hulomutobaagaaのSS ビースト・フレンズ
……180viewsありがとうございます…。
【漫画のベルセルクとの関係は無いヨ!】
文豪スレに投稿すると他様のごっちゃになるかもしれないからこっちにあげてます
一応カクヨムにも上げてるんでよかったら→https://kakuyomu.jp/works/1177354054894394171
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【題名の「ベルセルク」は『凶暴な、荒れ狂った』という意味で使ってます。 よって漫画のベルセルクとの関係は無いです。】
更新は不定期です。(4日に1回くらいの頻度)
一話一話が1000~1500字程度なので読みやすいかと。
話としてはけもフレ1の12話のセルリアン討伐後から分岐してます。
語彙力はひくくて誤字脱字は多いけれど、暖かい目で見てもらえると嬉しいです。
キャッチコピー案考えてくれたこけし様、あらすじ案考えてくれたID:df5cd@cb22a様、本当にありがとうございます!
[ベルセルクフレンズ]
黒セルリアン討伐から3日後、かばんは図書館で青い色をした不思議なモノを託された
一方、さばんなちほーでは謎の黒いモヤモヤのせいでサバンナシマウマが凶暴化(ベルセルク)してしまう…
―――――――――――――
【題名の「ベルセルク」は『凶暴な、荒れ狂った』という意味で使ってます。 よって漫画のベルセルクとの関係は無いです。】
暇潰し程度にあげてます。
更新も不定期です。(二日に一回くらい?)
一話1000字程度なんで読みやすいかと。
話としてはけもフレ1の12話のセルリアン討伐後から分岐してる感じです。
語彙力無いし誤字脱字が多いけれど、暖かい目で見てもらえると嬉しいです。
「とうとうここまで来たみたいだね?
ハハハ、よくもオレの計画を邪魔してくれたねぇ。」
赤い濃霧に包まれた、何処までも続く広い広い空間に、ドス黒の利いた女声が染み響く。
「ようこそ《《ジャパリパーク》》へ。」
その言葉には恐怖や憎しみ、妬みや怒りなどの黒い感情が入り混じっていた。
「先《ま》ずは《《自己紹介》》からだな」
白い毛皮に、野生解放で光る紅く黒みがかった瞳の“最終ボス”は、時折両脇の羽をばたつかせ、ながら浮遊している。
「オレの名前は―」
名乗り出る声と一緒に、その“最終ボス”から大きな緑色の触手が、呆然と佇むかばんに向かって襲いかかる
「かばんちゃん!危ない!」
「あっ…」
サーバルの叫ぶ声が広く真っ赤な空間に響き渡った。
――――――――――
『た、食べないでくださーい!』
『た、食べないよぅ!』
初めてサーバルと出会ったときの会話が鮮明に思い出された。
風の吹く音、腕に擦れる草、そして、狩りごっこで身体を動かして息切れするサーバルの吐息。
気付いたら回り一面草だらけのサバンナのど真ん中に一人だけ、右も左もわからず、ただ焦っている自分に、手を差し伸べてくれたサーバルとの思い出が、まるで最期に見る走馬灯のようにかばんの脳裏に蘇る。
『ボクはここまで……かな』
かばんはそう、目を閉じながら心の中で呟いた
4/4 カクヨムのにあわせて誤字修正
[ベルセルクフレンズ]2、3話
1話[プロローグ]>> 1
「かばん。渡したいものがあるから、一人でとしょかんに来るのです。」
巨大セルリアン討伐の3日後。
かばんは、博士と助手に、としょかんに呼ばれた。
最初、かばんは『カレー鳥の事だし、カレーを作ってほしいと呼んでいるのだろう』と思っていた。
だが、いざとしょかんに行ってみると、どうやらそうではないらしい。
としょかんに着くと、博士と助手が出迎えてくれた。
初めてとしょかんに来たときは、九州フクロウ…ではなく、急襲コノハズクな出迎えをしてきたのにも関わらず、今回は普通に出迎えてくれた。
ただ単に面倒なのか、同じ手は使わないのか、それとも…
「今回はカレーが欲しくて呼んだわけじゃ無いのです。そこんところ勘違いするななのですよ。」
「そうなのです。今博士が言ったように、我々はカレーが欲しくて呼んだわけでは無いのですよ。」
相変わらずの口調で博士と助手はかばんに出迎えの挨拶(?)をした。
「その、渡したい物って…」
かばんは、二人から聞いた『渡したい物』について問いかけた。
「詳しいことは中で話すのです。」
「とりあえず、着いて来いなのです。」
そう短く答えた博士と助手は、としょかんの中に戻っていった。
――――――
としょかんの中に入ると、机の上に蒼い宝石の様なものが置かれていた。
博士と深夜に対面する形で椅子に座った。
先に口を開いたのは博士だった。
「今日ここにおまえを呼んだのには理由があるのです。」
と、博士が
「まずこれを見るのです。」
と、助手がかばんに言った。
博士が両手で、蒼い宝石のような物を机から持ち上げた。
「これは、“いのちのかけら”と呼ばれる物なのです。」
透き通った蒼い色をしたその“いのちのかけら”は、としょかんの大きな穴の空いた屋根から差し込む陽に照らされ、キラキラと輝いている。
「いのちのかけら…ですか」
「これは、昔ジャパリパークにいた“ヒト”が遺していったものらしいのです。」
イマイチ話の意味が掴めないかばんに、博士と助手は話を続ける。
「この“いのちのかけら”には不思議な力があるのですよ。」
助手が博士に続けてかばんに説明をする。
「その不思議な力って…」
理解が追い付かないかばんは、二人に問う。
「この“いのちのかけら”は、我々フレンズには野生解放以上の力、普通の生き物には生きる力を与えてくれるのです。」
助手がかばんに言う。
「生きる力…。」
かばんが助手の言葉を繰り返す。
「この“いのちのかけら”は、我々フレンズには野生解放以上の力、普通の生き物には生きる力を与えてくれるのです。」
助手がかばんに言う。
「生きる力…。」
かばんが助手の言葉を繰り返す。
「しかし、この“いのちのかけら”が何をどうすると、何が起こるのかは分からないのです。」
と、博士が残念そうに呟く。
「何で分からないんですか…?」
とかばんが訊ねると助手は、百聞は一見にしかずなのですよと言い、バサッと羽を羽ばたかせて、としょかんの上のほうにある本棚へと飛んでいった。
程無くして、助手は一冊の本を抱えて戻ってきた。
机の上にその本を置き、ペラペラとめくり始めた。
「これを見るのですよ。」
助手のページをめくる動作が止まった。
助手が今博士開いているページは、雑に破られている。
そのページの見出しを見ると、『いのちのかけら』と書かれていた
悔しげな口調で
「いのちのかけらについて書かれている場所だけ、このように破られているのですよ。」
と助手がかばんに話す。
「本を乱暴にするなど、我々には意味が分からないのです。」
と博士が早口気味に言った。
「博士の言う通りなのですよ。
しかも、よくわからない黒い染みまで付けてるのです。こんなことをするのはバカな奴だけなのです。」
助手が言ったように、黒い染みが付いていた。
「…なので、これをおまえにに託すのです。」
と博士がかばんにいのちのかけらを渡した。
「え、ええ?ぼ、ボクにですか?」
戸惑いを隠せないかばんに助手が続けて
「少なくともおまえは我々よりも賢いのです。
我々二人でこのいのちのかけらの研究をするより、おまえに任せた方が早いのです。」
いつもは『我々は賢いので。』『我々は島の長なのです。』と言っているカレー鳥二人は、あっさりとかばんにいのちのかけらを渡した。
「いつかおまえの役に立つのです。」
と、博士がかばんに言い掛けた
「我々には分かるのですよ。」
と、助手がかばんに言い掛ける
「「我々は長なので。」」
博士と助手の声がズレなくハモった。
カレー鳥はいつも通りのようだ。
カレー鳥…w
やっぱ伊達に長してませんな、かっこいい。
[ベルセルクフレンズ]4話
1話[プロローグ]>> 1
2、3話[いのちのかけら-1、2]>> 2
巨大セルリアン討伐から6日後。
サーバルとかばんは、さばんなちほーに帰ってきていた。
さんさんと照りつける太陽の陽射しを避けるために、木陰で涼んでいる。
時おり心地よい風が肌を撫でる。
風に揺られて草木がさらさらと音をたてる。
そんな風の音と共に、二人の寝息が聞こえる。
「んみゃ…?」
サーバルが目を覚ました。
何か危険を察知したようだ。
サーバルは辺りをキョロキョロと見回した。
すると、あるものが目に止まった。
「んんん…?」
そのあるものは、真っ黒の球状で、真ん中に大きな目が1つだけ付いていた。
セルリアンなのだろうか。
「セルリアン?なんだか、いつものとちがうなぁ?」
起きたばかりの目を擦る
「かばんちゃん起きて!セルリアンだよ!」
サーバルがかばんの肩を掴んで前後に揺らす。
「むにゃむにゃ…セ、セルリアン?」
かばんが目を擦りながらゆっくりと起きる。
「セルリアンだよ!それもいつものと何か違うの!」
サーバルの慌てた様子を見て、かばんの眠気は吹っ飛んだ。
「セルリアン?どこどこ?」
かばんが周りを見回す。
だが、セルリアンらしき物は見当たらない。
「むこうのあの木の近くだよ。」
サーバルが指を指してかばんにセルリアンの居場所を教える。
だがそれでもかばんにセルリアンは見つけられない。
見えるのは黒くてモヤモヤした目玉のついた球状の…
……ん?
黒いモヤモヤした目玉のついた球状?
…あれ?
「ええと、あの黒くてヤモヤしたまぁるいやつ?」
「そうそう!あの黒いやつ。
セルリアンだとは思うけど、何か分かんないや。」
「こっちには気付いてないみたいだね…。」
「ラッキーサーバル。あの黒いモヤモヤ、何か分かります?」
「ボクニモヨク分カラナイネ」
「ええー!?ボスにも分からないのー!?」
「ラッキーさんも知らないとなると、あれは一体…」
と、その時。
かすかに悲鳴が聞こえた。
黒いモヤモヤが、地面に向かって突っ込むのと同時に。
かばんが、『もしかして、誰かが食べられちゃった!?』
と考えた頃には、サーバルは悲鳴の方向へと走り出していた
1話[プロローグ]>> 1
前回[黒いモヤモヤ-1]>> 3
[ベルセルクフレンズ]5話
見つかりませんように見つかりませんように…
サバンナちほーのど真ん中で、草の中に身を潜めているフレンズがいた。
ねずみ色のワイシャツを着て、黒白の縞々ミニスカートとタイツを履いている。
髪型は白黒模様をした、膝まで届く長さの髪の毛で、アホ毛がちょこんと起き上がっている。
そのフレンズの名はサバンナシマウマ。
黒くてモヤモヤした物体に見つからないように、今こうして隠れているのだ。
冷や汗が滝のようににじみ出る。
顔は埋《うず》めているので回りを見ることはできないが、その黒いモヤモヤの放つ気配で、こちらに近づいて来てるのが分かる。
助けを呼びたいが、もし助けを呼ぶために大きな声を出したら見つかってしまう。
さっきよりも気配を感じる。
確実に近づいてきている。
(見つかりませんように見つかりませんように…)
セルリアンの気配の強さがピークに達した。
まるで一秒が一分みたいに感じる。
そして気配が遠ざかっていくのを感じた。
(やりすごしたみたい…?)
そっと顔を上げると、自分から離れていく黒いモヤモヤの姿が見えた。
これで一安心。
身体中の力が抜け
「ふぅ…」
と声が漏れる。
油断大敵。
まさに、今のサバンナシマウマに当てはまる言葉だ。
「え…」
黒いモヤモヤは、サバンナシマウマに向かって突っ込んできた。
避ける暇もなかった。
サバンナシマウマは、次に来るだろう強い衝撃に耐えるため、身体中に力を入れた。
…衝撃は全くなかった。
黒いモヤモヤはサバンナシマウマの体に、まるで幽霊が憑依するかのように、すり抜けるように入り込んだ。
「うえっ!?」
サバンナシマウマの意識は、そこで途切れてしまった
―――――――――――
「大丈夫ー!?」
サーバルが、先ほど悲鳴が聞こえた場所付近まで来た。
周りにその黒いモヤモヤやセルリアンがいないか警戒しながら進む。
すると、草の向こうに地面に倒れているフレンズがいることに気付いた。
「あの子は―
サバンナシマウマ!?」
サーバルは急いでサバンナシマウマのもとへ駆け寄った。
サバンナシマウマはぐったりと倒れていた。
目立った外傷はない。どうやら気絶しているようだ。
サーバルはあたりを見渡した。
今さっきまでここにいた、黒いモヤモヤがいないか探るために。
だが、周りにあるのは草木だけで、黒いモヤモヤはどこにも見当たらない。
「おっかしいなあ…。 どこにもいないや。
今さっきまでここにいたのに…」
サーバルが首を傾げる。
とりあえず周りの安全確認はできたので、サーバルは足下で気絶しているサバンナシマウマに声をかける。
「大丈夫?シマウマ」
サーバルがサバンナシマウマの体を揺する。
だが応答はない。
「シマウマ!大丈夫!?」
さっきよりも大きな声で呼び掛け、強く揺する。
すると、サバンナシマウマはゆっくりと身を起こした。
「あ、シマウマ!気付いた?」
サーバルがサバンナシマウマの顔を除き込む
そのサバンナシマウマの顔は、サーバルを睨んでいた。
その目は、野生解放によって鮮やかに光ってはいるが、同時に魂の感じられない黒っぽい色をしていた。
「…えっ―」
瞬間。
サーバルの顎を強烈な蹴りが襲った。
憑依型のセルリアン!?
そしてビースト化…?
ベルセルクフレンズ]6話
1話[プロローグ]>> 1
前回[黒いモヤモヤ-2]>> 5
「サーバルちゃん速すぎぃ…」
かばんがさばんなちほーのど真ん中で、軽く息を切らしながらサーバルを追いかけている。
どれだけ体力量にすぐれるヒトでも、急にこれだけ速く走れば息が切れるのも仕方がない。
もうすぐでサーバルに追い付くだろうと考えた時、草の向こうにサーバルの大きな耳が見えた。
やっと追い付いた
かばんは心のなかで安堵の声を漏らした。
だが、何か様子がおかしい。
自分の走る速度では到底あり得ないほどの早さでサーバルがこちらに近づいて来るのだ。
その異変に気付いた頃には、サーバルは目の前に迫っていた。
「かばん、伏セテ!」
「た、たうぇ!」
ボスの声が耳に入る頃には、かばんは反射的に身を屈めた。
だが、飛んできたサーバルを完全に避けきれず、背負っている鞄とぶつかってしまった。
「うみゃあああああ!」
「うわわわわわああ!」
「アワワワ」
避けきれなかったかばんは、サーバルと接触した鞄に引っ張られるようにして後ろに吹っ飛ばされた。
そのまま尻から地面へと崩れるかばん。
「うみゃあああぁぁ!?」
サーバルはかばんの鞄とぶつかってもなお勢いはおさまらず、かばんと激突した所から更に4メートルほど宙を舞い、土煙を上げながら地面に墜落した。
「さ、サーバルちゃん!?」
かばんが慌ててサーバルの元に駆け寄る。
地面に落ちてもなお勢いのまま滑ったせいか、毛皮には土や砂、草がついていて、肌の露出している肩の部分には擦り傷が付いていた
「イタタタ…」
「だだだだ、大丈夫!?」
「アワワワワワ」
混乱しているボスを気にかけながらも、かばんはサーバルの手をひき、身を起こすのを手伝う。
「シマウマが…」
サーバルが困惑顔でサバンナシマウマの名前を呟く。
サーバルの顎は赤くなっていて、口の中からは微量の血が出ていた。
「サーバルちゃんその顎…」
かばんが心配そうに赤くなったサーバルの顎を見る。
「ヘーキヘーキ!これくらい、ジャパリまん食べれば治るから。それより…」
サーバルが、サバンナシマウマの方向を焦り混じりの顔で見つめる。
「その顎って、もしかしたらサバンナシマウマちゃんが…」
「うん。でも、何だか様子が変だったよ。
目は野生解放みたいに光ってたけど、なんだか暗い感じだった。」
「いったい何が…。ラッキーさん?何か分かりませんか?」
「コンナ状況ハ初メテダカラ…アワワワ」
「ちょ…ラッキーさん!?」
だが、ボスとかばんの声を遮る大きな声が聞こえた。
「がああああああああああああああ!!!」
早スギィ!早い早い早い……ンアッー!
ごめんなさい、面白かったです
[ベルセルクフレンズ]7話
1話[プロローグ]>> 1
前回[VSサバンナシマウマ戦-1]>> 7
「がああああああああああああああ!!!」
「い、今の声、サバンナシマウマのだ!」
サーバルが反応する。
「えっ?今のが?」
かばんは、サーバルの発言に対して困惑する。
それもそのはず。
よほどでもない限り、フレンズがあんな雄叫びを出すことは無いはずだ。
「サーバルちゃん!シマウマさんは、一体どうしちゃったの!?」
「わかんないよぅ!でも、何かに操られてるみたい!」
「操られて… 」
慌てる二人の元に、白黒の縞模様の毛皮のフレンズ、サバンナシマウマが突っ駆けてきた。
野生解放で光る目が、ものすごい速度で迫ってくる。
「がああああ!!」
サバンナシマウマがかばんに向かって突っ込もうとする
「た、食べないでくださーい!」
「かばんちゃん!」
かばんは逃げようと走り出した。
だが、野生解放をしているフレンズに敵うはずもない。
ましてやサバンナシマウマは、野生解放にプラスして、何かに操られてるように、殺気を帯びて襲ってきている。
逃れられない。
「キケン!キケン!」
かばんの左腕でボスが同じ言葉を連呼している。
「あぶなあああああい!」
サーバルがかばんを守ろうとサバンナシマウマに飛び付いた。
「がはっ!?」
サーバルに飛び付かれたサバンナシマウマは、体勢を崩して転んだ。
サーバルはすかさずサバンナシマウマを取り押さえる
「ごめんシマウマ!本当はこんな乱暴なことはしたく無いんだけどっ…」
サーバルが悔しそうにサバンナシマウマに言う。
「うががが!ががががあ!」
サーバルにうつ伏せに取り押さえられたサバンナシマウマは、サーバルをのけようと必死に暴れまわる
「うわわわっ」
このままではサバンナシマウマに逃げられてしまうと考えたサーバルは
「や、野生解放!」
野生解放をした。
たとえ姿がヒトでも、もとは草食動物と肉食動物。力の差は明らかだ。
その緊迫した様子を見ながら、かばんは必死に頭を働かせた
(どど、どうすれば…)
そういえば食物連鎖の上と下でしたね。
続き気になる〜
[ビースト・フレンズ]8話
1話[プロローグ]>> 1
前回[VSサバンナシマウマ戦-2]>> 9
(どど、どうすれば…)
早くサバンナシマウマを正気に戻さなければ、サバンナシマウマもサーバルも危ない。
そのとき、サーバルの『ヘーキヘーキ!これくらい、ジャパリまん食べれば治るから。』という言葉が脳裏を過った。
迷っている暇はない。
シマウマさんの自我喪失も治るのではと結論付けたかばんは、急いで鞄の中にしまってあるジャパリまんを取りだし、
「シマウマさん。お許しください!」
暴れまわるサバンナシマウマの口に詰め込んだ。
「だはっ!?」
驚いたサバンナシマウマの抵抗が弱まる。
その一瞬の隙に
「うみゃああ!ごめんねシマウマぁ!」
サーバルがサバンナシマウマの口の中のジャパリまんを強制的に飲み込ませた。
「がああああああああああああああ!!!!!!」
未だかつて無いくらいの大きな叫び声をあげたサバンナシマウマ。
野生解放をしたサーバルを振り払うほどの強さで、喉のあたりを押さえのたうち回るサバンナシマウマ。
「ぐあああ!!がはああはあ!!」
そして、サバンナシマウマがのたうち回り始めてから5秒ほど経ったそのとき
「「!?」」
サバンナシマウマの背中から、黒いモヤモヤした物が出てきた。
サーバルとかばんは、その黒いモヤモヤがサバンナシマウマに憑依していたとは思ってもいなかった。
黒いモヤモヤが出たのと同時に、サバンナシマウマはうつ伏せのまま動かなくなった。
そして、サバンナシマウマに憑依し、操っていたと思われる黒いモヤモヤは、ぐいんと上昇し、そさくさとじゃんぐるちほーの方角へと飛んでいってしまった。
「あっ!待てー!」
サーバルが追いかけようとしたが、その黒いモヤモヤはサーバルの手の届かない高度まで上がっているため、追い付けない。
だが、今はサバンナシマウマとサーバルの怪我の手当てが先だ
サーバルがサバンナシマウマとかばんの元へと駆け寄ってきた。
「サーバルちゃん、大丈夫?」
「うん、私はなんとか…。
でもシマウマが…」
サーバルが心配そうにシマウマを見る
「大丈夫。シマウマさんは気絶してるみたい。
というか、サーバルちゃんの顎は…」
「私は大丈夫。
でも、野生解放でサンドスターが減っちゃったからジャパリまん一個ちょうだい。」
サーバルにジャパリまんを渡したかばんは、サーバルがジャパリまんを食べている間に気絶したサバンナシマウマから話を聞こうと体を揺する。
「シマウマさん。大丈夫ですか?」
「ううん…」
サバンナシマウマがうっすらと目を開けた
「あれ…私、何やって……」
むくりと起き上がったサバンナシマウマは、自分の顔を伺うかばんとジャパリまんを食べるサーバルを見た瞬間、自分がさっきまで二人にしていたことを思いだし
「ごごご、ごめんなさい!」
頭を下げた。
サーバル
「へーきへーき!シマウマが悪いわけじゃ無いみたいだし。」
かばん
「起きたばかりですが、何があったのか詳しく教えてくれませんか?」
サバンナシマウマ
「ええと、そのー…」
まだ頭に火がまわってないサバンナシマウマは、上手く思い出せない。
「ジャパリまん食べて、少し落ち着きましょう。」
かばんがサバンナシマウマにジャパリまんを渡す。
サバンナシマウマは、かばんから貰ったジャパリまんをガツガツと食べる。
操られていたとはいえ、野生解放をしていたせいでお腹が空いているようだ。
「ふぅ…。お腹いっぱい。
なんか眠くなってきちゃったなあ」
ジャパリまんを食べ終わったサバンナシマウマが、先程までの戦闘が無かったかのような呑気なことを言った。
「寝る前に、何があったのか教えてくださいよお(汗)」
寝転ぼうとするサバンナシマウマをかばん寝させまいと起こす。
「ええとねー…」
サバンナシマウマは眠そうに、自分の身に何があったのかを説明した。
[ベルセルクフレンズ]9話
「―というわけで…」
「てことは、あの黒いモヤモヤはセルリアンじゃ無いみたいですね。」
サバンナシマウマから話を聞いたかばんは、もしかしたら黒いモヤモヤはセルリアンでは無いかもしれないという結論にたどり着いた。
理由は、セルリアンはフレンズを食べるはずなのに、黒いモヤモヤはフレンズは食べず、体を乗っ取っただけだったからだ。
まだ一回目の被害で結論を出すのは時期尚早かもしれないが、早い段階で仮説を建てれば、後々対処がしやすくなるだろう。
これで、かばんは図書館で渡された“いのちのかけら”と“黒いモヤモヤ”の、二つの謎を解く必要が出てきた。
「あのー」
サバンナシマウマがかばんに声をかけた
「なんですか?」
「もう寝ても良いー?」
「…」
「ZZZZ」
かばんに尋ねたサバンナシマウマは、まだ返事を貰ってもないのに寝てしまった。
(まぁ…聞きたいことは聞いたし、さっき暴れまわったから疲れてるんでしょう)
特に起こす必要も無いので、サバンナシマウマはそのまま寝かせておくことにした。
「サーバルちゃん。さっきシマウマさんが言ってたこと、どう思う?」
かばんがサーバルに訊いた。
だが、サーバルからの返事はない。
「…サーバルちゃん?」
慌ててサーバルの元に駆け寄ったかばんは、サーバルの両肩を掴み、前後に揺さぶった。
…が、すぐに揺さぶるを止めた。
「スーピー」
サーバルの寝息が聞こえたからだ。
「なんだ…。ビックリした。」
「…そうか、サーバルちゃんは夜行性だもんね。」
サーバルも疲れているだろうから、寝かせてあげることにした。
………
「あああーーーー!?」
「んみゃぁ!?な、何々、セルリアン!?」
突然かばんが大きな声をあげて、それに驚いたサーバルは飛び起きてしまった。
「どど、どうしたのかばんちゃん!?」
「さっきの黒いモヤモヤ、じゃんぐるちほーの方に逃げてったよね?」
かばんが早口で喋る。
「う、うんそうだけど…」
急な大声と質問で理解の追い付いていないサーバルは噛みながら答えた。
「じゃんぐるちほーのフレンズさん達が危ない…」
「あっ!」
サーバルも事の重大さに気付いた。
「どどと、どうしようサーバルちゃん!じゃんぐるちほーのフレンズさんたちまで同じ目に遭ってたら…」
慌てるな。落ち着いて考えろ。
かばんは自分にそういい聞かせながら必死に脳を動かした。
「そうだラッキーさん。他のラッキービーストに、この事を広められませんか?」
「ソレガ…通信可能圏内ニ他ノラッキービーストガイナイミタイデ…」
「「えぇ!?」」
「と、とりあえず、ジャングルちほーのフレンズさんたちにこの事を知らせなきゃ。行くよサーバルちゃん。」
「う、うん!」
深まる謎…
[ベルセルクフレンズ]10
一話[プロローグ]>> 1
「おたから発見なのだー!」
「やったねぇアライさ~ん」
アライグマが、じめじめしたじゃんぐるちほーに、イキイキとした声を響かせた。
左手は腰にあて、右手は蒼い宝石のような“おたから”を握って嬉しそうに高々と上げていた。
「それにしても何だろうねー?」
フェネックがアライグマが見つけたおたからを見ながら疑問を口にした。
その疑問に対してアライグマは
「ふはははは!これはだな―」
と大きな声で笑ながら胸を張って
「…わからないのだ!」
自信満々に答えた。
「それじゃあ答えになってないよーアライさん。」
フェネックがアライグマにツッコむ。
「なんにしろ、おたからに変わりはないのだ。これはアライさんとフェネックの物なのだ!」
とその場でポーズを決めた。
だが、上手くポーズを決めれず、右手に握るおたからをぶん投げながら転んでしまった。
「あいたっ!」
「アライさん、またやってしまったね~。」
「痛いのだぁ…。―って、おたからはどこにいったのだ!?」
シュバっと起き上がったアライグマは、慌てておたからを探すために走り出した。
「アライさん、おたからが飛んでったのはそっちじゃないよ~。」
「ふええ!?ど、どっちなのだ!?」
驚き顔でアライグマは振り替える。
「あっちだよ~。」
フェネックが指を指した方向に、おたからが落ちているのが見えた。
「見つけたのだーっ!」
間違った方向から走って戻ってきたアライグマは、そのおたからめがけて飛び付いた。
だが、手が届く直前に誰かがおたからを拾い上げ、そのおたからを掴めなかったアライグマはそのまま進行方向にある木に目掛けて頭からつっこんだ。
《ごつん!》
鈍い音が聞こえた。
「ううう…。痛いのだぁ…痛いのだぁ…。」
「もっと周りを見なきゃねーアライさん。」
頭を押さえてうずくまるアライグマの背中をさすりながなフェネックが注意をした。
「面目無いのだ…。」
恥ずかしそうにフェネックに返した。
「はっ!?おたからは!?」
アライグマが素早く体を起こした。
「おたからならあの人が拾ってくれたよー」
「あの人…なのだ?」
アライグマが後ろを見る。
するとそこには一人のフレンズが、アライグマのおたからを右手に持って立っていた。
そのフレンズは白い白衣を着て、頭には輪郭の赤い黒い丸が描かれた白い帽子をかぶり、先に牙のある青色の尻尾が生え、マフラーから4本、帽子から2本の触手が伸びている
(見たことの無いフレンズなのだ…)
(きっと新しくフレンズ化したんじゃないかなー)
(おたからドロボーなのだ!)
(いやそれは違うと思うよアライさん。)
(とにかく、あのおたからを返してもらうのだ!)
「えーごほん!なのだ。」
アライグマがそのフレンズの前に立って咳払いをした。
「そのおたからはアライさんの物なのだ。返してほしいのだ。」
アライグマが右手を広げて突き出した
だが、そんな言葉には耳を向けず、そのフレンズはただ“おたから”を見つめている。
「ごめんねおねーさん。それ、アライさんのおたかららしいから返してくれなーい?」
フェネックもそのフレンズに話しかける。
それでも、そのフレンズは“おたから”を見つめたまま動かない。
「な、何か言えなのだ!黙ってたらわからないのだ!」
アライグマが再度話しかける。
それでも反応は無い。
そして、
「あっ!待てなのだ!おたから返してなのだー!」
そのフレンズは、黙ったままぐいんと上昇すると、どこかへ飛んでいってしまった。
(触手が生えて空の飛べるフレンズなんて見たことも聞いたことないけどなー)
そうフェネックが考えていると
「追いかけるのだフェネック!」
アライグマがそのフレンズの後を追おうと駆け出す。
「待ってよーアライさ~ん。」
フェネックが後に続いて駆け出した。
【ベルセルクフレンズ】11
一話[あらすじ]>> 1
前回[しゅっぱつ(アラフェネのターン)]>> 15
「あー暇だなあ」
ジャガーがジャングルちほーの川辺でため息混じりにの愚痴吐いていた。
というのも、かばんたちと作った橋のお陰でフレンズ達が川を渡るのが楽になった反面、イカダを引っ張る必要が殆ど無くなったジャガーはやることがなく、こうして川辺で暇をもて余しているのだ。
コツメカワウソはちょうどジャパリまんを貰いに行って留守なので、遊ぶ相手もいない。
「はぁー。川を渡るのが格段に楽になったとはいえ、私のやることか無くなっちゃったなあ。」
そこら辺の石を川に投げながら、ただ時間が流れるのを待っていた。
「久しぶりに釣りでもしようかな…」
と、独り言を言いながらパタンと体を後ろに倒す。
「…」
こちらを見下ろす黒いモヤモヤと目が合った
「ど、どうも…」
黒いモヤモヤが自分めがけて突っ込んできた
「うおおお!?」
間一髪、体を横に捻って回避をした。
「セルリアン!?」
ジャガーは素早く立ち上がると、黒いモヤモヤと距離を置き、戦闘態勢の構えをとった。
「見たこと無いセルリアンだけど、ささっと消えてもらうよ!」
ジャガーがセルリアンに向かって、鋭い爪を振り落とした。
「あれっ!?」
だか、自分の手は黒いモヤモヤをすり抜け、そのまま止まらず自分の腹に直撃した。
「ジャガッ!?」
まさか攻撃が当たらないとは思ってもいなかったジャガーは、思いきり力をいれて振り落とした自分の腕を避けられず、自分で自分に腹パンをする形で自身にダメージを与えてしまった。
「こ、攻撃が通用しないなんて…」
サッと距離を空けたジャガーは、自分の腹を押さえながら弱音を口にした。
こんなセルリアン見たこと無い。
攻撃が効かないのにどうやって倒すべきか…
『おい』
「!?」
「だ、誰!?」
声の主を探すために周りを見る。
だが、フレンズの姿はどこにもない。
『こっちだ』
また聞こえた。
ジャガーには訳がわからなかった。
付近にフレンズはいない。目の前に初見のセルリアンがいるだけだ。
まさかセルリアンが喋っているだなんて、そんなこと…
『―ったく、なーんで分からないのかねぇ
目の前にいるってのに』
「目の前って…え?」
その声の主が言う目の前には、初見のセルリアンがいるだけだ。
『お前の脳内にテレパシーで話しかけてるんだよ。とっとと気付け。』
この時、ジャガーは目の前の黒いモヤモヤがセルリアンじゃないことに気付いた。
「えっと…、てれぱしー?ぜんぜんわからん」
『ま、そーゆー訳で。』
黒いモヤモヤがまたジャガーに向かって突っ込んできた。
不意を突く攻撃に驚きながらも避けた。
さっき距離を開けていなかったら、避けられなかっだろう。
『ねえ?今どんな気持ち?』
またもジャガーに向かって突っ込みながら、テレパシーで脳内に語りかける。
「どんな気持ちって…うわっと!?」
ジャガーが答えようとしている間も黒いモヤモヤの攻撃は止まない。
反撃をする前に次の攻撃が来るので、避けるのも精一杯だ。
『橋が出来て他のフレンズ達が川を渡りやすくなって、嬉しいの?悲しいの?ねえどんな気持ち?』
「どんな気持ちって… そりゃ嬉しいけど…」
ジャガーは黒いモヤモヤの攻撃を後ろに跳んでかわしながら答える。
『自分の長所の水泳能力を活かせなくなって悲しくないのー?』
「うっ。それは…」
一瞬、ジャガーの動きが止まった。
その隙を、黒いモヤモヤは逃がさなかった。
ジャガーの目に映ったのは、自分に向かって物凄い速さで突っ込んでくる黒いモヤモヤだった。
避けられないと判断したジャガーは、両腕を体の前に構え、衝撃に備えた。
…だが、衝撃が来ることはなかった。
黒いモヤモヤは腕をすり抜け、そのままジャガーの体に幽霊が憑依するかのように入り込んだ。
「えっ!?」
ジャガーの意識はそこで途切れた。
次はジャガーが…
https://youtu.be/tBja9_KM8Q8
【ベルセルクフレンズ】12
一話[あらすじ]>> 1
「ちょっと遅くなっちゃったなあ。
ジャガー怒ってないといけど…」
ジャングルちほーの寂れた歩行路の上を、ジャパリまんを抱えたコツメカワウソが歩いていた。
道中、体の半分がえぐれ、バチバチ変な音を鳴らしながら動かなくなっていたボスに気をとられていたためか、かなりの時間をロスしてしまったのだ。
ジャガーがよく登っている木まであと少し。
このときコツメカワウソは違和感を覚えた。
自分の奥の方にある、フレンズ化する前に持っていた「本能」が、行くな行くなと騒いでいるのだ。
嫌な予感がしながらも、ジャガーがよくいる木の下に着いた。
「ジャガー、ただいまー!遅くなってごめんねー!」
コツメカワウソがジャガーを呼ぶ。
だが、返事がない。
「あれ?ジャガーいないの?」
「…もしかして怒っちゃった?」
ジャガーがいないか辺りを見回すが、それらしき影は無い。
そのとき、木の上から馬鹿デカイ叫び声が聞こえた。
「がるるるるるるああああああ!!」
「!?」
木の上からその馬鹿デカイ叫び声とともに、ジャガーが降ってきた。
「うわっ!狩りごっこ!?」
だが、狩りごっこにしては力が強すぎる。
コツメカワウソは地面に押し倒された。
「あいたっ!じ、ジャガー強すぎ!こんなんじゃたのしーくないよ!」
ジャガーに両腕を地面に押さえつけられ、抵抗ができない。
「あわわっ、ごめん!怒らせちゃったのはごめん!ジャガーの勝ちだからー!」
だが、ジャガーの押さえ付ける力は変わらない。
「―ジャガー…?」
コツメカワウソが見たのは、殺気を帯びた光る黒みがかったジャガーの目だった。
「ひっ」
コツメカワウソの背筋が凍りついた。
まさかジャガーがここまで怒るとは思っていなかったのだ。
「ごめん!ほんとうにごめん!」
目に涙を浮かべて謝った。
「ガルルルルルル」
「じ、じゃがぁ…」
コツメカワウソには理解しがたい状況だった。
恐怖とショックで目から涙が出る。
地面に押さえ付けられた両腕には、ジャガーの鋭い爪が食い込み、血が出始めていた。
諦めかけていたまさに今
「ジャガー!ストーップ!」
その声とともにジャガーの体がコツメカワウソの上から吹っ飛ばされた。
【ベルセルクフレンズ】13
一話[あらすじ]>> 1
「かばんちゃん、アレ!」
サーバルが川の方を指差して叫んだ。
「何々?黒いモヤモヤ?」
かばんがサーバルの指差した方を見る。
地面に寝転がる二人の人影が見えた。
しかし、目を凝らしてよく見ると、寝転がっているのでは無くて…
「ッ!?」
ジャガーがコツメカワウソを地面に押し倒しているのがハッキリと見えた。
「か、カワウソさんが…」
「早く助けないと!」
「でも相手はジャガーさんだから、無闇に助けに行っても返り討ちにあっちゃうよ。」
一刻も早く助けに行かなければコツメカワウソが危ない。
しかし、作戦も無しに助けに行っても自分達まで危なくなる。
「サーバルちゃんが気を惹いてる間にジャパリまんを食べさせるしかないかも…」
「おっけい、まかせて!」
「ええ!?待ってサーバルちゃーん!」
作戦案を呟いたら、サーバルが走っていってしまった。
この作戦でやるしかないようだ。
かばんは急いでジャガーとコツメカワウソの近くにある茂みに隠れた。
それと同じタイミングで、サーバルがジャガーをコツメカワウソの上から吹っ飛ばしてどけさせた。
それに合わせてかばんがコツメカワウソに向かって叫んだ。
「カワウソさん、こっちへ!」
――――――――――――
「カワウソさん、こっちへ!」
目の前でジャガーが吹っ飛んでいったのと同時に茂みの向こうから声が聞こえた。
状況を飲み込めないコツメカワウソは、押し倒された体制のまま地面から動けないでいた。
すると何者かに体を持ち上げられ、
「ごめんねカワウソ!」
声のする茂みの方に向かって投げられた。
「はわわわわわ!?」
何者かに投げられたコツメカワウソは、そのまま茂みの向こうへと飛んでいき、背中から地面に落ちた。
「カワウソさん、大丈夫ですか?」
「いててて…こんなのたのしくないよぅ」
カワウソが目を開くと、自分の顔を心配そうに見るかばんがいた。
「あれ、かばん?なんでここに…」
「説明は後で、まずはジャガーさんを。」
「あっ!そうだジャガー!」
コツメカワウソがバッと起き上がって、困り顔で叫んだ。
「ねぇ、ジャガーはどうしちゃったの!?
いつものたのしいジャガーはどこに行っちゃったの?」
「お、落ち着いて落ち着いて!」
かばんは焦るコツメカワウソに、黒いモヤモヤのことについて説明をした。
――――――――――
「じ、じゃあ、ジャガーもその黒いモヤモヤに操られてるってこと?」
「あの状態を見ると、たぶんそうかと…」
二人のいる茂みの反対側では、黒いモヤモヤに操られたジャガーと、コツメカワウソを襲うジャガーをどかし、コツメカワウソをかばんの元までデリバリーしたサーバルが睨みあっていた。
「ガルルルルルル…」
ジャガーが攻撃の姿勢をとった。
それに対してサーバルも受け身の体勢をとった。
「ジャガー…」
コツメカワウソが悲しそうに呟いた。
いつもは強くて優しくて、面倒見のいいお姉さんみたいな存在のジャガーが、今は誰構わず爪を向ける凶暴な存在になってしまった。
悲しい気持ちになっても仕方がないだろう。
「どうすればジャガーは元に戻るの?」
コツメカワウソがかばんに聞いた。
「サーバルちゃんが気を引いている間にジャパリまんを食べされば…」
だが、まだジャガーは黒いモヤモヤに操られた野生解放だ。
まだジャパリまんを食べさせるために突っ込むタイミングでは無いだろう。
サーバルがジャガーの攻撃を避けて体力を消耗させてからでないと…
しかし、かばんの言葉を聞いたコツメカワウソは、立ち上がると
「ジャガーーーー!」
と叫んだ。
「えっカワウソさん!?」
いきなり発せられたコツメカワウソの叫び声にかばんはビックリした。
これではサーバルが注意をひいている意味が…
ジャガーの注意がサーバルからコツメカワウソに向いた。
「アワワワワ」
ラッキービーストがまた錯乱しだした。
「ウガアアアア!!」
ジャガーがコツメカワウソに向かって突進してきた。
【ベルセルクフレンズ】14
「んみゃ!? ジャガー待って!」
サーバルがジャガーを引き留めようとしたが間に合わなかった。
ジャガーがコツメカワウソに向かって一直線に突っ込む。
「今のジャガーは、ぜんぜんたのしくないよーー!!!」
コツメカワウソが大きな声で叫びながら、突っ込んでくるジャガーの口目掛けてジャパリまんをぶん投げた。
コツメカワウソの投げたジャパリまんは、鳴き声をあげ大きく開いたジャガーの口にドンピシャで入った。
「はううっ!」
勢いだけでそのまま突っ込んでくるジャガーの体を避けるためにコツメカワウソとかばんは地面に伏せた。
「ぎゃはっ!」
ジャガーはそのままかばんの後ろの木の幹に激突し、気絶してしまった。
ぶつかった衝撃で木の葉が降ってくる。
「ハァハァ」
コツメカワウソが息を切らしながら伏せていた体を起こした。
「ジャガー!」
コツメカワウソが木の幹の元で気絶しているジャガーに駆け寄った。
「ジャガー!大丈夫?ジャガー!」
「ああ、ジャガーさんなら気絶してるだけですから……恐らく大丈夫ですよ……。」
あわてふためくコツメカワウソにかばんはそう説明し落ち着かせる。
「二人とも、大丈夫?」
サーバルも戻ってきた。
「サーバルちゃんこそ大丈夫?」
「大丈夫大丈夫!カワウソのお陰だよ。」
「だね。カワウソさんのお陰だよ。」
と、二人が話していると
「うわわわっ!?」
コツメカワウソの悲鳴が聞こえた。
「どうしたの!?」
サーバルがコツメカワウソの方を見る。
「なんか、黒いモヤモヤがジャガーから……」
「え?どこどこ!?」
「なんか、出てきたかと思ったらすぐ向こうの方に飛んでっちゃった。」
と、こうざんちほーの方角を指差しながら答えた。
「そんなぁ…… また逃げられちゃった……」
かばんが嘆いた。
「ううん……」
「!? ジャガー?」
どうやら、ジャガーが気付いたらしい。
「あ……」
体を起こしたジャガーが、かばんとサーバル、コツメカワウソの3人を見ると、
「すす、すまん!」
慌てて頭を下げた。
「もう!ジャガーったら、心配させないでよねっ!」
コツメカワウソがジャガーに飛び付いて抱きつく。
「ごめんよカワウソ 」
「ま、まぁ何はともあれ、ジャガーさんも元に戻ったし、何があったのか教えてくれませんか?」
「ええと――」
ジャガーが頭を掻きながら説明し始めた。
【ベルセルクフレンズ】15
「まさかそんな…… 黒いモヤモヤがテレパシーを!?それに攻撃が効かないだなんて……」
ジャガーの話を聞いたかばんは驚きを隠せず叫んでしまった。
「となると、他のフレンズさんも簡単に黒いモヤモヤに乗っ取られるってことに…。
攻撃が効かないならなおさら…。」
「どうするのかばんちゃん?」
「早いところ他のフレンズさんたちに教えなきゃ……。 ラッキーさん!」
「ナンダイ?かばん」
「ここからなら、他のラッキーさんに通信できませんか?」
「無理ダネ。通信可能圏内ニ通信可能ナラッキービーストハイナイヨ。」
「えぇ……」
「なんだか大事になりそうだねぇ…
ジャガーが心配そうな顔をして呟いた。
「そういえば、なんでカワウソさんは帰ってくるのが遅れたんです?」
かばんがカワウソに聞いた。
「えっとねー。帰る途中に体曲がって変な音を出しながら動かなくなったボスがいたから、そのボスを見てたら時間を取られてちゃったんだよね。」
カワウソが頬をかきながら答えた。
「つい最近からかな。ここら辺で見かけるボスの数が急激に減ってるんだ。だから、ジャパリまんを貰いに遠くまで行く必要が出てきたんだ。」
カワウソの説明に付け加える形でジャガーがかばんに言う。
「体が曲がって動かなくなったラッキーさん……。」
「変な音を出しながら動かなくなったボスってのは、前に博士達が行ってた『こしょう』ってやつじゃない?」
サーバルがカワウソに言った。
「もしかしたら、新しく産まれたフレンズさんがラッキーさんを壊しちゃったんじゃないのかな?
数が減ってるのも、多分新しく産まれたフレンズさんに壊されちゃったからだと思う…。」
「まさかー。フレンズがそんなことするとは思えないなー。
黒いモヤモヤの仕業なんじゃないの?」
ジャガーがかばんに反論をする。
考え込むばんは、ここで1つの仮説を建てた。
「その……黒いモヤモヤについてなんですけど。実体 が無いと仮定します。相手 の体をすり抜けて効かないんだと思います。
攻撃対象 をすり抜けないなら、黒いモヤモヤはわざわざフレンズさんに憑依して間接的に攻撃せずに直接攻撃をするはずです。攻撃対象 に自分自身の攻撃を当てることができないなら、ラッキーさんを壊すことも出来ないはずだと、ボクは考えます。
まず、黒いモヤモヤには
すると、黒いモヤモヤに対するフレンズさんたちの攻撃がすり抜けて効かないのも説明がつきます。
また、黒いモヤモヤに対するフレンズさんたちの攻撃がすり抜けて効かないように、黒いモヤモヤの攻撃も
理由は、もし黒いモヤモヤ自身の攻撃が
黒いモヤモヤが実態を持っていたら、フレンズさんに対して攻撃を加えることができますからね。
今のことを踏まえて、実体がなくて
だから、新しく産まれたフレンズさんがやっちゃったんじゃないかな?思います。」
その新しく産まれたフレンズが誰かは分からないが、かばんの中ではその仮説が有力だ。
しかし…
「うん。わかんないや」
「ぜんぜんわからん」
「わーいたのしー!(棒)」
他の三人にはイマイチ伝わらなかったようだ。
「ま、まあ、簡単に言えば、こっち からの黒いモヤモヤへの攻撃は効かないけど、同時に黒いモヤモヤの攻撃もこっち に効かないってことですよ。
だから黒いモヤモヤはフレンズさんに憑依して間接的に襲うんですよ。」
「……要するに、そのヒョウイってのをされないように気を付ければいいんだね?」
「はい、そうです。」
コツメカワウソの保護者のジャガーには伝わったので、かばんも少し安心した。
「……あっ!黒いモヤモヤはこうざんちほーの方角に飛んでいったんですよね?」
かばんがコツメカワウソに方向の確認をする
「うん。向こうの方、ちょうどこうざんちほーの辺りに向かって飛んでいってたよ」
コツメカワウソは頷きながらこうざんのほうを指差してかばんに答える。
「こうざんちほーのフレンズさん達が危ない!早く知らせにいかなきゃ……
行くよ、サーバルちゃん!」
「うん!」
「ジャガーさんとカワウソさんは、また乗っ取られないよう、気を付けてください。!」
「わかった」
「おーけい!」
ジャガーとコツメカワウソの返事を聞いたかばんは、こうざんちほーに行くため、ロープウェー乗り場へ向けて走りだした。
―――――――――
「そんなー!」
ロープウェー乗り場の建物にかばんガッカリする声が響いた。
「かばんちゃん。これ、どーするの?」
サーバルがかばんにたずねる。
「どーするって言われても…」
切れて垂れ下がったロープの側で、かばんは頭を抱える。
長い間ヒトの手入れがなかったためとうとう切れてしまったのだろう。
「これじゃあこうざんちほーに逃げた黒いモヤモヤに追い付けなくなっちゃうよ…」
かばんのがっかりした声とともにお腹が鳴る。
「あーあお腹すいた。」
ずっと動きっぱなしだったせいでお腹が減ったかばんは、鞄の中からジャパリまんを取り出した。
「最後の一つかあ。崖登りしてアルパカさんに分けてもらうしかないかぁ…」
かばんはため息を付ながらジャパリまんを食べる。
すると、窓の方から声が聞こえた
「お久しぶりね」
かばんとサーバルは、その声のする窓へと目を向けると、トキが窓の外からこちらを見ていた。
「あ、トキさん!こんにちは」
「トキ!」
ふたりがトキに挨拶をする。
「こんにちは。何かお困りみたいね?」
窓の外からトキが顔を覗かせ、かばんとサーバルに挨拶を返しながら、困り事でもあるのかときいてきた。
「はい。ちょっと悪いんですけど、ジャパリカフェまで運んでもらえますか?」
「いいわよ。」
かばんの頼みを聞いたトキは、二つ返事で了承してくれた。
「ありがとうございます。」
「ありがとう、トキ!」
かばんとサーバルがお礼を言うと、トキは
「せっかくだし、一曲歌ってからでいいかしら。」
と二人に聞いた。
「「え゛っ?」」
かばんとサーバルの背筋が凍りつく。
「それじゃぁいくわよ」
トキが歌うために息を吸った。
「「ちょま!?」」
慌てる二人に容赦なく音響兵器が襲い掛かった。
迷走気味なんでモチベ回復用単発SS
(けもフレとの関係性一切ナシ)
ヒトラー「ほ、本当にいいのかい?この前不可侵条約結んだばかりじゃないか。」
スターリン「いいんだよ。俺、アドルフのこと、大好きだから」
ヒトラー「ヨシフ…」
スターリン「アドルフ…」
ヒトラー「ああっ!僕の8.8cm高射砲が火を吹きそうだ!」
スターリン「かまわん!いっぱい撃ってくれ!そのまま俺のmig-25を撃ち落としてくれ!」
ヒトラー「ああっ。僕の白い師団が君のモスクワを突き破りそうだ!」
スターリン「いっぱいいっぱい!俺が全部受け止めてやるよ!」
イギリス「お前ら何やってんの?(ヌギヌギ)」
ヒトラー、スターリン「ウホッ♂」
総統閣下
「戦争ものかと思って開いたら… (メガネをプルプルしながら外して)
チキショーメェ!」 (エンピツを地図に投げつけながら)
【ベルセルクフレンズ】16
「フフフンフン~」
人の目の前で歌を歌えて上機嫌なトキは、そのテンションのまま鼻歌を歌いながらトキがかばんとサーバルを運んでいる。
よほど気分がいいのか、全くキツそうな顔を見せず、笑顔で二人を運ぶ。
「うう…。耳が痛いよかばんちゃん…」
「大丈夫?サーバルちゃん……」
「アワ、アワワワワワ」
サーバルは無事、トキの歌 のお陰で耳を痛め、ボスは電気系統に支障をきたしていた。
「あ、そうだトキさん。」
かばんがハッとしてトキに話しかけた。
「何かしら?」
「今、よくわからない黒いモヤモヤがフレンズさんの体を乗っ取って、他のフレンズを襲う困った事件が起きてるんですけど…
もしかして、トキさんは黒くてモヤモヤした変な物って見ませんでしたか?」
「黒いモヤモヤ……いいえ見てないわ。」
「そうですか……」
残念ながら目撃証言は得られなかった。
こうざんの方に飛んでいったはずなのだが……
「フレンズの体を乗っ取って……。
その黒くてモヤモヤした変な物について、教えてくれないかしら?」
トキが黒いモヤモヤのことについて聞いてきた。
「はい。その黒いモヤモヤは――」
トキに抱えられたかばんは、黒いモヤモヤについて説明を始めた。
――――――――――――
「なるほどね……。私も気を付けるわ。」
かばんから黒いモヤモヤについて詳しい説明を聞いたトキは、自分も気を付けると返事をした。
「出来れば早い段階で倒したいんですが、攻撃は効かないし逃げ足も早いから……。
図書館まで行けば対処法が分かるかもしれないんで、図書館に行こうとはしてるんですけど、図書館に行くまでの間にそのモヤモヤの後を追いかけて、道中に会ったフレンズさんに注意喚起をすることくらいしかできないんです……。」
かばんが残念そうに言う。
現段階で対処法が分からない以上、、図書館に行って対処法を調べなくてはいけない。島 内のフレンズ全員に注意喚起が回ってなくては、図書館に着いて対処法を調べ、撃退するまでの間に取り返しがつかないくらい大きな被害が出るだろう。
しかし、先にこの
島内にいる全フレンズに直接会って注意喚起をしなくとも、フレンズは動物の頃とは違ってコトバを使ったコミュニケーションができるので、口移しで黒いモヤモヤの話を広めることも出きるだろう。
しかし、口移しの話というものは広まる間に他の話と混合して訳の分からないことになるものだ。
それに、島内のフレンズ全員に話が伝わるのにも時間がかかる。
もしも前の巨大な黒セルリアン討伐の時に沈んだバス以外に黒いモヤモヤに追い付けるような高速移動できる乗り物があれば、黒いモヤモヤの被害が及ぶ前に図書館に行って対処法を調べ、黒いモヤモヤを撃退できるだろう。
しかしこれまでに、あのバス以外で高速移動ができる乗り物は見かけていない……
かばんは思わずため息をついた。
「ところで―」
「?」
「その黒いモヤモヤにちゃんとした呼び名はつけないのかしら?」
トキがかばんに黒いモヤモヤに名前をつけないのかときいてきた。
「うーん、そうですねぇ…
セルリアンって名前にしたほうが、フレンズさんにも分りやすくて覚えやすいでしょうし……」
かばんが考え込む
「黒色だから後ろに『セルリアン』を付けて、黒セルリアンって名前にするのはどうー?」
「でも、それだとこの前倒した大きな黒いセルリアンと間違えちゃうフレンズさんも出てくるかも…」
サーバルの名前の案を聞いたかばんは、顎に手を当てて考える。
「う~ん…。ダークセルリアンってのはどうかな?」
「ダークセルリアン!なんかかっこいー!」
「ダークセルリアン……響きね。歌の中に組み込んでみt」
「み、見て見て!山の頂上が見えてきたよ!」
サーバルが山の頂上を指しながらトキの不吉な発言に被せて言った。
「……着いたらアルパカさんにダークセルリアン の話をして、耳 に効く紅茶貰おうか」
「うん。」
【ベルセルクフレンズ】17
「ふわああぁ!いらっしゃぁい!よぉこそぉ↑ジャパリカフェへ~!」
ドアの開けると、カウンターで紅茶を淹れているアルパカが出迎えの挨拶?をしてくれた。
だが、ぐったりしている二人を見ると目を点にして当然のギモンを投げ掛けてきた。
「あンれェ?サーバルどったの?ダイジョウブ?」
「いえ…… はい。大丈夫です。多分……」
「耳が痛いよう……。アルパカ、耳に効く紅茶ってない?」
かばんに支えられながらサーバルはヨロヨロと歩き椅子に腰かける
「喉に効く紅茶ならあるよぉ。良かったら飲むゥ?」
そういいながらアルパカはティーカップに紅茶を注いだ。
「頂きまーす。」
「い、いただきまーす……。」
わざわざ淹れてもらえたので、そのままアルパカの喉に効く紅茶を貰うことにした。
「ぷはー。落ち着くねーサーバルちゃん。」
「ゴクゴク……。ぷへっ。うん!アルパカの淹れる紅茶はいつ飲んでも美味しいね!」
アルパカの紅茶でなんとか回復した。
「アハッ。そう言ってもらえると私も嬉しいゆぉ。」
アルパカが照れ気味に返す。
「あ、そうだアルパカさん。話があるんですけど……」
「ン?なぁに?」
「ええとですね―」
――――――――――――――
「なるほどにぇ~。これから気ぃけるようにするゆぉ。」
「はい。お願いします。」
かばんはアルパカに、|ダークセルリアン《黒いモヤモヤ》のこと、ボスが壊されていること、ジャパリまんを補充したいということを話した。
「ボスのハナシはトキちゃんと正次ショウジョウちゃんから聞いてるゆぉ~。
ジャパリまんは備蓄分の中から幾《いく》つか持っていくといいよ~。」
「ありがとうございます。」
かばんがアルパカにお礼を言った。
すると、アルパカがハッとしち
「そうだ!この前、皆での大きな黒セルリアンを倒したときにハカセから聞いたんだけど~、このジャパリカフェには、あんてな?って言うものがあるらしいんだってね~。
それを使えば遠く離れたボス同士でお話ができるんだって!
そのあんてなを使えば、『ダークセルリアン』の事を他のフレンズさんにも広められるんじゃないかなぁ?」
「本当ですか!?それじゃぁ早速そのアンテナを使ってダークセルリアンの話を広めまし――」
「かばんちゃん。」
話を広めましょうと言いかけて、サーバルに肩をつつかれて言いきれなかった。
「 何?サーバルちゃん。」
「コレコレ。」
かばんの左手首を指差す。
「回復中。回復中。」
「ラッキーさん!?」
肝心のボスは、音響兵器《トキ》の怪音波《きれいな歌声》のせいで不具合が起きて回復中のようだ。
「アハハ。ボスがこれじゃぁ、他のフレンズたちにダークセルリアンの話を広めるのは無理かもしれないにぇ…」
アルパカがカウンターで紅茶の葉をお湯に浸しながら言った。
「あれぇ?そういえばトキちゃんは?」
アルパカがかばんにたずねた。
「ああ、トキさんなら外で歌の練習を――」
言いかけたところに、思わず耳を塞ぎたくなるような、ガシャンというガラスの割れる音と共にトキか窓を突き破ってカフェの中に入ってきた。
「「「!?」」」
対アルパカ戦(どんなバトル)をするのか?
ーと思ったらトキが・・・
果たして?
【ベルセルクフレンズ】18
「「「!?」」」
窓ガラスが割れる音の後に、ワンテンポ遅れて鈍い音とともに床が少し揺れた
トキも黒いモヤモヤ に憑依されてしまったのだろうか!?
しかしその予想はすぐに否定された。
トキは床にうずくまったまま動かないのだ。
「ト、トキちゃん!?」
アルパカがトキに駆け寄る。
トキは背中からガラスを突き破り、そのまま床に激突した衝撃で意識がもうろうとしているようだ。
「うううっ…」
トキが腹部を押さえなからうめく。
「大丈夫ですかトキさん!?」
「トキ!?大丈夫!?」
「アワワワワワ…」
ばんとサーバルもトキに駆け寄る。
腹部を押さえるトキの手の隙間からは、サンドスターが滲み出ていた。
「ままま、待っててねトキちゃん!今すぐ救急箱とジャパリまん取ってくるから!」
アルパカが2階へと駆け上がっていった。
「ハァハァ…」
トキが目をかっ開き、腹を押さえながら息を切らす。
「トキさん!しっかり!」
トキの肩を叩きながら呼び掛けをする。
「ハァハァ、し、ショウジョウが……」
痛みに耐えながらトキが窓の外を指差した。
「ショウジョウ……?」
かばんとサーバルが窓の外を見と、こちらを睨む黒みがかったショウジョウトキの光る目と目が合った。
「「ヒエッ」」
バサッと羽音を立てたショウジョウトキは、ものすごい形相で三人に向かって急接近してきた。
「トキちゃん、危ない!」
二階からジャパリまんと救急箱を取ってきたアルパカがトキの目の前に立ち、ショウジョウトキからの攻撃をかばった。
「うはあっ!」
「「アルパカ(さん)!」」
アルパカはショウジョウトキの攻撃でカウンターの方まで弾き飛ばされた。
「ショウジョウ……!」
トキが腹を押さえながら起き上がり、ショウジョウトキを見る。
「早クジャパリまんヲ食ベテ傷ヲ治サナイト…」
「トキさん、早くジャパリまんを!」
ボスの声を聞いたかばんがトキにジャパリまんを食べるように促す。
その間もショウジョウトキは容赦なく襲いかかろうと急降下をしてくる。
「うみゃー!相手は私だよー!」
トキとの前にサーバルが立ち、爪を出した手を構えてショウジョウトキを威嚇する。
「……!」
ショウジョウトキが怯んだ。
サーバルがショウジョウトキと睨みあっている間に、トキは急いでジャパリまんを飲み込んだ。
(ショウジョウトキさんまでダークセルリアンに……。相手が空を飛んでるんじゃ、ジャパリまんを食べさせようとしても逃げられるから、今までと同じような作戦は使えない……。
一体どうすれば…)
かばんが頭の中で思案する。
「ショウジョウーー!!!」
作戦を練るかばんの隣でトキがショウジョウトキに向かって叫んだ。
それに対し、サーバルとにらみ合いをしていたショウジョウトキが反応する。
「トキさん?ジャパリまん食べたとはいえ、まだ安静にしていた方が…」
だが、トキはかばんの忠告を無視して続ける。
「私の歌を聞いて正気に―――――!!!」
「「「え??」」」
トキが思いきり息を吸い込んだ。
これはいけない。
「!!!―――――――」
音響兵器が四人に牙を剥いた。
>> 26
ーと思ったらVsショウジョウですか
意表を突かれました
音響兵器で動きを止められるか?
【ベルセルクフレンズ】19
「耳が……」
音響兵器がショウジョウトキを正気に戻すべく発した殺人音波により漏れなく被害を受けた三人は、耳を押さえながら突っ伏し、ボスに至っては電源が落ちていた。
一方、音響兵器は無理に大きな声を出したことによって腹の傷が痛み、その痛みで身体中の力が抜け床にぶっ倒れてしまった。
「ハァハァ…私の歌、どうだった?」
一番モロに怪音波を受けたショウジョウトキは、音響兵器の無差別テロで失神して墜落していた。
「うっうう……。耳がぁ、耳がぁ」
「ちょ……サーバルちゃん大丈夫!?」
「大丈夫じゃないよぉ……。」」
「えてぇ……。ひ、ひとまず今のうちにショウジョウトキにジャパリまんを。」
かばんは耳を押さえてブルブル痙攣をするサーバルの生存を確認してからショウジョウトキの方に走った。
ショウジョウトキは失神こそはしているものの、目は黒みがかり光っているため、まだダークセルリアンの憑依は解けてないらしい。
かばんは千切ったジャパリまんをショウジョウトキの口に入れた。
ショウジョウトキの顎を手で掴んで、失神してる本人の代わりに動かす。
「!?」
何回か顎を動かして飲み込ませると、ショウジョウトキははっと目を覚まし、一瞬で上空へと舞い上がる。
「うわあっ!?」
「か、かばんちゃん!」
かばんは心臓が飛び出るかと思うくらいビックリした。
しかしその直後、ショウジョウトキが叫び声を発しながら墜落した。
「がががが――――――――!!??」
地に落下したショウジョウトキはうずくまり体を震わせる。
その様子を見たサーバルは飛び起きると、慌てて二人の下へ走っきた。
「――――――――――!!!――――!!」
すると、言葉で表せないような叫び声を出すショウジョウトキからダークセルリアンが出てきた。
それと同時にショウジョウはがくんと気絶してしまった。
「「あっ!」」
次こそは倒す勢いでサーバルは高々とジャンプしてダークセルリアンに攻撃を仕掛ける。
一方ダークセルリアンは、その場から急上昇したと思えば、さばくちほーの方角へと飛んでいってしまった。
攻撃目標に逃げられたサーバルは、さっきまで攻撃目標がいた所に着地した。
「また逃げられたー!」
「だけどどのみち、ダークセルリアンに攻撃は効かないから……」
実体がないので、捕まえることもできない。
そう悔しそうに地を叩くサーバルの隣で気絶していたショウジョウトキが目を覚ました。
「いててて……」
ショウジョウトキはキョロキョロと周りを見ながら起き上がった。
「大丈夫ですかショウジョウさん?」
かばんは起き上がったショウジョウトキの背中をさすりながらたずねた。
「大丈夫ですけど……。 はっ!トキとアルパカは!?」
正気に戻ったショウジョウトキは先ほどまでの事を思い出したのか、カフェの中にいる二人の元へと急行した。
カフェのドアを開けたショウジョウトキの目に、机に伏せてでうずくまるトキとカウンターにもたれるアルパカが見えた。
「ふ、二人とも大丈夫!?」
「あー。私は大丈夫だゆぉ。」
「ええ、なんとか…。」
アルパカはそこまでダメージが大きくなかったため、普通に会話ができる。
しかしトキは、ダークセルリアンに操られて野生開放をした状態のショウジョウトキの攻撃を腹に受け、さらに背中からガラスを突き破って床に激突したことにより、かなりのダメージを食らっている。
「トキさんは応急措置をしたから、あとは安静にして傷が治るのを待った方がいいですね……」
カフェの外から戻ってきたかばんはが、トキを安静にするようにショウジョウトキに言った。
「トキ……」
ショウジョウトキは下唇を噛み、悔しそうに拳を握った。
【ベルセルクフレンズ】20
「パークの危機なのだ!」
「それって前も言ってなかった?」
「今回も、アライさんの勘違いだ思うよ~。」
「フェネックぅ?」
「まあまあ、ここの土でも舐めて落ち着きなよ。」
じゃんぐるちほーの昼すぎ。
おたからを盗まれたアライグマは、アクシズシカにその犯人であるフレンズ?の聞き込みをしていた。
「ペロペロ…。―んにしても、触手の生えて空が飛べる白い毛皮のフレンズなんて聞いたことないよ。」
アクシズシカは土を舐めながら答える。
「ぬうう…。なんとしてでも捕まえないと、泥棒を野放しにしてはパークの危機なのだ!」
「ふぅん……。あっそうだ、フォッサならそのおたから泥棒のこと見てるかもしれないよ?」
「分かったのだ!ありがとうなのだ!」
アライグマはフォッサのもとへと走り出した。
「アライさん、そっちはさっき来た方向だよ~」
――――――――――――
フォッサ
「うーん、見てないなぁ~。」
フォッサにきいたが分からない
――――――――――
キングコブラ
「キングコブラだ。なんだ、何か頼みごとか?」
「セルリアンの腕みたいなのが生えた白い毛皮の空飛ぶフレンズ見てないのだ?」
「腕じゃなくて触手だよ、アライさ~ん。」
「ふぅむ…そのフレンズがどうかしたのか?」
キングコブラがアライグマに訊ねた。
「おたから泥棒なのだ!」
「アライさん、あのおたから、もしかしたら元々はそのフレンズさんのだったんじゃないのかなー?」
「ははっ。またアライグマの勘違いか」
キングコブラが鼻で笑った。
「むうう!勘違いじゃないのだー!」
キングコブラにきいても分からない。
――――――――――
ミナミコアリクイ
「な、なんだよー!あっちいってよー!」
ミナミコアリクイにはそもそも質問ができなかったので分からない。
――――――――――
クジャク
「白い毛皮のフレンズ…。
私は見てませんね。」
クジャクに訊いても分からない。
――――――――――
タスマニアデビル
「タスマニアデビルだゾ~!」
「セルリアンみたいな触手の生えた白い毛皮の空飛ぶ謎のフレンズ見てないのだ?」
「うーん…見てないなあ。」
タスマニアデビルにきいても分からない。
―――――――――
オカピ
「オカピだぞ~!」
「触手の生えた白い毛皮の空飛ぶフレンズ見てないのだ?」
「うーん見てないなぁ。ごめんねー。」
オカピにきいても分からない。
――――――――――
「一日中走り回ってヘトヘトなのだ……」
日も暮れてすっかり暗くなったじゃんぐるちほーの地面にアライグマが肘膝をつき、四つん這いに突っ伏した。
「当てずっぽうに走りすぎだよーアライさん。」
そう言うとフェネックは、丸一日動き回ってお腹がスカスカなアライグマにジャパリまんを渡した。
「いただきますなのだ、はむはむ……。」
腹ペコなアライグマはジャパリまんを口の中に詰め込み、リスのように頬を膨らませた。
「|ははく《はやく》|ほろほう《泥棒》|ほ《を》|ふは《捕》|はへはいほ《まえないと》、|はーふほ《パークの》|ひひはほは《危機なのだ》!」
「それだと何言ってるかわからないよ~。」
フェネックは笑いながら、ジャパリまんをほおばった。
やっぱりアラフェネパートは一服の清涼剤やな〜 (^ω^)
【ベルセルクフレンズ】21
ショウジョウトキにダークセルリアンの説明し備蓄のカレー味のジャパリまんやブドウ味のジャパリまんを分けてもらった二人は、さばくちほーの方角に逃げたダークセルリアンを追うためショウジョウトキにロープウェー乗り場まで送ってもらった。
「ありがとうございましたー。」
「ショウジョウ、ありがとねー!」
「どーいたしまして。それじゃあ私はこれで」
トキを安静に寝かせたあとに聞いた話によると、ショウジョウトキもダークセルリアンに襲われたとき、反撃をしてもダークセルリアンに攻撃が通じなかったらしい。
どうにかしてダークセルリアンに反撃する手段は無いのだろうか。
「―で、かばんちゃん。これからどうするの?」
「とりあえず、さばくちほーのフレンズさんにダークセルリアンの話を伝えながら図書館まで行きましょう。」
「でも、図書館までけっこう離れてるよ。前はバスがあったからよかったけど…。」
「うーん。ラッキーさん、ここら辺にジャパリバスって無いんですか?」
ダメ元でボスに聞いてみた。
「アルヨ」
「「……え?」」
かばんとサーバルがボスの言葉に声を揃えて目を丸くした。
「|この建物《ロープウェー乗り場》の裏のシャッターを開けるト、中にジャパリバスが止まってるヨ。」
ボスの言うように建物の裏に回ると、確かにシャッターがあった。
「パークガイドの帽子の羽をシャッターにかざせば開くヨ」
「は、ははぁ……(汗)」
帽子から抜いた羽を、ボスにの言う通りシャッターにかざす。
すると、ギシギシと不快な軋む音をあげながら錆びまみれのシャッターが開いた。
中を見ると、埃をかぶったジャパリバスが止まっていた。
だが、今目の前に止まっているジャパリバスは、前までかばん一行が乗っていたジャパリバスと比べると一回り小さく、青色をしている。
「これがジャパリバス?何だか違うような気がするよ?」
サーバルがボスに言った。
「確かに……。前のジャパリバスと違う色と形をしてるね。」
「それより……」
かばんが左腕のボスを見ながら呟いた。
「ナンダイかばん?」
「どうしての前、ジャガーさんたちとジャパリバスを直す時に、ここにジャパリバスが止まってるの教えてくれなかったんですか?」
かばんが当然の疑問を投げ掛けた。
「アッ…」
「ラッキーさん?」
「ボス?」
「アワワワ…マママママカセ…ママ…ママカセマセマママカカ…」
「ラッキーさん!?」
「ボスったら、またいつものソレ?」
このボスはどんなときでもポンコツらしい。
もはや定番と化した処理落ちである。
ポンコツボスはさておき、かばんはバスに近づいて状態を確認した。
座席や屋根代わりにかぶせられている布は破れたり穴が開いたりしてはいるものの、難なく使えるだろう。
「このバスも『でんち』がなくなってるのかな?」
サーバルがボンネットに手を突いて、でんちの差込口を探っている。
かばんもバスの中を探っていると、運転席の前に小さな引き出しがあるのに気づいた。
「なんだろう…。何か入ってるかな?」
かばんが引き出しを開けた。
するとそこには何枚かの写真が入っていた。
虫食いや埃で見にくいが、見た感じフレンズの写真のようだ。
「サーバルちゃん。見てこれ。」
「んみゃ?」
かばんがサーバルを呼び、写真を見せた。
「なんだろうこれ」
かばんがサーバルに尋ねた。
「んー……。なんだろう、見たことがあるような気がする……。うーん……。
わかんないや」
サーバルが首をかしげながら頭を掻く。
(もしかしたらこの写真で、ヒトについて分かることがあるかも……)
そう考えたかばんは、サーバルに返してもらったその写真を引き出しにしまった。
「もう日も暮れ始めましたし、身体を休めるためにも寝てから、明日の早朝にこのバスに乗って図書館まで行きましょう。」
空を見上げると雲がオレンジに染まり、太陽は西に傾いていた。
「うん!おやすみかばんちゃん。」
そう言うとサーバルは、バスの座席に寝転がった。
さすがに並んでは寝転べないので、かばんは運転席、サーバルは後部座席で寝ることにした
「おやすみ、サーバルちゃん」
かばんはそのまま眠りについた。
―――――――――――――――
「オッハー!」
「ふえええ!?た、食べないでっ……おはようございますラッキーさん。」
巨大セルリアン討伐から7日後。
丁度1週間である。
ロープウェー乗り場の建物の裏にあるガレージに響くけものフレンズアラーム(リアル)の大きな声に驚いて起きたかばんは、寝ぼけ気味に命乞いをした。
「たたたた、食べないよぅ!」
自分に言ったのかと勘違いしたサーバルがかばんに反論をする。
「オハヨウ、かばん。早速出発シヨウ。」
ラッキービーストに言われて起き上がろうとさしたかばんは、なぜか胸のあたりに力が加わり起き上がれなかった。
顔だけを動かして胸元を見ると、サーバルの手が自分の胸の上に乗っているのに気付いた。
「……サーバルちゃん?」
「な、なあに?」
サーバルが冷や汗を出す。
…………。
「た……」
サーバルが何かを言いかける。
「?」
「たべないよ!」
サーバルが大きな声を出しながら、あるのかどうかも分からないくらい小さな胸を揉んだ。
朝からドッタンバッタン大騒ぎだ。
「ハァハァ。
まぁとにかく、急いで図書館まで向かいますよ…。サーバルちゃんも座席に座ってね。」
胸からサーバルの手をどかしたかばんは、サーバルに席に座るように言った。
「さてと……早いところ図書館に行きましょう。」
「うん!」
「ラッキーさん、バスの運転お願いしますね。」
かばんが後部座席に移動し、ラッキービーストに運転を任せた。
「無理ダヨ」
「「……え?」」
秒でキッパリ断られてしまった。
「「な、何で?( ですか?)」」
かばんとサーバルが声を揃えて理由を尋ねた。
「ボクハ運転席ニ座ッテナイトバスヲ運転デキナイヨ。」
「あっ」
ラッキービーストはかばんの腕にある。
ラッキービーストがバスを運転するには、本体が運転席にある必要があるようだ。
……かばんとサーバルは前部座席に座り直した。
「気を取り直して、と……。ラッキーさん、図書館までの運転お願いします。」
「マカセテ!」
かばんがラッキービーストに指示をすると、バスはエンジンの音をガレージの中に響かせながら動き出した。
サーバル
「ボスぅー」
かばん
「ラッキーさーん、またやってしまいましたねー」
【ベルセルクフレンズ】22
「おひょおおおおお!!!!ジャパリコインだッ!」
ガランとした遺跡の回廊に歓喜の声が木霊した。
声の主であるツチノコは、床の端こに落ちていたジャパリコインをジャケットのポケットにしまうと、上機嫌にその場を後にした。
「こんな朝早くに見つけるなんて、今日の運使い果たしたかもしれねえなぁ」
幸運を呼ぶUMAであるツチノコとは思えないことをつぶやきながら、両手をポケットの中に入れ鼻歌交じりに歩む。
すると、曲がり角の向こうに何かがあるのをピット器官で感じ取った。
「早速セルリアンか……。本当に運使い果たしたみたいだな……。」
そう言いながら角から飛び出したツチノコは、セルリアンの不意を突いて下駄で思いきり蹴り下ろした。
セルリアンはその場でパッカーンと爽快な音を立て、サンドスターの塊をまき散らしながら破裂し消滅した。
「この頃セルリアンの数が少ないのにばったり会うなんて、運を使い果たした代わりに悪運は増えたみたいだな。」
セルリアンを倒したツチノコは気を取り直し、来た道を戻るために反転した。
「……。」
目の前の黒いモヤモヤ の一つの目と目が合った。
「……んん?」
ツチノコは自分の目を擦った。
そして再度顔を上げ
「……。」
またも黒いモヤモヤ と目が合った。
「ななな、何だお前えええ!!!!キシャ―――ッ!」
初めて見る謎の黒いモヤモヤ から一瞬にして距離をとって角に隠れる。
「ななな、なな……。」
角から顔の右半分だけ出して黒いモヤモヤ の様子をうかがう。
「ホ、ホログラムか……?にしてはリアルだな……。」
ツチノコはその場から観察を続ける。
『おい』
「え?」
突如聞こえたその声にツチノコは驚た。
『こっちだよアホ。』
「こっちって、まさか……。」
嫌な予感を抱えながらも黒いモヤモヤ の方を見た。
「……お前か?」
『ご名答。テレパシーを使って直接脳に話かけてんだよ。』
「????」
未だに目の前で起こっていることが信じられないツチノコは、自分の頬を軽くつねった。
「いてっ。夢じゃない……?」
ツチノコの顔が青ざめた。
「ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”!!??」
ツチノコは一目散に走って逃げ始めた。
『逃げるなよ~』
「く、来るなぁ!寄るなぁ!あっちいけええええ!!!シャーーーーッ!」
黒くてモヤモヤしていてテレパシー使えて赤外線も発してないその謎の物体に怖気づいたツチノコは絶叫しながら下駄の音を回廊内に響かせながらげる。
しかし、いくら履き慣れていても下駄は下駄。
ツチノコはすぐに転んでしまった。
「ぎゃはっ!」
床にうつぶせになる形で転んだツチノコは起き上がろうと手をついた。黒いモヤモヤ は憑依した。
しかし起き上がろうとするツチノコの背中目掛けて
「ッ―――!」
憑依されると同時にツチノコの意識は途絶えてしまった。
【ベルセルクフレンズ】23
「ぶへっくしょい!」
地平線すれすれに太陽のてっぺんが見える早朝のさばくちほーに、大きなくしゃみの声が走った。
「寒いのだ...」
くしゃみをしたアライグマは、手のひらをこすり合わせながら白い息を吐く。
「さばくちほーは昼は暑くて夜は寒いからねー。」
二人は白い毛皮の謎のフレンズを追いじゃんぐるちほーからさばくちほーまで来ていた。
しかし、来る時間が早すぎたせいかまだ太陽はでておらず、さばくちほーは凍えるような寒さになっていた。
「はっくしょい!凍える寒さなのだ……
どうにかしてこの寒さをしのがなくては、アライさんとフェネックの命の危機なのだ!」
鼻水を垂らしながらアライグマが叫んだ。
「穴を掘ってその中に入れば寒さはしのげるけど、掘り終わるころには寒さで凍ってそのまま元の動物に戻って……」
「そんなのダメなのだ!何とかして今すぐ穴を掘らないと……」
アライグマがオロオロと歩き回る。
「だだだ!?」
アライグマが何かにつまずいて転んだ。
「アライさん大丈夫ー?」
「ぬうう……。なんなのだこれは……」
アライグマが自分の足を引っかけた何かをにらんだ。
何やら光沢のある板が地面から突き出ていた
「うーん。掘り出してみないとわからないねー。」
そう言うとフェネックはその板の周りを掘り起こし始めた。
掘り起こす穴が深くなるにつれ、その”何か”の全体像が明らかになってくる。
「これは……」
「シャベルだねー。」
フェネックがシャベルを掘り起こした穴の底から引っこ抜いた。
「シャベルって言うのはね――」
「アライさんには分かるのだ! こうやって『お話する』ことなのだ!」
腰に手を当てて自信満々に答えた。
「それは『喋る』だね~」
秒で間違いを指摘されたアライグマはその場でコケた。
「ぬぬぬ……。シャベルって一体何なのだ。」
「シャベルって言うのは、こうやって穴を掘る『どうぐ』だよ~」
フェネックが実際にシャベルを使って穴を掘る真似をした。
「なら、その『どうぐ』を使えば速く穴を掘れるのかーーー!???」
アライグマが目をきらめかせながら立ち上がった。
「つまりはそういうことだねー。」
「よーし……。早速穴を掘るのだーーーーー!」
フェネックからシャベルを渡されたアライグマは元気よく穴を掘りだした。
フェネックも同じように素手で掘ろうと砂に手を突っ込もうとした瞬間……
「ん?」
遠くのほうから聞こえる異音を感じ取った。
「どうしたのだフェネック?」
「……セルリアンがいるね~」
「のえ?」
「でも何かかしいな~。セルリアンの音とは反対の方向からも大きな音が……」
「うーむ……何なのだこの音は……。」
アライグマもセルリアンの音と謎の異音をキャッチした。
「とりあえず急いで穴を掘って隠れようかー」
「分かったのだ!」
二人は急ピッチで穴を掘りだした。
「……ものすごい速さでこっちに向かってきてるねー」
「え?」
「ももっとはやく、少しでも深い穴を掘らないとね~」
「ぐぬぬ!急ぐのだ―――!」
アライグマは残像が残るくらいのものすごい速さで穴を掘りだした。
そして、地平線の向こうにセルリアンの頭のてっぺんが見え始めたのと同時に穴掘りを終えた二人は急いで中に身を潜めた。
まだ砂埃の充満する穴の中で息を殺してセルリアンが通り過ぎるのを待つ。
セルリアンの動く音が次第に大きくなっていく。
「フェネック……」
アライグマに肩をつつかれたフェネックが振り返る。
「(砂埃を吸ったせいで……くしゃみが出そうなのだ……。)」
「(ええ!?アライさん我慢我慢!)」
この状況下でくしゃみをしたら確実に見つかってしまう。
フェネックがアライグマの口を塞ぐ。
「(|ぐぐっぐう!?ぐぐぐうぐぐううう!!!《フェネックぅ!?くるしいのだーーー!!!》)」
「(もう少しの辛抱だから我慢してアライさん!)」
アライグマの口を押えながらフェネックは外の様子をうかがうために穴から顔を出した。
視界に入ったのは、大小さまざまな大きさのセルリアンが集まってできた、4本脚の巨大なセルリアンの塊だった。
「!!!???」
フェネックは体中の毛が逆立つのを感じた。
このとき驚いたせいで体中の力が抜けてしまい、アライグマの口を押える手を放してしまった。
「ㇵッ……ハッ……」
「あ。」
時すでに遅し
「ぶへっくしょい!」
巨大なセルリアンを構成する無数のセルリアンの目、が二人の隠れる穴のほうを向いた。
アライさ〜ん、またやってしまったね〜