クオリア44さん
まあ、分かってるとは思いますが、一応 書いておくと、安来鋼は非常に高額な素材なので、刃物以外の工具に使用される事はあり得ません。で、賞賛の対象となるのは、事実上、白2、青2、銀3 だけです。
白3以下の鋼材は白2とは非常に深い品質差がある。値段も安いが、切れ味が全然違う。
より硬い白1、青1は、値段と入手性の関係で殆ど製品が存在しない。まあ、私は いくつか持っていますが。青スーパーは、クラッド鋼と呼ぶ最初から軟鉄と積層された素材以外には ほぼ存在しなくて、本格的な和包丁には使用されない。白2よりも高額で硬度が高いと言われる青2は、焼き入れが容易で 品質が安定して靭性が高く刃こぼれし難いが、実は良く出来た白2の方が切れ味が鋭い。
刃物が切れる原理は、ミクロの鋸刃が対象物を切り裂くというものだが、これは柔らかい中に硬い結晶が混じるという刃物鋼材の構造に於いて、柔らかい部分が削がれ易い白鋼の方がミクロの鋸刃が鋭く形成されるから。銀3は、錆び難いので、高い値段をとり易い客の前で調理する場合に利便性が高く、値段も最も高額だが、切れ味が白2、青2に僅かに及ばない。
青2は総合的に最強の様だが、ダイヤモンド砥石以外では非常に研ぎ難くて、プロ料理人でも ちゃんと研げる人は僅か。私は、ザクッと切れ込む感触か好きなのと、正しく使わないと欠けやすいから技術の精度の確認のために白2を使う事が多い。
ま、実は鋼材の性能は和包丁の価値の半分で、あと半分は使い勝手に直結する裏刃の切削精度で、コレが色んなブランドの同一スペックでの値段の倍以上の違いの根本的理由。切削精度は技術の問題じゃ無くて、工数、手間、設備が全く違う事、つまりコストに起因する。このコストを値段に乗せられるのがブランド力、つまり信用。
興味が有れば白2以上を買いましょう。ただ、白2は焼き入れ温度管理がシビアで、マイナーブランドには白2だけどナマクラも存在する。ヤフオクで良さそうな中古でも、15000円は必要ですね。新品ならその倍以上。非常に安価な優れたマイナーブランドの逸品も、ヤフオクに稀にあるけど、外れを引く覚悟が無いと落札出来ない。損が嫌ならブランド品を選ぶしかない。ま、工業製品は、みんな同じ。