[ビースト・フレンズ]8話
1話[プロローグ]>> 1
前回[VSサバンナシマウマ戦-2]>> 9
(どど、どうすれば…)
早くサバンナシマウマを正気に戻さなければ、サバンナシマウマもサーバルも危ない。
そのとき、サーバルの『ヘーキヘーキ!これくらい、ジャパリまん食べれば治るから。』という言葉が脳裏を過った。
迷っている暇はない。
シマウマさんの自我喪失も治るのではと結論付けたかばんは、急いで鞄の中にしまってあるジャパリまんを取りだし、
「シマウマさん。お許しください!」
暴れまわるサバンナシマウマの口に詰め込んだ。
「だはっ!?」
驚いたサバンナシマウマの抵抗が弱まる。
その一瞬の隙に
「うみゃああ!ごめんねシマウマぁ!」
サーバルがサバンナシマウマの口の中のジャパリまんを強制的に飲み込ませた。
「がああああああああああああああ!!!!!!」
未だかつて無いくらいの大きな叫び声をあげたサバンナシマウマ。
野生解放をしたサーバルを振り払うほどの強さで、喉のあたりを押さえのたうち回るサバンナシマウマ。
「ぐあああ!!がはああはあ!!」
そして、サバンナシマウマがのたうち回り始めてから5秒ほど経ったそのとき
「「!?」」
サバンナシマウマの背中から、黒いモヤモヤした物が出てきた。
サーバルとかばんは、その黒いモヤモヤがサバンナシマウマに憑依していたとは思ってもいなかった。
黒いモヤモヤが出たのと同時に、サバンナシマウマはうつ伏せのまま動かなくなった。
そして、サバンナシマウマに憑依し、操っていたと思われる黒いモヤモヤは、ぐいんと上昇し、そさくさとじゃんぐるちほーの方角へと飛んでいってしまった。
「あっ!待てー!」
サーバルが追いかけようとしたが、その黒いモヤモヤはサーバルの手の届かない高度まで上がっているため、追い付けない。
だが、今はサバンナシマウマとサーバルの怪我の手当てが先だ
サーバルがサバンナシマウマとかばんの元へと駆け寄ってきた。
「サーバルちゃん、大丈夫?」
「うん、私はなんとか…。
でもシマウマが…」
サーバルが心配そうにシマウマを見る
「大丈夫。シマウマさんは気絶してるみたい。
というか、サーバルちゃんの顎は…」
「私は大丈夫。
でも、野生解放でサンドスターが減っちゃったからジャパリまん一個ちょうだい。」
サーバルにジャパリまんを渡したかばんは、サーバルがジャパリまんを食べている間に気絶したサバンナシマウマから話を聞こうと体を揺する。
「シマウマさん。大丈夫ですか?」
「ううん…」
サバンナシマウマがうっすらと目を開けた
「あれ…私、何やって……」
むくりと起き上がったサバンナシマウマは、自分の顔を伺うかばんとジャパリまんを食べるサーバルを見た瞬間、自分がさっきまで二人にしていたことを思いだし
「ごごご、ごめんなさい!」
頭を下げた。
サーバル
「へーきへーき!シマウマが悪いわけじゃ無いみたいだし。」
かばん
「起きたばかりですが、何があったのか詳しく教えてくれませんか?」
サバンナシマウマ
「ええと、そのー…」
まだ頭に火がまわってないサバンナシマウマは、上手く思い出せない。
「ジャパリまん食べて、少し落ち着きましょう。」
かばんがサバンナシマウマにジャパリまんを渡す。
サバンナシマウマは、かばんから貰ったジャパリまんをガツガツと食べる。
操られていたとはいえ、野生解放をしていたせいでお腹が空いているようだ。
「ふぅ…。お腹いっぱい。
なんか眠くなってきちゃったなあ」
ジャパリまんを食べ終わったサバンナシマウマが、先程までの戦闘が無かったかのような呑気なことを言った。
「寝る前に、何があったのか教えてくださいよお(汗)」
寝転ぼうとするサバンナシマウマをかばん寝させまいと起こす。
「ええとねー…」
サバンナシマウマは眠そうに、自分の身に何があったのかを説明した。