>> 16
「ハ、ハ……呑、気に……酒なんか、飲みやがって……」
「だが……嫌いじゃ、ねえ。あんたらしいぜ……もとより、俺が譲れないってだけの戦いなんだ、これは──────」
ちらりとスヴォーロフの方を一瞥したロスタムは、呪詛によって侵されたダメージの影響から、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
それでもなお、ロスタムは彼を見て笑うのだ。ああ、これこそがあるいは、人のあるべき姿なのかも知れないと。
「笑わせてもらった、礼だ。あんたには、特等席で見せてやるよ。俺の相棒を。生涯を駆け抜けた友を────────────」
>> 17
ロスタムは両面宿儺に目を戻す。手綱の先にいる"何か"を手繰り寄せんと、肩に力を籠める。腕を怒張させる。足を踏ん張る。歯を食いしばる。
呪いによって今も深刻に命を侵し続けるダメージを感じながらなお、肉体の力総てを引き摺り出してでも、手綱に力を込める。足をその地にめり込ませながら、ロスタムはその力を振り絞る。
「嗚呼、そうだな──────」
「人は、弱い。」
ロスタムはしかし──────両面宿儺に対して、その瞳から光だけは失わせないままで。
手綱を手にしたままに、その言葉を聞き、そして、その言葉を心中で噛みしめ、反芻するように言葉を返す。
「聡明なる全能の王がいた。傲慢によって玉座を追われ、悪によって殺された」
「賢明なる有能の王がいた。間隙によって
「てめえの言う通りさ。人ってやつは──────余りにもたやすく、悪に堕ちる。」
千切れそうなまでにぴんと張り詰めた手綱を引き、なお、ロスタムは鋭く告げた。
「──────だがな」
ロスタムは、改めて両面宿儺に対して足を踏み込んで言う。
「そいつを乗り越えることが。そいつを拒むことが────────────人の、強さだ。」
「確かに、な。できねえ奴の方が、世には多い。……それでも、それでもだ。」
「それでも、
「俺の身を焼くこの呪いこそが、そう言っている!!」
そしてロスタムはついに、手綱を穴より手繰り寄せ──────
「来い、ラクシュ。それでも、まだてめえらが、化け物として立つんなら────────────」
其処に在ったのは、巨嶽のごとき馬。
「──────俺が引導を渡してやる」
美しく流麗で、しかし力強く聳える馬を穴より導き出したロスタムは、馬に騎乗する。
そして力強く腹を蹴り、眼前に高く迎え撃つ怪物に対して、真っ向から。
槌矛を大きく振りかぶり、幻想の巨馬とともに、地を砕きながら。
”蹂躙走法”でもって、すさまじい破壊力と共に突撃する──────────!!
「
/めちゃめちゃ時間かかってすみません!!