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周囲の騒がしさを余所に、“それ”は巨人の頭の上から動こうとしない。巨人は徐々に再生し、それに伴って体躯が傾き始めているが、頓着することなく、頭の上に鎮座している。
『座る』ように縮こまって『腕』を伸ばし、ぺたぺたと巨人に触れる。不思議がるように『首を傾げ』、今度は軽く叩いてみる。敵性体を検出した巨人は、それを取り除こうと左腕を伸ばすが、どうした訳か、一向に触れることができない。触れようとする度に、“それ”は揺らぎ、掴み上げようとする腕をすり抜けていく……ように見える。
しかし、何度もすり抜けていく内に、“それ”は嫌がるように身体を攀じり、再び消え、今度は巨人の眼の前に現れた。
じっと、先程小さな戦闘機械にそうしていたように『見つめる』。しばらくの後、やはり同じように、巨人に向けて『指差し』。その先にあるのは、再生が進んでいるはずの脚。
……ぴたりと。それを切っ掛けに、巨人の再生が止まった。
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