>> 15
「人に仇なす────────か」
ロスタムの闘気を受ける宿儺の表情は、恐怖ではなかった。
されど先ほどとは違う、歓喜とも邪悪なる笑みともまた、違った。
「お前、人に仇なす存在が俺のような魔性だけだと思っているのか?」
フン、と吐き捨てるように、地面に吐き捨てられた血反吐を見やりながら言う。
「無辜なるものに害成すものを許さぬというのなら、そこら中に転がっているだろう」
「
「だからこそ────────────────────────」
「だからこそ
「寺を建て、道を開いた恩を忘れ咎人と後ろ指を指す。ひもじいと泣いている餓鬼どもを見捨てて生贄にする」
ぼごり、ごぼ…ぐちゃり…と、不気味な音と共に、両面宿儺の全身の肉が沸騰する。
「貴様の言う"人に仇なさんとする者"なぞ、数多に或るという事を教えてやろう!!!」
「面白いものが見たいと言ったな、ならば我が身を見て嗤うがいい! 後ろ指を指して化け物と侮蔑するがいい!!」
肉が沸騰する。怨念がこだまする。
両面宿儺の肉体はみるみるうちに巨大化し、そして異形へと変化する
「これぞ朝廷より侮蔑され、飛騨にて化け物と石を投げられた者の末路だ!! 我が身、我が魂、その総てにこびりついた、数多の死した者たちの亡骸の怨念だ!!」
その肉体は腕、脚、骨、肉、臓物が複雑怪奇に絡まり合い、
その頭部は幾千幾万の怨念のこえを束ね挙げたかの如くに醜悪に染まり2つに分かれる。
伝承に語られし、二頭四腕の怪物が、そこにいた
「来るがいい!! その身を英雄と謡うのならば!! これこそが我が宝具! 我が伝承!!
/遅れましたごめんなさい!