【ベルセルクフレンズ】21
ショウジョウトキにダークセルリアンの説明し備蓄のカレー味のジャパリまんやブドウ味のジャパリまんを分けてもらった二人は、さばくちほーの方角に逃げたダークセルリアンを追うためショウジョウトキにロープウェー乗り場まで送ってもらった。
「ありがとうございましたー。」
「ショウジョウ、ありがとねー!」
「どーいたしまして。それじゃあ私はこれで」
トキを安静に寝かせたあとに聞いた話によると、ショウジョウトキもダークセルリアンに襲われたとき、反撃をしてもダークセルリアンに攻撃が通じなかったらしい。
どうにかしてダークセルリアンに反撃する手段は無いのだろうか。
「―で、かばんちゃん。これからどうするの?」
「とりあえず、さばくちほーのフレンズさんにダークセルリアンの話を伝えながら図書館まで行きましょう。」
「でも、図書館までけっこう離れてるよ。前はバスがあったからよかったけど…。」
「うーん。ラッキーさん、ここら辺にジャパリバスって無いんですか?」
ダメ元でボスに聞いてみた。
「アルヨ」
「「……え?」」
かばんとサーバルがボスの言葉に声を揃えて目を丸くした。
「|この建物《ロープウェー乗り場》の裏のシャッターを開けるト、中にジャパリバスが止まってるヨ。」
ボスの言うように建物の裏に回ると、確かにシャッターがあった。
「パークガイドの帽子の羽をシャッターにかざせば開くヨ」
「は、ははぁ……(汗)」
帽子から抜いた羽を、ボスにの言う通りシャッターにかざす。
すると、ギシギシと不快な軋む音をあげながら錆びまみれのシャッターが開いた。
中を見ると、埃をかぶったジャパリバスが止まっていた。
だが、今目の前に止まっているジャパリバスは、前までかばん一行が乗っていたジャパリバスと比べると一回り小さく、青色をしている。
「これがジャパリバス?何だか違うような気がするよ?」
サーバルがボスに言った。
「確かに……。前のジャパリバスと違う色と形をしてるね。」
「それより……」
かばんが左腕のボスを見ながら呟いた。
「ナンダイかばん?」
「どうしての前、ジャガーさんたちとジャパリバスを直す時に、ここにジャパリバスが止まってるの教えてくれなかったんですか?」
かばんが当然の疑問を投げ掛けた。
「アッ…」
「ラッキーさん?」
「ボス?」
「アワワワ…マママママカセ…ママ…ママカセマセマママカカ…」
「ラッキーさん!?」
「ボスったら、またいつものソレ?」
このボスはどんなときでもポンコツらしい。
もはや定番と化した処理落ちである。
ポンコツボスはさておき、かばんはバスに近づいて状態を確認した。
座席や屋根代わりにかぶせられている布は破れたり穴が開いたりしてはいるものの、難なく使えるだろう。
「このバスも『でんち』がなくなってるのかな?」
サーバルがボンネットに手を突いて、でんちの差込口を探っている。
かばんもバスの中を探っていると、運転席の前に小さな引き出しがあるのに気づいた。
「なんだろう…。何か入ってるかな?」
かばんが引き出しを開けた。
するとそこには何枚かの写真が入っていた。
虫食いや埃で見にくいが、見た感じフレンズの写真のようだ。
「サーバルちゃん。見てこれ。」
「んみゃ?」
かばんがサーバルを呼び、写真を見せた。
「なんだろうこれ」
かばんがサーバルに尋ねた。
「んー……。なんだろう、見たことがあるような気がする……。うーん……。
わかんないや」
サーバルが首をかしげながら頭を掻く。
(もしかしたらこの写真で、ヒトについて分かることがあるかも……)
そう考えたかばんは、サーバルに返してもらったその写真を引き出しにしまった。
「もう日も暮れ始めましたし、身体を休めるためにも寝てから、明日の早朝にこのバスに乗って図書館まで行きましょう。」
空を見上げると雲がオレンジに染まり、太陽は西に傾いていた。
「うん!おやすみかばんちゃん。」
そう言うとサーバルは、バスの座席に寝転がった。
さすがに並んでは寝転べないので、かばんは運転席、サーバルは後部座席で寝ることにした
「おやすみ、サーバルちゃん」
かばんはそのまま眠りについた。
―――――――――――――――
「オッハー!」
「ふえええ!?た、食べないでっ……おはようございますラッキーさん。」
巨大セルリアン討伐から7日後。
丁度1週間である。
ロープウェー乗り場の建物の裏にあるガレージに響くけものフレンズアラーム(リアル)の大きな声に驚いて起きたかばんは、寝ぼけ気味に命乞いをした。
「たたたた、食べないよぅ!」
自分に言ったのかと勘違いしたサーバルがかばんに反論をする。
「オハヨウ、かばん。早速出発シヨウ。」
ラッキービーストに言われて起き上がろうとさしたかばんは、なぜか胸のあたりに力が加わり起き上がれなかった。
顔だけを動かして胸元を見ると、サーバルの手が自分の胸の上に乗っているのに気付いた。
「……サーバルちゃん?」
「な、なあに?」
サーバルが冷や汗を出す。
…………。
「た……」
サーバルが何かを言いかける。
「?」
「たべないよ!」
サーバルが大きな声を出しながら、あるのかどうかも分からないくらい小さな胸を揉んだ。
朝からドッタンバッタン大騒ぎだ。
「ハァハァ。
まぁとにかく、急いで図書館まで向かいますよ…。サーバルちゃんも座席に座ってね。」
胸からサーバルの手をどかしたかばんは、サーバルに席に座るように言った。
「さてと……早いところ図書館に行きましょう。」
「うん!」
「ラッキーさん、バスの運転お願いしますね。」
かばんが後部座席に移動し、ラッキービーストに運転を任せた。
「無理ダヨ」
「「……え?」」
秒でキッパリ断られてしまった。
「「な、何で?( ですか?)」」
かばんとサーバルが声を揃えて理由を尋ねた。
「ボクハ運転席ニ座ッテナイトバスヲ運転デキナイヨ。」
「あっ」
ラッキービーストはかばんの腕にある。
ラッキービーストがバスを運転するには、本体が運転席にある必要があるようだ。
……かばんとサーバルは前部座席に座り直した。
「気を取り直して、と……。ラッキーさん、図書館までの運転お願いします。」
「マカセテ!」
かばんがラッキービーストに指示をすると、バスはエンジンの音をガレージの中に響かせながら動き出した。
サーバル
「ボスぅー」
かばん
「ラッキーさーん、またやってしまいましたねー」