クオリア44さん
私の、ポジションセッティングが無理矢理に見えるシングル固定ギアの車体は、BMW、ブルクッリン マシン ワークス と言う、その名の通りにアメリカのブランドのフレームで、自社生産の頃はビックリする程に高価な製品でしたが、台湾生産に切り替わってリーズナブルな値段になったので、購入したものです。
見ての通りに、競輪とは全然関係無い製品で、今はジャンルが消滅した700cのBMXから由来したものですが、商品コンセプトとしては、ドロップハンドルを装着してシングルシクロクロスの競技にも、ショートライザーを付けて本職のメッセンジャーの人がストリートを駆け抜ける様にも使える仕様です。
で、こう言うアメリカの文化と密着したフレームは、大抵は2サイズしか用意され無くて、小さい方を選んでも大き目で、小柄な日本人が乗る時には、見た目は無理っぽい感じになるのは避けられません。が、本来のステージの街中の走行特性としては一切問題有りません。
コレは、日本の女性のシリアスに競技に取り組む人が、ロードバイク本体のジオメトリーの車体に乗る為に、ちょっと大き目のサイズのフレームを選んで、短く角度が深いステムでポジションを合わせて、何の問題も無く乗ってるのと同様の事情です。
そして、シングル固定ギアは、別に必ず競技を目指す必要は無いのです。
まあ、それでも実は、ジオメトリーは太いタイヤに対応する為にフォークが僅かに長めになってるけれど、ゼロオフセットの専用シートポストと2サイズ展開での汎用性を確保する為にシートチューブ角がちょっと寝てる以外には、特異な外観に反して、狭義のピストバイクに近い数値になってるので、非常に素直な操縦性で、加速の反応性も申し分有りません。薄肉大径の軽量で高剛性の高級チューブの構成ですし、単なる丸パイプに見えるフォークもちゃんとダブルバテッドです。
時々、他の人に試乗してもらうと、凄く良く走るので、皆さんビックリします。そもそも、自転車は、人と機械が融合して走るシステムなので、単に車体だけを見ても、正確な事は何も言えないのです。
乗る人の事情も多様であり、正解はひとつでなく、色々な方法論が成立します。
競輪に於いても、シートチューブ角が85度と言う特異なフレームが緻密な論理の積み上げで組まれる事があり、ちゃんとソレで結果を出す選手もいます。
視野を自ら狭めても、あまり良い事は無いのです。
https://keirin.jp/pc/dfw/portal/member/column/bk_number/2005/kodawari/kodawari_346.html
デダチャイ ピスタ コメンサル アシッド フォーカル44
他にもシングル固定ギアで、こんなのも持ってて、どれも「街乗りピストバイク」と言うべき車体ですが、この中では本来のピストバイクにジオメトリーが最も近いフォーカル44が、重いけれど、一番操縦性が素直です。
が、ソレとほぼ変わらない軽快な操縦性を示すのは、異形のフレームを強引に改造したコメンサル アシッドだったりします。
デダチャイ ピスタはフォークが寝てて、一見、曲がり難い様ですが、フェイントモーションとリーンインを連続して発動すれば、少ないバンク角でペダリングを続行しながらグイグイと曲がり、面白い操縦性です。まあ、この極意を使えば、どんな車体も意のままにコントロール出来ますけれど。
と言う様に、見ただけで判断するのは無理で、乗ってみないと車体特性は分からないのです。
並行運用する車体がたくさんあると、最初に走り出し時に前に乗った車体の特性を体が覚えてて、最初の300mくらいは違和感を感じる事もあったけれど、今はソレにも慣れて、走り出して数秒で違和感は消える様になりました。