アルヴィース・デュオ・ホーリーエイド
「はあ。まあ楽ではないのう。」
アルケディア・アカデミアのプロフェッサーを名乗る、少年のような見た目の男性。いや、正確には"異面"の魔女。アルヴィース・デュオ・ホーリーエイドはため息をついた。
このアカデミア全域を常に監視し、問題が起これば即座に対処。素敵な場面があれば注目する。それを一人の頭で同時に行う。当然眠ることなどできない。睡眠は"無法地帯"時に纏めて取る。しかしそれでも、アルヴィースにはアカデミアを経営したい理由があった。
「まあ、当然男の子の仲睦まじいのが見たいのはあるがな。」
そう言って隠す中に、精神面の教導という目的がひとつ。長き時を生きて、能力だけ研ぎ澄ませた信念もないろくでなしをたくさん見てきた。
魔術師は非道を許す存在だとしても。その精神は真っ当であってもいいのではないか。アルヴィースはそう考える。
どこかで折り合いは必要だろう。それは外で学べる。だから、ここでは理不尽な悪から幼い子供を守りたい。その信念は確かにあった。
「さてと。そろそろ授業じゃな。真っ当に生きれないことの辛さなど、学ぶのはわしだけでいい。」
そうして。歪んだ魔女は席を立つ。歪みを生まないために。
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双星のグレートマザー(レートー)
わたしは、このこたちをうむの。それしか、おぼえてないから。
幼い少女が何処かに現れた。彼女の腹部は膨らんでいて、誰もが哀れみ避けた。
一日目。彼女は野犬に襲われた。こどもたちをまもらなければ。必死で街へ逃げ、自然の脅威から身を守る。
二日目。彼女は街で暴行を受けた。異常性愛者ぐらいしか、彼女を受け入れる者はいなかったから。
三日目。私は彼女を見つけた。暴行を受けながら笑みを絶やさない彼女に恐ろしさは感じた。しかし助けないわけにはいかなかった。
四日目。私はそれから彼女を背負い、守るための旅に出た。きっと子供が生まれれば、彼女は普通の少女に見える。そう信じて。
五日目。親子には見えないらしい。どこに行っても私ごと不気味な目で見られた。
六日目。なんとか、誰も住んでいない小屋を見つけた。ここでやり過ごせないだろうか。そう思った時、偶然にも街は大火事に包まれた。
七日目。この街は、崩壊した。必死に生き延びた。彼女は相変わらず、嬉しそうに笑っている。少し不気味に思った。
八日目。この少女は異常だった。明らかに産み落とすべきでないものを産み落とそうとしている。手を下せるのは、私だけ。
九日目。私はーーーー
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オスカル(モザイク市)
「マスター。この世界は理解したわ。とりあえず、探すわよ。」
何を?とりあえずそろそろ私もサーヴァントを呼ぶか、そう思ったから呼んだら出てきたのは、とても綺麗な女の子。…みたいな男の人。
「決まっている。当然いるでしょうね。ディルムッド・オディナ。フィン・マックール。彼らが英霊でないなんてあり得ない。」
私のサーヴァント、オスカル。どうも生前の知人に未練があるみたい。
「えーと、天王寺の中を探せばいい?」とりあえずそれだけでもかなりしんどいんだけど。
「そこにいるなら。それでいいわ。」彼はそう返すけど、それっていなかったら梅田とかまでいかなきゃいけないんじゃ…。そうしてとりあえず外へ出る。…彼に抱っこされて。
「この方が速いわ。手放さないから、安心しなさい。」うーん。男の人に抱っこされるなんて初めてなんだけど。
目まぐるしく視界が動く。全部を見渡したみたい。サーヴァントってさすがだな。
「いないわね。次、行くわよ。」そう言って彼は次の階層へ。全部見て回るのは無理だと思う。
「ねえ、なんでそんなにその人たちに会いたいの?」ふとそう聞いたら。
「私の夢が叶うから。」
なんだか、すごく寂しそうに言った。