星見の砦に、始まりの石は立つ 1/2
2019/12/17 (火) 20:42:47
「親父殿! ようやっと魔術の師匠見つけることが出来た!」
「本当か!? そりゃあめでたいなぁ! というかやっとか!?」
喜んだ顔で勢いよく飛び込んできた息子に対して、"俺"は笑いながら祝いの言葉を口にする。
「おめでとうヘイレム~~。それで何専攻するか決めたの~~?」
「あー…それがだな。まだ正直迷っててだなぁ…」
「死と生について一緒に研究しないかい兄さん」
「お前はまたそれかよ!? 俺は俺の道を行くよ!」
騒がしくも暖かい、目の前で繰り広げられる会話を見て、心が解ける感覚を覚える。
「────こういう家族らしい会話は、暖かく、楽しいものですね。お父様」
「……そうだな……ルシア」
隣に座る長姉の言葉に、"俺"は頷く。そうだ、本来家族とは、こうあるべきなんだ。
義務感に縛られず、疑心暗鬼もなく、心を休められる場所であるはずなんだ。
────だが"俺"は、この可能性(かぞく)を否定した。この道を選ばなかったんだ。
「……ごめん」
その言葉は意識せずに出た。謝らずにはいられなかった。この、本来あるべき幸せを、俺はお前たちから奪ったんだ
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