鶏 泰造さん
シマノ従来型変速機の欠点。
ギヤが11枚欲しかったわけではなく、”R”系のリヤメカを使いたかったんですよ。
リヤの変速調整で難しいのは、ダウン側(小ギヤから大ギヤ)でベストに合わせるとアップ側(大ギヤから小ギヤ)の応答が遅れがちになる(逆にすると逆になる)ことで、その最大要因が、各部の摩擦によって生じるヒステリシスなんですが、R系以前の変速機はワイヤーの引き位置がパンタグラフの中心から大きくオフセットしていて、それが摩擦を生む要因のひとつになっていたんですね(写真参照)。
ところがR系は、パンタグラフの真ん中で引いているから、パンタをこじることで生じるフリクションが生まれない。それ自体がヒステリシスの削減につながるだけでなく、ワイヤーテンションも軽くなるからワイヤーの摩擦によるヒスや、弾性伸びによるヒスも少なくなるから、アップとダウンの際のズレが小さくなって、セッティングが大幅に出しやすくなるし、狂いも生じにくいというのが私の見立てです。実際、昨年の夏に友人のバイクをR7000で組んであげたら、拍子抜けするほど簡単にセッティングが出たので、それ以来「使ってみたいなぁ」と思っていたんです。
実際に自分で組んでみても予想取りで、台上セッティングのまま走りに行ったら、どこも調整せずにOKでした。変速スピードそのものは速くなった感じはしませんが、アップとダウンのズレは、ほとんど感じることがありませんでした。
興味のある方は実験してみて欲しいのですが、バイクをスタンドにかけて、リヤメカをダウン方向(小ギヤから大ギヤ)にゆ~っくり変速すると、変速完了後もディレイラーが所定のスプロケの下まで来ておらず、チェーンがチャラチャラ鳴ることがあると思うんですよ。これがフリクションによる影響で、そこからケーブルをちょっと引くか、変速レバーを少しだけ動かすと、ディレイラーは所定の位置まで移動して音も鳴らなくなるはずなんですが、この差が大きいとケーブルを張り気味にせざるを得なくなり、アップ方向(大ギヤから小ギヤ)への変速が微妙に遅れることになるわけで、R系の最大の進化はこの部分じゃないかと考えています。
ちなみにリヤメカはR7000です。今までの5700では、アップ側(大ギヤから小ギヤ)が遅れるとどうにもならないので、アップ側でベストでセッティングを出しておき、ダウン側が遅れ気味になる場合は変速操作でカバーするという使いかたをしていましたが、そういうことはまったくなくなりました(30kmぐらいしか走っておりませんが)。
なにしろ6700のハブにDTのオフセットリムで組んだら、ほとんどおちょこ量のないいいホイールができたので、これを生かしたままR系リヤメカが使えるのが嬉しいです(^^)。
ちなみにトップ11Tなんか使い物にならないので、チェーンリングをCX用の46Tに替えたら、平地巡航でチェーンラインがほぼ真っ直ぐになるギヤ(17とか19)が使えるようになっていい感じです。Fメカは5700のままですが、変速は速いしトリム調整もいらないし。