skogenさん
頭を付けました
前三角の作図方法を少し修正しました。
図を見ると分かるように胴体に頭を付けました。。。いやいや、それだけでは無く、ヘッドチューブの位置は頭の位置で決まるという話です。
コーナーリング時などを想定して「頭が大きく動かない」ように、次の条件を置きます。
・トップチューブ位置は乗車姿勢で眼の真下
ヘッドチューブ・ハンドルと連動して頭が自然に曲がる方向を向くには、眼をヘッドチューブの真上(操舵の中心)に持ってくるのが良い、そんな感じ。この位置は、前傾姿勢で頭-左右の腕-ハンドルが作る三角形を安定に保持できる位置でもあります。
これで、ステム長とステム先端からブラケット位置までの長さが自動的に決まります。
ダッシュを掛けるような場合、頭部はぐーっと前方に持ってきても良いでしょうが(御堂筋ダッシュ?)、カーブを曲がるとか、通常の巡航時はステムより後ろに視点を置いた方がライディングは安定します。
また、前の作図では胴体が標準より5cmぐらい長い事が分かったので、短くしました(この骨格で直立させると170cmのはずの身長が175cmになりました)。腕(上腕+尺骨)の長さと同じと思ってましたが、身長170cmだと5cmぐらい胴体(股関節から肩まで)の方が短いですね。
以上で理詰めでフレームのスケルトンとフォームを決めることができるようになりました。実際にはフォームによる調整箇所がいくつもあって、それは乗り手の問題なので、標準形として作図できるのはここまでです。
上の書き込みで、前三角を決めるのは
・トップチューブの先端は乗車姿勢で眼の真下
が正しいです。「ヘッドチューブの位置は眼の真下」と読み替えても良いです。
前傾姿勢の場合、頭の位置が前過ぎるとカーブが曲がりにくくなるようです。自分にあったフレームで頭の位置が後ろになる前傾姿勢のフォームは試せませんでしたが、たぶん運転しにくいと思います。
前傾姿勢を解いて頭の位置を後ろにすると、視点が上がるので、運転しにくくなることは無いです(クロスバイク、ママチャリだから当然)。ただ、速度が上がると上半身を直立させて走るのは難しくなるので、頭の位置は速度に合わせた最適位置があるんでしょうね。あるいは、速度に合わせた前後の荷重バランスがあるのかな。
ダイヤモンドフレームへの力の掛かり方を計算してみました。
「社用車製作」のスレでBBの変形について話があったので、そちらに書こうかと思いましたが、ジオメトリーとも関係するので、こちらで説明します。
まず、ダイヤモンドフレームについて。チェーンステーブリッジとシートステーブリッジ、ジオメトリーとの関係は後編で説明します。
支点を構造材でつないだトラス構造として解析します。リアハブ軸はローラー支点(回転可能、水平方向に移動可能)、ヘッドチューブは角度が変わるので回転支点としています。
以下、ぐだぐだと説明していますが、数字オタクの戯言ということでご勘弁下さい。図を眺めているとチューブの太さの違いの意味とか、いろいろ分かるかと思います。
計算したのは次の7つの場合です。
1.サドルに全体重を掛けた場合
2.ペダルに全体重を掛けた場合
3-6.ペダルに掛かる力の方向を変化させた場合
7.ペダルを踏む力がチェーンの駆動力となった場合
最初の2つは単純な荷重、3,4は極端なペダリング、5,6はサドルの摩擦力の反作用でペダルを押し出す状況、最後はチェーンの駆動力を加えています。構造材の横の数字は、体重による荷重を100とした場合のチューブに掛かる圧縮力・張力を表しています。また、BBとヘッドチューブには掛かる力の方向と大きさを矢印で書き込んでいます。
トラス構造ではBBやサドルに加わる荷重を全体で支えます。そのため、荷重は全支点に分散され、フレームの各パイプでうまく荷重を支えている事が分かります。また、前後の荷重バランスがペダリングで変わります。
まず、サドルに座った状態ではBBはほとんど動きません。ペダルに力を掛けた場合、基本的には下向きに変位します。ペダルに掛かる力の方向が変わるとBB位置は前後・上下に動きますが、2つの三角形の頂点で3本のパイプで支えられているため変位は小さくなります。BBブラケットからパイプが抜けるようにフレームが壊れるのは、この動きによるものだと思われます。
ヘッドチューブは体重を掛けた時にその傾きが前後にねじられるように変形します。そして、ペダリングによって掛かる力が前方と後方に刻々と変化し、ヘッドチューブ角は角度を変えます。ヘッドチューブは1つの三角形の頂点なので支えるパイプの本数が少なく、同じ力を受けた場合の変位はBBより大きくなります。ヘッドチューブ周りのフレームの破断が多いのはこの変形が理由でしょうね。
ヘッドチューブ周りやフロントハブ-ヘッドチューブ-BBの三角形はトラス構造を作っていないのでフレームの中で最も弱い部分になります。フロントフォークからの応力を入れると、ヘッドチューブの変形はこの解析より大きくなると思います。以上です。
チェーンステーとシートステーに掛かる力からブリッジに関する考察ができます。また、ジオメトリーとの関係も面白いです。その辺はいつになるか分かりませんがいずれ。
同じ材質を使った、支点や構造材が同じ特性を持っている、とは書いていませんし、実際、そのような前提は置いていません。この解析は問題としては物理的に単純な設定になっていて、力とモーメントのバランスだけで解くことができます。
答えとして得られるのは力の大きさと方向で、この図はそれを表示しています。
力が決まった後、変形の大きさは材質に依存しますので、実際にフレームを設計する場合は力の大きさを見て、材質や補強方法などを決めます。
例えば、ダウンチューブが太いのは、大きな荷重がダウンチューブに掛かるから、というのがこの図を見ると分かります。
このように、この解析の結果から材質や構造材の特性が決められ、場合によっては構造の修正が行われます。トラス構造解析はごく基本的な解析で、現在のフレームはもっと詳細な解析に基いて設計されていると思います。