自転車道場

フレームの精度と適正サイズ / 172

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ディープインパクト 2024/09/22 (日) 18:56:30

 skogenさん
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左右のアンバランスの件、フレーム精度に関する具体的な情報が追加されないので自分なりに調べてみました。以下、長いので最初に結論を書いておくと、リアセンターのわずかなずれが原因、と推測しました。検証方法をいろいろ試行錯誤した結果、リアホイールがローラー台上で左右に流れる量でフレームのずれ・自転車の直進性を定量化しました。
 GT-Roller F3.2というローラー台を使います。このローラー台はフロントフォークを固定しますが、フォークの固定台はゆらゆらと揺れ、左右をバランスさせながらペダルを漕ぎます。そして、バランスの取り方でリアは左右に振れます。後ろは2本ローラーになっています。3本ローラでも工夫すれば同じように検証できると思います。ただし、人が乗った場合、乗らない場合の比較は難しいかも知れません。

このローラー台はフロントフォークのハブ軸に対して垂直なローラー台のセンターのラインがあり、その先にローラー台があります。ローラーの軸はローラー台のセンターに対して垂直に取り付けられています。そして、ホイールがローラー台にまっすぐ(ローラー軸に対して垂直)に当たっていないと、図に示すようにホイールは左あるいは右に動きます(以下、このズレを偏心と書きます)。

もし自転車のセンターに対してホイールが0.1度ずれていると、ペダルを漕ぐことでホイールが横に約1.7mmずれます。つまり、自転車はまっすぐ進みません。まず、この検証方法で自転車の重心をずらした場合の直進性の変化を調べてみます。水が2/3(500mL=500g)入ったボトルを斜め横向きにケージに付けて、フレームの重心バランスをずらします。これはちょうどシートステーの左右10cmぐらいの位置に500gの重りを付けた状態に相当します。

フレームの重心バランスとしてはあり得ない大きさのズレですが、事前に自転車の左右に50g程度の重しを付けても、宙吊りにしたフレームの傾き変化が小さいことを確認していたので、重心をずらすのに500gの重りを使いました。結果、人が乗車していない時はリアタイヤが通る中心線は傾けた側の反対側に1mmほど偏心します。小さいですが、わずかに変わります。

続いて、フロントフォークの取り付けを微妙にずらず、ホイールを変えるなど、いろいろ試しましたが、明らかに偏心するのは、リアホイールの装着方法を変えた時です。ハブ軸とリアエンドの間にはわずかながら隙間があるため、チェーンステー、シートステーに対してほぼ中央にホイールが収まっていても、フレームに対してホイールをわずかに傾けて取り付けることができます。

ホイールの取付角を微妙に変えると、タイヤがローラーを通る位置が左右に偏心します(図参照)。私が試した範囲では最大で3mmほど偏心しました(0.2度のハブ軸のズレに相当)。この検証では、人は乗車せず、ペダルを手で回した後にホイールを空転させた後のタイヤの位置を調べていますから、フレームの変形やペダルの回し方は関係ありません。この左右へのずれは自転車の直進性を変えます。

最後に、人が乗った場合と乗らない場合で偏心がどう変わるか調べました。クロモリバイクは人が乗車してペダルを回しても、左右にほとんど動くことはありません。しかし、カーボンバイクは人が乗るとタイヤがローラーのセンターから少しずれます。偏心の大きさは3-5mm程度です(人が乗った場合、人が微妙に調整するので、正確に偏心を測れません)。これはフレームの変形によりホイールセンターがフレームセンターからズレたのが原因だと思います。

なお、偏心の有無・大小はホイールを変えても傾向は一緒、ホイールを左右逆に装着し、手でホイールを回しても同じでした。つまり、ホイールの剛性やタイヤの接地抵抗の左右非対称が偏心の原因では無い。以上の結果から、自転車がまっすぐ進まない原因としてまず疑うべきは「リアセンターのわずかなずれ」だと考えました。今回の検証方法では1mmオーダの偏心が分かります。これはフレームセンター(前三角の中心面)とリアエンドセンター(ホイールセンター)の角度のずれにして0.06度程度ですが、このずれを人が手で測るのは難しいかも知れません。

リアエンドがシートチューブを頂点とする完全な二等辺三角形であっても(二等辺三角形だとホイールはシートステーとチェーンステーの真ん中に収まる)、その二等辺三角形の中心線がフレームセンターからずれると、この検証方法では自転車は真っ直ぐ進みません(図参照)。

二等辺三角形の中心線が0.2度左にずれると、リアエンドはフレームセンターから左に1mmずれます。この差を目視で確認するのは難しいでしょう。簡易的にヘッドチューブから左右のリアエンドに対して糸を張って中心を調べる方法では、シートチューブと糸の隙間の左右差は0.8mm程度になります。シートチューブの断面が完全な円で中心がフレームセンター通るなら、適切に測定すれば0.8mmの差は測定できます。ですが、フレームセンターの精度、リアパーツの精度などを考えると、ずれを判断するのは簡単では無いと思います。その一方で、ホイールを回転させるとタイヤは3mm以上偏心するので、はっきり分かります。つまり、この簡便な検証方法はセンターズレを精度良く測定できます。

ホイールセンターとフレームセンターのずれは、ホイールの取り付け方やリアエンドの精度に依存します。実際、ストレートエンドとハブ軸の間に紙を1枚挟み、ハブ軸とエンドの中心線に僅かな差を出すと、自転車が走るラインは左右に偏ります。荷重によるフレーム変形で偏心するのと似た状態です。

クロモリバイクのリアエンドは、簡易的にヤスリで削ることでリアエンドのセンターとホイールセンターを揃えることができます。カーボンフレームは製造時の加熱・冷却過程で生じた寸法ズレは修正できませんが、ズレた場合、どうやってホイールのセンターとフレームのセンターを合わせるんでしょうね?もしヤスリで削ると、ここで検証したのと似た状態になります。

ローラー台に乗ってペダルを漕いだ場合、ホイールの取付を変えて5mmぐらい偏心するような状態を作ると、自転車の左右バランスが変わるのが分かります。1,2mm程度だと私には分かりませんでした。(自分で自転車を調整しているので、プラセボ効果が入っている可能性はあります)

最後にセンターズレの解決方法を簡単に。まず、リアエンドに紙を挟むなどして、意図的にリアホイールのセンターラインをずらし、高い精度でフレームセンターラインに揃えることができます。これはユーザレベルでローラー台を使って調整可能です。ただし、ホイールは左右のチェーンステーやシートステーが作る二等辺三角形の中心には収まりません。収まりませんが、フレームのセンターには揃っています。また、ホイールセンターはフレームセンターから左右にオフセットするので、ホイールの振れ取り作業で意図的にセンターをずらさないといけません(たぶんこちらは省略可)。とても気持ち悪いですが、偏心することの気持ち悪さを解消することはできます。

実際、乗車状態でのセンターズレをほぼ完全に解消して走ってみましたが、まだ2度ぐらいしか走ってないので、そのうち結果をレポートします。

※今回は検証していませんが、フロントフォークのハブ軸が自転車のセンターに対して完全に垂直になってないとやはり自転車は真っ直ぐ進まないと思います。フロントフォークに対してホイールのセンターは完全に出ていても、そのフォークのセンターがフレームセンターとずれていると、上と同じことが起きます。こちらのズレの方が大きいかも知れません。以上です。

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