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タイヤ&チューブスレッド / 447

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ディープインパクト 2024/09/11 (水) 21:59:02

skogenさん  タイヤ空気圧の決め方
空気圧の決め方にはいろいろな流儀があるかと思います。
ここでは少し実験的に議論してみます。

まず、タイヤの空気圧は高いほど転がり抵抗が減り、軽く走れるようになります。

空気圧が低いとタイヤの変形が大きくなり、転がり抵抗が増しますし、リム打ちの可能性が高くなります。

では、空気圧が高ければ高いほど良いかと言うと、そういう訳ではありません。通常のアスファルト道路では路面に凹凸があるため、空気圧が高いと凹凸に伴う振動をタイヤで吸収できなくなり、自転車全体が振動し、走行抵抗が増えます。また、タイヤと地面との接触(静止摩擦)を介した推進力が掛かりにくくなります。

という訳で、実測で適正空気圧を決める方法を紹介します。

結果を最初に書いておくと、空気圧は高くても低くてもダメで、振動が減衰する最適な空気圧があります。体重65kgぐらいだと、6 bar付近でした。

実測結果や説明は後ほど。
画像1画像2
フロントの振動波形 振動の減衰率と第一バウンスの高さ

実験にはスマートフォンを使います。現在のスマートフォンは加速度センサが入っているので、簡単に鉛直方向の加速度を測定できます。スマートフォンはハンドルにしっかり固定します(私はミノウラのスマートフォンホルダを使いました)。今回使ったiPhone7の場合、100Hzで加速度変化をサンプリングできますから、自転車の振動だとぎりぎり振動波形を計測できます。

実際に乗車し、壁などに手を添え、静止状態からハンドルをホッピングでほんの少し持ち上げ、落ちた時にフロントがバウンスする振動を測定します。そして波形から減衰率を計算します。z方向の加速度の時間変化波形を図に示します(重力加速度は補正しています)。z方向の高さに変換した方が良いですが、今回は加速度波形そのものを使い、最初の上向きピーク(第一バウンス)と2番目の上向きピーク(第二バウンス)の面積比から減衰率を計算します。また、最初のバウンスの加速度の大きさをホッピングの上向き加速度で割った値(第一バウンスの高さ)を計算します。

サンプリングレートがぎりぎりで計測波形がガタついているため、3回の平均値を計算しています。

結果を図に示します。減衰率が大きいほど振動の振幅は速やかに小さくなります。つまりバウンスのような大きな振動が抑えられます。

Vittoria CORSA G+(ホイールはレーシングゼロ)だと、6barを超えると弾まなくなります。これはタイヤの空気バネが効かなくなり、弾まなくなるためです。この領域では自転車はガタガタと細かく振動する事になります。一方で、6bar以下では空気圧を変えても減衰率は変化しなくなります(これ意外な発見でした)。ですが空気圧を変えるとタイヤのばね定数が変わり、振動の周波数が変わります。

ここで注意が必要なのは、減衰率が高い=「タイヤ」が弾まない=路面のガタガタはそのまま車体の振動になる、ということです。

3barまで落とすと、タイヤはゴムまりのように弾むようになります。

以上より、最適な空気圧は6barだと考えました。タイヤ本来の衝撃吸収能力を活かせる最大の空気圧です。

Yksion Pro UST(ホイールはキシリウムエリート)は上限の7barまで測定してみました。こちらは5bar付近で振動の様子が変わりますから、5-6barが最適な空気圧だと考えられます。ですが、このタイヤは空気圧による振動の変化が小さく、空気圧を上げ過ぎてもマイナスの効果は小さいようです。

さて、以上の説明だと2つのタイヤの差は小さいように聞こえますが、Corsa G+とYksionには加速度の大きさと振動数の変化に違いがあります。例えば、YksionとCorsaを比較すると、第一バウンスの大きさが違います。この違いは乗り心地としてはっきり分かります。また、ホイールやフレームの違いも関係します。

その辺りの話はまた後日。

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