セルリアンの拡大が深刻化する中、セルリアンに襲われそうになったツチノコをアライグマが助ける
アライグマはフェネックを「命の恩人」の呼び、フェネックの行なった行動の償いを自身の能力で埋めていた。
そんな中、「博士」と名乗るフレンズが現れ、突然殺処分を言い渡す。
かばんたちは前回同様、ナーチャと名乗る要請が現れる。
ハシビロコウがなぜ殺しを始めたのか、それが今回明らかになる……
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セルリアンの拡大が深刻化する中、セルリアンに襲われそうになったツチノコをアライグマが助ける
アライグマはフェネックを「命の恩人」の呼び、フェネックの行なった行動の償いを自身の能力で埋めていた。
そんな中、「博士」と名乗るフレンズが現れ、突然殺処分を言い渡す。
かばんたちは前回同様、ナーチャと名乗る要請が現れる。
ハシビロコウがなぜ殺しを始めたのか、それが今回明らかになる……
ナーチャ「ハシビロコウ……これは一体どう言うことだ?」
ナーチャ、かつてハシビロコウの家族を餌場として利用した妖精
何を寝返ったのか、今はライオンやヘラジカにいい顔をしている
(詳しくはSS作品【非現実で非常識】をお読みください)
ハシビロコウ「これって何のこと……?」
ナーチャ「わざと聞いているな?この少女のこともだし、この拳銃のこともだ!なにより、ここは裏町と言われる危険区域じゃないのか!?私聞いてない!!」
かばん「え!?え!?誰ですか!?え!?羽生えてるし…」
それは宙に浮いていた。
大きさは子供と同じくらい、民族風な衣装を見にまとい、結構涼しそう
ハシビロコウ「そ…そう、ここは裏町……」
ナーチャ「じゃあ、最初の質問に戻ろう。【これは一体どういうことだ!?】」
ハシビロコウは怯える
が、僕には何が何だか分からない
ナーチャって誰?
え?何?
ハシビロコウの保護者的存在なの?
全くわからん
ハシビロコウ「み…みんなあなたを探してるよ…早く帰った方がいいんじゃない……?」
ナーチャ「ああ、そうだな!帰ってたっぷり今見たことを聞かせてやるよ!ヘラジカとライオンにな!」
ハシビロコウ「すみませんでした」
ハシビロコウは土下座する
なんとも、綺麗な土下座なこと
かばん「えぇ……」
僕は戸惑った
言われたらまずいことなのか…?
いや、普通殺し屋なんてやってるなんて言えないか
ナーチャ「お……おい、何でそんなに素直に土下座するんだ……?そんなに言われたくないのか…?」
ハシビロコウ「うん…いや、はい……」
土下座したままのハシビロコウは顔だけを上げ言った
ナーチャ「…あーもう…なんか気分が変わった。理由だけ説明してくれ。状況も、あんたが何者なのかも」
ハシビロコウ「ありがたき幸せ」
ヤバイ、ハシビロコウがキャラ変わってる
誰だよ!
崩壊じゃなくて、完全に変更だよね!?
いや、それより先に
かばん「あの……一ついいですか…?」
ナーチャとハシビロコウがかばんを見つめる
かばん「その……羽の生えた人は誰ですか……?」
ナーチャは少し首を傾け
ナーチャ「最初会った時は私のことは見えてなかったはず……?なぜ今見えているんだ……?」
かばん「はぇ……?見える?見えない?」
ナーチャ「私は妖精、欲ある者にしか見えない妖精、ナーチャだ」
かばん「欲……?妖精はわかりますけど、欲の部分がよくわからなくて……」
ハシビロコウ「妖精はわかるんだ……」
ナーチャ「ドス黒い貪欲を持つ人、もしくは餌として決めた人のみ見えるんだ。金とか性欲とか、そう言う快楽のための欲にまみれた人にしか見えないはずなんだが……君は…うーん……」
かばん「じゃ……じゃあ、僕はドス黒い貪欲を持ってるってこと……?」
ナーチャは黙り、再びハシビロコウの方を見る
ハシビロコウは立ち上がった
ナーチャ「もっと気が変わった。さっさと説明してくれ、ライオンたちには何も言わない」
ハシビロコウは頷いた
ハシビロコウ「私は殺し屋、裏町で生きる殺し屋」
この際だ、ハシビロコウが何者なのか、ちゃんと見てみるのも悪くない
ハシビロコウ「この街でも結構名の知れた存在だと思う」
ナーチャ「だから銃を……何のためにそんなことを?」
ハシビロコウはその場にあった椅子に座り
ハシビロコウ「生きるため、私【たち】が」
ナーチャ「ライオンたちのためか…?だったら隠す必要も…」
ハシビロコウ「私たちが日常生活の上で生きていけるのは、多分だけど私のお陰、借金も、本当はもっと早くに請求が来て、ちゃんと支払わなければならい」
ナーチャ「何で、お前のお陰なんだ?」
ハシビロコウの眼の色が変わった。
悲しげな表情から一変、鋭い眼球が見つめる先にナーチャはいる
ハシビロコウ「私たちの借金も、生活の上、私が全てを【支払った】から」
ナーチャ「支払った……」
ハシビロコウ「私はどんな仕事も引き受けた。金のためなら体だって売った。あいにく裏町は物好きが多くてね。私を求める声なんて星の数ほどあった。武術を磨き、この街で生きていける自分を作った。スナイパー一つあれば会社一つ潰せるようになっていた。ライオンさんやヘラジカさんがいくら働こうと、借金の足しなんかにはならなかった。だから…だから私が……」
ナーチャ「ちょっと待て!なぜ…それがバレなかった?その感じだと、借金を全て返したことになる!一気に返して、バレないわけがない!」
ハシビロコウ「だから…私は【悪魔】の名前を使ったの……借金の請求が来ないのなんて当たり前だ。借金がないから…少しづつ返してると思った?違う…とっくになくなって、私がみんなのペースに合わせて返してる…そんな【設定】を作っただけ……」
ナーチャは口を開けたまま、そのまま立っている
かばん「……でも、それだったら今、ここにいる必要はないはずです……借金がないなら……金を稼ぐ必要は無いはずです……」
ハシビロコウ「私の家は少し特殊、大きい代わりにそれなりの代償がつく……それに、お金は嘘をつかない。お金がたくさんあることは悪いことじゃない……きっと、みんなのためになるから……」
かばん「でも!それは人を殺してでも得るお金じゃないですよ!殺しって言葉に慣れてきちゃったけど、それは間違ってます…!」
ハシビロコウ「私のことは私が決める。何も言わないで……」
人が死ぬ
そんな街で生きる人は、どうせこうなってしまうのか…
フレンズだから、仲間を大切にする気持ちを持っていても、それが真っ赤に染まるのは想定外だ
ナーチャ「ここには真っ黒な奴しかいないのか……あの時感じた殺気はそのドス黒い欲だったかもな。そうか……」
ハシビロコウは小さく囁いた
ハシビロコウ「私はヒーローを知ってる……だから……いいの……」
ヒーロー?
考えてもわかるはずがない
僕はハシビロコウのことを何も知らないから
だけど、今のでよくわかった。
殺人は人を変えしまう。
僕はその銃に手を添えている。
きっといつか、僕が誰かを殺す時が来るのだろうか?
その時が来ても、僕は人を殺さない
誰のためでもない、そんなの間違ってる
目的を忘れるな
僕は守るためにここにいる。
親友を、家族を
ナーチャ「面白い、しばらく居候するよ」
ハシビロコウ「は?」
かばん「は?」
第25話へ続く……
次回予告
ーー〈裁きを受ける者、与える者〉ーー
読んだよー👍
ありがとうございます……!