貧脚いわたさん
心拍計についてですが…
いろいろな話を総合すると、世界トップレベルを目指すような選手は、かなりの割合が「練習中、ゆっくり走れと言われても、つい速く走ってしまう」という奇妙な病気にかかっているようです。
ゆっくり走るべきときに速く走るのが有害だということは昔から知られていて、この病気を抑える方法として心拍計が有効だと認められ、普及しました。
問題は、これが世界トップレベルを目指せるような宇宙人に特有の病気で、人類はめったにそんな病気にかからない、ということです。ゆっくり走れと言われたら、果てしなくゆっくり走ってしまう、それが人類です。
「人類が心拍計をそれ単独で役に立たせる方法はない」というのが私の結論です。
出力は財力みたいなもので、足りなければスタートラインに立てません。
ロードレースでは、出力が足りなくてレース序盤でちぎれるのは、財力が足りなくてロードバイクを買えないのと同じです。
「自転車は持ってないけどロードレースしたいので来ました」って自転車を持たずにレース会場に来る人はいませんよね? 「出力が足りない」というのはそれくらい間抜けなことです。
ただし、安いロードバイクでも力があれば勝てるように、出力がある程度しょぼくても技術があれば勝てます。すでに実業団などのレースで勝負に絡んでいるレベルの人には、パワーメーターのコスパはあまりよくないかもしれません。
ヒルクライムは難しいところです。軽量化にお金を使いたいのに、パワーメーターは逆に重くなりますから。
もし固定ローラー専業でトレーニングするなら、パワーメーターのコスパは微妙です。固定ローラーなら速度がパワーメーターのかわりになります。
ヒルクライムでもロードレースでも、もし実走でのトレーニングが多いのなら、パワーメーターは非常にコスパがいいです。機材と違って、人間の体はトレーニングによって日々変化しますから、いつまでも飽きることなく楽しめます。ボディビルみたいな人体盆栽ですね。
逆に、もしトレーニングに興味がないのなら、パワーメーターはいい買い物ではないと思います。しかし、トレーニングに興味がないのなら、ロードレースやヒルクライムに出るのはアホらしいと思います。
なんにしろ、「どんな機材を買うのがお得か」は「どんな楽しみ方をするか」によって決まります。
もし物欲を満たすことを楽しむのなら、「お得」には意味がありませんから、物欲の赴くままに買うのがいいと思います。