亡き人
kakaomame
2019/04/06 (土) 19:42:30
襲いかかってきた博士たちの目的はなんとフェネックであった。
フェネックが博士に攻撃をしようとした時、アライグマが間に入りフェネックの攻撃を受けてしまう。
そのショックで固まったフェネックに博士がとどめを刺そうとすると、BSSが横から飛んできて博士を攻撃した。
博士は立ち上がり、心配そうにアライグマとフェネックに駆け寄った。
ハシビロコウの波乱万丈な過去とツチノコとの関わりが明かされた。
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[最近多発しているセルリアンの被害の規模は日々広がっており……]
テレビの音に、重なるように視界に映るコノハは、なんと見事な土下座をしていたことでしょう
コノハ「サンド、本当にすまないのです。ここのお詫びの心を……助手!お前もやるのです!」
ミミ「だって、これは仕方ないことなのですよ博士、不可抗力です。謝る必要はないのです。そもそもこっちは関係ないのです」
ツチノコ「えっと……?助手…?」
サンド「ああ、茶色い方がワシミミズクの助手だ」
ツチノコ「んで、シャリ博士と」
コノハ「シャリじゃないのです」
ジド宅、ヒグマが横たわっていたベットに、今度はアライグマか横たわってる。
サンド「アライグマをここまでねぇ…見えないところで腕上げた?」
コノハ「いえ、これをやったのは我々じゃないのです」
サンド「じゃあツチノコか」
ツチノコ「ちげーわ、フェネックだよフェネック」
サンド「フェネック!?何があった!?」
コノハ「フェネックの攻撃を庇った。つまりアムルを守ろうとした訳なのです」
サンド「なるほどアムルを…なんでアムルがいなくなった?」
コノハ「それは、我々にもよくわかってないのです。謎の黒い手にやられたかと…」
ツチノコは眉をピクピクさせながら言った
ツチノコ「はい、質問」
サンド「なんだ?」
ツチノコ「アムルって誰?」
コノハ「我々のことなのです」
コノハは顔を上げる。
ツチノコ「は?博士のこと?ドユコト?」
サンド「正確には、博士のもう一つの人格。天界の定を重視した人格がもう一つある。それの名前、仮称だがアムルはそいつのこと」
ツチノコ「はぇ〜…もう一つの人格が勝手に出てきちゃう……フレンズもそういう症状が出る場合があるんだなぁ…」
コノハ「いいえ、それは我々だけなのです」
ツチノコ「え?どういう?」
コノハ「お前は違和感を感じなかったのですか?【天界の定を重視】という言葉に」
ツチノコは頭をかきむしりながら
ツチノコ「いや…博士は天使?なんだから別に違和感は……」
「そういう話じゃない」首を横に振りながらサンドは言う
サンド「つまり、今の人格は定を重視してない。じゃあ、なんで天使なんかになれたんだ?」
ツチノコ「あ……確かに……」
サンド「後は頼んだ。博士」
コノハ「それはですね…」
ミミ「我々は神に助けられました」
コノハは不服そうにミミを見る。
ミミは知らんぷりをして喋り続ける。
ミミ「我々は神へお礼をしたいと申し出て、僕、つまり天使になったのです」
ツチノコは興味深そうに聞く
ミミ「我々は下っ端のやる仕事を次々とこなし、着々と上り詰めて、天罰を下す天使【天秤】になったのです」
ツチノコ「天秤……かっこいいな」
ミミ「だけど、我々は人の情が移ってしまいました。極悪人ならまだしも、惜しくも罪を犯してしまった者、何かのために罪を犯す者。我々には天罰、重い物では【死】を下せなかったのです」
コノハ「だから!!神は我々に定を重視する人格を植え付けたのです!!その人格は、罪人を見ると発動するのです。発動するのには限度があり、一日一度くらいなのです」
コノハは力強く言った
ツチノコ「つまり、あの時の博士は別の人格で…その人格は神様に植え付けられたってこと?」
サンド「そう、あの気持ち悪いのは博士であって博士でない。ってこと」
ツチノコ「ふーん…」
ツチノコは椅子にもたれた。
一瞬の静寂が訪れる。
アライグマ「だから…守ったのだ……」
ツチノコ「うわっ!!びっくりするだろ!」
サンド「起きたか…案外早かったな…」
アライグマ「博士も助手も……今後、大きな戦力になる。フェネックとアライさんだけでは力不足なのだ」
ツチノコ「だから…庇ったのか……」
アライグマ「このままじゃ、フェネックが博士を殺してしまう……そう思ったのだ……きっと博士を殺したら、みんなはフェネックを憎むのだ……」
興味が薄れたのか、ツチノコは少しだらけた目をしてアライグマに質問を投げかける。
ツチノコ「お言葉だが……フェネックってそんなに重要な存在か?いや、別にいらないとかそういう話じゃなくて、単純に命をかけてまで止めにかかる存在なのかなぁ……と」
サンドは呆れたようにため息をつき、ダルそうに言った
サンド「お前、フェネックがどんな化け物か知らないからそう言えるんだろ?」
ツチノコ「そうかもしれないが……野心的にも、奇跡とか速さとかに比べて【氷】ってのが…何というか……」
サンド「まぁ…そう思うのも仕方がないか……俺もそうだったし……」
アライグマはゆっくりと起き上がり
アライグマ「フェネックは怒ると怖くなるのだ…ちゃっちい【ホラー映画の怖い】なんかより、よっぽど深く、本能に近い【怖い】なのだ…本当の怒りに達すると、アライさんですら制御できなくなるのだ」
サンド「【ビースト化】……俺の設計ミスだな……自然体(ネイチャー)には良くあることだ」
ツチノコ「は?ネイチャー?」
サンド「サーバルのように、俺が前以て野心の存在に気づけるのが奇跡工(デザイン)。それ以外に野心を持ち、それを自由に操れるフレンズを自然体って言うんだ。ついでに、俺は自然体が野心を持っていることに気づけないんだ」
ツチノコ「んで?その……なんだ?ビースト化?したフェネックはどう怖いんだ?」
サンド「はっきり言えば制御が効かなくなる。別の言い方をすれば【殺人マシーン】になる」
ツチノコ「今まで制御なんて効いてたっけ?」
アライグマ「ビースト化してなかったら、怒りの基準はアライさんになるのだ。ビースト化すると怒りの基準がフェネック自身になる」
サンド「例えば、今まではアライさんが【やめるのだ!フェネック!】と言えばフェネックはやめてた。しかしビースト化すると、その声が届かなくなり、自分の怒りが沈むまで暴走を続けるようになる」
ツチノコ「なにそれ怖い」
アライグマ「そう、怖いのだ……」
コノハは立ち上がり
コノハ「そんなお前たちに朗報なのです」
サンド「反省モードは終わりか?んで?朗報って?」
コノハ「天界で小耳に挟んだのですが、これは強い戦力になると思うのです……!」
ニヤリと笑みを浮かべるコノハを心配そうにサンドは見つめる。
その後ろで、テレビの音は流れ続けた。
テレビ[いやー……セルリアンの大量出現…この前のビル爆破事件も関連してるのですかねー…あの三名のフレンズだけが助かった事件と……」
テレビのコメンテーターは不安げにそう話す。
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第28話へ続く……
雨が降る。
前が見えないほど、濁って
・
次回予告ーー〈雨の降る日〉ー
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それは、僕の決断の日。
読んでるよー 続き待ってる👍
ありがとうございます!