【ベルセルクフレンズ】12
一話[あらすじ]>> 1
「ちょっと遅くなっちゃったなあ。
ジャガー怒ってないといけど…」
ジャングルちほーの寂れた歩行路の上を、ジャパリまんを抱えたコツメカワウソが歩いていた。
道中、体の半分がえぐれ、バチバチ変な音を鳴らしながら動かなくなっていたボスに気をとられていたためか、かなりの時間をロスしてしまったのだ。
ジャガーがよく登っている木まであと少し。
このときコツメカワウソは違和感を覚えた。
自分の奥の方にある、フレンズ化する前に持っていた「本能」が、行くな行くなと騒いでいるのだ。
嫌な予感がしながらも、ジャガーがよくいる木の下に着いた。
「ジャガー、ただいまー!遅くなってごめんねー!」
コツメカワウソがジャガーを呼ぶ。
だが、返事がない。
「あれ?ジャガーいないの?」
「…もしかして怒っちゃった?」
ジャガーがいないか辺りを見回すが、それらしき影は無い。
そのとき、木の上から馬鹿デカイ叫び声が聞こえた。
「がるるるるるるああああああ!!」
「!?」
木の上からその馬鹿デカイ叫び声とともに、ジャガーが降ってきた。
「うわっ!狩りごっこ!?」
だが、狩りごっこにしては力が強すぎる。
コツメカワウソは地面に押し倒された。
「あいたっ!じ、ジャガー強すぎ!こんなんじゃたのしーくないよ!」
ジャガーに両腕を地面に押さえつけられ、抵抗ができない。
「あわわっ、ごめん!怒らせちゃったのはごめん!ジャガーの勝ちだからー!」
だが、ジャガーの押さえ付ける力は変わらない。
「―ジャガー…?」
コツメカワウソが見たのは、殺気を帯びた光る黒みがかったジャガーの目だった。
「ひっ」
コツメカワウソの背筋が凍りついた。
まさかジャガーがここまで怒るとは思っていなかったのだ。
「ごめん!ほんとうにごめん!」
目に涙を浮かべて謝った。
「ガルルルルルル」
「じ、じゃがぁ…」
コツメカワウソには理解しがたい状況だった。
恐怖とショックで目から涙が出る。
地面に押さえ付けられた両腕には、ジャガーの鋭い爪が食い込み、血が出始めていた。
諦めかけていたまさに今
「ジャガー!ストーップ!」
その声とともにジャガーの体がコツメカワウソの上から吹っ飛ばされた。