コト……
『差し入れだ』
いつものようにキーボードをたたく手の横に、一杯のコップが置かれる。中を見るといれたてのコーヒーが注がれていた。
『お前は甘党だったよな?ブラックじゃないから安心しろ』
一人の男が非番姿で語り掛ける。多分、ついさっきに事案を受けてきたばっかだろう。
「ありがとう」
『些細なことだ』
コーヒーを一口いただいてから、仕事に戻る。モニターには南米にいる機動部隊の写真や、イラクで人道支援を行っている機動部隊の写真が映っていた。
「……前線に戻りてぇ」
『寝言は寝てから言え。お前が前線に行くと、最悪世界大戦が起こるぞ』
「それは言いすぎじゃない?」
『言い過ぎない。お前は一歩間違えれば他国の機関に消されるかもしれない人物だ。財団は中立組織だからまだいいけど、これで普通の生活をしていたら今頃死んでいるぞ』
「……それもそうか」
『そして今認められている復帰条件が』
「‘‘相手が人外‘‘の時のみ……」
『そうだ』
しばらくの間、沈黙が流れる。
『悪かったな。仕事の邪魔して。俺はここでお暇させていただくよ』
「うん……」
「……もう一度……スナイパーとして動きたいな」
僕は傭兵編集者、今日も銃をキーボードを撃って打っている。
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