貧脚いわたさん
Tornadoのジオメトリ表
フレームのスタックとリーチは、ここ10年くらいで普及した指標です。ジオメトリ表にフロントセンターを書かないようなふざけたブランドでも(こういうブランドの自転車は買いたくありません)、スタックとリーチは書いていることが多いです。Tornadoのジオメトリ表もそうですね。
どうして最近になって、こんな指標が出てきたのかというと、フレームのカーボン化のせいだと思います。昔は、ジオメトリ的に見た目が完璧な自転車に乗りたい人は当然ビルダーにオーダーしたわけですが、それが性能的・金銭的に難しくなりました。
「83度110mmのステムを薄いダストキャップの上にコラムスペーサーなしでつけたい」という要望にぴったりな吊るしのフレームを探すのには、スタックとリーチは非常に役に立ちます。が、スタックはともかくリーチは、乗れるか・乗れないかの判断には、あまり適した指標ではない、と思います。
フレームスタックより下にハンドルを下げようとすると、特にXXSサイズの場合はステムも短いので、せいぜい15mmが限界です(特殊で高価で重いステムを使えば別ですが)。最近は、ヘッドチューブを長く・ハンガー下がりを大きくするのが流行りなので、スタックを見れば一目で「これは乗れない」と見分けがつくフレームが多いです。そういうのを素早く足切りするには、スタックは役に立ちます。
しかしリーチは、ジオメトリ表の数字そのままでは、比較ができません。仮想的にコラムスペーサーを積んで、スタックを同じ高さに揃える計算をしないと、意味がないのです。そしてこれは面倒な計算なので、リーチを指標として採用する意味がありません。
ではリーチのかわりに何を見ればいいかというと、フロントセンター、フォークオフセット、ヘッド角の3つです。3つは多いようですが、これらは乗れる・乗れないだけでなく、操縦感覚にも関わってくる値なので、見る価値があります。
ハンドルを近づけるには、
・フロントセンターを詰める
・ヘッド角を寝かせる
の2つしかありません。フロントセンターを570mm以下に詰めたフレームは、「わかってない奴は乗るな!」という思い切った設計なので、なかなか売っていません。フロントセンターは570mmあたりが限界なので、その先はヘッド角を寝かせる、という方向で各ブランドが頑張るわけです。
ヘッド角を寝かせると、どうしても操縦感覚が悪くなります。それを多少なりとも補う方法として、フォークオフセットを増やす、という方法があります。しかしフォークオフセットの大きいフォークは、あまり数が出ないので、メーカーとしては作りたくありません。それをやっているかどうか? を見るために、フォークオフセットが重要になります。ヘッド角が71度を切っているのに、フォークオフセットが43mmや45mmのフレームは、粗大ゴミです。