kagemiya@なりきり

泥の闘技場 / 11

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>> 9
「宝具!?」

とっさの本能的に駆け出し、もとより両面宿儺だけを狙っていたロスタムには、スヴォーロフの攻撃は意思より外にあった。突っ込んで行ったロスタムのには当然、勢いよくまともに直撃し、彼の影はそのまま炎の中に消えるが─────────

「熱っちぃな──────────今のは効いたぞ!!」

炎の向こう側から姿を現したのは、火傷を負い、衣服を焦がされながらも変わることのない、ロスタムの姿。
なおもロスタムはその攻撃の勢いを失うことなく、両面宿儺へ突き進んでいく。
それはまさしく、彼の生命力の高さ、しぶとさを表すもので。
そのまま彼の肉体は、放たれた弾丸のごとくに、魔を討たんと突き進み──────────

>> 10
─────しかし、すんでのところで彼の一撃は防がれた。
見るもおぞましい光景。細かく幾本にも分かたれた腕の数千本でもって、彼の渾身の殴打は防がれたのだ。
彼はその事実に半ば驚きを覚えながらも、突撃の勢いを殺して次に備える。

「"人造"……?」

眼前の魔性の言葉に僅かな疑問を覚えつつ、ロスタムは上空へと飛翔するその肉体を目で追う。
両腕を千切った両面宿儺の姿に、早くも悪い予感を察知したのか、ロスタムはすばやくその身を引く。
次の瞬間、投げつけられた両腕が毒虫と化すのを眼前で目の当たりにした。

「なんてもん使いやがる─────アジ・ダハーカの真似事のつもりか!?」

毒虫を踏みつぶし、ロスタムは上空に逃げた両面宿儺を見据えた、次の瞬間。
膝を折り曲げれば、自慢の驚くべき筋力をもって、地面を蹴り砕き──────────人の身で、天に在る体に追い付いた。

「…食らえ!」

そして槌矛の一撃を、再び以て加えようとする。
今は両面宿儺に腕はない。先のような防御手段は無いだろうが

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