女性の当主だった時の記憶とかも引き継いでたら娘たちの女子トークに女性視点で入ってきたりもするのか…。
歴代当主の記憶…「人格とは記憶によって作られるものである」とすれば実質的に歴代全て初代当主とほぼ同じ人格。 家の歴史が何年前からかにもよるけど割とヤバい魔術師だな…。 でも人間の脳は記憶を忘れることも機能であるため ・記憶がどれだけ受け継がれるか ・受け継いだ記憶のうち何%を忘れずに受け継がせられるか ・所持している記憶をどこまで思い出せるか 次第であんま役に立たねぇなこの引き継ぎってなる可能性も高いな!突然初代様が女に振られた記憶を思い出して泣いてしまうとかありそう…
長女が魔術師ということは父親も魔術師。 メガネはかけていて煙草は吸う。 使う魔術は決まってないけど歴代当主の記憶を魔術刻印と一緒に受け継いできた魔術師の家系の生まれまでは浮かんだ
頑張ってください父上 私が言うのも何ですが貴方が唯一の常識人です父上
ひとまず家族が大事、思い出も大事にするっていうのが思いついたからそういう父親にしよう
みんな濃すぎる…
家は喋ります 人語を解さない家に価値などありません
魔術の才能0で運動神経抜群・頭脳明晰という突然変異をかました白髪クール系の天然天才次女です 趣味はパルクールでDDRで鍛えた健脚と太鼓の達人で鍛えた腕力でぴょんぴょこ飛び跳ねます 休日はキャップ被ってゲーセンに行っては最速風神拳したりクロススパイダーしてます 好物はチューインガム 料理は平野レミ ネーミングセンス×が今のところの設定です
末妹は長女を「おっきい姉者」、次女を「ちっさい姉者」と呼び、ロリながら料理ができる。 それ以外はまだ何も…何も決めていないのである!!
ペットは元人間の女性で アフリカ秘密結社ニージーのトーテム巫術の極みの成功によりワニ神へと変生した人というところまではおおよそ決まっていて 他に母親が来るか来ないかなどで、母親になるか拾われてきたワニになるか変わりますね多分
父親どうしよう…軽い気持ちで参加しようと決めたから何も決まってないな
お姉ちゃんは頭と要領が悪くて身体とメンタルが弱いけど魔術的ななんか素養だけは優れている感じで自分含めた種々なものを極端に脆くできる程度の呪術を扱うか弱い生き物ってくらいしか決まってません
いいよー 残る4人全部親父でも問題ないしね
じゃあ俺父親練りたいがいいのだろうか…
家は喋るとかペットはワニだとか奴らは好き勝手言いだしてるが気にしないほうがいい。 長女が弱い生き物の20代で次女が白髪天才中学3年生で末女が小学生以下ぐらいしかほぼ決まっていないはず。 だってまだ企画立ち上げたばかりだしね!!
テステス
てすてす
ありがたい…ところで今設定ってどこまで決まってるの?
まともな母親とまともな父親が来たら奴らはただの家とペットになるはずです。
いいよ!
上の「」ゲミヤとは別人だが俺も家族泥の流れに乗らせてもらいたいがよろしいか!?
怒らないで聞いてくださいね ペット(暫定母親)と家(暫定父親)ってなんだよ!妖怪一家かよ!
おつ
でかした
盾乙
図解 天羽々斬(本体、布都斯魂大神)→スサノオ?(サーヴァント・天羽々斬単独召喚) ↓ 天羽々斬オルタ(抑止力と契約した守護者) |←八稚女オルタ(幻霊、クシナダヒメを除く姉7人の集合意識) 新宿御苑のランサー → (怒りを沈めた八稚女オルタが世界の裏側に天逆矛を封印)→京都御苑のランサー(レクイエム世界にて再召喚) ┠→天羽々斬〔水着〕(八稚女オルタから分離した天羽々斬オルタの肉体が自我を得る) ↓ 八稚女〔ゲートキーパー〕(天逆矛を封印した八稚女オルタとは別の可能性)
概略 布都斯魂大神の分霊が座に組み上げられた境界記録帯が天羽々斬であり、布都斯魂大神の可能性が抑止力と契約し、守護者となったのが天羽々斬オルタである。
二騎の分岐点は一万五千年前のヴェルパー来襲に端を発する。 ヴェルパーの地上蹂躙に対して天羽々斬は自身が竜=ガイアの端末への概念兵装であることを理由に戦うことを禁じられ、無念のまま結末を見届ける事しか出来なかった。 その無念は神の時代から人の時代へと代わる時も消えることなく、多くの神々が世界の裏側に去ろうとした時、世界の裏側から人々を見守る事で埋め合わせようとした。 しかし、一振りの剣でありたいと言う願い、悔恨は決して埋まることはない。 結果、無念を晴らすべく布都斯魂大神は 神剣天羽々斬として座に刻まれサーヴァントへと昇華された。
一方、天羽々斬オルタは神剣天羽々斬というよりは神霊布都斯魂大神としての側面が強かった存在である。 天羽々斬オルタはヴェルパー来襲に対して抗戦を訴えるのも同じように戦うことを禁じられ、その最期を見届けた。 しかし、剣ではない在り方を受け入れられなかった天羽々斬と違い、オルタは竜殺し。ガイアが牙を剥いた時のカウンターと言う在り方を受け入れ、諦めた。 そして神代の終わりが訪れ、人の時代が始まり神々が世界の裏側に移り始めた頃、天羽々斬剣、布都斯魂大神は世界の裏側へと行くことを躊躇していた。 神々が世界から去った後、人は世界に残った魔性や龍に対処できるだろうか? 迷った末に布都斯魂大神は世界と、アラヤと契約。 神霊としての自身の一部を世界に残す代わりとして守護者、抑止力の代行者、守護者として力を振るう、と。 結果、竜殺しの抑止力として守護者となった。
捕捉 ※区別の為に以下サーヴァントの場合は天羽々斬(サーヴァント)、本体の場合は天羽々斬(本体)或いは布都斯魂大神、天羽々斬と言う存在全てを示す場合は天羽々斬と記載する。
天羽々斬は守護者、抑止力としての召喚に関わらず天羽々斬オルタではなく天羽々斬(サーヴァント)として召喚されるケースが度々存在する。 基準世界、O-13世界線に置ける堕天使ルシファーとの決戦が代表例であるが、これは天羽々斬(サーヴァント)が一定条件下で抑止力としての召喚に応じている為である。 天羽々斬オルタは抑止力の調整により対竜戦闘に特化し過ぎており、汎用性と言う点では自己改造スキルや第二宝具の保有で天羽々斬(サーヴァント)に軍配が上がる。 その為、対竜戦闘は少ないか、ないが戦力が必要な場合などは天羽々斬(サーヴァント)が、目標が明確であり対竜戦闘が確実な場合は天羽々斬オルタが投入される事が多い。
捕捉2 竜狩り(泥新宿のランサー(2))について。 泥新宿のランサー(2)。竜狩り、或いは御苑のランサーの通称で呼ばれるサーヴァント。 対ウロボロス用に投入された天羽々斬オルタと竜、大蛇の贄となったクシナダヒメを除く7人の八稚女の集合意識が理不尽な暴力、怪異の犠牲者と言う側面を強調され幻霊となった八稚女オルタが幻霊合体する事で生まれた英霊。
肉体こそ天羽々斬オルタのものだが、精神のイニシアチブは八稚女オルタが主導権を握っており、八稚女の戦闘経験の少なさからスペックを完全に引き出せていない状況。 しかし、抑止力による差し金か八稚女オルタに持たされた天逆矛により状況対応能力は向上し、天羽々斬オルタと比べても総合戦闘能力は決して劣るものではない。
主導権こそ八稚女オルタのものだが、時折顔を出す人格は天羽々斬オルタではなく天羽々斬(サーヴァント)のものに近い。 これは天羽々斬(サーヴァント)と言うよりも大元である天羽々斬(本体)の人格である。
反対して聞くわけもない。と思いながら答えたノワルナに対して、ナハトが声を投げかけた。 反射的に振り向いた先の彼女の顔はいつも通りの仏頂面で——— 否。これまでにないほど複雑な感情を込めた、一言で表すならば思い詰めた表情を向けていた。
「子供はその構成情報の半分をお前から受け継ぐ。私たちの子であると共に、お前の子でもある」 「お前が父親だ。消極的な賛同は、この子の将来を望まないも同義だろう」
そんなこと言われてもなぁ。
子供が産まれるとして、その存在を否定するつもりはない。だが、それに対して人間の父親らしい機能を代替するには前例となるデータが存在しない。 一応、自分の親は月の主催者になるのだろうか?———遠い月の母の顔を思い返したが、すぐに駄目だと悟った。 彼女と被造物の殆どは親子である前に、科学者と検体の関係に近い。そこに愛を感じはすれど、根本のベクトルが異なっている。 これは参考にできない、結局は情報を集めて出たとこ勝負で対応することを強いられている。 果たして、データから得られた親の真似事がどれほど寄与できるものか。本当に父親として振る舞えるのか———
「あっそうだ。ノワルナくん、はい」
思案する表情が硬くなるのを見かねたのか、ライラが立ち上がった。 そのままノワルナに近づき、右手を取って———自分の腹部に押し当てる。
「———ライラ?」 「とりあえず、考えるより感じるといいよぉ。ほらナハトちゃんも」 「……わかった。触ってみろ」
接触のタブーはどこへ行ったのか。ナハトも続いて腹部にノワルナの手を導く。 右手と左手、それぞれでライラとナハトのお腹に触る格好になった。
「———生きてる」
とくん、とくん、と。両掌から、二人の子の生きる鼓動を感じ取る。 自分たちが作られた存在、人工物、その認識に異論はない。 しかしこの鼓動は、単にシステムが作り出した人工物の律動とは異なって感じた。 そう、もとより邪魔だと思ったならば、懸念があったのならば、産ませる必要などなかったはずだ。 造りものが望ましくないならば、投棄すればいいこと、これまで失われた数多くの人工物と、いくつかの命と同じように。 そのように、今ここでこの鼓動を止めることはできない。———だから、これはいのちなんだ。 それから、明確に自身が子が欲しいと示すまでの暫くの間。ノワルナは二人の———自分の子の生命に思いを巡らせていた。
「とりあえず、仕事はしばらく僕が代わるよ。母胎は安静にするものだから———詳しい工程は後で調べるけど」 「今はとりあえず、そうだね———これを渡しておくね」
「えっ!?プレゼント!?何これぇかわいい!!!」 「服、か?私たちの」 「人間における妊婦の服。マタニティドレスって言うんだって」
「二人とも、多分今日のこと子供にも言うと思うからさ」 「今のうちに印象良くしておかないと、お父さんは懐かれないだろうからね」
「ねぇ、二人とも」 「これはどういうこと?」
これは煮卵ですか。いいえ褐色の女性のお腹です。 大きく膨らんだそれはそこはかとなく背徳的な———などと冗談を述べる気にはなれない。 何故いつも通りの格好なのか。中身が寒そうだからせめて何かそれらしい服を着て欲しい。
方やもう一方、茹で卵———それはもういい。白い服の女性のお腹です。 普段の細い肢体とは大きく趣が異なる。ともすればアンバランスさを感じさせるほど大きくなった腹部。 薄着とはいえ一応布を纏ってはいるが、やはり体格から想像される年齢と比して違和感が凄い。
否。そもそも二人とも質量的に違和感しかない。
「これは———どういうこと?」
この状況を短く要約する。 ライラヤレアハとクヴァレナハトが妊娠した。
「何ってもちろん、赤ちゃんが!できましたぁー!!!」 「おい、あまり騒ぐな駄姉。子供がいるうちは大人しく座っていろ」 「えぇぇ……じゃあどうやってこの喜びを全身で表現すればいいのぉ?これじゃあ全然足りないんだけど」 「お前の感情表現は元々どれだけ過激にやろうが足りんだろうが。とにかく座れ。ノワルナ、お前もだ」 「うん」
フリーズしたままのノワルナの思考が、ナハトの命令によって辛うじて動作する。 3人とも茶会の席に座ったが、変わらず彼の動作はぎこちないまま。とりあえず頭に浮かんだ疑問をそのまま投げかけてみた。
「いやだって、妊娠って言われても全く脈絡がないし、どうしてそんなことに?」 「どうしても何もお前が散々やったことだろうが」 「ちょうど今みたいにお腹パンパンにされちゃったねぇ〜」 「そこはノーコメントでお願いします……でも、僕たちそもそも子供を作る機能とか着いてなかった気がするんだけど」
仮にそのような機能が新たに搭載されたとして、普通に暮らしていた自分たちにいつどうやって仕込みを——— あっ。
「———ライラ」 「てへっ」 「てへっじゃない」
突き刺さるノワルナの視線をライラが舌を出して相殺する。 要するに、事に及ぶ前にこっそり世界を書き換えていたというのが本件の顛末らしい。 いくら視線を刺そうが彼女に効くはずもなく、一通りシンプルかつ重すぎる状況を確認したノワルナはひとまず結論を出す事にした。 このまま妊娠した子供を産み育てるか、再び世界を織り直して全てを夢に返すか。 育児放棄・中絶その他の方法は、後味を考えれば論外に尽きるだろう。故に先の二択から選ぶ以外はない。
「まぁ、そうだね。二人が産みたいなら別に反対はしないけれど、色々問題が無いかが懸念で———」 「いいや。これにはお前の積極的な同意が必要だ」 「え?」
もっとも、こんなルールのバレンタインデーもホワイトデーも、この国独特の風習(コマーシャリズム)によるものだということは黙っておいた。 知らない方が悪いのだし、何より今は金が絶望的にない。 だから、武器のメンテナンスや調整も、できるだけ店頼みではなくイーサン自身で行っている。 ギドィルティ・コムを召喚してから、回収作業のための調査が格段にやりやすくなったのは確かだ。 しかし、だからといって打率が急に上がるわけではない。 だというのに、コイツの食費はかさむ一方だ。 財政状況としては召喚前より悪化したといっていい。 「ホワイトデーか」 「覚えたか?いや、忘れてもいいというか忘れろと言いたいくらいだが、とにかく2月14日はお前がチョコレートを要求する日じゃねえんだ」 それを聞いたギドィルティ・コムは、チラシを掴んでポケットにねじ込むと、興味を失ったようにふいと部屋を出ていった。 一人残されたイーサンは、何とか言いくるめられたかと胸をなで降ろすのだった。
…………
2月14日。 新たなロストHCUの手がかりも見つからず、金欠に頭を抱えるイーサンの前にギドィルティ・コムがやってきた。 「おイ」 「なんだ。飯なら」 「これヲやる」 ギドィルティ・コムが、赤い包装紙で綺麗に包まれた小さな箱を、イーサンの目の前に置いた。 「お前、これ」 「今日ハ2月14日だロ?」 イーサンがはっとして壁にかかったカレンダーに目をやると、14日が赤いペンでぐるぐると乱暴にチェックされていた。 「マあ開ケてみろ」 ギドィルティ・コムに促されるままイーサンは包装を剥がして箱を開ける。 ハート型のチョコレートが入っている。 「ハッピーバレンタインって言ウんだロ?オレからのプレゼントだマスター」 「お前、これどうやって……」 バレンタイン用のチョコレートの相場なんぞ知らないイーサンだったが、それがkgいくらで売られている業務用チョコレートよりは高いことだけは分かった。 「まさか店を襲って」 「金で買っタ。武器を売っテな」 ギドィルティ・コムは、懐から1万円札を数枚取り出すと、これ見よがしにヒラヒラと打ち振る。 「……!」 「ちがウちがウ。こっちダ」 思わず武器の保管場所を確認しようとしたイーサンの目の前で、ギドィルティ・コムは口に指を入れる。 そしてもぞもぞと探るように手を動かすと、ハンドガンを取り出す。 奇妙な光景だった。 口から引き出された小さなハンドガンが、にゅるんという効果音でも付きそうな滑らかさで、元の大きさに戻ったのだ。 イーサンは、テレビでたまたま目にしたジャパニーズアニメの一場面を思い出した。 青い猫型ロボットが、腹についたポケットから不思議な道具を出すシーンだ。 ポケットの入り口よりもはるかに大きな物体が、まさに今ギドィルティ・コムが口からハンドガンを取り出したように、縮尺を歪ませて出てきていた。 「っと、そうじゃねえ!ギドィルティ、お前それはどこから」 「今まデ何人かザコを食っテきただロ?そのときに、武器は”消化”せズに残しておイた」 「そんな器用なことができるならさっさと言えよ!そうすりゃあ、かなり金が……」 「聞かレなかったシな」 と、ギドィルティ・コムはチョコレートを摘み、イーサンの口に押し込む。 むぐ、と口をふさがれたイーサンの服の襟を掴んで引き寄せると、耳元でギドィルティ・コムが囁いた。 「チョコレートをモらった男は、ホワイトデーにお返しすルんだよな?『期待』してるゾ、マスター」
その言葉の響きは、甘いチョコレートを苦々しく感じさせるには十分すぎるものだったとイーサンは振り返る……。
2月上旬。 「おイ」 ギドィルティ・コムが、何やら派手な色合いの紙をかざしてきた。 自宅で武器の手入れをしていたイーサンは、視界を遮った紙をろくに見もせず手で払いつつ、時計に目をやった。 昼食を摂ってから1時間弱たっている。 普通の人間であれば空腹を感じるには早いタイミングだが、底の見えない胃袋が人の形をとっているようなギドィルティ・コムからすれば、もう十分すぎるほど腹が減っているのだろう。 「今は手が離せないから、ちょっと待て」 機嫌を損ねて物理的にかじりつかれても面倒だが、ちょうどAA-12を分解し、パーツを並べたところだ。 コイツの前に大事な商売道具をバラした状態で残して離席できるほど、俺の神経は図太くできていない。 が、神経が非常に雑にできているであろう目の前のサーヴァントは、そんなイーサンの気持ちには毛ほども配慮せずに、パーツが乗った机をバンバンと叩き、先程の紙を目の前に突きつけてくる。 「そんなオモチャはどうデもいいかラ、これヲ見ろ」 「お前、○○○○(馬鹿野郎)!やめろ!」 イーサンは慌てて机を叩くギドィルティ・コムの手を掴み、無口で思ったとおりに動いてくれる方の相棒への暴虐を止める。 そして、眼前の紙をひったくり、目を通す。 「バレンタイン……」 それはピンクを基調に、茶色やベージュがあしらわれたチラシだった。 そこに並ぶのは、「VALENTINE'S DAY」の文字と、容器に収められたチョコレートたち。 しかし、その華やかな紙面とは裏腹に、チラシ自体はくしゃくしゃと折れ、水シミが目立つ。 「これ、どっから持ってきた」 「町のほうニ行っタら落ちてたゾ」 「ほう」 「それニよると、2月14日にハ、大事ナ相手にチョコレートをおクるらしいナ」 ギドィルティ・コムは、どことなく楽しそうな表情を浮かべ、目には何かを期待するようなきらめきを含ませている。 イーサンとギドィルティ・コムの視線が絡み合う。 そこにあるのは恋する乙女のように可愛げではなく、冬眠を終えた熊のような純粋な食欲だけだった。 「チョコレートを寄越せって話だろうが、ダメだな」 「オいおい、連れなイな。この間なんテ同じベッドで寝たなかダロ?」 「変な言い方を覚えてんじゃねえ!この前のは俺のベッドに寝ぼけたお前が勝手に入ってきただけだろうが!しかもついでに腕をまるかじりしやがって!いくら再生するといっても何も感じないわけじゃねえからな!?」 「…………」 ギドィルティ・コムは反論するでもなく、胸の前で手のひらを合わせて指を組み、いつもの笑みを収めた殊勝な表情でイーサンを見上げてくる。 「……なんだそれ」 「…………」 「…………」 妙に緊張感のある時間が流れる。 「…………男はコういうのが好きナんだろ?」 「……そんな余計な知識をどこで仕入れてきやがった」 「落ちてたマンガ雑誌ニのってたゾ」 最近、何やら寝転がって本でも読んでいると思ったらそれだったのか。 肉食獣に下から睨めつけられてときめく男はいねえ、と返そうとしたイーサンだったが、もう面倒になったので、その問題には触れないことにした。 「……まず、バレンタインデーってのは、女が男にチョコを贈るもんだ」 「む、そウなのカ?」 「ああそうだ。イベントを口実に食い物を要求するなら、そのルールに従ったらどうだ。そうでもなきゃ、普段から腹が減ったと喚いてるのと変わらねえぞ。そんで、チョコレートをもらった男が女に菓子を贈り返すのが3月14日のホワイトデーってやつだ」
深夜11時。人気のない静かな商店街を、アカネとレオンは歩いていく。 バレンタインの夜を二人歩く男女と言えば聞こえはいいが、青年のほうにそんな華やかな雰囲気は無い。 一人の少女を笑顔にしたのはいいが、そのために支払った対価が余りにも大きすぎたのだ。 無言のまま、二人歩いていく。このまま寂しくヨットに帰るのかーと思っていた矢先、
「……あーもう、そんな落ち込むなよ。悪かったって。 ほら、これやるから少しは元気を出せよ、アンタらしくもない」
と、隣から赤い布で包装された四角い箱を渡される。 もしかしてチョコか?と揶揄ってみると、そうだよと返される。少し驚き、断りを入れて箱を開けてみると、 中には器用にチョコレートで作られたコンパスが入っていた。
「一応、アンタには世話になってるからな。 前ヨットで見た、大事そうなコンパスを模して作ってみたんだよ」
「オイオイなんだツンデレかー?アカネ、お前はどっちかっつーとツンギレだろーが。 というかアレだ。確か前に姉さんがヤキモチ妬くから素直に好意は示せないんだとか言ってなかったか?」
「好意じゃねえよ自惚れんなバーカ。 まあ、確かにアオイのことは今でも怖いさ。でもまあ、もし今来ても何とかなるだろうとも思うんだよ。 __________頼らせてもらうぜ、レオン?」
「……はっ、いっちょ前なこと言うようになったなお前こんにゃろー!」
「だーっ頭撫でんじゃねえ!斬られたいのか!ああ斬られたいんだなおう動くんじゃねえ狙いがずれる!」
先程までの静けさは何処へ行ったか。笑いながら逃げる青年と、怒りながらそれを追いかける少女。 二人の顔には笑顔があり、斯くしてバレンタインは騒がしい鬼ごっこと共に終わるのであった。
なおこの後夜遊びがバレて二人はおっかないババァとも鬼ごっこをすることになるのだが、それはまた別の話。
2月14日。 世間ではバレンタインと称されるこの日は、一言で表すならば「地獄」だ。 女性は恋する相手にチョコをどうやって渡そうかと苦悩し。 男性はせめて1個はチョコが貰えるようにとひたすら祈る。 そんな戦いの日でありながら__________
「ロン。国士無双13面……ダブル役満って言うんだっけか?」
__________あろうことか、逆神アカネは。 そんな色恋の戦場とは程遠い、酒と煙草の臭いが充満する雀荘にて、別の地獄を作り上げていた。
/
事の発端は今からおよそ30分前。 バレンタインをチョコ0で終える哀れな野郎どもによる麻雀大会のメンツを集めていた範浄レオンは、 以前麻雀をしたことがないと言っていたアカネに今度教えてやると約束をしていたことを思い出した。 流石にむさくるしい男衆と共に夜を超えるのはアレだと思っていたレオンはこれ幸いと連絡し、 午後になる前にチョコを配り終えていたアカネはその誘いを受け、難波の街で合流して雀荘に入店した。
そうして開かれた麻雀大会、アカネという花が添えられたことで野郎どものテンションは爆上がりし、 そんな賑やかな雰囲気が嫌いではないアカネもまた普段なかなか見せない笑みを浮かべ、 夜中の9時でありながら非モテ男のひしめき合う店内は先程までのどんよりムードを吹き飛ばし盛況していた。
麻雀初心者であったアカネに基礎を教えるため、最初は隣でアドバイザーをしていたレオンだったが、 ある程度アカネがルールを覚えると自分も卓につき、適当に酒を注文しながら勝ったり負けたりを繰り返し。 同卓していた男の一人が、折角だから賭け麻雀も体験してみようぜと言いだした辺りから流れがおかしくなった。 流石に未成年であるアカネは賭けなくていいことになったものの、酒が回り始めたレオンは調子に乗り、
「勝ったらお兄さんからお年玉をやろう」
と言ってしまったのが運の尽き。 未成年でありながら当然のように酒を飲んでいたアカネは煽り耐性を著しく低下させており、 周囲の男たちが正月は先月だろうがーなどと突っ込んでいる中一人静かに酒で湯だった頭を戦闘用に切り替え、 いざレオンを親に始まった5戦目の南三局、レオンの対面であるアカネが起こしたのが冒頭である。 通常国士無双は役満の32000点なのだが、十三面国士無双はダブル役満の64000点となる。 その上南三局の親はアカネであり、直撃を受けたレオンが支払う点数はなんと5割増しの96000点。 当然ながらレオンに受けきれる訳が無く、余りにも痛すぎる一撃はレオンの財布を無慈悲に毟り取っていった。
そうして一人戦闘不能となり、また鮮やかなロン和了りを見れたことで皆満足したのか、 むさくるしい野郎どもと一人の花のような鬼による麻雀大会はバレンタインの日を終える前にお開きとなった。
「……そういえば一つ、気になっていたことがあるんだけど」
「何でしょうか。私のデータベース内で把握できることであれば」
「君はもう、全ての記憶と使命を思い出しているんだよね」
「はい、その認識で相違ありません。ゆえに、現在はガイア、アラヤの抑止への対抗策の計算中で」
「じゃあ」
「……はい」
「聞いてもいいかな。僕に対してはブラックボックス化されていた情報だから、言いたくなければ構わないけど」
「質問の内容は」
「……どうして、君の世界は滅んだの?」
「そうですね、原因から言えば資源の枯渇と文明の袋小路化、でしょうが」
「……?」
「最後の引き金は、人類悪の顕現でしょうね」
「…………???」
「ご希望であれば、データを纏めて開示しますが」
「……それは……うん、お願いしようかな」
「了解しました。……少しだけ、権限を私に集中させて記録のプロテクトを解かないといけませんので暫くお待ちください」
「ん、わかった……」
「(……単純に、先に進んでいった文明の終わりが気になっただけなんだけど…思ったより、大事になっちゃったな)」
『ああ、別にヤコにこのことを伝えてくれても構わないよ。 告げるにしろ隠すにしろ、君の選択ならば私も損することはなさそうだ』 「さてどうしようか。まぁ食事の席でつい口を滑らせるぐらいは、するやもしれんな」 『ははは、ヤコと仲良くしてくれているようで何よりだ_____それではまた。 今度は君たちの「主」も交えて、ゆっくり茶でも交わそうじゃないか』 「ああ、きっとお前ならば気に"入られる"だろう」 そういって俺とソレは互いに握手を交わし合い、その場を後にした。 アレは何だったのだろうな。初めて造物主殿と相対した日を思い出せたよ。本能が勝手に感じたこととはいえ、 はてさて恐怖など何時ぶりに感じたであろうか。たまにはこういうのも悪くはない。俺がヒトなのだと思いだせる まぁそれはそれとして大分冷めてしまったが油淋鶏を頂こう。冷めても美味いのが中華料理の常であるな 若干プレミアムな奴の炭酸が抜けてしまったが頂こう。口に広がる芳醇な脂と麦の旨味、うむ…はれるや! 美味い。美味すぎる!美味すぎてこれはウマル・ハイヤームも仰天だな! いずれはアレとも食卓を囲みたいものだ。アレが我らの食い物を受け付けるかどうかは疑問ではあるが、な
目の前の存在が脅威だと? そんなことは百も承知 眼前に立つが在り得ざるモノだと? そんな恐怖が何だという? 俺が相対するは、明らかなる異質だ。だが、異質だからなんだというのだ? むしろそれに手を伸ばしてこそ、魔王と言えるのではないか 我が往くは人理の極光。大いなる闇と光の極致!その覇道の淵に未知があるが故に退く魔王がどこにいる!? 魔皇破邪神の名折れであろう!故に俺は、生物としての当たり前を否定した。危険信号を一蹴した。 死の恐怖だと?未知の恐れだと? ならば俺はそれと手を取り合おう 例え制止するが俺自身の理性と本能であろうとも俺を阻むなどできやしない。 死、破滅、絶望、"そんな程度が俺を止める理由になるか" 「いや貴方もなかなかどうして、ヤコと同じく傾奇者なようだな」 『そうかな?……おっと、忘れるところだった。土産を持ってきたのでね、是非皆で食べて欲しい』 「これはこれは丁寧に。受け取るとしよう」 なるほど存外に話が合う。どんな腹持ちか知らぬが、 例えその内側が災厄だとしても、俺はお前と手を取り合うと約束しよう そしていずれは、我が極光の下にお前を呑み込み、理解すると誓おう
『悪の涯より人の善心を見下ろす、最も公平的で実に不平等な狂気。 ……うん、実に彼女らしい人選だ。これなら安心して彼女を任せられる』 その声は余りにも平坦であったが、不快感を感じさせない存在だった。だが、生物としての本能はどうだろうか 俺の中に残る、最も原初たる本能は告げていた。目の前の存在から逃げ出せと。眼前に立つは、人間ではないと 当然それは、俺の理性でも理解できた。嗚呼、これは"存在してはいけない"。欧米の創作神話で邪神と遭遇した者は、 須らくこういう感情なのかと感慨深く感じたよ。そう考える間にも、俺の脳は、いや全身は、逃げだせと悲鳴を上げていた 「ふむ……大方、ヤコの縁者か。挨拶に赴くとは丁寧な事だ」 それは例えるなら、罪悪が人の形を成したモノと言えるか。全てを無価値と断ずる咎、あるいは生きる虚空とも言い表せられるか 目の前の存在から逃げ出せ、と相も変わらず俺の本能は疼いている。それは生物としての当たり前、生者としての当然の理だろう だが しかし 俺はその"当たり前"を否定しよう 知ったことか、と 俺は俺の狂気を以て、俺の本能を駆逐した。
ご機嫌よう諸君、霧六岡だ。今日は良い事がある気がするので油淋鶏で優勝していきたいと思う 鶏もも肉を厚さが均等になるように形を整えてにんにく・生姜チューブと醤油を混ぜたタレに漬け込んで揉み込む 十分に味が浸み込んだら汁気を切り片栗粉の衣を付ける…。この衣には炒って細かく砕いたナッツを混ぜ込んでおく 細かい手間が深みを生むのが霧六岡流だ…。そして中温に熱した油に投入!ここで焦りは禁物だ。じっくり、しかし確実に 鶏肉に火が通るのを待ち続ける。衣がいい具合の色になったら包丁で切り中を確認…ぐろぉりあす!滴る脂が透明だ! 良い食い頃なのでたれを配合する。にんにく1片とネギを細かく刻み、醤油、酢、そして少量の蜂蜜と混ぜ合わせる 食欲をそそる香りが包む。刻んだキャベツを添え完成だ!プレミアムな奴を開封しいざ実食!…となったその時だった チャイムが鳴った。こんな夜に来客とは珍しい。そう思いながら玄関の扉を開くと────"ソレ"は立っていた。 『こんばんは。________君がヤコの新しい有人かな』 "俺の目には"それは、シャツまで黒い燕尾服の老紳士に見えた。だが一瞬混ざったノイズを、俺は見逃さなかった
狂気とは何か……か 興味深い事を聞くな 狂ってる、と聞いて貴様は何を思い浮かべる? 危険人物? 馬鹿げた存在? いや…あるいは単なるレッテル張りか? 正解は、どれも正しいと言えるだろう もっと根本的な事を言ってやろう。"世界から外れている奴"それを人は狂人と呼ぶのだ 例えば全ての人間が自己しか愛せぬ世界で、博愛を唄えば狂人と揶揄されるであろうよ だが、だがな?博愛をこの世界で説えばそれは常識だし、むしろ自己愛しかない奴の方が狂人だ そう言うものだ。人は自分と違うモノ、理解できぬ何かを恐れる。そういう風にできているのだ さて。ではそこで問おう。『狂人からみた場合この世界はどう写る?』狂人も当然、人だ。 自分と違うモノは嫌悪する。……そうだ、狂人は多かれ少なかれ「世界を否定する」のだ 自分と違う世界を、自分を認めぬ常識を、思い通りにいかぬ日常を……否定したくて、壊したくて堪らない そういう連中の集まりが、我らルナティクスと言えるだろう。いわば、世界の否定者の集まりだ さて、そんな狂人共を集めて造物主は何を企んでいるのだろうな? 造物主と名乗る割には…周囲は世界を否定する者ばかりであるが…な
「わ、悪かった…俺が悪かったよ。もうアンタとは関わらねぇ、二度と現れねぇ…だから許してくれよ…!」 手足を縛られ動けない男は震えた声で必死に懇願する。 男の目の前には手足を縛った張本人である“死に損ない”(ウォーキング・デッド)と呼ばれる男が見下ろす様に視線を男に向けている。 「警告はしたはずだぜ、邪魔するのなら殺すってな」 “死に損ない”は淡々とそう言うと手に持ったショットガン、AA-12の銃口を男の顔へと向ける。 「や、やめてくれ!命だけは…そ、そうだ俺の知ってる情報をやるよ!それにアンタの子分にもなるさ!なんでもやるから助け…!」 男が言い終わるよりも先に、銃声と共に男の顔が吹き飛び、少し遅れて男の体は地面へと倒れた。 「手間取らせやがって、死にたくないのならもっとマシな方法を取れよ〇〇〇〇(クソッたれ)…おい、ギドィルティ」 「あア、何時ものように食エばいいンだな。いいゾ」 “死に損ない”のサーヴァントであるギドィルティ・コムは、特徴的な口を大きく開け“食事”を行う。 少しするとその場には男の死体は消え、男が居たという一切の痕跡はすっかり消えていた。 「うんうん、なカなかうまいぞ。前食ったノもうまかっタがさっきのもそコそこイケるな」 「そうか、そりゃ良かったな」 “死に損ない”はそう言うと、何事もなかったかのように歩み始め、ギドィルティ・コムもそれについてくる。 一人の男の命を奪ったことなど、もはや日常の一つであるかのように。
常世虫拠点 糟屋カブトが拠点に顔を出した時、常世様、片桐アゲハは取り巻きとともに散歩に出かけていた まぁ暫くすれば帰ってくるだろうと適当な椅子に腰掛けコートの中からカバーの掛かった本を取り出すといつものように仏頂面で読み始めた
「ふむ、なるほど…」 「何を読んでいるの?」 集中して読んでいたところに声をかけられ、驚いて思わず飛び退き、本を取り落してしまった。 声の主は片桐アゲハ、常世様だった 「あ……!」 「なんの本を読んでいたの、糟屋」 アゲハは取り落した本を手に取ると優雅な手付きでカバーを取り外す。 「『よく分かる数学I』…?」 口元がほんの少し愉快そうに歪む。 あれはこちらを攻める時の顔だとカブトはいい加減覚えていた。
「……申し訳ありません、常世様。 何分、学がないもので」 アゲハの手から半ば強引に本を取り上げると作業帽を深くかぶり直す 「そうね、少しは教養を身に着けて貰わなければ私の側に立つ盾にしては見栄えが悪いもの」 「……心に留めておきます」 本を懐にしまうとアゲハの口元の愉悦めいた笑みに背を向ける。 今度勉強する時は港島で氷橋くんやリゥさんに教えてもらおうとカブトは心に誓った
女性の当主だった時の記憶とかも引き継いでたら娘たちの女子トークに女性視点で入ってきたりもするのか…。
歴代当主の記憶…「人格とは記憶によって作られるものである」とすれば実質的に歴代全て初代当主とほぼ同じ人格。
家の歴史が何年前からかにもよるけど割とヤバい魔術師だな…。
でも人間の脳は記憶を忘れることも機能であるため
・記憶がどれだけ受け継がれるか
・受け継いだ記憶のうち何%を忘れずに受け継がせられるか
・所持している記憶をどこまで思い出せるか
次第であんま役に立たねぇなこの引き継ぎってなる可能性も高いな!突然初代様が女に振られた記憶を思い出して泣いてしまうとかありそう…
長女が魔術師ということは父親も魔術師。
メガネはかけていて煙草は吸う。
使う魔術は決まってないけど歴代当主の記憶を魔術刻印と一緒に受け継いできた魔術師の家系の生まれまでは浮かんだ
頑張ってください父上
私が言うのも何ですが貴方が唯一の常識人です父上
ひとまず家族が大事、思い出も大事にするっていうのが思いついたからそういう父親にしよう
みんな濃すぎる…
家は喋ります
人語を解さない家に価値などありません
魔術の才能0で運動神経抜群・頭脳明晰という突然変異をかました白髪クール系の天然天才次女です
趣味はパルクールでDDRで鍛えた健脚と太鼓の達人で鍛えた腕力でぴょんぴょこ飛び跳ねます
休日はキャップ被ってゲーセンに行っては最速風神拳したりクロススパイダーしてます
好物はチューインガム 料理は平野レミ ネーミングセンス×が今のところの設定です
末妹は長女を「おっきい姉者」、次女を「ちっさい姉者」と呼び、ロリながら料理ができる。
それ以外はまだ何も…何も決めていないのである!!
ペットは元人間の女性で
アフリカ秘密結社ニージーのトーテム巫術の極みの成功によりワニ神へと変生した人というところまではおおよそ決まっていて
他に母親が来るか来ないかなどで、母親になるか拾われてきたワニになるか変わりますね多分
父親どうしよう…軽い気持ちで参加しようと決めたから何も決まってないな
お姉ちゃんは頭と要領が悪くて身体とメンタルが弱いけど魔術的ななんか素養だけは優れている感じで自分含めた種々なものを極端に脆くできる程度の呪術を扱うか弱い生き物ってくらいしか決まってません
いいよー
残る4人全部親父でも問題ないしね
じゃあ俺父親練りたいがいいのだろうか…
家は喋るとかペットはワニだとか奴らは好き勝手言いだしてるが気にしないほうがいい。
長女が弱い生き物の20代で次女が白髪天才中学3年生で末女が小学生以下ぐらいしかほぼ決まっていないはず。
だってまだ企画立ち上げたばかりだしね!!
テステス
てすてす
ありがたい…ところで今設定ってどこまで決まってるの?
まともな母親とまともな父親が来たら奴らはただの家とペットになるはずです。
いいよ!
上の「」ゲミヤとは別人だが俺も家族泥の流れに乗らせてもらいたいがよろしいか!?
怒らないで聞いてくださいね
ペット(暫定母親)と家(暫定父親)ってなんだよ!妖怪一家かよ!
おつ
でかした
盾乙
図解
天羽々斬(本体、布都斯魂大神)→スサノオ?(サーヴァント・天羽々斬単独召喚)
↓
天羽々斬オルタ(抑止力と契約した守護者)
|←八稚女オルタ(幻霊、クシナダヒメを除く姉7人の集合意識)
新宿御苑のランサー → (怒りを沈めた八稚女オルタが世界の裏側に天逆矛を封印)→京都御苑のランサー(レクイエム世界にて再召喚)
┠→天羽々斬〔水着〕(八稚女オルタから分離した天羽々斬オルタの肉体が自我を得る)
↓
八稚女〔ゲートキーパー〕(天逆矛を封印した八稚女オルタとは別の可能性)
概略
布都斯魂大神の分霊が座に組み上げられた境界記録帯が天羽々斬であり、布都斯魂大神の可能性が抑止力と契約し、守護者となったのが天羽々斬オルタである。
二騎の分岐点は一万五千年前のヴェルパー来襲に端を発する。
ヴェルパーの地上蹂躙に対して天羽々斬は自身が竜=ガイアの端末への概念兵装であることを理由に戦うことを禁じられ、無念のまま結末を見届ける事しか出来なかった。
その無念は神の時代から人の時代へと代わる時も消えることなく、多くの神々が世界の裏側に去ろうとした時、世界の裏側から人々を見守る事で埋め合わせようとした。
しかし、一振りの剣でありたいと言う願い、悔恨は決して埋まることはない。
結果、無念を晴らすべく布都斯魂大神は
神剣天羽々斬として座に刻まれサーヴァントへと昇華された。
一方、天羽々斬オルタは神剣天羽々斬というよりは神霊布都斯魂大神としての側面が強かった存在である。
天羽々斬オルタはヴェルパー来襲に対して抗戦を訴えるのも同じように戦うことを禁じられ、その最期を見届けた。
しかし、剣ではない在り方を受け入れられなかった天羽々斬と違い、オルタは竜殺し。ガイアが牙を剥いた時のカウンターと言う在り方を受け入れ、諦めた。
そして神代の終わりが訪れ、人の時代が始まり神々が世界の裏側に移り始めた頃、天羽々斬剣、布都斯魂大神は世界の裏側へと行くことを躊躇していた。
神々が世界から去った後、人は世界に残った魔性や龍に対処できるだろうか?
迷った末に布都斯魂大神は世界と、アラヤと契約。
神霊としての自身の一部を世界に残す代わりとして守護者、抑止力の代行者、守護者として力を振るう、と。
結果、竜殺しの抑止力として守護者となった。
捕捉
※区別の為に以下サーヴァントの場合は天羽々斬(サーヴァント)、本体の場合は天羽々斬(本体)或いは布都斯魂大神、天羽々斬と言う存在全てを示す場合は天羽々斬と記載する。
天羽々斬は守護者、抑止力としての召喚に関わらず天羽々斬オルタではなく天羽々斬(サーヴァント)として召喚されるケースが度々存在する。
基準世界、O-13世界線に置ける堕天使ルシファーとの決戦が代表例であるが、これは天羽々斬(サーヴァント)が一定条件下で抑止力としての召喚に応じている為である。
天羽々斬オルタは抑止力の調整により対竜戦闘に特化し過ぎており、汎用性と言う点では自己改造スキルや第二宝具の保有で天羽々斬(サーヴァント)に軍配が上がる。
その為、対竜戦闘は少ないか、ないが戦力が必要な場合などは天羽々斬(サーヴァント)が、目標が明確であり対竜戦闘が確実な場合は天羽々斬オルタが投入される事が多い。
捕捉2
竜狩り(泥新宿のランサー(2))について。
泥新宿のランサー(2)。竜狩り、或いは御苑のランサーの通称で呼ばれるサーヴァント。
対ウロボロス用に投入された天羽々斬オルタと竜、大蛇の贄となったクシナダヒメを除く7人の八稚女の集合意識が理不尽な暴力、怪異の犠牲者と言う側面を強調され幻霊となった八稚女オルタが幻霊合体する事で生まれた英霊。
肉体こそ天羽々斬オルタのものだが、精神のイニシアチブは八稚女オルタが主導権を握っており、八稚女の戦闘経験の少なさからスペックを完全に引き出せていない状況。
しかし、抑止力による差し金か八稚女オルタに持たされた天逆矛により状況対応能力は向上し、天羽々斬オルタと比べても総合戦闘能力は決して劣るものではない。
主導権こそ八稚女オルタのものだが、時折顔を出す人格は天羽々斬オルタではなく天羽々斬(サーヴァント)のものに近い。
これは天羽々斬(サーヴァント)と言うよりも大元である天羽々斬(本体)の人格である。
反対して聞くわけもない。と思いながら答えたノワルナに対して、ナハトが声を投げかけた。
反射的に振り向いた先の彼女の顔はいつも通りの仏頂面で———
否。これまでにないほど複雑な感情を込めた、一言で表すならば思い詰めた表情を向けていた。
「子供はその構成情報の半分をお前から受け継ぐ。私たちの子であると共に、お前の子でもある」
「お前が父親だ。消極的な賛同は、この子の将来を望まないも同義だろう」
そんなこと言われてもなぁ。
子供が産まれるとして、その存在を否定するつもりはない。だが、それに対して人間の父親らしい機能を代替するには前例となるデータが存在しない。
一応、自分の親は月の主催者になるのだろうか?———遠い月の母の顔を思い返したが、すぐに駄目だと悟った。
彼女と被造物の殆どは親子である前に、科学者と検体の関係に近い。そこに愛を感じはすれど、根本のベクトルが異なっている。
これは参考にできない、結局は情報を集めて出たとこ勝負で対応することを強いられている。
果たして、データから得られた親の真似事がどれほど寄与できるものか。本当に父親として振る舞えるのか———
「あっそうだ。ノワルナくん、はい」
思案する表情が硬くなるのを見かねたのか、ライラが立ち上がった。
そのままノワルナに近づき、右手を取って———自分の腹部に押し当てる。
「———ライラ?」
「とりあえず、考えるより感じるといいよぉ。ほらナハトちゃんも」
「……わかった。触ってみろ」
接触のタブーはどこへ行ったのか。ナハトも続いて腹部にノワルナの手を導く。
右手と左手、それぞれでライラとナハトのお腹に触る格好になった。
「———生きてる」
とくん、とくん、と。両掌から、二人の子の生きる鼓動を感じ取る。
自分たちが作られた存在、人工物、その認識に異論はない。
しかしこの鼓動は、単にシステムが作り出した人工物の律動とは異なって感じた。
そう、もとより邪魔だと思ったならば、懸念があったのならば、産ませる必要などなかったはずだ。
造りものが望ましくないならば、投棄すればいいこと、これまで失われた数多くの人工物と、いくつかの命と同じように。
そのように、今ここでこの鼓動を止めることはできない。———だから、これはいのちなんだ。
それから、明確に自身が子が欲しいと示すまでの暫くの間。ノワルナは二人の———自分の子の生命に思いを巡らせていた。
「とりあえず、仕事はしばらく僕が代わるよ。母胎は安静にするものだから———詳しい工程は後で調べるけど」
「今はとりあえず、そうだね———これを渡しておくね」
「えっ!?プレゼント!?何これぇかわいい!!!」
「服、か?私たちの」
「人間における妊婦の服。マタニティドレスって言うんだって」
「二人とも、多分今日のこと子供にも言うと思うからさ」
「今のうちに印象良くしておかないと、お父さんは懐かれないだろうからね」
「ねぇ、二人とも」
「これはどういうこと?」
これは煮卵ですか。いいえ褐色の女性のお腹です。
大きく膨らんだそれはそこはかとなく背徳的な———などと冗談を述べる気にはなれない。
何故いつも通りの格好なのか。中身が寒そうだからせめて何かそれらしい服を着て欲しい。
方やもう一方、茹で卵———それはもういい。白い服の女性のお腹です。
普段の細い肢体とは大きく趣が異なる。ともすればアンバランスさを感じさせるほど大きくなった腹部。
薄着とはいえ一応布を纏ってはいるが、やはり体格から想像される年齢と比して違和感が凄い。
否。そもそも二人とも質量的に違和感しかない。
「これは———どういうこと?」
この状況を短く要約する。
ライラヤレアハとクヴァレナハトが妊娠した。
「何ってもちろん、赤ちゃんが!できましたぁー!!!」
「おい、あまり騒ぐな駄姉。子供がいるうちは大人しく座っていろ」
「えぇぇ……じゃあどうやってこの喜びを全身で表現すればいいのぉ?これじゃあ全然足りないんだけど」
「お前の感情表現は元々どれだけ過激にやろうが足りんだろうが。とにかく座れ。ノワルナ、お前もだ」
「うん」
フリーズしたままのノワルナの思考が、ナハトの命令によって辛うじて動作する。
3人とも茶会の席に座ったが、変わらず彼の動作はぎこちないまま。とりあえず頭に浮かんだ疑問をそのまま投げかけてみた。
「いやだって、妊娠って言われても全く脈絡がないし、どうしてそんなことに?」
「どうしても何もお前が散々やったことだろうが」
「ちょうど今みたいにお腹パンパンにされちゃったねぇ〜」
「そこはノーコメントでお願いします……でも、僕たちそもそも子供を作る機能とか着いてなかった気がするんだけど」
仮にそのような機能が新たに搭載されたとして、普通に暮らしていた自分たちにいつどうやって仕込みを———
あっ。
「———ライラ」
「てへっ」
「てへっじゃない」
突き刺さるノワルナの視線をライラが舌を出して相殺する。
要するに、事に及ぶ前にこっそり世界を書き換えていたというのが本件の顛末らしい。
いくら視線を刺そうが彼女に効くはずもなく、一通りシンプルかつ重すぎる状況を確認したノワルナはひとまず結論を出す事にした。
このまま妊娠した子供を産み育てるか、再び世界を織り直して全てを夢に返すか。
育児放棄・中絶その他の方法は、後味を考えれば論外に尽きるだろう。故に先の二択から選ぶ以外はない。
「まぁ、そうだね。二人が産みたいなら別に反対はしないけれど、色々問題が無いかが懸念で———」
「いいや。これにはお前の積極的な同意が必要だ」
「え?」
もっとも、こんなルールのバレンタインデーもホワイトデーも、この国独特の風習(コマーシャリズム)によるものだということは黙っておいた。
知らない方が悪いのだし、何より今は金が絶望的にない。
だから、武器のメンテナンスや調整も、できるだけ店頼みではなくイーサン自身で行っている。
ギドィルティ・コムを召喚してから、回収作業のための調査が格段にやりやすくなったのは確かだ。
しかし、だからといって打率が急に上がるわけではない。
だというのに、コイツの食費はかさむ一方だ。
財政状況としては召喚前より悪化したといっていい。
「ホワイトデーか」
「覚えたか?いや、忘れてもいいというか忘れろと言いたいくらいだが、とにかく2月14日はお前がチョコレートを要求する日じゃねえんだ」
それを聞いたギドィルティ・コムは、チラシを掴んでポケットにねじ込むと、興味を失ったようにふいと部屋を出ていった。
一人残されたイーサンは、何とか言いくるめられたかと胸をなで降ろすのだった。
…………
2月14日。
新たなロストHCUの手がかりも見つからず、金欠に頭を抱えるイーサンの前にギドィルティ・コムがやってきた。
「おイ」
「なんだ。飯なら」
「これヲやる」
ギドィルティ・コムが、赤い包装紙で綺麗に包まれた小さな箱を、イーサンの目の前に置いた。
「お前、これ」
「今日ハ2月14日だロ?」
イーサンがはっとして壁にかかったカレンダーに目をやると、14日が赤いペンでぐるぐると乱暴にチェックされていた。
「マあ開ケてみろ」
ギドィルティ・コムに促されるままイーサンは包装を剥がして箱を開ける。
ハート型のチョコレートが入っている。
「ハッピーバレンタインって言ウんだロ?オレからのプレゼントだマスター」
「お前、これどうやって……」
バレンタイン用のチョコレートの相場なんぞ知らないイーサンだったが、それがkgいくらで売られている業務用チョコレートよりは高いことだけは分かった。
「まさか店を襲って」
「金で買っタ。武器を売っテな」
ギドィルティ・コムは、懐から1万円札を数枚取り出すと、これ見よがしにヒラヒラと打ち振る。
「……!」
「ちがウちがウ。こっちダ」
思わず武器の保管場所を確認しようとしたイーサンの目の前で、ギドィルティ・コムは口に指を入れる。
そしてもぞもぞと探るように手を動かすと、ハンドガンを取り出す。
奇妙な光景だった。
口から引き出された小さなハンドガンが、にゅるんという効果音でも付きそうな滑らかさで、元の大きさに戻ったのだ。
イーサンは、テレビでたまたま目にしたジャパニーズアニメの一場面を思い出した。
青い猫型ロボットが、腹についたポケットから不思議な道具を出すシーンだ。
ポケットの入り口よりもはるかに大きな物体が、まさに今ギドィルティ・コムが口からハンドガンを取り出したように、縮尺を歪ませて出てきていた。
「っと、そうじゃねえ!ギドィルティ、お前それはどこから」
「今まデ何人かザコを食っテきただロ?そのときに、武器は”消化”せズに残しておイた」
「そんな器用なことができるならさっさと言えよ!そうすりゃあ、かなり金が……」
「聞かレなかったシな」
と、ギドィルティ・コムはチョコレートを摘み、イーサンの口に押し込む。
むぐ、と口をふさがれたイーサンの服の襟を掴んで引き寄せると、耳元でギドィルティ・コムが囁いた。
「チョコレートをモらった男は、ホワイトデーにお返しすルんだよな?『期待』してるゾ、マスター」
その言葉の響きは、甘いチョコレートを苦々しく感じさせるには十分すぎるものだったとイーサンは振り返る……。
2月上旬。
「おイ」
ギドィルティ・コムが、何やら派手な色合いの紙をかざしてきた。
自宅で武器の手入れをしていたイーサンは、視界を遮った紙をろくに見もせず手で払いつつ、時計に目をやった。
昼食を摂ってから1時間弱たっている。
普通の人間であれば空腹を感じるには早いタイミングだが、底の見えない胃袋が人の形をとっているようなギドィルティ・コムからすれば、もう十分すぎるほど腹が減っているのだろう。
「今は手が離せないから、ちょっと待て」
機嫌を損ねて物理的にかじりつかれても面倒だが、ちょうどAA-12を分解し、パーツを並べたところだ。
コイツの前に大事な商売道具をバラした状態で残して離席できるほど、俺の神経は図太くできていない。
が、神経が非常に雑にできているであろう目の前のサーヴァントは、そんなイーサンの気持ちには毛ほども配慮せずに、パーツが乗った机をバンバンと叩き、先程の紙を目の前に突きつけてくる。
「そんなオモチャはどうデもいいかラ、これヲ見ろ」
「お前、○○○○(馬鹿野郎)!やめろ!」
イーサンは慌てて机を叩くギドィルティ・コムの手を掴み、無口で思ったとおりに動いてくれる方の相棒への暴虐を止める。
そして、眼前の紙をひったくり、目を通す。
「バレンタイン……」
それはピンクを基調に、茶色やベージュがあしらわれたチラシだった。
そこに並ぶのは、「VALENTINE'S DAY」の文字と、容器に収められたチョコレートたち。
しかし、その華やかな紙面とは裏腹に、チラシ自体はくしゃくしゃと折れ、水シミが目立つ。
「これ、どっから持ってきた」
「町のほうニ行っタら落ちてたゾ」
「ほう」
「それニよると、2月14日にハ、大事ナ相手にチョコレートをおクるらしいナ」
ギドィルティ・コムは、どことなく楽しそうな表情を浮かべ、目には何かを期待するようなきらめきを含ませている。
イーサンとギドィルティ・コムの視線が絡み合う。
そこにあるのは恋する乙女のように可愛げではなく、冬眠を終えた熊のような純粋な食欲だけだった。
「チョコレートを寄越せって話だろうが、ダメだな」
「オいおい、連れなイな。この間なんテ同じベッドで寝たなかダロ?」
「変な言い方を覚えてんじゃねえ!この前のは俺のベッドに寝ぼけたお前が勝手に入ってきただけだろうが!しかもついでに腕をまるかじりしやがって!いくら再生するといっても何も感じないわけじゃねえからな!?」
「…………」
ギドィルティ・コムは反論するでもなく、胸の前で手のひらを合わせて指を組み、いつもの笑みを収めた殊勝な表情でイーサンを見上げてくる。
「……なんだそれ」
「…………」
「…………」
妙に緊張感のある時間が流れる。
「…………男はコういうのが好きナんだろ?」
「……そんな余計な知識をどこで仕入れてきやがった」
「落ちてたマンガ雑誌ニのってたゾ」
最近、何やら寝転がって本でも読んでいると思ったらそれだったのか。
肉食獣に下から睨めつけられてときめく男はいねえ、と返そうとしたイーサンだったが、もう面倒になったので、その問題には触れないことにした。
「……まず、バレンタインデーってのは、女が男にチョコを贈るもんだ」
「む、そウなのカ?」
「ああそうだ。イベントを口実に食い物を要求するなら、そのルールに従ったらどうだ。そうでもなきゃ、普段から腹が減ったと喚いてるのと変わらねえぞ。そんで、チョコレートをもらった男が女に菓子を贈り返すのが3月14日のホワイトデーってやつだ」
深夜11時。人気のない静かな商店街を、アカネとレオンは歩いていく。
バレンタインの夜を二人歩く男女と言えば聞こえはいいが、青年のほうにそんな華やかな雰囲気は無い。
一人の少女を笑顔にしたのはいいが、そのために支払った対価が余りにも大きすぎたのだ。
無言のまま、二人歩いていく。このまま寂しくヨットに帰るのかーと思っていた矢先、
「……あーもう、そんな落ち込むなよ。悪かったって。
ほら、これやるから少しは元気を出せよ、アンタらしくもない」
と、隣から赤い布で包装された四角い箱を渡される。
もしかしてチョコか?と揶揄ってみると、そうだよと返される。少し驚き、断りを入れて箱を開けてみると、
中には器用にチョコレートで作られたコンパスが入っていた。
「一応、アンタには世話になってるからな。
前ヨットで見た、大事そうなコンパスを模して作ってみたんだよ」
「オイオイなんだツンデレかー?アカネ、お前はどっちかっつーとツンギレだろーが。
というかアレだ。確か前に姉さんがヤキモチ妬くから素直に好意は示せないんだとか言ってなかったか?」
「好意じゃねえよ自惚れんなバーカ。
まあ、確かにアオイのことは今でも怖いさ。でもまあ、もし今来ても何とかなるだろうとも思うんだよ。
__________頼らせてもらうぜ、レオン?」
「……はっ、いっちょ前なこと言うようになったなお前こんにゃろー!」
「だーっ頭撫でんじゃねえ!斬られたいのか!ああ斬られたいんだなおう動くんじゃねえ狙いがずれる!」
先程までの静けさは何処へ行ったか。笑いながら逃げる青年と、怒りながらそれを追いかける少女。
二人の顔には笑顔があり、斯くしてバレンタインは騒がしい鬼ごっこと共に終わるのであった。
なおこの後夜遊びがバレて二人はおっかないババァとも鬼ごっこをすることになるのだが、それはまた別の話。
2月14日。
世間ではバレンタインと称されるこの日は、一言で表すならば「地獄」だ。
女性は恋する相手にチョコをどうやって渡そうかと苦悩し。
男性はせめて1個はチョコが貰えるようにとひたすら祈る。
そんな戦いの日でありながら__________
「ロン。国士無双13面……ダブル役満って言うんだっけか?」
__________あろうことか、逆神アカネは。
そんな色恋の戦場とは程遠い、酒と煙草の臭いが充満する雀荘にて、別の地獄を作り上げていた。
/
事の発端は今からおよそ30分前。
バレンタインをチョコ0で終える哀れな野郎どもによる麻雀大会のメンツを集めていた範浄レオンは、
以前麻雀をしたことがないと言っていたアカネに今度教えてやると約束をしていたことを思い出した。
流石にむさくるしい男衆と共に夜を超えるのはアレだと思っていたレオンはこれ幸いと連絡し、
午後になる前にチョコを配り終えていたアカネはその誘いを受け、難波の街で合流して雀荘に入店した。
そうして開かれた麻雀大会、アカネという花が添えられたことで野郎どものテンションは爆上がりし、
そんな賑やかな雰囲気が嫌いではないアカネもまた普段なかなか見せない笑みを浮かべ、
夜中の9時でありながら非モテ男のひしめき合う店内は先程までのどんよりムードを吹き飛ばし盛況していた。
麻雀初心者であったアカネに基礎を教えるため、最初は隣でアドバイザーをしていたレオンだったが、
ある程度アカネがルールを覚えると自分も卓につき、適当に酒を注文しながら勝ったり負けたりを繰り返し。
同卓していた男の一人が、折角だから賭け麻雀も体験してみようぜと言いだした辺りから流れがおかしくなった。
流石に未成年であるアカネは賭けなくていいことになったものの、酒が回り始めたレオンは調子に乗り、
「勝ったらお兄さんからお年玉をやろう」
と言ってしまったのが運の尽き。
未成年でありながら当然のように酒を飲んでいたアカネは煽り耐性を著しく低下させており、
周囲の男たちが正月は先月だろうがーなどと突っ込んでいる中一人静かに酒で湯だった頭を戦闘用に切り替え、
いざレオンを親に始まった5戦目の南三局、レオンの対面であるアカネが起こしたのが冒頭である。
通常国士無双は役満の32000点なのだが、十三面国士無双はダブル役満の64000点となる。
その上南三局の親はアカネであり、直撃を受けたレオンが支払う点数はなんと5割増しの96000点。
当然ながらレオンに受けきれる訳が無く、余りにも痛すぎる一撃はレオンの財布を無慈悲に毟り取っていった。
そうして一人戦闘不能となり、また鮮やかなロン和了りを見れたことで皆満足したのか、
むさくるしい野郎どもと一人の花のような鬼による麻雀大会はバレンタインの日を終える前にお開きとなった。
/
「……そういえば一つ、気になっていたことがあるんだけど」
「何でしょうか。私のデータベース内で把握できることであれば」
「君はもう、全ての記憶と使命を思い出しているんだよね」
「はい、その認識で相違ありません。ゆえに、現在はガイア、アラヤの抑止への対抗策の計算中で」
「じゃあ」
「……はい」
「聞いてもいいかな。僕に対してはブラックボックス化されていた情報だから、言いたくなければ構わないけど」
「質問の内容は」
「……どうして、君の世界は滅んだの?」
「そうですね、原因から言えば資源の枯渇と文明の袋小路化、でしょうが」
「……?」
「最後の引き金は、人類悪の顕現でしょうね」
「…………???」
「ご希望であれば、データを纏めて開示しますが」
「……それは……うん、お願いしようかな」
「了解しました。……少しだけ、権限を私に集中させて記録のプロテクトを解かないといけませんので暫くお待ちください」
「ん、わかった……」
「(……単純に、先に進んでいった文明の終わりが気になっただけなんだけど…思ったより、大事になっちゃったな)」
『ああ、別にヤコにこのことを伝えてくれても構わないよ。
告げるにしろ隠すにしろ、君の選択ならば私も損することはなさそうだ』
「さてどうしようか。まぁ食事の席でつい口を滑らせるぐらいは、するやもしれんな」
『ははは、ヤコと仲良くしてくれているようで何よりだ_____それではまた。
今度は君たちの「主」も交えて、ゆっくり茶でも交わそうじゃないか』
「ああ、きっとお前ならば気に"入られる"だろう」
そういって俺とソレは互いに握手を交わし合い、その場を後にした。
アレは何だったのだろうな。初めて造物主殿と相対した日を思い出せたよ。本能が勝手に感じたこととはいえ、
はてさて恐怖など何時ぶりに感じたであろうか。たまにはこういうのも悪くはない。俺がヒトなのだと思いだせる
まぁそれはそれとして大分冷めてしまったが油淋鶏を頂こう。冷めても美味いのが中華料理の常であるな
若干プレミアムな奴の炭酸が抜けてしまったが頂こう。口に広がる芳醇な脂と麦の旨味、うむ…はれるや!
美味い。美味すぎる!美味すぎてこれはウマル・ハイヤームも仰天だな!
いずれはアレとも食卓を囲みたいものだ。アレが我らの食い物を受け付けるかどうかは疑問ではあるが、な
目の前の存在が脅威だと? そんなことは百も承知
眼前に立つが在り得ざるモノだと? そんな恐怖が何だという?
俺が相対するは、明らかなる異質だ。だが、異質だからなんだというのだ?
むしろそれに手を伸ばしてこそ、魔王と言えるのではないか
我が往くは人理の極光。大いなる闇と光の極致!その覇道の淵に未知があるが故に退く魔王がどこにいる!?
魔皇破邪神の名折れであろう!故に俺は、生物としての当たり前を否定した。危険信号を一蹴した。
死の恐怖だと?未知の恐れだと? ならば俺はそれと手を取り合おう
例え制止するが俺自身の理性と本能であろうとも俺を阻むなどできやしない。
死、破滅、絶望、"そんな程度が俺を止める理由になるか"
「いや貴方もなかなかどうして、ヤコと同じく傾奇者なようだな」
『そうかな?……おっと、忘れるところだった。土産を持ってきたのでね、是非皆で食べて欲しい』
「これはこれは丁寧に。受け取るとしよう」
なるほど存外に話が合う。どんな腹持ちか知らぬが、
例えその内側が災厄だとしても、俺はお前と手を取り合うと約束しよう
そしていずれは、我が極光の下にお前を呑み込み、理解すると誓おう
『悪の涯より人の善心を見下ろす、最も公平的で実に不平等な狂気。
……うん、実に彼女らしい人選だ。これなら安心して彼女を任せられる』
その声は余りにも平坦であったが、不快感を感じさせない存在だった。だが、生物としての本能はどうだろうか
俺の中に残る、最も原初たる本能は告げていた。目の前の存在から逃げ出せと。眼前に立つは、人間ではないと
当然それは、俺の理性でも理解できた。嗚呼、これは"存在してはいけない"。欧米の創作神話で邪神と遭遇した者は、
須らくこういう感情なのかと感慨深く感じたよ。そう考える間にも、俺の脳は、いや全身は、逃げだせと悲鳴を上げていた
「ふむ……大方、ヤコの縁者か。挨拶に赴くとは丁寧な事だ」
それは例えるなら、罪悪が人の形を成したモノと言えるか。全てを無価値と断ずる咎、あるいは生きる虚空とも言い表せられるか
目の前の存在から逃げ出せ、と相も変わらず俺の本能は疼いている。それは生物としての当たり前、生者としての当然の理だろう
だが しかし 俺はその"当たり前"を否定しよう
知ったことか、と
俺は俺の狂気を以て、俺の本能を駆逐した。
ご機嫌よう諸君、霧六岡だ。今日は良い事がある気がするので油淋鶏で優勝していきたいと思う
鶏もも肉を厚さが均等になるように形を整えてにんにく・生姜チューブと醤油を混ぜたタレに漬け込んで揉み込む
十分に味が浸み込んだら汁気を切り片栗粉の衣を付ける…。この衣には炒って細かく砕いたナッツを混ぜ込んでおく
細かい手間が深みを生むのが霧六岡流だ…。そして中温に熱した油に投入!ここで焦りは禁物だ。じっくり、しかし確実に
鶏肉に火が通るのを待ち続ける。衣がいい具合の色になったら包丁で切り中を確認…ぐろぉりあす!滴る脂が透明だ!
良い食い頃なのでたれを配合する。にんにく1片とネギを細かく刻み、醤油、酢、そして少量の蜂蜜と混ぜ合わせる
食欲をそそる香りが包む。刻んだキャベツを添え完成だ!プレミアムな奴を開封しいざ実食!…となったその時だった
チャイムが鳴った。こんな夜に来客とは珍しい。そう思いながら玄関の扉を開くと────"ソレ"は立っていた。
『こんばんは。________君がヤコの新しい有人かな』
"俺の目には"それは、シャツまで黒い燕尾服の老紳士に見えた。だが一瞬混ざったノイズを、俺は見逃さなかった
狂気とは何か……か 興味深い事を聞くな
狂ってる、と聞いて貴様は何を思い浮かべる? 危険人物? 馬鹿げた存在?
いや…あるいは単なるレッテル張りか? 正解は、どれも正しいと言えるだろう
もっと根本的な事を言ってやろう。"世界から外れている奴"それを人は狂人と呼ぶのだ
例えば全ての人間が自己しか愛せぬ世界で、博愛を唄えば狂人と揶揄されるであろうよ
だが、だがな?博愛をこの世界で説えばそれは常識だし、むしろ自己愛しかない奴の方が狂人だ
そう言うものだ。人は自分と違うモノ、理解できぬ何かを恐れる。そういう風にできているのだ
さて。ではそこで問おう。『狂人からみた場合この世界はどう写る?』狂人も当然、人だ。
自分と違うモノは嫌悪する。……そうだ、狂人は多かれ少なかれ「世界を否定する」のだ
自分と違う世界を、自分を認めぬ常識を、思い通りにいかぬ日常を……否定したくて、壊したくて堪らない
そういう連中の集まりが、我らルナティクスと言えるだろう。いわば、世界の否定者の集まりだ
さて、そんな狂人共を集めて造物主は何を企んでいるのだろうな? 造物主と名乗る割には…周囲は世界を否定する者ばかりであるが…な
「わ、悪かった…俺が悪かったよ。もうアンタとは関わらねぇ、二度と現れねぇ…だから許してくれよ…!」“死に損ない” と呼ばれる男が見下ろす様に視線を男に向けている。〇〇〇〇 …おい、ギドィルティ」
手足を縛られ動けない男は震えた声で必死に懇願する。
男の目の前には手足を縛った張本人である
「警告はしたはずだぜ、邪魔するのなら殺すってな」
“死に損ない”は淡々とそう言うと手に持ったショットガン、AA-12の銃口を男の顔へと向ける。
「や、やめてくれ!命だけは…そ、そうだ俺の知ってる情報をやるよ!それにアンタの子分にもなるさ!なんでもやるから助け…!」
男が言い終わるよりも先に、銃声と共に男の顔が吹き飛び、少し遅れて男の体は地面へと倒れた。
「手間取らせやがって、死にたくないのならもっとマシな方法を取れよ
「あア、何時ものように食エばいいンだな。いいゾ」
“死に損ない”のサーヴァントであるギドィルティ・コムは、特徴的な口を大きく開け“食事”を行う。
少しするとその場には男の死体は消え、男が居たという一切の痕跡はすっかり消えていた。
「うんうん、なカなかうまいぞ。前食ったノもうまかっタがさっきのもそコそこイケるな」
「そうか、そりゃ良かったな」
“死に損ない”はそう言うと、何事もなかったかのように歩み始め、ギドィルティ・コムもそれについてくる。
一人の男の命を奪ったことなど、もはや日常の一つであるかのように。
常世虫拠点
糟屋カブトが拠点に顔を出した時、常世様、片桐アゲハは取り巻きとともに散歩に出かけていた
まぁ暫くすれば帰ってくるだろうと適当な椅子に腰掛けコートの中からカバーの掛かった本を取り出すといつものように仏頂面で読み始めた
「ふむ、なるほど…」
「何を読んでいるの?」
集中して読んでいたところに声をかけられ、驚いて思わず飛び退き、本を取り落してしまった。
声の主は片桐アゲハ、常世様だった
「あ……!」
「なんの本を読んでいたの、糟屋」
アゲハは取り落した本を手に取ると優雅な手付きでカバーを取り外す。
「『よく分かる数学I』…?」
口元がほんの少し愉快そうに歪む。
あれはこちらを攻める時の顔だとカブトはいい加減覚えていた。
「……申し訳ありません、常世様。 何分、学がないもので」
アゲハの手から半ば強引に本を取り上げると作業帽を深くかぶり直す
「そうね、少しは教養を身に着けて貰わなければ私の側に立つ盾にしては見栄えが悪いもの」
「……心に留めておきます」
本を懐にしまうとアゲハの口元の愉悦めいた笑みに背を向ける。
今度勉強する時は港島で氷橋くんやリゥさんに教えてもらおうとカブトは心に誓った