【ベルセルクフレンズ】19
「耳が……」
音響兵器がショウジョウトキを正気に戻すべく発した殺人音波により漏れなく被害を受けた三人は、耳を押さえながら突っ伏し、ボスに至っては電源が落ちていた。
一方、音響兵器は無理に大きな声を出したことによって腹の傷が痛み、その痛みで身体中の力が抜け床にぶっ倒れてしまった。
「ハァハァ…私の歌、どうだった?」
一番モロに怪音波を受けたショウジョウトキは、音響兵器の無差別テロで失神して墜落していた。
「うっうう……。耳がぁ、耳がぁ」
「ちょ……サーバルちゃん大丈夫!?」
「大丈夫じゃないよぉ……。」」
「えてぇ……。ひ、ひとまず今のうちにショウジョウトキにジャパリまんを。」
かばんは耳を押さえてブルブル痙攣をするサーバルの生存を確認してからショウジョウトキの方に走った。
ショウジョウトキは失神こそはしているものの、目は黒みがかり光っているため、まだダークセルリアンの憑依は解けてないらしい。
かばんは千切ったジャパリまんをショウジョウトキの口に入れた。
ショウジョウトキの顎を手で掴んで、失神してる本人の代わりに動かす。
「!?」
何回か顎を動かして飲み込ませると、ショウジョウトキははっと目を覚まし、一瞬で上空へと舞い上がる。
「うわあっ!?」
「か、かばんちゃん!」
かばんは心臓が飛び出るかと思うくらいビックリした。
しかしその直後、ショウジョウトキが叫び声を発しながら墜落した。
「がががが――――――――!!??」
地に落下したショウジョウトキはうずくまり体を震わせる。
その様子を見たサーバルは飛び起きると、慌てて二人の下へ走っきた。
「――――――――――!!!――――!!」
すると、言葉で表せないような叫び声を出すショウジョウトキからダークセルリアンが出てきた。
それと同時にショウジョウはがくんと気絶してしまった。
「「あっ!」」
次こそは倒す勢いでサーバルは高々とジャンプしてダークセルリアンに攻撃を仕掛ける。
一方ダークセルリアンは、その場から急上昇したと思えば、さばくちほーの方角へと飛んでいってしまった。
攻撃目標に逃げられたサーバルは、さっきまで攻撃目標がいた所に着地した。
「また逃げられたー!」
「だけどどのみち、ダークセルリアンに攻撃は効かないから……」
実体がないので、捕まえることもできない。
そう悔しそうに地を叩くサーバルの隣で気絶していたショウジョウトキが目を覚ました。
「いててて……」
ショウジョウトキはキョロキョロと周りを見ながら起き上がった。
「大丈夫ですかショウジョウさん?」
かばんは起き上がったショウジョウトキの背中をさすりながらたずねた。
「大丈夫ですけど……。 はっ!トキとアルパカは!?」
正気に戻ったショウジョウトキは先ほどまでの事を思い出したのか、カフェの中にいる二人の元へと急行した。
カフェのドアを開けたショウジョウトキの目に、机に伏せてでうずくまるトキとカウンターにもたれるアルパカが見えた。
「ふ、二人とも大丈夫!?」
「あー。私は大丈夫だゆぉ。」
「ええ、なんとか…。」
アルパカはそこまでダメージが大きくなかったため、普通に会話ができる。
しかしトキは、ダークセルリアンに操られて野生開放をした状態のショウジョウトキの攻撃を腹に受け、さらに背中からガラスを突き破って床に激突したことにより、かなりのダメージを食らっている。
「トキさんは応急措置をしたから、あとは安静にして傷が治るのを待った方がいいですね……」
カフェの外から戻ってきたかばんはが、トキを安静にするようにショウジョウトキに言った。
「トキ……」
ショウジョウトキは下唇を噛み、悔しそうに拳を握った。