整備には基準があった方が目標になるので、いろいろ実験して道場基準を決めました。
僕がやった実験
下り坂でペダルを止め引力だけで下り最高速度と到達距離を計測
60秒回転ホイールと120秒回転ホイールでは明確な差が出ました。
120秒回転ホイールと240秒回転ホイールには明確な差はありませんでした。
到達距離についても同じでした。
60秒と120秒回る自転車では走行すると明確な差が出ます。
120秒と240秒の自転車では差は出ません。この結果から120秒を基準にするのがいいと思いました。
クランク10回転について
自転車屋が整備したクランクはMAX3回転くらいです。その自転車を使って実験しました。
まず3回転の自転車で走行してもらいます(5人に体験走行してもらいました)
そのクランクを10回転するように整備しなおして、また走行してもらいました。
そして意見を聞くと、まるで別の自転車に乗ってる、ものすごく軽くなった。全員からそういう感想が聞けました。同じように5回転のクランクと比較し、7回転でも実験しましたが、10回転以上になると明確に軽く感じるという意見が多かった。1~3回転は明確に重い。5~7は微妙だけど10回転と比較すると重い、8回転を超えると10回転と差は感じない。なのでギリギリ8回転が合格ラインですが、目標としては10回転がきりがいいので10回転を基準にしました。
集団でペダルを止めて走行すると、僕の自転車は前に出て行きます。下り坂ではグングン速度が上がるので集団に合わせるにはブレーキをかけるしかなくなります。今までロングライドなど様々なイベントで走行しましたが、自然落下状態で走らせると僕の自転車は勝手に前に出て行きます。ホイールの回転整備ができていない自転車が多いなあと実感します。
ホイールの回転時間計測についての条件
特に決めてませんが、基本は走行する時と同じ条件で計測します。前後ホイールを自転車に取り付け走れる状態で計測、120秒を超えれば合格。リアホイールの場合はハブだけでなくカセットフリーの抵抗もあるので120秒クリアするにはフリーの整備も必要です(といってもミシン油をドバッと差すだけですが)
タイヤをつけて重くした方が回転時間は延びます、MTBの重いタイヤだと5分回ったりします。なので僕はタイヤを外してリムだけの状態で計測していましたが、そういう細かいことを煩雑に決めるより走行状態で計測してくださいの方が簡単なので今はそうしています。ホイール組んだ時は振取台で設置したまま計測していますが、自分自身の整備の合格ラインを見るのが目的なので細かいことは気にしないで、どんな状態でもだいたい120秒回ればOKです。
通常のママチャリホイールは新車時は10秒で止まります。マイパラス501の購入時は5秒で止まりました。振れも5mm以上が普通。世の中で販売されている新車はそんなものです。もうひとつ走行に大きく影響するものはチェーンです。チェーンを少し整備するだけで自転車の走行はとても軽くなります。そのためには競輪の整備技術が必要です。決戦ピストの整備ができない人はママチャリを完璧に整備することはできません。チェーンの話はスレ違いで長くなるのでやめます。
120秒10回転を達成すれば自転車はとても軽く走ります。ぜひ体験してみてください。
(参考ビデオ)
マイパラスM501前輪
https://youtu.be/fKFuLfWCHFA
RS21フロントホイール
https://youtu.be/dXWrrk_nN_E
rs21リアホイール回転時間計測
https://youtu.be/sjbhpkHKSwg
カンパ ユーラス前輪回転時間 振取台で計測すれば伸びます。
https://youtu.be/lDplH70HNZU
カンパ ユーラス後輪回転時間
https://youtu.be/fCTgcHKSxII
僕は今までに500個以上はハブの分解整備をやってますが、グリスが熱で変形したり焼けたりしたものは見たことはありません。自転車で使う玉軸受用鋼球 クローム球(SUJ-2)のG3ベアリングが、わずか100kgくらいの荷重と時速100kmくらいの動きで何か影響が出るとは考えられません。
ベアリングの等級
http://www.pluto.dti.ne.jp/~funabe/grade.html
通常のまともなハブのベアリングはG3が使われていますが、ジョイテックなどのケタ落ちハブは、これG3かなあと?思うひどい球が存在します。軸受けもひどい状態になってますけど・・まあそういう3流ハブを使わない限り、熱変形などは考慮の必要はないです。
グリスは僕は昔からずっとカンパグリスを使っていました、カンパグリスが廃盤になり使えなくなってからAZウレアグリスとであい、これをずっと使っています。その間も様々なグリスを実験的に使いましたがカンパを超えるものはなくAZウレアグリスにであい、やっとカンパ同等グリスに出会ったと感動しました。AZウレアグリスは一番初期の頃は(写真1)カンパそっくりの色と肌触りで使った感触も同じでした。ロットによって変わるのか購入する度に少し違うものが届き、今年春に買ったものは写真2です。これは従来より透明感が増しています。AZホワイトグリスを柔らかくした感じです。これはこれで十分な性能があり、自転車で使って問題が出たことはありません。
シマノのデュラグリスは一番最初の頃は白色のクリームみたいな感触でした。量が少ないのに値段が高く、カンパのような大容量パックもなかったので、少し使ってみましたが「これはダメだ」とすぐやめた。シマノは工具も油も性能が悪く値段が高いので使いたい物はなかったです。現在のデュラグリスは緑ですがネバネバして抵抗が大きく重いので、新品部品につけられているものはすぐにきれいに拭き取りAZウレアグリスに交換しています。
僕が50年自転車整備をしてきてAZウレアグリスはカンパグリスに並ぶ優秀なグリスだと思います。
>ハブに限らず自転車で使われる全てのネジは振動で緩むし、ベアリングは摩耗によってガタは出るもんです。
それは整備ミスです。完璧に整備したものは振動で緩むことはないし、ベアリングもちょっとやそっとでは摩耗なんてありません。G3ベアリングはそんな品質ではないです。
僕は1万km~3万km走行で分解掃除していますが、今まで一度もネジが緩んだことはなくベアリングの摩耗もありません。緩む時は一番最初の整備段階で緩むレベルの整備をしています。僕も整備を理解していない時はよく緩んでいました。真剣勝負でやってなかった。甘い整備をするとそうなります。変速なども一度完璧に調整追い込めば、1万km走ったくらいで不具合が出たりはしません。僕が変速調整に1週間かかる、ステム調整に1週間かかる、ハブ軸調整に1日かかるというのは決して盛った話ではなく、本当に仕上げるのなら、どうしてもそれだけの時間がかかってしまうのです。しかしそうやって完璧に仕上げたものは簡単に不具合が出たりはしません。
ベアリングもG3日本製は簡単には摩耗しません。10万kmは最低でも持ちます。
自転車は整備を完璧に行いメンテナンスをきちんとすれば人間より長寿命です。きっちり整備して長くつきあってね。