常世虫のある日
2020/01/14 (火) 01:53:13
常世虫拠点
糟屋カブトが拠点に顔を出した時、常世様、片桐アゲハは取り巻きとともに散歩に出かけていた
まぁ暫くすれば帰ってくるだろうと適当な椅子に腰掛けコートの中からカバーの掛かった本を取り出すといつものように仏頂面で読み始めた
「ふむ、なるほど…」
「何を読んでいるの?」
集中して読んでいたところに声をかけられ、驚いて思わず飛び退き、本を取り落してしまった。
声の主は片桐アゲハ、常世様だった
「あ……!」
「なんの本を読んでいたの、糟屋」
アゲハは取り落した本を手に取ると優雅な手付きでカバーを取り外す。
「『よく分かる数学I』…?」
口元がほんの少し愉快そうに歪む。
あれはこちらを攻める時の顔だとカブトはいい加減覚えていた。
「……申し訳ありません、常世様。 何分、学がないもので」
アゲハの手から半ば強引に本を取り上げると作業帽を深くかぶり直す
「そうね、少しは教養を身に着けて貰わなければ私の側に立つ盾にしては見栄えが悪いもの」
「……心に留めておきます」
本を懐にしまうとアゲハの口元の愉悦めいた笑みに背を向ける。
今度勉強する時は港島で氷橋くんやリゥさんに教えてもらおうとカブトは心に誓った
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