アンリエッタ・K/"悪竜"のライダー
2019/12/16 (月) 22:00:58
>> 14
「ちょーちょ、あんたはすぐ壊す──────!!」
目標をたびたびスクラップにして持ち帰るのはお互い様だが、特に静雄の破壊傾向は群を抜いている。
この前も、もう少し丁重に扱えと言ったばかりだと言うのに。モーゼルの一撃は直撃したが、巨人の下半身を形成していたロボットを吹き飛ばすに至り、その場には大きく土煙が巻き起こった。
>> 17
その瞬間、彼女は視認した。
巨躯の右腕を同時に斬り飛ばす、彼方から飛んできた、見知った巨大な人型を。
爆発の余波で、右腕を成していた無人兵器群がこちらに向けて飛んでくる。
『ふん!!』
彼女の前に立ちはだかるライダーが、手に持った槌矛の一撃のもとにそれを吹き飛ばした。
>> 18
それと共に土埃は晴れる。……しかし、そこに"それ"の姿はない。
まさか潰されたか?と一抹の不安が頭をよぎった時、ふとライダーが上を指さしているのが見えた。
その通りに視線を動かすと——————いる。
下半身を失い、ほぼ機能停止に陥った巨躯の頭の上に、いつの間にかそれは移動していたのだ。
「——————ホント、何なのアレ?」
呆れと共に声を出し、彼女は飛んできたもう一体の巨大ロボットに向けて、同じような調子で声を上げた。
「……で、何でこんなトコに居んの?
同業、同社に属する男。見知った機械の主に少し不満げに声をかける。……彼女の方に、右腕が飛んできたためであろうか。
——————————奥でほぼ動かぬ巨体が、再び集まってくる無人兵器により再生しつつあるとも知らず。
通報 ...
『なんでも何も、また架線を壊しただろうルーキーども!
ここまでめちゃくちゃなのはアンタらが初めてだ! まったく……』
『クルージーン』から聞こえる声が俄に落ち着きを取り戻す。『状況は? 何に手を出したらこうなった? ここ一帯は無人機の巣窟だ。CDUからの忠告もあったはず。その上で何故立ち入ったかは今は尋ねないことにしておく。回収物もないなら命あるうちに撤退することを勧めるけど』
そう言いつつリゥはアンリエッタたちと機体を挟んだ反対側、『クルージーン』の左の杭剣を白化させていく。
アンリエッタに問いを投げかける最中も『クルージーン』のカメラは周囲を伺うことをやめない。リゥは過去にもあの合体巨人を相手にしたことがあった。その時に確かに灼き尽くした手応えがあった、にも関わらず同型のものの発見報告が何度も上がっている。つまり、あれは再生能力を持つということだ。
再生速度はわからないが最悪を考えるとキリがない。とにかくここを離れなければ。