i-yeyeさん 割れろ,ヘルメット,頭は割るな
破損状況1 破損状況2 破損状況3
はじめまして。ここで提供される情報をたよりにして,自転車生活を楽しんでいます。技術も体力も知識もなく,Romを決めこんでいますが,日頃のお礼をかねてヘルメット自爆実験の報告を。自転車道場推奨のヘルメットといえば,驚きの\3,300,200g以下のO-cle。いろいろと持っていますが,軽いうえに僕の頭へのフィット感はこれが一番です。
先日,はからずも「安物買い」のこの製品,お歴々の見立てどおり,ちゃんと働いてくれることを確かめました。感謝です。
実験の条件 乗員 :57kg,自転車:約9.8kg コンクリ電柱に約24km/hの速度で正面衝突
結果 O-cleヘルメットは正面下部の接合部が分離,頭頂よりやや後ろの発泡スチロール構造体,1本が分断,1本に深い亀裂。左側面の構造体も分断。
人体損傷 顎からしたたるほどの出血があり,一瞬たじろぎました。ヘルメット内部で右こめかみに3cm弱の裂傷が生じていたのです。頭蓋骨の損傷はタンコブすらなく,意識障害もありませんでした。
ヘルメットの衝撃吸収 正面先端部が分離したのは,前傾姿勢であったため,まずこの箇所が電柱に激突して前後方向に押しつぶされてせん断したのでしょう。頭頂部の構造体損傷も正面からの衝撃を受けとめたためだと考えます。
左側面の構造体の破断原因は以下のように推測できます。
激突の瞬間,乗員の頭はヘルメット前方に押しつけられたのち,後方に跳ね返ります。この動きによって,後頭部を保持するプラスチック製の頭囲調整ベルトは後方へ引っ張られます。このときの応力は,プラスチックのベルトが左右の発泡スチロール構造体に接合されている箇所に集中します。壊さないかぎり見えませんが,構造体のなかに赤いプラスチック製の円盤状台座を埋めこみ,これとベルトとを固定することによって結合されていました。左側の結合部に応力が集中したようで,埋めこんであった台座が発泡スチロールの構造体から飛びだし,その引っ張る力で左側面下部の構造体が分断されたようです。
ヘルメット内部では,左半分のパッドはもとのまま。しかし,右前方のパッドは固定用のベルクロから剥がれていました。ヘルメット内部に皮膚を痛めるような突起物は皆無であるものの,右側の顎ひもやパッドとの摩擦によって右こめかみが左右に強く引っ張られ,パクリと裂けてしまったようです。
自爆の衝撃でクリートが外れ,乗員は自転車にまたがったまま電柱の真ん前に仁王立ち。お蔭で体幹,手足,顔面ともに無傷,自転車もこかしませんでした。頭突きをして自転車を守ったというのが何とも愚かしい。前輪はヘルメットよりさきに電柱に当たったはずですが,コンクリの円柱にタイヤが滑ってクラッシュを免れたようです。
こめかみから降り注ぐ鮮血は右の脛から靴下を赤く染め,ダウンチューブにも降りかかりました。幸いなことに,ヘルメットを脱いでハンカチで傷口を押さえると,ほどなくして止血しました。
頭部のことなので,軽々に動くべきではないことは知っているのですが,意識が飛ぶこともなく,傷の痛みと背中のこわばりのほかは異常はありません。最寄りのJR駅まで自走し,迎えに来てくれた家人の自動車で病院に駆けつけ措置を受けることができました。
こめかみの裂傷を見て,医師は「きれいに割れている,見ますか」と手鏡をだしてくれました。そして,なんと,ホッチキス3発を頭に打ちこむのです。痛いのは3瞬間,糸で縫われるよりも楽ですが,手軽というか,荒っぽいというか。
辛いのは傷口よりも背中。激突のさいに背骨が反り返ったためか,レントゲン撮影によると胸椎が後方へわずかにずれていると。肋骨や周辺の軟骨組織にも損傷が及んでいる可能性があるでしょう。1日たっても,背中をゆがめたり,背や肩の筋肉に力がはいると痛みが走ります。これは,ゴロゴロ寝て,日にち薬で治すしかないそうです。
ヘルメットは破壊されることによって,頭を衝撃から守ってくれました。これがなければ天国直行か,さもなくば救急搬送です。「1万円位のヘルメットと同等の品質レベル」という道場長の評価を,この自爆実験で証明したようなものですね。中国製,あなどれません。軽くて涼しい次期ヘルメット,お勧めはありますでしょうか?
閑話休題。ゴロゴロ休養するしかないので,朝から珍しくテレビを。アデランスのコマーシャル,植毛した若者がロードバイクで髪をたなびかせて疾走する映像です。出来事の直後だけに,仰天しました。
近頃,自民党は気にくわないテレビ番組があると局の人間を呼びだして圧力を加えるという戦闘的姿勢(?)を示しています。安全意識皆無のアデランス宣伝部やコマーシャルの製作者を呼びつけて,橋本聖子JCF会長がヘルメットで頭突きを食らわしてほしいものです。