クオリア44さん
多分、ハイエンドに於いてはラグ接合よりも溶接フレームの方がずっと高額である理由が分からない人が多いと思うので、一応説明しておくと、まず、現在の高性能金属フレームに使用される大径パイプに対応するラグは殆ど存在しないので、自動的にハイエンド金属フレームは溶接接合になり、高額になる。
一応、ラグ自体を外注の特注で少数製造も出来て、実際にケルビムさんとかがやってるけど、デタラメに高額になる。稀な例。
次に、高級金属フレームは基本的にオーダーだし、仮にカタログモデルでも受注発注で製造されるので、オーダーと大して変わらない。
そして、様々なサイズの最適化されたジオメトリーのフレームを作るのに、0.7mmくらいの極薄パイプを複雑に接合するのに、まず突き合わせを超精密に曲面同士が3次元的に繋がる様にカットしなくちゃいけないが、どう考えても簡単じゃない。作業がテンプレ化していないので、フレーム一本ごとに計算、加工する必要がある。
設計支援ソフトとソレとリンクするマシニングセンターが無いと無理。こんな設備、間違いなく数千万円かかるし、実際に動かすまでに大変な調整も必要だろう事は容易に想像出来る。
この設備の償却がどれだけ大変か。私の持ってるアメリカ最大工房のインディペンダント ファブリケーションのフレームも、こうして作られてる。
それでも、おそらくは、もっとアナログ的な手法で乗り切る方法も無いではないだろうが、手間が遥かに膨大だろうし、それは直接コストに繋がるので、やっぱり非常に高額になる。
そして、溶接作業の準備で、超精密なオリジナルのジグを作る、或いは作ってもらう必要がある。簡単じゃない。
そして何より、こういう薄い高級パイプの溶接自体、非常に難しい。達人は残留応力をほぼゼロで作業出来るそうだが、こんな職人がそうそう居る訳じゃなく、工賃が高額なのも当然。養成も容易じゃないし。
という訳で、ラグ接合と溶接を選べるフレームビルダーさんの価格表でも、溶接の方がずっと高額になっている。
因みに、ラグを手作業で削って美しく加工するビルダーさんもいて、非常な手間をかけている場合もあるのだが、ケルビムさんいわく、こんな作業に膨大な時間をかけるのはバカバカしい、フレームの本質的な価値とは関係無い、としてベルトサンダーで効率的にやってるけど、仕上がりは十分以上にキレイ。私もフォークだけオーダーした事あるけど。
うん、やっぱり金属ハイエンドフレームの製作には、CADと同期させたマシニングセンターを使ってた。
実は直感による確信が有ったんで、ちゃんと確認していなかったんですね。
まあ、どう考えても正しいと思っていたんですが。