skogenさん
クオリア44さん
路面の平滑度云々というコメントを書かれるということは、私がやった実験の意味を理解されてないようですね。最初に書きましたが、Silcaの実験とは考え方が違います。そして、要素に分けない実験の結果は私の思考回路では一般化できません。
この手のダンパー系は、まず単体の振る舞いを調べます。それが分かれば強制振動項(路面の凹凸による振動)が加わった場合の挙動はおおよそ分かります。例えば、波形からフロントの固有振動数(25Hz程度)や減衰係数が分かります。そして、それらの空気圧依存性を調べるのが、今回の実験の趣旨です。精度は高くないですが、傾向は分かります。
ダンパー系の振る舞いはあちこちで解説されてますが、専門的なものとしては、次の説明なんかが良いと思います。
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/c_suppo
rt/newreport/dampingfactor/dampingfactor
_2.htm
この解説でも最初に自由振動を扱い、その後に強制振動の説明という順番になっています。説明に使われる2つの図がポイント。
ここまで理解できると、路面の平滑度の数値化だけでは条件が不足することが分かります。
そして、不足した条件が揃ったとしても、空気圧をどこに合わせて決めるのか、それは現実には難しい訳です。私が最適値とした空気圧はその考え方の一例を示したつもりです。
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以下補足。ウンチク話なので書き込むつもりは無かったのですが。。。
上記のページに横軸に周波数ω、縦軸に振幅xをとったグラフがあります。このグラフは次のように読みます。
ゆっくりとした周期で揺さぶられると、自転車は同じように振動し、速い振動には追従しない。固有振動数で揺さぶられると、系は盛大に振動する(共振する)。
つまり、路面の凸凹が固有振動数(共振周波数)となっていると、自転車の上下の振れはとても大きくなります。今回は’25Hzで、どれぐらいの周期かと言うと、30km/hで走っている時に33cm幅の凸凹を越えた場合です。例えば、33cm周期の段差舗装(コーナーとか下りにある凸凹のカラー舗装、通称ゼブラ)があると、自転車は盛大に振動します(運が悪いとシミーに遭遇します)。
この共振周波数を境として、短い周期(速い振動)の凸凹には車体は追従できず、だんだんと振動しなくなります。その伝わり方は固有振動数と減衰率に依存します。
固有振動数以上で外部から加わる振動の減衰の仕方はフロント周りに依存します。今回の例だと、クロモリフレームは減衰が遅く、カーボンフレームの減衰は速い。フレームが持っているダンパーとしての性能の違いです。段差などの過渡的な振動(大きな周波数から小さな周波数まで、いろいろな振動を生じます)を減衰させるのも、ダンパーの役目です。
空気圧を下げると固有振動数が小さくなります。速い振動(細かな凹凸)は相対的にグラフの右側に位置するようになり、振動はより大きく減衰します。
Silcaの実験は路面の状態によって走行抵抗が変わる、という表現をしています。そういう現象が起きるのは、強制振動の周期(路面から伝わる振動)が変わる事が理由で、ここで説明したような動きがタイヤとフレームで生じるためだと考えられます。
なお、Silcaの実験では速度についての言及が無いですが、上述の通り、路面の凹凸を強制振動項と考えると走行抵抗と最適空気圧は速度に依存します。
さて、ここで問題になるのは、最適の空気圧は体重、フレーム、タイヤによって変わるという事です。今回の結果は、あくまでも現在の私の体重(65kg)とフレームとタイヤについての計算です。
最適の空気圧がタイヤに依存していることは誰でも普通に体験していると思いますが、体重によって変わることを認識している人は少し減り、フレームに依存していることを知る人の割合はさらに減ると思います。
さてさて、要素に分けるという立場からは、フレームによる振動の吸収とタイヤによる吸収を分けたいので、スマホをハブ軸に取り付けて調べようかと思ってます。
スマホだけでいろいろ遊べるなんて、安上がりで簡単でしょ? ^^;
クオリア44さんは頑迷なのか、私の面倒くさい説明を読まれてないと思いますから、もう少し説明します。具体的には、クオリア44さんが心の拠り所にされていると思われる、Silcaの結果を説明してみます。
今回の結果から、フロントは図のような周波数応答をすると考えられます。固有振動数は25Hz付近ですから、路面の凹凸はそれより高い周波数になります。
とても単純に考えていますが、空気圧を下げると固有振動数は下がります。減衰率の変化はこの説明では使いません(私は一般化するために、最適空気圧の目安を決めるのに減衰率の変化を使っています)。
まず、100Hzのところに描いた上向きの矢印に沿って考えます。空気圧が上がり、固有振動数が上がると小さな凹凸を越えた時の自転車の振動は大きくなります。これは走行時に上下動によってエネルギーロスが増えることを意味します。
次に、75Hzのところに描いた上向きの矢印を考えます。これは繰り返し周期が大きな凹凸、つまり遅い振動が加わると、自転車は100Hzの時より大きく振動しすることを意味しています。
もう一つのグラフの横向きの点線矢印を考えます。
この点線と周波数応答の交点がSilcaが言うBreak Pointです。これは、振幅がある大きさを超えないように(エネルギーロスが一定値を超えないように)、という制限を加えると、凸凹の周期が大きいほど空気圧を下げないといけない事を意味しています。これがSilcaの結果です。
#タイヤの空気圧によってタイヤの変形による走行抵抗は減るので、ブレークポイントは交点より少し右にずれます。
こういう路面と空気圧の関係については誰もが直感的に理解していたことです。特に、バンクを走ったことがある人だとすぐに分かります。
ではこの定性的な結果で最適な空気圧を決めることができるでしょうか?
上げ過ぎないように、ぐらいの指針しか立ちませんよね。
具体的にタイヤとホイールとフレームを決め、路面の平滑度と走行速度を一点に決めると、最適な空気圧が決まります。でも、現実には路面は時々刻々と変わり、走行速度も変わります。そんなこんなで、最適な空気圧の決定は難しく、結局、経験則で決めることになると思います。