【ベルセルクフレンズ】15
「まさかそんな…… 黒いモヤモヤがテレパシーを!?それに攻撃が効かないだなんて……」
ジャガーの話を聞いたかばんは驚きを隠せず叫んでしまった。
「となると、他のフレンズさんも簡単に黒いモヤモヤに乗っ取られるってことに…。
攻撃が効かないならなおさら…。」
「どうするのかばんちゃん?」
「早いところ他のフレンズさんたちに教えなきゃ……。 ラッキーさん!」
「ナンダイ?かばん」
「ここからなら、他のラッキーさんに通信できませんか?」
「無理ダネ。通信可能圏内ニ通信可能ナラッキービーストハイナイヨ。」
「えぇ……」
「なんだか大事になりそうだねぇ…
ジャガーが心配そうな顔をして呟いた。
「そういえば、なんでカワウソさんは帰ってくるのが遅れたんです?」
かばんがカワウソに聞いた。
「えっとねー。帰る途中に体曲がって変な音を出しながら動かなくなったボスがいたから、そのボスを見てたら時間を取られてちゃったんだよね。」
カワウソが頬をかきながら答えた。
「つい最近からかな。ここら辺で見かけるボスの数が急激に減ってるんだ。だから、ジャパリまんを貰いに遠くまで行く必要が出てきたんだ。」
カワウソの説明に付け加える形でジャガーがかばんに言う。
「体が曲がって動かなくなったラッキーさん……。」
「変な音を出しながら動かなくなったボスってのは、前に博士達が行ってた『こしょう』ってやつじゃない?」
サーバルがカワウソに言った。
「もしかしたら、新しく産まれたフレンズさんがラッキーさんを壊しちゃったんじゃないのかな?
数が減ってるのも、多分新しく産まれたフレンズさんに壊されちゃったからだと思う…。」
「まさかー。フレンズがそんなことするとは思えないなー。
黒いモヤモヤの仕業なんじゃないの?」
ジャガーがかばんに反論をする。
考え込むばんは、ここで1つの仮説を建てた。
「その……黒いモヤモヤについてなんですけど。
まず、黒いモヤモヤには
すると、黒いモヤモヤに対するフレンズさんたちの攻撃がすり抜けて効かないのも説明がつきます。
また、黒いモヤモヤに対するフレンズさんたちの攻撃がすり抜けて効かないように、黒いモヤモヤの攻撃も
理由は、もし黒いモヤモヤ自身の攻撃が
黒いモヤモヤが実態を持っていたら、フレンズさんに対して攻撃を加えることができますからね。
今のことを踏まえて、実体がなくて
だから、新しく産まれたフレンズさんがやっちゃったんじゃないかな?思います。」
その新しく産まれたフレンズが誰かは分からないが、かばんの中ではその仮説が有力だ。
しかし…
「うん。わかんないや」
「ぜんぜんわからん」
「わーいたのしー!(棒)」
他の三人にはイマイチ伝わらなかったようだ。
「ま、まあ、簡単に言えば、
だから黒いモヤモヤはフレンズさんに憑依して間接的に襲うんですよ。」
「……要するに、そのヒョウイってのをされないように気を付ければいいんだね?」
「はい、そうです。」
コツメカワウソの保護者のジャガーには伝わったので、かばんも少し安心した。
「……あっ!黒いモヤモヤはこうざんちほーの方角に飛んでいったんですよね?」
かばんがコツメカワウソに方向の確認をする
「うん。向こうの方、ちょうどこうざんちほーの辺りに向かって飛んでいってたよ」
コツメカワウソは頷きながらこうざんのほうを指差してかばんに答える。
「こうざんちほーのフレンズさん達が危ない!早く知らせにいかなきゃ……
行くよ、サーバルちゃん!」
「うん!」
「ジャガーさんとカワウソさんは、また乗っ取られないよう、気を付けてください。!」
「わかった」
「おーけい!」
ジャガーとコツメカワウソの返事を聞いたかばんは、こうざんちほーに行くため、ロープウェー乗り場へ向けて走りだした。
―――――――――
「そんなー!」
ロープウェー乗り場の建物にかばんガッカリする声が響いた。
「かばんちゃん。これ、どーするの?」
サーバルがかばんにたずねる。
「どーするって言われても…」
切れて垂れ下がったロープの側で、かばんは頭を抱える。
長い間ヒトの手入れがなかったためとうとう切れてしまったのだろう。
「これじゃあこうざんちほーに逃げた黒いモヤモヤに追い付けなくなっちゃうよ…」
かばんのがっかりした声とともにお腹が鳴る。
「あーあお腹すいた。」
ずっと動きっぱなしだったせいでお腹が減ったかばんは、鞄の中からジャパリまんを取り出した。
「最後の一つかあ。崖登りしてアルパカさんに分けてもらうしかないかぁ…」
かばんはため息を付ながらジャパリまんを食べる。
すると、窓の方から声が聞こえた
「お久しぶりね」
かばんとサーバルは、その声のする窓へと目を向けると、トキが窓の外からこちらを見ていた。
「あ、トキさん!こんにちは」
「トキ!」
ふたりがトキに挨拶をする。
「こんにちは。何かお困りみたいね?」
窓の外からトキが顔を覗かせ、かばんとサーバルに挨拶を返しながら、困り事でもあるのかときいてきた。
「はい。ちょっと悪いんですけど、ジャパリカフェまで運んでもらえますか?」
「いいわよ。」
かばんの頼みを聞いたトキは、二つ返事で了承してくれた。
「ありがとうございます。」
「ありがとう、トキ!」
かばんとサーバルがお礼を言うと、トキは
「せっかくだし、一曲歌ってからでいいかしら。」
と二人に聞いた。
「「え゛っ?」」
かばんとサーバルの背筋が凍りつく。
「それじゃぁいくわよ」
トキが歌うために息を吸った。
「「ちょま!?」」
慌てる二人に容赦なく音響兵器が襲い掛かった。