虫喰いでないフレンズ
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前回のあらすじ
岩石地帯へ到着した二人はハブ、ヤンバルクイナと別れて先へ進む
ドブネズミは突然窪みに落ちたがセルリアンの残骸サンドスターを見つけていた
回収しにいくとなんとそのかつてのその持ち主は正体不明の敵に既に倒された『夢みるプリンセス』の本体で、ヒトの『かがやき』を吸収してスタンドを身に着けたセルリアンだった
スタンドを通じてセルリアンとしての半生を語りその敵の正体を探るのだけは頼むといわれるが受けた攻撃について話そうとしたタイミングで消滅した
敵の能力についての謎の手がかりが無くなったが、ドス黒い脅威がどこからか襲ってくる可能性があることがドブネズミへと伝えられたのだった。
ののののののののののののののののの
二人は『手頃な大きさの石』を探していた。
石を見つけると、互いに手の大きさにあう石を見せあった。
ドブネズミは両手で挟んで持ち、アフリカゾウは抱えながらマフラーで支えている。
ドブネズミ
「さあ、こんなんでいいだろ」
アフリカゾウ
「うん?なんでそんな小さいのを選んだの?」
ドブネズミ
「え?小さいって……これが?」
アフリカゾウ
「こんくらいじゃあないとね」
ドブネズミ
「ウソぉ、そんなデカいのを持ち歩けるのか!?」
アフリカゾウ
「え〜、全然デカくないよ〜」
ドブネズミ
「この袋に入れることを考えてその大きさか?」
アフリカゾウ
「あ、そうだったね。それでいいや」
ドブネズミ
「よかった…」
アフリカゾウ
「そうそう、次はここからあの海まで降りて行かなきゃいけないもんね」
ドブネズミ
「おう、ちょっとここで休もう」
アフリカゾウ
「えー、早く行かないといつまで経っても進まないよ!先に行こうよ」
ドブネズミ
「わたしは、アフリカゾウよりもすぐ疲れるんだ。ここんとこの休憩は少ないくらいだ」
アフリカゾウ
「う…たしかに、マイが言ってたね。ドブネズミちゃんはずっと寝てるけものだって。でも動かないと」
ドブネズミ
「ああ、喉も乾いたけどここには水がない…どうしたらいいんだ……」
アフリカゾウ
「動けばいいんだってば〜〜」
お〜〜〜〜〜い!大丈夫〜〜〜〜?元気ないみたいだけど〜〜〜?
上空から声がした。
アフリカゾウ
「あ、アネハヅル!インドガンも!」
ツル目ツル科アネハヅル属
アネハヅル
Anthropoides virgo
Demoiselle Crane
カモ目カモ科マガン属
インドガン
Anser indicus
Bar-headed goose
アネハヅル
「アフリカゾウ、声だけでよくわかったね。山の上を越える途中だけど、困っているみたいだから何か役に立てることはないかなって、来てみたんだよ」
インドガン
「アネハヅルったら渡りの途中にどこに行くんだろうと思ってついてきたら、君たちが見えたんだよ。何があったのさ?」
アフリカゾウ
「このドブネズミちゃんっていうんだけどね、こっちの下まで降りなきゃいけないのに動けないって」
ドブネズミ
「気分が優れないんだ……」
アネハヅル
「これはもしかして……」
インドガン
「もしかすると、だな」
アフリカゾウ
「なに?何があるの?」
アネハヅル&インドガン
「高山病「だね」「かもね」」
アフリカゾウ
「こーざんびょー?」
アネハヅル
「この子、もしかしてずっと低いところで暮らしてた子だったりする?君が大丈夫なのはわかるけどさ」
インドガン
「あたしたちみたいに高いところに慣れてない子が来ると、酸素が足りなくてこうなる。アフリカゾウ、君がこの子を連れ回してしまっているの?」
アフリカゾウ
「うう……そんなことはないよ。でも気がついたら具合が悪そうにしてて……」
アネハヅル
「さっき、水がほしいとかって言ってなかった?水を飲まないと危ないんだよ。このままにしてても良くならないかもしれないね。インドガン、下まで二人を連れてってあげようか」
インドガン
「ハァ、アネハヅルのお人好しで渡りの予定が延びそうだ。仕方ない、あたしたちが下まで降ろしてあげるとしよう」
のののののののののののののののののの
のののののののののののののののののの
アフリカゾウ
「ごめんなさい……二人とも。ドブネズミちゃんも、ごめん」
アネハヅル
「気にすることはないよ!大切な仲間が減るのは避けなきゃね。その子、ドブネズミっていうんだっけ?ぼくが持つよ」
インドガン
「じゃああたしはアフリカゾウを持つかな。方向と着地点は適当なところにするけどいいか?」
アフリカゾウ
「えっと、あっちの海の近くに行ってほしいんだけど」
アネハヅル
「了解!」
インドガン
「出発!」
こうしてドブネズミはアネハヅルが、アフリカゾウはインドガンが背負い飛んで次の目的地へ移動することになった。
ドブネズミはこれまでに体験したことのない頭痛や動悸やめまいがして歩くのが難しくなるほど体調が悪くなっていた。
アネハヅルの背中に吐きそうにまでなったが、そもそも予備のじゃぱりまんも食べておらず腹に何も入れていないので事件を起こさずには済んだ。
さらにドブネズミにはアネハヅルが時々語りかけて具合はどうかと聞いてきてくれるのが心の支えとなり、どうにか最後まで持ち堪えることができた。
一方で途中のアフリカゾウはというと、ドブネズミにさらに無理をさせてしまうかもしれなかったという後悔が募り、インドガンの背中を見つめたまま顔を上げられずにいた。
だが降り立ったときまでには決心がついたのか、ドブネズミには前から変わらないアフリカゾウとして立っていたように見えた。
アネハヅル
「ここら辺でいいんだね。降りるまでよく頑張ったけど、今度から高いところに行くときはゆっくりいこうね」
インドガン
「そう。高山病にならないようにするには、休み休み登ったり深く呼吸したり、ペースを上げすぎないこと!いい?」
ドブネズミ
「わかったよ。ありがとう。気をつける」
アフリカゾウ
「ほんと、ごめんね。ありがとう!」
アネハヅル
「アフリカゾウ、久しぶりに会えて良かったよ!今度は二人とも元気で会えるといいね!またね!」
インドガン
「そうね。またね」
ドブネズミ
「元気でな!」
アフリカゾウ
「元気でね!」
飛び立った渡り鳥コンビが点に見えるまで見上げていた二人は、流石に即座に落ち着いて出発できなかったのか腰を下ろして休んだ。
しばらくして、これについて何か知っていたのではないかとドブネズミがコノシマ・マイに連絡するため通信端末を起動するとアフリカゾウが近づいてきた。
ドブネズミ
「マイはいるか」
マイ
《ここにいる。わたしだ。何の要件なんだ?》
アフリカゾウ
「えっとね、ドブネズミちゃんが『こーざんびょー』になってたみたいでね」
マイ
《な!?なんだと!?そんなことがあったのか!?今は大丈夫か?!》
ドブネズミ
「下に来たから良くなってきた。そんなに驚いて、そっちがどうしたってんだ」
マイ
《いや、目標の地点は高山病に罹るような高さではないはずだったんだ。アフリカゾウは大丈夫なのか?》
ドブネズミ
「なんともないみたいだ。わたしは立ち上がるのがやっとだったよ。お前はわたしについては、どう思ってる?」
マイ
《本当に申し訳ない。ドブネズミ君の呼吸では酸素が十分に取り込みにくいということなのかもしれない。高山病の症状を緩和する薬を渡しておくべきだった。高山病は個人差によってなりやすさが違う。特にフレンズの身体能力については未解明な部分が多い、というよりほぼ全く分かっていない。だから予測できなかったというのは言い訳でしかないがそう説明したということにさせてくれ。本当ならデータをとるために心拍や脈拍を測る必要があったんだが、それは既に不可能だからそのまま調査を継続してくれ。何か他にはないか?》
アフリカゾウ
「私からは、特にないよ。」
ドブネズミ
「このあとのルートにはどのくらい高いところがあるんだ?」
マイ
《一回、かなり高いところに行く予定になっている。》
ドブネズミ
「その予定についてはどうなんだ?」
マイ
《そこはドブネズミ君には苦しいだろう。だがドブネズミ君だけ行かなくてもいいというワケにもいかない。そこで、助っ人を用意した。そちらへ向かわせているところだ。待っていればすぐにでも到着するだろう》
ドブネズミ
「助っ人?」
アフリカゾウ
「え?誰か来るの?」
マイ
《君たちのご存知の者だ》
ピョコピョコピョコ
ピョコピョコピョコ
ピョコピョコピョコ
ドブネズミ
「この足音は……もしや………」
アフリカゾウ
「まさかの………」
?ラッキービースト
「こんにちは。ラッキーだよ。君たちのアシストをすることになったよ。よろしくね」
マイ
《そのラッキーが助っ人だ。今まで君たちが出会ってきたタイプとは異なる、【多機能】で特別なラッキーだ。通信はそのラッキーを通じて行うこともできる。話しかけてやれば言葉を解して反応する。ヒトじゃあなければ反応しないなんてことはない…いやなんでもない。まあ、要するに便利…頼もしいやつだ。頼るならまずは彼に相談するといいだろう。詳しい機能については彼から直接聞けとしか言われていない。それほどに【多機能】なんだろう。期待してやってくれ。じゃあそろそろ失礼する》
アフリカゾウ
「ふ〜ん。ボスじゃなくてラッキーね」
ドブネズミ
「ちょっとこいつをイジるか。ボス!これからよろしくな!」
ラッキー
「『ラッキー』。ボスではなくラッキー・ビーストの略称でもない。『ラッキー』がボクの正しい名前だ。正確に憶えるんだ」
←to be continued…
20話>> 654
続き楽しみんみ👍
ありがとうございます!💪