【ベルセルクフレンズ】13
一話[あらすじ]>> 1
「かばんちゃん、アレ!」
サーバルが川の方を指差して叫んだ。
「何々?黒いモヤモヤ?」
かばんがサーバルの指差した方を見る。
地面に寝転がる二人の人影が見えた。
しかし、目を凝らしてよく見ると、寝転がっているのでは無くて…
「ッ!?」
ジャガーがコツメカワウソを地面に押し倒しているのがハッキリと見えた。
「か、カワウソさんが…」
「早く助けないと!」
「でも相手はジャガーさんだから、無闇に助けに行っても返り討ちにあっちゃうよ。」
一刻も早く助けに行かなければコツメカワウソが危ない。
しかし、作戦も無しに助けに行っても自分達まで危なくなる。
「サーバルちゃんが気を惹いてる間にジャパリまんを食べさせるしかないかも…」
「おっけい、まかせて!」
「ええ!?待ってサーバルちゃーん!」
作戦案を呟いたら、サーバルが走っていってしまった。
この作戦でやるしかないようだ。
かばんは急いでジャガーとコツメカワウソの近くにある茂みに隠れた。
それと同じタイミングで、サーバルがジャガーをコツメカワウソの上から吹っ飛ばしてどけさせた。
それに合わせてかばんがコツメカワウソに向かって叫んだ。
「カワウソさん、こっちへ!」
――――――――――――
「カワウソさん、こっちへ!」
目の前でジャガーが吹っ飛んでいったのと同時に茂みの向こうから声が聞こえた。
状況を飲み込めないコツメカワウソは、押し倒された体制のまま地面から動けないでいた。
すると何者かに体を持ち上げられ、
「ごめんねカワウソ!」
声のする茂みの方に向かって投げられた。
「はわわわわわ!?」
何者かに投げられたコツメカワウソは、そのまま茂みの向こうへと飛んでいき、背中から地面に落ちた。
「カワウソさん、大丈夫ですか?」
「いててて…こんなのたのしくないよぅ」
カワウソが目を開くと、自分の顔を心配そうに見るかばんがいた。
「あれ、かばん?なんでここに…」
「説明は後で、まずはジャガーさんを。」
「あっ!そうだジャガー!」
コツメカワウソがバッと起き上がって、困り顔で叫んだ。
「ねぇ、ジャガーはどうしちゃったの!?
いつものたのしいジャガーはどこに行っちゃったの?」
「お、落ち着いて落ち着いて!」
かばんは焦るコツメカワウソに、黒いモヤモヤのことについて説明をした。
――――――――――
「じ、じゃあ、ジャガーもその黒いモヤモヤに操られてるってこと?」
「あの状態を見ると、たぶんそうかと…」
二人のいる茂みの反対側では、黒いモヤモヤに操られたジャガーと、コツメカワウソを襲うジャガーをどかし、コツメカワウソをかばんの元までデリバリーしたサーバルが睨みあっていた。
「ガルルルルルル…」
ジャガーが攻撃の姿勢をとった。
それに対してサーバルも受け身の体勢をとった。
「ジャガー…」
コツメカワウソが悲しそうに呟いた。
いつもは強くて優しくて、面倒見のいいお姉さんみたいな存在のジャガーが、今は誰構わず爪を向ける凶暴な存在になってしまった。
悲しい気持ちになっても仕方がないだろう。
「どうすればジャガーは元に戻るの?」
コツメカワウソがかばんに聞いた。
「サーバルちゃんが気を引いている間にジャパリまんを食べされば…」
だが、まだジャガーは黒いモヤモヤに操られた野生解放だ。
まだジャパリまんを食べさせるために突っ込むタイミングでは無いだろう。
サーバルがジャガーの攻撃を避けて体力を消耗させてからでないと…
しかし、かばんの言葉を聞いたコツメカワウソは、立ち上がると
「ジャガーーーー!」
と叫んだ。
「えっカワウソさん!?」
いきなり発せられたコツメカワウソの叫び声にかばんはビックリした。
これではサーバルが注意をひいている意味が…
ジャガーの注意がサーバルからコツメカワウソに向いた。
「アワワワワ」
ラッキービーストがまた錯乱しだした。
「ウガアアアア!!」
ジャガーがコツメカワウソに向かって突進してきた。