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深海生物と争う末期な世界線(仮※)用コーナー 7 ヶ月前
薄暗いテントの中で、壁にかけられた地図を見ながら
ライラ達選抜チームが一列に椅子に座っている。
「それで… なんですか、話って?」
「やあ、諸君。 急に集まってもらってすまなかった。
早速本題だが…幸運なことに、先ほど無人偵察機がターゲットを見つけてきた」
テオドル・リネクが、何の喜びもなくそのことを言った。
「本当か!? それで、一体どこにいるんだ!」
テオドルのその言葉に、デニス・シュルツが反応する。
「まあまあ、とにかく落ち着いて聞いてくれ。
敵のはチェコ軍包囲下のど真ん中にいる。
昨日突破した箇所に向かって、総撤退を始めたらしい。
「そんな場所に、どうやって狙撃しに行くんだ?」
ラドヴァン・シュチェルバが質問する。
「ヘリコプターで近くまで運ぶ。
…だが、そのあとは徒歩だ。頑張ってくれ。」
「編成は?」
矢継ぎ早にライラが質問する。
「アルファ・チームはライラ、チャン、デニス、ミレナ、
ブラボー・チームはエルヴィーン、グエン、ラドヴァン。
アルファの方が一名多いが… まあ、問題はないだろう。
出発は5分後、汎用ヘリがこっちにたどり着いてからだ。
幸運を祈っているよ。」
「了解!」
その言葉に、全員が声を揃えて応えた。
「到着まで2分! 全員降下用意しろ!」
リウ ズシュエン
エルヴィーン・ロハーチェク達は、刘梓萱…「南昌の暗殺者」殺害のため、
高地地帯の中腹にある密林地帯へとヘリコプターで舞い降りていっている。
LZへと2機の攻撃機が飛んでいき、ロケット弾と焼夷爆弾を投下して去っていく。
「おい、あそこに爆弾を投下する意味ってあるのか?」
「手の込んだ待ち伏せ対策だよ。 保険ぐらいにはなるさ」
グエンとラドヴァンが、その光景を見ながら会話しあう。
「降下!」
エルヴィーンのその言葉とともに、
3人は地面へと飛び降りた。
それぞれが持っている銃を各方面に向けて
ここが安全であることを確認した後、
お互いの死角をカバーしながら前進していく。
「目標地点は?」
「デルタ・チャーリー・タンゴ。前進しろ」
「了解」
木々の間をすり抜けながら、
何処に敵がいるかもわからないジャングルを全速力で進んでいく。
しばらく進んでいると、遠くから足音が聞こえてきた。
「止まれ」
全員が地面に伏せる。
「敵のパトロールだ」
「交戦します?」
「どうせ弾の無駄だ… 待機しろ」
すぐ目の前を、4名のパトロール部隊が進んでいく。
直後足音が離れていき、段々と小さくなっていった。
「移動再開」
また全員が立ち上がり、再び移動していった。
開けた場所で、ブラボーチームの3人が遠くの山脈を監視している。
山には大勢の敵兵が移動し続けているが、その中に目標の姿は見当たらない。
「こちらブラボーチームより本部、
目標地点に到達した。オーバー。」
「こちら本部了解、待機せよ。 アウト」
「…おい、ナイフ持ってるか?
貸してくれ」
エルヴィーンが他の2人に問いかける。
「持ってるが… 何に使うんだ?」
そう言いながら、ラドヴァンがナイフをエルヴィーンに渡した。
「こう使うんだよ。覚えておくと便利だぜ」
適当な枝にナイフを突き刺し、簡易的なバイポッドを作った。
狙撃銃を構え、スポッターに各種情報を聞く。
「グエン、今の状況は?」
「距離800m、風力北北西、風速5メートル」
「了解」
それを聞いて、エルヴィーン・ロハーチェクは
ライフルを構え、ハンドガードに手をかけた。
「俺とグエンで標的を探す。
ラドヴァンは後方警戒に当たってくれ」
スコープを双眼鏡代わりに使いながら、
大量の敵兵の中から目標を探す。
その中に、ひときわ厳重に守られている一群があった。
(あいつらか?)
スコープの倍率を上げ、1人1人顔を確認していく。。
…いた。 ゆっくりと進んでいく隊列の中に、写真で見た顔がある。
手には対物ライフルを構え、指揮官のような男の護衛を行っていた。
(…ようやく来たか、この野郎!)
「グエン、見つけたぞ。
あの重武装の一群の中央にいる。」
「了解… ああ、見つけた。 間違いないだろう。」
本部へと無線を送る。
「こちらゴルフ、目標確認。
位置はデルタ・オスカー・タンゴ。
相手には見られてない、最高のコンディションだ」
「こちらHQ了解。念のためにそちらに攻撃機2機を送る、
到着は3分後。それまでに片付けてくれ」
「こちらゴルフ、了解。 オーバー」
そう言ってエルヴィーン・ロハーチェクは
ライフルを構え、引き金に手をかけた。
標準を標的の頭に合わせ…
引き金を引いた。
直後、発砲音があたりに響き渡り
数秒もしないうちに着弾する。
(やった!)
彼は標的が地面に崩れ落ちると思ったが―
地面に落ちたのは帽子だけだった。
(…馬鹿な)
冷や汗が出てくる。
「おい、どうした? 顔色が悪くなってるぞ?」
「見切られた」
「何?」
「信じられないだろうが…銃弾を見切られた。 人間業じゃない」
「そんな馬鹿なことがあるか? あり得ない」
「だが、実際に避けられて…」
そこまで言ったところで、
彼らはブリーフィング中に言われたことを思い出した。
『それがな、どうやら…
あー… 彼女は、人間じゃないらしい』
「おい、ロハーチェク… あんな化け物相手に、勝てると思うか?」
「知るか… とにかく報告するぞ」
遠くでジェットエンジンの轟音と、数回の爆発音が聞こえた。
きっと、本部が送ってきた攻撃機だろう。
果たして、あのパイロットたちは目標殺害に成功しただろうか…?
「…ハンネス大佐。
先ほどブラボーチームが目標を確認、
直ちに狙撃を行いましたが
銃弾をよけられて失敗したと通信が入ってきました」
「そうか…
まあ安心しろ。プランBはもう準備してある。」
「プランB? そりゃどんな計画ですか?」
「…奴が立て籠っているところ目掛けて
爆弾をぶちこんだあと、
特殊部隊で掃討する。簡単だろ?」
そう言うと、ハンネス・コヴイランタは無線機を取った。
「こちらHQよりブラボー・ノーベンバー…」
クリスマスまでには完結させたい…
「The deep sea fish loves you forevre」
「なんだ?」
「私が好きな曲の一節さ。我々は『Thinker』だからね」
「…はぁ…」
突然歌い出すヘックスを横目に深くため息をつく。眼下には大海が広がり、船体が白い航跡を残して進んで行くのがよく見える。現在地はパナマ湾沖海上、タスクフォースランサーの一部である第2艦隊第28輸送艦群所属ゴールドイーグル級輸送艦5番艦ズィルバーの後部甲板。この艦は民間の輸送船を軍が購入し再塗装したもので、兵装としては対空、汎用銃火器が少数のみ搭載されている。しかし物資や車両などの積載量は目を見張るものがあり、資金問題でなかなか新型艦の設計に着手できなかった海軍にとっては非常に魅力的なものだったという。
「波が穏やかで良いね。後ろに沢山の兵士と戦車が無ければ君とのデートができそうだったのにな」
ヘックスはわざとらしいキメ顔で語りかけてくる。
「お前はなにを言ってるんだ」
「そのまんまさ」
風で帽子が飛んでゆかないよう、彼女が右手で抑える。いつものように、楽しそうに笑みを浮かべて。
「この船に乗った部隊はこれからパナマを制圧し、治安維持を担当する優秀な海兵だ。飛行場を奪取し次第輸送機で追加の陸軍タスクフォースも来る」
彼女の髪が潮風に揺れる。
「それを横目に、私たちは武器商人とトップの野郎を始末するわけだがね」
「…なぁ、結局動員する部隊はなんなんだ?」
未だに『夜明けの下作戦』で動員される部隊は明かされていない。それだけ今回の作戦は機密情報が多いのだろうか。
「そうか、まだ言っていないんだったか。忘れていたな」
「協力者に作戦の詳細を教えない組織があるか…いや、よくあるな」
昔見たパラレルワールドが舞台の映画に、協力者に全てを伝えずに都合が良い所のみを伝える『CIA』という組織があったのを思い出した。似たようなものか。
「この作戦では2つの部隊が動員される。一つはヘリで兵員を輸送する『第120特殊作戦航空連隊』。もう一つはうちお抱えの特殊作戦部隊『スレッシャー・デバイス』が出る」
「『スレッシャー・デバイス』?そんな部隊があったのか。ティアは?」
聞き覚えのない部隊名に思わず聞き返す。ティア1の部隊までアクセスできる私が知らないということは、新設された部隊なのかもしれない。
「ティア?あぁ、ティアは無いさ。なんせメディア露出の多いデルタやDEVGRUとは比べものにならないくらいだからね」GIBのそういうところ 。だから軍に反感を買うんだ」
「出たな
それもそうだと彼女は笑う。
複数の戦闘機が私たちの正面から背後に向けて通過する。いよいよ始まるのだろう。
「さぁ、始まるぞ。クリスマスパーティーの前哨戦だ」
アルゴンの新鋭技術を取り扱う秘密研究施設『ルクスシャンツェ』の一角にて──────
『ええ、そうです。世の中にはまだまだ知りえないことが山のようにあると思い知りました...。
もちろんです。既にアイデアはあるのですよ?上手く用いれば様々な分野で革新を起こすことが出来ると考えています』
照明のつけられていない真っ暗な部屋の中で、一人の女が誰も居ない虚空に向けて耳障りの良い機械音声を響かせていた。
『ありがとうございます。そうですね』
ガチャッ
「主任〜。まだ『お話』終わってねーですの?」
ノックもなしに無遠慮に開けられた扉。無機質な研究施設には似つかわしくない10代前半程度の容姿の女性が入り込んできた。
『分かりますか?あの時もそうでしたね』
その女性は未だ自身に対し背を向け、そこにいる筈のない何かに向かって話しかけ続ける上司へ対し怪訝な表情を浮かべる。
「主任、例の物の試験が完了しやがりましたの。主任?お〜い。マジで''ポンコツ''になりやがりましたか?」
『...。えぇ、部下が来たのでこれで失礼します......。
ヘルツォーゲンベルク博士。何度も申し上げておりますが時と場所を弁えた行動と言葉遣いを心がけてください。ここでは許されていますが、一度外へ出ればそうはいきませんので』
ノックもせず入室してきことを咎めるミーナであったが、彼女──────ヘルツォーゲンベルクは何処吹く風といった様子であった。
「なら、心配ねーですの。私はここを離れる気は毛頭ねーです」
『そういう問題では無いのですが...』
「そ・れ・よ・り、例の資料とサンプルを元に作った負荷軽減器が完成したから主任が確認しやがってください」
これ以上の議論は不毛であると判断したミーナは資料をまとめ始めた。
『...、分かりました。こちらの片付けを済ませるので3分ほどお待ちください』
────────────■
ルクス・シャンツェCブロック第3練地下2階にて──────
「お待ちしておりましたわ。主任...。と、ヘルツォーゲンベルク教授」
ヘルツォーゲンベルクに案内され部屋へと入室したが、その部屋には既に先客が居た。
「げっッ!!なんでコーカサスゼーニクダルマッドがここにいやがるんですの?!」
「相変わらず口うるさいお子様ですわね。そんなことでは主任に愛想をつかされるのも時間の問題ではなくて?」
見上げるような長身に真白な髪。黒鉄色の四肢と鼻先まで覆い隠すフェイスガードが特徴的な人物。
ヘルツォーゲンベルクは心底驚いた様子であったが、ミーナはその人物がいることに対し、大凡のアタリをつけていた。
『モーネ。先日貴女に預けた子どもたちをもうダメにしてしまったのですか?』
「いいえ、健康上は問題ありませんわ。ただ...、ほんの少し刺激が強かったみたいで...。既に何人かの受け答えが怪しくなってきたので新しいものをと...」
前髪をくるくるといじりながらそう答える彼女へ対し、それを聞いたミーナは痛む脳もないであろう額を抑えながら苦言を呈した。
『貴女の探究心には敬意を持っておりますが...。限りある命です、もう少し大切に扱ってください』
「はい...」
一応、しおらしい態度をみせる彼女──────モーネへ対し一先ずの追求を避けることとして負荷軽減器の結果について尋ねることとした。
『それで、''件のもの''はどうなりましたか?』
「エリックが担当していたので、もうそろそろ持ってくるものかと...」
時計の針は約束の時刻を既に5分は超えている。
『彼にも困ったものです。もう少し時間を遵守していただければ大変助かるのですが』
「アイツがマイペースなのは今に始まった事じゃねーですの。気にするだけ無駄ですの」
「そういえば主任。フォルメランテで何があったのかお聞きしてもよろしくて?」
何時もの経験則からして長引きそうな待ち時間を有効に活用するべく──────という名目で単に旅の土産話をせがむモーネに対し──────フォルメランテでの情報交換を行うこととした。
『施設自体は全て見て回ることはできなかったのですが、面白い方と出会いましたよ?』
「''人ならざる者''と遭遇でもしやがりましたか?」
「ヘルツォーゲンベルク博士も理解力が足りないのではなくて?フォルメランテに行ったのですもの。ある意味''人ならざる者''との遭遇は必至とも言えますわ。そんな簡単なことも分からないの?」
「いちいち、癪に障りやがるヤツですの...」
ヘルツォーゲンベルクとモーネが噛み付き合いを始めたのを後目にミーナは話を続ける。
『えぇ。''人ならざる者''と接触しましたよ。それも驚くことに基地内にてかの外務宰相『シナノ・リン・ジュスティーヌ』氏と接触しました』
「それは、たまたま外務宰相が視察に来ていてその護衛の''人ならざる者''と接触したということでして?」
「ダルマッドも大概理解力がねぇーですの。主任がいちいちその程度のことで驚くハズがありやがるわけねーです。おおよそ''外務宰相自身が''人ならざる者''だった''とかその辺がいいところです」
施設内でのおおよその出来事へ対しアタリをつけるヘルツォーゲンベルクへ対し、それを気にするわけでもなくミーナは口調を早めながら仮説を立て、施設での一件へ思いを馳せていく。
『えぇ。まさかあれほど目立つ場所に居たとは流石に想定の外でした。もっとも、アレが外務宰相本人なのかはたまた外務宰相になりすました''なにか''なのかについては定かではありませんが...。やはり情報を得るにはもっと深いところへ傀儡を潜り込ませる必要がありますね。それにしてもあの能力特性。アレ、実に興味深いですね。これまでに出会ってきたどの''人ならざる者''とも違う特性。ぜひ一度我々の元へ招待したいものです。一つ一つ検証を積み重ね事象を確かめていきたいものですね。やはり手始めに電力発振のメカニズムから調べるべきでしょうか?生物的な発電を行っているのであれば対応した細胞を持っているはずですが...。あぁ...、実に興味深い』
「また主任がトリップし始めましたの......」
「主任、エリックから連絡が入りましたわ」
『まぁ、時間通りといったところでしょうか』
「"アイツ基準では''...がつきやがります」
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「例のものの施術が完了しましたよ主任。うん...?ヘルツォーゲンベルク博士とモーネさんは機嫌が良さそうですね。なにか良いことがありましたか?」
パリッとしたベストと白衣を着こなし、人好きの良さそうな笑みを浮かべた茶髪の男性。エリック・アンダルソンは布が被せられた施術台を押しながら入室してきた。
「残念ながらハズレですわ。主にそこのお子ちゃまのせいで」
「そういうわけでやがりますの。癪に障るダルマッドですの」
「また、間違えちゃいましたか。やっぱり僕には難しいみたいですね。''この娘''も貴女達も同じ表情をしてるのに反応は大違いです」
そう言いつつ、優しく撫でている白布の向こうでは何かが時折ピクリと身動ぎしている。
『状態を見せて頂けますか?』
「どうぞ、こんな調子ですよ」
丁寧にめくり取られた白布。
施術台には円柱型のクッキー缶のような形状をした物体と、チューブで繋ぎ止められた少女が虚ろな目をして横たわっていた。
『同化率は?』
「現状35%といったところです。''ダミー''の方に誘引されているためか、能力行使の割合に対しては緩やかな上がり幅ですね」
エリックへ質問を投げかけながら、ミーナは壊れ物を扱うような手つきで触診を行っていく。
『...、脳の方はどうですか?』
頭まで進めたところで、手をピタリと止め状態を確認する。
「現状、観測することのできる範囲内ではという前提がつきますが''0%''です。もちろん、指示通り抑制剤を投与しない状態で指定時間能力を行使させ続けました」
『負荷軽減器が正常に作動している証ですね』
ほんのりと暖かい負荷軽減器を撫ですさりながら、ミーナはほっと息を吐く。
「意識混濁を起こしてるみてぇーですが、これについては問題ねーですの?」
横たわる少女の顔面を、餅でもこねるようにムニムニと弄んでいたヘルツォーゲンベルクの問いかけに対し、ミーナは顎に手を当てながら思案する。
『......。やはり神経系を繋ぎ合わせたことによる意識の流入が原因でしょうか?』
「エリックの観察レポートによると''頭が割れる''、''が入り込んでくる''などの発言を繰り返していたらしいですわ」
『脳に侵食は及んでいないことは確かです。このままの状態か、ここから回復するかは現状定かではありませんが、ひとまず経過を見守ることとしましょう』
諸々:
山猫砦メンバー
・ミーナさんと愉快な仲間たち()→端から端までもれなく狂人デス。マトモナノハボクダケカ!
・ツィリーナとおしゃべりするミーナさん→傍から見るとかなり異様な光景です。
・コーカサスゼーニクダルマッド→カフカース贅肉達磨マッドサイエンティスト()よくよく見なくとも酷いあだ名。
・シナノサンッ!!→何とかお友達になれないか模索中。
・少女→願いが叶って良かったね()
名前:ミーナ・フェアリュクト
種族:純人間種?
身長:188cm(戦闘用義体)
容姿:様々
所属:山猫砦
好きな物:ツィリーナ
嫌いなもの:無し
概要:おなじみミーナさん()
もはや説明不要の腐れ外道。システムの関係上、人類発展に貢献することが目的と思い込んでいるが、本質的には知識欲を満たすこととツィリーナを愛でることができれば他はどうでもいいタイプのイカレサイコその1。
名前:レオノーラ・フォン・ヘルツォーゲンベルク
種族:純人間種
身長:141cm
容姿:銀髪、暗灰色の瞳、合法ロリ
所属:山猫砦
好きな物:建設的な研究
嫌いなもの:頭のおかしいヤツ
概要:ユンカース出身の山猫砦に所属する研究員。他の研究者が次々とミーナさんの元を離れていく中でミーナさんの元に残り続けた酔狂な物好き達の一人であり、ミーナさんの(というよりプログラムが掲げる)『人々の為に』という理念に共感している。『それ』を実行するためには非人間的な完成された存在が必要であると考えているため人間性を徐々に失っていくミーナさんを眺めながらニマニマと笑っていた生粋のイカレサイコその2。
名前:モーネ
種族:純人間種
身長(義足込み):190cm
容姿:コーカサス系 むちむち 黒髪 銀灰色の目 火傷 梅毒による壊死 技肢獣脚義足
所属:山猫砦
好きな物:ミーナさん
嫌いなもの:ミーナさん
概要:コーカサス系地方有力者の家の妾の子として産まれた。屋敷の火事で重度の火傷と四肢欠損を負った結果、ニンゲンオ○ホとして売られてしまったところをミーナさんに拾われた(というよりその娼館がミーナさんのモルモット集積所だった)
薬物と精神的負担(ンアーッ!!)の日々の中に舞い降りた一筋の希望()次第にミーナさんへ対し陶酔していくモーネであったが、ある日娼館がミーナさんの手によるものであったと知り完全にぶっ壊れた()
あの辛い日々を作り出した元凶である娼館を経営していたミーナさんのことが憎いが、それを理由として離れるにはあまりに真実を知るのが遅すぎた。ミーナさんへ対し愛憎入り乱れる感情を抱く中、ふと『自身の中で渦巻く感情の正体を知りたい』と思ったモーネは『子供たちへ自身の経験を追体験』させそれを観察することによって、その感情の正体を解明できるのではないかと考えた...。イカレサイコその3。
名前:エリック・アンダルソン
種族:純人間種
身長:178cm
容姿:茶髪、茶目、線が細めの優男
所属:山猫砦
好きな物:黙々とした時間
嫌いなもの:すぐ怒る人
概要:中流階級出身の研究員。山猫砦の生き物係()先天的な疾患として、他人の感情表情が分からず、目に映る人間は全員笑っているように見える。本人は喜怒哀楽の見分け方を確立することを研究目標としており、そのために日々邁進している。ヤメテクレヨォ
相手が苦しんでいるのか喜んでいるのかよく分からんので、とりあえず嬉々として実験にかけるイカレサイコその4()
少女→ミーナさんの施設で生活していた子供たちのひとり。弟がいる。
・弟を守る力が欲しい。
・院長先生の役に立ちたい
というふたつの願いを汚いジーニーことミーナさんに放り込んだらこうなった()
ちなみに弟くんはお姉ちゃんの役に立ちたいと願ったそうな()カンドウテキデスネ
もしかしたら今後、詳細な設定が生えてくる...かもしれない。
・能力使用時の同化率向上を無効化、軽減する画期的なアイテムです()
鉄オルシリーズの阿頼耶識type-Eから着想を得たこのアイテムは、20センチ×8センチ程の円柱型の形をしたクッキー缶のような箱型の物体であり、中には生きた人間の脳が詰め込まれいます。仕組み自体は至って単純で、脳と体の間にダミーの脳を介することによって脳へ対する直接の侵食を避ける他、負荷軽減器側の脳へ侵食を分譲することによって同化率の向上を軽減する仕組みとなっています。
利点:
・脳への直接的な侵食を防ぐことが出来ます。ハッピーハッピーハッピー
欠点:
・親和性やダミーとして用いるといった観点から、現状負荷軽減器として用いることができるのは『肉親の脳』に限定されます。
・神経系、血管、あらゆるものを中継させ繋ぎ合わせているので負荷軽減器側の思考がなだれ込んできます()
・なにかこう、ひとのいのちをけいそつにうばいかねないといいますか。たぶんひとととしてやっちゃいけないことしてるとおもいます。
『やぁみなさん、こんにちは(気さくな挨拶)私はミーナ・フェアリュクト。先日そちらの基地へお邪魔させていただいた者です。今回は''例の取り決め''に則り、研究成果の共有を行うべくこのメッセージを送らせていただきました。別個包装のメモリの方にデータが保存されているのでそちらの方をご参照ください。怪しい物ではありませんよ?そうそう、こちらが今回の成果物です。ご覧になりますか?「いや...、やぁ......。離して...ッ」あまり暴れてはいけませんよ。貴女はまだ自分自身の膂力に肉体強度が追いついていないのですから...。あぁ、やはりこうなってしまいましたか。両掌を潰してしまいましたね。良いですか?肉体の再生を行うにもエーギルの力が行使されています。もし''彼''を生きながらえさせたいのであれば自傷はおすすめ致しません。わかってくださいましたか?貴女は本当にいい子ですね。
さて、少々話が逸れてしまいましたがご挨拶はこの辺りにしておきます。本来なら何か能力の行使でもお見せしたかったのですが当の本人がこのような状態でしてね。またの機会でお願いいたします。私達の協力関係、研究が実りあるものになることを祈っています』
一応、モルさんの投稿しているエーギルに関する設定は読んだつもりではありますが、''何か解釈違うな''と感じた点等がありましたら遠慮なく言ってください。
スバラシイ…、ありがとうございました~
アフリカ某所、高層建造物はなく低い家屋が広がっている。表通りこそ市場で賑わっているが、家屋の裏には迷路のような路地裏が形成され、知る人ぞ知る抜け道となっていた。
そんな路地裏を走り抜ける初老の男、何かに追われているように必死で走り続ける。
「はぁ…、はぁ…」
"追手"が見えなくなり、ふと家屋との間から表通りを覗く。行き交う人々の中で、迷彩柄に身を包み銃を持った者たちが右往左往している。あの肩の紋章…、明らかに帝国のものだ。
何故、彼らに追われているのか分からず必死に逃げていた。
「いたぞ!」
「…!?くそっ」
老人を見た兵士たちは咄嗟に駆け出し、老人も必死に逃げた。
ー、ただ年齢的にも肉体的にも老人は限界で、息を切らしながら逃げることしかできなかった。
死にそうになりながら裏路地を駆け抜け、途中のT字路を曲がったとき。
────目の前にあったのは壁であった。
「ピッ…、"追いついた"…ッー」
後ろから聞こえてきた声、…女の機械音声の主の方へ振り返った。杖をつき、頭に何かVRゴーグルのような機械をつけた女性と、老人を追いかけていた兵士たちの姿が目に入り腰を抜かして壁の方向へゆっくりと後ずさりする。
「な、何なんだ君たちは…!?…私に何か用か!?」
「ピッ…、"名前は"…ッー」
彼女は突然、そんな質問を口にした。困惑する老人は少し間を置いて質問へ答える。もう逃げる気力も、体力もなかった。
「…ザハール・ドナートヴィチ・シゾフだ」
「ピッ…、"ザハール、NGO団体に所属し第二次連邦内戦期に各国の医師と共に現地入りした。…間違いないか"…ッー」
「あぁ…、間違いないが…、何故それを…?」
「ピッ…、"そうか"」
女性の機械音声は、急に声色を変えた。
「ピッ…、"帝国では君は死んだことになっている。第二次連邦内戦中に旧連邦残党軍の空爆で、何故ここにいる"…ッー」
後ろの兵士たちが一斉に銃を構え、銃口は明らかに老人を狙っていた。老人は一気に青ざめ、咄嗟に声を出す。
「お、おい!?やめ」
命乞いもままならず、数多の銃弾が老人の体を蜂の巣にした。血しぶきが壁に広がり、息絶えた老人はその場に倒れ込んだ。
「ピッ…"回収は私がやる、他は持ち場に戻れ"…ッー」
「しかし…、これは第14特務連隊、M168の合同作戦で主体は我々です」
「ピッ…"こういうものの扱い方は私が一番わかっているのでは?それに、貴方方はまだ再編されて間もない"…ッー」
「…それはそうですが…、」
少しばかりの沈黙の後、最小限の人員を残して他は散開していった。そんなことにも目をくれず、彼女はずっと老人の死体の方を向いている。まるで目が見えているかのように。
「ピッ…"生きているだろ、お前"…ッー」
彼女の声は裏路地にこだまする。
ー、
彼女は死体の方へ、片手で死体を掴み上げる。
「…」
「ピッ…"死体のまねは見飽きたんだが"…ッー」
「ばれてた、か」
死体の首は急に彼女の方を向き、掠れた、人とは思えない声を発する。周辺に飛び散った血が、肉片が死体に向かって逆再生されたように集まる。銃弾による穴をふさぎ、うつろだった目は確かに彼女を鋭い眼差しで見つめている。
そんな異常な光景にも彼女は動揺することなかったが、死体に対して機械音声ながら嫌悪感を隠さない。
「ピッ…"化け物が人間の真似をするな、お前はザハールじゃない"…ッー」
「化け物、か、君もでは。リューディア。いや、アデリーナか」
「…」
「…私の、所属して、た、医療団、ザハールという人間、いた。彼、ここのあたりで、尊敬されていた、人物だった、らしい。死んだと聞いて、ここの人、とても悲しんだ、そうだ。」
"死体だったもの"はリューディアの手から離れ独りでに動き始める。始めは人の動きではなかったが段々と人として動き始める。先ほどよりも口調は流暢になり、声も元の老人と同じになる。
「人を理解するために、私は考えた。その人々は"ザハール"が生きていることを望んでいる。なら私が"ザハール"になればその人々は喜ぶはずだ。だから"ザハール"を食って私が"ザハール"になった。違うか」
「…、ピッ…"それが正しいと思うならお前は人間になれない"…ッー」
「…人間というものはわからないな」
リューディア達のいる裏路地を更に黒い影が覆う。上を見上げると、1機の黒く塗装されたヘリがエンジン音を響かせながら上空でホバリングしていた。上からロープが垂らされ、数人が降下してくる。全員が銃で武装し、降下してすぐリューディアと彼に銃を向ける。あきれた様子を見せながら両手を挙げた。
「M168、撤退命令が出ている。直ちに目標を回収して撤退しろ。最優先命令だ」
「…やはり、人間というものはわからないな。同族同士で争って、同じ国家に属するのにこの様子か」
隊長らしき男がリューディアへそう告げ、彼女は無言で頷いた。一通り部隊を回収したヘリは現地を後にした。
・リューディア
リューディア・ヨハンナ・カウハネン。偽名として「アデリーナ・エラストヴナ・ヴラジーミロヴァ」という名前もある。
・"ザハール"
人に化けたカッル。
久々の登場。・M168
第168臨時特務予備連隊。リューディアが単独で所属している。
・第14特務連隊
台湾でのルェン襲撃時に壊滅し、ベアトリスにより再編されたErbsündeⅡ。
…おーいアフリカ支局員!(時既遅)
(天井の角から広角で店内を映しており、一つのテーブル席に男女が対面で座っているのが見える)
女性:肩は大丈夫?
男性:鎮痛を飲めば普通に動けるよ。たまに痛むけどね。
女性:あのね、話があるの。あなたの軍での経験が、心の傷になってるんじゃないかって。
男性:大丈夫だって、俺は何の問題もない。たまに酒を飲むけどコントロールできてる。
女性:でも、時々あなたは遠くを見てる。私が目の前にいても、どこか上の空。
男性:そりゃあ、あんなの忘れるこたぁできないさ。
女性:だからね、退役軍人のメンタルヘルスをやってるところに…
男性:だからいいんだって、俺は問題ないんだ。
女性:いいえ、あなたはすぐに
(男性がテーブルを叩き立ち上がる)
男性:大丈夫だって言ってるだろうが!クソッタレ、どいつもこいつも俺をおかしいと言いやがる!何だってんだ!
女性:落ち着いてよジョシュ、私はあなたの為に
男性:それが邪魔なんだ!俺は砂漠で人を殺して知らん顔で帰ってきて、ここで悠長に飯を食ってる。それだけだ!何も変わりはしない。何も変わらないんだよ!
男性:俺はただイラクに行って、帰ってきたんだ。何が…何が違うんだ。たった1年で皆んな俺を変な目で見やがって!
(店内の客が静かになり、男性に注目している)
男性:あぁ、くそ。そうかよ、お前らのために死にかけても、迷惑なのかよ。畜生。
女性:ジョシュ、待って!
(男性は足早に退店する)
こんなの書いてる場合じゃないのに…()
面白かったですよ
コト……
『差し入れだ』
いつものようにキーボードをたたく手の横に、一杯のコップが置かれる。中を見るといれたてのコーヒーが注がれていた。
『お前は甘党だったよな?ブラックじゃないから安心しろ』
一人の男が非番姿で語り掛ける。多分、ついさっきに事案を受けてきたばっかだろう。
「ありがとう」
『些細なことだ』
コーヒーを一口いただいてから、仕事に戻る。モニターには南米にいる機動部隊の写真や、イラクで人道支援を行っている機動部隊の写真が映っていた。
「……前線に戻りてぇ」
『寝言は寝てから言え。お前が前線に行くと、最悪世界大戦が起こるぞ』
「それは言いすぎじゃない?」
『言い過ぎない。お前は一歩間違えれば他国の機関に消されるかもしれない人物だ。財団は中立組織だからまだいいけど、これで普通の生活をしていたら今頃死んでいるぞ』
「……それもそうか」
『そして今認められている復帰条件が』
「‘‘相手が人外‘‘の時のみ……」
『そうだ』
しばらくの間、沈黙が流れる。
『悪かったな。仕事の邪魔して。俺はここでお暇させていただくよ』
「うん……」
「……もう一度……スナイパーとして動きたいな」
僕は
傭兵編集者、今日も銃をキーボードを撃って打っている。ライラ・ニーニコスキは、窓から外の景色を眺めていた。
一定の間隔でチェコ空軍機が飛来し、山の麓めがけて爆弾を落っことしていく。
着弾のたびに地面が吹っ飛び、木々が燃え上がり、土煙が上がる。
「…まさか、一日中爆撃するつもりですか?」
ライラが振り返って、後ろに立っていたテオドル・リネクに質問する。
「なに、どうせ敵の主力を叩くついでさ。元は取れるよ」
「ハンネス大佐もこんな強攻策を取るんですね… お、ようやく音が聞こえた」
会話をさえぎるように、爆発音が遅れて響いてくる。
(多分、あの下は酷いことになってるだろうな)
この音を聞いて、ライラ・ニーニコスキはそう思った。
「こちら本部より第347大隊本部へ! 状況報告はどうなってるんだ!?」
「こちら大隊本部、昨日の夜から敵機がずっとこっちに爆弾をぶち込んでる!
…ああクソ、敵機来襲! 総員迎撃態勢を」
そこまで言って、マイクを通して爆発音が聞こえ―
無線が急に途切れた。
「こちら本部、どうした!? 応答しろ! 繰り返す、応答しろ!」
大声で無線機に向かって叫んでいる指揮官を横目に、刘梓萱は冷たい視線を向けながら言い放った。
「爆撃されて消し飛んだっぽいな。
全く、あんなハエ一つ叩き落せないってどうなってんの?」
「おい、刘! いくらお前が強いからって、そんなことを言うな!」
刘梓萱…「南昌の暗殺者」。
この地域における反撃の要として、上層部が送ってきた凄腕の狙撃手だ。
…だが、戦線は全く動かずむしろこちらが押し込まれている。
そもそもの話、戦車エースやエースパイロットなどならまだしも
こんな狙撃手一人で戦況が好転するわけがない。
無線機を握りしめながら、この不運な指揮官…
李 梓睿(リ ジルイ)はそんなことを考えていた。
「…降伏も選択肢の一つに入れるべきかもしれんな」
無意識に独り言をつぶやく。
だが、トラスト最強の兵士の一人とまで言われた彼女が
その言葉を聞き逃さないわけがなかった。
「たかがチェコ軍程度に、こんなことで引き下がるって言うのか?
全く、どうしてこんな臆病物が指揮官になれたんだ」
「留まるのは無理だ!
もはや、我々には補給も弾薬もない!
しかもそのうえ、対空火力は全くと言っていいほど無い!
これじゃ死を待つようなものだ!
…それとも、お前が敵機を全部撃墜してくれるのか!?」
思わず条件反射的に言い返す。
「ああ、できるよ。 今から撃ち落としに行ってくるか?」
(畜生… どうして上は、
こんな狙撃がうまいだけのガキを寄こして来たんだ!?)
とにかくここで引き下がっては、自分のプライドに関わる。
考えなしにそのまましゃべり続けた。
「ああ、撃ち落としてこい。
…命令だ、刘梓萱少将。
後方に行って撤退する見方を支援してくるんだ」
「分かったならいいさ。行ってくる」
そう言って、彼女は司令部から出ていった。
彼女が見えなくなったぐらいのところで、
指揮官は自分の部下を呼びつける。
「どうしました、李隊長?」
「生き残ってる部隊全員に伝えろ。
「総撤退の準備をしておけ」とな…」
2時間後、刘梓萱は最前線の野戦指揮基地に回されていた。
もっとも、基地と言っても連日の空爆で
ほんの少しのテントと通信アンテナぐらいしかなかったが。
雲った空を、チェコ軍の攻撃機が我が物顔で堂々と飛行していく。
「畜生、銃弾さえあれば…」
刘梓萱は、ライフルを持ちながら空を見上げていた。
少なくとも、敵機に対する攻撃はうまくいった…
たったの2回だけ。敵機は今までで5回来たが、
3機目に銃弾を叩きこんでそこで弾薬が切れた。
今は仕方がなく狙撃銃を捨て、代わりに死んだ味方から借りた
チェコ製のマークスマン・ライフルを持っている。
味方も対空機銃すら無く、そのせいで昼夜ぶっ続けで爆撃を食らっている有様だ。
そして現在進行形で、彼女の頭上にはありとあらゆる爆弾が降り注いでくる。
しかも、狐を巣穴から追い出すように包囲網の奥から手前に向かってゆっくりと。
「畜生、畜生、畜生…」
イラついているところに、再びチェコ軍の航空機が飛んでくる。
「…死にやがれ、この野郎が!」
そう叫びながら、空に向かって銃を乱射する。
何発かの銃弾は敵機へと向かっていったが、1発も届かなかった。
遠くから爆発音が聞こえてくる。
上空を呑気に飛んでいるパイロットは、
いったいどんな馬鹿らしいことを考えながら任務をしているんだろうか?
この音を聞いて、刘梓萱はそう思った。
「気をつけ! 」
ハンネス大佐が
その言葉を言い終わるか終わらないかするうちに、
周辺にいた部隊から引き抜かれてきた精鋭兵たちが
一斉に立ち上がった。
「いいか… 今から、君たちに重要な任務を伝える。」
その言葉を聞いて、辺りがざわめいた。
「今回の任務内容は、刘梓萱、通称「南寧の暗殺者」の殺害…
と言ってもあくまでその支援だ。すぐに終わる。」
さらに辺りがざわめく。
「…もう一回言うが、あくまでその支援だ。
ひょっとしたら、すぐに終わる可能性すらある」
そう言って、ハンネス大佐は壁に移っているスクリーンを操作するための
リモコンのボタンを押した。画面が切り替わる。
画面には、簡易な野戦基地の空撮写真と
刘梓萱の不鮮明な写真が映っている。
恐らく、無人偵察機が撮影した物だろう。
「今回の作戦の詳細だが、二個分隊による単純な夜間襲撃だ。
なお、開始数分前に攻撃機が焼夷爆弾とロケット弾による事前攻撃を行う。」
それと… 弾倉に入ってる弾は、全て曳光弾だ。
焼夷効果と見た目で圧倒できる。分かったか?」
「了解!」
全員が同じタイミングで回答する。
「作戦開始は明日の午後10時半だ!
それまで各自準備を行っておけ!」
そう言い終わると、ハンネス大佐はドアを開けて部屋から出ていく。
それに続くように、兵士たちも各自バラバラに部屋から出ていった。
暗闇の中で、真っ黒な迷彩を施した装備を着けた
チェコ軍の2個分隊が地面に伏せている。
全員が暗視ゴーグルが付いたヘルメットを被り、
レーザーサイト・サイレンサーが取り付けられた銃を握っている。
…そして、誰も微動だにしていなかった。
「作戦開始まであと10秒です」
「そうか」
「あと5秒」
「4秒」
「3」
「2」
「1…」
ちょうど言い終わったタイミングで、
ジェット機の轟音が聞こえてきた。
爆弾が落ちていく音とロケット弾が飛んでいく音が聞こえ…
直後、その全ての音が爆発音でかき消される。
「始まったぞ! 行け!」
それを見て、強襲チームが一斉に移動を開始した。
[記録開始]
:こんにちは、___担当官。
:えぇ、こんにちは。そちらの方は?
:私は---。GIBのヨーロッパ支局長をやらせてもらっているよ。
:え、ヨーロッパ支局長ですか?これはまた、一体どのようなご用件で…?
:なぁに、大した話じゃないさ。あといかにも『この人性格悪いって聞いてんだよな…』という顔はやめたまえ。
:すみません。友人に南米支局のエージェントがいまして。彼女から。
:いい性格してるね。
:お互い様でしょう。
:…えぇと、アイスブレイクが済んだところで、臨時担当官報告兼連絡会議を始めさせて頂きます。まずは私から。
:先日、帝国に滞在している監視員から報告がありました。どうやら__の路地裏にあった戦闘痕についてでして。写真と報告ファイルを送ります。
:わーお、これは…『タイプ・ブラック』というやつでしょうか?
:のようだな。アスファルトやコンクリートの壁に焼け跡がついているというのは…間違いないね。彼女だ。
:…すみません。私の立場ですと、どうもクリアランスの関係で人物に疎く…。
:あぁ、特設で君に権限を与えておいた。後で確認しておきたまえ。
:支局長がお察しの通り、我々はこれが確認されているタイプ・ブラックの1人、「ルェン」によるものだと確信を持っています。
:わざわざ彼女と交戦するような奴がいるのかね?
:話についていけませんね。尚更なぜこの場に呼ばれたんですか私。
:それに関しては後ほどお話し致しますので、今は話を聞いていてください。
:なるほどつまり黙れってことですね了解です…
:やはり面白いな君。してして、気になることがいくつかあるが、説明してくれるね?担当官。
:はい。現時点でほぼ確定した情報についてお話しします。
ここだけ見るとルェンさんただの放火魔なんですよね()
帝都から少し離れた都市グラナダの一角、風情ある中世の建築物の中に庭園に囲まれたガラス張りの建築物が見える。昔なら貴族がこのようなものを作って権威を庶民に知らしめていたのだろうが、ここまでの規模は今は珍しいだろう。
庭園に入り、中央の建物への道を一直線に進む。
建築物の前には特徴的なヘルメットをかぶった軍服の者たちが警備している。
顔パスのようなもので、男の顔を見ると衛兵の彼らは敬礼して道を開ける。ガラス張りの建築物を目の前にすれば、その大きさに関心せざる負えないだろう。
扉をノックし名前を名乗る。
「ツェーザル・ヘスラーです。皇帝陛下…、」
それを確認したか、中から女性の声が聞こえてきた。
扉を開くと、中にも庭園が広がっていた。外よりは小規模だが可憐な印象を受ける。室内庭園の中心には、庭師と一緒になって花を手入れする女性の姿がある。彼女はこちらに向いてとかすかに笑顔を浮かべて話しかける。
「へスラー、さん?長官?どうされましたか?」
「皇帝陛下、お元気そうで何よりです。親衛隊の警備は問題ないかと巡回に参った次第です。特に不振に思うことはありませんでしょうか?」
「えぇ、皆さん頑張っていらっしゃいますよ。おかげで安心して職務や趣味に励むことができています。いつもありがとうございます」
「いえ、我々の職務は皇帝陛下をあらゆる脅威からお守りすることにございます故」
へスラーは片膝をついて頭を下げる。
数年前にここに訪れたこともあったが、その時は先代ディートリヒ帝の統治時であり先帝はここに出入りするところは見たことがなかった。サビーネ帝の即位後、先帝とヴァイオレットの遺産を継承しこのヴェステルマルク王立植物園もサビーネ帝の資産となった。以降サビーネ帝は職務の合間を縫ってここに通い、親衛隊も駐留地点として設定するようになった。ちらっと部屋を見回してみると、端の方には非常に精巧な植物の模型、それも透明で建築物の中に差し込んだ光を反射し取り込みつつ少し輝いているように見える。
「あの植物模型は…、陛下の私物にございますか?」
「あぁ、いえ、叔父様の遺産を引き継いだ際に倉庫にあったもので埃をかぶらせておくのもあれだったので…、おそらく先々代…、いやウルリッヒ様の時代のものでしょうか、聞いただけの話ですがガラスでできているそうです」
「ほぉ…、ガラスで…いずれじっくりと見てみたいものですが…。私もそろそろ他の巡回にでなくてはなりません、失礼したします」
「いえ、また来てくださいね」
サビーネはにこやかに笑いながら上品に手を振りながらへスラーが出て行くのを見送った。
室内庭園を出ると、扉の両端に立つ衛兵の他に一人増えていることに気づく。彼はここの衛兵隊長だ。へスラーが見えると彼は他の衛兵と合わせて敬礼する。
「へスラー長官、お待ちしておりました。我々は万全の体制で警備をおこなっております。問題は発生しておりません」
「宜しい。いずれも問題のないように。それと衛兵隊長。近々領内で暴動が起きる可能性があると諜報部から伝達がありました。暗号通信にて連絡されていると思いますが、事は重大です。警備を厳重に。何人たりとも皇帝陛下に触れさせないように。たとえ大宰相であっても」
「はい、我々の忠誠は皇帝陛下のみにあります。親衛隊の名に懸けて皇帝陛下をお守りします」
銃口を空へ向け、彼らは宣言する。
「Der Segen des zweiköpfigen Adlers sei uns!」
ツェーザル・アードリアン・ヘスラー
帝国親衛隊の長官(親衛隊のトップ)。
サビーネ
サビーネ・パトリツィア・ルートヴィッヒ・フォン・アステシア。モルトラヴィス帝国アステシア朝2代目皇帝。
ガラス模型
ほんとにただの余談の植物の模型。イメージはブラシュカ模型。
ついに始まりましたか…同盟国としてはどちら側につけばよいか…()
ベン監視担当官:突然の回線接続すまんな。緊急報告がある。
ホウェットストーン連絡員:構いません、その為の私ですから。それで、何でしょうか?
ベン監視担当官:現在帝国の首都にあるホテルに滞在中。位置情報は共有済みだから確認してくれ。えぇと、それで…
ホウェットストーン連絡員:今報告が入りました。クーデターですね。どうやら親衛隊や軍の一部が離反しているようです。
ベン監視担当官:嘘だろ、まじかよ。あー、そうだな。今窓の外にMBTが見える。所属はわからない。軍なのか親衛隊なのかもな。
ホウェットストーン連絡員:報道によると第155親衛戦車旅団や陸軍第1師団が帝都に展開しています。外にはあまり出ない方が良いかと。
ベン監視担当官:オーケー。まぁ、何にせよ軍事組織が皇帝の女の子大事に蜂起しただけじゃあないんだろうな。いや、俺は何も知らんが。
ホウェットストーン連絡員:そうですね、現在帝国に置いているあらゆるアセットが動いています。無論貴方もその一つです。決して気取られることないようにして下さい。
ベン監視担当官:それが仕事なんだろ。リバティニアと台湾、トラストにいたんだ。こんな所環境良すぎて甘えちまうよ。
ホウェットストーン連絡員:期待していますね。ヨーロッパ支局からそのうち連絡が行きます。それまでごゆっくり。
ベン監視担当官:精々銃の整備でもしておくさ。
《秩序を保って航行して下さい!》
財団機動部隊所属のキャーリー級ミサイルフリゲート「タクトール」から大きな声が聞こえてくる。
「ったく……われ先に進もうとすんなよ……」
『まぁ、急ぎたいのは分からなくもないがな』
「引き続き監視体制に入るか」
製造から早一年がたとうとしているタクトールはのそのそと海上を航行していた。そして彼らがいるのはカリブ海から少し南に下ったところ。迂回を余儀なくされたタンカーやクルーザーが列になって南下していっている。
「しかし、よくこんなにも出そうと思ったなぁ。急ピッチで仕上げたポセイドンと三番艦の「ワイスウェル」を出すとはね」
『本国の領海の警備はコルベット数隻とフリゲート一隻だけで足りるからな。思った以上に領海が狭くてよかったよ』
「だな」
引き続き監視を続けながら、彼らは船に揺られていく
ここから溢れ出た船がうちの海域にどんどん流れ込んでるわけですね()
そのあふれるお船を一緒に管理しますよ()
物理的に減らせば混雑も解消するのでは…?狂犬草
今んとこ非交戦国のうちが一番苦労してますね(
やっぱ沈めるか…)佐藤海兵「おい山田聞いたか?赤城の奴ら飛行甲板にサッカーのコート作って遊んでるらしいぞ」
山田海兵「空母はでっかい甲板があるからな、羨ましいぜ…」
佐藤海兵「俺たち駆逐艦乗りはヘリ甲板でプール作るかバスケがあるじゃないか」
坂本副艦長「君達はプールでは不満かな?」
山田&佐藤海兵「副艦長!とんでも無いです」
山田海兵「でももう少しスリルのあることがしたい気持ちはあります」
坂本副艦長「そうか…艦長と相談してみよう」
その後山田海兵は足に錘を付けられ海に向かって艦長にドロップキックされた(救出されました)
八洲帝国海軍は暇です仕事をくださいエリザベス「帝国への訪問の件、とても良いアイディアだったわ」
シャーロット『サビーネ帝は17歳で帝国皇帝に即位した。19歳の時に即位したあなたよりも早い。色々と学べる事があったでしょう?』
「だけど…、内閣は陛下の来訪を見送ったらしい」
『仕方ないわ、…情勢を考えたら当然と言える』
……
『どうしたの?』
「…帝国軍が核を撃ったら?」
「内閣が外交を誤ったら?」
「新冷戦が終わったからといって核戦争の危険性が無くなったわけじゃないのよ?」
「…正しいとは思えない。君主として、…何もしないのは」
『それこそが正しい道よ』
「どうして?何もしてないのは君主としての仕事をしてないのと同じでしょう?」
『何もしないことほど難しい仕事はない』
『全力で臨まないと出来ないことなのよ』
『本来中立というのは人として不自然なこと』
『政治家や貴族たちはあなたに笑顔の同意または難色の表情を望む、けどそれをしてしまったらあなたは君主として意見を表明したこととなる。そうする権利はこの国の君主には与えられていない』
『…何もしないことよ』
『何も言わず、同意せず、笑わず……』
「感じず、息もせず、存在もせずー」
『えぇ、それが一番』
『何よりも今回の帝国がその大切さを証明している』
「……君主としてはわかるけど」
「私個人はどうなるの?」
・エリザベス2世
なりたてほかほかの連合王国女王。
・シャーロット・オブ・テック
国王であったアーサー1世の王妃、つまりエリザベス2世のおばあちゃん。
ブラボー3-1:こちらブラボー3-1、POP-UP、BRA3-4-0、20 、エンジェル20、ホット。
ブラボー3-2:2、コンタクト。
ブラボー3-1:フライトリード、レイガン3-4-0、20、20000。
ブラボー3-2:あー、2、FADED。CLARA、繰り返す、CLARA。
ブラボー3-1:1了解。レイゼロプロトコルに基づき警告無線を実行。こちら北米空軍所属F2000戦闘機、コールサインブラボー3。貴機は北米独立国家連合の領空を侵犯している。直ちに進行方位を変え、離脱せよ。
リッター1-1(AWACS):こちらAWACSリッター1-1、ピクチャークリア。目標を報告せよ。
ブラボー3-1:ブラボー3-1からリッター1-1、領空侵犯機をインターセプト。BRA3-4-0、20マイル、エンジェル20。機数2、アルファグループ。
リッター1-1:リッター1-1、あぁ、ええとだな、ネガティブコンタクト。貴機の反応をロストした。状況を報告せよ。
ブラボー3-1:ブラボー3-1、ブルズアイ1-8-7/24。
リッター1-1:(2分の沈黙)…あぁ、ダメだ。ネガティブコンタクト。
ブラボー3-1:えぇ…何かおかしいな。ブラボー3-2、MONITORアルファグループ。
(ブラボー3-2は返答を行わない。この時3-2は3-1の5時方向5マイルで待機していた。)
ブラボー3-1:3-2、状況を報告せよ。
(3-1が2度同じ無線をかける。)
ブラボー3-1:3-2、おいレス!聞こえてんのか!あぁクソ。リッター1-1、レスが、ブラボー3-2は応答しない。そっちはそうだ?
(リッター1-1はこの時点で状態に変化はなく、ブラボー3-1からの報告を待っていた。しかしリッター1-1の無線記録にはブラボ−3隊からの無線が記録されていなかった。)
ブラボー3-1:あぁ、レーダースパイクF2000。6時方向?おいレス!こちらブラボー3-1、バディスパイク!何やってんだ。
(RWRの警告音とミサイル警告)
ブラボー3-1:あぁ!?クソが、ブレイク!CTMが出ねぇどうして
[記録終了]
国防会議室、、、1944年に作られて以来、冷戦という銃声なき戦争の中で合衆国の戦略中枢として国の未来を決定してきた重要施設。冷戦終結後の安堵で満ちていた室内が今は、、、、
大統領 君たちに集まってもらったのはほかでもない、、さっき記者会見で言ってたことだ、、あれはなんだっ!!
大統領の怒号が室内に満ちる、国民から海外贔屓、腰抜けと罵られた大統領が、これまでにない剣幕を見せた。
煮え切った釜に蓋をするように、冷静な声が大統領に向けられる。
国防長官 武装蜂起したのは北部方面軍、第五師団隷下の部隊だということが分かっています。既にリヨン郊外で戦闘が発 生、リヨンに駐屯している第二戦車中隊がこれとや無負えず交戦中とのことです。空軍も、多数のF36が飛行場に待機しているのが確認されています。
大統領 信じたくはないが、、、受け入れるほかあるまい、、、陛下は何と?
王立政府である以上、女王陛下の声は聞かなくてはならない、、それが国家が成立してからのこの国の習わしなのだ、、
質問に対し、王室管理官が答える。
管理官 陛下は、、(民に、そして何よりこの国の歴史に刃を向けたことの重さを、命を代価に教えなさい、彼らはもうこの国の防人ではありません)、、と
大統領 わかった、、、外務省は他国が干渉しないよう、しっかりとストップをかけてくれ。
室内はどろどろとした、呼吸も止まりそうな空気に包まれていた。
外務大臣 了解しました。直ちに。 外務大臣が足早に部屋を出る。
大統領 関係各省庁は王室の指揮下にて持てる裁量権にて国内事態の精査、安定に努めること。
各省庁の重鎮がそれぞれに頷き業務にかかりに行く。
大統領 さて、、国防長官、これからどうする?
国防長官 残念ながらわが国には、この事態に対し外敵からの攻撃と認定できる法律が存在しません。現在は現場判断で反撃していますが、長くはもたないでしょう。
内務大臣 合衆国憲法第九条では、武器使用の裁量は国外勢力が侵略の意思を持って我が国の同盟国、並びに我が国に審判行為を行った場合、火器使用が許可されるとありますが、、、これを外的と読んでいいものか、、
国防長官 現状は超法規的措置として、緊急事態宣言の発布と防衛出動を下すほか選択の余地がありません。大統領、わが軍は相手が何であろうと、やれと言われれば戦場が首都の真ん中だろうと徹底的にやります。決断を、、
各省庁の役人が視線を集める。
国防副長官 既に防衛、反撃プランは立案済みです。あとは命令のみです。大統領
わかった、、、、。
大統領の口からm小さく決意の声が漏れた
大統領 只今より合衆国全軍の火器の無制限使用を許可します。記者会見を開く、国防長官、一緒に来てくれ。同時に緊急事態宣言を発布する。
「…このクーデター、そこまでする必要はあったのでしょうか…」
曇り空の下、薄暗い部屋の中でつけられたテレビを眺めながら、この国を治める帝はつぶやいた。
《ー、サラゴサにて発生した軍による発砲事件を受けて臨時政府のシナノ大宰相は緊急会見を開きーー》
どのチャンネルも、国内の状況を報じている。バラエティー番組もやっているがその画面の隅では、随時情報がスライドで流れてきて嫌でも目に入る。数日前までは書類に目を通し、各地を訪問し、忙しくも毎日にやりがいがあった。
長官はクーデターを必要なことだと言っていたが、本当にそうだったのだろうか。血を流させまいと、国民へ呼びかけたがそれも叶わなかった。
『陛下、もう休まれては…?』
親衛隊の将校の人が心配そうにサビーネに話しかける。もう日付が変わりそうだ。体は疲労を訴えるが、どうしても寝る気にはなれなかった。
「国民が傷ついているのに…、同じ国の人同士で血を流しあっているのに…、私にできることは…。もっと被害を少なくする方法は…」
『…、』
将校は気まずそうにその場に佇んだままその光景を眺めることしかできなかった。そんな空気の中、口を開いたのは…
「陛下、陛下のお言葉で救われた者も多くおります。私もその一人です。陛下がお言葉を述べられるだけでも変わるものはあるのです」
「シナノさん…、ですが…」
「このクーデターは確かに間違った選択だったかもしれません。犠牲も出ました。もっと良い方法があったのかもしれません。ですが、私が経験した内戦と比較すればこちらの方が何百倍もマシだと思います。内戦で私は家族も、友人もすべて失いました。この選択が一番犠牲がでない方法であると、私は考えています」
「…」
「陛下の願いに添えるよう、私は全身全霊を尽くす限りです。ここは我々にお任せください」
女帝は納得したようには見えないが、頷いて部屋を後にした。慌てて将校の一人がサビーネに続いて部屋を出ていく。
少ししてから、将校の一人が悔やむように口を開いた。
『陛下は思い悩んでおられるようです…、立場上致し方ないかもしれませんが…』
「陛下は若くして皇帝になられましたから、こうした経験もあまりありません。軍と政治家に任せる他ありませんからね。陛下にとっては衝撃的な事件でしょうが…、犠牲を少なくするためには仕方ありません。陛下にあの地獄のような内戦を経験させるわけにはいきませんから。持てる力すべてで尽力したしましょう」
ペンザンスは緊張に包まれていた。イベリアの火を境にでしゃばりなナショナル・アクションが行動を起こし、白人至上主義を唄う男たちがデモを行っている。それでも多くの群衆はこの後現れる1人の男の歴史的な就任演説を待ち望んでいた。彼らの中には2度の台湾事変に従軍しその筋肉質な体に痛々しい銃槍を残して戦ってきた英雄やホワイト・パワーという言葉を自らの信条としスキンヘッドにサングラスを掛けを自らが白人に生まれてたことを何よりも誇りに思っている者もいる。しかしそれも1人の男の登場によりコーンウォール議会の静寂は一瞬にして熱狂へと変貌した。男は群衆の拍手を浴びコツコツとリズミカルな音を立てながら壇上に上がる。マイクが男の深い深呼吸の音を拾うと群衆の間で一気に緊張感が増した。
ついに始まる。
「今日、私はアングロ・サクソン人の一人として、この街に住む市民の一人として、これより親愛なる市民の皆様に宣誓をします」
「国民党の発祥地、偉大なるアングロ・サクソンが住むこの土地から、我々は本日自由のドラムを鳴らすのです。歴史を通じて、我々の祖先が代々、幾度となく行ってきたように自治の要求に応えようではありませんか」
彼らは勝利を求めていた、
「愛情あふれる白人の血が私たちには流れています。地方の自治を脅かす連合王国政府の介入に対し答えを送ろうではありませんか」
有色人種に対しての絶対的な勝利を。
「この地を踏んだ偉大なる人々の名において私ははっきりと態度を表明したい。彼らの暴政には紳士らしく決闘を申し込もうではありませんか」
いつか国中を揺るがすだろう。
「かつて先人たちも私と同様に宣言したことでしょう。私はコーンウォール総督として今、ここにこれを宣言します……」
「今こそ人種隔離を、明日も人種隔離を、永遠に人種隔離を!」
・ジョージ・C・ウォリック
国民党分権派の白人至上主義者、徹底的な人種隔離政策を公約に掲げトラスト内戦による反アジア思想の広がりをもとに白人の多かった故郷コーンウォールの総督就任。
モデルはジョージ・ウォレスくん
・スキンヘッド
ネオナチのこと。
・ナショナル・アクション
英国ファシズムの擁護者であるレイフ・ハリソンが党首を務めるファシスト政党。一応実在する。
兵士:ふぅ疲れた
兵士2:こんな時は酒が一番やぁ
兵士:やめてくださいよ先輩 兵士2:ごめんごめんw 兵士:それにしても疲れましたねえ
一方そのころ司令部では…
幹部:我が国の領海に入ってきている不審船がいるといった趣旨の連絡が今来ました 幹部2:まったく…近くにいる船舶に離れるように連絡しとけ 幹部:今演習などで近くにいる軍艦はいるか? 幹部3:アドミラル級1番艦アドミラルゴルシコフがいます 幹部:その間に連絡を取れ 幹部2:分かりました 幹部3:(あの艦は最近できたばかりで兵士たちも若い…この海軍で初の海上警備行動が発令されたら…今は考えないでおこう)
そして戻って…
兵士:不審船対応ですって 兵士2:初の不審船対応だが大丈夫か? 兵士:先輩…実は… 兵士2:どうした? 兵士:自分、対応調査班に入れられているんです… 兵士2:まじか…いや、でも海上警備行動が発令されなければ大丈夫だから、心配すんなって。 兵士:有難うございます
そのころ司令部では…
幹部:どうしますか?海上警備行動を発令させますか? 幹部2:俺は賛成だ、不審船が攻撃してきたらそれこそやばいじゃないか!先に沈めるなり、鎮圧するなりした方がいいと思うが。 幹部3:俺は反対だ。アドミラルゴルシコフは若い兵士がいっぱいいるんだぞ!若いやつが死んでしまったら海軍は誰が継いでいくんだ! 幹部:では多数決で決めましょう、政府にはいつでも海上警備行動を発令できるようにしている。 幹部:海上警備行動発令に賛成の方
8割挙手
幹部:海上警備行動発令に反対の方
2割挙手
幹部:海上警備行動発令に移る! 幹部2:アドミラルゴルシコフに連絡をつなげ! 艦長:こちらアドミラルゴルシコフ幹部2:海上警備行動発令が決まった 艦長:分かりました… 幹部2:健闘を祈る! そして戻ってきて… 艦長:海上警備行動発令が決定した、各員、戦闘配置! 兵士:決まってしまいました… 兵士2:今の俺には健闘を祈るしか言えないが…生きて帰れよ 兵士:はい
これで不審船が降伏したら対応調査班が乗り込み強行調査することになってしまう…
艦長:警告射撃だ。右200! 副艦長:右200! 艦長:打て!
ドカン!艦内に響き渡る… 兵士:ついに始まりましたね… 兵士2:… 副艦長:止まる気配がありません…むしろ速度を上げています! 艦長:こうなったら…右40! 副艦長:近すぎます! 艦長:構わん…右40! 副艦長:…右40! 艦長:打てぇ! ドカン!また艦内に響き渡る… 結局最後まで不審船は逃走し続け、ついに領海の外に出ていった… これを教訓に、海上警備行動発令に備えた訓練が始まる…---]
ふぃ~疲れた
今回初の茶番ということで、低レベル、低クオリティなのはお許しください
設定としては、海軍初の警備行動発令ということで不審船に対応する対応調査班に入れられた兵士と司令部を中心に描いてみました。いやぁここまで作っておいて、軍事系用語あんまり知らないんですよねぇ。
まぁ次も書くか迷っているので、海軍の皆さんにはまた頑張ってもらいますかねぇ%%{bg:gold}別に海軍の皆さんの休日を奪って駄々をこねて設定を考えてもらってるわけではないですよ?我々は非常にホワイトな組織なんでねぇ
それでは皆様、ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
この後主は海軍兵士からぼこぼこにされたという…
白黒の赤外線映像が映し出されたMFDの中央に、建物がクローズアップされる。機器を操作してそれにレーザーを照射すると、機外のハードポイントに吊り下げられたターゲティングポッドのカメラがまるで目のようにギョロリと動き、やがて地上にある古びたコンクリートの建物を捉える。パナマ湾海上にて、北米連合空軍オプスパッケージ03に振り分けられた第6航空師団第142戦術航空隊所属のF-13CXはその豊富な兵装搭載量を生かして精密爆撃の任務を帯びていた。
『スプリッター6-1、ボムズアウェイ。レイジング。』
胴体のハードポイントに下げられた1つのGBUが機体から解放され、その紡錘形の弾体で弧を描きながら地上へと滑空を始める。建物に照射されたレーザーが地上で散り散りに反射し、その反射をキャッチした爆弾はレーザーの着地点へと正確に落ちていく。
『6-1、ターゲット』
ペイブウェイが真っ直ぐにカルテルの所有する港湾施設へと刺さり、屋上のコンクリートを貫通する。内部から暴力的な高圧にさらされた建物は、哀れにも周囲の広範囲に大量の破片を散らす。
『スプリッター6-1、ウィンチェスターペイブウェイ。AOを離脱しRTB』
灰色の鷲は胴体に抱えていた多くの爆弾を全て地面へ放り投げ、何者にも手を届かせることなく帰路に着く。そこに、爆撃を免れた建物の影から人影が現れる。
地上から白い煙が走り、上空で港湾施設から洋上へ向かおうとするF-13に向けて伸びていく。
コックピットの中でMWSの警告灯が赤々と光り、激しいピープ音がキャノピーで反響しパイロットの脳に本能的に危険を知らせる。
『スプリッター6-1、SINGERアンノウン、ブレイク!』
あらかじめ設定したカウンターメジャーを起動し、大量のフレアを射出しながら操縦桿を倒して大きく回避機動をとる。唐突な激しい機動によって主翼に大きなヴェイパーが現れ、軽量な金属素材の機体が軋む。アフターバーナーを切ってフレアを放出した事が功を奏し、こちらに伸びていた白い線を途中で横に逸らせたことを19mmのポリカーボネート樹脂を通して認識する。
始まって間もない時のことだった。
タブレットのキーボード設定に苦しめられたことで1時間消費してこれしか書けてないの…ウソォン
このカルテル、恐るべきことにMANPADS装備なのか
ああ、ヘリボーンがやりづらくなった…
軍から備品が漏れてるならMANPADSくらいあるっしょ()という軽い気持ちでカルテルの戦術を5割増にした男あーねむ…
ならばこちらは秘密裏に破壊するのみ!てことで破壊してきます()
上空から一つの影と大量のフレアが通過していく。湾岸施設から400mほど離れた建物の屋上には、財団機動部隊のベータ-777 ("白銀の槍")の狙撃班がMPPRを木箱に据えていた。高倍率スコープから見える湾岸施設には、北米軍のF-13から放たれたGBUが破壊した箇所が映っている。
「オープンファイヤー」
スパァァァァン!!
.338ラプアマグナム弾が空気を切り裂き、400m先のMANPADSを装備したカルテルを吹き飛ばす。マグナムに合わせ、施設の近辺からはV-マルスと思われるロケット弾が放たれたりしており、カルテルらは一難去ってまた一難の状況となった。
「スナイパー ロックオン」
スパァァァァン!!
二発目のマグナムが飛んでいき、F-13による爆撃を逃れた建物の屋上にいたスナイパーが吹き飛んだ。その間にも北米軍のF-13が精密爆撃の任務をこなしていく。
「MOVE」
狙撃班は屋上から撤収し、次なる狙撃定点に向かっていった。
12月20日 午前4時58分
エレクシア, モルトラヴィス帝国
親衛隊によって封鎖された帝都エレクシアの一角に、未だその力の及ばない場所が存在する。白とグレーを基調とした5階建てのこの建物の正面には、帝国のものとは違う、青と白の国旗が高く掲げられている。
そう、ここは外国の、それもここから1万キロも離れた遥か彼方の国家、『秋津洲連邦共和国』の大使館なのだ。本国政府が現政権の支持を表明して以降、我々職員は1週間近く、まともに外の空気を吸っていない。
私はもちろん、同僚たちの顔からも、笑顔が消え去ってしまった。ろくに外にも出ず、日常業務は停止、おまけにテレビをつければ、失われていく若い命が数字の羅列で表されている。陰気になるのも無理はない話だ。
数日前から、12人の同胞がここの”住人”に加わった。政府が用意したチャーター機はマドリードに着くとのことで、彼らがそれに乗り込むのは到底無理な話だった。彼らはほとんどがこっちの企業で働く海外勤務の社員、そしてその家族だ。まだ制服を着ているような年頃の子供たちの存在は、我々にとって救いだ。
そんな中、ただ一人、いつものようににこやかに微笑み、職員一人ひとりに声をかけ、労をねぎらってくれる初老の男性がいる。彼の名はアドリアーノ・ヒメネス、駐モルトラヴィス特命全権大使であり、文字通りこの大使館の長である。「外交官はその国を体現する」を信条に、今日この日まで我々を導いてきた。
辺りは真っ暗で、時計はまもなく朝の5時を指そうかという頃合いだ。仕事もないのに、こんな時間から起きている理由、それは新たな”客人”を出迎えるためだ。大使たちと一緒に1階のエントランスホールで待っていると、時間通りに10名程度の一行が現れた。まるでアコンカグアの登山隊のように、大きな荷物を背負っている。
彼らを建物の中に入れると、そのうちの一人が進み出て大使に向かって敬礼する。
「連邦陸軍特殊戦旅団第1大隊所属、マルティン・スアレス大尉です。お会いできて光栄です、大使殿」
大使は左胸に手を当てて、スアレス大尉の敬礼に答える。
「本国より遠路はるばる、よく来てくれた。全員無事かね?」
「ええ。そちらこそ、皆さん無事ですか?」
「みな元気だよ。精神面ではそうでない者も多いがね」
大使は冗談を言って、スアレス大尉を安心させる。もっとも、我々にとってそれは笑える冗談ではないのだが。
「ここに辿り着くのは簡単じゃなかったろう。さあ、みんな座って、よく休んでくれ」
と、大使は彼らを応接室のソファや椅子に座らせる。数えてみると、旅人たちは全部で9人。一人を除く全員が男性で、それぞれ私服の上に上着を羽織っている。隊員の何人かはバックパックの中身を取り出したのだが、出てきた自動小銃を見て、私は彼らが特殊部隊なのだということを再認識させられる。
「君たちは政府のチャーター機に乗って来たのかな?」
大使の問いかけに、スアレス大尉が答える。
「その通りです。民間人の救出をしている間に空港から抜け出して、ここまで12時間ですよ」
「それは大変だったね。車はどこで?」
「彼女が手配した協力者が用意してくれました。3台に分乗して、高速道路を7時間、交代で運転しました」
ただ一人の女性の方に目をやりながら、大尉は自分たちの旅の思い出を語る。どうやらこの女性は軍人ではなく、国家情報局の人間らしい。
私が気になったのは、彼らがどうやって封鎖中のこの大都市に潜り込んだかという点だった。大使もそのことについて興味があったようで、大尉に対する数十個の質問の最後はそれだった。
私はてっきり、ゲームや映画で出てくるような隠密作戦で、地下鉄の線路を歩いたり、民家の屋根をつたったりしてやって来たのだと思っていた。だが、彼が言うところによれば「検問所の親衛隊員に”通行料”を払っただけ」だそうだ。私は正直言って拍子抜けした。さすがの大使もこれには苦笑いだった。
そんなこんなで、頼れる門番たちが加わり、この番地の人口は47人となった。一通り彼らを部屋に案内し終わった後、窓のカーテンを開けてみると、東の空から赤い太陽が昇ってくるところだった。
『この国に真の夜明けは来るのだろうか』
そんなことを考えつつ、私たちは長い一日の始まりを迎える。
解釈違いあったら申し訳ないです()
食料とか大丈夫なの?って思われた方いるかもしれませんが、利雲冷戦中に建築されたこの大使館には最悪の事態を想定して100人が3ヶ月生きていける分のストックが地下1階にあります
「おやおや、だいぶ手荒く捕縛したみたいだね」
港湾施設の空爆の後、海兵隊とファントム軍の部隊は輸送船や強襲揚陸艦を接岸、部隊を上陸させて周囲を掃討し、残った施設や設営したテントでFOBの構築を行った。そしてその一角、確保したコンクリート製の建物の中に私たちはいた。
未だ沈まぬ陽光が小さな窓から僅かに差し込み、室内の酷い空気の原因である大量の埃を浮かび上がらせる。そのカーテンの向こう側、椅子に体を固定され、両手両足を縛られたジーンズに赤のTシャツを着た青年。彼女はそれを捕虜だと言った。
「まぁ、捕虜とは言えカルテルの構成員相手に法も不文律も存在しないがね。さぁて、手っ取り早く終わらせよう」
ヘックスは靴の音を鳴らしながら、ゆっくりと一歩ずつ近づいていく。彼は動きもしない椅子から必死に逃げ出そうともがくようだが、拘束具が軽く音を上げるのみで何の変化も起きない。彼女は彼の頭に手を置き、恐ろしいほどに優しく語りかける。
「大丈夫だ。何も拷問じみたことはしないさ。少し話を聞くだけだ」
「…は?」
彼は抵抗をやめて気の抜けた声を出し、口を半開きにして困惑する。ヘックスはその様子を見て笑いを堪えながら喋り続ける。
「第一に、そのつもりならその口に猿轡を突っ込んでいたと思うがね。実際やったこともある。まぁ、そんなことはいい。して、君の名前は?」
「…フレディ・カ___」
「おおっと、そこまででいい。フレディだね?どうせこれは文書に残らないし、君もファミリーネームまで言うのは余り気分良いものではないだろう」
彼女は少し後ろに後退りし、帽子を外す。礼儀を重んじるならサングラスも外したほうがいいのではと訝しむが、恐らく何があっても外さないんだろうなと思考を破棄する。
「私の名前はアイリス・アンダーソン。本名ではないが、適当に何とでも呼べば良い。そして後ろにいる綺麗なレディだが、」
唐突に手招きをされて戸惑うが、取り敢えず前に出る。さっきからずっと困惑した表情を浮かべる彼が可哀想になってきた。
「アリシアだ。へッk…彼女とは別の所属だが、訳あって一緒に行動している。よろしく頼む」
すると、ヘックスは踵を返して出口へ行く。
「名前を教えてくれたんだ。お礼に何か食べ物を持ってこよう。うちのレーションは不味くはない…と思うから」
遅れて私も外に出る。ドアを閉める時に見た彼の顔は、やはり戸惑っていた。
こちらのMTFsをいったんそちらに合流させていいですか?
ちょうどよさげなFOBが……
えぇ、もちろん構いません。どの部隊でどの程度の規模ですかね?
α-4、ρ-9、ε-11の計三部隊です。人数は約200名ですね。それと遅れてψ-8が来ます(30名ほど)
なるほど、了解です。茶番の描写は適当にお任せします()
ありがとうございます
「しっかし~結構派手に爆破したもんだな。正規軍はおそるべし」
一人の隊員が爆散したコンクリート施設を見ながら口ずさむ。彼らは今、北米軍のFOBの中にいた。その後ろにはα-4、ρ-9、ε-11と総勢200名にも及ぶ財団機動部隊がいた。
「どうする?せっかく入れてもらえたんだ。ここの指揮官にあいさつにでも行った方がいいんじゃないか?じゃないと礼儀のない奴と思われてしまうぜ?」
ここでは場違いなベータ-777の狙撃手が声を上げる。
「部外者は一回黙っていろ。お前らだけだぞ、ベータ-777の野郎は」
「まったく……こういう時に狼傭兵がいればいいのにな」
腕を頭の後ろに回してため息をつく。
「馬鹿言え。あいつは参加可能の作戦を制限しているんだ。こんな戦闘に参加したら排除対象として見られている国から抹殺されちまうぞ」
各々声を上げながら他の正規軍の邪魔にならない場所で腰を下ろす。いくら同盟国だとしても立場はこっちの方が下だ。むやみに施設を貸してもらうなどのことは考えない方がいいだろう。
「ではみんなはここで待機してくれ。私は……少しここの指揮官と会ってくる」
そう言ってα-4の部隊長が施設に向かって歩き出した
さて。 私は今、南極にいる。
大多数の人はこのことを聞いて羨ましがるかもしれないが、
残念ながら状況はかなり悲惨だ。
周りの景色は何もかもが平等公平に青く白く凍り付いているだけで、
せいぜいたまに水平線のかなたに氷山や流氷が見えるだけだ。
しかも、そんな訳で気温も真冬のシベリアに匹敵し
景色を眺めようとして凍り付いている手すりを掴みでもしたら最後
当然しもやけになるので、もはやそんな事すら困難だ。
楽しめることと言えば、料理か他のクルーとの会話ぐらいしかない。
正直言って、もうシンガポールの我が家に帰りたくなっている。
今日はクリスマスだというのに、いったいこんなところで何をやっているんだろうか?
給料は多いけど使い道がないし、寒さは厳しいし、物事は全く起こらないし、
危険は多いし、正直なところ生還できるかすら疑問だし…
「だが、成功の暁には栄誉と報酬が得られるさ。
それだけあれば十分だろ?」
横から急に話しかけられる。
この言葉の内容を見るに、
どうやら考えていることを無意識に喋っていたらしい。
ああ、恥ずかしい…
そんなことを考えながら横を向くと、
ロベルト・マチェイーチェク少将… 今回の作戦の最高指揮官がいた。
手には火のついていない煙草を持ち、もう片方の手はポケットを探っている。
「うわぁ!?
…あ、ロ、ロベルト少将! お疲れ様です!」
「ああ、驚かせてすまなかった。
…安心してくれ、景色を見に来ただけだよ。
別に緊張しなくていい」
あまりの驚きもとい衝撃に、すこし足がのけぞった。
が、なるべく平静を保たなければならない。
それはなんでか? 正直に言うと、私は… 少将に恋をしている。
最初に会った時、私は彼に目を奪われた。
何というか、人を引き付ける雰囲気を持っているのである。
えーと、一言で表すなら… 伯爵?
うん、余計分かりづらくなった。
見た目は… まず、軍人のくせに金髪でぼさぼさ頭で
それを隠すために士官用帽子を深くかぶってごまかしている。
それに服も毎日任務に追われているからか至る所しわだらけで、
何も知らない人が見れば相当だらしない男だと思われるだろう。
だが、意外なことにそれほど服装が乱れているような感じはしない。
腕には銀色の腕時計を付け、服はしわだらけでもネクタイだけは真っすぐだ。
それに、胸についているチェコ国旗のバッジだってぴかぴかに磨き上げられている。
私はそんな彼の雰囲気に引かれ、段々と彼の不思議な見た目について考える事が多くなった。
そして… いつの間にやら、それは恋心に変わっていた。
いつ変わったのか、なぜそうなったのかは分からない。
とにかく、私は少将に恋をしているのである。
でも、悲しきかなそんな恋が叶うはずがない。
なにせ相手は海軍士官、こちらはただの船員だから。
こんな下っ端、名前すら憶えられてー
「なあ、エミーリエ・ドナートヴァー二等海士。ライター持ってないか?
あいにく、自分のはオイルが凍り付いててね」
…エミーリエ・ドナートヴァー。まごうこと無き自分の本名だった。
どうして、総司令官がこんな一船員の名前を憶えているんだろうか?
その驚きかあるいは別の理由で、心臓の鼓動が早くなってくる。
でも、その質問は後回しだ。とにかく今は、ロベルト少将の期待に答えなければならない。
「あ、はい!
えーと、ライターってどこに入れてたっけ…」
そう言って時間を稼ぎながら、ポケットの中からライターを探す。
何処にしまってたっけ? ああ、思い出せない…
そこまで考えて、ようやく思い出した。
よくよく考えたら、今私はライターなんて持っていない。
気が動転しすぎてそんな単純なことも忘れていたようだ。
どうしようどうしよう。
「おい、手伝うか?
相当手間取ってるように見えるが…」
この時ばかりは、ロベルト少将の部下を思っての親切心が仇となった。
非常にまずいし、しかも撤退は許されない。
ああ、何と言う試練。しかも、乗り越えたら一体何が与えられるのかもわからない。
「あ、別に、いえ、そんな、こんなー」
考えながら発言したせいで、言葉がおかしくなった。
喋れば喋るほどぼろが出る。
えーい、もうこうなったら正直に言ってやる。
ボロが出すぎてきっと破り捨てた後の紙切れのようにボロボロになると思うが、
この際こんなことは一切合切関係ない。
「えーと、すみません…」
「ん? 何だ?」
「あー、えと… 私、ライター持ってないこと忘れてました…」
「ああ、そんなことか… 何? 何だって?」
終わった。
今この瞬間、私は確実に少将に嫌われてしまっただろう。
お先は南極の吹雪吹きすさぶ夜と同じぐらい真っ暗になった。
ああ、いったいこれからどうすれば…
「…そりゃ傑作だ!」
そう言って、急に少将は大笑いし始めた。
しかも、とても幸せそうな笑い方で。
「…ぇ」
あまりの唐突さに、思わず呆然とする。
馬鹿にされているのだろうか?
「えーと… 何で笑ってるんですか?」
「ああ… すまなかった。
だが、こうでもしなきゃ悲惨な雰囲気になるだろう?
私が引き気味で行った質問に対して、
少将は笑顔で回答した。
何故だかこちらも、不思議と笑顔になってくる。
「何ですか、それ… あははは」
「ほら、明るい雰囲気になっただろ。はは」
「あははは」
二人でしばらく笑った後、
私は勇気を出して気になっていた質問を投げかけることにした。
「そういえば… どうして私の名前を?」
意外なことに、少将はその質問に即答した。
「…あいにく、この船は狭いんでね。
船員の名前なんてすぐに覚えられる」
「そんな理由ですか?」
「そんな理由だ。 何か悪いことでも?」
けむを巻くように、質問を質問で返される。
「あ、いえ、そんな…」
「なに、別にまた緊張しなくてもいいよ。
さっきまであんなに楽しそうだったのに、
元に戻ったらまた悲惨な雰囲気になっちまう」
それを聞いて、思わず動きが止まった。
どうして少将は、私の為にこんなに気を使ってくれるんだろうか?
ひょっとすると、もしかしてー
「なあ」
考えている途中で、また話しかけられた。
思考をいったん止めて、再び会話に戻る。
「…? 何ですか?」
「もうディナータイムだ、早く食堂に言った方がいい。
ただでさえ冷えてるんだ、冷めた料理なんて食ったら凍っちまうよ」
「あ、はい、少将! 今行きます!」
「おいおい、だからといってそんなに急がなくてもいいぞ。
転んだりして、美人の顔に傷がついたりしたら大変だろ?」
そう言うと、少将はドアを開けて食堂への道を歩いていった。
…さて。 さっき少将は確かに「美人の顔に傷がついたりしたら大変だろ」と言っていた。
ここで重要なのは少将が私の心配をしてくれている事ではなく、
明確に「美人」と言ってくれたことだ。
もしかしたら、ただの紳士的な言動かもしれないし
ただからかっただけかもしれない。
…でも、もし私への好意で言っていたら?
子供っぽい妄想だけど、それでもなんとなく信じずにはいられなかった。
幸いなことに、今夜はクリスマスもとい南極到着を祝うパーティーで
船員のほぼ全員が食堂に集まっているので
まだ少将と二人きりになれるチャンスはある。
考えながらふと上を見てみると、あることに気づいた。
結局のところ… 周りがどれだけ暗闇に包まれていても、
この場所では至る所で光が点っている。
艦橋に、マストの上に、遠くの別の船に。
このタイミングで気づいたのもあるのかもしれないが、
まるで私を応援してくれているみたいだ。
もしも、この明かりがずーっと点いていてくれたら。
あの人を引き付ける雰囲気を持った、
だらしないのか小綺麗なのかよくわからない男に…
「あの、えーと… 付き合ってくれない?」
とでも、言ってみようかな?