫だから、考えてあるから」
フルル「珍しいねー」
とまと「そうそう、珍しくね」
ジェーン「認めた…」
とまと「次回、〈私のヒーロー〉、お楽しみに〜」
読んでるぜ 次回も楽しみんみ👍
🙇♂️
虫喰いでないフレンズ
16話>> 624
17話>> 630
18話>> 644
19話>> 646
20話>> 654
21話 やくそくのうた その①
↑pixivへリンク
22話>> 673
今回も外部投稿のみとさせていただきます
今月最初にして最後の投稿となりそうですがゆっくりと書いているので今後ともお楽しみに。
挿し絵をまた書きたい…
読んでますよー
続きも待ってますく~👍
ありがとうございますく〜🐯!
前回>> 658
今から軽く4年前
私の住んでいる家はドタバタの真っ最中だった。
ライオン「ああ!!家賃高すぎる!!これじゃ足りない!!」
ヘラジカ「おい!誰だ!エヤコン付けっ放しにしたやつ!」
節約に取り憑かれた獣たちは、今日も元気に吠えまくる。
初夏の日差し、だんだん暑くなり、体が馴染めてない。
ライオンもヘラジカも、その他のメンバーも必死に働いた。
だが、それでも足りなかった。
脳筋とは本当だったのだ。
私はハシビロコウ。
ずっと真実を貫いた私が、今日初めて
家族に嘘をついた。
ライオン「え!?ハシビロコウが就職!?」
ハシビロコウ「う……うん…それでね、しばらくここには戻ってこれないかもしれなくて……」
ヘラジカ「はっはっは!ハシビロコウが就職かぁ!どんな仕事なんだ?」
ハシビロコウ「それは……その……住み込みの…仕事で……」
ヘラジカ「ほほぅ、住み込みか…まぁ頑張れ!辛くても前に進め!はっはっは!」
もちろん、そんなわけない。
初めて足を踏み込む。
その時、何か悪いことをしてるように思えた。
裏町に一歩でも踏み入れば、もう、どこにも友はいなくなる。
隠せばいい、バレてもいい
ヘラジカ様やライオン様、そしてみんなのためになればそれで……
住み込みの仕事?そんなバカな
私がやろうとしてるのは殺しだ。
最初は小さいことの積み重ねだった。
銃を買うため、必死になって頑張った。
私は可愛くない。
だからこそ、商売や売り子
小さい立ち位置から始めた。
今でも覚えてる。
あの銃の重さ
「やっと、これから本番」
圧倒的安値で行う殺しは、お金のない住民たちに人気だった。
私はジッと見つめるのが得意
だからこそ、的を得る事が簡単だったんだ。
「やっと、これから本番」
値段はさらに高くなり、それとともに自分の知名度もどんどん高くなっていった。
次第に高度な依頼が増え、しかし、それでも私は完璧に成功させた。
そんなある日
私の無敗記録はボロボロにされてしまう。
ハシビロコウ「暴力団の殲滅……」
依頼人「なっ!?なぁ!?頼むよぉ…金ならいくらでも積むからさぁ!!」
ハシビロコウ「これくらいなら、ざっと7000万で引き受ける……それでもいい?」
依頼人「ああ!もちろんさ!感謝するよ!!」
何気なく引き受けたその依頼は、私にとってとんでもない地雷だった。
盲目だった
遠いビルから、爆発しそうなものにスコープの十字を重ねる。
私は気づかなかった。
背後から迫る影に…
手下A「どうですか!?轟々さん!こいつ噂の殺し屋じゃないですかね!?」
轟々「ほほぅ、こいつが俺たちを狙ってたってか?」
手下B「そうです!」
冷たいコンクリートの床、装飾のない壁
私は腕を縛られ、拘束されていた。
顔面は何発も殴られ、腹も何発も
爪は3枚剥がされ、血が滴る。
手下が二人、ボスらしき存在が一人
掠れた視界に映り込む
轟々「けっ!フレンズのくせしてこんなに可愛くねぇのは初めてだぜ。せいぜいストレス発散の道具だな!おら!」
ハシビロコウ「グブッ……!」
腹部を強く蹴られた。
こんな失態初めてだ。
裏町に入ったのが間違いだったのかな……
酷く自分を後悔した。
手下C「兄貴…お客さんが来ましたぜ…」
お客……?
ここで少し休憩か…
逃げる道を考えないと……
いや待って………手下C!!??
轟々「あ!?兄貴だとてめぇ!!誰に口聞いてると思ってんだ!!」
轟々が勢いよく振り返ると、黒い人差し指が轟々の鼻に当たる。
ツチノコ「お客の名前は【ツチノコ】、あんたに口聞いてる俺だ」
は…花柄のステテコ……
なんだこれ…ダサい……
轟々「貴様ぁ…この轟々を怒らせたなぁ!!」
轟々はツチノコの手を下げ、殴りにかかった。
ツチノコ「轟々だぁ?なにそれ、ボウケンジャー?」
違う、それは轟轟
軽くツッコミを心の中で入れた瞬間、轟々は横の壁に強くめり込んだ。
本当に一瞬だった
ハシビロコウ「あ…あなたは……?」
ツチノコ「さっき言ったと思うんだがなぁ…」
ハシビロコウ「違う……名前じゃなくて……」
ツチノコはポケットに手を突っ込み、黒い何かを取り出した。
ツチノコはそれを前にかざし
ツチノコ「警察だ」
警察手帳…
本当に警察だ…
ハシビロコウ「そんな……警察が裏町に来るはずが……」
ツチノコ「そうだぞ」
ツチノコは近づき、しゃがみ、私と目線を合わせる。
ツチノコ「お前、殺し屋かなんかか?」
まずい
警察にバレたら面倒くさい
何よりさっきの火力
相手にするのは馬鹿のやることだ
ハシビロコウ「い……いや……」
拘束されてる私は、いつからでも攻撃を受けられるほど無防備
ここで正体を明かすのは非常にまずい
しかし、言い訳も、嘘も思いつかない
完全に言葉が詰まった
ツチノコ「もういい、帰れ」
え?
ハシビロコウ「な……殴ったり……しないの……?」
ツチノコは深くため息をついた。
「あのなぁ……」呆れ顔でツチノコは言う。
ツチノコ「警察だからってそんな事しねぇよ」
ハシビロコウ「で……でも、さっき……」
ツチノコ「正当防衛だ。そりゃあ殴られそうになったらそれを防ごうとしないと」
ハシビロコウ「で……でも私は……」
はっ!!
口が滑った…
ツチノコ「私はなんだって?殺し屋だろ?殺し屋だからって拘束されてるやつを殴ったりしたら、あいつらとやってる事おんなじだろ?」
ツチノコは縛られた私の腕を解こうとする。
ツチノコ「それに、例え助けてもお前は俺を撃たない」
腕が解けて、自由に動かせる
どうしようか悩んだ。
いくら助けてくれたと言っても、私の正体を知ってる。
ツチノコ「俺はな、守りたいものがあるんだよ。お前もそうだろう?家族とか、仲間とか」
ツチノコは立ち上がる
ツチノコ「別に、お前らを懲らしめるために警察になったんじゃない。守りたいものを守るためになったんだ。だから、お前みたいな奴を殺したり懲らしめたりする気は無い」
ハシビロコウ「私みたいな……?」
ツチノコ「お前の金は汚くなかった。俺の目にはいろんなものが映る。例えば赤外線とかな。女の愛液が染み込んだ万札や汗と努力が染み付いた千円札も見える。お前の万札には家族の重みが見えた。努力と、【なんとかしたい】そんな思いがな。お前みたいな奴ってのはそんな奴のことさ」
ツチノコは振り返り、帰ろうとした。
私は何もできなかった。
逆光を浴びるツチノコは神々しく、見惚れる何かがあった。
・
・
・
・
・
ナーチャ「ホーン……そんなお話がねぇ」
かばん「ツチノコさん…なんかかっこいいですね」
ハシビロコウ「まぁ…あの人がいなかったら殺しをこのまま続けて、影の奥の奥まで行ってたと思う」
二人+妖精一匹は鍋を囲む
時間は夕食時
ハシビロコウ「誰かのために、守りたいもののために尽くす。その方法を私はあの人から学んだんだ」
ハシビロコウは皿に盛られた白菜を箸で掴み
・
ハシビロコウ「だから、ツチノコは……」
そして、一口
ハシビロコウ「私のヒーロー。なんだ」
第27話へ続く……
プリンセス「次回の、アナサーは?」
とまと「轟轟の方は見たことありません。すみません」
ジェーン「よく使えましたね」
イワビー「名前がたまたま轟々になっただけだかららしいぜ」
プリンセス「ファンに怒られるわよ」
とまと「おもちゃは知ってるんだ。かちゃかちゃするやつ」
フルル「おもちゃって大体そんなもんだよー」
コウテイ「怒られに行ってるだろ」
プリンセス「こんなファンを怒らすようなトマトは放っておきましょう」
イワビー「だな、さっさと次回予告終わらせて帰ろうぜ」
ジェーン「次回、〈定の鎖〉お楽しみにー」
コウテイ「次回はこんな感じじゃないといいが…」
フルル「本当にねー」
拝読しました
ツチノコが名言製造機かってくらいクールでした
ハシビロちゃんはいずれジャパ警のハシさんのようになっていくのかな…
ありがとうございます!🙇♂️
クールだぜツチノコ・・・
読んでるますく~👍
ありがとうございます!🙇♂️
虫喰いでないフレンズ
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21話>> 664
前回
イエネコがドブネズミへ奇襲を掛けて襲ってきた。
フレンズ達を困らせているという、もう一人のドブネズミのフレンズである『虫喰い』を捕らえようとして勘違いしたらしい
事実の確認のため話を続けようとすると突然ドブネズミがイエネコに殴られる
ドブネズミはそれをイエネコが身に着けている首輪からのスタンド攻撃によるものだと断定し、アフリカゾウに本体を探させて攻撃の回避に専念することにしたのだった
ののののののののののののののののの
ドブネズミは逃げながらイエネコと話し『虫喰い』の情報を得ようとしていた。
杜王町での彼(若しくは彼女)のことはよく知っているが、フレンズとしての体を手に入れてから何があったか知らない点があっては今後不利になる可能性は大いにある。
イエネコは最近まで追跡していたというのだから何か情報を持っているだろうと考えているところに、丁度よくイエネコの方から話しかけてきた。
イエネコ
「あなた……何故私を助けようとしてるのッ…」
ドブネズミ
「フッ!何故お前を助けるのか?それはお前がこうしてちゃあちっとも『虫喰い』にたどり着かないからだよ!邪魔するやつは許さないタチなんでね」
イエネコ
「そう…なら、早く首輪とかってのを取ってね。首を掻いても何もないみたいで変なの。ハッ!」
ドブネズミ
「それを早く言ってくれると良かったんだけどな!それは今からどうするか考える!
トウッ!おい、腕に余計に力込めんなよ!こんなところで無駄に力使うことはない!その『やくそく』とやらがどうなっているのか詳しくはわからないが、疲れて動けなくなっても殴りに行かなければ破ったということにされてもおかしくないからな」
イエネコ
「あ……ついつい楽しくなってきちゃったわ。狩りごっこしてるみたいで」
ドブネズミ
「楽しくなってきただあ!?……いやまて、楽しむのも悪くないか」
イエネコ
「そうね。あなたもちょっと楽しくなってきてない?セイッ…あ」
ドブネズミ
「へぐっ……そうか?なら孤島侵略型外来生物コンビ結成といくか?」
イエネコ
「なんかその呼び方は嫌ね。仲良くケンカしなコンビはどう?」
ドブネズミ
「それもそれでどうかと思うが……あとでいいや。コッチ(首輪)の方はどうするか早いとこ決めないとな」
イエネコ
「そっちは、もう解決したようなものじゃあないの?ずっとこうしてればアフリカゾウがどうにかしてくれるわ」
ドブネズミ
「いや、先に外せばアフリカゾウが敵を倒さなくても二人とも自由になれるんだぞ?本当にずっとこうしているつもりか?」
イエネコ
「そ、それはそうだったわ」
ドブネズミ
「一つもどうにかする方法がないわけじゃあないんだ。だが、これはかなり運頼みになるんだ」
イエネコ
「運頼み?どこを運に頼むの?せいやっ」
ドブネズミ
「うぉっ…『ラット』の当たり方だ。わたしのスタンド『ラット』は、スタンドだろうと溶かす毒を発射する。触れないということはつまりそれはスタンドだが外さなきゃあ当たる。至近距離で撃てば外すことはまずないだろうが、真っすぐ当てようとするとお前の首ごと溶かしちまうかもしれない。威力の調節がほとんどできないからな。だから角度をつけてちょっとだけ丁度よく当たれば首輪だけ溶かせるかもって考えたんだ。練習出来ればいいんだが」
イエネコ
「そうね…どうしようかしらね」
ののののののののののののののののの
その頃、アフリカゾウが走り回ってセルリアンと思われる敵を探しているところをフレンズが見て呼び止めてきた。
???
「おーい!どうしたのー!」
アフリカゾウ
「はっ…はっ…」
???
「アフリカゾウ!おーい!聞こえてるー?」
アフリカゾウ
「んんん?なんか誰か呼んでるような声が聞こえるような…誰〜?」
???
「気づいてくれた!おーい」
アフリカゾウ
「あれ??誰もいない?おかしいな、確かに聞こえたのに…」
???
「え?そんな……ここにいるよ!ここだよ!」
アフリカゾウ
「ど、どこなのさ!誰もいないよ!」
???
「いるってば!ここにいるんだよ!」
アフリカゾウ
「じゃあ、見えない誰かがそっちにいるってことなのかな?」
???
「そこにじっとしてて!今そっちにいくから!」
アフリカゾウ
「わかったよ、『コノハガエルちゃん』」
ミツヅノコノハガエル
「もーっ、なんだぁわかってるじゃん!」
無尾目(カエル目)
コノハガエル科
コノハガエル属
ミツヅノコノハガエル
Long-nosed horned frog
Megophrys nasuta
アフリカゾウ
「ごめんごめん、カエルの子はいっぱいいるから間違えちゃうかもって思ったんだ」
ミツヅノコノハガエル
「あたしは他の子の名前で呼んでくれても怒んないよ。でも、ありがと」
アフリカゾウ
「うん…フフ……そういえば、コノハガエルちゃんはなんでここに?」
ミツヅノコノハガエル
「あ、それはね。
イエネコが『ヤバいフレンズがいるからとっちめる仲間が欲しい』みたいなことを言ってたんだ。
だけど、最初はあの子が『ヤバいからとっちめる』なんて言い出すのは変じゃないの?って思ったのさ。
でもあの子があんなに深刻そうな顔してるのは見たこと無かったから詳しく話を聞かせてもらったんだ。
そしたら、たしかに『ヤバい』みたいだね。もしかしたらセルリアンよりおっかないかも……。結構怖くなったけど、それより今困ってる子のことを助けたいなってなった…ってわけ。実は困らせてる方が一番困ってるなんてこともあるし…」
アフリカゾウ
「そ、そうなの。じゃあ『虫喰い』って子は知ってる?多分その子が『ヤバい』って言われてるフレンズなんだけど…」
ミツヅノコノハガエル
「へー、『虫喰い』?するとぉ、あたしと同じカエルの子なのかなぁ?てか、なんで遠くまで歩き周ってたっていうアフリカゾウが最近のここらへんのこと知ってるの!?」
アフリカゾウ
「ああ、それはね。
ちょうどさっき、その『虫喰い』を追ってるっていうイエネコちゃんから聞いたんだ。
でも、突然セルリアンの技みたいなもので苦しみだしたんだ。それから助けるために、そのセルリアンを探してるところなの。
そのセルリアンには丸まった針みたいな返しが付いてる四足歩行らしいんだけど、見てない?」
ミツヅノコノハガエル
「なに、今度はイエネコが苦しんでるって?大丈夫なのかなぁ?」
アフリカゾウ
「イエネコちゃんのことは、ドブネズミちゃんに任せてる。ちょっと心配だけどね。今探してるのはこうなってるところがあるセルリアンなんだけど見た?」
ミツヅノコノハガエル
「ドブネズミ?その子はどんな子なのかな?ネズミっていうならアカネズミとかと似てる感じかな?」
アフリカゾウ
「思ってるより似てないと思うよ。」
ミツヅノコノハガエル
「そ〜う。セルリアンの方は見てないなぁ。セルリアンはいつもやり過ごしちゃうから見過ごしてるかもしれないんだよ。でも取り敢えずは、これからはセルリアンをしっかりと『観る』ことにするよ」
アフリカゾウ
「うん、ありがとうね。じゃあ、私はこっちを探してみる……いやちょっと待って。一つだけ聞きたいことがある」
ミツヅノコノハガエル
「なんだぁ?」
アフリカゾウ
「たしかにコノハガエルちゃんは隠れるのが上手いよ。でも、ここまで全くみえないどころか周りまでどこかおかしくなったりしないはずなの。今はそう思わない?思わないって言うならいいんだけど」
ミツヅノコノハガエル
「ふぅ〜〜〜む……そもそもさ、今もさっきも『全くあたしからは隠れようとしてない』んだよね〜。
今も見えてないのに話しはできてるみたいだし………
不思議だよね〜」
アフリカゾウ
「なん………だって?」
ミツヅノコノハガエル
「え?」
アフリカゾウ
「いや、あ、ありがとう!じゃあ、ね。」
ミツヅノコノハガエル
「うん、またね」
アフリカゾウはミツヅノコノハガエルの声だけを頼りにして会話してきたが、『姿が見えないことはコノハガエルには関係ない』という明かされた事実に恐怖を覚えた。
この得体のしれない現象が何者かによる攻撃であるという可能性が頭をよぎったからだ。
そのとき何を考えたかを悟られないようにすぐその場を離れようとしたが、ミツヅノコノハガエルの目にも明らかに動揺していた。
だが、コノハガエルは大したことではないと判断して触れないことにしたためアフリカゾウが説明に追われることは無かった。
そして最終的には、コノハガエルと再会する前とそう変わらぬ早足に戻ったアフリカゾウは先を急いでゆくのだった。
ののののののののののののののののの
一方でイエネコとドブネズミは、時折パンチする側とされる側になりながらも安全に首輪を外す方法を試行錯誤していた。
『ラット』の形状を利用して上手く引っ掛けて外そうと近寄るとモロにパンチを喰らい吹き飛ばされたり、離れていれば良いかと思えば首輪の攻撃が始まり近づかざるを得ないことが判明したり、少し引っかかったと思ったらイエネコが首輪ごと引っ張られてきつく締まるだけと失敗が重なり二人共徐々に疲弊していった。
ドブネズミ
「いろいろ試したけど、どれも効果がないなんてな……
やっぱり『ラット』で溶かすしかないのか……」
イエネコ
「いえ、まだまだ方法はあるはずだわ。ここで諦めるなんてのは有り得ない。チャンスを掴み取るまで、探っていきましょう」
ドブネズミ
「ああ、そうだな。すまない。いろいろストイックなんだな」
イエネコ
「こんな状況、誰だって嫌でしょう。早く『虫喰い』にたどり着きたいって思ってるんじゃあなかったの?」
ドブネズミ
「そのつもりだが、疲れてるだろ。あんたもさ。そのガッツはどこから来てるのか気になったんだ」
イエネコ
「ガッツ、ねぇ……。そんなこと考えたことも無かったわ。すぐ答えが出ると期待しないでくれるなら答えてあげる」
ドブネズミ
「へ、そうかい。ならいいや。ちゃっちゃと外してやらんとな」
「外すゥ?なんて知能の低い解除方法だろうかァ!おめーの能力で溶かせば一発なのによーお?」
イエネコ
「その声は…まさか、『虫喰い』!?なぜここに!?ボスの放送の情報では今たしか砂漠のエリアにいるはずだったのに…嘘だったというのッ!?」
ドブネズミ
「なんだと!?ヤツが近くにいるというのかッ!?テメーッ姿を見せろ!!」
「おっと、勘違いしてるようだな、人家の邪魔者さんたち。この虫喰いの声がするところをよく見な!何が見えるね?」
ドブネズミ
「何ィ!?これはッ」
「そう、スピーカーのセルリアンだ!スピーカーが声を発するものだってことは説明するまでもなくわかってるだろーがな。こいつはスピーカー部分だけ地表に見えてて本体は地中に埋まっている!地中の移動はこいつにはお手の物さ!つまりィ?おめーさんたちは今からコイツの餌食になるんだァァァ
まあ、スピーカーの部分をじっくりと見てりゃあ近づいて来るのがわかるかもなああひゃひゃひゃひゃひゃ…ゲホゲホォ」
イエネコ
「くっ、厄介なことしてくれやがったわ『虫喰い』は」
ドブネズミ
「もうアイツの言う通り首輪を溶かすしかない!イエネコォ、じっとしてろよ」
イエネコ
「今この状況で何言ってんの!セルリアンがいるすぐそこから来てるってのにさ」
ドブネズミ
「いいから待ってろ!作戦があるんだよ!飛びきりの作戦が!」
イエネコ
「どういう意味よそれは!」
ドブネズミ
「来たッ!今だ!思いきりジャンプするぞ!」
イエネコ
「えッ!?」
そう言ったドブネズミは作戦とやらを理解できていないままのイエネコとともに宙を舞った。
余りにも勢い良くセルリアンが足下から盛り上がり出てきたのでジャンプする必要があったのかわからないほどのスピードで飛ばされている。
ドブネズミ
「これで『飛びきり』の作戦は成功だ!これで『ラット』を安全に撃てる!地上は射程距離外になるから地上に弾丸は届かないし、二人ともほとんど同じ速さで飛ばされたから離されることもない!」
イエネコ
「たしかに飛びきりだったわね…。ど、どうして敵が足下からくるってわかったの……?」
ドブネズミ
「ヤツの作戦はわたしには全部お見通しなんだよ。
スピーカーの真下から突き上げてくると思わせて直接わたしたちの足下を狙ってくると読んでたんだ。
言ってただろ?スピーカーの部分だけ見えてるとか。
あれは多分、別々のセルリアンが動いていたんだ。
罠に他人を嵌めるのが巧いアイツの策は見切っていかなきゃあわたしまではめられてたかもしれないことがあったし、多分知らない内にはめられてることもかなりあると思う。
それくらいアイツは狡猾だ。
いくら突拍子もない奇襲をかけようがスタンド能力を利用して幾らでも罠が作れるだろう。
それくらい危険なやつなんだ。わかってくれるか?」
イエネコ
「………」
ドブネズミ
「だからその、いきなりだが、任せてくれないか?『虫喰い』の件。手を引けというわけじゃないけど、わたしの方が効果的にアイツに対処できると思うんだ」
イエネコ
「………くっ」
ドブネズミ
「どうした?」
イエネコ
「………ぁ…ァがッ」
ドブネズミ
「マズい、殴ってこないなんて!苦しいのか?仕方ない、この状態で首輪をすぐ溶かして取るぞ!」
イエネコはこの殴りにいくのを忘れるほどにドブネズミとの話に夢中だった。
それによって空中を落ち始めていることに気がつかなかった。
ドブネズミ
「うおおおおおおお!
上空へ高く放り出されたのに着地のことはなんにも考えてねえのを思い出したアアアア〜〜〜〜ッ!」
アネハヅル
「よっと!さっきぶり!大変そうだけど、何があったの?」
ドブネズミ
「助かった…山の上で会った二人か。イっ、イエネコは!?」
インドガン
「なんとか掴めた。この通りよ」
インドガンは抱えているイエネコを見せてきた。
そのとき既にイエネコは気絶していて呼んでも返事をしなかった。
その眠ったような表情で項垂れている様子に渡り鳥の二人は青ざめるが、ドブネズミが経緯を説明して落ち着かせた。
アネハヅル
「あ…あ…い、イエネコは大丈夫なのかい?」
インドガン
「どう見ても普通じゃあないッ!これが大丈夫だって!?」
ドブネズミ
「大丈夫さ。二人が協力してくれたらな。イエネコの首にはセルリアンが取り付けた輪っかが取り付いている。これを取れる方法が、イエネコの意識が無くて空中にいる今なら実行できるんだ!頼み事ばかりで申し訳無いが、協力してほしい。頼まれてくれるか?」
アネハヅル
「ふっ、やるしかないね!」
インドガン
「あたしたちが何とかするしかないならそうするさ!」
ドブネズミ
「ありがとう……本当に…すまん、じゃあ作戦をいうからきいてくれ」
のののののののののののののののののの
アフリカゾウ
「コノハガエルちゃんは何ともなさそうでよかった…イエネコちゃんのためにも、早くセルリアンを見つけて倒さないとっ」
「ほほう、セルリアンをお探しとは変わってるねェ〜〜〜!この虫喰いが用意して差し上げようかァ?ま、お前を食わせるためだがね!!」
アフリカゾウ
「虫喰いッ!?」
←To Be Continued…┃/
23話>> 689
ドブネズミとイエネコの仲良くケンカタッグの誕生!
続きが気になるぜ👍
ありがとうございます!🐀🐱🐘
このコンビは自然と合ってくると思っているのでもっと書いていきたいです。
今後もご期待ください!
襲いかかってきた博士たちの目的はなんとフェネックであった。
フェネックが博士に攻撃をしようとした時、アライグマが間に入りフェネックの攻撃を受けてしまう。
そのショックで固まったフェネックに博士がとどめを刺そうとすると、BSSが横から飛んできて博士を攻撃した。
博士は立ち上がり、心配そうにアライグマとフェネックに駆け寄った。
ハシビロコウの波乱万丈な過去とツチノコとの関わりが明かされた。
[最近多発しているセルリアンの被害の規模は日々広がっており……]
テレビの音に、重なるように視界に映るコノハは、なんと見事な土下座をしていたことでしょう
コノハ「サンド、本当にすまないのです。ここのお詫びの心を……助手!お前もやるのです!」
ミミ「だって、これは仕方ないことなのですよ博士、不可抗力です。謝る必要はないのです。そもそもこっちは関係ないのです」
ツチノコ「えっと……?助手…?」
サンド「ああ、茶色い方がワシミミズクの助手だ」
ツチノコ「んで、シャリ博士と」
コノハ「シャリじゃないのです」
ジド宅、ヒグマが横たわっていたベットに、今度はアライグマか横たわってる。
サンド「アライグマをここまでねぇ…見えないところで腕上げた?」
コノハ「いえ、これをやったのは我々じゃないのです」
サンド「じゃあツチノコか」
ツチノコ「ちげーわ、フェネックだよフェネック」
サンド「フェネック!?何があった!?」
コノハ「フェネックの攻撃を庇った。つまりアムルを守ろうとした訳なのです」
サンド「なるほどアムルを…なんでアムルがいなくなった?」
コノハ「それは、我々にもよくわかってないのです。謎の黒い手にやられたかと…」
ツチノコは眉をピクピクさせながら言った
ツチノコ「はい、質問」
サンド「なんだ?」
ツチノコ「アムルって誰?」
コノハ「我々のことなのです」
コノハは顔を上げる。
ツチノコ「は?博士のこと?ドユコト?」
サンド「正確には、博士のもう一つの人格。天界の定を重視した人格がもう一つある。それの名前、仮称だがアムルはそいつのこと」
ツチノコ「はぇ〜…もう一つの人格が勝手に出てきちゃう……フレンズもそういう症状が出る場合があるんだなぁ…」
コノハ「いいえ、それは我々だけなのです」
ツチノコ「え?どういう?」
コノハ「お前は違和感を感じなかったのですか?【天界の定を重視】という言葉に」
ツチノコは頭をかきむしりながら
ツチノコ「いや…博士は天使?なんだから別に違和感は……」
「そういう話じゃない」首を横に振りながらサンドは言う
サンド「つまり、今の人格は定を重視してない。じゃあ、なんで天使なんかになれたんだ?」
ツチノコ「あ……確かに……」
サンド「後は頼んだ。博士」
コノハ「それはですね…」
ミミ「我々は神に助けられました」
コノハは不服そうにミミを見る。
ミミは知らんぷりをして喋り続ける。
ミミ「我々は神へお礼をしたいと申し出て、僕、つまり天使になったのです」
ツチノコは興味深そうに聞く
ミミ「我々は下っ端のやる仕事を次々とこなし、着々と上り詰めて、天罰を下す天使【天秤】になったのです」
ツチノコ「天秤……かっこいいな」
ミミ「だけど、我々は人の情が移ってしまいました。極悪人ならまだしも、惜しくも罪を犯してしまった者、何かのために罪を犯す者。我々には天罰、重い物では【死】を下せなかったのです」
コノハ「だから!!神は我々に定を重視する人格を植え付けたのです!!その人格は、罪人を見ると発動するのです。発動するのには限度があり、一日一度くらいなのです」
コノハは力強く言った
ツチノコ「つまり、あの時の博士は別の人格で…その人格は神様に植え付けられたってこと?」
サンド「そう、あの気持ち悪いのは博士であって博士でない。ってこと」
ツチノコ「ふーん…」
ツチノコは椅子にもたれた。
一瞬の静寂が訪れる。
アライグマ「だから…守ったのだ……」
ツチノコ「うわっ!!びっくりするだろ!」
サンド「起きたか…案外早かったな…」
アライグマ「博士も助手も……今後、大きな戦力になる。フェネックとアライさんだけでは力不足なのだ」
ツチノコ「だから…庇ったのか……」
アライグマ「このままじゃ、フェネックが博士を殺してしまう……そう思ったのだ……きっと博士を殺したら、みんなはフェネックを憎むのだ……」
興味が薄れたのか、ツチノコは少しだらけた目をしてアライグマに質問を投げかける。
ツチノコ「お言葉だが……フェネックってそんなに重要な存在か?いや、別にいらないとかそういう話じゃなくて、単純に命をかけてまで止めにかかる存在なのかなぁ……と」
サンドは呆れたようにため息をつき、ダルそうに言った
サンド「お前、フェネックがどんな化け物か知らないからそう言えるんだろ?」
ツチノコ「そうかもしれないが……野心的にも、奇跡とか速さとかに比べて【氷】ってのが…何というか……」
サンド「まぁ…そう思うのも仕方がないか……俺もそうだったし……」
アライグマはゆっくりと起き上がり
アライグマ「フェネックは怒ると怖くなるのだ…ちゃっちい【ホラー映画の怖い】なんかより、よっぽど深く、本能に近い【怖い】なのだ…本当の怒りに達すると、アライさんですら制御できなくなるのだ」
サンド「【ビースト化】……俺の設計ミスだな……自然体(ネイチャー)には良くあることだ」
ツチノコ「は?ネイチャー?」
サンド「サーバルのように、俺が前以て野心の存在に気づけるのが奇跡工(デザイン)。それ以外に野心を持ち、それを自由に操れるフレンズを自然体って言うんだ。ついでに、俺は自然体が野心を持っていることに気づけないんだ」
ツチノコ「んで?その……なんだ?ビースト化?したフェネックはどう怖いんだ?」
サンド「はっきり言えば制御が効かなくなる。別の言い方をすれば【殺人マシーン】になる」
ツチノコ「今まで制御なんて効いてたっけ?」
アライグマ「ビースト化してなかったら、怒りの基準はアライさんになるのだ。ビースト化すると怒りの基準がフェネック自身になる」
サンド「例えば、今まではアライさんが【やめるのだ!フェネック!】と言えばフェネックはやめてた。しかしビースト化すると、その声が届かなくなり、自分の怒りが沈むまで暴走を続けるようになる」
ツチノコ「なにそれ怖い」
アライグマ「そう、怖いのだ……」
コノハは立ち上がり
コノハ「そんなお前たちに朗報なのです」
サンド「反省モードは終わりか?んで?朗報って?」
コノハ「天界で小耳に挟んだのですが、これは強い戦力になると思うのです……!」
ニヤリと笑みを浮かべるコノハを心配そうにサンドは見つめる。
その後ろで、テレビの音は流れ続けた。
テレビ[いやー……セルリアンの大量出現…この前のビル爆破事件も関連してるのですかねー…あの三名のフレンズだけが助かった事件と……」
テレビのコメンテーターは不安げにそう話す。
・
第28話へ続く……
雨が降る。
前が見えないほど、濁って
・
次回予告ーー〈雨の降る日〉ー
・
それは、僕の決断の日。
読んでるよー 続き待ってる👍
ありがとうございます!
前回>> 675
バァン!!
放たれた銃弾は見事的の真ん中に当たった。
11月26日、雲行きがあやしい。
ハシビロコウ「うん、最近調子がいいね」
かばん「わかった気がしたんです。鉛のわがままってのが」
庭の椅子に座っていたハシビロコウは立ち上がり、僕に言った。
ハシビロコウ「じゃあ、実戦…行こうか」
かばん「実戦……?」
◇
とあるビルの上
ナーチャ「うーん……実戦ってそう言うことねぇ……」
ハシビロコウ「流石にハンドガンだけ習得してもほとんど意味ないし、悪人を殺す感覚だけでもつかんでほしいからね…」
かばん「で……でも!人を殺すなんて聞いてないですよ!!」
ハシビロコウは腕時計を確認する。
そして、その後にスマホを確認した。
ハシビロコウはケースの中に入ったライフル銃を取り出した。
ハシビロコウ「たしかに、言ってなかったのは悪かったね。ごめん。だけど、これも必要なことなの…」
かばん「そ……そんな……」
ナーチャ「おっと、いいとこすまんがまた少し用事が入った」
ナーチャは何かを感じ取ると、すぐにどこかへ飛んで行った。
少し前からナーチャはこの調子
ハシビロコウ「いや…先にこれを見せたほうがよかったね……」
ハシビロコウは一枚の紙を僕に渡した。
ハシビロコウ「ターゲットの情報。過去に数え切れないほどの誘拐、強姦を繰り返し、その被害者を殺した動画を被害者の親族に送るなどと言う悪行を繰り返した悪人……」
かばん「これを……今から……」
ハシビロコウ「なんども言うけど、私は無差別に人を殺してるわけじゃない。警察が機能しないこの街で、私は法律の代わりをする。明らかにこの人は死刑に等しい罪を犯してる」
僕は悩んだ
その人の情報を見て、気分が変わってしまうのは人として仕方がない。
だけど、人を殺してしまうのには変わりがない。
きっと、罪が心にまとわりつく
だけど……
動画を送られた両親の顔を想像すると、涙が出てきた。
きっと、大切な家族だったんだな…
かばん「わかりました……やります……」
ハシビロコウはホッとし、僕に銃を渡す。
ビルの端
僕はライフル銃の接眼レンズに目をつける。
レンズの先、さっきの紙に書いてあった男が、黒いスーツを着て、何かを受け取っている。
ちゃんと頭が中心に来るように合わせる
完全に仕留めた。
トリガーに指を添える。
あとは引くだけ……
ハシビロコウ「どうしたの…?」
あとは……引く……
引けない…
やっぱり無理だ。
僕にこの罪は重すぎる。
ハシビロコウ「早くしないと雨が降ってくる。雨が降ると相手は傘をさす、標準を定めされなくなる」
わかってる
今知ったけど、早く撃たないといけないのはわかってる。
・
だけど、僕に勇気はない……
・
ハシビロコウ「……チッ……どいて…!」
ハシビロコウは僕を手でどかし、ライフル銃を取り上げる。
素早くライフル銃を構え、即座に標準を合わせた。
銃を持ってから3秒ほど、銃弾が放たれた。
多分当たったのだろう。
僕には分からなかった。
接眼レンズからハシビロコウは目を離す
ハシビロコウ「最初は仕方ない。だけど…」
ああ、確かに仕方がない
僕にもそれはわかる。
銃をとって、殺そうと撃った先はいつも木で作られた的だった。
だから、実際の人相手で戸惑うとは人の心理かもしれない。
しかも、憎い相手でもない、事情も知らないのに、ただ、実質金のために人を殺すなんて……
ハシビロコウ「守るんでしょ?守れる力がここにあるのに…」
ハシビロコウは僕に対し、早口な、罵倒するような早さで言った。
ハシビロコウ「君は盾になるためにここにきたんじゃないでしょ?非力で、弱々しい、それが嫌だから……」
わかってるんだ。
だから……
ハシビロコウ「あなたには何一つ能力がない。フレンズなのに、得意不得意で言ったら何一つないじゃない」
わかった
だから…やめてくれ……
ハシビロコウ「働いたり、普通の生活を送りたいならいい、でも君は違うでしょ?」
いや、僕はわかってない
かばん「必要ない……」
ハシビロコウ「……いま、なにを……」
・
・
かばん「必要ないって!!言ったんですよ!!!」
・
・
僕は驚くハシビロコウに対し怒鳴った。
かばん「あなたにはわからない!僕は殺し屋になりたいわけじゃない!!僕は……強くなりにきたんだ!!」
相手の気持ちなんてこれっぽっちもわからない。
なぜなら、そんなもの必要ないから
僕が守りたいのは法律じゃないんだ
法律なんかより、よっぽど大切な友情なんだ
かばん「人を殺して、他人の復讐のために自分を捨てるあなたと違って、僕は自分のためにやってるんだ!失ったら悲しいから!失って悲しかったから!!!いまなら声を大にして言いますよ!この【人殺し】!!!」
ハシビロコウ「か……かばん……落ち着いて……」
落ち着け…?
かばん「黙れ!!金が裏切らないんだったら一生金ばっかり信じててくださいよ!!!」
僕はその場を逃げ去った。
階段のあるドアを開け、勢いよく階段を駆け下りる。
涙は流さなかった。
悔いもなかった。
だけど、心なしか虚しかった。
自分のために笑顔を作り、僕に拳銃を教えてくれた。
そんなハシビロコウの笑顔が忘れなれなかった。
一瞬の罵倒が、僕を狂わせ
狂った僕がやった行動がなぜか悪行に思えてくる。
違う、殺してもそれは善行じゃない
僕は二階まで駆け下りた。
ビルは七階まであった。
窓があり、そこを覗き気分を落ち着かせようとした。
気づかないうちに雨が降っている。
自分の心のように豪雨だ。
僕に残ったのはスッキリとした気分ではなく、どんよりとジメジメした罪悪感だけだった。
かばん「僕は……なにも……」
守るための力ならもうこの手にある。
撃たなかっただけで、あの弾は確実に悪人の脳天を撃ち抜いていた。
もうなにもできないヒトじゃない。
僕はもう、守れるんだ。
かばん「ハハ……得意不得意がなんなんですか……?」
一人、誰もいないビルの中で、窓を眺めながら独り言を繰り返す。
かばん「なんでもない……得意不得意なんてなんでもない……」
そうだ、得意不得意がなんだ?
そんなの関係ないし、必要ない
かばん「そうだよ……なにも得意じゃなくても、今まで生きていけたじゃないですか……」
やっと頬が緩んできた。
馬鹿らしくなったからだ。
かばん「じゃあ……」
何故か、僕の頭の中に昔の記憶が蘇る。
・
・
僕は偶然発見された人のフレンズ。
どうやら僕は、自殺しようと崖から飛び降り、死にかけのた人にサンドスターが当たってできた。
いわゆる【ゾンビ】のような存在だった。
森の中、僕が彷徨ってるところを見つけてくれたのがカコ博士だった。
病院に連れていかれ、しばらくそこで研究も兼ねて入院した。
【輝き】とは、いわゆる生命エネルギーのようなもの
それが乏しく少ない状態でフレンズ化したわけだから、何かしら僕は暗かった。
僕の噂はたちまち広がり、僕は酷く気持ち悪がれた。
「ゾンビだ」「死体ちゃん」
飛び交う罵倒の中、そっと一人
サーバル「ねぇねぇ!」
ヒト「え……なんですか…?」
サーバル「君、名前はなんて言うの?」
ヒト「わかりません……まだ…決まってないらしいです……」
サーバル「私はサーバルキャットのサーバル、君は鞄を背負ってるから【かばん】ってどうかな?」
ヒト「えぇ……安直すぎません……?」
カコ「【かばん】……か……悪くないんじゃないかな?」
ヒト「えぇ……カコさんまで……」
カコ「かばん、命名はそんなに難しく考えなくていいんだよ。所詮、誰かを決めるただの名称なんだからね。君の名前ももうすぐ決まる。そんなに嫌なら、これが君の名前じゃなくてあだ名のような存在でいいと思うよ」
かばん「あだ名……ですか……」
サーバル「じゃあ、かばんちゃんでけってー!!」
僕を【かばん】と、半分悪口のような名前で呼んでくれるフレンズがいた。
彼女はいろんなフレンズと親しく接し、みんなと仲良く遊ぶ、そんな元気な子だった。
僕に声をかけてくれて、彼女は僕にいろんなものを見せてくれた。
・
かばん「みんなは……何のために……」
深く考えた。
かばん「僕は……得意なんてない……」
関係ない。
そうだ
実際そうだ。
だから、今まで生きてきたのは自分のおかげでもなんでもない。
カコ、サーバル、コノハさんやミミさん、アルパカさんがいたから今まで生きていけたのかもしれない。
誰かが指をさして、その方向に僕は行った。
所詮、僕は線路の上を走っていただけ
誰かが作った。
僕のために作られた。
緩んだ頬に塩っ辛い水滴が滴る。
僕の涙だ。
かばん「カコさん……アルパカさん……サーバルちゃん……みんな……」
僕は何に悲しんでるのかわからなくなった。
ただ、今の自分が過去の自分にこう言わせたくなっただけ
・
かばん「みんな……ごめん……」
・
やっとわかった。
僕は完全に悪行を犯した。
みんなの支えを自分の実力だと考えてしまった。
きっとハシビロコウさんも……
何が……何が生きていけただ……
窓の外、車が二台通れるほどの道が見える。
黒い車が一台止まっていた。
誰かが、白い服を着た誰かが黒い服の男たちに連れ去られている。
白い服を着た誰かは暴れる様子もなく、辺りをキョロキョロしている。
雨が降っているのに傘をさしてない。
顔がチラリと見えた。
僕は目を大きく開けた。
驚きを隠せなかったんだ。
声は出せず、乾いたかすれ声が漏れているだけ。
・
・
かばん「あ……アルパカさん………」
・
・
僕は急いで残りの階段を駆け下りた。
無我夢中で、何も考えてない。
何をしようかも、何をしたいのかもわからない。
たた、恩人が連れ去られようとしている光景に、居ても立っても居られなくなっただけかもしれない。
・
第29話へ続く……
とまと「次回の!アナサーは!?」
プリンセス「……そろそろ怒られそうね」
コウテイ「なんか下と言うか、性的な表現が増えたな……」
フルル「本当に大丈夫なのー?」
とまと「大丈夫、今のうちだけだから」
ジェーン「そのうち痛い目見ますよ」
イワビー「昔も下ネタ言って変な目で見られてたな……お前……」
プリンセス「うわ…」
フルル「次回ー〈消えた妖精〉お楽しみにー」
突然襲いかかった博士は、なんともう一つの人格によるものだった。
サンドとの関わりがあるようだが……?
そして、朗報とは……?
そして、かばんは
決断の雨の中へ……
11月22日
セルリアンの被害は拡大する。
ドガガガ!!
ビルにピンク色の巨大なセルリアンが巻きついている。
セルリアンは触手をうねうねと動かし、地面や他の建物にぶつける。
ライオン「ひ……ひぃ!みんな!早く逃げろ!」
ヘラジカ「ライオン!あれくらいなら…」
ライオン「行けるかぁ!!ナーチャはいないし……ああ!あの刀振り回すやつになれたら…!」
ビルは比較的住宅地に近く、もう少し近づけば間違いなく攻撃を受ける。
シロサイ「ここだけは大丈夫だと思ったけど…やっぱりとんでもないことになってしまいましたわ……」
セルリアンはこちらに目を向ける。
ライオン「早く!みんな逃げろ!!」
ヘラジカ「うむ、思ったよりデカかったな…」
ライオンは焦りながら遠く向こうを指差す。
他のみんなはポカーンとしてライオンを見る。
アルマジロ「ライオンさん……後ろ……」
その声は危険を知らせるにはあまりにもおどおどとしていた。
ライオンは後ろを振り向く
セルリアンの大きな触手が迫ってきてるではないか
ライオン「うわぁぁぁ!」
ドゴォォ!!
ライオンはとっさに目を瞑る。
大きな振動がライオンたちを揺らす。
が、ライオンたちには何一つ怪我がなかった。
ライオンはゆっくりと目を開ける。
ライオン「な……!?なんじゃこりゃ……」
触手は真っ二つに割れ、地面に落ちてる。
遠く空、元気な声が聞こえた。
サーバル「早く逃げてー!!危ないよー!!」
アライグマ「こいつはアライさんにお任せなのだ!!!」
アライグマはまばゆい光を放ち、閃光のごとくセルリアンの元へ近づく。
同じく私も、自慢のジャンプ力でアライグマに負けじと追いかける。
ヘラジカ「な……フレンズか……!?ハンターか!?」
アライグマと私は上空で横に並び、大声で叫んだ。
アライグマ「ラッキー!!ミラクルアライグマ!!!」
サーバル「ブースト!!サーバルクロォー!!!」
アライグマは手を大きく広げ、真横に来ると、その手を真正面に合わせる。
すると巨大な光の塊ができ、にやけ顔とともにそれはビーム砲のように発射された。
セルリアンは二人を見て、次の瞬間、音を置き去りにした光は街を照らした。
パッカァァァァ----ン!!!
セルリアンは弾け飛んだ。
ビルは4つに分かれて、切られていた。
サーバル「あー!アライさんずるいよー!」
アライグマ「フハハハハ!!これくらいアライさんで十分なのだ!!」
私は地面に落ちた。
アライグマはふわふわと落ちてきた。
アライグマが地面につく頃、私はあのフレンズたちが気になって、そこへ向かおうとした。
一方、ライオン一行
ライオン「や……やっちゃった……」
ヘラジカ「ああ……すごいな……」
ライオン「一体何者なんだ……」
ライオンたちはセルリアンが弾け飛んだ後をじっくり見ていた。
キラキラとしていて、綺麗ではあったが、何か心の奥底で恐怖が渦巻いでいた。
???「彼女らのこと、気になりますか?」
ライオン「うわっ!びっくりした!」
コノハ「申し遅れたのです。私の名前はアフリカオオコノハズク、博士とでも呼ぶといいのです」
ライオン「え……?急に誰……?」
ミミ「今名乗ったのです。私はワシミミズ、助手とでも呼ぶといいのです」
ライオン「い……いや…急すぎて頭がついていけてな……」
コノハ「おかしいのですね、ナーチャがいないのです」
ミミ「おかしいのです。彼女はお前たちについていると思ったのですが……」
ライオン「え…?ナーチャ!?」
ヘラジカ「お前たち!ナーチャを知っているのか!?」
コノハ「面識はあるようですね。では、なぜこの場にいないのですか?」
ライオン「い……いや……名前だけ言われても…何者かわからない……」
コノハは大きくため息をついた。
コノハ「そんなこと、今言うほどの時間があると思うのですか?」
ライオン「い……いや、知らないよ……」
パンサー「どうしたのでござるか?ヘラジカさん」
ヘラジカ「いや、変な奴が絡んできてだな。ナーチャを知ってるらしいんだ」
アルマー「え!?ナーチャを!?」
いろんなフレンズたちがぞろぞろと寄ってくる。
そんな中、遠くから声が聞こえる。
サーバル「博士ー!!!!」
私の声だ。
ある程度近くになると、私はコノハに聞いた。
サーバル「ねぇねぇ!例の【妖精を使うフレンズ】?は見つかったの?」
アライグマ「お前はバカなのだ。そんな簡単に見つかるはずないのだ……」
コノハ「えぇ、ここにいるのが例のフレンズなのです」
アライグマ「博士はやっぱり仕事が早いのだ」
ミミ「当たり前なのです。こんなこと、我々にかかればちょいちょいなのです」
サーバル「じゃあ、ここにいるフレンズたちがその妖精を使うフレンズなの?よろしくね!」
私は片手をライオンの方に向け、握手を求めた。
ライオン「う……うん……?」
コノハは少しにやけ、嬉しそうにしてる。
コノハ「ふぅ、人出が一人増えたのです。一仕事終えたのです」
ヘラジカ「ちょ!ちょっと待ってくれ!人出?私たちはお前たちに何をやらされるんだ!?」
ライオン「本当に君たちはなんなの!?急にさ!」
コノハは嬉しい顔から一転、めんどくさそうな顔をした。
アライグマ「簡単に言うとだな、この地球が何者かにギュイーンでズガガガなのだ!アークって奴なんだが、そいつがすごく強いのだ!ドドドドってやってきてガガガガガってったらドガーンなのだ!アライさんたちはそいつをパッカーンってやるために頑張ってるのだ!」
ミミ「おい45歳、説明もできないのですか」
ライオン「お……おう?」
ヘラジカ「さっぱりだ……」
ヘラジカとライオンは頭をかいた。
困った顔をしている。
オリックス「ん?この人…どっかでみたことが……」
オーロックス「あ!!この人!!あの有名なゴーレムじゃ……!ヤベェよ……!」
ライオン「は?ゴーレム?」
ヘラジカ「ゴーレム……銀髪のゴーレムって奴か?なら……聞いたことある……」
ライオン「い……いやいや!あのゴーレムだよ!?結構前に姿を消したって……」
コノハ「かと言って、死んだとは限りませんのです」
アライグマ「アライさんは本当にアライさんなのだ!」
ライオンは舞い上がり、大声で言った。
ライオン「だったら証拠を出してよ!ほらっ…!すごい能力とか!」
ヘラジカは優しくライオンの肩に手を添えた。
ヘラジカは何かしら悲しそうな顔をしていた。
ライオンはその顔を見ている。
ヘラジカ「……さっき見ただろう……」
ライオン「あ……」
ヘラジカ「あの大きさのセルリアンを一撃、ゴーレムっては本当らしいな」
ミミ「やっとわかったのですか」
ヘラジカ「ゴーレムは聞いたことある。消失事件の時に活躍した英雄だろう?なら…信用できる……私はついて行こう」
ライオン「ちょ!まだろくに説明もされてないのに!」
コノハ「何が不満なのですか?説明なら後でたっぷりとしてやるのです」
ライオン「いや…さっきので、私たちが戦わなくちゃいけないのはなんとなく伝わった……」
ミミ「戦うのが怖いのですか?」
ライオン「いや……違うんだけど……」
ライオンは一気に暗くなる。
何か悲しそうな顔を浮かべている。
ライオン「失うのが、怖いんだ……」
一度失いかけた。
それだからこそ、ライオンはそれを恐れている。
たくさんの仲間がいるから、それに、先ほどのセルリアンとは日にならないほど強いやつと戦わなければならないことも、なんとなく察せた。
一撃で倒せる人が人手を探してるんだ。
そりゃそう思う。
ライオン「ヘラジカ、私は非難する。こいつらを失うわけにはいかない……」
ヘラジカ「ライオン……」
コノハは大きくため息をついた。
コノハ「お前たちは、守ることはできないのですか?」
ライオン「……あ?」
コノハ「おかしいのです。そこまで失うのが怖いのですか?そうとは思えない言動なのです」
ヘラジカ「なんだと……?」
コノハ「強さはわかりませんが、お前の後ろにいるそのモブたちを、お前はそこまで失うのが怖いのか?ろくにセリフ数もない雑魚どもを」
サーバル「ちょっと!博士!そんなに言わなくても……!」
ライオン「てめぇ……!口を開けば!!」
ライオンは勢いよくコノハの胸元をつかんだ。
ライオン「大切な仲間だぞ!言わせておけばモブだの雑魚だの……テメェにはモラルがないのか!?守るためにそんな危険な行動を取りたくないって言ってんだよクソガキ!」
ヘラジカ「ライオンの言う通りだ…あまり図に乗るな。こいつらは私にとっても、ライオンにとっても大切な仲間なんだ」
コノハ「ほー、大切な仲間……ですか?随分と高く見積もったのですね」
ライオン「てめぇ……!ここまで言ってもわかんねぇのか……!?」
コノハはニヤリと笑い、杖でライオンを強く前に押す。
ライオンは手を離し、後ろに二、三歩退いた。
コノハ「お前のそれを守ると言うのなら、守ってみるといいのです。ただ、守れた場合の話ですがね」
するも、ライオン一行の後ろから、地面を突き破り巨大なセルリアンが飛び出してきた。
サーバル「わっ!行かないと!」
ミミ「待つのです」
サーバル「え!?なんで!?」
ミミ「これは試練なのです。博士の用意した」
動揺するライオンたち
セルリアンはライオンたちを見つめた。
ライオンとヘラジカはそれを睨み返す。
・
ナーチャ「……美味しそうな匂いだねぇ……」
・
遠く、裏の闇
妖精に届いたのは殺意の欲。
第29話へ続く……
👍読んでるぜ
・
【理由を聞いても…絶対に殺しませんよ……】
・
次回ーー〈涙 の降る日〉ーー
前回>> 684
〈涙 の降る日〉
かばん「わわわわ!!」
ガッシャ---ン!!!
かばん「わ……割っちゃった……」
床に散乱する何枚もの食器たち
僕は慌てるだけで、何をするべきかわからなかった。
アルパカ「アレェ〜?割っちゃったのぉ〜?」
かばん「ご……ごめんなさい!!弁償しますので……!!」
僕は新入りだった。
汗がいろんなとこから吹き出てきた。
クビにされるのでないかと、恐れている。
アルパカ「そりゃあ何枚も重ねて持ってったらおっこっちゃうよぉ、大丈夫だよぉ。仕方ない仕方ないよぉ〜」
アルパカさんはいつも笑顔だった。
僕がどんだけドジを踏んでも許してくれた。
甘えではなく、教訓を教えてくれて
僕は心の底から尊敬していた。
恩人だと、いつか恩を返したいと
だけど溜まるのは恩だけ
僕はいつの間にか、アルパカさんに会うことにさえ罪悪感を覚え、必死にかき消そうと仕事を専念した。
笑顔で話しかけてくれた時は笑顔で返し、悲しい顔でかけてくれた言葉には悲しさを交えて返した。
それでよかった。
きっと、過度な恩返しはアルパカさんも望んでない。
とても幸せそうに見えたからだ。
いつの日か、そう錯覚していた。
・
そんな僕を、呪い、殺してやりたい。
・
僕は今後悔している。
目の前、走る足を止めた。
口は開きっぱなし、銃を手に取った。
構えて……
人を殺すのだ。
雨の中、僕の恩人を連れ去らおうとするクズを
いくつかの感情が巡った。
僕の頭の中はパンクした。
パンクした結果、僕の頭に残った感情は一つ
本能だった。
銃を下ろし、雨粒が目に入っても知らない、激しい痛みよりもっと失うのが怖い。
表情を変えず、僕はそいつらに向かって走った。
足音に気づいた男たちはとっさにこっちを見る。
アルパカさんがこっちを見る前に、男たちを僕は見つめた。
・
シメた。
・
男たちの頭部から血が吹き荒れる。
引き金はとんでもなく軽かった。
なかったくらい。
男は倒れた。
アルパカさんはこっちを向いた。
銃を向ける、僕の方を
アルパカ「か……かばんちゃん……?」
僕は見た。
雨で涙が雨粒かもわからないのに、アルパカさんは確かに泣いていた。
号泣だ。
目がパンパンに腫れている。
アルパカ「な……なんでここにいるのぉ……」
何も言わないでくれ
僕は、もう何もわからないんだ。
僕はアルパカさんの手を強く引っ張って細い路地に駆け込んだ。
アルパカ「か……かばんちゃん……?」
ここで僕の正気が戻る。
かばん「あ…アルパカさん!!何があったからわかりません……それは僕もあなたも同じです。とにかく逃げましょう…それで……それでいいんです……」
アルパカ「で……でもぅ……」
かばん「でも、なんですか!!??理由を聞いても…絶対に殺しませんよ……」
僕は走った。
長い道だ。
パシュッ!!
アルパカ「うあぁっ!痛いよぅ……」
アルパカさんは膝をついてしまった。
足から血が溢れている。
僕はアルパカさんを必死に抱きかかえ、雨の中走った。
後ろをちらりと見ると、ガタイの大きい男の人が銃を持って歩いてきている。
アルパカ「このままじゃ…かばんちゃんも怪我しちゃうよぉ……」
アルパカさんは僕を心配してくれた。
僕はそれを無視して走った。
眉間にしわを寄せ、涙が出そうだ。
辛い。
もしかしたら殺してしまうかもしれない。
なにか、わからない未来が僕の心を揺さぶる。
・
バシュンッ!!
・
かばん「ぐっ……!」
銃弾は僕の横腹を貫いた。
貫通した穴から血が吹き出る。
痛く、苦しい
スピードが落ちてくる。
痛みと体力の減少のせいだ。
アルパカ「かばんちゃん!!」
かばん「うるさい!」
アルパカ「ふぇ……?」
かばん「ここで……諦めて……死んで……」
僕は足に力を入れる。
目一杯の力だ。
パンパンパン!!!!
銃声がなる。
僕の肩と足の二箇所を貫いた。
だが、銃声なんてまるで興味がない。
今やるべきはアルパカさんを生かすことだ。
痛みは感じていた。
だが、それよりも痛い痛みを僕は知っていた。
だからこれでいい。
アルパカさんはもう僕を心配しなくなった。
まるで人形のようにダラーンとしている。
これでいいんだ。
僕はアルパカさんの盾になる。
僕は走った。
必死に、死に物狂いで
銃声は何度もなる。
全て建物をかすめた。
細い路地を右に曲がり、左に曲がり
まるで迷路を進む感覚で、行き先なの知らず走った。
すると、少し広いところに出た。
雨はさらに強くなる。
コンクリートの地面の上に、花瓶が何個も置いてある。
花も添えられていた。
僕は建物にもたれ、そっとアルパカさんを寝かせた。
僕は雨で何も見えてなかった。
目に雨水が入って、もう見える気力もない。
かばん「・・・・」
僕はにも言えなかった。
アルパカさんは何も言わない。
雨水の落ちる音と被せて、とある声が聞こえる。
アルパカ「かばん……ちゃ……」
かばん「アルパカさん……無事で良かった」
僕は安心して、力が抜け、アルパカさんに手が当たる。
不思議な感触だった。
ブヨブヨとして、ぐちゃぐちゃとして
生温い液体が手に付着した。
微笑みながら、僕は手についた液体を見ようとした。
見えない視界が、一気に開けた。
・
血液だ。
・
僕は震えた。
微笑みを崩さず、僕は自分の目をこする。
アルパカさんを見た。
横腹から血が吹き出してる
僕の肩と足を貫いた銃弾
もう一発はアルパカさんの横腹に居座った。
アルパカさんは苦しそうにはしてなかった。
ただ、今にも眠りそうに
かばん「嘘だ……なんで……」
アルパカ「かばんちゃん……ごめんねぇ……せっかく頑張ってくれたのに……」
かばん「なんで……どうして……」
僕は焦り、アルパカさんの銃弾のめり込む横腹に手を突っ込む
アルパカさんは悲鳴をあげた。
もはや、僕はそれさえも聞こえなくなった。
銃弾を取らないと…
止血しないと……
血は僕の顔にまで飛んできた。
黒い手袋は真っ赤に染まり、服は今以上に赤くなった。
アルパカさんは唾液を垂らし、涙を垂らし、鼻水を垂らし、汗を垂らし
必死に、必死に
・
アルパカさんは僕の手を掴んだ。
がっしりと、強く
僕は手を止めた。
かばん「ダメですよ……死んじゃいますよ……アルパカさん!!」
アルパカ「かばんちゃん……」
アルパカの声はかすれ、消えかけている。
血は吹き荒れる。
雨水を濁していた。
・
・
アルパカ「痛いよぅ……」
・
・
僕は完全にフリーズした。
脳に血が行かなくなった。
僕はバカだ。
止血なんて考えてもないじゃないか。
まるで火山の噴火のように吹き出してるじゃないか。
かばん「……ごめんなさい……アルパカさん……本当に……本当にごめんなさい……ごめんなさい……」
僕は顔を自身の胸に押し付けて、後悔した。
アルパカ「ううん……私にぇ……全然怒ってないよぅ……がんばったもんね…仕方ないよぅ……ありがとうにぇ……」
かばん「だけど……僕のせいで……こんなに……僕が余計なことをしなかったら……素直に止血しようとしてたら……」
アルパカ「ちがうよぅ……かばんちゃん、かばんちゃんは何も悪くないんだよぅ……」
かばん「ああ……最低だ……最悪だ……僕は……僕はぁ……………!!!!!」
・
・
アルパカ「かばんちゃん!!!!!!」
・
・
アルパカさんは怒鳴った。
聞いたことのない怒声だった。
あの優しいアルパカさんは……
・
アルパカ「私、死んじゃうのかな……」
・
びっくりした僕の顔を見たのか、アルパカさんは優しく問いかけた。
かばん「死にませんよ……死なせませんよ……そうだ……ハシビロコウさんに……」
アルパカ「かばんちゃん……」
かばん「ど…どうしました……?安心してください…ゆっくり……」
アルパカ「死ぬってこと……案外悪く無いにぇ……」
かばん「ハハハ……冗談を……」
アルパカさんは目を閉じた。
僕そっと、微笑んでる。
・
アルパカ「痛いけど……なんか暖かくて……ほっこりして………」
・
アルパカ「苦しいけど……気持ちよくて……体の中からスっていろんなものが抜けて………」
・
アルパカ「悲しいけど……嬉しくて……楽してく……だんだん体が浮いて………」
・
アルパカ「だって……私鳥さんじゃ無いのに飛んでるんだよぅ……?嬉しいなぁ………」
・
アルパカ「軽くて……軽くて……消えてくように………」
・
・
・
・
・
アルパカ「ほら……今にも手が…………」
・
・
・
・
・
僕は口を開けたまま。
必死にアルパカさんを抱きしめようとした。
アルパカ「ごめんにぇ……私……失いすぎたんだぁ……だからもう……失いたくない………」
かばん「あ……あぁ……」
アルパカ「次の私はきっと……かばんちゃんを幸せにできるはずだよぅ……だから……泣かないで……」
星屑のように、アルパカさんは消えてゆく。
笑顔を見せ、僕はそれを見ない。
もう会えない気がしたから
・
もう、会えないから
・
結局、僕は守れなかった。
血も残らない。
もう何も残ってない。
僕の心も空っぽ。
守れる力なんてなかったんだ。
失望と脱力が立ち込める。
僕は手に持っていた銃を咥えた。
目は瞑らず、引き金を引く
かばん「……死んではいけない……の……?なんで殺してくれないの……?僕は……大罪を犯した………その償いを………なんで………」
弾丸なんて残ってなかった。
かばん「あああ………ああああああ!!」
豪雨のように押し寄せた、台風のように押し寄せた。
その感情は【悲しみ】
・
かばん「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
・
・
かばん「あぁ……あああああ……」
僕はびちょびちょ
雨ではない。
涙である。
僕の目の前に黒い靴が止まる。
見上げる気力はない。
・
パァァン!!!
・
発砲してきた。
僕のもう一方の肩に当たった。
僕はすぐに気づいた。
こいつはあの時撃ってきた男だ。
お前さえいなければ……
お前さえ……
お前さえ……!!
かばん「ハハハ……ハハァ………」
肩なんて上がるわけがない。
筋肉が緩んでる。
だが、そんなこと、知るわけもない。
・
・
かばん「ぶっ殺すっっっ!!!!!」
・
・
バァァァァンッッッ!!!!!
・
・
僕は倒れた。
人形のように
男は死んだ。
腹に大きな穴を開け
・
銃など無い。
弾がないから
だが、僕の手は確かに、拳銃を握っていた。
・
第31話へ続く。
アナザーワールド・サンドスターストーリーズ 第30話を読んでいただきありがとうございます。
今回の話では、人気キャラクターの死や、狂い、その他の残酷な描写が多いです。
注意され次第、このSSは消し、カクヨム版を貼るつもりです。
あらかじめご了承ください。
虫喰いでないフレンズ
18話>> 644
19話>> 646
20話>> 654
21話>> 664
22話>> 673
アフリカゾウ
「コノハガエルちゃんは何ともなさそうでよかった…イエネコちゃんのためにも、早くセルリアンを見つけて倒さないとっ」
「ほほう、セルリアンをお探しとは変わってるねェ〜〜〜!この虫喰いが用意して差し上げようかァ?ま、お前を食わせるためだがね!!」
アフリカゾウ
「むっ、虫喰いッ!?ど、どこなのっ!見えないところにいるの?」
「はん、そんなバカ正直にみせてやるほど慢心していないんでね。それに、今おれは島の反対側にいるから物理的に不可能だ。でも?スタンドを使えば遠くの物を見ることも出来なくない、か?も?おおっと、お前はスタンドを『持っていない』か『使えない』んだったなぁあ?どちらにせよスタンド使いでないお前に勝ち目はないィィ。いでよ!」
虫喰いの掛け声により地中から這い出たセルリアンは、見上げるほどの図体以外はイメージして探し求めていた特徴をしていた。
棒を刺したような四本足が楕円球形のボディに付き、前部には4つの眼が並び、イエネコの首輪にもあった模様と突起が
る。
アフリカゾウはあまりに大きいので胴体の下に入って雨宿りでもできそうだと思った。
おそらくこのセルリアンこそが今もなおイエネコを苦しめているのだろう。
立ち上がっている脚は地上に出てから展開して四足になる仕組みであったため地中にいたら見た目が異なるどころか見ることすら不可能だったわけだ。
アフリカゾウはしゃがんで頭を抱え叫んだ。
アフリカゾウ
「い、いやああああああああああ!」
(虫喰い…って、こんな話し方なんだ。なんか変だなぁ。ドブネズミちゃんとは似てないように思えるけど…)
「む?何か隠しているな?だがそれが何なのか探るのは危険な気がする。罠のニオイがするぞ?この虫喰いを罠にかけようなどというのは浅はかだったと後悔させてや………いや、あえて掛かってやろう。突進しろ!何を企んでいるのか暴いてやることにしたぞ!」
アフリカゾウ
「土の中にこもってた方が安全だったのに出てきちゃったんだ…」
「ふお?」
小さくつぶやいたアフリカゾウは、しゃがみこんで丸くなったまま前転して向かってくるセルリアンの下に潜った。
そして、握りこぶしをつくり胴体部を見上げて構えた。
ラッシュを食らわせるためにッ!
パオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオパオ━━━━━━━ッ!!
「な、なんだとぉ〜〜〜〜っ!?このパワーはヤバい!逃げるんだッ!はっ!逃げられない、だと?!」
真下から浴びせられたラッシュは重厚なセルリアンのボディを浮かせた。
脚を曲げて立っているセルリアンは脚を伸ばしたが勢いがついているので間に合わずひっくり返ってしまう。
不利になった虫喰いのアナウンスには焦りの色があった。
「元の体勢に戻れっ!お前が割られるわけにはいかん!割られるんじゃあねー!起き上がるんだァ───っ」
アフリカゾウ
「フレンズがなんでセルリアンを操れるのかわからないけど、このまま倒させてもらうよ!パオオッ」
「ククククククク…ウプププ」
アフリカゾウ
「な、なんで笑ってるの………?何が可笑しいっていうの………?なんだか変だけど」
「これはちっとも変じゃあねー。こうやって笑ってるってことはお前はもうおしまいだってことだぜ。わかんな〜〜い?」
アフリカゾウ
「はッ!」
「そうさ!中には大量にあのネコちゃんに着いている輪が入ってるんだぜ?それを割るってことはどうなるか、もうわかるかねぇ?」
ラッシュを浴びせたセルリアンのボディの中心からヒビが入り、そこから穴が開いて大量に輪が飛び出した。
それをもろに浴びてしまい、何個か体に乗っかっている。
アフリカゾウ
「きゃああ───────ッ!?」
「ドッキリ大成功だ!ヘヘェァーッ!
77人組手に挑む騎士みてーに全身に輪を着けられりゃあ重くて動けなくなるわ!
そして!この虫喰いがコイツをけしかけた理由はこれだけじゃあない!」
アフリカゾウ
「気持ち悪いいいィッ
何なのこれはあ───ッ?!」
輪に付いていた突起がひとりでに動き出し一つひとつがもがいていた。
それが体の上でうごめいているのが不快だったのでマフラーで振り払おうとしたが、一度触れただけでくっついて離れなくなった。
激しく振りまわしても地面に擦りつけても一向に取れず、むしろより多くの輪が付いて重くなった。
アフリカゾウ
「もうやだあ〜〜〜ッ!こいつらどうやったら取れるのォ〜〜〜ッ!?」
「そーだなァ、マフラーごと捨てればそこについてる分だけは取れると思うなァ。
何しても外せないという現実を受け入れてそれに適応しようとする姿勢がお前には必要なんじゃあないのお〜?
ブチ割ったソイツの後始末のこともどうするか考えて無かったんだろ?」
アフリカゾウ
「んっ…………くっ………」
虫喰いの煽りを聞いてある状況を思い出すと闘志に火が着くことで逆に冷静になれた。
そこで現状を考えて、のたうち回るだけでは輪が体に触れやすくなり逆効果だと理解した。
これ以上纏わりつけられないようにと丸くうずくまるが、表面に冷たいものが染み込む感覚がした。
アフリカゾウ
「頭より小さいのになんで首に着いてるんだろうって思ってたけど、わかった…一つ一つが染み込むようにして取り付こうとしてるんだ…なんとかして外さないと…」
そう言ってもさっきから外そうするのは無駄だと身をもって実感している。
外そうとしても何も効果は得られないということはわかっていた。
しかし、得体の知れないものに支配されるということが何より恐ろしくて動かずにはいられなかった。
起き上がって輪が何重にもこびりついたまま走り出す。
同時に、腕もマフラーも可動域の端から端まで振り回した。
「ああ、とうとうパニックに陥ったか………そんなことをしてなんになるというのだ?
理性を捨てれば奇跡的にでも取れると思ったのか?
『やくそくのうた』の支配からは絶対逃れられないというのにねぇ」
ドブネズミ
「なんか知ってるような声がすると思ったらよぉ〜、アフリカゾウも虫喰いもいるようだな!」
「な………なに?この声は…」
アネハヅル
「お〜〜〜い!アフリカゾウ〜〜〜!」
アフリカゾウ
「え………?アネハヅル?ドブネズミちゃんも?どこから来たの?」
インドガン
「上からさ!」
イエネコ
「そして!ふっか〜ッつっ!観念しな虫喰いッ!」
「うげ、あのやけにしぶといネコまで一緒だというのかッ!?
しかたない、おまえらは自由だ!
好きにコイツらに取り付いて自由を奪ってやれ!」
イエネコ
「他人の自由を奪おうとしといて、自分一人だけ好きにしようなんてこと許すわけないでしょっ!」
ドブネズミ
「おいっ!イエネコ!なんかうじゃうじゃいるみたいだが大丈夫なのか?あれの一つひとつがさっきまでお前についてたやつと同じみたいだが?
アフリカゾウなんか全身輪っかマミレだし。それでも動きまわってくれてなかったら上からは見つけにくかったよ」
アフリカゾウ
「みんなきた…きてくれたんだ…」
イエネコ
「もう知ってるわ!ドブネズミは上から援護してよね!」
アネハヅル
「うぇ〜っ、入れ食い状態だね。ここに飛び込んだら輪っかだらけになっちゃうみたいだよ」
インドガン
「なるほど、上からでも十分そうだ。はァっ!」
ドブネズミ
「その技はいまのアネハヅルには無理そうだな…代わりにわたしが頑張るよ。しっかり持って てくれる?」
アネハヅル
「わかったよ!頑張って!」
四人もの加勢があったことで形勢は逆転、不利を悟り捨て台詞を残した虫喰いの声はその場ではもうしなくなった。
上からのうごめく輪の群れに『ラット』を射ち込みまくるドブネズミ、手刀で衝撃波を発生させて当てるインドガンのダブルアタックによりみるみるうちに数が減る。
地上の輪の群れの端の方では、イエネコが駆け回りながら手で一つずつ潰していった。
アフリカゾウはそれを顔にも引っ付いている輪の隙間から見て何か閃き、握りこぶしをつくるとマフラーを挟むように殴りつけた。
すると一瞬にして全身の輪がサンドスターのきらめきを残して消え去った。
そして、未だ残っていた割れた本体をイエネコが叩いて完全に消滅させた。
イエネコ
「ふー、この私としたことが輪っかを倒す方法を知ってたのにすっかり油断したところに一つだけ取りつかれて自信を無くすなんてね。
首を自分で傷つけるのは少しだけ勇気が必要だったけど、やってみればなんてことはなかったわ。
『ラット』で物が溶けるところを見たら、あれよりは自分でやるほうがマシって思うわよ」
ドブネズミ
「そ、それを言ってくれたからイエネコもアフリカゾウも助かったんだ。
アネハヅルとインドガンが戻ってきてくれたからでもあるがね」
〘首輪の攻撃でイエネコが気絶してたところに静かに溶かそうとしたところですぐ目が覚めたんで急いでラットでやろうとしたら、イエネコの方からやろうと思えば素手でも倒せるから射たないでと言われるなんてな…
素手で首輪を切ろうとしたら突起がひっくり返ったてんとう虫の足みたいに暴れだして不安になりはしたが、何の躊躇いもなく豪快に引き剥がしたんだから驚かされたっての。
じゃあ何故出来ると知っててやらなかった?
敵の本質を知らなかったのか?
逆に己を知らなかったのか?
スタンドに素手で触れられた謎はわたしにはさっぱりだが、調べとく価値はあるな………
マイにもアフリカゾウにも秘密にしておこう〙
アフリカゾウ
「みんな…」
イエネコ
「アフリカゾウ、よくわかったわね。『やろうと思うこと』こそが最も大事なんだって気づけたら後は簡単だって」
アフリカゾウ
「うん?そ、そうだね(?)。それもあるけど、けものプラズムはフレンズの意思によって操れる、とかってマイが言ってたからもしかしたらってね。あってる?」
イエネコ
「ええ」
アネハヅル
「相変わらずマイってヒトの言うことはカタいからよくわかんないや。
でも、できるって思うことは大切ってことだよね!」
インドガン
「そう、だな。じゃ、そろそろあたしたちはこれで。用事があったんだ」
アネハヅル
「あ、いっけない!じゃ〜ね〜!」
アフリカゾウ
「う〜ん!ありがとね〜!」
イエネコ
「あ…お礼しそびれたわ。いつかお返ししなくっちゃあね」
ドブネズミ
「ふ〜〜〜う。面倒なやつだったが、なんとかなって良かったな。報告はやっとくから休んどけ。このスマートフォンで写真撮ったらもっと簡単かつ正確に敵の姿を撮って送れるのになぁ〜。ふあ〜〜〜わっ」
アフリカゾウ
「あ、アクビした。もう夕方だし休もうか」
ドブネズミ
「ああ、そうだな。書いたらそこらへんの痛くなさそうなところで雑魚寝だ」
イエネコ
「ふたりとも早寝ね。私は虫喰いを探しに行くわ」
ドブネズミ
「おい、そんなに無理することはないぞ?お前も疲れてるはずだ。一緒に休んでいかないか?」
アフリカゾウ
「イエネコちゃんだけが虫喰いを追ってるわけじゃないんでしょ?コノハガエルちゃんに会って聞いたよ。虫喰いのことはイエネコ一人で解決できる問題じゃあないって、思ってたから皆に言ったんだよね」
イエネコ
「うん……わかった。そう言うんなら、あんた達と一緒に虫喰いを追うから一緒に休む。いいかしら?」
ドブネズミ
「いいさ。イエネコの好きにするのを止める理由はない。三人の方が楽しいかもしれんしな」
アフリカゾウ
「お、三人になったんだね!これからはもっと楽しみだね!」
ドブネズミ
「ん?そーするってことは、セルリアン調査も手伝ってくれるんだよな?マイに言わなきゃならんかもしれんしな」
イエネコ
「え?なんかやんなきゃならないの?戦いは任せてくれていいから面倒くさいことはなんにもやらなくていいわよね?」
ドブネズミ
「んむむむ…やらせる理由はないし断られたのを押し通すのは気が引ける…」
イエネコ
「『でもなんかその理由は気に食わないんだが〜』とでも言うのかしら?」
ドブネズミ
「でもなんかその理由は気に食わないんだ………!そうだ。虫喰いのことだけは一緒でいいか」
アフリカゾウ
「一緒にやろー!」
イエネコ
「ふふふ…」
アフリカゾウ
「フフフっ」
ドブネズミ
「ははは…」
こうして二人が三人になり休もうとしていたころ、忘れられていた者は仕事のため二人の元に戻ろうとしていた。
ラッキーと呼ばれるその機械は、ドブネズミの腕の通信機に内蔵されているGPSを頼りに三人に接近していた。
ラッキー
「ジジジ……
認証完了。16時間後に到着予定……」
「ふん、こんなものもいたのか…。使えるものは何でも使ってやるぜ。この虫喰いはな…。『試練は克服する為にある』んだって教えてやるには都合がよさそうだしな…」
← To Be Continued //┃
長い休みに入ったので久しぶりにお絵かきしてアイコン変えました。
説明のため第四の壁をラットに溶かしてもらってお話をしてもらいました。
の「おれは用済みか」
ドブネズミ「そうでもないらしいが」
アフリカゾウ「『虫喰いでないフレンズ』が完結したら戻すらしいよ〜」
の「それマジ?」
ドブネズミ「ま、忘れられたくなきゃあ洋菓子を買い続けることを祈るしかないな。お前、洋菓子だろ?」
アフリカゾウ「君のかお?はおぼえやすいからきっと忘れられたりはしないよ!」
の「よしわかった待つぜ」
の菓子は待つことを始めた。
すでに画像だけの存在であるため腐ることを知らず、ひたすら待ち続けるのだ。
そして明日を楽しくむかえるための最善の待ち方にたどり着いたの菓子は、やがて考えるのをやめた。
がんばれ の!
はじめまして
近々連載物のSS(と言うより小説)を投稿しようと思ってます。
内容は異変や事件が起こらなかったジャパリパークを舞台にした物語です。
タイトルは「OTD~Saved Japari Park~」
スパッと短く濃厚にを目標に割と行き当たりばったりで書く予定です。
たのしみです!
頑張って!
ここはジャパリパーク。
世界の何処かにある超巨大総合動物園。
ジャパリパークには色々な動物が暮らせるように様々な地形や気候を再現した地方がある。
再現された気候の幅は広く、熱帯雨林や砂漠、果ては南極の気候まで存在するのだ。
更にそんなジャパリパークではある日を境に時折空からサンドスターが降り注ぐようになり、サンドスターに当たった動物は人にそっくりな姿をしたアニマルガールへ変身した。
やがて、アニマルガールはフレンズと呼ばれるようになり、ジャパリパークは人とフレンズが仲良く暮らす夢のような島となる。
事件や異変なんて全く無縁。
そんな、不思議がいっぱいで平和なジャパリパークのとある一幕。
とあるフレンズに焦点を当てよう。
「わぁ……今日もお星さまが綺麗」
彼女の名はヤマバク。
夜空の星を見上げるのが大好きなフレンズだ。
彼女は元々標高の高いところにある草原や森に住んでいたフレンズだったが、今はパークセントラル付近の居住区で暮らしている。
「もっと、高いところに行ったらもっと綺麗に見えますよね!」
思ったことを口に出しながら、ヤマバクは慣れない木登りを行い少しでも高いところへ登っていく。
わざわざ木に登ったところで星の見え方はそう変わらないのだが、今はそれを注意する人はいない。
「へ?」
メキメキメキと嫌な音を立てながらヤマバクが乗っている枝が傾いていく。
ヤマバクの頭の中で次に起こるであろう光景がありありと浮かぶ。
しかし、次の展開を予測できることと回避できることは別問題である。
「キャッ!むぎゅ!」
情けない声を出しながらヤマバクはお尻から地面に落下した。
「うわぁ……やっちゃいました……」
このジャパリパークにおいて木の枝が折れたくらいで何か言う人は居ないだろう。
ただし、それが誰かの庭の木でなければの話だ。
怒られるのは嫌です。
焦ったヤマバクは証拠隠滅を図ろうとして折れた枝を持って走り出した。
ヤマバクと同じように夜行性のフレンズは枝を持って走っていくヤマバクの奇行を見ながらも、特に気にするでもなく夜の散歩を続ける。
このジャパリパークには多種多様な習性や性格を持つ様々なフレンズが居るので、誰かが奇行をしていたとしても特に気にしないのだ。
得てして自分と違う習性を持つフレンズの行動は奇異な行動に見える故に……
ヤマバクは結局折れた枝を持ち帰り処分に困り果ててベッドの下に隠してしまった。
もう少し賢い方法があったのではないかと思うが、少しだけパニクっているヤマバクの頭ではこれ以上の案は思い浮かばなかった。
「うぅ……どうしよう……」
ヤマバクは明日への不安を抱えたまま頭から布団を被り、悩んでいる内に何時しか夢の中へと旅立って行った。
1話>> 693
前回>> 693
「起きろー!!」
早朝にヤマバクが頭から被っていた掛け布団が何者かによって剥ぎ取られる。
「ぅぅん……夜行性ですから……もう少し寝かせて……」
「朝早く起こしてくれって頼んだのは何処のフレンズだったかな?まったく、昨日は早く寝るって言ってたのに」
「そう……でしたっけ?」
「ジャパリ科学館に行きたいって言ったのはヤマバクでしょ?」
「……くー」
「寝るなー!」
ヤマバクは何者かによって肩を揺さぶられて、今度こそしっかりと目を覚ます。
ヤマバクは一度目を擦って、起こしてきた相手をじっと見詰めてから口を開いた。
「……誰ですか?」
「失礼な!あなたの飼育員だよ!し・い・く・い・ん!忘れたの!?」
ヤマバクは何者改め飼育員を観察する。
紺色のショートヘヤー、顔だけ見れば少年のようにも見えるが豊かな胸が女性であることを激しく象徴している。
「しーくいん……さん?あー、居たような……居なかったような?」
「い・た・で・しょ!変なこと言ってるとそのもちもちほっぺを引っ張るから!」
「それは嫌です!」
「なら、さっさと準備して出掛けるよ」
ヤマバクは飼育員に急かされるままに準備をして家から飛び出した。
本日の天気は雲1つない快晴。
絶好のお出掛け日和である。
ヤマバクは飼育員の後を付いて行きながら、とある事を考えていた。
「しーくいんさん、今日は何処へ出掛けるんでしたっけ?」
ヤマバクの惚けた言葉にずるっと転びそうになりながらも、飼育員は丁寧に本日の目的地を教える。
「今日はジャパリ科学館に行くって話だったでしょ」
「かがくかん?」
「ジャパリ博物館の方が分かりやすかったかな?ジャパリ博物館を増築して新しく出来た科学館だよ。昨日オープンしたばっかりの」
「そうでしたっけ?」
「ん?オープンは昨日じゃなくて一昨日だったかな?まぁ、どっちでも良いけど」
その後、バス停からジャパリバスに乗ってジャパリ科学館へと向かう。
「そう言えば、科学館ってどんなところなんですか?」
「“科学に触れてみよう”ってコンセプトで立てられた施設で基礎的な科学実験とか最新の科学技術の紹介や展示を行っているところだよ。色々目玉展示も多くて楽しいらしいよ。ヤマバクの楽しみにしてるアレも中々の迫力みたいだね。話は変わるけど、科学館は元々は作る予定になかった施設なんだ。当初の計画では博物館だけだったんだけど、フレンズが現れるようになって、フレンズの教育の一貫として科学館を作ろうって話になったんだって。でも、その話が上がった頃は博物館も完成間近でね。今更、建物の構造を変えるわけに行かない。だから完成してから別途で増築する事に……って、おーい。聞いてるー?」
飼育員がバスの中でジャパリ科学館の解説を話しているが、ヤマバクは物珍しそうに窓の外をキョロキョロと見回している。
本当に聞いているのだろうか?
「聞いてますよ。ジャパリまん美味しいですよね!」
「聞いてなーい!」
ヤマバクのもちもちほっぺが怒った飼育員の手によってもちもちぺったんされてしまったのは言うまでもないだろう。
読んでます
ヤマバクちゃんと飼育員さんの話、続きが気になりますね
楽しみにしてます 更新頑張って下さい👍