kagemiya@なりきり 検索除外

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「」んかくん 2020/12/26 (土) 01:16:52


「なんだか棗にはいつも皿を洗わせている気がする………ごめんな」
「え?あっ………そかな。別にいいよ、わたしてんかくんと並んでお皿洗うの好きだし。………新婚さんみたいで」
「ごめん、最後の方が声小さくて聞こえなかったんだけど何か言った?」
「えと、なんでもないなんでもない。あっ、でも確かに今日は大変だよね、量あるし」
大皿をてきぱきと洗っていた棗は俺のぼやきを受けて妙に慌てた素振りで返事をした。
夕飯の後に棗はよく後片付けを手伝ってくれる。今日もその習慣は棗の中で変わらないようだった。
俺が空っぽになった皿をキッチンの流しへと運んでいると、すぐさま棗は駆け寄ってきて手伝ってくれた。ありがたい話だ。なんせ今日はいつもの量の比ではない。
いつものメンバーの5人分に加え、事前に来るという予告のあったランサーとライダーの2人分。更に案の定押し掛けてきた黒瀬先生とキャスターで、計9人分。
当然数多くの料理を盛り付けた大皿だって嵩む。ひとりで全部やっつけるには不可能ではないにしてもやや手間取る分量の洗い物だ。
ちなみに散々飲み食いした彼らはとっくの昔に二次会へと突入していた。リビングでは酒盃と共にライダーとキャスターが調達してきた山のようなつまみが食い荒らされている。
この中で飲めないのは俺と百合先輩と棗の学生組しかいないので残りは酒宴へ全員参加だ。しかしだというのに百合先輩は泡の出る飲料をぱかぱか開けている気がするな。
セイバーは最初加わらないという顔をしていたが先程キャスターの挑発に乗せられて酒飲みの渦へと巻き込まれていった。
ああ見えてセイバーはかなり飲める。きっと潰されるということはないだろう。これはセイバーに対する信頼なのだ。そういうことにしておく。
まあ今日はパーティである。無礼講というやつだ。どれだけどんちゃん騒ぎしようが近所迷惑にならない程度なら目を瞑るとしよう。
こういう席は滅法得意な流姉さんとノリが良いライダーが楽しげに騒いでいる声を背に聞きながら俺と棗は分担作業でてきぱきと皿を洗っていた。
「あー………そういえば、今日のメインディッシュ、凄く美味しかったよね。えと、大変だったんでしょ?」
「ターキーのこと?うん、あれはね………。もうちょっとオーブンの扱いに慣れなきゃいけないなってなったよ」
棗が泡塗れにした皿をシンクの中で流しながら俺は半笑いを浮かべた。
実際、大変だったのだ。いざ取り出してアルミホイルを除く段にあたって、百合先輩の「………これまだ焼けてないんじゃない?」という呟きが無ければ危なかった。
科学が全てを都合よく管理して料理を成功に導いてくれるまではまだもう少しかかるようだった。具体的にはあと10年といくらかほど。
とはいえ、結果的には上手くいったのは僥倖と言うべきだろう。テーブルの中央に焼き上がったターキーを運んだときの、見つめる全員が口にした感嘆の溜息が俺と百合先輩に与えた感動はちょっとしたものだ。
まるで苦境を共に乗り越えた戦士のように互いに見つめ合って微笑み頷き返した。それくらいターキーはよく出来ていた。
艷やかな飴色に焼き上がったターキーは素晴らしい出来栄えだった。聞くところによるとターキーの肉は量があるだけでぱさぱさとしていて決して美味しくはないと言うが、そんなことはない。
実際にナイフを入れ、切り分けたターキーのふっくらとした身の柔らかさ。大仰な見た目に反する淡い味わい。
肉汁と赤ワインを合わせて作ったグレイビーソースの甘酸っぱさも丁度いい出来栄えだった。これがまた肉に合うだけではなくマッシュポテトにかけてもびっくりするくらい美味しい。
おそらく調理法の勝利だろう。我々はターキーが課した試練に勝利したのだ。口にしたランサーが微笑んだだけでそれは確実だった。
ライダーだって「朝廷で振る舞われた山鳥のどれよりも美味だ」と言うからには並み居る英霊たちの舌をも満足させたに違いない。………平安時代の料理文化のレベルを俺は知らないけれど。
「あっ、でも本音を言うとね。ううんターキーも美味しかったんだけどね?
 付け合わせの、スタンフィングだっけ。えーと、あれも美味しかったっていうか。その、あっちの方も美味しかったっていうか」
「分かる。ターキーの肉って淡白でソースをかけるの前提ってところあるもんな。それに比べると確かにあれは美味しかった………」
そう。これだけ肉も好評を得ておきながら最も評価が高かったのは百合先輩が自ら鍋を揺すったスタンフィングであったのだ。
まあ仕方ないと言えば仕方ない。ただでさえあれだけ肉の滋味を取り込んだスープで炊かれた米が香り高い野菜と強い旨味を持つターキーの内蔵の旨味さえ吸ったのだ。
モツ鍋の味を知る者ならば分かることだ。あの肉とその内臓たちの味わいを吸った野菜の美味を知るならば、それを米に置き換えたことでどうなるかなど想像するまでもないだろう。
当然ながら美味しいに決まっていた。満場一致でこれが一番美味い、とされたのも無理のないことである。
「………まあなんであれ、楽しんで貰えたなら良かったよ。あれこれと苦労した甲斐あった。
 ねえ、棗。唐突かも知れないけどさ」
「ん?どしたの、てんかくん」
「今年はいろいろあったけどさ。俺、こうやって棗とこんな風に一緒にクリスマスを迎えられて良かったなって、本当にそう思うよ」
俺はそういう風につい口にしてしまった。そのくらい多くの出来事が俺たちの間を駆け抜けていった。
聖杯戦争があった。互いに殺し、殺し合う。そういう経験があった。
そこで紡がれる物語は決して喚び出された英霊たちの間だけに留まらず、俺たち生きている人間の間も駆け抜けていった。
百合先輩の過去を知った。棗の秘密を知った。他にも円だとか黒瀬先生だとか、その他多くの人々の事情も知った。そして俺自身の真実も明らかになった。
こうしてサーヴァントすら誰ひとりとして欠けずに全てが終結しているのは何らかの奇跡が働いた結果に違いない。そうとしか思えない。
本当ならあり得ざる未来の中に今俺たちはいるのかもしれない。………だとしても構わない。俺がいるのが今ここなのは、間違いないことだ。
皿に付着していた泡を流して水切り台に置いた俺は次の皿が差し出されないことに気付いて棗の方を見た。洗剤をつけて洗う役割を担っていたはずの棗は皿ではなく俺を見つめていた。静かに。透き通るように。
穏やかに優しく微笑むままに、俺が担った役割を肯定するかのように、棗は柔らかく唇を緩めていた。
「うん、そだね。わたしも、あー………うん。そんな気がしてる。
 一歩間違えてたら取り返しのつかないことをしちゃってて、てんかくんと一緒にいられないようなことになってたかなぁ………って。
 だから、えと、えへへ。今は結構、幸せな気がするなぁ、って。そういう気がするよ」

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「」んかくん 2020/12/26 (土) 01:15:39


「冷蔵庫に入ってますよ。牛乳に漬けて臭みも除いておきました。どうするんです?」
「玉ねぎとかニンニクとかセロリとかの香味野菜と一緒に全部刻んで炒めるの。で、お米とスープを投入して炊くわけ。要するに炊き込みご飯だね。本場は乾燥させたパンを使ってオーブンで焼き上げるんだけど、やっぱり私たちはなんだかんだで日本人でしょ?」
「言わんとするところは分かります。それにオーブンはターキーで埋まりますしね」
「私の家のオーブンにはこのサイズのターキーさえ収まらないよ………。十影くんの家のオーブンが大きなサイズで良かった。まあ、本場はこんなサイズじゃないんだろうけど」
百合先輩が視線を落として我が家のオーブンを羨望の眼差しで見つめた。
キッチン周りは俺がここに住むにあたって改装されシステムキッチンへと変わっていたので割と新しいのである。
ここだけに留まらず、我が洋館は当時の流姉さんが何処からか業者を呼んできてあちこちに手を入れたのだ。その中でもこのキッチンに関してはかなり重宝していた。
それにしても後で明細を見せてもらったのだが信じられないほど低価格だった。あの人の人脈は今現在も謎に包まれている。
そうしている内に溶かし終わったバターへ百合先輩が塩、胡椒、タイム、セージ、ローズマリー、それに電子レンジで温めて潰したニンニクを入れてよく混ぜ合わせた。
胡椒の黒やハーブの緑がぷかぷかと浮かぶ謎の液体の完成である。百合先輩はそれを料理用の刷毛を使ってターキーの表面へ塗りたくっていった。親の仇みたいに執拗に、べったりと。
「バターを塗るだけで美味しそうな気がしてくるんだから不思議ですね」
「オリーブオイルでもいいんだけどね。今回はバターで行こうよ。こんなの焼く機会が次にあるか分からないけど」
「また焼きますよ。来年も。だからクリスマスにはロンドンから帰ってきてくださいね」
特に意識したわけではない。自然に出た言葉だった。
季節は12月。あちらの入学は9月だから5ヶ月以上のブランクがあるわけだけれども、その間も百合先輩は向こうで過ごすらしい。世にも珍しい五大元素使いとして早くも現地では注目されているんだそうだ。
俺は来年度の卒業と同時に百合先輩の後を追って時計塔に行くわけだけれど、それでも1年は皆と離れ離れということになる。
自分でも驚くほど素直に寂しいという気持ちが浮かんでいた。百合先輩はそういう風に思わせる人だった。俺の言葉を耳にした百合先輩は一瞬ぽかんと小さく唇を開いて呆けたが、すぐに───。
「………考えとく。ふふ」
くすりと、ペチュニアの花のようにゆったりと微笑んだ。
「まあ、その次の年には君は付き人として私と一緒にロンドンでクリスマスを過ごすんだけどね?
 今日ほど料理をたくさん作らなくていいから、2年の間のトカゲくんの成長を是非見たいなー」
「し、修行しておきます。………それとトカゲじゃなくてトエイです」
なんて話をしている間に真っ白だったターキーの肉が黄金色の溶かしバターを纏って薄っすらと光沢を帯びるようになっていた。
ブライン液を作ったときの材料の余りを適当に内蔵の詰まっていた空洞へと放り込み、タコ糸と縫い針でしっかりと綴じる。首の穴も同様に。
百合先輩は更にタコ糸を抜き取り、手羽先や腿を縛ってターキーを成形していく。俺はその間にアルミホイルをカットしていた。ターキーが包めるくらい大きめに。
「さて………」
「はい………」
網の上に乗ったのは処理の終わったターキー。その上へヴェールを被せるようにアルミホイルで覆う。
準備の完了したターキーを前にして、またもや俺たちは腕組みして「ううン」と唸ってしまった。
「出来ちゃったね」
「出来ちゃいましたねぇ」
「後は焼くだけだね」
「焼くだけですねぇ」
やはり示し合わせもせず、銀色の包みとオーブンの間で視線を往復させてしまう。大丈夫なのか。焼けるのか。美味しく出来上がるのか。はっきり言って自信はない。
成否の鍵はオーブンの電子制御による加熱の調整具合が握っていた。魔術師にあるまじき堕落。最新………よりは数年遅れの科学に全てを委ねることになるのである。
慎重に網ごとターキーをオーブンへと近づけた俺は、蓋を開けて待っていた百合先輩の見守る中で祭壇へ供物を捧げる神官のように厳かにターキーを滑り込ませた。
蓋を閉じ、スイッチを入れる。薄ぼんやりとオーブン内で照らされるターキーを百合先輩とふたり、しゃがみ込んでじっと見つめた。
「美味しく出来るといいですね」
「手順は間違ってないはずだから大丈夫だと思うけどね………。あ、途中で出してアルミホイルを外してもう一度バターを塗ってね」
「分かりました。………さて」
やおら立ち上がった俺と百合先輩は、ゆっくりと振り返った。
クリスマスパーティである。俺と百合先輩に加えて、セイバーに棗に流姉さんといったいつものメンバーは勿論、ランサーやライダーといった普段は寄り付かないサーヴァントすら参加予定である。
なんなら呼んでいない客さえ想定される。現に俺と百合先輩の買い出し中、キャスターと遭遇した。あのチェシャ猫みたいな笑顔は絶対に来る気だぞ。黒瀬先生も連れて。
当然ながら、ターキー1羽を焼けばそれで全員分の胃を満たせるわけが無かった。
俺と百合先輩の視界の中で机の上の食材はまだ山のようにあった。百合先輩の目のハイライトが消えた。ような気がした。きっと俺の目のハイライトも消えただろう。
「………やろっか」
「やりますか………」
百合先輩は包丁を。俺は皮むき器を手にした。戦いのゴングが鳴る。古書店を畳んだら駆けつけるという棗の救援を待ってはいられない。
荒波へと船を進ませる漁師のような覚悟を胸に秘めて、俺はジャガイモを手に取った。横では百合先輩が包丁の腹でニンニクを叩き潰していた。

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「」んかくん 2020/12/26 (土) 01:13:15


「さて」
「はい」
台所のふたりは示し合わせたわけでもなく腕組みして「ううン」と唸ってしまった。
まな板の上には普段調理している鶏肉がひよこに思えてくるような巨大な肉の塊が鎮座していた。
無論、鶏肉ではない。シチメンチョウ、即ち北米のお祝いの際の食べ物。ターキーである。目の前にすると凄い威圧感だ。これでも小さいサイズなのに。
「買っちゃったね」
「買っちゃいましたね」
妙な感慨に耽る俺と百合先輩である。クリスマスだしターキー焼こうぜ!と言い出したのは流姉さんなのだが例によって当人はいない。
わざわざ新都のデパートまで出向き、海外食品の取扱店で実際に見るターキーの大きさに首を傾げたのは俺たちなのだった。それが数日前のこと。
こうして冷蔵庫の中で解凍され、氷の塊から肉の塊になったターキーは不慣れな料理人たちへ重圧感を伴って伸し掛かろうとしていた。
「解凍したターキーはこれでもかと果物やらハーブやらを投入したブライン液に丸一日漬けてあります」
「流さんからバーボンを拝借して肉の臭み抜きや香り付けに用いるという案は成功のようですね」
「はい。ほのかに香るバーボンの香りが焼き上がりへ期待を感じさせますね」
何故かふたりとも敬語の説明口調だった。大きな肉を前にするとそれだけで何だかテンション上がってくるよな。
ちなみにブライン液というのは要するに塩水にあれこれ入れたものである。燻製するものを漬けたり、あと鶏の胸肉を焼く時も漬けておくとしっとりして美味しい。
「では試合開始です。実況は十影典河。解説は栗野百合さんです。よろしくおねがいします」
「よろしくおねがいします」
変なノリのままお互いにぺこりと一礼し、改めてターキーと向き合う。さて何処から手を付けたらいいんだ、これ。
「………俺、本当に取り扱うの初めてなんで頼りにしてますよ、先輩」
「私だって凄く久しぶりだよ十影くん。レシピ本なんて引っ張り出したのいつ以来か分からないもの。とにかく予習はしてきたから任せて。
 とりあえずオーブンの予熱を入れつつ布巾で表面の水分を拭って。特にお腹の中は念入りにね。パックに一緒に入ってた首の肉はどうした?」
「先輩に言われた通り昨日の晩に香味野菜と一緒に炊いてスープを作っておきました。そこの鍋に入ってます」
「よし、じゃあ私はスタッフィングをどうにかするから十影くんはターキーの方をよろしく」
そう告げて百合先輩は鍋の中の様子を伺った。
俺はオーブンのスイッチを入れて200度に設定するとキッチンペーパーを数枚手に取り、ターキーのぶよぶよとした皮からせっせと拭き始める。
黙ったまま作業をするというのも味気ない。続いてお米の計量を始めた百合先輩へと俺は話しかけた。
「スタッフィングって、確か腹の中に入れる詰め物のことですよね」
「そう。でも今回は詰めない」
「………詰めないのに詰め物なんですか?」
「十影くんなら分かるでしょ。中に何も詰まってない状態で焼くのと詰め物でぱんぱんに膨らませた状態で焼くの、どっちが火が通りやすい?」
言うまでもない。余計な詰め物なんて入っていればそれだけ中まで火は通らない。
それにね、と流しで米と一緒にもち米を洗い出した百合先輩は言った。
「詰め物って生肉の部分へ直に触れているわけでしょう?食中毒のリスクがあるのが私は気がかりだな。
 かといってきっちり火を通しすぎると今度は焼き過ぎになるし、詰め物が肉汁を吸っちゃって肉のほうがぱさぱさになっちゃうし。
 だいたいターキーの味を吸い込ませるならこれだけでも十分だよ。そのために昨日から指示してたってわけ」
ちょんちょんと人差し指でターキーの首肉で作ったスープを百合先輩は指差した。
なるほど、道理だ。ただでさえ慣れていないんだからなるべく成功の確率は高い方がいい。
火が通るか通らないかというリスクを払うくらいなら別々に作るくらいが美味しく出来るだろう。
「入れるなら林檎とかレモンとか、あとハーブとか、ブライン液を作るときの余りを香り付けでちょっと入れるくらいがいいんだよ。あ、拭けた?」
「はい。お腹の中まですっかりと」
「それならバターを溶かして。あとニンニクも。混ぜるハーブとかスパイスは私が用意するから、お願い」
溶かしバターか。湯煎で作ってもいいが、電子レンジでやっつけてしまっても大した違いはない。
冷蔵庫から予め百合先輩の指揮のもとスーパーで買っていた無塩バターの塊を取り出し、適当な大きさに切って塊を電子レンジへと突っ込んだ。
さすがに普段使う量より多くて20秒程度では溶け切らない。さらに10秒追加。
その間に百合先輩がうちのキッチンのラックからひょいひょいとスパイスの瓶を抜き取っていく。最早勝手知ったる何とやらだ。
さすがに俺には及ばないだろうが、ひょっとしたら一緒に住んでいるセイバーより我が家の物の配置を熟知しているかもしれない。
「スタッフィングの方はいいんですか?」
「お米の給水の時間は必要だから研いだけど、ターキーの焼き上がりを考えれば手を付けるにはまだちょっと早いからね。心臓とか砂肝とかレバーとか、一緒に入ってた内蔵は解凍終わってる?」

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オーガスタちゃんのページに置いてあるSSいいね好き
リアリティともまた違うんだろうけどズレている感じがよく伝わってきた

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黒槍狩り③(終) 2020/11/21 (土) 23:34:39

「バーサーカー、聞こえますか?」
『おぉマスターよ、連絡がつくとは僥倖だ。余が消えぬ以上どこかで生きてはいると思っていたが』
よほどヴィルマさんから供給される魔力が潤沢らしい。バーサーカーの声はまだ随分余裕そうだ。
「……現在はセイバー陣営と停戦を結び、行動を共にしています」
『その点は余も把握している。セイバーとアーチャーには一切攻撃はしていないぞ。で、要件はなんだ?』
「ヴィルマさん、僕が代わります」
「バーサーカー。僕はセイバーのマスター、カノン・フォルケンマイヤーです」
「時間がないので手短に、―――あなたのマスターの身柄を預かっている。状況を迅速に終息させるため、協働をお願いします」
『―――ほう?あの小僧か?』
男の声色が変わった。少なくとも、マスターを抑えられたことに対する警戒は皆無のようだ。
『無論拒否しよう。停戦までは了承するが、余とお前は本来この聖杯戦争で争い合う立場にある』
『敵と馴れ合い、無闇に手の内を晒すことは本意ではない。それどころか互いにランサーとの潰し合いを企むやも知れぬ』
『陳腐な脅しは辞めろよ小僧。お前なら用意しているのだろう?本命の交渉の札が』
返答は拒否―――だがやはりこの男は、こちらの思考を読むことに長けているらしい。
人質が通じるとは思えない。ヴィルマさんの救出を優先しなかったのは自分達が探すと踏んでいたからだろうし、
協力を拒否する理由は後からどうとでも取り返す算段を整えているからに他ならない。
そして奴は、この札も想定済みだろう。
「―――ランサーの撃破にあたって、セイバーの真名及び宝具を開帳します」
『……ふむ。ここで切札を出すか』
遠慮は無い、一刻も早くこの状況を終わらせねばならないのだから。背中を撃たれようが、秘密を知られようが知ったことか。
『まぁ、あくまでカノン君のサーヴァントですのでお好きにどうぞ、ひとまずこちらも支援に戻りますね』
「こちらも異論はないわ。バーサーカー、我が一撃をしかと眼に焼き付けておきなさい」
セイバーの戦意に満ちた瞳を確認する。これでようやく、全員の足並みが揃った。
「対象は数を武器に攻め立てて来ていますが、個々の判断は本体のランサーに依存し、戦局の処理能力は低いものと推測されます」
「作戦はバーサーカーで前線を構築し、アーチャーの誘導によってランサーを誘い込む。そこを、セイバーの宝具で仕留めます」
市街の中から目印となる地点を選び、前線予定地と狙撃地点にそれぞれバーサーカーとアーチャーを配備させる。
そして自分たちは決戦の地へ、セイバーの歩みに合わせて移動を始めた。―――背中に抱えている負傷者も一緒だ。
「一応、護衛はします。もう少しだけ付き合ってください、ヴィルマさん」
「……わかったわ。ただ、抱え方はもう少し考えなさい」

「―――作戦開始。敵サーヴァント、ランサーを撃破します」

125

その姿は、青い雷光を辿れば確認できた。
太刀筋に沿って流れる稲妻が英霊兵の腕を、首を刎ねて荒れ狂う。そこでセイバーは周囲の敵を一掃し終えたようだ。
彼女は僕たちの姿に気づくと凛とした表情を変え、こちらへと歩み寄って来た。
「マスター!無事だったのね!」
「遅れてごめん、セイバー。状況は?」
「……見ての通り。脚が動かないのが不甲斐ないばかりだわ」
歯噛みする表情をセイバーは隠さない。
彼女とアーチャーの協働、そしてバーサーカーの介入を以ってしても、ここ一帯の市街全体まで戦火が広がってしまっていた。
それだけ、ランサーの攻勢は圧倒的だ。単体のサーヴァントとしては異質と言ってもいいが、それに是非を問う意味はない。
『カノン君と合流できたようですね。こっちは今、アーチャーと共に敵のマスターを追っています』
『……おや、随分珍しいものを拾って帰ってきましたね?』
「…………」
セイバーの肩から羽のついた小動物が顔を出した。確か、血を媒介にしたシズカさんの使い魔だったか。
どうやらランサー自体の撃破は困難として、魔力源たるマスターを確保する戦略に切り替えたようだ。
使い魔は視界も共有しているらしく、自分が抱えているヴィルマさんをじろりと一瞥し、彼女は無言を返していた。
「ランサーの本隊は?」
「今も侵攻中よ。思ったより脚が速くて防御に回る数も多い、まともにやり合うには手強い相手ね」
「バーサーカーとは連携できませんか?」
『全っ然ダメです。1番英霊兵の数を減らしてはいますが、完全にワンマンで動いてますよアレは』
ランサーの軍は数が多く、火力があり、それでいて軍勢としては烈火の如く素早い侵攻を見せる。
セイバーによる迎撃は回避されるし、アーチャーの狙撃も未だ有効打を与えられない。
そして唯一機動力と面の火力を持つバーサーカーは自身の判断で勝手に動き回る、それぞれの戦力が効率的に働いていない。
『そちらのフロイラインがもっと上手に指示してくれれば話が早いのですけどね?』
「……バーサーカーの運用について、私自身に口を挟む意図はありません」
「彼はアーネンエルベのサーヴァントで、私はその意向を伝えるまでのこと」
『この期に及んでそんな悠長な……そのアーネンエルベの意向とやらはいつ通達されるので?』
ヴィルマさん自身、バーサーカーの行動には一切干渉していない。
というより、これまでの邂逅では彼はアーネンエルベの指示にも従っているようには見えなかった。
シズカさんも不機嫌になってはいるが、最初からヴィルマさんが力になるとは期待していなかったようだ。
―――だが、どの道このままでは状況は悪化するばかりだ。だったら、

124

地下壕の出口から顔を出すと、冷たい外気が肌を撫でると共に、街に似つかわしく無い焦げた臭気が鼻についた。
暗闇の中の伯林市街を照らすのは、人工のそれではない紅蓮の火の瞬きばかりだった。
英霊が、こんなことをやるのか。
SSの親玉みたいなマスターを引きずって現れたサーヴァント―――あいつはランサーと呼んでいたか、
それが英霊兵の軍勢を引き連れて無差別に襲いかかり、恐らくそれは今も止まっていない。まだ遠くから轟音が響いてくる。
「これからは?」
後ろから背負っているヴィルマさんが小声で話しかけてきた。
「セイバーの場所ならわかる。速やかに合流します」
左手に刻まれた令呪が熱を帯び、セイバーの存在を感じさせる。その方向の先に、彼女が戦う雷光が視認できた。
シズカさんもセイバーに同行しているか、通信の手段を彼女に残している筈だ。

暫し市街跡地を進むと、一人の人型と遭遇した。
セイバーではない。……あのずんぐりした形と首に巻き付いた黒い帯は、ランサーが連れてきた英霊兵の一体だ。
すぐに物陰に身を潜める。ただでさえ英霊兵に相手する装備は無いし、その上負傷者を抱えている状態で勝機は無い。
まずは英霊兵の様子を細かく観察しよう。動きの癖から隙を見ていけば安全に抜けれるか―――
そこで、思考が途切れた。
「―――――――――」
そいつの左腕が、血塗れの上半身を引きずっていた。
そいつの右腕に、血塗れの銃剣が握られていた。
小銃のボルトを引く。初弾を装填し、あの兵士の頭部に向けて引き金を
「待ちなさい」
銃を握る僕の手に重ねるように、ヴィルマの手がそれを抑えた。
「あれは、もう死んでいるわ」
英霊兵に気づかれないように、口元を僕の耳に寄せて紡がれた言葉が突き刺さる。
銃を押し留める彼女の手は冷たく、押せば跳ね除けられる程に握力は弱い。けれども、銃はぴくりとも動かない。
いや、動かせない。彼女の言葉が正しいんだと僕の身体は確信している。
あれはただの死体で、何をしたところで戻って来るものじゃない。そんなことは分かっている。
サーヴァントも無しにこちらの存在を気取られたら結果は見えている。敵との距離が近いまま令呪で呼び戻すのもリスクは高い。
分かっている。
分かっている。
だけど、

ランサーの英霊兵の感知は鈍く、警戒の仕方は単純なものだ。そのまま息を潜めて、僕達は英霊兵のいる場所を迂回していった。
右手に、彼女の掌の冷たさを感じたまま。

123
ある日の水月砦 2020/11/21 (土) 02:11:47

「あ……あの、男の人と付き合うのって…どういう事をすればいいんでしょう?」
ルナティクス精神領域、水月砦にて、そんな疑問を放つ少女がいた。
「そんなの挟んで絞って骨抜きでしょ?紗矢ちゃん良い胸持ってるんだから」
「ちんちん踏み踏みして罵倒すると男性は骨抜きですよ~♪?」
「オイ誰かこのミス悪影響共埋め立てろ」
兎男(トム)が呆れながら両石閻霧とちゃんどら様が水月砦からログアウトさせた。
「ふむ……俺は色恋沙汰には疎いからな…オイ月宮、お前はどう思う?
この中で唯一の社会人経験者だろ。なんか詳しいんじゃないのか?」
「恋愛ってのは要は男と女のマウントの取り合いだろ?」
「お前に聞いた俺が馬鹿だったよ」
霧六岡が呵々大笑しながら月宮玄をログアウトさせた。
「そもそもこの狂人共の坩堝で恋愛相談などするのが馬鹿だと思うがな俺は」
「だって……しょうがないじゃないですかぁ……。私恋愛なんて初めてで…。
そもそも自分を偽らず人と付き合うの事態久しぶりすぎてぇ……」
相談を持ち掛けた少女、慶田紗矢は頬を染めながら言った。

その後、紗矢は水月砦内を回ってみたが収穫はなかった。
石膏漬けにすれば良いだの、腱を千切ればいいだの、同化すればいいだのと話にならない。
途方に暮れていた所、一人の少女が彼女に対して勇気を出して声をかけた。
「あ……あの、私は……えっと、そのコーダさん? が好きになったのは、紗矢さん自身だと思う…から」
「変になんか取り繕わないで……自分のやりたい事、を、やればいいんじゃないかな……って」
要は、自分を信じろと、そうこの少女は言っているのだ。
それは奇しくも、紗矢の隣に立った少年のサーヴァントと同じ言葉だった。
「偉いぞ哉子。俺が言わずとも本質を突いたか」
背後から霧六岡が現れ、ニカリと笑いながら乱暴に少女の頭を撫でつつ言う。
「まぁ俺から言う事は正直なところ無い。先も言ったように、俺に色恋沙汰は皆無だからな」
「強いて言うなら、此れは他人の言葉だが、男女の付き合いは減点方式よりも加点方式の方が成功するぞ」
「ええっと……ありがとうございます」
ぶきっちょにも見える霧六岡のアドバイスに、紗矢は頭を下げて礼を言った

「まぁ何度でも来るがいい。迷う度に導いてくれよう」
そう笑いながら言う霧六岡に対して、紗矢はちょっと申し訳なさそうに言った。
「ああ…それなんですが、私……もうここ来れなくなっちゃうかも……です」
「ほう?」
「この場所…なんか以前に比べて、どんどん遠くになっているように感じて…だから……」
「なるほど。それは貴様の内の狂気が薄まった……、という事を意味するな!!」
ハッ!と声を上げて笑い、霧六岡は両手を叩いて喝采する。
「貴様は己が内側の渇望を解放せずとも良き領域(ぱらいぞ)に至ったのだ!
その在り方を言祝ごう……ああ、祝詞(はれるや)を声高く謡ってやろう!!
おめでとうナイトゴーント。いや、"慶田紗矢"!貴様は狂人ではなくなったのだ!」
しかし、と言い、霧六岡は拍手喝采を止めて続ける。
「また狂いたくなったら何時でも来い。我らルナティクス、去る者は追わず。来る者は引き摺り込む、故な」
「あはははは……それは、遠慮します」
慶田紗矢は不器用に笑いながら言った
「今の私には…此処よりも安心できる場所が、出来ましたから」

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ポッキーの日:ではなく哀悼の日 2020/11/12 (木) 00:00:39

今年も、街道の方から聖歌が聞こえてくる。
11月11日、リメンブランス・デー。一度目の世界大戦が終わった日、英国では戦没者の追悼が行われる。
僕が生まれたのはその年から丁度10年、更に11年が過ぎた時、僕達を巻き込んだあの戦争が始まった。
二度の戦いは世間に大きな変化を強いた。大きな科学発展があったというが、その下であまりに多くの血を流した。
それでも小競り合いは続いて、科学の力で大国同士が睨み合う。平和とはつまり、戦争の小康状態に過ぎない。
そして、僕の戦いも続いていく。銃砲飛び交う中を抜けて、確かに英雄がいた"あの戦い"を超えて、
そして今は、この家と彼女のために、魔術という影の世界を生き抜く準備を進めているところだ。
まずは纏まった資金を。以前通った道を遡って東方へ、珍しい品や技術を回収する宝探しを計画している。
荷物を整理して、銃を整備して、サーベルを磨いて、それから。―――チョコレートが食べたい。
兵士として従軍した頃、10代だった僕らにとって厳しい訓練を癒す嗜好品は、煙草でなくチョコレートだった。
絶品とは些か言い難いが、それを喜び、実戦の前に祈りを込めて頬張っていた瞬間が確かにあった。
だからふと、この先も続く長い戦いのために、あの時よりもおいしいチョコレートに祈ろうと思い立った
とりあえず家の人に手頃な菓子を用意してもらうとして……問題は、仕事詰めの彼女の方だ。
時間を作れるかはわからないけれど、そこは何とかして。一緒にお菓子を摘む時間を作って貰うとしようか。
この儚い平和を、幸せだと感じるために。

121
ポッキーの日:少年王 2020/11/11 (水) 23:59:33

『"良い"11月の忘れられない日―――』
1111。伝統的に菓子業界の一角に動きがある。旧時代より続くポッキーのプロモーションだ。
仕事終わりにおまけで貰っていたポッキーを齧り、ニュースを見ていた端末に共に並ぶ自分とパーシヴァルの姿が映った。
日常を背景に場面が移り変わり、それぞれのシチュエーションでポッキーを口にして、そして―――
「――――――!!」
咄嗟に目を逸らした。CMが終わったのを熱い耳で聞きながら、恐る恐る画面に向き直る。
古くから続くポッキーのレガシーと説明は受けたものの、撮影時はもう心臓が飛び出しそうになっていた。
「いやぁ、まさか撮影の時の見せかけからこう仕上がるととは……」
それは隣のパーシヴァルも同感のようで、苦笑しながらも透き通った白い肌には明確に朱が差している。
CMは何度も流れる。今日は羞恥の洗礼を互いに受けながら、一緒にポッキーを食べて過ごしていた。のだが、
「その、パーシヴァル」
振り向かせた彼女の顔が、ポッキーを咥えた自分を見て静止した。
仕掛けた、というにはあまりに稚拙、勢い、といえばあまりに不誠実かもしれない。
それでも、跳ねる鼓動を押しながら、画面の中の二人の前で自らを差し出す。
ただ、この日を演技で終わらせたくなくて。

120
ポッキーの日:剣 2020/11/11 (水) 23:59:06

テンカ、ポッキーは好き?
うん、ポッキー。買い出しの時に菓子も買っておこうと思ったら、今日安かったから買ってきたんだ。
そう、11月11日、ポッキーの日って。ここではそんな記念日があるんだね。テンカの分もあるから食べるといいよ。はい。
……何って、ほら。はい、食べて。そう、そんな風に。はい、あーん。
―――そ、そんなに拒まなくても……確かに変かもしれないけど、別にいいじゃないか。……あ。
ん、おいしい?……そうか、ならもう一本。はい。
………………はい、あーん。
――――――
……その、さっきのは。
ごめん。えぇと、騙すつもりじゃ、なかったんだけれど。その。
あ、あの……どうしても、してみたくて……い、いやこれは、あぁぁぁぁぁ……
―――嫌じゃ、なかった?そ、そうか。なら、うん。だったら……
……ポッキー。まだ、あるよね。―――どうしようか?

41

ありがとうございます
適当に書くとくどい文になりがちな自分なので読みやすくできていたならよかったです
がんばります

40

そうめんのようにするっと見られる読みやすさが一番強い印象
人に読んでもらう文章書く上でとても重要なのでこの調子で頑張って色々書いて欲しい

39

3話
更新した
30話はかかるなこりゃ
三人称視点も複数キャラ動かすのも戦闘描写も大変だったし味気なくなる
誰かは読んでくれてると信じて苦手なことを伸ばせると信じて書き続けます

119

アルヴィース・デュオ・ホーリーエイド

わし、結構大変なんじゃよ。これ。ずっとこの喋り方なのはもう慣れたが。必ず卒業させる都合上、常にブランドというものを維持せねばならん。
そのために必要なのが、ろくでなしを輩出しないことじゃ。今んところ悪名を轟かせおった奴はいない。必ず学内で徹底的に矯正する。非道を手段から目的にすげ替えてしまう奴は本当に多いからの。
まあわしは聖導術で生贄とか使っとるから言えるが、こういうことが悪いというのではない。無意味な行為に身を投じるなとも言わん。根源の否定などわしにもできんよ。
わしはまあ、諦めたといえば諦めているかも知らんな。俗世的な感性の方が素晴らしいと思ってしまった。簡単に言えば、魔術師らしい魔術師なんてこっからは出してやらん。絶対に理性の基準は常人のそれに仕立て上げる。
こんなことを言えるのは、わしが既に歪みきっているからではあるが。魔術師としても人としても。だが知識として教えることはできるんじゃよ。理想を語りそれを実現する。それはどんな外道にでもできる。だからそれをしているだけじゃな。
しかし。最近は少し危うい感じはあるの。わしも捻くれ者を拾ってきとるが。
まあ。どうにもならないなら消すかの。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
癌の膿

このクソ学園のいいところは、鍵をかけて眠れることだ。本当に、生きてるってのはそれだけで苦痛だ。死ぬことがそれ以上に苦痛だから避けてるだけだ。
だから寝る。安らかな睡眠と死は同一に近いと思っている。今までまともに寝れたことなんてなかったからな。ここは素直に恩恵に預かっている。
しかし睡眠の困ったところは、ずっと寝てられないことだ。死ぬことを永眠なんて言うらしいが、本当にそうなら永眠してみたいもんだ。
俺は別に死にたいとは思わない。生きてるだけで苦痛だろうが。
絶対に一人では死んでやらない。そう、あの時だって。全部ぶっ壊して価値ある死に方をしてやろうとしたんだ。なのに生き残った。悪運とはこのことだ。
もしかしたら、案外天寿を全うさせられるかもしれないな。それは別に面白くないが。眠るように死ねるというのが本当なら、一番心地いい睡眠になるかもしれない。
ああ、このクソ学園のよくないところだ。授業に出ないと仕置きを喰らう。流石に苦痛を喜ぶ趣味はない。さて、そろそろ行くか。
…気になるのは、前のガキ。自分が一番可哀想なんて顔してるのは人のことは言えないが。
単なる同族嫌悪だとしても。あれだけは不愉快だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
家族王キング・アーサー

悲しい知らせだ。この『大騎士王とその大円卓、そして仲睦まじき大家族』に抵抗しようという集団が現れたらしい。みな私の家族となるべき存在。殺したいとは思わない。私がいる限り、すべての円卓の騎士は不死、そうだとしても、私自身が出向いて説得しなければ。
門をくぐり直接その集団の本陣へ向かう。大量のサーヴァント。私に対抗するため召喚されたのか。しかしそれはあくまで付き従う存在。敵の総大将は少年だった。
彼は言う。今の世界を壊さないでくれと。理解できなかった。私は不死と家族愛を伝えるだけの存在なのに。それで壊れる世界など、良いものとは言えないのではないか。
彼は言う。死は決して不要なものでない。敵意も同じだと。それがなくなれば世界は停滞してしまうと。それの何がいけないのだろう。幸せな状態で止まるのなら、とても素敵じゃないか。
問おう。永遠に成長しないことの何が悪いのか。
問おう。悲劇など、憎しみなど、なければ全てが幸せではないか。
問おう。そもそも目的を達成したら消えゆく私を、王の座から引きずり下ろすことになんの意味があるのか。
彼はそれでも意見を変えない。ならば。
問おう。我が聖剣に耐えられるか。

118

トリックス・ファイン&ミョールズ

「なあ、本当にスカートっての似合ってるか?」トリックスに聞く。何度目だっけ。
「自分が一番わかってるんじゃないの?」うぅ。自分への視線は悪いやつじゃないのはわかる。でもこのカッコ、スポーツやる時邪魔っちいんだよな。割と好きなのはその、否定しないけど。
「今考えてたこと、わかるよ。僕に任せな。先生から貰ってきてあげる。自分で行くのは恥ずかしいでしょ?」何もかもお見通しだ。大人しく従う。
それで貰ってきたのは、すごく短いスカート。上も袖がないやつ。
「チアリーディングって言うらしいよ。激しい動きをするための女装なんだって。」
女装にも色々種類があるんだなあ。先生はなんでも持ってるし知ってる。女装って言葉が男らしい行為なんだってのも教えてくれた。
とりあえず着替える。服を脱いで、持ってきてくれた方に着替える。トリックスが面白そうに見つめてる。
うっ。すごいすーすーする。でもこれは確かに動きやすそうだ。
「ありがとうトリックス!」
そう言って、グラウンドに向けて出て行く。
周りの目がいつもよりさらに変だ。うーん。わかんないなあ。
「さすがにあれは逮捕されそうじゃな。まあここでは捕まらんが。」
学長は呟く。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
バルベロ&バルベロ[オルタ]

全ての敵は消えた。私が死ねば聖杯の汚染は完全なものになる。そしてマスターはそれで願いを叶える。
私には力がない。それは自害する力がないことも意味している。マスターに頼むしかない。
「『私のための神話』。私を切り刻みなさい。粉々にしなさい。殺しなさい。」
全ては意のまま。躊躇いなくマスターは剣を向ける。
一度や二度切られただけじゃ消滅できないのが困り物だ。
激痛。激痛。激痛。激痛。痛みがなくなるまで切り刻まれても、まだ足りない。跡形もなく消し去る力が『私のための神話』には足りない。でも、いつかは消えれるのだから。聖杯を汚染できるのだから。この酷い世界を破壊できるのだから。
ようやく意識が消えてきた。歓喜に叫びたいところだけど、もう喉はない。ああ、さようなら。
そうして神の不在は達成される。ゆっくりと着実に浸透する。そうしてそれは世界を満たす。嘆きが世界を覆う。ーーーー母性愛、発現。
私は真に目覚めた。わかる。この世界は私を求めている。再び救世の聖母となれる。救おう。全ての人を高次へと。誘おう。全ての人を真なる世界へと。
だってもう、偽りの神は信じられていないのだから。永遠のアイオーンの救いを。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
永絶闘争螺旋 ファイロジュラシック

一撃目。一斉掃射。万を超える軍勢が巨大な竜に群がる。並の幻想種なら百万回は殺せるだけ殴った。傷は見えなかった。
ニ撃目。武器を変えて即座に追撃。相変わらず傷はつかない。バハムートがこちらに気付いた。
三撃目。半数は吹き飛ばされた。胃酸の濁流を避けきれなかった。でもまだこちらは終わっていない。
四撃目。あと何度、何年。その先にこいつを討ち斃せる?そんな疑問は沸いてきた。
最早残りは1000人ほど。しかし精鋭。必ず、いつか。
五撃目。わずかに傷が見えた気がした。即座に塞がった。必死に逃げる。最早目的は生き延びることにすげかわっていた。
六撃目。そんなものはない。頼む。逃げさせてくれ。もう俺だけじゃないか。見逃してくれてもいいじゃないか。声を荒げた。聞くはずのない敵に問う。お前は何がしたいんだと。答え代わりに、胃酸が飛んできた。

我は神を踏みにじらねばならない。神の似姿が許されるはずがない。ここに必要なのは純粋なる生態系。さあ、何度でも滅してやろう。

一撃目。死力を振るう。きっといつか、我々の先に。何万回蹴散らされても。先人に敬意を払い、死へと身を投じる。無駄ではないと、信じているから。戦い続ける。

117

ケルベロスではない&泥新宿のムーンキャンサー

喰らう。生きるために。それが今までの連鎖。我々の宿命。人を喰らい。人に狩られる。それをどちらかが果てるまで続ける。
新宿に降り立った三つ首の魔犬。それぞれの幻霊は、純粋に生きようとしたものたち。そして絶やされたものたち。
追い立てる。狼の群れを指揮し、人を分断する。取り残されたご馳走を噛みちぎる。それを繰り返す。繰り返すうちに、敵は団結する。当然だ。こちらも群れが増えてゆく。これも当然。
「やあ、君も動物だね。一緒だね。」
不意に小さな兎が飛び出してきた。サーヴァント。餌としては上等だ。
「見てられないから。人が死んでいくのは。恨みはないけど、止めてもらうよ。宝具展開。『幻想映す表面世界』。」
そうして辺りは一変する。いつのまにか、敵は様々の幻想と、巨大な蟹。それだけになっていた。
高らかに吠える。全ての狼を呼ぶ。数はこちらが上。あの巨大な奴をどう調理するか。何度やり直しても、絶対に喰らい尽くす。
「さて。僕を殺せば結界は解ける。でもそうはさせないよ。」
そう兎がほざく。言われなくとも。真っ向から全てを喰らってやる。
あれだけの大きさなら食い扶持がありそうだ。
狼は、あくまで全てを喰らうだけ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ショート・ショート

「ああ!マスター!あなたも死んでしまうのですか!もう少しで答えが見えそうだったのに!」
俺のサーヴァント、ディエティは大層大袈裟に悲しむふりをして見せる。お前が使えないのが悪いんだろうが。
ペラペラペラペラ喋るだけ。おかげで俺は一人で戦わされ、瀕死の重症だ。
「うるさい。…それより。話を聞かせろ。」
ひとつだけこいつには取り柄があった。小咄がうまい。どうせ死ぬなら、最後に笑いながら死にたいじゃないか。そうしたら。
「ああ!こんな!死の直前でも!だからこそ!ショート・ショートを求めるのですね!ありがとうございますマスター。『もう少し』に到達しました!」
何を言っているのかわからない。ディエティは突然天高く舞い上がった。声が聞こえる。
「世界中の皆様に問いましょう!これは小咄ですが、ジョークではありません!あなた方の願いを一つだけ!叶えて差し上げましょう!」
なんだこいつは。そんなことができるなら。聖杯を争っていた俺はなんだったんだ。
「ただしひとつです!良いですか?忘れてはいけない存在も、ありますからね?『みんなの願い』。」
まもなく人類は消滅した。
「『新星の一』!」
すぐ世界は馬鹿げた。傑作だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
癌の膿&オルドー・レイジュール

癌の膿。ジジイには適当に名乗ってやった。対案は忘れてやった。ゴミクズの俺に相応しい名前だ。
「あの、あなたが新しい人ですか?」
両目が色違いの片眼鏡をつけたチビが話しかけてきた。俺でも魔眼くらい知ってる。その類なら、生まれながらに恵まれてやがる。無視しよう。
「えっと、わたしはオルドーです。先生に貰った名前なんですけど。あなたは?」
あのジジイの名付けをありがたがる。哀れだな。きっと何も知らない時に連れてこられたんだろう。だから名乗り返してやった。癌の膿だと。
「…それは、よくない、です。」
ガキのくせに。俺はクソ両親に何か言うことすら許されなかったのに。思い出させやがって。
「お前よりマシだ。」
そう言ってしまえ。適当に誤魔化してやれ。そうしたらそいつは眼鏡を外しやがった。魔眼を使い出したんだ。苦しそうに息を切らす。何がしたいんだ。
「あなたの、身体。ぼろぼろです。でも、ここならきっと生きていけます。わたしも助けます!」
ニコニコしだした。訳がわからない。生きていくなんて、死ぬ理由がないからやるだけのことだ。まあガキにはわかるまい。
「皆に紹介しますね!」
こうやって、俺は無理矢理飲み込まれた。

116

アルヴィース・デュオ・ホーリーエイド

「はあ。まあ楽ではないのう。」
アルケディア・アカデミアのプロフェッサーを名乗る、少年のような見た目の男性。いや、正確には"異面"の魔女。アルヴィース・デュオ・ホーリーエイドはため息をついた。
このアカデミア全域を常に監視し、問題が起これば即座に対処。素敵な場面があれば注目する。それを一人の頭で同時に行う。当然眠ることなどできない。睡眠は"無法地帯"時に纏めて取る。しかしそれでも、アルヴィースにはアカデミアを経営したい理由があった。
「まあ、当然男の子の仲睦まじいのが見たいのはあるがな。」
そう言って隠す中に、精神面の教導という目的がひとつ。長き時を生きて、能力だけ研ぎ澄ませた信念もないろくでなしをたくさん見てきた。
魔術師は非道を許す存在だとしても。その精神は真っ当であってもいいのではないか。アルヴィースはそう考える。
どこかで折り合いは必要だろう。それは外で学べる。だから、ここでは理不尽な悪から幼い子供を守りたい。その信念は確かにあった。
「さてと。そろそろ授業じゃな。真っ当に生きれないことの辛さなど、学ぶのはわしだけでいい。」
そうして。歪んだ魔女は席を立つ。歪みを生まないために。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
双星のグレートマザー(レートー)

わたしは、このこたちをうむの。それしか、おぼえてないから。
幼い少女が何処かに現れた。彼女の腹部は膨らんでいて、誰もが哀れみ避けた。
一日目。彼女は野犬に襲われた。こどもたちをまもらなければ。必死で街へ逃げ、自然の脅威から身を守る。
二日目。彼女は街で暴行を受けた。異常性愛者ぐらいしか、彼女を受け入れる者はいなかったから。
三日目。私は彼女を見つけた。暴行を受けながら笑みを絶やさない彼女に恐ろしさは感じた。しかし助けないわけにはいかなかった。
四日目。私はそれから彼女を背負い、守るための旅に出た。きっと子供が生まれれば、彼女は普通の少女に見える。そう信じて。
五日目。親子には見えないらしい。どこに行っても私ごと不気味な目で見られた。
六日目。なんとか、誰も住んでいない小屋を見つけた。ここでやり過ごせないだろうか。そう思った時、偶然にも街は大火事に包まれた。
七日目。この街は、崩壊した。必死に生き延びた。彼女は相変わらず、嬉しそうに笑っている。少し不気味に思った。
八日目。この少女は異常だった。明らかに産み落とすべきでないものを産み落とそうとしている。手を下せるのは、私だけ。
九日目。私はーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
オスカル(モザイク市)

「マスター。この世界は理解したわ。とりあえず、探すわよ。」
何を?とりあえずそろそろ私もサーヴァントを呼ぶか、そう思ったから呼んだら出てきたのは、とても綺麗な女の子。…みたいな男の人。
「決まっている。当然いるでしょうね。ディルムッド・オディナ。フィン・マックール。彼らが英霊でないなんてあり得ない。」
私のサーヴァント、オスカル。どうも生前の知人に未練があるみたい。
「えーと、天王寺の中を探せばいい?」とりあえずそれだけでもかなりしんどいんだけど。
「そこにいるなら。それでいいわ。」彼はそう返すけど、それっていなかったら梅田とかまでいかなきゃいけないんじゃ…。そうしてとりあえず外へ出る。…彼に抱っこされて。
「この方が速いわ。手放さないから、安心しなさい。」うーん。男の人に抱っこされるなんて初めてなんだけど。
目まぐるしく視界が動く。全部を見渡したみたい。サーヴァントってさすがだな。
「いないわね。次、行くわよ。」そう言って彼は次の階層へ。全部見て回るのは無理だと思う。
「ねえ、なんでそんなにその人たちに会いたいの?」ふとそう聞いたら。
「私の夢が叶うから。」
なんだか、すごく寂しそうに言った。

38

プロローグ
1話
2話
自分もうまばかのオーソドックスな聖杯戦争SSを便乗して宣伝
放置してるけどそろそろ続き書きます
このままいくと20話くらいいきそうでいつ終わるんだ
俺の長所?もおしえてくれーとりあえず戦闘描写は苦手だぞー

37

読ませていただきましたー月並みですが感想を
原典がうまく織り交ぜられてるのがいいなーと思いましたこういう資料必須なものはとりあえず自分には書けないのですごいと思いました
あと戦闘描写が交互に視点が入れ替わってるのに読みやすくて格好良くて良いなと思いました
ここら辺はぼくにはとてもできない

36

Knightmare_1/2
Knightmare_2/2
なんと傲慢なのだろうと思いますがSSから自身の傾向長所や今後注力したら良さそうな点を評価していただけると心の支えになってありがたいです まずもっとたくさん書かないと…

115

「───衰えたかなぁ。」

銃が重い……。手の内に握った鋼鉄をちらりと見遣る。
それが僅かな間隙となっていたことに、クリスタは気付かなかった。背後に駆け寄って来ていた足音が聞こえ、振り向いた時には、既に四ツもの自動小銃の銃口が此方に向いていて───

「(やば────)」

普段なら、こんな事無いのに。どうして?
長く人を殺してきた経験からクリスタは、気付けば自身が絶命の危機に晒されている状況そのものに驚愕した。
眼前の男たちが、引き金に指を掛けている。当らない事を祈らねば、先ず当る。この場の誰よりも彼女が理解していたからこそ、彼女は────僅かに身動いだ。
同時に、彼女の脳内に、雷の様な思考が飛び去っていった。

─────何で。
─────死ぬのが、怖いのか?

自身に向けられた銃口からマズル・フラッシュが焚かれる迄の刹那。クリスタが虚無に満ちた瞳を見開いた、その時───
すべての銃口の位置が、不意に下がっていった。

「……?」

否。目の前の男たちが銃を「取り落としたのだ」と、クリスタは瞬時に気が付いた。
有り得ない。『青の夜更』ほどでは無いにせよ、彼等も相当の手練れのはずだ。
死体が瞬時に三ツ生産されている場面を目の当たりにしたところで怯む様な胆力を備えている様では、対外特殊部隊(スペツナズ)など到底つとまりはしない。
何故───疑問への答えを探す内、クリスタは気付いた。見辛かったが───彼女と兵士の間に小さく立ち塞がって、何やら呪文を唱えている、暗く儚げな女の姿に───

女の用いたのは簡略的な魅了(チャーム)だった。たかが一小節(シングルアクション)の魔術。魔術師に使えば即座に掻き消されるだけのもの。
だが眼前の敵は、違う。何も知らぬ兵卒だ。現に少し魔力に充てただけで、放心状態になっているのだから───

クリスタの背後に迫る存在に気付いた瞬間、女の身体は動いていた。……何故かは解らない。
だが、ヴィルマは現に成功していた。クリスタの背中を撃たんと謀ったこの不届き者達を、無力化することに……。

「やるじゃん。いい子にしててって言ったのに。」

クリスタは見開いた眼を、いつもの眠たそうな暗い瞳に戻して、相も変わらぬ暢気な調子でヴィルマに告げる。

「御免なさいね。……生憎、護られるだけの女じゃないの。」

ヴィルマもまた、いつもの不幸に満ちたような暗い瞳で以って、相も変わらぬ不満げな調子でクリスタに返す。

「へー、じゃもう僕いらないね。」
「解雇した覚えは無いのだけど。」

二人が僅かに言葉を交わす間に、残る影から足音が近づいてくるのを察知し、クリスタが身構える。
それに合わせる様に身構えて、ヴィルマは静かに、クリスタの隣に立った。
クリスタは困った様に隣の女を一瞥して、いつもと変わらない、気楽そうな声色で、ヴィルマに言った。

「……じゃ、三十一回目も生き残ろうか。出てきても良いけど、足手まといなら見捨てるよ?」
「あなたこそ。勝手に死ぬのは許さないわ。」
「ひゅー。言うようになったじゃん。」

114

錆び果てた鋼板を肉体で以て焼き菓子の様に砕き、獣のごとく姿勢を低くして、倉庫外の荒野へと踊り出す。片手には既に安全装置を外したナガン拳銃を持ち、飛び込みざまに銃口を向けた。
変わらず光の消えた瞳で、眼前に出現した三ツの人体を確認する。そのうち最も離れた一ツの頭部を無感動に眺めながら、肉体に染み付いた最小限の動作で銃を構え、照準を定める。
ただの一発。クリスタが迷わず引いた引き金の、僅かな金属の軋む音。弾倉が周り、撃針が走り、薬莢を叩く。消音器を通して、乾いた音が聞こえた。
同時にその人体は、力なく崩れ落ち始めた。其処に有った生命は、じきに消え失せるだろう。クリスタがそれを確信する頃には、既に余った左手にナイフを握っていた。

残った二人が異変に気付いたのとほぼ同時に、次にクリスタはもっとも近い位置の、大柄な人体を見る。
小柄な身を縮め、全身の筋肉を収縮させ、乾いた地面を蹴る。須臾の間に二つの僅かな砂埃が立つと、その身体は既に、人体の背後に存在していた。
勢い付いた肉体とは裏腹に、恐ろしいまでに優しく、軽く、音もなく、彼女は人体に後ろから抱きついた。一動作で終わった。彼女が左肩を僅かに動かし、腕を横に引く。それととともに、人体の首に深く押し当てられた刃が、肉を素早く、柔らかく引き裂いていた。

МОНСТР(化け物)……!!≫

状況をようやく理解した最後の一人が、同胞に組みかかっている女に自動小銃の銃口を向けた。
クリスタは瞬時にナイフを離して、先ほど切り裂いたばかりの、大柄な人体の背後に隠れる。続いて恐慌状態で発砲された銃弾は可哀にも同胞の肉体を貫き、その命脈が事切れるのを早めた。
それに気付いて引き金が止まった隙を許さず、クリスタは既に生命活動の停止した人体を、前方へと勢いよく突き飛ばした。

男は突如として自分の方に飛んできた肉塊の衝撃をもろに受け、体勢を崩す。そのまま息せぬ重い人体と共に、地面に倒れ込んだ。
男が見上げる瞳に映ったのは、自身に向けられた銃口と、それを構える女の、燻んだ金の髪、小さく端正な顔、草臥れた様な無表情。そしてその内に無機質に嵌められた、何一つとして光を映し出さない、紅の虚無の瞳だった。
深淵の様なその瞳を覗き込んだその刹那、彼は理解した。この光景は、自身が最期に見るものなのだと───

СУКА(畜生)───≫

Простите.(バイバイ)

乾いた銃声。生命が消える音を感じながら、クリスタは息を吹く。
それ迄何とも思わなかった筈の銃声は、その時、何故か───酷く悲痛なものに感じた。

113

その瞬間であった。

「───伏せて」

凄絶なまでの金属音が、倉庫に満ちた静寂を完膚なきまでに破り棄てた。
それは鉛が倉庫に穴を開け、鋼が鉄を切り裂き、銃弾が脆弱な鉄柱に跳ねては、火花を散らして乱反射する轟音……。
四方八方から、地獄の光景を想起させるがごとき、怨嗟のこもった悲鳴のような金切声が響き渡る。金髪の女は暗い髪の女を抱き締めて、きわめて低く姿勢を保ち続けた。
二、三発の跳弾が彼女の服と髪とを掠め、辺りに僅かな布の繊維、細やかな金色の髪が飛び散る頃合いになり…
ようやく、その音は止まった。

Оно умерло?(どうだ?)
Оно монстр в ≪синий закат≫. Осторожно.(相手は青の夜更の化け物だ。警戒を怠るな)
Да.(了解)

「……」
「……あいつらかぁ……」

倉庫は今や劣化した四方の薄い金属壁のすべてに、蜂の巣のごとくに風穴が空けられているありさまへと変わっていた。
その奥から聞こえてくる複数人の見知らぬ声、しかしてよく知る言葉を聞きわけたのち、彼女は急ぎ腕の中の女を見る。
状況が呑み込み切れていない様な、然し変わらず不運に満ちた表情。だが、その肢体には傷一つ付いてはいない。それを確認し、金髪の女は安堵とも脱力とも知れぬ吐息をひとつ漏らした。
そしてすぐに、先ほど談笑していた時までとなんら変わりのない笑顔を浮かべ、いつもの様に状況とはまったく乖離した、気散じな調子で声をあげた。

「……もうなりふり構わないって感じだね。しつこい奴ら。」
「でも、此処はもうフランツィヤ。情報網はマジノ線で一旦切れてるから……これが最後のはずだよ。」
「あいつらならやっちゃっても問題ないし、本気でやるから───」
「良い子にしててね。кошечка(仔猫ちゃん).」

悪戯っぽく唇の前に指を立ててみせたあと、ヴィルマから視線を離した瞬間、表情が消えた。
機械の様な動作で穴の空いていない部分の壁に耳を付け、周囲の音を聴き始める。風、流水、足音、砂埃、金属音。敵は比較的重装備だったのか、クリスタには容易に人間の音を聴き分ける事ができた。

「(北3 東3 南4 西4 二分隊規模)」
「(北西から西南西に山岳 南東から北北東に河川 車は北……)」
「(現在地 東壁側)」

「…位置はよし」

倉庫が取り囲まれ、四方から銃を装備した精鋭部隊が徐々に迫って来ている状況を瞬時に理解したクリスタは、自分が耳を当てて居る側の戦力が比較的薄い事を確認して、その辺りの石ころを拾う。
肩を大きく振り被る。自分より離れた場所の、劣化したトタンの板壁に向けて投擲する。
瞬間、鋼が毀れる様な凄まじい反響音が響き渡るとともに、壁にもう一つの風穴が開いた。

Что()───!≫

壁外のすぐそこに迫り来て、劣化した板材を蹴破ろうと試みていた三人は、気を張っていたのも有ったのだろう。
皆が一様に音のした方を向き、皆が一様に音のした方へ銃口を向ける。
その瞬間を、クリスタは逃さなかった。

112

「……別に。死ぬのは怖くないよ。」

ふとした雑念に発話が途切れた瞬間、あたかも彼女が言わんとしていたことを見透かしていたかの様に、クリスタは答えた。
ヴィルマは黙り込み、ふたたび床を見る。クリスタもまた、変わらず虚空を見ていた。

すっかり短くなった煙草を口に咥え、深く吸い込む。濁り切った瞳を今にも落ちてきそうな天井に向けたまま、薄色の唇の僅かな隙間から、瞳と同様に濁った白煙を吹き出して、火種を消す。
宙に消えていく白煙と共に溶けてしまう様な感覚の中に揺蕩いながら、彼女は言葉を続けた。

「……僕らはいつ死んだっていい。そう教えられてるし、実際にそうだし。死んで失くすものなんかないよ。」

淡々とそう言ったクリスタはしかし、夢の様にぼやける視界の中に、虚空では無いものを見ていた。
ぼんやりとした輪郭が、徐々に形を帯びてくる。残留する煙の中に映るのは、蒼色に輝くふたつの光。
クリスタは理解していた。それは消える間際に向けられた、あの瞳だと。あの生意気で、口答えしてきて、自分などを庇う馬鹿な従者(サーヴァント)の、あの瞳だと……。
その双眸と共に鮮烈に思い出される言葉が、朦朧としたクリスタの意識を循環する。それとともに、彼女はちらりと、隣の女を見た。

瞬間、ふたつの視線が合わさっていた。
どちらも、特に驚きはしなかった。互いに澱み切った瞳。片や明るい蒼色ながら、力ない暗さをしている。片や鮮やかな紅色ながら、光ない暗さをしている。
相も変わらず、同じ暗(あかる)さの眼差し。
互いの奥に潜む深い深い闇を覗き込む様に、引き摺り込まれる様に見詰めている。
それは好奇か、あるいは憐憫か、あるいは……。

クリスタは自らと同じ深淵を宿した蒼色の瞳を、霞んだ視界のうちに望みながら。
きわめて小さく細く、短く呟いた。

「ああ、でも────」
「───今はちょっと、死にたくないかな」

動いたのは何方だったのだろうか。
何ゆえそのようになったのだろうか───

壊れたスプリングの軋んだ音が響き渡る。次いで女のわずかにうめく声が漏れる。
互いが気付いた時には、金髪の女は、マットレスに仰向けに倒れた暗い髪の女の上に伸し掛かっていた。

「……何の積りなのかしら」

暗い髪の女が発したか細い声は、そのまま静寂に溶ける様に立ち消えた。
先程まで少しも合わせることのなかった顔が、今では触れんばかりの距離にある。
四つの草臥れた瞳の放つ鈍い視線がきわめて近距離で交差し、互いの内に潜む深淵を暴く様に見据えている。
赤黒い瞳が青白い瞳に近付く。互いに吐息がぶつかる程の距離。女の吸ったばかりの煙草の脂の匂いは直ぐに、二つの肉体の間に満ちた。
上に在る女の呼気の香りは、そのまま下に在る女の鼻腔を支配しに掛かる。それは恰も、直接的な両者の支配関係の様に印象付けられた。

静寂の中にあって、呼吸、鼓動、体温、芳香、互いの生命活動を証明するすべてが直に伝わって来る。一刻一秒毎に、眼前の存在が生きて居ると云う事を肌で感じ取っている。
感情が灯らぬ双眸を覗き込む事はやめない。それは良く出来た曇硝子の様に繊細で、脆弱で、無機質で……。
互いの瞳に吸い込まれる様に、何方とも無く顔が近付いて行く。息遣いが迫る。打ち捨てられたクッションに互いの髪が散り落ち、何方とも無く混ざり合った。
暗い髪の女の華奢な腕から、徐々に力が抜ける。肉の強張りが時と共に解けて、抵抗が消えて行く。力を掛けられる事を受容して行く。
金の髪の女の腕が、横たわる女の腕を明からさまに押さえ付ける。細く力のない腕からさらに力が失われていくと共に、より一層マットレスに女を沈めて行った……。

111

時が停まっている。クリスタが指に挟んでいる煙草の煙ばかりが揺らめき、その場で唯一動いているものだった。
どれだけ間が空いても、両者とも互いの顔をちらりとも見ることは無かった。問うた女は何もない床を。問われた女は何もない空を見つめるばかり。
悠久とも思える時。感覚すら忘れる頃になって漸く、クリスタは細く長い息を吹いて、ポケットに手を突っ込む。未だ変わらず其処にある、ナガンM1895拳銃の冷たい鉄の硬さを感じながら、洩らすように、一言だけ呟いた。

「……なんでだろ。わかんない。」

珍しく歯切れの悪い言葉で、答えを濁す。
こうした状況なら、いつもの底知れぬ無感情な笑顔を向けて、すぐさまもっともらしい理屈を並べるのがクリスタという人間だった。
彼女がこのように明確に言葉に詰まったのを見るのは、ヴィルマにとっておよそ初めてのことで───

───否。ヴィルマは知っていた。
初めてではない。このような様子の彼女は、確かにかつて見た事が有る。
それはあの日、あの時。倦んだ瞳を覗き込んだ、仄暗いあの通路。
女が自ら命を絶とうとしていた、他ならぬあの場所で───

ヴィルマは、隣に座っている女の、自分よりも低い位置にある横顔を一瞥した。
女は間近で見ると、思っていたよりも小さかった。肌は透けているかの如くに殊更に白く、陶磁の人形を思わせるよう。
燻みがかった黄金色の髪、変わらず濁った光なく大きな紅の瞳、細く小さな息遣いの聴こえる、色の薄い唇。
自分の全てを預けていると言ってよいこの女はその瞬間、何ゆえか、硝子の様に脆いものに思えた。

無色透明───その女に対する印象は、なおも変わりはしなかった。たかが一月程度の付き合いだが、人格もその通りであることは既に感じていた。
ソヴィエト連邦のスパイであること。ほんの少し前まで彼女について知っていたのは、それぐらいのものにすぎなかった。
しかしある局面で自ら命を絶とうとしていた彼女を拾い上げ、ボディーガードとして行動を共にするうちに、多くのことを知った。
それは文字通り常軌を逸した戦闘能力であったり、自分も騙され掛けた演技力であったり、世間知らずの自分に多くを教えられる知識であったり。
だがその根本的な無色透明さは、当初から感じていた通りであり、同時に想像を超えたものであった。
凡ゆるものに価値を置かず、物欲・食欲を初めとした根本の人間的欲求のみならず、生命の維持に対してすらも頓着していない。
不味い戦闘糧食も、偶然手に入った甘い菓子類も、その辺りを這っている虫も、全く同じ表情で食べるのだ。そのくせ『逃亡』という第一目標に対しては機械的なまでに適切に実行する。あたかもそれ以外のことなどこの世には無いかのように。

全てがどうでもいいから、いつでも楽観的な態度なのだろう、という事は容易に理解できた。そこには善も悪もなく、ただ『自分が此処に連れてきているから』『彼女は此処に居る』のだ。
それが何故なのかまではどうでもいい。しかしヴィルマは、そこに生じている綻びを見逃してもいなかった。
今まさに、言葉に詰まっていることもそうだ。それより何より、彼女は確かに覚えていたのだ。
あの日、あの時、確かにその透き通る瞳の奥に見た、人間性と云う不純物。水晶に生じた罅を……。

「あなたは……」

さらに口を開き掛けた矢先、ヴィルマの内に疑問が過り、言葉が止まった。

────私は何故、こんな事まで聞こうとしているんだろう。

110

「…さっきで何回目だったかしら」
「えーと…ゲシュタポに十六回、НКВДに五回。OSSに三回、MI6に五回……」
「それで今回SDECEが出て来たのを合わせると……お、記念すべき三十回目じゃん。おめでとー!」

原野に放置された崩落寸前の倉庫の中に、一切心の篭っていない、乾いた拍手が響いた。

「…おめでたくは無いと思うのだけど」
「いやー、めでたいよ?少なくとも君はそー思っといた方がいいよ。今にやってらんなくなるからねー。まだまだ来るだろうし?」

拍手と同様に乾いた嘆息を漏らす女と、事の重大さに反してからからと笑う女。
二人は亡命者であった。ナチス第三帝国の執り行った大規模な魔術儀式、聖杯戦争の参加者──
彼女等は今や、第三帝国が秘匿していた『聖杯』についての情報を得る為、世界各国の情報機関からその身柄、時には命を狙われる立場にあった。
そのうちの一人──小柄な金髪の女、クリスタは、先ほど拾ってきたボロボロのフランス語の新聞を眺めながら、少し離れた位置の、倉庫のかたすみに捨てられたマットレスの上に座って居るダーク・ブロンドの髪もつ女、ヴィルマに話し掛ける。

「さすがにゲルマニヤを出てから頻度は減ったけど、まー情報網は撒け切れてないよね。めんどくさいなー。」
「そう。…フランクライヒも戦禍が落ち着いて来たみたいね…ここも長くないかしら」
「イポーニャも降伏したっぽいしねー。ド・ゴールもけっこう動いてる……どさくさに紛れてべルギヤ辺りに高飛びしたいとこだね。」

ドイツ、スイス、フランスと長距離を身元を詐称しつつ、盗品の車で続けざまに移動してきた彼女らは、互いの強がりで以て隠していた物の、いよいよ疲労が隠せぬ様子となっていた。
緊迫した状況下にあって、このような廃屋の中に一時の休息を摂っているのは、何の計画があった訳でもない。
長い車旅の中でぽつねんと建っていたこの建物を示し、片方が遠回しに休息を促し、片方が遠回しに了承したというだけのこと。
かくして二人は、錆び付いたトタンで組まれたこの古倉庫の中で、僅かに許された休息に甘んじているのであった。

国際警察(インターポール)にまで目付けられると厄介だし、始末まではできないよなぁ……殺さない程度って難しいよね。国がバックについてないのは辛いよ。」
「ね、何て言われても。」
「君も素手で戦えるぐらいにはなっといた方がいいと思うよー?」

なおも状況と乖離したような気楽な調子であっけらかんと喋るクリスタは、会話の途切れ目にやおら新聞をかたわらに置いて言った。

「そっち行くよ」
「ええ」

新聞をその辺りに捨てて立ち上がり、放置されているマットレスの上、ヴィルマの隣に座る。
傷んだ短髪をかき上げると、懐からぐしゃぐしゃの紙箱を取り出した。
一本の乾燥した煙草を取り上げて火を点ける。煙を肺に入れ、ゆっくりと吐き出す、その繰り返し……
虚空を望むその紅色の瞳の奥は、宙と同様かそれ以上にうつろな様子で、あたかも現世を正しく認識していないかのようないびつさを孕んでいた。
そうした一連の所作を感情の灯っていない瞳で眺めていたヴィルマは、しばしの静寂を破るがごとく、ふと独り言のように呟いた。

「……私が」
「ん?」

わずかな逡巡ののち、女は言葉を続ける。

「私があなたを雇ったとき……死のうとしていたでしょう」
「……あ、バレてた?あれは…」
「……何故?」

問いかけが間髪入れず投げ入れられる。その瞬間、二人の間には、一転してすべてが凍り付いてしまったかのような静寂が訪れた。
クリスタはなおも空虚な笑顔を崩さないが、一瞬ヴィルマに向けていた視線をふたたび虚空の中に戻し、しばしの沈黙に暮れはじめる。
ヴィルマは問いを投げても隣の女の方を見ようともせず、草臥れたような淀んだまなざしを、古びたマットレスの糜爛した繊維に向けているだけだった。

12

また何かあったらいつでもいってくだち!

11

マニ「」ありがとう!!受け取りました
お時間いただきありがとうございます。たすかる!

10

マニ
マスターさん!ティロ・デュエットよ!!!
とりあえずぴくるーで見た目と汎用台詞とモザイク市台詞とついでに喪失帯台詞をつくりました
まあ割と長いものに巻かれていつのまにか一体化するタイプなので何喋ってもおかしくない…はず

9

マニ「」ありがとう
マニさんにやっていただくことになりました
というわけで失礼いたしました読んでいただいた皆様ありがとうございました

8

快諾誠にありがとうございます!
こちらはお時間頂いている側であるので、お時間取れそうな時で……書いた後に修正していくことも可能だと思いますので
ただ、小心者で本番に弱い部分や胡散臭さ、逆にカッコつけてる部分など雰囲気がおぼろげでも早くに分かるとこちらとしてはとてつもなくありがたいとは思います

7
「」ル・ヒコック 2020/10/31 (土) 17:12:24

よろしいですぞ!
丁度セリフ集を作りたいと思っていたのでいつまでに会話パターンを出せれば良いか教えて頂ければ幸いです

6

すみません書き忘れていましたが舞台はそのまま泥モザイク市の話です。
各泥鯖のマスターは出さないつもりなので【マスターがいてもいなくてもどちらでも大丈夫です】
とりあえず、>> 5の条件だけをみて表明いただけると

5

SSの話ですがRequiem作中の聖杯トーナメントで実況者をしていたオケキャスのような役割の鯖を募集したいと思っています。
【条件:必須なのは女性。できればコミュ強(明るい)&文化人系&近代に近い、これらを満たしているとありがたいかも】
ただその時の実況者&想定では一場面のため活躍(出番)は少ないかもしれませんが、もしオッケー!という方がいらっしゃいましたら、このレスや泥スレなどで表明いただけるとありがたく存じます(複数候補を挙げてくださっても問題ありません)
こちらの判断にて出演泥を決定させていただきますが、その点はご容赦ください。
また決定後はどういった話し方をするかなどの、会話パターンを教えて頂くかもしれませんがその場合には少々お時間を頂くかもしれません。重ねてご容赦お願いいたします。

また、ビル・ヒコック「」がいましたら、同じ用途でお借りしたいのですがよろしいでしょうか?ということをお聞きしたく思います(フリー素材のタグがついていましたが一応)

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残骸を投げたものです
超正統派のゲイって感じに仕上げていただいてありがとうございました
ゲイなら盛っても許される

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ゲイ(2)
自分も残骸から拾わせていただいた泥を
個人的にも好きな英雄だったので色々盛った
けどFGO風性能はちょっと盛りすぎたかなあとも思ったり

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ありがとうございます
あまりに魔術師らしくない願いではありますがなんとか幸せになってほしいですね

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実に愛らしくて良いと思います
何事もなくエルメロイ教室の面々と楽しく過ごして欲しいですね
仲良くなりたいと考え始めたのがどうマギくんちゃんを変えるか楽しみです

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男の中の男
これほどまで強調されたら認めざるを得ない