自転車道場

「自転車の発達とテクノロジー」 / 1

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ディープインパクト 2024/10/30 (水) 07:35:12

 skogenさん
ディープ・インパクトさん
この話題、自転車について私なりに考えていた話につながるので、書き込ませて頂きます。

回転運動を使えるところが自転車の大きな特徴だと思います。
両足でクランクを回すという運動がとても効率が良く、しかもつぎ込んだエネルギーのほとんど慣性運動に変換しています。

そういう自転車の技術には、車輪の発明、そしてコロ(ベアリング)の発明が大きく貢献しています。どれも自転車よりもはるか昔に発明されたもので、今でも重さ数グラムのものから何10万トンのタンカーまでを滑らかに動かすのに必要な基礎技術です。動力源として蒸気機関や内燃機関、そして電気モーターが実用になり、車輪とベアリングが効率を左右する割合はやや減りましたが、今も重要な技術である事は変わりません。自転車は人のパワーが小さいので、その分、車輪とベアリングの重要度が高いという事になります。

車輪やコロを力学的に利用している生物は、微生物(例えば鞭毛モーター)を除いては存在しません。スタニスワフ・レムのSFの世界、漫画の「コブラ」には登場しますが(手塚漫画にも登場したかも知れません)、生物はそのサイズが大きくなると回転機械を実現できないのだと思います。

そういう意味で、自転車は生物としての物理的な機能・限界を補完できる面白い機械です。
問題は安全性です。本質的には物理的な安定性とか、衝突安全性とかありますが、もっと大事なのは走る環境、例えば自転車専用道を作ることだと思います。この話は大事過ぎるのでここでは書けません。

(ここから先が私の持論)
もう一つ、効率と同じく大事なことは生物の寿命です。
スポーツ種目ごと選手の平均寿命は、長い方は陸上競技中距離が80.25歳、スキーが77.28歳、剣道で77.07歳だそうです。一方で平均寿命が短いのは相撲(プロ)、自転車、プロボクシングだそうです。ここで出てくる自転車は競技スポーツとしての自転車だろうと思います。激しすぎるスポーツ、身を削るようなプロスポーツは健康にはマイナスだと思われます。

で、ディープ・インパクトさんが引用されたグラフと見ると面白いことが分かります。
効率が悪い移動体は寿命が短く、逆は短いという事です。つまり、グラフの左上の動物は寿命が短く、右下になるほど寿命が長い。

本川先生の「ゾウの時間・ネズミの時間」では無いですが、恐らく、ネズミでも亀のようにゆっくり動いて、心拍数を上げ過ぎなければ寿命が長くなる(のんびり生きていると捕食者に食べられちゃいますが、その要素は考慮しません)。F1カーのエンジンも回転数を上げて全開走行しなければ、寿命は数1000kmに延びるでしょう。

自転車はグラフのラインから大きく外れたところに位置しています。つまり、重さの割に効率が高過ぎます。これが寿命にどう影響するのかは分かりませんが、本川先生の理論に乗せると、自転車でのんびり動いて心拍数を上げ過ぎなければ、人の寿命を延ばす機械になる。

人には自由な選択肢がありますから、シャカリキに走って寿命を短くするも善し、やや鈍重になるが寿命を延ばす側に振るのも善し。自転車は人の能力を補完し、肉体的な機能を拡大する道具、しかも人にとても近くに居る機械なので、人はその効率の良さや一体になれる特徴をうまく使える可能性が高く、それが自転車の良い所だと思います。

もう一つ、効率については別の視点からの比較があります。
出典のグラフは輸送コストをカロリーで比較していますが、カロリー単価に差があるという話。

ガソリンのエネルギーはおおよそ7千kcal/L、1Lで150円とすると46kcal/円になります。
食品でいくと、
サラダオイルは9千kcal/kg、1kgで300円とすると30kcal/円になります。
お米だと210kcal/kg、1kgで300円とすると0.7kcal/円です。
チーズバーガーセットだと500円で1000kcalとして2kcal/円です。

という訳で、人が食べる食品は高価なので、お金ベースでコスト計算すると自転車は思ったより高く付きます。こういう計算して自転車に乗っていると不健康なので考えないのが吉です。^^;

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