11月22日
セルリアンの被害は拡大する。
ドガガガ!!
ビルにピンク色の巨大なセルリアンが巻きついている。
セルリアンは触手をうねうねと動かし、地面や他の建物にぶつける。
ライオン「ひ……ひぃ!みんな!早く逃げろ!」
ヘラジカ「ライオン!あれくらいなら…」
ライオン「行けるかぁ!!ナーチャはいないし……ああ!あの刀振り回すやつになれたら…!」
ビルは比較的住宅地に近く、もう少し近づけば間違いなく攻撃を受ける。
シロサイ「ここだけは大丈夫だと思ったけど…やっぱりとんでもないことになってしまいましたわ……」
セルリアンはこちらに目を向ける。
ライオン「早く!みんな逃げろ!!」
ヘラジカ「うむ、思ったよりデカかったな…」
ライオンは焦りながら遠く向こうを指差す。
他のみんなはポカーンとしてライオンを見る。
アルマジロ「ライオンさん……後ろ……」
その声は危険を知らせるにはあまりにもおどおどとしていた。
ライオンは後ろを振り向く
セルリアンの大きな触手が迫ってきてるではないか
ライオン「うわぁぁぁ!」
ドゴォォ!!
ライオンはとっさに目を瞑る。
大きな振動がライオンたちを揺らす。
が、ライオンたちには何一つ怪我がなかった。
ライオンはゆっくりと目を開ける。
ライオン「な……!?なんじゃこりゃ……」
触手は真っ二つに割れ、地面に落ちてる。
遠く空、元気な声が聞こえた。
サーバル「早く逃げてー!!危ないよー!!」
アライグマ「こいつはアライさんにお任せなのだ!!!」
アライグマはまばゆい光を放ち、閃光のごとくセルリアンの元へ近づく。
同じく私も、自慢のジャンプ力でアライグマに負けじと追いかける。
ヘラジカ「な……フレンズか……!?ハンターか!?」
アライグマと私は上空で横に並び、大声で叫んだ。
アライグマ「ラッキー!!ミラクルアライグマ!!!」
サーバル「ブースト!!サーバルクロォー!!!」
アライグマは手を大きく広げ、真横に来ると、その手を真正面に合わせる。
すると巨大な光の塊ができ、にやけ顔とともにそれはビーム砲のように発射された。
セルリアンは二人を見て、次の瞬間、音を置き去りにした光は街を照らした。
パッカァァァァ----ン!!!
セルリアンは弾け飛んだ。
ビルは4つに分かれて、切られていた。
サーバル「あー!アライさんずるいよー!」
アライグマ「フハハハハ!!これくらいアライさんで十分なのだ!!」
私は地面に落ちた。
アライグマはふわふわと落ちてきた。
アライグマが地面につく頃、私はあのフレンズたちが気になって、そこへ向かおうとした。
一方、ライオン一行
ライオン「や……やっちゃった……」
ヘラジカ「ああ……すごいな……」
ライオン「一体何者なんだ……」
ライオンたちはセルリアンが弾け飛んだ後をじっくり見ていた。
キラキラとしていて、綺麗ではあったが、何か心の奥底で恐怖が渦巻いでいた。
???「彼女らのこと、気になりますか?」
ライオン「うわっ!びっくりした!」
コノハ「申し遅れたのです。私の名前はアフリカオオコノハズク、博士とでも呼ぶといいのです」
ライオン「え……?急に誰……?」
ミミ「今名乗ったのです。私はワシミミズ、助手とでも呼ぶといいのです」
ライオン「い……いや…急すぎて頭がついていけてな……」
コノハ「おかしいのですね、ナーチャがいないのです」
ミミ「おかしいのです。彼女はお前たちについていると思ったのですが……」
ライオン「え…?ナーチャ!?」
ヘラジカ「お前たち!ナーチャを知っているのか!?」
コノハ「面識はあるようですね。では、なぜこの場にいないのですか?」
ライオン「い……いや……名前だけ言われても…何者かわからない……」
コノハは大きくため息をついた。
コノハ「そんなこと、今言うほどの時間があると思うのですか?」
ライオン「い……いや、知らないよ……」
パンサー「どうしたのでござるか?ヘラジカさん」
ヘラジカ「いや、変な奴が絡んできてだな。ナーチャを知ってるらしいんだ」
アルマー「え!?ナーチャを!?」
いろんなフレンズたちがぞろぞろと寄ってくる。
そんな中、遠くから声が聞こえる。
サーバル「博士ー!!!!」
私の声だ。
ある程度近くになると、私はコノハに聞いた。
サーバル「ねぇねぇ!例の【妖精を使うフレンズ】?は見つかったの?」
アライグマ「お前はバカなのだ。そんな簡単に見つかるはずないのだ……」
コノハ「えぇ、ここにいるのが例のフレンズなのです」
アライグマ「博士はやっぱり仕事が早いのだ」
ミミ「当たり前なのです。こんなこと、我々にかかればちょいちょいなのです」
サーバル「じゃあ、ここにいるフレンズたちがその妖精を使うフレンズなの?よろしくね!」
私は片手をライオンの方に向け、握手を求めた。
ライオン「う……うん……?」
コノハは少しにやけ、嬉しそうにしてる。
コノハ「ふぅ、人出が一人増えたのです。一仕事終えたのです」
ヘラジカ「ちょ!ちょっと待ってくれ!人出?私たちはお前たちに何をやらされるんだ!?」
ライオン「本当に君たちはなんなの!?急にさ!」
コノハは嬉しい顔から一転、めんどくさそうな顔をした。
アライグマ「簡単に言うとだな、この地球が何者かにギュイーンでズガガガなのだ!アークって奴なんだが、そいつがすごく強いのだ!ドドドドってやってきてガガガガガってったらドガーンなのだ!アライさんたちはそいつをパッカーンってやるために頑張ってるのだ!」
ミミ「おい45歳、説明もできないのですか」
ライオン「お……おう?」
ヘラジカ「さっぱりだ……」
ヘラジカとライオンは頭をかいた。
困った顔をしている。
オリックス「ん?この人…どっかでみたことが……」
オーロックス「あ!!この人!!あの有名なゴーレムじゃ……!ヤベェよ……!」
ライオン「は?ゴーレム?」
ヘラジカ「ゴーレム……銀髪のゴーレムって奴か?なら……聞いたことある……」
ライオン「い……いやいや!あのゴーレムだよ!?結構前に姿を消したって……」
コノハ「かと言って、死んだとは限りませんのです」
アライグマ「アライさんは本当にアライさんなのだ!」
ライオンは舞い上がり、大声で言った。
ライオン「だったら証拠を出してよ!ほらっ…!すごい能力とか!」
ヘラジカは優しくライオンの肩に手を添えた。
ヘラジカは何かしら悲しそうな顔をしていた。
ライオンはその顔を見ている。
ヘラジカ「……さっき見ただろう……」
ライオン「あ……」
ヘラジカ「あの大きさのセルリアンを一撃、ゴーレムっては本当らしいな」
ミミ「やっとわかったのですか」
ヘラジカ「ゴーレムは聞いたことある。消失事件の時に活躍した英雄だろう?なら…信用できる……私はついて行こう」
ライオン「ちょ!まだろくに説明もされてないのに!」
コノハ「何が不満なのですか?説明なら後でたっぷりとしてやるのです」
ライオン「いや…さっきので、私たちが戦わなくちゃいけないのはなんとなく伝わった……」
ミミ「戦うのが怖いのですか?」
ライオン「いや……違うんだけど……」
ライオンは一気に暗くなる。
何か悲しそうな顔を浮かべている。
ライオン「失うのが、怖いんだ……」
一度失いかけた。
それだからこそ、ライオンはそれを恐れている。
たくさんの仲間がいるから、それに、先ほどのセルリアンとは日にならないほど強いやつと戦わなければならないことも、なんとなく察せた。
一撃で倒せる人が人手を探してるんだ。
そりゃそう思う。
ライオン「ヘラジカ、私は非難する。こいつらを失うわけにはいかない……」
ヘラジカ「ライオン……」
コノハは大きくため息をついた。
コノハ「お前たちは、守ることはできないのですか?」
ライオン「……あ?」
コノハ「おかしいのです。そこまで失うのが怖いのですか?そうとは思えない言動なのです」
ヘラジカ「なんだと……?」
コノハ「強さはわかりませんが、お前の後ろにいるそのモブたちを、お前はそこまで失うのが怖いのか?ろくにセリフ数もない雑魚どもを」
サーバル「ちょっと!博士!そんなに言わなくても……!」
ライオン「てめぇ……!口を開けば!!」
ライオンは勢いよくコノハの胸元をつかんだ。
ライオン「大切な仲間だぞ!言わせておけばモブだの雑魚だの……テメェにはモラルがないのか!?守るためにそんな危険な行動を取りたくないって言ってんだよクソガキ!」
ヘラジカ「ライオンの言う通りだ…あまり図に乗るな。こいつらは私にとっても、ライオンにとっても大切な仲間なんだ」
コノハ「ほー、大切な仲間……ですか?随分と高く見積もったのですね」
ライオン「てめぇ……!ここまで言ってもわかんねぇのか……!?」
コノハはニヤリと笑い、杖でライオンを強く前に押す。
ライオンは手を離し、後ろに二、三歩退いた。
コノハ「お前のそれを守ると言うのなら、守ってみるといいのです。ただ、守れた場合の話ですがね」
するも、ライオン一行の後ろから、地面を突き破り巨大なセルリアンが飛び出してきた。
サーバル「わっ!行かないと!」
ミミ「待つのです」
サーバル「え!?なんで!?」
ミミ「これは試練なのです。博士の用意した」
動揺するライオンたち
セルリアンはライオンたちを見つめた。
ライオンとヘラジカはそれを睨み返す。
・
ナーチャ「……美味しそうな匂いだねぇ……」
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遠く、裏の闇
妖精に届いたのは殺意の欲。
第29話へ続く……
読んでるぜ