>> 17 「なるほど、貴殿は人間の業が生み出した怪物であったか!いやはやこれはなんとも…実に惨たらしい姿であるな。ならば我輩も全力で貴殿と打ち合おう!」 スヴォーロフは手に持っていた酒瓶を投げ捨て、ライフル銃の銃床を地面へ向かってコツンと音を立てて当てる。 「凱旋の準備を始めようではないか!」 それに呼応するようにスヴォーロフを中心に無数のライフル銃が召喚される。 召喚されたライフル銃はどれも銃剣が付いており、銃口は全て空へと向けられている。 「これこそ我が戦術の真骨頂!これより行うは我がロシア帝国軍の先鋭部隊による蹂躙!我が戦術の前に敵はなし、これが不敗の戦いである!」
>> 18 「流石にそれほどの深手では貴殿だけでは心もとないであろう!我輩も付き合おうではないか!」 両面宿儺のあまりに肥大化したその姿を見てもそうだが、ロスタムのあまりにも眩いほどの英雄の姿に、思わず自身の内なる衝動が刺激される。英雄としての本能とでも言うべき衝動。 そのような衝動に自身も刺激され、スヴォーロフの宝具を発動させる。 「人の業が生み出した存在、悪性が生み出した怪物。それを退治しようとするとはまさに英雄的行為であるな、フハハハハハハ!」 今、召喚された無数のライフル銃は両面宿儺へと向けられた。乱れ一つ無く横並びに整列された姿は、訓練された兵士の姿を幻視するほどであった。 「『大元帥の凱旋踏破(ピリホッド・チェレズ・アルプ)』! 」 号令とともに、全てのライフル銃は発砲され、そのまま一直線に目標へと一直線に突撃する──────── /時間かかって申し訳ない!
>> 16 「ハ、ハ……呑、気に……酒なんか、飲みやがって……」
「だが……嫌いじゃ、ねえ。あんたらしいぜ……もとより、俺が譲れないってだけの戦いなんだ、これは──────」
ちらりとスヴォーロフの方を一瞥したロスタムは、呪詛によって侵されたダメージの影響から、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。 それでもなお、ロスタムは彼を見て笑うのだ。ああ、これこそがあるいは、人のあるべき姿なのかも知れないと。
「笑わせてもらった、礼だ。あんたには、特等席で見せてやるよ。俺の相棒を。生涯を駆け抜けた友を────────────」
>> 17 ロスタムは両面宿儺に目を戻す。手綱の先にいる"何か"を手繰り寄せんと、肩に力を籠める。腕を怒張させる。足を踏ん張る。歯を食いしばる。 呪いによって今も深刻に命を侵し続けるダメージを感じながらなお、肉体の力総てを引き摺り出してでも、手綱に力を込める。足をその地にめり込ませながら、ロスタムはその力を振り絞る。
「嗚呼、そうだな──────」 「人は、弱い。」
ロスタムはしかし──────両面宿儺に対して、その瞳から光だけは失わせないままで。 手綱を手にしたままに、その言葉を聞き、そして、その言葉を心中で噛みしめ、反芻するように言葉を返す。
「聡明なる全能の王がいた。傲慢によって玉座を追われ、悪によって殺された」 「賢明なる有能の王がいた。間隙によって悪意(アンラ・マンユ)に絆され、善によって弑された」 「てめえの言う通りさ。人ってやつは──────余りにもたやすく、悪に堕ちる。」
千切れそうなまでにぴんと張り詰めた手綱を引き、なお、ロスタムは鋭く告げた。
「──────だがな」
ロスタムは、改めて両面宿儺に対して足を踏み込んで言う。
「そいつを乗り越えることが。そいつを拒むことが────────────人の、強さだ。」 「確かに、な。できねえ奴の方が、世には多い。……それでも、それでもだ。」
「それでも、てめえら(・・・・)は”人”だ!!化け物に成り下がる筋合いはねえ!!」 「俺の身を焼くこの呪いこそが、そう言っている!!」
そしてロスタムはついに、手綱を穴より手繰り寄せ──────
「来い、ラクシュ。それでも、まだてめえらが、化け物として立つんなら────────────」
其処に在ったのは、巨嶽のごとき馬。
「──────俺が引導を渡してやる」
美しく流麗で、しかし力強く聳える馬を穴より導き出したロスタムは、馬に騎乗する。 そして力強く腹を蹴り、眼前に高く迎え撃つ怪物に対して、真っ向から。 槌矛を大きく振りかぶり、幻想の巨馬とともに、地を砕きながら。 ”蹂躙走法”でもって、すさまじい破壊力と共に突撃する──────────!!
「『地平嘶く巨嶽の竜馬』(ザーブリスターン・スプリーム)ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!」
/めちゃめちゃ時間かかってすみません!!
>> 15 「人に仇なす────────か」 ロスタムの闘気を受ける宿儺の表情は、恐怖ではなかった。 されど先ほどとは違う、歓喜とも邪悪なる笑みともまた、違った。
「お前、人に仇なす存在が俺のような魔性だけだと思っているのか?」
フン、と吐き捨てるように、地面に吐き捨てられた血反吐を見やりながら言う。
「無辜なるものに害成すものを許さぬというのなら、そこら中に転がっているだろう」 「人間(ムシケラ)は弱い、弱すぎる。先ほどの俺なんぞよりもゴミのように弱い。お前たちに比べれば、滓のように弱い」 「だからこそ────────────────────────」
ぼごり(・・・) と嫌な音がした
「だからこそ人間(ムシケラ)共は他者を踏み躙る。人間(ムシケラ)共は他人を利用する」 「寺を建て、道を開いた恩を忘れ咎人と後ろ指を指す。ひもじいと泣いている餓鬼どもを見捨てて生贄にする」
ぼごり、ごぼ…ぐちゃり…と、不気味な音と共に、両面宿儺の全身の肉が沸騰する。
「貴様の言う"人に仇なさんとする者"なぞ、数多に或るという事を教えてやろう!!!」
>> 16
「面白いものが見たいと言ったな、ならば我が身を見て嗤うがいい! 後ろ指を指して化け物と侮蔑するがいい!!」
肉が沸騰する。怨念がこだまする。 両面宿儺の肉体はみるみるうちに巨大化し、そして異形へと変化する
「これぞ朝廷より侮蔑され、飛騨にて化け物と石を投げられた者の末路だ!! 我が身、我が魂、その総てにこびりついた、数多の死した者たちの亡骸の怨念だ!!」
その肉体は腕、脚、骨、肉、臓物が複雑怪奇に絡まり合い、 その頭部は幾千幾万の怨念のこえを束ね挙げたかの如くに醜悪に染まり2つに分かれる。
伝承に語られし、二頭四腕の怪物が、そこにいた
「来るがいい!! その身を英雄と謡うのならば!! これこそが我が宝具! 我が伝承!! 臥魔召譚・豪俗群変勢(てんちにみちよ、ましょうへんぜい)なりぃ!!」
/遅れましたごめんなさい!
>> 14 「ヌゥこれはマズイである!」 彼の脳裏に浮かんだのはこのまま両面宿儺を燃やすか、観客を守るか。 ロスタムと名乗るこの英雄が観客を守るだろうと言う予測が付いたため、彼にだけ任せるかほんの一瞬だけ悩んだ。 しかし腐っても英雄であり軍人。すぐさま観客を守る行動へと移り、炎をジェット噴射の要領で両面宿儺の方へ放出しながら呪詛を纏った魔力をその身で防ぐ。 もちろんそのまま受ければスヴォーロフもただではすまないが当たる瞬間、自身の纏う炎を一瞬だけ彼自身を全身覆うほど出力を上げた。 これにより直撃は避け多少のダメージを防ぐことができたが、呪詛をその身で受け止めたダメージは大きい。 彼の甲冑にヒビが入り、身に纏う炎は勢いが落ちている。ダメージを受けていることは誰の目から見ても明らかだった。 「ぬぅ、流石に効いたである」 しかし、そんな様子でも彼の口ぶりは軽く、酒瓶を取り出しふたたび酒を浴びながら飲んでいた。
>> 15 「やはり防いだであるか。いやはやまさに英雄であるな」 酒を飲みながらロスタムの行動を賞賛する。 そして、彼が宝具を繰り出そうとしている様子を見るも、スヴォーロフはそれを止めようとはしない。 むしろそれを肴に酒を飲んですらいる。 「おお一体何が出てくるであるかな、楽しみである!」
>> 12 奇しくもスヴォーロフと共闘のような形となったロスタムは、心のうちでかすかに逡巡していた。
「(囲んで殴るのは趣味じゃねえが、しかし────)」
それでも、眼前の存在が魔性であるというならば。生前からずっと、倒すべきであった敵であるというのならば。 そちらを無視してスヴォーロフへ襲い掛かることができるような性根は、また、ロスタム自身持ち合わせていなかったのである。
「(俺もまだまだ、青いもんだぜ。情に任せちまう。本能に任せちまう。心が、肉体が、「奴を倒せ」と叫んでやがる)
─────だが。ロスタムはこの後、このように逡巡することが。 魔性に対して”情”など抱く事。それそのものが決定的な間違いであったのだと”思い出した”。
>> 13 「良し、撃ち落としたか─────!」
空中で一撃を加え、ごしゃりと嫌な音を立てて地に墜落する両面宿儺を見据え、彼も少し遅れて地面に落ちる。 若干体勢を崩しながらも、その瞳は両面宿儺の次なる行動を見据えたままで。
────しかしながらロスタムは、またしても嫌な予感を感じていた。 魔の者が発する特有の感情を、ロスタムは肌で感じていた。 両面宿儺が語る言葉に含まれる、明確な”悪意”を─────
「!!」
ゴミを払うように、両面宿儺が腕を空へ薙ぐか薙がないか、そんな瞬間であった。ロスタムはこの眼前の魔性が成さんとする、まさに恐ろしい行動に気が付いた。
その後は、考えるより先に。感情を抱くよりも先に。 ロスタムは、その呪詛を多分に含んだ非常な魔力の衝撃波のうちに身を投げ──────
─────全身をもって、その”悪意”を受け止めた。
空へと投げ出されたロスタムの巨躯が、さらに上空へ吹き飛ばされる。 魔力を食らった部位は黒変し、見るもおぞましい痣となってロスタムの身を焼いている。 呪詛。清く気高い心を持ったロスタムにとって、その威力は計り知れぬ毒にほかならない。
まともに食らったロスタムはあえなく地面に倒れ伏し、しかし────── 未だ、呪いによって黒く染まった血反吐を吐き。地より立ち上がらんと、蠢いた。
「───嗚呼。防いでみせるぜ。」
「俺は大イーラーン全土を救う者。王座を守る騎士。……なれば、あそこで俺たちの戦いを見ているだけの無辜の人々数十人、守れねえで何が王騎士だ。────笑わせる。」
よろける足で立ち上がる。震える足で踏みしめる。 既に命の数個程度、燃やされたであろう身でありながら───── なおも立つにのは、ロスタムのしぶとさだけではない。 そこには確たる理由があった。眼前の魔性は、どうあっても、”倒さねばならぬ”と!
「ああ、倒してやる。……倒してやるぜ、てめえ。人に仇なさんとする者は、おしなべて俺の敵だ。…少なくとも、今の俺にはな。」
彼はいつのまにか、手綱を手に持っている。 ロスタムはおもむろに、ただ眼前の魔物を見据えながら、それを空へと投げる。
両面宿儺は少なくとも、今の行動によって───ロスタムの、”譲れぬナニか”を刺激した事は、確かなる事実であった。
手綱を投げた中空が割れ、会場に凄まじい爆音で、馬のいななきがこだまする。 ──────今ロスタムがしている行動を止めねば、少なくとも両面宿儺にとってやっかいな結果をもたらすであろう事は、確かな事実だろう。
>> 11 「チッ…再生が間に合わぬか────────ッ」
腕を瞬時に再生させ応戦を試みるが、相手は神代の大英雄。 再生しきる前に即座に一撃を喰らわせにかかる。面白い、と心の内では感じるも、これがなかなかに恐ろしい。 先ほど「魔性殺しは効かぬ」と謡ったはいいものの、それも複数、しかも神代の英雄の一撃を喰らい続ければ、 さすがの両面宿儺も命に係わる。
確かにその身は魔性。されどかつては人間だった彼(・・・・・・・・・・)にこれは応える。 身をその大降りに合わせる形で曲げ、内部の骨格、筋線維、その総てをダメージを受け流すように瞬時に作り替える。 が────────────
>> 12 「近代火器と来たか!!」 着地と同時に、迫るは銃剣の切っ先。 これにはさすがの両面宿儺も対処は出来ず、まともに喰らった。 加えて槌矛の一撃のダメージも、全てを受け流せず地面へと堕ちる始末。
「なかなかどうして、面白いな。何時の時代も……人間(ムシケラ)というものは」
口から血と、臓物を吐き捨てて魔性は笑う。
「いやはや強いな。ああ、強い強い。 本当に強い。 それに比べて俺は何という弱さだ」
明らかに、そう考えていない口調であると分かる、軽薄な声。 わざとらしく宿儺は両腕を拡げて、周囲を見渡した後に2人の英霊を見やる。
「さぞや名の立つ英霊なのだろうよ! 比べて俺は飛騨の国で化け物と嘲笑われた矮小なる化け物の身だ! 弱い事この上ない!」
だから、と続けて邪悪に宿儺は笑う。
「弱い身だからな、こういう手も平気で使わせてもらおうか!!」
そう言って、まるで空中のゴミを掃うかのように軽く手を払う宿儺。 同時に、衝撃波────否、呪詛を纏った魔力が、観客席へと向かう!!
「防いでみせろよ、英雄なんだろう? 人間(ムシケラ)共」
>> 9じゃなくて>> 11の間違いでした
>> 9 >> 10 「なんと、今のが効かないであるか我輩ビックリ!」 ロスタム、両面宿儺両名に炎が効いてないことを確認すると、すぐさま次の攻撃手段を考える。 そしてここは先に両面宿儺を倒すべきだと判断し、行動に移した。
>> 10 「フハハハハハ遅い遅い!その程度の速度では我輩を打ち破ることなどできないであるぞ!」 敏捷Aのステータスに恥じぬ速度で襲いかかる毒虫を避け、『永遠なれ戦士の炎』(ヴィーチヌィ・アゴーニ)の炎を放出しながら焼き払う。 「しかしなんとも奇妙な肉体であるな、我輩ゾクゾクして背筋が寒くなってきたぞ!しかしロシアの川ほど寒くはないな、カカカカ!」 両面宿儺が出す恐るべき気配を強く感じ、背筋が凍るような感覚を覚えつつもこれでもロシアの大元帥。そんなことは気にせずいつの間にか取り出したライフル銃を構え、両面宿儺へ弾丸を発砲しながら襲いかかる。 ライフル銃の先端には銃剣が取り付けられており、『永遠なれ戦士の炎』(ヴィーチヌィ・アゴーニ)の炎を纏わせている。 遠距離からではなく近距離で直接内部から焼き尽くすつもりなのだろう。 両面宿儺に銃剣が迫る────
>> 9 「宝具!?」
とっさの本能的に駆け出し、もとより両面宿儺だけを狙っていたロスタムには、スヴォーロフの攻撃は意思より外にあった。突っ込んで行ったロスタムのには当然、勢いよくまともに直撃し、彼の影はそのまま炎の中に消えるが─────────
「熱っちぃな──────────今のは効いたぞ!!」
炎の向こう側から姿を現したのは、火傷を負い、衣服を焦がされながらも変わることのない、ロスタムの姿。 なおもロスタムはその攻撃の勢いを失うことなく、両面宿儺へ突き進んでいく。 それはまさしく、彼の生命力の高さ、しぶとさを表すもので。 そのまま彼の肉体は、放たれた弾丸のごとくに、魔を討たんと突き進み──────────
>> 10 ─────しかし、すんでのところで彼の一撃は防がれた。 見るもおぞましい光景。細かく幾本にも分かたれた腕の数千本でもって、彼の渾身の殴打は防がれたのだ。 彼はその事実に半ば驚きを覚えながらも、突撃の勢いを殺して次に備える。
「"人造"……?」
眼前の魔性の言葉に僅かな疑問を覚えつつ、ロスタムは上空へと飛翔するその肉体を目で追う。 両腕を千切った両面宿儺の姿に、早くも悪い予感を察知したのか、ロスタムはすばやくその身を引く。 次の瞬間、投げつけられた両腕が毒虫と化すのを眼前で目の当たりにした。
「なんてもん使いやがる─────アジ・ダハーカの真似事のつもりか!?」
毒虫を踏みつぶし、ロスタムは上空に逃げた両面宿儺を見据えた、次の瞬間。 膝を折り曲げれば、自慢の驚くべき筋力をもって、地面を蹴り砕き──────────人の身で、天に在る体に追い付いた。
「…食らえ!」
そして槌矛の一撃を、再び以て加えようとする。 今は両面宿儺に腕はない。先のような防御手段は無いだろうが
>> 7 >> 9 「ハッ 急くな急くな。底が知れるぞ人間(ムシケラ)共」
ゾワリ、と怖気立つ気配が広がる。それは錯覚ではない 両面宿儺の両腕が、幾百、幾千にも細かい腕に分岐し、それぞれ牛頭の槌矛を受け止め炎を寸断する壁となる。
「群勢変性……もとよりこの身、数千という人の命を捨て去って作り出された人造魔性」 「魔性特攻は僅かしか効かず、されとて炎で焼かれるほど脆弱ではない。さぁどうする、人間(ムシケラ)共」
トン、と地面を蹴り、両面宿儺は天高く飛翔する。
「とはいえ、早速面白いものを見せてくれた礼だ」 「耐えて見せろ」
ブチィ、と両面宿儺は己の腕を容易く引き千切り、そして勢いよく投げつける。 するとどうであろうか。その千切った両腕はすぐさまに再生し、そして投げつけた腕はと言うと、 おびただしい数の毒虫と化してロスタムとスヴォーロフの両者へととびかかった!
「呪術の応用だ。俺の生きた時代では基礎の一つだが、さぁどうよける?」
当たれば汚染された魔力による被害は甚大だが────
>> 4 「ほほう、英雄だけの戦いかと思っていたが…怪物も参加できるのであるな、驚きである!」 「我輩、生前は人間同士での戦いしか経験したことないであるが…これは我輩、怪物退治でも無敗の男という称号を得るかもしれないであるな!」 両面宿儺の方へと視線を向け、これは面白いとばかりにケラケラと緊張感なく笑い始める。 男の尋常ならざる気配の前でも態度は変わらず、酒を頭から被り続けていた。
>> 4 >> 5 「フハハハ!戦いとは機動と速攻、即ち速さである!!」 スヴォーロフがそう叫ぶや否や、彼の甲冑…いや、彼の肉体から炎が吹き出す。 彼の常時宝具である『永遠なれ戦士の炎』(ヴィーチヌィ・アゴーニ)が発動した。
もちろん生前のスヴォーロフに炎を操る能力などない。 彼の死後軍神マルスを模したスヴォーロフの像とロシアの兵士の魂を鎮める永遠の火の信仰が習合し、この宝具を得たのだ。 彼が纏う炎は、戦死者達の無念、怒り、愛国心などが炎として具現化した物。兵士たちの魂は、スヴォーロフに力を惜しみなく貸しているのだ。 そして彼が身に付ける甲冑も軍神マルスが部分的に習合し、得た能力である。
「早速ではあるが喰らうのである!」 宝具で生み出した炎を、スキル『魔力放出(炎):C』を使い、それぞれロスタム、両面宿儺の両名へと目掛け、放出した。 強烈な炎はまともに受ければ大ダメージになるだろうがーーー
/魔性殺し→神秘殺しのミスです
ロスタムはただ広場に泰然自若と立ち、これより刃を交える相手ふたりを見据えた。
>> 3 ひとりは清潔とは言えぬ甲冑に身を包んだ、小柄な男であった。 ロスタムに比せばその背丈から頑健さにいたるまで、非常な差が存在していることは誰の目にも明らかだ。 だがこの戦いにおいて、体格の差などさしたる問題にはならない。それは誰もが、そして何より、当のロスタム自身がよく理解している。 眼前に立つこの男、あるいは彼もまた、歴史に名を残せし"英霊"の一に他ならない。 いかなる人の身たる小さな体躯の中に在っても、そのうちには大力を宿す。それこそが人類、それこそが英雄。 だからこそロスタムは────眼前の男を、背丈をもって蔑するような蒙昧たる真似はしない。ただ満足げな笑みと共に、眼前の男を見据えていたが─────
「あんた─────何をしてる?!」
その表情が一瞬、酒を頭から被り始めた男の奇行を見、驚愕へと変貌した。 これより戦いを始めようというときに、酒を上から被る人間など─────それはおよそ、ロスタムの生きたあまりに長い人生のうちでも、ありえざるものに他ならなかった。 だが、だからこそ、ロスタムの表情はすぐに再び、笑みへと変わる。
「──────────面白え!!こんな奴と戦うなんざ初めてだ!!世界にゃやはり、とんでもねえ奴がいるもんだ!!」 「その名覚えたぞ、アレクサンドル・スヴォーロフ!さあ、始めようじゃねえか───────────────────」
────────────────────その時、すぐ近くに迫りくる、余りにもおぞましい魔力に気づいた。
>> 4 「────────────────────ほう」
今度ロスタムがその暗い魔力の波濤に対して見せたのは、一転して険しいものであった。 だが、先のような驚愕はそこにはなく。常人ならば身がすくむような凄まじい悪しき魔力の奔流を前になお、物怖じすることなく、ロスタムはそちらへ向き直る。 槌矛を肩に担ぎ、きっと睨みつけた。
「闘いに私情は無用。──────────だがな。俺としても、お前みたいなのを見ると血がさわぐ」 「こいつは、俺に課せられた使命みたいなもんなのかもな。……ああ、分かってる。何でもありなんだ、こういうのも居るって事はな─────────」
ロスタムが身構える。そこに在るのは明らかに──────────敵意。
「俺は善をなすため生きてきた。お前は、おそらく──────────”その逆”だろう?」 「魔性、悪魔(ダエーワ)の類を見るとな──────────」
瞬間。ロスタムの獅子のごとき巨躯が、まっすぐに、かの恐るべき魔物へと発射されていった。
「俺も、やるしかねえだろうよ!!」
牛頭の槌矛をもって、その身に一撃を与えようと攻撃を繰り出した。スキル『魔性殺し』が働けば、ただでは済まないだろうが──────────
/1つじゃないとだめなのか! 次お願いします!
ジャラ、ジャラ、ジャラ────────砂を踏む足音が静かに響く
「人間(ムシケラ)共の見世物にされるのは不愉快だが、これも暇つぶしと考えれば、差し引きは零、か」
立つは人型。着流しを纏った一人の男 体中に呪詛の文様が刻まれている以外は、何の変哲もない男のように見える(・・・・・・・)
"分かる"者が見れば、それが唯の人ならざる化生であると理解できるだろう。 その気配は千の軍勢が如く蠢き、その魂は万の罪人が蠢く地獄の底よりも穢れている。 まるで数千、数万の咎人が凝り固まり、人の形をとったかの如き、醜悪なる怪物がそこには立っていた。
「誰の許可なく俺を見ている人間(ムシケラ)共。俺はお前たち全員を殺す事に何の躊躇もない」 「この両面宿儺の前に、戦人も無辜の民も、全て例外なく、人間(ムシケラ)だ」 「全員漏れなく、死ぬがいい」
グチャァ…と、不気味に怪物の口端が吊り上がる。 吐き気を催すほどの魔力が解き放たれる。それは例えるならば、臓物の海に投げ込まれたかの如く。 今、怪物の悪意が解き放たれる。
ガチャ、ガチャ。と金属が擦れる音が聞こえる。 その音の正体は甲冑を着た人物が歩む音である。彼もまたアリーナの参加者の一人であった。 しかし、先ほどの英雄然とした男と比べると、その人物は小さく、160cmより低い。 身にまとう甲冑も所々小奇麗なものではなく、彼のような威圧感は感じられなかった。 「フハハハハ、なんとも勇ましい!貴殿はさぞ名のある英雄とお見受けする!」 甲冑越しの少しくぐもった声で喋ると、どこにしまっていたのか、ラベルにウォッカと書かれた酒を取り出し、なんと甲冑を着たまま外すことなく、顔の上から酒をかけ始めた。 信じられない行為だが甲冑越しに酒を飲み始めているのである。 「フゥー…名乗られたのなら名乗り返すしかないであるな。我輩はかのロシア帝国大元帥、アレクサンドル・スヴォーロフである!」 そう述べた後、ふたたび酒を文字通り浴びながらふたたび飲み始めた。 /遅くなり、申し訳ない…次お願いします!
ざり。ざり。と。 一歩ずつ重く、それでいて迷いない確たる信念のもとに足を進め、白い砂の敷き詰められた歓声に満ちるアリーナへと踏み出す巨大な影がひとつ在った。 2mを優に超す、獅子を思わせる筋骨隆々の巨躯。白い布を額に巻き付けた、砂塵に舞う茶髪。今まさに溢れんばかりの生気を灯し、闘志にみちみちた眼差しを前方に向け、その男は雄大さすら感じる足取りをもって、この闘いの場へと繰り出してきた。
「…へえ、いきなり三人での戦いとはな。面白いじゃねえか。活きの良いのが揃ってて欲しいもん、だ─────」
彼はよく通る大きな声と共に、ぶわりと、その剛健に隆起した右腕にかたく握られた、奇妙な槌矛を空に振るう。 振るった槌矛の余波が強く風を逆立て、地上の白い砂塵を巻き上げる。砂埃のうちに隠れながら、男はなおも巨大な存在感を醸し出している。
二本の足で立ち、その瞳はもう二人の、戦うべき相手の方へ。 彼のその立ち振舞いや言葉は、まさしく”英雄”と呼ぶにふさわしいものさえ感じさせるようだった。
彼はおもむろに槌矛を前方に向け、目を見開き、その筋肉を怒張させれば──────
「俺の名はロスタム!!ナリーマンの子、サームの血を引く者!白髪のザールの子にして、全イーラーンの守護者!!!」
「さあ──────何処からでも、かかって来るがいい!!」
会場全体に響き渡る、張り裂けんばかりの声量でもって、高らかに名乗りを上げた。
/テストロール開始となります。僕→スヴォーロフ「」→両面「」の順でロールをお願いします。
『聖杯闘技───────開幕!!』
此処は何処かの世界、何処かの場所に聳え立つ、広大な円形闘技場。 中央の広場(アリーナ)を取り囲み、上から見下ろすように設えられた観客席は、大勢の多種多様な人々によって埋め尽くされ、むせ返るような熱気と興奮に満ちていた。
『さあ始まりました!!かつて生きた、そしてこれより生きる強者たちによる、時代、土地、並行世界をも超えた闘いの幕開けです!!』
巨大な実況の声が、その場のあらゆるざわめきをかき消すように辺りへ鳴り響く。 いつも通りの張り裂けんばかりの声、いつも通りの高揚した調子。しかしそれこそが、観客席の歓声を波濤のごとく震え滾らせるのだ。
『ルールは簡単!!一度アリーナに降り立ったが最後、”倒れる”か”制限時間を迎える”まで、全力をもって戦うのみ!!』
『活動に必要な魔力は供給されますが、宝具発動は一つにつき一度の封印が掛かっております!!なお、スキルの使用制限はありません!!』
『それでは、いよいよ闘士達が入場します!!全身全霊をもって──────』
『FIGHT(戦え)!!』
戦いのゴングが鳴る。今まさに現れようとする闘士(ファイター)の姿を待ち望み、まさに会場は熱狂の嵐に包まれた────────
色付き文字
無限の剣製・影追
テスト
テストサイズ指定文字
無限の剣製・影追(アンリミテッドブレイドワークス・シャドウエディション? ) 画像1
テストああああ😄😏イタリックああああ 宝具(ルビ)
ああああ
テスト色付き文字
成る程画像へのリンクも貼れる 約束された勝利の剣(エクスカリバー)
あいうえお あいうえお あいうえお
ああああテスト
色付き文字ああああ
あああ
あああああああ
>> 17
「なるほど、貴殿は人間の業が生み出した怪物であったか!いやはやこれはなんとも…実に惨たらしい姿であるな。ならば我輩も全力で貴殿と打ち合おう!」
スヴォーロフは手に持っていた酒瓶を投げ捨て、ライフル銃の銃床を地面へ向かってコツンと音を立てて当てる。
「凱旋の準備を始めようではないか!」
それに呼応するようにスヴォーロフを中心に無数のライフル銃が召喚される。
召喚されたライフル銃はどれも銃剣が付いており、銃口は全て空へと向けられている。
「これこそ我が戦術の真骨頂!これより行うは我がロシア帝国軍の先鋭部隊による蹂躙!我が戦術の前に敵はなし、これが不敗の戦いである!」
>> 18大元帥の凱旋踏破 』! 」
「流石にそれほどの深手では貴殿だけでは心もとないであろう!我輩も付き合おうではないか!」
両面宿儺のあまりに肥大化したその姿を見てもそうだが、ロスタムのあまりにも眩いほどの英雄の姿に、思わず自身の内なる衝動が刺激される。英雄としての本能とでも言うべき衝動。
そのような衝動に自身も刺激され、スヴォーロフの宝具を発動させる。
「人の業が生み出した存在、悪性が生み出した怪物。それを退治しようとするとはまさに英雄的行為であるな、フハハハハハハ!」
今、召喚された無数のライフル銃は両面宿儺へと向けられた。乱れ一つ無く横並びに整列された姿は、訓練された兵士の姿を幻視するほどであった。
「『
号令とともに、全てのライフル銃は発砲され、そのまま一直線に目標へと一直線に突撃する────────
/時間かかって申し訳ない!
>> 16
「ハ、ハ……呑、気に……酒なんか、飲みやがって……」
「だが……嫌いじゃ、ねえ。あんたらしいぜ……もとより、俺が譲れないってだけの戦いなんだ、これは──────」
ちらりとスヴォーロフの方を一瞥したロスタムは、呪詛によって侵されたダメージの影響から、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
それでもなお、ロスタムは彼を見て笑うのだ。ああ、これこそがあるいは、人のあるべき姿なのかも知れないと。
「笑わせてもらった、礼だ。あんたには、特等席で見せてやるよ。俺の相棒を。生涯を駆け抜けた友を────────────」
>> 17
ロスタムは両面宿儺に目を戻す。手綱の先にいる"何か"を手繰り寄せんと、肩に力を籠める。腕を怒張させる。足を踏ん張る。歯を食いしばる。
呪いによって今も深刻に命を侵し続けるダメージを感じながらなお、肉体の力総てを引き摺り出してでも、手綱に力を込める。足をその地にめり込ませながら、ロスタムはその力を振り絞る。
「嗚呼、そうだな──────」
「人は、弱い。」
ロスタムはしかし──────両面宿儺に対して、その瞳から光だけは失わせないままで。
手綱を手にしたままに、その言葉を聞き、そして、その言葉を心中で噛みしめ、反芻するように言葉を返す。
「聡明なる全能の王がいた。傲慢によって玉座を追われ、悪によって殺された」悪意 に絆され、善によって弑された」
「賢明なる有能の王がいた。間隙によって
「てめえの言う通りさ。人ってやつは──────余りにもたやすく、悪に堕ちる。」
千切れそうなまでにぴんと張り詰めた手綱を引き、なお、ロスタムは鋭く告げた。
「──────だがな」
ロスタムは、改めて両面宿儺に対して足を踏み込んで言う。
「そいつを乗り越えることが。そいつを拒むことが────────────人の、強さだ。」
「確かに、な。できねえ奴の方が、世には多い。……それでも、それでもだ。」
「それでも、てめえら は”人”だ!!化け物に成り下がる筋合いはねえ!!」
「俺の身を焼くこの呪いこそが、そう言っている!!」
そしてロスタムはついに、手綱を穴より手繰り寄せ──────
「来い、ラクシュ。それでも、まだてめえらが、化け物として立つんなら────────────」
其処に在ったのは、巨嶽のごとき馬。
「──────俺が引導を渡してやる」
美しく流麗で、しかし力強く聳える馬を穴より導き出したロスタムは、馬に騎乗する。
そして力強く腹を蹴り、眼前に高く迎え撃つ怪物に対して、真っ向から。
槌矛を大きく振りかぶり、幻想の巨馬とともに、地を砕きながら。
”蹂躙走法”でもって、すさまじい破壊力と共に突撃する──────────!!
「『地平嘶く巨嶽の竜馬』 ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!」
/めちゃめちゃ時間かかってすみません!!
>> 15
「人に仇なす────────か」
ロスタムの闘気を受ける宿儺の表情は、恐怖ではなかった。
されど先ほどとは違う、歓喜とも邪悪なる笑みともまた、違った。
「お前、人に仇なす存在が俺のような魔性だけだと思っているのか?」
フン、と吐き捨てるように、地面に吐き捨てられた血反吐を見やりながら言う。
「無辜なるものに害成すものを許さぬというのなら、そこら中に転がっているだろう」人間 は弱い、弱すぎる。先ほどの俺なんぞよりもゴミのように弱い。お前たちに比べれば、滓のように弱い」
「
「だからこそ────────────────────────」
「だからこそ人間 共は他者を踏み躙る。人間 共は他人を利用する」
「寺を建て、道を開いた恩を忘れ咎人と後ろ指を指す。ひもじいと泣いている餓鬼どもを見捨てて生贄にする」
ぼごり、ごぼ…ぐちゃり…と、不気味な音と共に、両面宿儺の全身の肉が沸騰する。
「貴様の言う"人に仇なさんとする者"なぞ、数多に或るという事を教えてやろう!!!」
>> 16
「面白いものが見たいと言ったな、ならば我が身を見て嗤うがいい! 後ろ指を指して化け物と侮蔑するがいい!!」
肉が沸騰する。怨念がこだまする。
両面宿儺の肉体はみるみるうちに巨大化し、そして異形へと変化する
「これぞ朝廷より侮蔑され、飛騨にて化け物と石を投げられた者の末路だ!! 我が身、我が魂、その総てにこびりついた、数多の死した者たちの亡骸の怨念だ!!」
その肉体は腕、脚、骨、肉、臓物が複雑怪奇に絡まり合い、
その頭部は幾千幾万の怨念のこえを束ね挙げたかの如くに醜悪に染まり2つに分かれる。
伝承に語られし、二頭四腕の怪物が、そこにいた
「来るがいい!! その身を英雄と謡うのならば!! これこそが我が宝具! 我が伝承!!臥魔召譚・豪俗群変勢 なりぃ!!」
/遅れましたごめんなさい!
>> 14
「ヌゥこれはマズイである!」
彼の脳裏に浮かんだのはこのまま両面宿儺を燃やすか、観客を守るか。
ロスタムと名乗るこの英雄が観客を守るだろうと言う予測が付いたため、彼にだけ任せるかほんの一瞬だけ悩んだ。
しかし腐っても英雄であり軍人。すぐさま観客を守る行動へと移り、炎をジェット噴射の要領で両面宿儺の方へ放出しながら呪詛を纏った魔力をその身で防ぐ。
もちろんそのまま受ければスヴォーロフもただではすまないが当たる瞬間、自身の纏う炎を一瞬だけ彼自身を全身覆うほど出力を上げた。
これにより直撃は避け多少のダメージを防ぐことができたが、呪詛をその身で受け止めたダメージは大きい。
彼の甲冑にヒビが入り、身に纏う炎は勢いが落ちている。ダメージを受けていることは誰の目から見ても明らかだった。
「ぬぅ、流石に効いたである」
しかし、そんな様子でも彼の口ぶりは軽く、酒瓶を取り出しふたたび酒を浴びながら飲んでいた。
>> 15
「やはり防いだであるか。いやはやまさに英雄であるな」
酒を飲みながらロスタムの行動を賞賛する。
そして、彼が宝具を繰り出そうとしている様子を見るも、スヴォーロフはそれを止めようとはしない。
むしろそれを肴に酒を飲んですらいる。
「おお一体何が出てくるであるかな、楽しみである!」
>> 12
奇しくもスヴォーロフと共闘のような形となったロスタムは、心のうちでかすかに逡巡していた。
「(囲んで殴るのは趣味じゃねえが、しかし────)」
それでも、眼前の存在が魔性であるというならば。生前からずっと、倒すべきであった敵であるというのならば。
そちらを無視してスヴォーロフへ襲い掛かることができるような性根は、また、ロスタム自身持ち合わせていなかったのである。
「(俺もまだまだ、青いもんだぜ。情に任せちまう。本能に任せちまう。心が、肉体が、「奴を倒せ」と叫んでやがる)
─────だが。ロスタムはこの後、このように逡巡することが。
魔性に対して”情”など抱く事。それそのものが決定的な間違いであったのだと”思い出した”。
>> 13
「良し、撃ち落としたか─────!」
空中で一撃を加え、ごしゃりと嫌な音を立てて地に墜落する両面宿儺を見据え、彼も少し遅れて地面に落ちる。
若干体勢を崩しながらも、その瞳は両面宿儺の次なる行動を見据えたままで。
────しかしながらロスタムは、またしても嫌な予感を感じていた。
魔の者が発する特有の感情を、ロスタムは肌で感じていた。
両面宿儺が語る言葉に含まれる、明確な”悪意”を─────
「!!」
ゴミを払うように、両面宿儺が腕を空へ薙ぐか薙がないか、そんな瞬間であった。ロスタムはこの眼前の魔性が成さんとする、まさに恐ろしい行動に気が付いた。
その後は、考えるより先に。感情を抱くよりも先に。
ロスタムは、その呪詛を多分に含んだ非常な魔力の衝撃波のうちに身を投げ──────
─────全身をもって、その”悪意”を受け止めた。
空へと投げ出されたロスタムの巨躯が、さらに上空へ吹き飛ばされる。
魔力を食らった部位は黒変し、見るもおぞましい痣となってロスタムの身を焼いている。
呪詛。清く気高い心を持ったロスタムにとって、その威力は計り知れぬ毒にほかならない。
まともに食らったロスタムはあえなく地面に倒れ伏し、しかし──────
未だ、呪いによって黒く染まった血反吐を吐き。地より立ち上がらんと、蠢いた。
「───嗚呼。防いでみせるぜ。」
「俺は大イーラーン全土を救う者。王座を守る騎士。……なれば、あそこで俺たちの戦いを見ているだけの無辜の人々数十人、守れねえで何が王騎士だ。────笑わせる。」
よろける足で立ち上がる。震える足で踏みしめる。
既に命の数個程度、燃やされたであろう身でありながら─────
なおも立つにのは、ロスタムのしぶとさだけではない。
そこには確たる理由があった。眼前の魔性は、どうあっても、”倒さねばならぬ”と!
「ああ、倒してやる。……倒してやるぜ、てめえ。人に仇なさんとする者は、おしなべて俺の敵だ。…少なくとも、今の俺にはな。」
彼はいつのまにか、手綱を手に持っている。
ロスタムはおもむろに、ただ眼前の魔物を見据えながら、それを空へと投げる。
両面宿儺は少なくとも、今の行動によって───ロスタムの、”譲れぬナニか”を刺激した事は、確かなる事実であった。
手綱を投げた中空が割れ、会場に凄まじい爆音で、馬のいななきがこだまする。
──────今ロスタムがしている行動を止めねば、少なくとも両面宿儺にとってやっかいな結果をもたらすであろう事は、確かな事実だろう。
>> 11
「チッ…再生が間に合わぬか────────ッ」
腕を瞬時に再生させ応戦を試みるが、相手は神代の大英雄。
再生しきる前に即座に一撃を喰らわせにかかる。面白い、と心の内では感じるも、これがなかなかに恐ろしい。
先ほど「魔性殺しは効かぬ」と謡ったはいいものの、それも複数、しかも神代の英雄の一撃を喰らい続ければ、
さすがの両面宿儺も命に係わる。
確かにその身は魔性。されどかつては人間だった彼 にこれは応える。
身をその大降りに合わせる形で曲げ、内部の骨格、筋線維、その総てをダメージを受け流すように瞬時に作り替える。
が────────────
>> 12
「近代火器と来たか!!」
着地と同時に、迫るは銃剣の切っ先。
これにはさすがの両面宿儺も対処は出来ず、まともに喰らった。
加えて槌矛の一撃のダメージも、全てを受け流せず地面へと堕ちる始末。
「なかなかどうして、面白いな。何時の時代も……人間 というものは」
口から血と、臓物を吐き捨てて魔性は笑う。
「いやはや強いな。ああ、強い強い。 本当に強い。 それに比べて俺は何という弱さだ」
明らかに、そう考えていない口調であると分かる、軽薄な声。
わざとらしく宿儺は両腕を拡げて、周囲を見渡した後に2人の英霊を見やる。
「さぞや名の立つ英霊なのだろうよ! 比べて俺は飛騨の国で化け物と嘲笑われた矮小なる化け物の身だ! 弱い事この上ない!」
だから、と続けて邪悪に宿儺は笑う。
「弱い身だからな、こういう手も平気で使わせてもらおうか!!」
そう言って、まるで空中のゴミを掃うかのように軽く手を払う宿儺。
同時に、衝撃波────否、呪詛を纏った魔力が、観客席へと向かう!!
「防いでみせろよ、英雄なんだろう?人間 共」
>> 9じゃなくて>> 11の間違いでした
>> 9
>> 10
「なんと、今のが効かないであるか我輩ビックリ!」
ロスタム、両面宿儺両名に炎が効いてないことを確認すると、すぐさま次の攻撃手段を考える。
そしてここは先に両面宿儺を倒すべきだと判断し、行動に移した。
>> 10『永遠なれ戦士の炎』 の炎を放出しながら焼き払う。『永遠なれ戦士の炎』 の炎を纏わせている。
「フハハハハハ遅い遅い!その程度の速度では我輩を打ち破ることなどできないであるぞ!」
敏捷Aのステータスに恥じぬ速度で襲いかかる毒虫を避け、
「しかしなんとも奇妙な肉体であるな、我輩ゾクゾクして背筋が寒くなってきたぞ!しかしロシアの川ほど寒くはないな、カカカカ!」
両面宿儺が出す恐るべき気配を強く感じ、背筋が凍るような感覚を覚えつつもこれでもロシアの大元帥。そんなことは気にせずいつの間にか取り出したライフル銃を構え、両面宿儺へ弾丸を発砲しながら襲いかかる。
ライフル銃の先端には銃剣が取り付けられており、
遠距離からではなく近距離で直接内部から焼き尽くすつもりなのだろう。
両面宿儺に銃剣が迫る────
>> 9
「宝具!?」
とっさの本能的に駆け出し、もとより両面宿儺だけを狙っていたロスタムには、スヴォーロフの攻撃は意思より外にあった。突っ込んで行ったロスタムのには当然、勢いよくまともに直撃し、彼の影はそのまま炎の中に消えるが─────────
「熱っちぃな──────────今のは効いたぞ!!」
炎の向こう側から姿を現したのは、火傷を負い、衣服を焦がされながらも変わることのない、ロスタムの姿。
なおもロスタムはその攻撃の勢いを失うことなく、両面宿儺へ突き進んでいく。
それはまさしく、彼の生命力の高さ、しぶとさを表すもので。
そのまま彼の肉体は、放たれた弾丸のごとくに、魔を討たんと突き進み──────────
>> 10
─────しかし、すんでのところで彼の一撃は防がれた。
見るもおぞましい光景。細かく幾本にも分かたれた腕の数千本でもって、彼の渾身の殴打は防がれたのだ。
彼はその事実に半ば驚きを覚えながらも、突撃の勢いを殺して次に備える。
「"人造"……?」
眼前の魔性の言葉に僅かな疑問を覚えつつ、ロスタムは上空へと飛翔するその肉体を目で追う。
両腕を千切った両面宿儺の姿に、早くも悪い予感を察知したのか、ロスタムはすばやくその身を引く。
次の瞬間、投げつけられた両腕が毒虫と化すのを眼前で目の当たりにした。
「なんてもん使いやがる─────アジ・ダハーカの真似事のつもりか!?」
毒虫を踏みつぶし、ロスタムは上空に逃げた両面宿儺を見据えた、次の瞬間。
膝を折り曲げれば、自慢の驚くべき筋力をもって、地面を蹴り砕き──────────人の身で、天に在る体に追い付いた。
「…食らえ!」
そして槌矛の一撃を、再び以て加えようとする。
今は両面宿儺に腕はない。先のような防御手段は無いだろうが
>> 7人間 共」
>> 9
「ハッ 急くな急くな。底が知れるぞ
ゾワリ、と怖気立つ気配が広がる。それは錯覚ではない
両面宿儺の両腕が、幾百、幾千にも細かい腕に分岐し、それぞれ牛頭の槌矛を受け止め炎を寸断する壁となる。
「群勢変性……もとよりこの身、数千という人の命を捨て去って作り出された人造魔性」人間 共」
「魔性特攻は僅かしか効かず、されとて炎で焼かれるほど脆弱ではない。さぁどうする、
トン、と地面を蹴り、両面宿儺は天高く飛翔する。
「とはいえ、早速面白いものを見せてくれた礼だ」
「耐えて見せろ」
ブチィ、と両面宿儺は己の腕を容易く引き千切り、そして勢いよく投げつける。
するとどうであろうか。その千切った両腕はすぐさまに再生し、そして投げつけた腕はと言うと、
おびただしい数の毒虫と化してロスタムとスヴォーロフの両者へととびかかった!
「呪術の応用だ。俺の生きた時代では基礎の一つだが、さぁどうよける?」
当たれば汚染された魔力による被害は甚大だが────
>> 4
「ほほう、英雄だけの戦いかと思っていたが…怪物も参加できるのであるな、驚きである!」
「我輩、生前は人間同士での戦いしか経験したことないであるが…これは我輩、怪物退治でも無敗の男という称号を得るかもしれないであるな!」
両面宿儺の方へと視線を向け、これは面白いとばかりにケラケラと緊張感なく笑い始める。
男の尋常ならざる気配の前でも態度は変わらず、酒を頭から被り続けていた。
>> 4『永遠なれ戦士の炎』 が発動した。
>> 5
「フハハハ!戦いとは機動と速攻、即ち速さである!!」
スヴォーロフがそう叫ぶや否や、彼の甲冑…いや、彼の肉体から炎が吹き出す。
彼の常時宝具である
もちろん生前のスヴォーロフに炎を操る能力などない。
彼の死後軍神マルスを模したスヴォーロフの像とロシアの兵士の魂を鎮める永遠の火の信仰が習合し、この宝具を得たのだ。
彼が纏う炎は、戦死者達の無念、怒り、愛国心などが炎として具現化した物。兵士たちの魂は、スヴォーロフに力を惜しみなく貸しているのだ。
そして彼が身に付ける甲冑も軍神マルスが部分的に習合し、得た能力である。
「早速ではあるが喰らうのである!」
宝具で生み出した炎を、スキル『魔力放出(炎):C』を使い、それぞれロスタム、両面宿儺の両名へと目掛け、放出した。
強烈な炎はまともに受ければ大ダメージになるだろうがーーー
/魔性殺し→神秘殺しのミスです
ロスタムはただ広場に泰然自若と立ち、これより刃を交える相手ふたりを見据えた。
>> 3
ひとりは清潔とは言えぬ甲冑に身を包んだ、小柄な男であった。
ロスタムに比せばその背丈から頑健さにいたるまで、非常な差が存在していることは誰の目にも明らかだ。
だがこの戦いにおいて、体格の差などさしたる問題にはならない。それは誰もが、そして何より、当のロスタム自身がよく理解している。
眼前に立つこの男、あるいは彼もまた、歴史に名を残せし"英霊"の一に他ならない。
いかなる人の身たる小さな体躯の中に在っても、そのうちには大力を宿す。それこそが人類、それこそが英雄。
だからこそロスタムは────眼前の男を、背丈をもって蔑するような蒙昧たる真似はしない。ただ満足げな笑みと共に、眼前の男を見据えていたが─────
「あんた─────何をしてる?!」
その表情が一瞬、酒を頭から被り始めた男の奇行を見、驚愕へと変貌した。
これより戦いを始めようというときに、酒を上から被る人間など─────それはおよそ、ロスタムの生きたあまりに長い人生のうちでも、ありえざるものに他ならなかった。
だが、だからこそ、ロスタムの表情はすぐに再び、笑みへと変わる。
「──────────面白え!!こんな奴と戦うなんざ初めてだ!!世界にゃやはり、とんでもねえ奴がいるもんだ!!」
「その名覚えたぞ、アレクサンドル・スヴォーロフ!さあ、始めようじゃねえか───────────────────」
────────────────────その時、すぐ近くに迫りくる、余りにもおぞましい魔力に気づいた。
>> 4
「────────────────────ほう」
今度ロスタムがその暗い魔力の波濤に対して見せたのは、一転して険しいものであった。
だが、先のような驚愕はそこにはなく。常人ならば身がすくむような凄まじい悪しき魔力の奔流を前になお、物怖じすることなく、ロスタムはそちらへ向き直る。
槌矛を肩に担ぎ、きっと睨みつけた。
「闘いに私情は無用。──────────だがな。俺としても、お前みたいなのを見ると血がさわぐ」
「こいつは、俺に課せられた使命みたいなもんなのかもな。……ああ、分かってる。何でもありなんだ、こういうのも居るって事はな─────────」
ロスタムが身構える。そこに在るのは明らかに──────────敵意。
「俺は善をなすため生きてきた。お前は、おそらく──────────”その逆”だろう?」悪魔 の類を見るとな──────────」
「魔性、
瞬間。ロスタムの獅子のごとき巨躯が、まっすぐに、かの恐るべき魔物へと発射されていった。
「俺も、やるしかねえだろうよ!!」
牛頭の槌矛をもって、その身に一撃を与えようと攻撃を繰り出した。スキル『魔性殺し』が働けば、ただでは済まないだろうが──────────
/1つじゃないとだめなのか! 次お願いします!
ジャラ、ジャラ、ジャラ────────砂を踏む足音が静かに響く
「人間 共の見世物にされるのは不愉快だが、これも暇つぶしと考えれば、差し引きは零、か」
立つは人型。着流しを纏った一人の男のように見える
体中に呪詛の文様が刻まれている以外は、何の変哲もない男
"分かる"者が見れば、それが唯の人ならざる化生であると理解できるだろう。
その気配は千の軍勢が如く蠢き、その魂は万の罪人が蠢く地獄の底よりも穢れている。
まるで数千、数万の咎人が凝り固まり、人の形をとったかの如き、醜悪なる怪物がそこには立っていた。
「誰の許可なく俺を見ている人間 共。俺はお前たち全員を殺す事に何の躊躇もない」人間 だ」
「この両面宿儺の前に、戦人も無辜の民も、全て例外なく、
「全員漏れなく、死ぬがいい」
グチャァ…と、不気味に怪物の口端が吊り上がる。
吐き気を催すほどの魔力が解き放たれる。それは例えるならば、臓物の海に投げ込まれたかの如く。
今、怪物の悪意が解き放たれる。
ガチャ、ガチャ。と金属が擦れる音が聞こえる。
その音の正体は甲冑を着た人物が歩む音である。彼もまたアリーナの参加者の一人であった。
しかし、先ほどの英雄然とした男と比べると、その人物は小さく、160cmより低い。
身にまとう甲冑も所々小奇麗なものではなく、彼のような威圧感は感じられなかった。
「フハハハハ、なんとも勇ましい!貴殿はさぞ名のある英雄とお見受けする!」
甲冑越しの少しくぐもった声で喋ると、どこにしまっていたのか、ラベルにウォッカと書かれた酒を取り出し、なんと甲冑を着たまま外すことなく、顔の上から酒をかけ始めた。
信じられない行為だが甲冑越しに酒を飲み始めているのである。
「フゥー…名乗られたのなら名乗り返すしかないであるな。我輩はかのロシア帝国大元帥、アレクサンドル・スヴォーロフである!」
そう述べた後、ふたたび酒を文字通り浴びながらふたたび飲み始めた。
/遅くなり、申し訳ない…次お願いします!
ざり。ざり。と。
一歩ずつ重く、それでいて迷いない確たる信念のもとに足を進め、白い砂の敷き詰められた歓声に満ちるアリーナへと踏み出す巨大な影がひとつ在った。
2mを優に超す、獅子を思わせる筋骨隆々の巨躯。白い布を額に巻き付けた、砂塵に舞う茶髪。今まさに溢れんばかりの生気を灯し、闘志にみちみちた眼差しを前方に向け、その男は雄大さすら感じる足取りをもって、この闘いの場へと繰り出してきた。
「…へえ、いきなり三人での戦いとはな。面白いじゃねえか。活きの良いのが揃ってて欲しいもん、だ─────」
彼はよく通る大きな声と共に、ぶわりと、その剛健に隆起した右腕にかたく握られた、奇妙な槌矛を空に振るう。
振るった槌矛の余波が強く風を逆立て、地上の白い砂塵を巻き上げる。砂埃のうちに隠れながら、男はなおも巨大な存在感を醸し出している。
二本の足で立ち、その瞳はもう二人の、戦うべき相手の方へ。
彼のその立ち振舞いや言葉は、まさしく”英雄”と呼ぶにふさわしいものさえ感じさせるようだった。
彼はおもむろに槌矛を前方に向け、目を見開き、その筋肉を怒張させれば──────
「俺の名はロスタム!!ナリーマンの子、サームの血を引く者!白髪のザールの子にして、全イーラーンの守護者!!!」
「さあ──────何処からでも、かかって来るがいい!!」
会場全体に響き渡る、張り裂けんばかりの声量でもって、高らかに名乗りを上げた。
/テストロール開始となります。僕→スヴォーロフ「」→両面「」の順でロールをお願いします。
『聖杯闘技───────開幕!!』
此処は何処かの世界、何処かの場所に聳え立つ、広大な円形闘技場。広場 を取り囲み、上から見下ろすように設えられた観客席は、大勢の多種多様な人々によって埋め尽くされ、むせ返るような熱気と興奮に満ちていた。
中央の
『さあ始まりました!!かつて生きた、そしてこれより生きる強者たちによる、時代、土地、並行世界をも超えた闘いの幕開けです!!』
巨大な実況の声が、その場のあらゆるざわめきをかき消すように辺りへ鳴り響く。
いつも通りの張り裂けんばかりの声、いつも通りの高揚した調子。しかしそれこそが、観客席の歓声を波濤のごとく震え滾らせるのだ。
『ルールは簡単!!一度アリーナに降り立ったが最後、”倒れる”か”制限時間を迎える”まで、全力をもって戦うのみ!!』
『活動に必要な魔力は供給されますが、宝具発動は一つにつき一度の封印が掛かっております!!なお、スキルの使用制限はありません!!』
『それでは、いよいよ闘士達が入場します!!全身全霊をもって──────』
『FIGHT !!』
戦いのゴングが鳴る。今まさに現れようとする闘士 の姿を待ち望み、まさに会場は熱狂の嵐に包まれた────────
色付き文字
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宝具
ああああ😄😏イタリックああああああああ
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約束された勝利の剣
テスト
テスト
あいうえお
あいうえお
あいうえお
ああああテスト
色付き文字ああああ
ああああ
ああああ
テスト
あああ
あああああああ