今日の授業内容が保健だ、と聞いて、少し顔を赤らめるのは、きっと私だけでないはずだ。同い年の友人は殆どいないから、あまり自信はないけれど。
ともあれ、いつもの指導室では、センセイが黒板に、いつも通りのとぼけた顔で文章を書き込んでいた。タイトルは、「各種身体機能の成熟について」。 簡略化された半身ずつの人間の身体——当然片方は男性、片方は女性——が、ものすごくデフォルメされた下手くそな筆使いで描かれているのを見ると、センセイの不器用はいつまでも変わらないなぁと思う。 「不老不死を獲得しても、人間の持っとる基本的な代謝・成長の機能までは変わらん。つまり、寝る子はよう育つし、たくさん食べれば背丈も腹回りも大きくなりやすい。そんでもって食べたら食べただけ出るものも……」 「センセイ、その先は言わないでください。『最低です』ってヤツですよ。デリカシーないです」 「んぐむっ……ごめん」 書きながら喋るセンセイに、つい反射的に冷たい目線を向けてしまった。 けど、年頃の女の子に堂々とこんなこと(食べたら「出る」)だとかそんなこと(腹回りが大きくなる)だとか言う無神経な人にはこれくらい許されるはずだ。 この辺のトーヘンボクっぷりも変わらないけど、此処は出来れば変えて欲しい。 「……言い方が良くなかったかな。変に軽く言わんと、体重増えるとか、排泄物も出るとか……?」 ……訂正、是非とも変えて欲しい。 普段はいいけど、こういう授業のタイミングで、繊細な心情を考えて欲しい時になると、センセイはオンボロロボット並みにポンコツになる。 ここさえ改善されればもっと授業を受けたがる生徒も増えるだろうし、なんならきちんとしたクラスを持つことだってできるだろうに。いまいち人気が伸び悩んでいるのは、この辺も理由としてあると思う。
閑話休題(……だったっけ?)。 それはともかく!と、センセイが咳払いを一つして、今度こそ授業が始まった。 「ともかく、人間は生物であり、従って成長する。此処まではええね?」 「大丈夫です」 「宜しい」 ほないしたら、と続けて、黒板の一角に四角い枠が増える。中黒を一つ打って先生が聞いてきたのは、「成長する場所」について。 「分かりやすいのは身長で、これはまぁ、赤ちゃんから次第次第に大きくなっていくってのが多くの人の当たり前な訳やけど。これ以外で、人間のどんなところが成長するか? ちょっとこの枠に書いてみ」 白いチョークを手渡され、起立を促される。 黒板の前まで来たのはいいものの、急に言われると、流石に少し思い出すのに時間がかかる。 体重……は乙女として言いたくないから、他のもので何か考えよう。 「えーと。まずは……免疫?」 子供より大人の方が病気にかかりにくくなる、そんな印象がある。 ということは、免疫機能、身体の丈夫さも、年齢に比例して上がっていくのでは? という連想から、まず一つ。 それから、筋肉や骨。センセイは身長が伸びるという形で表現したけど、節々に響く成長痛で眠れない夜を過ごしたことは、一度や二度じゃない。 背が伸びる以外にも、身体のパーツ全体が大きくなっていくのだから。 後は……脳の機能。大人になるまでに、脳の神経細胞は増えて、大人になったら後は減っていくだけ。そう聞いた。 なら、大人になるまでの間は成長していくと解釈できるはずだ。 というわけで、書き出したのは「免疫」「筋肉と骨」「脳」の三つ。これでどうだろう、と、席に戻ってセンセイの反応を待つ。
__________しゃんしゃんしゃん、しゃんしゃんしゃん。 モザイク市「天王寺」の雪降る聖夜の寒空を、ベルの音を響かせながら一台のソリが翔けていく。 けれどソリを引くトナカイは影のように真っ黒で、ソリに乗ったサンタは四人もいる。
もこもこのサンタ服に包まれた銅色の髪の少年は、夜空を駆けるソリに目を輝かせ、両手を挙げて風を切る気持ちよさを堪能している。 彼を抱えた、控えめにサンタ帽だけ被った学生服の銀髪の少女は、不服を申しながらももその顔はまんざらでもなさそうで。 先頭に立つ、赤いスーツに付け髭までつけてサンタになりきった青年は、次の家はどこですか、と背負った袋からプレゼントの箱を取り出し。 その隣に腰掛ける、巫女服を模したふわふわのサンタ服を着た黒髪の少女は、次はあちらですね、と手のひらサイズの鏡を通して天王寺の街を見渡している。 クリスマスキャロルという小説では、ごうつくばりのスクルージの元に三人の精霊が現れ、過去と現在と未来を見せて、彼を改心させたという。 だから、少しぐらい「ずる」をしても、今宵は神様も許してくれるだろうと。 巫女の少女はその瞳に移る暖かな未来へ向けて、夜空にソリを走らせていく。
今年のクリスマスは、天王寺では二台のソリが夜空を駆け。 そして天王寺に住む少年少女たちは、前の年より一つ多くプレゼントを貰ったのだと、いつもより賑やかに聖夜を過ごしたのだとか……
もしもし…はい、そうです。俺です…お久しぶりです。 はい…ええ、俺は元気です。そちらは…? そうですか、特に変わったことは……そうですかお変わりなく… ところでお子さんは元気ですか?……そうですか、それはよかった。 ……そういえば小切手、また届きました…?ええ、例の……ああそうですか届いてる… 今ですか?今は……今は日本で仕事をしています。 すいません、急な話で……はい、すみません連絡せずお騒がせしました。 ………いえ、俺は貴方たち家族に会わせる顔なんてないですから。 …大丈夫です、心配しないでください。慣れない環境ですけどなんとかやっていけてます。 はい…ありがとうございます、それじゃあお元気で。
もしもし……ああ、俺だ…ああアレか。この前回収したアレなら… アァ…?ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ、アレを回収するのに俺がどれだけ苦労してきたと思ってんだ! オイ、何がそういう訳だふざけた事言ってんじゃねぇぞオイ!オイ待……クソが言うだけ言って勝手に切りやがった! チクショウ何が回収期待してるだくたばれクソ野郎…! ……おいギドィルティ!また「神戸」にいくぞ準備しろ! ギドィルティ……ギドィルティ!!クソ居ねぇ!アイツ何処行きやがった!
フルチューンしたモーターを唸らせ、力の限り自転車を漕ぎながら螺旋坂を突き進んでいく。
「うっえ~~を向い~~たらぁ~星ぃがあってぇ~~~!」 「ぶぇっほ!うぇほぶふ……!ハルナ下手すぎ!!」 「うっさい!!なつかぁしぃ記憶にぃ涙ぁあふぅれ出すのぉ~~~!!」
ご機嫌に流行りの歌を歌いながら―――なのだが、シノが茶化してくるから怒鳴り返す。歌は声量だろ常識的に考えて。 トップスピードで坂の終点をジャンプし、強い冷風が顔を吹き抜ける。 屋上―――市民が出入りできる範囲では一番高い、モザイク市「神戸」の天板に位置する屋外エリアに出てきた私は、自転車を降りてすぐに駆け出した。 空を仰げば、宇宙。 手が届きそうなぐらいに満月が上り、夕刻であっても冬空はすっかり真っ暗な背景に星を散りばめている。 その優美さに一通り胸が沸き立つものを感じながら、その姿をより観察するべく巨大なバッグを漁り始めた。 鏡、紙筒、エトセトラ。見栄えは図画工作みたいだが、これでもカリスマ観測士マナカさん推薦の立派な代物だ。 キチンと組み上げていくと一端の反射望遠鏡に仕上がってくる。
「よーし快晴!今日はよく見えそうだな~っと」 「ふひーつっかれた……あんたよくもまぁ飽きずに見にくるわねぇ。今時外の天気なんて業者が見るもんっしょ?」
今のご時世、空調の効いた「神戸」の中では昔に比べて気象情報を見る者は少ない。 外壁の作業員が利用するポータルをわざわざ覗いて、絶好の観測日和か否かをチェックするのが日課になっていた。
「趣味に時間を費やすのはいいことよー?シノ」 「お勉強とかなさらないんですか……!?私たちそろそろ人生の瀬戸内海に立たされていることですよ!?」 「瀬戸際ね。私はカリキュラムの試験模擬A+判定だったから」 「あーそーでしたね……カリキュラム出たらどこに入るかも決めてるの?奏金?ラジアルメカニカ?」 「そこまではまだ……研究方面が肌に合うなら、三島でもいいかもね」 「あたしはストレガにしようかなー?美の研究とかそんな感じの」
もうそんな時期か。 もうすぐしたら、私たちの年代はHCUの育成カリキュラムを受けてどこかの企業の社員を目指すか、外に出て自由と責任を謳歌するかを決断する。 私たちの言うことやることは大人曰く、聖杯がやってくる前とさして変わらないとか。 聖杯、サーヴァント。私はまだ後者を持ってはいないけれど、この辺の順応は皆割と早い。 テレビじゃ今後の危険性を訴えたりもしたが、すっかり聞かなくなったあたり誰も関心がないようだ。 ここはそんな街だ。 現在に熱狂し、過去も未来もキャッチーでなければ沈んでいく。爆ぜる泡の如きモザイク市。 対して、何千年も変わらず在る星々のなんと静かなことか。 ―――などと感傷に浸るが、最新式の端末で望遠鏡の連動アプリを弄りながらだと説得力が無いかもしれない。 まぁ、結局何をするにしても楽観的にテクノロジーを頼るのが、良くも悪くも私たちの種なんだろう。
「まぁまぁ、そんなことよりジュリもどう?星見る?」 「えー……天の川どこ?織姫様に出会いをくださいって一念送りたいんだけど」 「今は冬だし……」 「あーじゃあアレ、あのでっかいの何?何等星?」 「……あぁ、アレは一等星より明るいやつで―――」
――― ―― ―
―――上を向いたら、星があって。
空を仰げば、天井。 どこまでも上部構造は高く、真っ暗闇を背景に朽ちかけた人工太陽が頼りない光量で地上を照らす。
―――懐かしい記憶に、涙溢れ出すの……
2025年
────微睡の中で、ザックライアスは目を覚ます。視界には変わらぬカルデアの天井が映る。 そうだ、あれは夢だ。堕天使に支配されなかった可能性。在り得たかもしれないIF。 だがそんな物はない。そんな幸せは有りはしないし、此処から先も起こり得ない。 聖地に自由を求めたあの日から、彼は全てを奪われ、そして凡てを奪い去った。 己の未来を、子の自由を、子孫の可能性を、堕天使の誘惑に負け、その総てを捧げた。 「────……っ」 頬を雫が伝う。どうして自分は、あの日、身に余る渇望を抱いたのだろうか。 そのような後悔だけが、何度も胸中で渦巻き、胸を打つ激痛となって襲う。 『大丈夫かい? 辛いようなら休むかい?』 「……いや、いい。行ける。大丈夫」 通信越しに響く声。それに生返事で返し、彼は立ち上がる。 「これは、俺が選んだ道だから」 失われた命は回帰せず、過ぎ去った時は巻き戻らない。あるのは唯後悔のみ。するべきは、ただ1つの贖罪のみ。 そのために此処にいる。そのために俺はいる。そう自分に言い聞かせ、奮い立たせ、彼は星見の砦に立つ。 進み続ける意志を止めることができるのは、始まりの意志だけなのだから。
「親父殿! ようやっと魔術の師匠見つけることが出来た!」 「本当か!? そりゃあめでたいなぁ! というかやっとか!?」 喜んだ顔で勢いよく飛び込んできた息子に対して、"俺"は笑いながら祝いの言葉を口にする。 「おめでとうヘイレム~~。それで何専攻するか決めたの~~?」 「あー…それがだな。まだ正直迷っててだなぁ…」 「死と生について一緒に研究しないかい兄さん」 「お前はまたそれかよ!? 俺は俺の道を行くよ!」 騒がしくも暖かい、目の前で繰り広げられる会話を見て、心が解ける感覚を覚える。 「────こういう家族らしい会話は、暖かく、楽しいものですね。お父様」 「……そうだな……ルシア」 隣に座る長姉の言葉に、"俺"は頷く。そうだ、本来家族とは、こうあるべきなんだ。 義務感に縛られず、疑心暗鬼もなく、心を休められる場所であるはずなんだ。 ────だが"俺"は、この可能性(かぞく)を否定した。この道を選ばなかったんだ。 「……ごめん」 その言葉は意識せずに出た。謝らずにはいられなかった。この、本来あるべき幸せを、俺はお前たちから奪ったんだ
>> 50 >> 51 /お疲れさまでした! /因みに“それ”の能力についてはそのうち泥としてしっかりお出ししたいと思っています(願望)
>> 50 /お疲れ様でした!ありがとうございました!
>> 47>> 48 『カ、ハハハハ……お前は素直ではないな。まあ──────鉄屑でも、悪くない駄賃だろうよ』
去り行く男の背中に向けて、彼はどこか遠くを見、独り言のように告げる。 そして振り返ると──────鬼の形相でこちらを見据える、マスターの姿があった。 『……何だ。"解き放った"時以上に恐ろしい面をしているぞ。』 「何のつもり?」 少女は問い詰める。これではまるで横流しだ。 『別段、無意味に渡したのではない。相互不可侵だ、小娘(マスター)。脅しの道具のデカブツが無くなったのだ。奴の狙いがアレであるならば、取引に使わぬ手はない。奴はサーヴァントも見せていないのだぞ?オレを動かす魔力も、もう無いだろうに』 「……確かに。……戦う以外の選択肢あったんだ、あんた」 『戦えないのなら、戦わぬ他ないだろうよ。命と引き換えに強奪されたようなものだ。…それに、暴れられてこいつに何かあれば────ん?』
ライダーはそこで初めて異変に気付き、続いて少女も気付く。 そこには、確かにそこにいたはずの"それ"が、忽然と消えていたのだ。
「何だったの?一体──────」
後には、ただ困惑する少女と、ライダー、そしてSCOREだけが残っている。 遠くに見えていた巨人の姿も、もうない。彼がやってくれたのだろうか。 夕日が差し、冷たい風が吹く。あたりにはどこか、寂しい雰囲気だけが残っていた。 此処はモザイク市「神戸」。今日もまた不可解な現象が起こり、そして幕を閉じたのである。
【ロストHCU 調査報告】 ・無人機兵【巨兵モデル】 二機をほぼ完全な状態で確保。一機は破壊された上、違法回収業者によって強奪された。
・無人機兵プラント基盤 所在地未だ不明。周辺一帯には大量の無人機兵が存在する模様。巨兵モデルの出現も多数報告されている。
・不明 直営回収業者が接触した謎の生命体。ロストHCUの可能性があるとみて調査を進行中。
/ここで以上とさせていただきます……お疲れさまでした……!
>> 48 /お疲れ様でした!
>> 46 >> 47 『ふう……これで終わり、かな?』 「ナン、サ、ソ。 ナィ、マ、ェ、キ、゙、、」 崩れ落ちる巨人の残骸を尻目に、“それ”は指差しを終える。脅威は消えた、と、そう認識したのだろう。 『ありがとう、助かったよ。手伝ってくれてありがとう』 「、ウ、テ、チ、ウ、ス。 、ク、网「。「、゙、ソ、ヘ」 『え? またねって』 しかし、SCOREに対して何事かを伝えると、“それ”は文字通り、瞬きする間に「消えた」。 思わずSCOREが周囲を見渡すが、痕跡一つ残っていない。彼なりに魔力が残っていないかなど調べるが、これもダメ。 空間転移。魔法にも匹敵する現象を、それも一瞬の内に。異様な光景を眼にした混乱のあまり、少女と男のやり取りも、SCOREの耳には入っていなかった。 ───“それ”はもういない。いたという証拠もない。後には、困惑する1騎のサーヴァントだけが、ぽつりと残されていた。
、ス、ヲ、、、ヲサヒ、ハ、テ、ソ
/こちらはこれにて失礼いたします……
>> 46 「……素直じゃねぇか。いいぜ、貰ってやるよ」 ライダーからロストHCUを受け取るイーサン。 もう用は済んだ、とばかりに少女とサーヴァントから背を向ける。 「俺はただの犯罪者(クズ)だ、人様に迷惑かけて生きてるロクデナシだ…それ以上でもそれ以下でもねぇよ。じゃあな、直営(カラード)のクソガキとそのサーヴァント」 立ち去ろうとする途中思い出したかのように男は足を止め、彼らに振り返ることなくライダーに先ほどの答えを返し、今度こそその場を立ち去ろうとする。
>> 42 「……違法(イリーガル)!?こんなところまで……」 彼女は物陰から出てきて初めて、物々しい装備の黒肌の男に初めて気づいた。 『先ほどから怪しかったのでな。……何、協力するならオレ達もお前からは手を引く。おそらくこのデカブツも、ロストなんとかとかいうやつだろうよ。……悪い話じゃないだろう?』 「違法と協力するってこと?!」 『それしか手はないだろう。オレに注げる魔力はあとどの程度だ?』 「……あーもう。分かった分かった、この魔力食いサーヴァント」
>> 44>> 45 さて、"それ"が巨体を押しとどめている間に、ライダーと男は巨体を挟んで反対側に陣取り、槌矛を構えた。 『じゃあ、せーので行くぞ。1、2……』 力を込め、勢いよく巨躯の胸へと、男が銃撃をたたき込むと同時に振り下ろす。
『3!!』
凄まじい破壊音と共に、巨体の胸部は木っ端みじんに爆ぜる。 すると中から、異様な赤色の光を発する、特殊個体とも言うべき無人兵器の、すでに破壊された残骸が姿を現した。 『巨人は、こいつの仕業か……』
残骸を取り出したライダーは、興味もなさげにそれを一瞥すると、何を思ったか───男に、それを差し出した。 「ちょ、ロストHCUよ!?違法にあげるの!?」 『元より目当てじゃない。それに、他はあの小僧(リゥ)が回収するだろうよ』
戸惑う少女を尻目に、ライダーは男を見据える。 『……オレはかつて、善に生きた。だが今は、悪に堕ちている。罪過の呼び声が、オレを常に苦しめている』 『お前の目は、オレと似ている。罪過に苛まれながら、動く他ないと。──────そうなのではないか?』
がらくただが、ロストHCUと認められる程度の原型は保っているだろう。 受け取るも受け取らぬも、男次第だが──────
「めんどくせぇ事に巻き込まれたぜ全く…話は聞こえてたよ、アイツの腹に穴あけりゃいいんだろ」 ブツクサと文句を言いながら、イーサンは自身の武器、AA-12のマガジンを別の物に変更する。 それは高性能爆薬を内蔵した特殊な弾丸『FRAG-12』、言ってしまえば弾丸の一発一発がグレネードである。 そんな代物が詰め込まれたマガジンをフルオート射撃するのだ。 普通ならひとたまりもないだろう、無論あの巨人を破壊するのにも十分な威力だ。 >> 44 「ったく、得体がしれない奴だな。まぁ今はいいが……」 “それ” に得体の知れない恐怖を少し感じながらも、“それ” の能力によって動かなくなっている巨人の腹部へ向けて、弾丸を連射したーーー
>> 40 >> 42 他の人間は相変わらず目に入っていないが、SCOREの通訳のもと、“それ”は指差しを続ける。 『機械が集まってる真ん中あたりに、コアがあるんだって。さっきみたいに、止められる?』 「……、チ、遉テ、ネニキ、、」 『そっか。じゃあ、そのまま止めててくれるかな』 「・ェ・テ・ア。シ」 『ありがとうね』 巨人をその場に押し止めることに注力する、ということを、少女と男へ伝えるSCORE。その間も、“それ”はじっとSCOREを見ている。 特に喋りだすことはない。見ているだけ。何を思っているのかは、様子からは窺えない。
>> 41 /いいんだ…
>> 40 「……ああ●●●●(クソッタレ)!良い性格してやがんな直営(カラード)の連中はよ!」 ライダーの声に、少し遅れて反応し彼らの前についに出てくるイーサン。 あのサーヴァントの言うとおり、あのデカブツをけしかけられたら面倒なのはこっちだ。 もしやそれなら今ぐらい共同で破壊すればまだマシという考えでの行動だ。 ひょっとすれば単にカマをかけられただけかもしれないが、もう出たものはしょうがないと半ばヤケクソ気味の思考だった。
/大分遅れてしまいました、申し訳ない……
>> 39 「……うまく行ったみたいね」
どんな存在なのかすらも分からないが、とりあえずSCOREの力によって対話は行えているようだ。 後はSCOREを頼るしかないだろう。……不可解な力を持った目の前のものは、壊すのには協力してくれるとの事。
「ん、まだ壊し切ってないしね……こいつ一体だけでも壊すか」 「……言うて、どう壊し切るの?また再生するよ」 『それは問題ない』
ライダーが口を開いた。
『暫くそいつを見ていたが、どうやら中心に向けてガラクタ連中が動いている。……そいつの中心に、中核になるガラクタがあるんだろうよ』 「……じゃあ、穴を空ければいいわけね」 『簡単に言うな小娘(マスター)。お前にも残存魔力は余りないだろう?逃げ出す体力が無くなればどうする』 「……それじゃあ、どうやって……」
>> 38 するとライダーは、そこから脱出しようとする業者へと、唐突に振り返って声を上げた。
『おい、お前。そこに居るんだろう?』
『少しは付き合っていけよ。でなきゃこいつが、お前にデカブツをけしかけると言ってるぞ』
無論、これはハッタリだ。食いついてこなければそれまで、だが……
>> 28 >> 29 離れていく少年やクルージーンには、“それ”は目もくれない。言葉を直接届けたSCOREのことしか目に入っていないようだ。 相変わらず『指』だけは巨人を指し、その動きを抑えてはいるが、『顔』はがっつりSCOREを捉えている。 「豌励▼縺九↑縺九▲縺溘h。蜷帙、し繝シ繝エ繧。繝ウ繝茨シ?」 『うん、そう。君は?』 「……」 『言いたくないの? ……うーん。それだとマスターが困るんだけど……』 「……縺斐a繧薙h」 『まあ、仕方ない、かな?』 聞き取りさえできない謎の言葉で、“それ”とSCOREは会話する。しかし、その間、少しも巨人は動かないまま。 問うてみれば、それは『敵』だから、どうにかしようとしているのだ、と“それ”は答えた。 『じゃあ、あれを倒すの、手伝ってくれる?』 「繧上°縺」縺溘h」 『ありがとう』 ……どうやら、一先ず巨人の討伐には協力してくれるようだ。
>> 29 (ゲッアイツまで離れるのかよ●●●●(クソッタレ)…どうする、アイツだけなら俺も危険か…!?) いきなり回収業者が二人も去り、流石の彼も焦る。 なにせここに戦力が自分ともうひとりの回収業者しかいないのだ。 そんな彼が取った行動は…… >> 36 (悪いな、あとは一人でなんとかしてくれ) 離脱であった。違法回収業者の彼にとって、当然とも呼べる行為。 ロストHCUを回収するなら今が最適である。 そして彼はロストHCUを探し始めようとその場を後にしようとするーーー
>> 28>> 29 /お疲れ様でした!ありがとうございます!
>> 28 「あー……出るだろうね、やっぱ」 神戸に来て、自分も暫く立ってはいる。少なくとも異常な風景に驚くことはもうないし、起こりうる事態の予測も、目の前のペンルィ程では無いが付くようになった。 故に、沈痛な声でその事実を告げる彼の声に、落胆を多分に含んだ声色でもって応えた。 突然一体現れたのだ。二体目、三体目が突然現れても、何もおかしくはないではないか。
「わかった。私もできるだけ早く離れるわ」
彼女はそう呟くと、小言は多いが、しかし確かに信頼の置ける彼という先達の去り際を、少しばかり眺めていた。 /お疲れ様です!
>> 27 "それ"の発した音は、声のようで声ではない。……が、静雄のサーヴァント、SCOREの声には、確かに反応を示しているようでもあった。……よくわからない。 SCOREは、その言葉を理解できるようだ。……彼の言葉に従った方が良いのだろうか?
>> 29>> 31 「ああ、もう。……滅茶苦茶に撃ってるからよ。派手なのはいいけど……って、ちょっと!…話は後!!」
そうこうしているうちに、静雄が弾切れを起こしてその場から去ってしまう。 残されたのは、ライダーを連れた彼女という直営回収業者ひとり。 ……横からかっさらうには、またとない機会だ。
/お疲れ様でした
/いいんだ…
>> 28 >> 29 /お疲れさまでした /クソ面倒なキャラで絡んで申し訳ない!
>> 28 >> 29 /お疲れ様でした!
>> 24 (チラチラこっちを見てやがる、気づかれてるな…まぁまだ警戒してるぐらいか) 自身の存在に気付いているであろう彼の視線を気にしながらも、未だ物陰に隠れる。 >> 25 (ほう…そんな物があったのか、それは良いことを聞いた) 思いがけないロストHCUの情報、やはりここに来て正解だったなとほくそ笑む。 向こうのサーヴァントがこちらの様子を伺っていることには気付かないまま。 >> 27 (しかしあれは一体何だ…?あれもロストHCUか何かか…?) 得体の知れない“それ”の様子に警戒し、その場から動けずにいた。 あれがどういったものかわからない以上、迂闊に動くのは危険だと判断したゆえの行動である。 >> 28 (お、あのデカ物が離れたか…ツイてるぜ) 思いがけない幸運に、イーサンは再びほくそ笑む。 あの二人はあの得体の知れない相手をせざるを得ないだろう。 そして俺も動きやすくなり、ここがゴタゴタするうちにロストHCUを先に回収しやすくなるだろう。 そう考え、やがてその機会が来るタイミングを待ち続ける。
>> 28 /お疲れ様でした!
>> 27 「え? なんて?」 何かしゃべったのは分かった。うん、わかったのだ。分かったのだけど。
わ か ら な い
聞き間違えだったかな… と思って思い返して脳内で解析するも、静雄の脳みそのCPUはMS-DOSにも劣る低スペックであるためたちまち煙を噴き出した
「すまん! SCORE! なんていったかわかる!?」 『ありがと、だって』 「あー、感謝されたの俺 …なんで?」
静雄は首を傾げたが、その拍子に先ほど見えた違法回収業者がまた見えた。
>> 26 「あいつ……こっちをうかがってやがるな? 漁夫の利でも狙いてぇのか? そうはいかねぇぞ」
そう言いながら、腰に差すモーゼルに手を伸ばし、そして弾倉入れに手を伸ばす。 違法回収業者がどんな手も使う非情な奴らだ。ここで放っといたら目の前の少年やら、 クロ姐やら怪我させかねない。そう考えてすぐにでも攻撃できるように準備を
じゅんびを……
「ああああああああ!? 弾がねぇ! くっそ!! さっきので打ち尽くした!! ……悪い!! 後頼めるか…? SCORE!」 『いいよ。任せて。彼は、僕と仲良くなれるかも』 「友達出来そうか! そりゃよかった!」
バンッ! と爆炎と共に地面を蹴り上げて走り出し、 SCOREを通じてアンリエッタと巨大ロボの操縦士、おまけに謎の少年にメッセージを伝える。
「すいません! 全速で調達してきます!! SCORE預けますので好きに使ってやってください!! SCORE! 5時までには帰るんだぞ!!」 『わかったー』
そう言って、静雄はそこから離脱していった /夜も遅いので離脱します! お疲れ様でした! SCOREは自由に使ってくれても 帰してもどちらでも結構です
リゥは顔を覆った。考えうる限りの最悪が当たってしまったのだ。 『……二体目だ』 機体のセンサーは数km先から、先程倒壊した無人機塊と同じものが、あろうことかこちらに接近しているのを捉えていた。更にアラート。その近くに三体目まで発見した。悪夢でも自分は見ているのかと現実から目を逸らしたくなる。 ここまで来るともはや回収業者の領分ではない。リゥたちのするべきことは速やかに帰還し評議会に報告書を提出することだろう。……だが、このままでは遁走すら容易ではない。 『聞いているかルーキー・アンリエッタ! 僕はこちらに接近する二体を仕留めに行く! あんたたちはその、よくわからないのをどうにか抑えてくれ! そして「港島」に戻り報告を頼む!』 そう言うだけ言い残して。現れたときと同じく、空気の燃える甘やかな香りだけを残して唐突に『クルージーン』が飛び去っていった。
(離脱します)
>> 21 それまで、どんな声にも反応しなかった“それ”が、初めて反応を示した。 『指差し』は止めず、しかし、『顔』をそちらへ……SCOREへ向ける。「如何なるものへも声を届ける」というSCOREの特性が、効果を発揮したものだろうか。 反応したのは、SCOREからの呼びかけだけ。それ以外には気づいた素振りすら見せなかったが、しかし、聞こえた言葉には従うことを決めたようで、足音一つ立てずに『走り寄り』、『指差し』で巨人を押し留めたまま、少年の傍らへと“それ”はやってきた。 ……そして、初めてそれは、声と認識される音を出した。 「縺ゅj縺後→」
>> 23 (おいおい、何が起こってるか気になったから見に来たら…どういう状況だこりゃ…) イーサンは物陰から周囲の状況を伺う。 謎の機械の巨人と、見るからに直営回収業者(カラードダイバー)が操作する巨大ロボ、同じく他にも見知った直営回収業者(カラードダイバー)が二人。 流石に“死に損ない”(ウォーキング・デッド)と呼ばれる彼も、この状況では出るに出られなかった。 しかしその場から逃げ出そうとは思っていない。 ここまで回収業者が揃っているのだ、おそらく何かがあるという予測。 あわよくばそれを回収しようと考えているのである。 隙あればいつでも飛び出せる準備はしている、あとは機会を待つだけだ……
>> 20>> 21 「ん……知り合いっつーか、同僚。シゴトじゃ先輩(パイセン)だけどね。上の会社一緒だし」
とりあえずの危機は脱した事を確認して、埃を払いながら静雄に向けて呟く。 「架線?"かんしゃく玉"で永久に壊れるじゃん、そんなん。いちいち気にしてらんないし」 減らず口を言いながらも、上空で警戒を怠らない大型ロボットを見つつ、流石のベテランだと彼女は微かに思う。 聞かれたことに対しては素直に、これまでの状況を簡単に説明した。 「ん——————回収物は一応。無人機の全自動生産システムだかのプログラム。工場はこの辺にあるらしいけど、スクラップで埋まってるっぽい。私はその調査。……こいつは知らんケド。」 「——————で、まあ。壊しながら探してたら、そのでかいのと——————」
彼女は次に、"それ"へと指を指す。そこには驚くべき光景があった。
>> 23 「——————!?」
彼女の指さした先には、その光景の一部始終があった。 腕をすり抜け、瞬間移動などの不可解な行動を行いながら、"それ"が巨人に向けても先の動作をしているのに気づく。 巨人が再生していたことと、その再生が止まった事に彼女が気づいたのは、ほぼ同時だった。 まったく理解できない光景だが、あるとすれば眼前のそれは———————
「ホント、何これ。——————"サーヴァント"?それとも……」
>> 22 『——————』
同時期。こちらへと近付いてくる不審な影に、ライダーは気づいていた。 金色の邪眼を静かにそちらへ向けるが、たくみに視線を避けながら移動しつつ、しかし確実に近づいてきている。 手練れの間者か、あるいは——————そう判断したライダーは静かに、しかし確実にそちらの様子をうかがっている。 何か行動を起こしてくるならば、少なくともマスターだけは護れるよう、密かに構えた。
>> 21 「あーすんませーん!! 忠告聞いてませんでしたー!!」 ひとまず謝罪を返す。そもそも忠告されてたっけ?とか 偉そうだな先輩かな?とか 色々思うところはあったが、 まずとりあえず謝れと親父に言われたことを思い出して謝罪する。 しかし架線作ってる人だったのか…悪いことしたな、今度は火薬量に注意しよう…と考えている中、新しく顕れた人影を見やる。
>> 22 「おっ? あのヤロウ…また来やがったな」 目に映ったのは、よく邪魔される(=彼を邪魔する、ともいえる)違法回収業者だ ったく、何度も懲りねぇ野郎だ。そんなに戦いたいなら正規になってから来い、と思いながらそちらを向く。 さてどうするべきか、違法回収業者だし痛い目見てもらうべきか…とか考えながら周囲を見渡していると、 "それ"がまたもや目を引いた。
>> 23 何と巨人が再生している。いやそれどころじゃない その上に少年がいるではないか。これはまずい。ケガしてしまう 「あぶねぇ!」 と叫んだが、少年は怪我どころか、触られる事さえなかった。 それどころか、巨人の動作を止めてしまったではないか 「なんだありゃあ……。なんか…あれだ。ゲームでも見てるみたいだ…。なんつーんだろ? あれだよ…ジョジョとかのゲームで見る…わざとバグらせる奴」 目の前で起きる不可解な現象の理由を考えるも、少ない脳細胞は回らない。 ええい! 違法回収業者とか巨大ロボとか気になるけど! と頭を振って静雄は叫ぶ
「おいお前!! 何もんだ!? サーヴァント!? 新入り!? とにかくあぶねーから! こっちこい!!」
停止させた少年に対して、静雄はそう叫んだ。 念のため、SCOREを通して声も届けてみた。
>> 19 >> 20 >> 21 周囲の騒がしさを余所に、“それ”は巨人の頭の上から動こうとしない。巨人は徐々に再生し、それに伴って体躯が傾き始めているが、頓着することなく、頭の上に鎮座している。 『座る』ように縮こまって『腕』を伸ばし、ぺたぺたと巨人に触れる。不思議がるように『首を傾げ』、今度は軽く叩いてみる。敵性体を検出した巨人は、それを取り除こうと左腕を伸ばすが、どうした訳か、一向に触れることができない。触れようとする度に、“それ”は揺らぎ、掴み上げようとする腕をすり抜けていく……ように見える。 しかし、何度もすり抜けていく内に、“それ”は嫌がるように身体を攀じり、再び消え、今度は巨人の眼の前に現れた。 じっと、先程小さな戦闘機械にそうしていたように『見つめる』。しばらくの後、やはり同じように、巨人に向けて『指差し』。その先にあるのは、再生が進んでいるはずの脚。 ……ぴたりと。それを切っ掛けに、巨人の再生が止まった。
「チッ……今のところ収穫は無しか……」 鋼の残骸を漁りながら、銃を構えてながら呟く。 男は違法回収業者(イリーガルダイバー)、正規に依頼された業者ではなく、違法に「神戸」の街に眠るロストHCUを回収するハイエナのような存在。 そんな彼が「神戸」で回収作業を始めてから今日、未だにめぼしい収穫が無かった。 危険を承知で「神戸」へ来たのに、このままでは骨折り損。なんでもいいからなにか回収持ち帰らねば、という思いが渦巻く。 自身のサーヴァントも腹が減ったなにか食わせろとうるさい。 少しずつイライラを募らせながらどうしたものかと思案していると、遠くから爆発音が聞こえてきた。 その爆発音に心当たりがあった。「あの羽付きか」と呟き、同時にアイツが戦闘しているということは、そっちに何かあるかも知れないな、という目星も付ける。 「……何か見つけたかも知れないな。まぁたまにはいいだろう。いつも邪魔されてる礼を返さなきゃな…」 そして爆発音が響く場所の方へと一気に駆け出す。 向かううちに何か巨大な機械が現れたのと巨大なロボが、爆発音がしたであろう方向に移動しているのが見えやっぱり辞めとくべきだったか?という思いが過ぎたが…
『なんでも何も、また架線を壊しただろうルーキーども! ここまでめちゃくちゃなのはアンタらが初めてだ! まったく……』 『クルージーン』から聞こえる声が俄に落ち着きを取り戻す。『状況は? 何に手を出したらこうなった? ここ一帯は無人機の巣窟だ。CDUからの忠告もあったはず。その上で何故立ち入ったかは今は尋ねないことにしておく。回収物もないなら命あるうちに撤退することを勧めるけど』 そう言いつつリゥはアンリエッタたちと機体を挟んだ反対側、『クルージーン』の左の杭剣を白化させていく。 アンリエッタに問いを投げかける最中も『クルージーン』のカメラは周囲を伺うことをやめない。リゥは過去にもあの合体巨人を相手にしたことがあった。その時に確かに灼き尽くした手応えがあった、にも関わらず同型のものの発見報告が何度も上がっている。つまり、あれは再生能力を持つということだ。 再生速度はわからないが最悪を考えるとキリがない。とにかくここを離れなければ。
>> 17 「やべぇ! デケェの来た! お礼参りか!!?」
と驚いたが、どうも見ると中に人がいる様子。ああこれは同業者かな……と安心しながら巨大な機械に銃弾を撃ち込み下半身を吹き飛ばす。
「動きは封じさせてもらったぜ!! 大人しく狩られてな!!」
そうしてとどめを刺そうとしたとき、信じられないものが視界の端に映った。
>> 18 「うぇ!? マジック!?」
余りの唐突な一瞬に、トドメも忘れてそちらに視界を映す。 見ると、先ほどアンリエッタが触れていた少年(と、なんとなく仕草から定義して、静雄はそう呼ぶことにした)が、突如として現れた巨大ロボの頭上にいる出会ないか!
「すげぇ! ルーラだルーラ!! SCORE見ろよドラクエの勇者だあいつ!」 『服装はどっちかって言うと僧侶じゃないかなあれ…』
>> 19 などと馬鹿らしい会話をしながら、爆炎を噴射させながら着地する。 そうしてアンリエッタの傍にかけより、先ほど顕れた巨大ロボに話しかける彼女に問うた
「あれ? 知り合いっすかアレ?」
>> 14 「ちょーちょ、あんたはすぐ壊す──────!!」
目標をたびたびスクラップにして持ち帰るのはお互い様だが、特に静雄の破壊傾向は群を抜いている。 この前も、もう少し丁重に扱えと言ったばかりだと言うのに。モーゼルの一撃は直撃したが、巨人の下半身を形成していたロボットを吹き飛ばすに至り、その場には大きく土煙が巻き起こった。
>> 17 その瞬間、彼女は視認した。 巨躯の右腕を同時に斬り飛ばす、彼方から飛んできた、見知った巨大な人型を。 爆発の余波で、右腕を成していた無人兵器群がこちらに向けて飛んでくる。
『ふん!!』
彼女の前に立ちはだかるライダーが、手に持った槌矛の一撃のもとにそれを吹き飛ばした。
>> 18 それと共に土埃は晴れる。……しかし、そこに"それ"の姿はない。 まさか潰されたか?と一抹の不安が頭をよぎった時、ふとライダーが上を指さしているのが見えた。
その通りに視線を動かすと——————いる。 下半身を失い、ほぼ機能停止に陥った巨躯の頭の上に、いつの間にかそれは移動していたのだ。 「——————ホント、何なのアレ?」
呆れと共に声を出し、彼女は飛んできたもう一体の巨大ロボットに向けて、同じような調子で声を上げた。
「……で、何でこんなトコに居んの?ペンルィ君(あなた)。」
同業、同社に属する男。見知った機械の主に少し不満げに声をかける。……彼女の方に、右腕が飛んできたためであろうか。
——————————奥でほぼ動かぬ巨体が、再び集まってくる無人兵器により再生しつつあるとも知らず。
今日の授業内容が保健だ、と聞いて、少し顔を赤らめるのは、きっと私だけでないはずだ。同い年の友人は殆どいないから、あまり自信はないけれど。
ともあれ、いつもの指導室では、センセイが黒板に、いつも通りのとぼけた顔で文章を書き込んでいた。タイトルは、「各種身体機能の成熟について」。こんなこと だとかそんなこと だとか言う無神経な人にはこれくらい許されるはずだ。
簡略化された半身ずつの人間の身体——当然片方は男性、片方は女性——が、ものすごくデフォルメされた下手くそな筆使いで描かれているのを見ると、センセイの不器用はいつまでも変わらないなぁと思う。
「不老不死を獲得しても、人間の持っとる基本的な代謝・成長の機能までは変わらん。つまり、寝る子はよう育つし、たくさん食べれば背丈も腹回りも大きくなりやすい。そんでもって食べたら食べただけ出るものも……」
「センセイ、その先は言わないでください。『最低です』ってヤツですよ。デリカシーないです」
「んぐむっ……ごめん」
書きながら喋るセンセイに、つい反射的に冷たい目線を向けてしまった。
けど、年頃の女の子に堂々と
この辺のトーヘンボクっぷりも変わらないけど、此処は出来れば変えて欲しい。
「……言い方が良くなかったかな。変に軽く言わんと、体重増えるとか、排泄物も出るとか……?」
……訂正、是非とも変えて欲しい。
普段はいいけど、こういう授業のタイミングで、繊細な心情を考えて欲しい時になると、センセイはオンボロロボット並みにポンコツになる。
ここさえ改善されればもっと授業を受けたがる生徒も増えるだろうし、なんならきちんとしたクラスを持つことだってできるだろうに。いまいち人気が伸び悩んでいるのは、この辺も理由としてあると思う。
閑話休題(……だったっけ?)。
それはともかく!と、センセイが咳払いを一つして、今度こそ授業が始まった。
「ともかく、人間は生物であり、従って成長する。此処まではええね?」
「大丈夫です」
「宜しい」
ほないしたら、と続けて、黒板の一角に四角い枠が増える。中黒を一つ打って先生が聞いてきたのは、「成長する場所」について。
「分かりやすいのは身長で、これはまぁ、赤ちゃんから次第次第に大きくなっていくってのが多くの人の当たり前な訳やけど。これ以外で、人間のどんなところが成長するか? ちょっとこの枠に書いてみ」
白いチョークを手渡され、起立を促される。
黒板の前まで来たのはいいものの、急に言われると、流石に少し思い出すのに時間がかかる。
体重……は乙女として言いたくないから、他のもので何か考えよう。
「えーと。まずは……免疫?」
子供より大人の方が病気にかかりにくくなる、そんな印象がある。
ということは、免疫機能、身体の丈夫さも、年齢に比例して上がっていくのでは? という連想から、まず一つ。
それから、筋肉や骨。センセイは身長が伸びるという形で表現したけど、節々に響く成長痛で眠れない夜を過ごしたことは、一度や二度じゃない。
背が伸びる以外にも、身体のパーツ全体が大きくなっていくのだから。
後は……脳の機能。大人になるまでに、脳の神経細胞は増えて、大人になったら後は減っていくだけ。そう聞いた。
なら、大人になるまでの間は成長していくと解釈できるはずだ。
というわけで、書き出したのは「免疫」「筋肉と骨」「脳」の三つ。これでどうだろう、と、席に戻ってセンセイの反応を待つ。
__________しゃんしゃんしゃん、しゃんしゃんしゃん。
モザイク市「天王寺」の雪降る聖夜の寒空を、ベルの音を響かせながら一台のソリが翔けていく。
けれどソリを引くトナカイは影のように真っ黒で、ソリに乗ったサンタは四人もいる。
もこもこのサンタ服に包まれた銅色の髪の少年は、夜空を駆けるソリに目を輝かせ、両手を挙げて風を切る気持ちよさを堪能している。
彼を抱えた、控えめにサンタ帽だけ被った学生服の銀髪の少女は、不服を申しながらももその顔はまんざらでもなさそうで。
先頭に立つ、赤いスーツに付け髭までつけてサンタになりきった青年は、次の家はどこですか、と背負った袋からプレゼントの箱を取り出し。
その隣に腰掛ける、巫女服を模したふわふわのサンタ服を着た黒髪の少女は、次はあちらですね、と手のひらサイズの鏡を通して天王寺の街を見渡している。
クリスマスキャロルという小説では、ごうつくばりのスクルージの元に三人の精霊が現れ、過去と現在と未来を見せて、彼を改心させたという。
だから、少しぐらい「ずる」をしても、今宵は神様も許してくれるだろうと。
巫女の少女はその瞳に移る暖かな未来へ向けて、夜空にソリを走らせていく。
今年のクリスマスは、天王寺では二台のソリが夜空を駆け。
そして天王寺に住む少年少女たちは、前の年より一つ多くプレゼントを貰ったのだと、いつもより賑やかに聖夜を過ごしたのだとか……
もしもし…はい、そうです。俺です…お久しぶりです。
はい…ええ、俺は元気です。そちらは…?
そうですか、特に変わったことは……そうですかお変わりなく…
ところでお子さんは元気ですか?……そうですか、それはよかった。
……そういえば小切手、また届きました…?ええ、例の……ああそうですか届いてる…
今ですか?今は……今は日本で仕事をしています。
すいません、急な話で……はい、すみません連絡せずお騒がせしました。
………いえ、俺は貴方たち家族に会わせる顔なんてないですから。
…大丈夫です、心配しないでください。慣れない環境ですけどなんとかやっていけてます。
はい…ありがとうございます、それじゃあお元気で。
もしもし……ああ、俺だ…ああアレか。この前回収したアレなら…
アァ…?ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ、アレを回収するのに俺がどれだけ苦労してきたと思ってんだ!
オイ、何がそういう訳だふざけた事言ってんじゃねぇぞオイ!オイ待……クソが言うだけ言って勝手に切りやがった!
チクショウ何が回収期待してるだくたばれクソ野郎…!
……おいギドィルティ!また「神戸」にいくぞ準備しろ!
ギドィルティ……ギドィルティ!!クソ居ねぇ!アイツ何処行きやがった!
フルチューンしたモーターを唸らせ、力の限り自転車を漕ぎながら螺旋坂を突き進んでいく。
「うっえ~~を向い~~たらぁ~星ぃがあってぇ~~~!」
「ぶぇっほ!うぇほぶふ……!ハルナ下手すぎ!!」
「うっさい!!なつかぁしぃ記憶にぃ涙ぁあふぅれ出すのぉ~~~!!」
ご機嫌に流行りの歌を歌いながら―――なのだが、シノが茶化してくるから怒鳴り返す。歌は声量だろ常識的に考えて。
トップスピードで坂の終点をジャンプし、強い冷風が顔を吹き抜ける。
屋上―――市民が出入りできる範囲では一番高い、モザイク市「神戸」の天板に位置する屋外エリアに出てきた私は、自転車を降りてすぐに駆け出した。
空を仰げば、宇宙。
手が届きそうなぐらいに満月が上り、夕刻であっても冬空はすっかり真っ暗な背景に星を散りばめている。
その優美さに一通り胸が沸き立つものを感じながら、その姿をより観察するべく巨大なバッグを漁り始めた。
鏡、紙筒、エトセトラ。見栄えは図画工作みたいだが、これでもカリスマ観測士マナカさん推薦の立派な代物だ。
キチンと組み上げていくと一端の反射望遠鏡に仕上がってくる。
「よーし快晴!今日はよく見えそうだな~っと」
「ふひーつっかれた……あんたよくもまぁ飽きずに見にくるわねぇ。今時外の天気なんて業者が見るもんっしょ?」
今のご時世、空調の効いた「神戸」の中では昔に比べて気象情報を見る者は少ない。
外壁の作業員が利用するポータルをわざわざ覗いて、絶好の観測日和か否かをチェックするのが日課になっていた。
「趣味に時間を費やすのはいいことよー?シノ」
「お勉強とかなさらないんですか……!?私たちそろそろ人生の瀬戸内海に立たされていることですよ!?」
「瀬戸際ね。私はカリキュラムの試験模擬A+判定だったから」
「あーそーでしたね……カリキュラム出たらどこに入るかも決めてるの?奏金?ラジアルメカニカ?」
「そこまではまだ……研究方面が肌に合うなら、三島でもいいかもね」
「あたしはストレガにしようかなー?美の研究とかそんな感じの」
もうそんな時期か。
もうすぐしたら、私たちの年代はHCUの育成カリキュラムを受けてどこかの企業の社員を目指すか、外に出て自由と責任を謳歌するかを決断する。
私たちの言うことやることは大人曰く、聖杯がやってくる前とさして変わらないとか。
聖杯、サーヴァント。私はまだ後者を持ってはいないけれど、この辺の順応は皆割と早い。
テレビじゃ今後の危険性を訴えたりもしたが、すっかり聞かなくなったあたり誰も関心がないようだ。
ここはそんな街だ。
現在に熱狂し、過去も未来もキャッチーでなければ沈んでいく。爆ぜる泡の如きモザイク市。
対して、何千年も変わらず在る星々のなんと静かなことか。
―――などと感傷に浸るが、最新式の端末で望遠鏡の連動アプリを弄りながらだと説得力が無いかもしれない。
まぁ、結局何をするにしても楽観的にテクノロジーを頼るのが、良くも悪くも私たちの種なんだろう。
「まぁまぁ、そんなことよりジュリもどう?星見る?」
「えー……天の川どこ?織姫様に出会いをくださいって一念送りたいんだけど」
「今は冬だし……」
「あーじゃあアレ、あのでっかいの何?何等星?」
「……あぁ、アレは一等星より明るいやつで―――」
―――
――
―
―――上を向いたら、星があって。
空を仰げば、天井。
どこまでも上部構造は高く、真っ暗闇を背景に朽ちかけた人工太陽が頼りない光量で地上を照らす。
―――懐かしい記憶に、涙溢れ出すの……
2025年
────微睡の中で、ザックライアスは目を覚ます。視界には変わらぬカルデアの天井が映る。
そうだ、あれは夢だ。堕天使に支配されなかった可能性。在り得たかもしれないIF。
だがそんな物はない。そんな幸せは有りはしないし、此処から先も起こり得ない。
聖地に自由を求めたあの日から、彼は全てを奪われ、そして凡てを奪い去った。
己の未来を、子の自由を、子孫の可能性を、堕天使の誘惑に負け、その総てを捧げた。
「────……っ」
頬を雫が伝う。どうして自分は、あの日、身に余る渇望を抱いたのだろうか。
そのような後悔だけが、何度も胸中で渦巻き、胸を打つ激痛となって襲う。
『大丈夫かい? 辛いようなら休むかい?』
「……いや、いい。行ける。大丈夫」
通信越しに響く声。それに生返事で返し、彼は立ち上がる。
「これは、俺が選んだ道だから」
失われた命は回帰せず、過ぎ去った時は巻き戻らない。あるのは唯後悔のみ。するべきは、ただ1つの贖罪のみ。
そのために此処にいる。そのために俺はいる。そう自分に言い聞かせ、奮い立たせ、彼は星見の砦に立つ。
進み続ける意志を止めることができるのは、始まりの意志だけなのだから。
「親父殿! ようやっと魔術の師匠見つけることが出来た!」
「本当か!? そりゃあめでたいなぁ! というかやっとか!?」
喜んだ顔で勢いよく飛び込んできた息子に対して、"俺"は笑いながら祝いの言葉を口にする。
「おめでとうヘイレム~~。それで何専攻するか決めたの~~?」
「あー…それがだな。まだ正直迷っててだなぁ…」
「死と生について一緒に研究しないかい兄さん」
「お前はまたそれかよ!? 俺は俺の道を行くよ!」
騒がしくも暖かい、目の前で繰り広げられる会話を見て、心が解ける感覚を覚える。
「────こういう家族らしい会話は、暖かく、楽しいものですね。お父様」
「……そうだな……ルシア」
隣に座る長姉の言葉に、"俺"は頷く。そうだ、本来家族とは、こうあるべきなんだ。
義務感に縛られず、疑心暗鬼もなく、心を休められる場所であるはずなんだ。
────だが"俺"は、この可能性(かぞく)を否定した。この道を選ばなかったんだ。
「……ごめん」
その言葉は意識せずに出た。謝らずにはいられなかった。この、本来あるべき幸せを、俺はお前たちから奪ったんだ
>> 50
>> 51
/お疲れさまでした!
/因みに“それ”の能力についてはそのうち泥としてしっかりお出ししたいと思っています(願望)
>> 50
/お疲れ様でした!ありがとうございました!
>> 47>> 48
『カ、ハハハハ……お前は素直ではないな。まあ──────鉄屑でも、悪くない駄賃だろうよ』
去り行く男の背中に向けて、彼はどこか遠くを見、独り言のように告げる。小娘 。脅しの道具のデカブツが無くなったのだ。奴の狙いがアレであるならば、取引に使わぬ手はない。奴はサーヴァントも見せていないのだぞ?オレを動かす魔力も、もう無いだろうに』
そして振り返ると──────鬼の形相でこちらを見据える、マスターの姿があった。
『……何だ。"解き放った"時以上に恐ろしい面をしているぞ。』
「何のつもり?」
少女は問い詰める。これではまるで横流しだ。
『別段、無意味に渡したのではない。相互不可侵だ、
「……確かに。……戦う以外の選択肢あったんだ、あんた」
『戦えないのなら、戦わぬ他ないだろうよ。命と引き換えに強奪されたようなものだ。…それに、暴れられてこいつに何かあれば────ん?』
ライダーはそこで初めて異変に気付き、続いて少女も気付く。
そこには、確かにそこにいたはずの"それ"が、忽然と消えていたのだ。
「何だったの?一体──────」
後には、ただ困惑する少女と、ライダー、そしてSCOREだけが残っている。
遠くに見えていた巨人の姿も、もうない。彼がやってくれたのだろうか。
夕日が差し、冷たい風が吹く。あたりにはどこか、寂しい雰囲気だけが残っていた。
此処はモザイク市「神戸」。今日もまた不可解な現象が起こり、そして幕を閉じたのである。
【ロストHCU 調査報告】
・無人機兵【巨兵モデル】
二機をほぼ完全な状態で確保。一機は破壊された上、違法回収業者によって強奪された。
・無人機兵プラント基盤
所在地未だ不明。周辺一帯には大量の無人機兵が存在する模様。巨兵モデルの出現も多数報告されている。
・不明
直営回収業者が接触した謎の生命体。ロストHCUの可能性があるとみて調査を進行中。
/ここで以上とさせていただきます……お疲れさまでした……!
>> 48
/お疲れ様でした!
>> 46
>> 47
『ふう……これで終わり、かな?』
「ナン、サ、ソ。 ナィ、マ、ェ、キ、゙、、」
崩れ落ちる巨人の残骸を尻目に、“それ”は指差しを終える。脅威は消えた、と、そう認識したのだろう。
『ありがとう、助かったよ。手伝ってくれてありがとう』
「、ウ、テ、チ、ウ、ス。 、ク、网「。「、゙、ソ、ヘ」
『え? またねって』
しかし、SCOREに対して何事かを伝えると、“それ”は文字通り、瞬きする間に「消えた」。
思わずSCOREが周囲を見渡すが、痕跡一つ残っていない。彼なりに魔力が残っていないかなど調べるが、これもダメ。
空間転移。魔法にも匹敵する現象を、それも一瞬の内に。異様な光景を眼にした混乱のあまり、少女と男のやり取りも、SCOREの耳には入っていなかった。
───“それ”はもういない。いたという証拠もない。後には、困惑する1騎のサーヴァントだけが、ぽつりと残されていた。
、ス、ヲ、、、ヲサヒ、ハ、テ、ソ
/こちらはこれにて失礼いたします……
>> 46犯罪者 だ、人様に迷惑かけて生きてるロクデナシだ…それ以上でもそれ以下でもねぇよ。じゃあな、直営 のクソガキとそのサーヴァント」
「……素直じゃねぇか。いいぜ、貰ってやるよ」
ライダーからロストHCUを受け取るイーサン。
もう用は済んだ、とばかりに少女とサーヴァントから背を向ける。
「俺はただの
立ち去ろうとする途中思い出したかのように男は足を止め、彼らに振り返ることなくライダーに先ほどの答えを返し、今度こそその場を立ち去ろうとする。
>> 42違法 !?こんなところまで……」
「……
彼女は物陰から出てきて初めて、物々しい装備の黒肌の男に初めて気づいた。
『先ほどから怪しかったのでな。……何、協力するならオレ達もお前からは手を引く。おそらくこのデカブツも、ロストなんとかとかいうやつだろうよ。……悪い話じゃないだろう?』
「違法と協力するってこと?!」
『それしか手はないだろう。オレに注げる魔力はあとどの程度だ?』
「……あーもう。分かった分かった、この魔力食いサーヴァント」
>> 44>> 45
さて、"それ"が巨体を押しとどめている間に、ライダーと男は巨体を挟んで反対側に陣取り、槌矛を構えた。
『じゃあ、せーので行くぞ。1、2……』
力を込め、勢いよく巨躯の胸へと、男が銃撃をたたき込むと同時に振り下ろす。
『3!!』
凄まじい破壊音と共に、巨体の胸部は木っ端みじんに爆ぜる。
すると中から、異様な赤色の光を発する、特殊個体とも言うべき無人兵器の、すでに破壊された残骸が姿を現した。
『巨人は、こいつの仕業か……』
残骸を取り出したライダーは、興味もなさげにそれを一瞥すると、何を思ったか───男に、それを差し出した。
「ちょ、ロストHCUよ!?違法にあげるの!?」
『元より目当てじゃない。それに、他はあの小僧(リゥ)が回収するだろうよ』
戸惑う少女を尻目に、ライダーは男を見据える。
『……オレはかつて、善に生きた。だが今は、悪に堕ちている。罪過の呼び声が、オレを常に苦しめている』
『お前の目は、オレと似ている。罪過に苛まれながら、動く他ないと。──────そうなのではないか?』
がらくただが、ロストHCUと認められる程度の原型は保っているだろう。
受け取るも受け取らぬも、男次第だが──────
「めんどくせぇ事に巻き込まれたぜ全く…話は聞こえてたよ、アイツの腹に穴あけりゃいいんだろ」
ブツクサと文句を言いながら、イーサンは自身の武器、AA-12のマガジンを別の物に変更する。
それは高性能爆薬を内蔵した特殊な弾丸『FRAG-12』、言ってしまえば弾丸の一発一発がグレネードである。
そんな代物が詰め込まれたマガジンをフルオート射撃するのだ。
普通ならひとたまりもないだろう、無論あの巨人を破壊するのにも十分な威力だ。
>> 44
「ったく、得体がしれない奴だな。まぁ今はいいが……」
“それ” に得体の知れない恐怖を少し感じながらも、“それ” の能力によって動かなくなっている巨人の腹部へ向けて、弾丸を連射したーーー
>> 40
>> 42
他の人間は相変わらず目に入っていないが、SCOREの通訳のもと、“それ”は指差しを続ける。
『機械が集まってる真ん中あたりに、コアがあるんだって。さっきみたいに、止められる?』
「……、チ、遉テ、ネニキ、、」
『そっか。じゃあ、そのまま止めててくれるかな』
「・ェ・テ・ア。シ」
『ありがとうね』
巨人をその場に押し止めることに注力する、ということを、少女と男へ伝えるSCORE。その間も、“それ”はじっとSCOREを見ている。
特に喋りだすことはない。見ているだけ。何を思っているのかは、様子からは窺えない。
>> 41
/いいんだ…
>> 40●●●● !良い性格してやがんな直営 の連中はよ!」
「……ああ
ライダーの声に、少し遅れて反応し彼らの前についに出てくるイーサン。
あのサーヴァントの言うとおり、あのデカブツをけしかけられたら面倒なのはこっちだ。
もしやそれなら今ぐらい共同で破壊すればまだマシという考えでの行動だ。
ひょっとすれば単にカマをかけられただけかもしれないが、もう出たものはしょうがないと半ばヤケクソ気味の思考だった。
/大分遅れてしまいました、申し訳ない……
>> 39
「……うまく行ったみたいね」
どんな存在なのかすらも分からないが、とりあえずSCOREの力によって対話は行えているようだ。
後はSCOREを頼るしかないだろう。……不可解な力を持った目の前のものは、壊すのには協力してくれるとの事。
「ん、まだ壊し切ってないしね……こいつ一体だけでも壊すか」
「……言うて、どう壊し切るの?また再生するよ」
『それは問題ない』
ライダーが口を開いた。
『暫くそいつを見ていたが、どうやら中心に向けてガラクタ連中が動いている。……そいつの中心に、中核になるガラクタがあるんだろうよ』
「……じゃあ、穴を空ければいいわけね」
『簡単に言うな小娘(マスター)。お前にも残存魔力は余りないだろう?逃げ出す体力が無くなればどうする』
「……それじゃあ、どうやって……」
>> 38
するとライダーは、そこから脱出しようとする業者へと、唐突に振り返って声を上げた。
『おい、お前。そこに居るんだろう?』
『少しは付き合っていけよ。でなきゃこいつが、お前にデカブツをけしかけると言ってるぞ』
無論、これはハッタリだ。食いついてこなければそれまで、だが……
>> 28
>> 29
離れていく少年やクルージーンには、“それ”は目もくれない。言葉を直接届けたSCOREのことしか目に入っていないようだ。
相変わらず『指』だけは巨人を指し、その動きを抑えてはいるが、『顔』はがっつりSCOREを捉えている。
「豌励▼縺九↑縺九▲縺溘h。蜷帙、し繝シ繝エ繧。繝ウ繝茨シ?」
『うん、そう。君は?』
「……」
『言いたくないの? ……うーん。それだとマスターが困るんだけど……』
「……縺斐a繧薙h」
『まあ、仕方ない、かな?』
聞き取りさえできない謎の言葉で、“それ”とSCOREは会話する。しかし、その間、少しも巨人は動かないまま。
問うてみれば、それは『敵』だから、どうにかしようとしているのだ、と“それ”は答えた。
『じゃあ、あれを倒すの、手伝ってくれる?』
「繧上°縺」縺溘h」
『ありがとう』
……どうやら、一先ず巨人の討伐には協力してくれるようだ。
>> 29●●●● …どうする、アイツだけなら俺も危険か…!?)
(ゲッアイツまで離れるのかよ
いきなり回収業者が二人も去り、流石の彼も焦る。
なにせここに戦力が自分ともうひとりの回収業者しかいないのだ。
そんな彼が取った行動は……
>> 36
(悪いな、あとは一人でなんとかしてくれ)
離脱であった。違法回収業者の彼にとって、当然とも呼べる行為。
ロストHCUを回収するなら今が最適である。
そして彼はロストHCUを探し始めようとその場を後にしようとするーーー
>> 28>> 29
/お疲れ様でした!ありがとうございます!
>> 28
「あー……出るだろうね、やっぱ」
神戸に来て、自分も暫く立ってはいる。少なくとも異常な風景に驚くことはもうないし、起こりうる事態の予測も、目の前のペンルィ程では無いが付くようになった。
故に、沈痛な声でその事実を告げる彼の声に、落胆を多分に含んだ声色でもって応えた。
突然一体現れたのだ。二体目、三体目が突然現れても、何もおかしくはないではないか。
「わかった。私もできるだけ早く離れるわ」
彼女はそう呟くと、小言は多いが、しかし確かに信頼の置ける彼という先達の去り際を、少しばかり眺めていた。
/お疲れ様です!
>> 27
"それ"の発した音は、声のようで声ではない。……が、静雄のサーヴァント、SCOREの声には、確かに反応を示しているようでもあった。……よくわからない。
SCOREは、その言葉を理解できるようだ。……彼の言葉に従った方が良いのだろうか?
>> 29>> 31
「ああ、もう。……滅茶苦茶に撃ってるからよ。派手なのはいいけど……って、ちょっと!…話は後!!」
そうこうしているうちに、静雄が弾切れを起こしてその場から去ってしまう。
残されたのは、ライダーを連れた彼女という直営回収業者ひとり。
……横からかっさらうには、またとない機会だ。
/お疲れ様でした
/いいんだ…
>> 28
>> 29
/お疲れさまでした
/クソ面倒なキャラで絡んで申し訳ない!
>> 28
>> 29
/お疲れ様でした!
>> 24
(チラチラこっちを見てやがる、気づかれてるな…まぁまだ警戒してるぐらいか)
自身の存在に気付いているであろう彼の視線を気にしながらも、未だ物陰に隠れる。
>> 25
(ほう…そんな物があったのか、それは良いことを聞いた)
思いがけないロストHCUの情報、やはりここに来て正解だったなとほくそ笑む。
向こうのサーヴァントがこちらの様子を伺っていることには気付かないまま。
>> 27
(しかしあれは一体何だ…?あれもロストHCUか何かか…?)
得体の知れない“それ”の様子に警戒し、その場から動けずにいた。
あれがどういったものかわからない以上、迂闊に動くのは危険だと判断したゆえの行動である。
>> 28
(お、あのデカ物が離れたか…ツイてるぜ)
思いがけない幸運に、イーサンは再びほくそ笑む。
あの二人はあの得体の知れない相手をせざるを得ないだろう。
そして俺も動きやすくなり、ここがゴタゴタするうちにロストHCUを先に回収しやすくなるだろう。
そう考え、やがてその機会が来るタイミングを待ち続ける。
>> 28
/お疲れ様でした!
>> 27
「え? なんて?」
何かしゃべったのは分かった。うん、わかったのだ。分かったのだけど。
わ か ら な い
聞き間違えだったかな… と思って思い返して脳内で解析するも、静雄の脳みそのCPUはMS-DOSにも劣る低スペックであるためたちまち煙を噴き出した
「すまん! SCORE! なんていったかわかる!?」
『ありがと、だって』
「あー、感謝されたの俺 …なんで?」
静雄は首を傾げたが、その拍子に先ほど見えた違法回収業者がまた見えた。
>> 26
「あいつ……こっちをうかがってやがるな? 漁夫の利でも狙いてぇのか? そうはいかねぇぞ」
そう言いながら、腰に差すモーゼルに手を伸ばし、そして弾倉入れに手を伸ばす。
違法回収業者がどんな手も使う非情な奴らだ。ここで放っといたら目の前の少年やら、
クロ姐やら怪我させかねない。そう考えてすぐにでも攻撃できるように準備を
じゅんびを……
「ああああああああ!? 弾がねぇ! くっそ!! さっきので打ち尽くした!!
……悪い!! 後頼めるか…? SCORE!」
『いいよ。任せて。彼は、僕と仲良くなれるかも』
「友達出来そうか! そりゃよかった!」
バンッ! と爆炎と共に地面を蹴り上げて走り出し、
SCOREを通じてアンリエッタと巨大ロボの操縦士、おまけに謎の少年にメッセージを伝える。
「すいません! 全速で調達してきます!! SCORE預けますので好きに使ってやってください!!
SCORE! 5時までには帰るんだぞ!!」
『わかったー』
そう言って、静雄はそこから離脱していった
/夜も遅いので離脱します! お疲れ様でした! SCOREは自由に使ってくれても 帰してもどちらでも結構です
リゥは顔を覆った。考えうる限りの最悪が当たってしまったのだ。
『……二体目だ』
機体のセンサーは数km先から、先程倒壊した無人機塊と同じものが、あろうことかこちらに接近しているのを捉えていた。更にアラート。その近くに三体目まで発見した。悪夢でも自分は見ているのかと現実から目を逸らしたくなる。
ここまで来るともはや回収業者の領分ではない。リゥたちのするべきことは速やかに帰還し評議会に報告書を提出することだろう。……だが、このままでは遁走すら容易ではない。
『聞いているかルーキー・アンリエッタ! 僕はこちらに接近する二体を仕留めに行く! あんたたちはその、よくわからないのをどうにか抑えてくれ! そして「港島」に戻り報告を頼む!』
そう言うだけ言い残して。現れたときと同じく、空気の燃える甘やかな香りだけを残して唐突に『クルージーン』が飛び去っていった。
(離脱します)
>> 21
それまで、どんな声にも反応しなかった“それ”が、初めて反応を示した。
『指差し』は止めず、しかし、『顔』をそちらへ……SCOREへ向ける。「如何なるものへも声を届ける」というSCOREの特性が、効果を発揮したものだろうか。
反応したのは、SCOREからの呼びかけだけ。それ以外には気づいた素振りすら見せなかったが、しかし、聞こえた言葉には従うことを決めたようで、足音一つ立てずに『走り寄り』、『指差し』で巨人を押し留めたまま、少年の傍らへと“それ”はやってきた。
……そして、初めてそれは、声と認識される音を出した。
「縺ゅj縺後→」
>> 23直営回収業者 が操作する巨大ロボ、同じく他にも見知った直営回収業者 が二人。“死に損ない” と呼ばれる彼も、この状況では出るに出られなかった。
(おいおい、何が起こってるか気になったから見に来たら…どういう状況だこりゃ…)
イーサンは物陰から周囲の状況を伺う。
謎の機械の巨人と、見るからに
流石に
しかしその場から逃げ出そうとは思っていない。
ここまで回収業者が揃っているのだ、おそらく何かがあるという予測。
あわよくばそれを回収しようと考えているのである。
隙あればいつでも飛び出せる準備はしている、あとは機会を待つだけだ……
>> 20>> 21先輩 だけどね。上の会社一緒だし」
「ん……知り合いっつーか、同僚。シゴトじゃ
とりあえずの危機は脱した事を確認して、埃を払いながら静雄に向けて呟く。
「架線?"かんしゃく玉"で永久に壊れるじゃん、そんなん。いちいち気にしてらんないし」
減らず口を言いながらも、上空で警戒を怠らない大型ロボットを見つつ、流石のベテランだと彼女は微かに思う。
聞かれたことに対しては素直に、これまでの状況を簡単に説明した。
「ん——————回収物は一応。無人機の全自動生産システムだかのプログラム。工場はこの辺にあるらしいけど、スクラップで埋まってるっぽい。私はその調査。……こいつは知らんケド。」
「——————で、まあ。壊しながら探してたら、そのでかいのと——————」
彼女は次に、"それ"へと指を指す。そこには驚くべき光景があった。
>> 23
「——————!?」
彼女の指さした先には、その光景の一部始終があった。
腕をすり抜け、瞬間移動などの不可解な行動を行いながら、"それ"が巨人に向けても先の動作をしているのに気づく。
巨人が再生していたことと、その再生が止まった事に彼女が気づいたのは、ほぼ同時だった。
まったく理解できない光景だが、あるとすれば眼前のそれは———————
「ホント、何これ。——————"サーヴァント"?それとも……」
>> 22
『——————』
同時期。こちらへと近付いてくる不審な影に、ライダーは気づいていた。
金色の邪眼を静かにそちらへ向けるが、たくみに視線を避けながら移動しつつ、しかし確実に近づいてきている。
手練れの間者か、あるいは——————そう判断したライダーは静かに、しかし確実にそちらの様子をうかがっている。
何か行動を起こしてくるならば、少なくともマスターだけは護れるよう、密かに構えた。
>> 21
「あーすんませーん!! 忠告聞いてませんでしたー!!」
ひとまず謝罪を返す。そもそも忠告されてたっけ?とか 偉そうだな先輩かな?とか 色々思うところはあったが、
まずとりあえず謝れと親父に言われたことを思い出して謝罪する。
しかし架線作ってる人だったのか…悪いことしたな、今度は火薬量に注意しよう…と考えている中、新しく顕れた人影を見やる。
>> 22
「おっ? あのヤロウ…また来やがったな」
目に映ったのは、よく邪魔される(=彼を邪魔する、ともいえる)違法回収業者だ
ったく、何度も懲りねぇ野郎だ。そんなに戦いたいなら正規になってから来い、と思いながらそちらを向く。
さてどうするべきか、違法回収業者だし痛い目見てもらうべきか…とか考えながら周囲を見渡していると、
"それ"がまたもや目を引いた。
>> 23
何と巨人が再生している。いやそれどころじゃない
その上に少年がいるではないか。これはまずい。ケガしてしまう
「あぶねぇ!」
と叫んだが、少年は怪我どころか、触られる事さえなかった。
それどころか、巨人の動作を止めてしまったではないか
「なんだありゃあ……。なんか…あれだ。ゲームでも見てるみたいだ…。なんつーんだろ? あれだよ…ジョジョとかのゲームで見る…わざとバグらせる奴」
目の前で起きる不可解な現象の理由を考えるも、少ない脳細胞は回らない。
ええい! 違法回収業者とか巨大ロボとか気になるけど! と頭を振って静雄は叫ぶ
「おいお前!! 何もんだ!? サーヴァント!? 新入り!? とにかくあぶねーから! こっちこい!!」
停止させた少年に対して、静雄はそう叫んだ。
念のため、SCOREを通して声も届けてみた。
>> 19
>> 20
>> 21
周囲の騒がしさを余所に、“それ”は巨人の頭の上から動こうとしない。巨人は徐々に再生し、それに伴って体躯が傾き始めているが、頓着することなく、頭の上に鎮座している。
『座る』ように縮こまって『腕』を伸ばし、ぺたぺたと巨人に触れる。不思議がるように『首を傾げ』、今度は軽く叩いてみる。敵性体を検出した巨人は、それを取り除こうと左腕を伸ばすが、どうした訳か、一向に触れることができない。触れようとする度に、“それ”は揺らぎ、掴み上げようとする腕をすり抜けていく……ように見える。
しかし、何度もすり抜けていく内に、“それ”は嫌がるように身体を攀じり、再び消え、今度は巨人の眼の前に現れた。
じっと、先程小さな戦闘機械にそうしていたように『見つめる』。しばらくの後、やはり同じように、巨人に向けて『指差し』。その先にあるのは、再生が進んでいるはずの脚。
……ぴたりと。それを切っ掛けに、巨人の再生が止まった。
「チッ……今のところ収穫は無しか……」違法回収業者 、正規に依頼された業者ではなく、違法に「神戸」の街に眠るロストHCUを回収するハイエナのような存在。
鋼の残骸を漁りながら、銃を構えてながら呟く。
男は
そんな彼が「神戸」で回収作業を始めてから今日、未だにめぼしい収穫が無かった。
危険を承知で「神戸」へ来たのに、このままでは骨折り損。なんでもいいからなにか回収持ち帰らねば、という思いが渦巻く。
自身のサーヴァントも腹が減ったなにか食わせろとうるさい。
少しずつイライラを募らせながらどうしたものかと思案していると、遠くから爆発音が聞こえてきた。
その爆発音に心当たりがあった。「あの羽付きか」と呟き、同時にアイツが戦闘しているということは、そっちに何かあるかも知れないな、という目星も付ける。
「……何か見つけたかも知れないな。まぁたまにはいいだろう。いつも邪魔されてる礼を返さなきゃな…」
そして爆発音が響く場所の方へと一気に駆け出す。
向かううちに何か巨大な機械が現れたのと巨大なロボが、爆発音がしたであろう方向に移動しているのが見えやっぱり辞めとくべきだったか?という思いが過ぎたが…
『なんでも何も、また架線を壊しただろうルーキーども!
ここまでめちゃくちゃなのはアンタらが初めてだ! まったく……』
『クルージーン』から聞こえる声が俄に落ち着きを取り戻す。『状況は? 何に手を出したらこうなった? ここ一帯は無人機の巣窟だ。CDUからの忠告もあったはず。その上で何故立ち入ったかは今は尋ねないことにしておく。回収物もないなら命あるうちに撤退することを勧めるけど』
そう言いつつリゥはアンリエッタたちと機体を挟んだ反対側、『クルージーン』の左の杭剣を白化させていく。
アンリエッタに問いを投げかける最中も『クルージーン』のカメラは周囲を伺うことをやめない。リゥは過去にもあの合体巨人を相手にしたことがあった。その時に確かに灼き尽くした手応えがあった、にも関わらず同型のものの発見報告が何度も上がっている。つまり、あれは再生能力を持つということだ。
再生速度はわからないが最悪を考えるとキリがない。とにかくここを離れなければ。
>> 17
「やべぇ! デケェの来た! お礼参りか!!?」
と驚いたが、どうも見ると中に人がいる様子。ああこれは同業者かな……と安心しながら巨大な機械に銃弾を撃ち込み下半身を吹き飛ばす。
「動きは封じさせてもらったぜ!! 大人しく狩られてな!!」
そうしてとどめを刺そうとしたとき、信じられないものが視界の端に映った。
>> 18
「うぇ!? マジック!?」
余りの唐突な一瞬に、トドメも忘れてそちらに視界を映す。
見ると、先ほどアンリエッタが触れていた少年(と、なんとなく仕草から定義して、静雄はそう呼ぶことにした)が、突如として現れた巨大ロボの頭上にいる出会ないか!
「すげぇ! ルーラだルーラ!! SCORE見ろよドラクエの勇者だあいつ!」
『服装はどっちかって言うと僧侶じゃないかなあれ…』
>> 19
などと馬鹿らしい会話をしながら、爆炎を噴射させながら着地する。
そうしてアンリエッタの傍にかけより、先ほど顕れた巨大ロボに話しかける彼女に問うた
「あれ? 知り合いっすかアレ?」
>> 14
「ちょーちょ、あんたはすぐ壊す──────!!」
目標をたびたびスクラップにして持ち帰るのはお互い様だが、特に静雄の破壊傾向は群を抜いている。
この前も、もう少し丁重に扱えと言ったばかりだと言うのに。モーゼルの一撃は直撃したが、巨人の下半身を形成していたロボットを吹き飛ばすに至り、その場には大きく土煙が巻き起こった。
>> 17
その瞬間、彼女は視認した。
巨躯の右腕を同時に斬り飛ばす、彼方から飛んできた、見知った巨大な人型を。
爆発の余波で、右腕を成していた無人兵器群がこちらに向けて飛んでくる。
『ふん!!』
彼女の前に立ちはだかるライダーが、手に持った槌矛の一撃のもとにそれを吹き飛ばした。
>> 18
それと共に土埃は晴れる。……しかし、そこに"それ"の姿はない。
まさか潰されたか?と一抹の不安が頭をよぎった時、ふとライダーが上を指さしているのが見えた。
その通りに視線を動かすと——————いる。
下半身を失い、ほぼ機能停止に陥った巨躯の頭の上に、いつの間にかそれは移動していたのだ。
「——————ホント、何なのアレ?」
呆れと共に声を出し、彼女は飛んできたもう一体の巨大ロボットに向けて、同じような調子で声を上げた。
「……で、何でこんなトコに居んの?ペンルィ君 。」
同業、同社に属する男。見知った機械の主に少し不満げに声をかける。……彼女の方に、右腕が飛んできたためであろうか。
——————————奥でほぼ動かぬ巨体が、再び集まってくる無人兵器により再生しつつあるとも知らず。