[ベルセルクフレンズ]2、3話
1話[プロローグ]>> 1
「かばん。渡したいものがあるから、一人でとしょかんに来るのです。」
巨大セルリアン討伐の3日後。
かばんは、博士と助手に、としょかんに呼ばれた。
最初、かばんは『カレー鳥の事だし、カレーを作ってほしいと呼んでいるのだろう』と思っていた。
だが、いざとしょかんに行ってみると、どうやらそうではないらしい。
としょかんに着くと、博士と助手が出迎えてくれた。
初めてとしょかんに来たときは、九州フクロウ…ではなく、急襲コノハズクな出迎えをしてきたのにも関わらず、今回は普通に出迎えてくれた。
ただ単に面倒なのか、同じ手は使わないのか、それとも…
「今回はカレーが欲しくて呼んだわけじゃ無いのです。そこんところ勘違いするななのですよ。」
「そうなのです。今博士が言ったように、我々はカレーが欲しくて呼んだわけでは無いのですよ。」
相変わらずの口調で博士と助手はかばんに出迎えの挨拶(?)をした。
「その、渡したい物って…」
かばんは、二人から聞いた『渡したい物』について問いかけた。
「詳しいことは中で話すのです。」
「とりあえず、着いて来いなのです。」
そう短く答えた博士と助手は、としょかんの中に戻っていった。
――――――
としょかんの中に入ると、机の上に蒼い宝石の様なものが置かれていた。
博士と深夜に対面する形で椅子に座った。
先に口を開いたのは博士だった。
「今日ここにおまえを呼んだのには理由があるのです。」
と、博士が
「まずこれを見るのです。」
と、助手がかばんに言った。
博士が両手で、蒼い宝石のような物を机から持ち上げた。
「これは、“いのちのかけら”と呼ばれる物なのです。」
透き通った蒼い色をしたその“いのちのかけら”は、としょかんの大きな穴の空いた屋根から差し込む陽に照らされ、キラキラと輝いている。
「いのちのかけら…ですか」
「これは、昔ジャパリパークにいた“ヒト”が遺していったものらしいのです。」
イマイチ話の意味が掴めないかばんに、博士と助手は話を続ける。
「この“いのちのかけら”には不思議な力があるのですよ。」
助手が博士に続けてかばんに説明をする。
「その不思議な力って…」
理解が追い付かないかばんは、二人に問う。
「この“いのちのかけら”は、我々フレンズには野生解放以上の力、普通の生き物には生きる力を与えてくれるのです。」
助手がかばんに言う。
「生きる力…。」
かばんが助手の言葉を繰り返す。
「この“いのちのかけら”は、我々フレンズには野生解放以上の力、普通の生き物には生きる力を与えてくれるのです。」
助手がかばんに言う。
「生きる力…。」
かばんが助手の言葉を繰り返す。
「しかし、この“いのちのかけら”が何をどうすると、何が起こるのかは分からないのです。」
と、博士が残念そうに呟く。
「何で分からないんですか…?」
とかばんが訊ねると助手は、百聞は一見にしかずなのですよと言い、バサッと羽を羽ばたかせて、としょかんの上のほうにある本棚へと飛んでいった。
程無くして、助手は一冊の本を抱えて戻ってきた。
机の上にその本を置き、ペラペラとめくり始めた。
「これを見るのですよ。」
助手のページをめくる動作が止まった。
助手が今博士開いているページは、雑に破られている。
そのページの見出しを見ると、『いのちのかけら』と書かれていた
悔しげな口調で
「いのちのかけらについて書かれている場所だけ、このように破られているのですよ。」
と助手がかばんに話す。
「本を乱暴にするなど、我々には意味が分からないのです。」
と博士が早口気味に言った。
「博士の言う通りなのですよ。
しかも、よくわからない黒い染みまで付けてるのです。こんなことをするのはバカな奴だけなのです。」
助手が言ったように、黒い染みが付いていた。
「…なので、これをおまえにに託すのです。」
と博士がかばんにいのちのかけらを渡した。
「え、ええ?ぼ、ボクにですか?」
戸惑いを隠せないかばんに助手が続けて
「少なくともおまえは我々よりも賢いのです。
我々二人でこのいのちのかけらの研究をするより、おまえに任せた方が早いのです。」
いつもは『我々は賢いので。』『我々は島の長なのです。』と言っているカレー鳥二人は、あっさりとかばんにいのちのかけらを渡した。
「いつかおまえの役に立つのです。」
と、博士がかばんに言い掛けた
「我々には分かるのですよ。」
と、助手がかばんに言い掛ける
「「我々は長なので。」」
博士と助手の声がズレなくハモった。
カレー鳥はいつも通りのようだ。
カレー鳥…w
やっぱ伊達に長してませんな、かっこいい。