▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「例のものの施術が完了しましたよ主任。うん...?ヘルツォーゲンベルク博士とモーネさんは機嫌が良さそうですね。なにか良いことがありましたか?」
パリッとしたベストと白衣を着こなし、人好きの良さそうな笑みを浮かべた茶髪の男性。エリック・アンダルソンは布が被せられた施術台を押しながら入室してきた。
「残念ながらハズレですわ。主にそこのお子ちゃまのせいで」
「そういうわけでやがりますの。癪に障るダルマッドですの」
「また、間違えちゃいましたか。やっぱり僕には難しいみたいですね。''この娘''も貴女達も同じ表情をしてるのに反応は大違いです」
そう言いつつ、優しく撫でている白布の向こうでは何かが時折ピクリと身動ぎしている。
『状態を見せて頂けますか?』
「どうぞ、こんな調子ですよ」
丁寧にめくり取られた白布。
施術台には円柱型のクッキー缶のような形状をした物体と、チューブで繋ぎ止められた少女が虚ろな目をして横たわっていた。
『同化率は?』
「現状35%といったところです。''ダミー''の方に誘引されているためか、能力行使の割合に対しては緩やかな上がり幅ですね」
エリックへ質問を投げかけながら、ミーナは壊れ物を扱うような手つきで触診を行っていく。
『...、脳の方はどうですか?』
頭まで進めたところで、手をピタリと止め状態を確認する。
「現状、観測することのできる範囲内ではという前提がつきますが''0%''です。もちろん、指示通り抑制剤を投与しない状態で指定時間能力を行使させ続けました」
『負荷軽減器が正常に作動している証ですね』
ほんのりと暖かい負荷軽減器を撫ですさりながら、ミーナはほっと息を吐く。
「意識混濁を起こしてるみてぇーですが、これについては問題ねーですの?」
横たわる少女の顔面を、餅でもこねるようにムニムニと弄んでいたヘルツォーゲンベルクの問いかけに対し、ミーナは顎に手を当てながら思案する。
『......。やはり神経系を繋ぎ合わせたことによる意識の流入が原因でしょうか?』
「エリックの観察レポートによると''頭が割れる''、''が入り込んでくる''などの発言を繰り返していたらしいですわ」
『脳に侵食は及んでいないことは確かです。このままの状態か、ここから回復するかは現状定かではありませんが、ひとまず経過を見守ることとしましょう』
諸々:
山猫砦メンバー
・ミーナさんと愉快な仲間たち()→端から端までもれなく狂人デス。マトモナノハボクダケカ!
・ツィリーナとおしゃべりするミーナさん→傍から見るとかなり異様な光景です。
・コーカサスゼーニクダルマッド→カフカース贅肉達磨マッドサイエンティスト()よくよく見なくとも酷いあだ名。
・シナノサンッ!!→何とかお友達になれないか模索中。
・少女→願いが叶って良かったね()