虫喰いでないフレンズ
7話前半>> 393
7話後半>> 394
ドブネズミ
「なあアフリカゾウ、海ってこんなに遠かったか?」
アフリカゾウ
「そんなハズないとおもうんだけど…」
ドブネズミ
「太陽がもう真上に来てるのにずっと平地が続いてるなんておかしい…
こりゃあ迷ったな」
アフリカゾウ
「ねぇ マイに相談してみない?」
ドブネズミ
「わたしはそれはやめたほうがいいと思う。
全域の地図といって当てにならねえ物を渡してきたアイツを頼りにするのか?」
アフリカゾウ
「きゅっ、急に何てこと言うの?!」
ドブネズミ
「言ってただろ?直接は話せないかもしれないとかって」
アフリカゾウ
「それだったら、ドブネズミちゃんが持ってるソレなら直接話せるよね」
ドブネズミ
「…そうだった。
いきなりピンチっぽいし呼んでみなきゃな」
ドブネズミは腕につけた通信機で通信を試みた。
ドブネズミ
「ドブネズミだ。主任につないでくれ」
通信管理員
《調査行動中のフレンズさんたちですね。すぐお取次致しますので少々お待ちください》
ドブネズミ
「今のは…」
アフリカゾウ
「マイの代わりに出るっていう人だね」
マイ
《代わった、マイだ。早速なにかあったというのか?》
ドブネズミ
「そうだ。
わたし達は今かなり困ったことになってる」
マイ
《困ったことだと?状況を説明してくれ》
︙
《どこまで歩いても同じような景色?山にも近づけない?》
ドブネズミ
「ああ。ボスも他のフレンズもいなくてお手上げだ。」
アフリカゾウ
「ほんと!いっぱいもらったジャパリまんもなくなっちゃうよ!」
マイ
《いっぱい貰った…
そういえばジャパリまんじゅうを持たずに出発させたな。
ジャパリまんじゅうの補給は現地で十分だろうと思っていたが、
想定外のアクシデントがあるようだな》
アフリカゾウ
「私たちはどうすればいい?」
マイ
《山に近づけないと言ったな?
山のような大きいものは多少場所を変えて見ても、
見た目の大きさが変わりにくいということがある。
歩けば近づけるはずだからもし、本当にそれだけならば心配はいらない》
ドブネズミ
「それだけなら?何かあるのか?」
アフリカゾウ
「不安になってくるね…」
マイ
《今からいうことは事実だ。
君たちの裏でてんやわんやしてて
言いそびれてしまって申し訳ないが、
これは重要な事柄なのだ。
心の準備はいいか?》
ドブネズミ
「なんだ?そんなにマズイことなのに今更言うのか?」
アフリカゾウ
「しょうがないでしょ!
どんなことでも受けいれるから教えてくれない?」
《ああ。それじゃあ言おう。
君たちは『悪魔の手のひら』に迷い込んだかもしれない。》
ドブネズミ
アフリカゾウ
「「悪魔の手のひら?」」
《悪魔の手のひらとは移動する過酷な土地で、
どこからか突然現れては去っていく。
迷い込むと水も食料も尽きて
助けも呼べずに干からびる。
特徴は反った柱状の岩盤が
くぼんだ土地の方を向いて集まっている
というものらしい。
それが大きな手にでも見えるからそう呼ぶんだろう》
ドブネズミ
「そうか。そんなものは見てないが」
アフリカゾウ
「私も同じ。そんな変なところには行ってないけど」
《そうか。先程言ったのは例えば
砂漠のような気候の場所のみの出現例なのかもしれない。
つまり、形を変えて出現したかもしれないということだ》
ドブネズミ
「なに?
じゃあ一体なぜそんなことが判る?」
《この島でフレンズが提供してくれた、
目撃情報にある場所が悪魔の手のひらの性質と一致したのさ。
つまり姿を変えて出現している可能性が高い。
しかし情報がまだ少ないために
外見上の見分け方が確立できていない》
ドブネズミ
「おい、一つ重要なことをこちらから聞くぞ」
《なんだい?》
ドブネズミ
「こうなることをわかっていながら、
わたし達や他のフレンズ達を外に
居させているのはどうしてなんだ」
《それは島の環境とセルリアンの調査、それだけだ》
ドブネズミ
「それだけか?
フレンズがこの島で暮らす意味はなんだ?
悪魔の手のひらとセルリアンに
何か関係があるからなのか?」
《………》
アフリカゾウ
「…ドブネズミちゃん、
またあとで聞かない?」
ドブネズミ
「そんなに…
そんなにアフリカゾウは自分のことがどうでもいいのか?
わたしにはこのまま引き下がりたくない」
《悪いが、本当にこれだけだ。》
ドブネズミ
「そういうことにしておこう。
今わたし達にできることといえば、
この悪魔の手のひららしき場所を抜け出すことくらいだろうからな。
納得いかないのを抱えているのは癪だが、
切り替えていくしかないんだろう」
《一先ずは受け入れてくれたようだね。
ひとつセルリアンの情報を教えておこう。
島のフレンズがくれた情報だ。
少し目を離している間に隣にいたはずの
フレンズがいなくなっているということがあるのだそうだ。
突然、何の予兆もなく姿も匂いもなくなってしまう。
でも、何かがいるのは間違いないだろう。
それでは失礼する》
ブツッ
ドブネズミ
「切れたか…
アフリカゾウ 行くぞ」
アフリカゾウ
「…ちょっとまってよッ
さっきの話はさ、
マっ、マイが隠し事してたってこと?」
ドブネズミ
「わたしはそうだと思う」
アフリカゾウ
「そんなこと…」
ドブネズミ
「こんなことが有ることはわたしも知らなかった。
出発する前に全部説明するとは言われていないし、
それに承諾してここまで自分で歩いてきたんだ。
おまえ自身の責任を取るためにマイが何をやってるのかを突き止めた方が理解するにはいいんじゃあないか?
本当はわたしがアイツのことを知らんから
調べたいだけなんだが」
アフリカゾウ
「マイのことならひとつわかるけど、
あなたとおんなじように私をフレンズにしてくれたことくらい。
あなたは死体だったとかって言われてたみたいだけど、
私も初めてこの体で目覚めたときは変な感じのこと言われたっけなぁ」
ドブネズミ
「何!?なんて言われたんだ!?」
アフリカゾウ
「えぇっとぉ、たしかね、『君は一本の牙(キバ)だった』?」
ドブネズミ
「一本の牙か…牙だって?」
アフリカゾウ
「うん、長くてするどい歯だよね、牙ってさ」
ドブネズミ
「そんなおっかねーもん持ってるやつはわたしも知らんから、調べてみるか。
アフリカゾウのこと」
アフリカゾウ
「私のこと?」
ドブネズミ
「いや、前のおまえって言った方がいいか」
アフリカゾウ
「前の私のことは、わたしもちょっと知らない…」
ドブネズミ
「いい機会だ。調べようじゃあないか。
アフリカゾウのことも、フレンズやセルリアンとは何なのかということも」
アフリカゾウ
「そうかなぁ?」
ドブネズミ
「いや、奇妙なヤツが現れていきなり
そいつは敵だから戦えって言われたり
お前はフレンズだって言われたらそう思うだろ」
アフリカゾウ
「そう?だったら研究所にいてあそこの
みんなの話を聞いたほうが
すぐフレンズとかセルリアンとか
がわかるんじゃないかなぁ」
ドブネズミ
「いや、あそこにいたときは
言いづらかったけど
人の近くに長く居たくないんだ。
前世の記憶っていうとおかしいが、
この姿の前のことを思い出すからな」
アフリカゾウ
「ドブネズミちゃんは憶えてるんだ…
私は何も憶えてないんだよ。
この姿の前のことはマイに写真で見せられてわかったんだよね。
あ、実は持ってきてるんだった」
アフリカゾウは『毛皮』のポケットから平べったい何かを取り出す。
ドブネズミ
「何だ?それ」
アフリカゾウ
「写真だよ。このコが『アフリカゾウ』。このコは私じゃあないけどね」
それにはドブネズミの見たこともないところにいる、見たこともない動物が写っていた。
ドブネズミ
「でもコイツもアフリカゾウっていうんだろ?」
アフリカゾウ
「うん。ゾウっていうのは、こんなふうに鼻が長いものなんだ。
今の私の鼻は長くないけど、代わりにマフラーが動くみたい」
ドブネズミ
「いいよなぁそのマフラー」
アフリカゾウ
「ドブネズミちゃんはさ、マフラーじゃなくても
尻尾が長いんだからいろいろできないの?」
ドブネズミ
「それとこれは別モンだろ。
それの先っぽは2つに別れてて、
閉じたり開いたりするから何かを掴めるんだろう。
この尻尾もそうなっていれば、同じことができるかもな」
ドブネズミは自分の尻尾を持ってアフリカゾウの尻尾とはっきりと見比べてみようとした。
ドブネズミ
「なあアフリカゾゥ……?」
ところが、振り返ってもアフリカゾウの姿は見えない。
ドブネズミ
「アフリカゾウ!!どこにいるッ!!?
突然消えるなんておかしい!
なにかがヤバい!!
既にわたしたちは襲われているのかッ!?」
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???「『アフリカゾウ』ト言ウノカ、コノフレンズハ…
既ニオマエモ我ガ術中ニ落チテイル…」
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〈←to be continued…_ /\┃
👍
😊(読んで頂きありがとうございます!)