ざり。ざり。と。
一歩ずつ重く、それでいて迷いない確たる信念のもとに足を進め、白い砂の敷き詰められた歓声に満ちるアリーナへと踏み出す巨大な影がひとつ在った。
2mを優に超す、獅子を思わせる筋骨隆々の巨躯。白い布を額に巻き付けた、砂塵に舞う茶髪。今まさに溢れんばかりの生気を灯し、闘志にみちみちた眼差しを前方に向け、その男は雄大さすら感じる足取りをもって、この闘いの場へと繰り出してきた。
「…へえ、いきなり三人での戦いとはな。面白いじゃねえか。活きの良いのが揃ってて欲しいもん、だ─────」
彼はよく通る大きな声と共に、ぶわりと、その剛健に隆起した右腕にかたく握られた、奇妙な槌矛を空に振るう。
振るった槌矛の余波が強く風を逆立て、地上の白い砂塵を巻き上げる。砂埃のうちに隠れながら、男はなおも巨大な存在感を醸し出している。
二本の足で立ち、その瞳はもう二人の、戦うべき相手の方へ。
彼のその立ち振舞いや言葉は、まさしく”英雄”と呼ぶにふさわしいものさえ感じさせるようだった。
彼はおもむろに槌矛を前方に向け、目を見開き、その筋肉を怒張させれば──────
「俺の名はロスタム!!ナリーマンの子、サームの血を引く者!白髪のザールの子にして、全イーラーンの守護者!!!」
「さあ──────何処からでも、かかって来るがいい!!」
会場全体に響き渡る、張り裂けんばかりの声量でもって、高らかに名乗りを上げた。
/テストロール開始となります。僕→スヴォーロフ「」→両面「」の順でロールをお願いします。
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