開けた場所で、ブラボーチームの3人が遠くの山脈を監視している。
山には大勢の敵兵が移動し続けているが、その中に目標の姿は見当たらない。
「こちらブラボーチームより本部、
目標地点に到達した。オーバー。」
「こちら本部了解、待機せよ。 アウト」
「…おい、ナイフ持ってるか?
貸してくれ」
エルヴィーンが他の2人に問いかける。
「持ってるが… 何に使うんだ?」
そう言いながら、ラドヴァンがナイフをエルヴィーンに渡した。
「こう使うんだよ。覚えておくと便利だぜ」
適当な枝にナイフを突き刺し、簡易的なバイポッドを作った。
狙撃銃を構え、スポッターに各種情報を聞く。
「グエン、今の状況は?」
「距離800m、風力北北西、風速5メートル」
「了解」
それを聞いて、エルヴィーン・ロハーチェクは
ライフルを構え、ハンドガードに手をかけた。
「俺とグエンで標的を探す。
ラドヴァンは後方警戒に当たってくれ」
スコープを双眼鏡代わりに使いながら、
大量の敵兵の中から目標を探す。
その中に、ひときわ厳重に守られている一群があった。
(あいつらか?)
スコープの倍率を上げ、1人1人顔を確認していく。。
…いた。 ゆっくりと進んでいく隊列の中に、写真で見た顔がある。
手には対物ライフルを構え、指揮官のような男の護衛を行っていた。
(…ようやく来たか、この野郎!)
「グエン、見つけたぞ。
あの重武装の一群の中央にいる。」
「了解… ああ、見つけた。 間違いないだろう。」
本部へと無線を送る。
「こちらゴルフ、目標確認。
位置はデルタ・オスカー・タンゴ。
相手には見られてない、最高のコンディションだ」
「こちらHQ了解。念のためにそちらに攻撃機2機を送る、
到着は3分後。それまでに片付けてくれ」
「こちらゴルフ、了解。 オーバー」
そう言ってエルヴィーン・ロハーチェクは
ライフルを構え、引き金に手をかけた。